カテゴリー「2004年の作品」の136件の記事

2024年3月27日 (水)

GREEN DAY『AMERICAN IDIOT』(2004)

2004年9月21日にリリースされたGREEN DAYの7thアルバム。日本盤は同年9月23日発売。

前作『WARNING』(2000年)から4年ぶりという、彼らのそれまでのキャリア中もっとも長いインターバルを経て届けられた新作。前作以降に初のベストアルバム『INTERNATIONAL SUPERHITS!』(2001年)やシングルB面集『SHENANIGANS』(2002年)、さらにはGREEN DAYの覆面バンド(サイドプロジェクト)THE NETWORKのアルバム『MONEY MONEY 2020』(2003年)を発表しているとはいえ、ここまで新作に時間がかかってしまった理由には、2003年に当時完成直前だった“幻のアルバム”『CIGARETTES AND VALENTINES』のマスターテープが盗まれてしまったからというのが大きかったから。これにより、バンドは同作を再録することなく、新たな作品に着手することとなり、そうした偶然の副産物がこの傑作『AMERICAN IDIOT』だったわけです。

イラク戦争やそれを引き起こした当時のブッシュ政権、それを許したアメリカという国家に対する怒りや批判をテーマに制作された本作。『WARNING』がいわゆるパワーポップ的な作風だったのに対し、今作ではそうしたポリティカルなテーマやパンクバンドらしいアンチテーゼを表現するのにふさわしく、初期のストレートなパンクロックに回帰しているだけでなく、前作までのパワーポップ文脈、さらには往年のTHE WHOのようなロックオペラ的な組曲要素も取り入れるなど、バンドとして新章に突入したことを窺わせる充実ぶりを見せています。

アルバム冒頭を飾る「American Idiot」(米61位)のアンセム感や、キャリア最大のヒット曲となったミディアムチューン「Boulevard Of Broken Dreams」(同2位)、シャッフルビートが心地よい「Holiday」(同19位)、近作でのアコースティック路線をさらに追求した「Wake Me Up When September Ends」(同6位)と、初めて“Billboard Hot 100(=シングルチャート)”にランクインしたヒット曲の数々。そして、プログレッシヴな組曲調でありながらしっかりパンクロックとしての芯を失っていない「Jesus Of Suburbia」や「Homecoming」など、聴き応えのある楽曲が満載。「Are We The Waiting」から数曲におよぶ流れも組曲的な流れを作っており、リスナーに隙を一切与えない構成はさすがの一言です。

60分近くにおよぶ長尺なトータルランニングはもはやパンクロックとは呼べないかもしれません。が、それでも本作はブレイクのきっかけを作った『DOOKIE』(1994年)から道を外れているようにはまったく感じられないし、それと同時に『DOOKIE』から10年でパンクロックはここまで進化したんだという新たな気づきも与えれくれる。そうした意味では、革新的な1枚と言えるはずです。

GREEN DAYはこのアルバムで初の全米1位を獲得。現在までの600万枚以上を売り上げ、『DOOKIE』に次ぐヒット作となりました。また、第47回グラミー賞(2005年)で本作が最優秀ロック・アルバムを受賞し、第48回グラミー賞(2006年)では「Boulevard Of Broken Dreams」が主要4部門のひとつ・年間最優秀レコード賞をパンクバンドとして初めて受賞する快挙を成し遂げています。さらに、2009年には本作を題材にしたミュージカルも上演されています。

パンクバンドの在り方や為すべきこと、そしてパンクロックとしての進化や成長という点でも、本作はターニングポイントとなった重要作。そして、人気に翳りの見えたGREEN DAYにとっても新たな黄金期の始まりを告げる、第二のデビュー作と言えるのではないでしょうか。

 


▼GREEN DAY『AMERICAN IDIOT』
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2024年1月 8日 (月)

2003年4月〜2004年3月発売の洋楽アルバム20選

2015年から毎年この時期に用意してきたこの成人企画。ちょうど2022年から成人年齢が18歳へと引き下げされ、現在は成人式の概念も崩れつつありますが、この企画はこの企画として、タイトルから「祝ご成人」の文字を外し、20年前を振り返る企画として続けることにしました。

通常なら1月はじまりでカウントするところを、これまで同様4月はじまり翌年3月終わりという年度縛りで進めるのは、ちょっと日本的なのかな。とはいえ、今さらこのフォーマットを崩すのも何かなと思い、このまま続けさせていただきます。

この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に2003年4月〜2004年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れが強い作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能なものを20枚ピックアップする……というのが本来の趣旨。20年って結構節目にもなると思うので、改めて「ああ、自分が生まれた頃はこういうアルバムがヒットしていたのか」とか「これってもう20年前の作品なのか」とか、いろいろ浸っていただいたり驚いていただけるとうれしいです。

 

では、サブスクを通して20年前の名盤20枚をお楽しみください。

 

ALICIA KEYS『THE DIARY OF ALICIA KEYS』(2003年12月発売)(Spotify

 

AVENGED SEVENFOLD『WAKING THE FALLEN』(2003年8月発売)(Spotify)(レビュー

 

BEYONCÉ『DANGEROUSLY IN LOVE』(2003年6月発売)(Spotify

 

THE BLACK EYED PEAS『ELEPHUNK』(2003年6月発売)(Spotify

 

THE DARKNESS『PERMISSION TO LAND』(2003年7月発売)(Spotify)(レビュー

 

FRANZ FERDINAND『FRANZ FERDINAND』(2004年2月発売)(Spotify)(レビュー

 

HOOBASTANK『THE REASON』(2003年12月発売)(Spotify)(レビュー

 

JET『GET BORN』(2003年9月発売)(Spotify

 

JOHN MAYER『HEAVIER THINGS』(2003年9月発売)(Spotify

 

KANYE WEST『THE COLLEGE DROPOUT』(2004年2月発売)(Spotify

 

LAMB OF GOD『AS THE PALACES BURN』(2003年5月発売)(Spotify

 

THE MARS VOLTA『DE-LOUSED IN THE COMATORIUM』(2003年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

METALLICA『ST. ANGER』(2003年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

MEW『FRENGERS』(2003年4月発売/日本盤同年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

MUSE『ABSOLUTION』(2003年9月発売)(Spotify)(レビュー

 

OUTKAST『SPEAKERBOXXX / THE LOVE BELOW』(2003年9月発売)(Spotify

 

RADIOHEAD『HAIL TO THE THIEF』(2003年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

SCISSOR SISTERS『SCISSOR SISTERS』(2004年2月発売)(Spotify

 

SNOW PATROL『FINAL STRAW』(2003年8月発売)(Spotify)(レビュー

 

THE WHITE STRIPES『ELEPHANT』(2003年4月発売)(Spotify

 

このほかにも、以下の作品を候補に挙げていました。

A PERFECT CIRCLE『THIRTEEN STEP』(レビュー
AEROSMITH『HONKIN' ON BOBO』(レビュー
AIR『TALKIE WALKIE』
AMY WINEHOUSE『FRANK』
ANDREW W.K.『THE WOLF』(レビュー
ANTHRAX『WE'VE COME FOR YOU ALL』(レビュー
ARCH ENEMY『ANTHEMS OF REBELLION』(レビュー
THE BANGLES『DOLL REVOLUTION』
BASEMENT JAXX『KISH KASH』
BELLE & SEBASTIAN『DEAR CATASTROPHE WAITRESS』(レビュー
BLACK LABEL SOCIETY『THE BLESSED HELLRIDE』(レビュー
BLINK-182『BLINK-182』
BLUR『THINK TANK』(レビュー
BRITNEY SPEARS『IN THE ZONE』
CAESARS『39 MINUTES OF BLISS (IN AN OTHERWISE MEANINGLESS WORLD)』
THE CORAL『MAGIC AND MEDICINE』
COURTNEY LOVE『AMERICAN SWEETHEART』(レビュー
THE CRIBS『THE CRIBS』(レビュー
DAMAGEPLAN『NEW FOUND POWER』(レビュー
DANKO JONES『WE SWEAT BLOOD』
DASHBOARD CONFESSIONAL『A MARK, A MISSION, A BRAND, A SCAR』
DAVE GAHAN『PAPER MONSTER』
DAVID BOWIE『REALITY』(レビュー
DEATH CAB FOR CUTIE『TRANSATLANTICISM』
DEFTONES『DEFTONES』(レビュー
DIDO『LIFE FOR RENT』
DIMMU BORGIR『DEATH CULT ARMAGEDDON』
DIFFUSER『MAKING THE GRADE』(レビュー
THE DISTILLERS『CORAL FANG』(レビュー
DREAM THEATER『TRAIN OF THOUGHT』(レビュー
ELECTRIC SIX『FIRE』(レビュー
ERYKAH BADU『WORLDWIDE UNDERGROUND』
EXODUS『TEMPO OF THE DAMNED』
FALL OUT BOY『TAKE THIS TO YOUR GRAVE』
FOUNTAINS OF WAYNE『WELCOME INTERSTATE MANAGERS』
GEORGE MICHAEL『PATIENCE』
HATEBREED『THE RISE OF BRUTALITY』
HIM『LOVE METAL』
IGGY POP『SKULL RING』
IN FLAMES『SOUNDTRACK TO YOUR ESCAPE』
INCUBUS『A CROW LEFT OF THE MURDER...』(レビュー
IRON MAIDEN『DANCE OF DEATH』(レビュー
JACK JOHNSON『ON AND ON』
JANE'S ADDICTION『STRAYS』
JEFF BECK『JEFF』(レビュー
JOE STRUMMER & THE MASCALEROS『STREETCORE』
JOHN FRUSCIANTE『SHADOWS COLLIDE WITH PEOPLE』
JONNY GREENWOOD『BODYSONG』
JOSS STONE『THE SOUL SESSIONS』(レビュー
KILLING JOKE『KILLING JOKE』
THE KILLS『KEEP ON YOUR MEAN SIDE』
KINGS OF LEON『YOUTH AND YOUNG MANHOOD』
KORN『TAKE A LOOK IN THE MIRROR』(レビュー
KRAFTWERK『TOUR DE FRANCE SOUNDTRACKS』(レビュー
KYLIE MINOGUE『BODY LANGUAGE』
LED ZEPPELIN『HOW THE WEST WAS WON』(レビュー
LOSTPROPHETS『START SOMETHING』
LIMP BIZKIT『RESULTS MAY VARY』
M83『DEAD CITIES, RED SEAS & LOST GHOSTS』
MADONNA『AMERICAN LIFE』
MACHINE HEAD『THROUGH THE ASHES OF EMPIRE』
MOGWAI『HAPPY SONGS FOR HAPPY PEOPLE』(レビュー
N.E.R.D.『FLY OR DIE』
NELLY FURTADO『FOLKLORE』
NORAH JONES『FEELS LIKE HOME』
OPETH『DAMNATION』
PHOENIX『ALPHABETICAL』
PLACEBO『SLEEPING WITH GHOSTS』
PREFUSE 73『ONE WORD EXTINGUISHER』
PRINCE『N・E・W・S』
PROBOT『PROBOT』(レビュー
THE RAPTURE『ECHOES』(レビュー
THE RASMUS『DEAD LETTERS』(レビュー
SHINEDOWN『LEAVE A WHISPER』(レビュー
SOILWORKS『FIGURE NUMBER FIVE』
SPIRITUALIZED『AMAZING GRACE』
STAIND『14 SHADES OF GREY』
STARSAILOR『SILENCE IS EASY』
STEREOPHONICS『YOU GOTTA GO THERE TO COME BACK』
STERIOGRAM『SCHMACK!』
THE STILLS『LOGIC WILL BREAK YOUR HEART』(レビュー
STING『SACRED LOVE』
THE STROKES『ROOMS ON FIRE』(レビュー
SUPER FURRY ANIMALS『PHANTOM POWER』
SUPERJOINT RITUAL『A LETHAL DOSE OF AMERICAN HATRED』
TRAVIS『12 MEMORIES』
TRIVIUM『EMBER TO INFERNO』
TV ON THE RADIO『DESPERATE YOUTH, BLOOD THIRSTY BABES』
THE VON BONDIES『PAWN SHOPPE HEART』
THE WiLDHEARTS『THE WiLDHEARTS MUST BE DESTROYED』(レビュー
YEAH YEAH YEAHS『FEVER TO TELL』
ZEBRAHEAD『MFZB』

 

この20枚、きっと20年前にその年のベストとして選ぼうとしたらまったく違ったセレクトになったんじゃないかな。ちなみに2003年の年間ベストはこちらなんですが、ロックやメタル系のセレクトは一貫しているものの、当時“流行りもの”として接していたR&Bやヒップホップのヒット作が20年を経てかなり大きな影響力を持つようになり、僕の中でもあの頃を語る上で欠かせなくなってきている事実がありまして。こうして、歴史は更新されていくんですね……と実感する今日この頃です。きっと昨年や一昨年の20枚を今選んだら、3分の1くらい入れ替わっているのかもしれませんね。

 

2023年3月 5日 (日)

BRYAN ADAMS『ROOM SERVICE』(2004)

2004年9月10日にリリースされたブライアン・アダムスの10thアルバム。日本盤は同年10月21日発売。

アニメーション映画『スピリット:スタリオン・オブ・ザ・シマロン』のサウンドトラックとして制作された前作『SPIRIT: STALLION OF THE CIMARRON』(2002年)から2年4ヶ月ぶりの新作。純粋なオリジナルアルバムとしては、『ON A DAY LIKE TODAY』(1998年)から6年ぶりとなります。

日本盤は過去作同様ユニバーサルミュージックからのリリースですが、本作ではデビューから在籍したA&M Recordsから新たにPolydor UKと契約。心機一転で制作された今作は過去2年にわたり実施してきたヨーロッパツアーの合間に、滞在先のホテルで大半のレコーディングしたそうです。ストリングスなどの上物はあとからオーバーダビングしたんでしょうかね。

それもあってか、プロデュースはブライアン自身が担当。フィル・ソーナリー(G, Key)やヨード・ネヴォ(Programming)がサポートしつつ、キース・スコット(B)やミッキー・カリー(Dr)などツアーで活動をともにする気心知れたメンツと制作を進めた、非常にリラックスしたノリの1枚に仕上がっています。

近作は内省的な質感のアルバムが続きましたが、本作もその延長線上にある作風で、「East Side Story」を筆頭にアルバム冒頭は穏やかで落ち着いた楽曲が続きます。『RECKLESS』(1984年)での溌剌としたイメージが強いブライアンですが、今作の時点ですでに44歳。人生折り返しに差し掛かるタイミングということもあって、こうしたミディアムテンポで落ち着いた作風の楽曲中心になるのは致し方ないのかな。

ミディアム中心とはえ、すべてがバラードというわけではないので、そこはご安心を。「East Side Story」にしろ「The Side Of Paradise」にしろ大陸的なおおらかなノリを持つ楽曲で、じわじわ熱が高まっていく感じはとにかく聴いていて心地よいですし、「Not Romeo Not Juliet」「Flying」のバラード2連発を経てアップテンポ寄りの「She's A Little Too Good For Me」で従来の彼らしさが強まる。続く「Open Road」も「Run To You」をよりアダルトにした作風で好印象。さらに、タイトルトラック「Room Service」での軽やかなロックサウンドも高揚感を高めてくれる。アルバム中盤にロックサイドを強めた楽曲を固めたことで、全体のメリハリが強まって最後まで飽きずに楽しめるのではないでしょうか。

アルバム後半はセンチメンタルな「I Was Only Dreamin'」、開放感の強い「Right Back Where I Started From」、哀愁味漂う「Nowhere Fast」とタイプの異なるミディアムナンバーが続き、最後は枯れ具合が抜群な大人のバラード「Why Do You Have To Be So Hard To Love?」で締めくくり。日本盤やデジタル版ではこのあとに、ロカビリー調のロックンロール「Blessing In Disguise」が追加されていますが、アルバムの流れとしては「Why Do You Have To Be So Hard To Love?」で終わるのが綺麗かもしれませんね。

トータルで35分強という程よい尺も、近年の彼に通ずるものがあり、デジタル全盛になり始めたこのタイミングにこれくらいで収めるのは潔い。結局は根っからのロックンローラーなのかもしれませんね。アルバムの制作過程同様、旅先などでリラックスしながら楽しむのにも最適な1枚です。

 


▼BRYAN ADAMS『ROOM SERVICE』
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2023年2月24日 (金)

U2『HOW TO DISMANTLE AN ATOMIC BOMB』(2004)

2004年11月22日にリリースされたU2の11thアルバム。日本盤は『原子爆弾解体新書〜ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム』の邦題で、同年11月17日発売。

テクノロジー3部作(1991年の『ACHTUNG BABY』、1993年の『ZOOROPA』、1997年の『POP』)を経て、前作『ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND』(2000年)で再び80年代的な壮大さを持つギターロック路線へと回帰したU2。セールス的にも復調を果たした同作から4年ぶりに届けられた今作では、メインプロデューサーに80年代初期3作を手がけたスティーヴ・リリー・ホワイトを据え、曲ごとにアディショナルプロデューサーとして前作のブライアン・イーノ&ダニエル・ラノワ、UKロックにこの人ありなクリス・トーマス、90年代ワークスに欠かせないジャックナイフ・リーやネリー・フーパーといった著名人が多数参加。前作でのスタイルをさらに推し進めつつ、90年代の経験も味付けとしてバランスよく散りばめた、問答無用のロックアルバムに仕上がっています。

本作について語る際、まず真っ先に話題に挙げられるのがオープニングトラックの「Vertigo」でしょう。当時、iPodのCMソングに採用されたことで多くの音楽リスナーのもとにまで届いたこの曲は、前作における「Beautiful Day」に匹敵するヒットを記録(英1位/米31位)。さらに「Sometimes You Can't Make It On Your Own」(英1位/米97位)、「City Of Blinding Lights」(英2位)、「All Because Of You」(英4位)とイギリスでヒットを連発し、アルバム自体も英米で1位を獲得。セールス的には『ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND』には及ばなかったものの、それでもアメリカではマルチプラチナム(300万枚以上)を達成させました。

先の「Vertigo」や「All Because Of You」を筆頭に、躍動感の強いロックンロールを主軸にしつつ、「City Of Blinding Lights」など80年代前半のニューウェイヴを通過させた浮遊感の強いロックチューン、「Sometimes You Can't Make It On Your Own」をはじめとする80年代後半以降の壮大なアンセム、「A Man And A Woman」のような繊細な楽曲、「Love And Peace Or Else」など90年代のテクノロジー要素を散りばめたオルタナチューンなど、アルバムは意外にもバラエティ豊かな内容。なもんですから、全11曲(ボーナストラックを除く)/約50分という程よい尺があっという間に感じられて、アルバムとしての充実度の高さは『ACHTUNG BABY』にも匹敵するものがあるのではないでしょうか。

個人的には、このバンドのアルバムって後半から終盤にかけてダークさやディープさが伝わる楽曲が用意されている点が非常に好みだったりするのですが、本作では「Love And Peace Or Else」で若干その傾向をみせつつも、80年代中盤〜後半的な「One Step Closer」、名曲「One」にも匹敵する作風の「Original Of The Species」や「Yahweh」で穏やかさを提示してアルバムを締めくくる作風。最初こそ物足りなさを覚えたものの、アルバム全体のバランスを考えると実はこの締め方が最適であることに気付かされます。

どこかキャリアを総括するようで、だけどロックバンドとしてまだまだ前進するんだという揺るぎない信念を見せつける。デビューから20年以上を経たバンドの次章を占うという意味でも、非常に重要なポジションにある1枚かもしれません。

 


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2023年1月28日 (土)

METALLICA『SOME KIND OF MONSTER』(2004)、『LIBERTÉ, ÉGALITÉ, FRATERNITÉ, METALLICA!』(2016)

『SOME KIND OF MONSTER』は2004年7月13日にリリースされたMETALLICAのEP。

本作は前年6月5日に発売されたアルバム『ST. ANGER』からのリカットシングル「Some Kind Of Monster」を軸に、同曲のエディットバージョンや初期楽曲のライブ音源をまとめた全8曲入り作品。トータルで約43分とかなりの尺があり、世が世なら企画アルバムとして通用する1枚です。

『ST. ANGER』からはタイトルトラックを筆頭に、「Frantic」「The Unnamed Feeling」すでにシングルが3枚発表済みでしたが、この「Some Kind Of Monster」が新たにシングル化されたのは同名のドキュメンタリー映画『メタリカ:真実の瞬間』が同年7月9日から北米で劇場公開されたことが理由でしょう。映画の中でも、この曲が完成していく過程が描かれていますし、本作はいわばサントラ盤の延長線上にある1枚かなと。

「Some Kind Of Monster」はアルバムの3曲目に収録された、8分半にもおよぶ大作。ミドルテンポを軸にヘヴィなギターリフを織り交ぜながら、要所要所でアップテンポになったりとプログレッシヴな展開が用いられますが、過去のMETALLICA楽曲と比べると劇的なアレンジというわけでもなく、唐突さが際立ちます。また、リフに次ぐリフの構成で、ギターソロも皆無。起承転結のしっかりしたドラマチックな展開を期待した層には肩透かしの1曲(アルバム)だったのではないでしょうか。

それに比べ、ランディ・ストーブ&ボブロックによるエディットバージョンは4分半を欠くという、原曲の半分の尺に編集され、かつカンカンと耳障りだったスネアの音色も編集され、『ST. ANGER』以前のMETALLICAらしい音質にリミックスされている。良くも悪くもダラダラとセッションしてる感の強かった原曲から“ダラダラ”感を見事に排除することに成功したものの、曲としては山なし谷なしなアレンジになってしまった感もあり、個人的には原曲を超えられていない気がしました。ただ、ドラムサウンドに関しては興味深いものがあり、このリミックスでアルバムまるまる1枚編集しなおしたら面白いのに……なんて思ってしまったほどです。

そして、全6曲におよぶライブテイクについても。こちらは2003年6月11日に行われたパリ公演から。『ST. ANGER』発売翌週に行われた11日のパリ公演は、1日のうちに異なる3会場でライブが実施されており、本作には13時からの公演の「Motorbreath」、18時からの公演の「The Four Horsemen」「Leper Messiah」「Ride The Lightning」「Damage, Inc.」、22時からの公演の「Hit The Lights」がそれぞれピックアップされています。各公演とも10曲前後とコンパクトなものとはいえ、20年前の彼らはそんなにもアクティブかつエネルギッシュな活動をしていたんだなと、改めて驚かされます。

 


▼METALLICA『SOME KIND OF MONSTER』
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このパリ公演のうち2公演目の模様は、2016年4月22日に『LIBERTÉ, ÉGALITÉ, FRATERNITÉ, METALLICA!』と題した限定EPがリリースされており、そちらで全9曲を聴くことも可能です。

EP『SOME KIND OF MONSTER』に収録された「The Four Horsemen」「Leper Messiah」「Ride The Lightning」「Damage, Inc.」と聴き比べると、2016年版のミックスは非常に低音を効かせたふくよかなもので、オーディエンスの盛り上がりなど臨場感もより強まっている印象。楽器1つひとつの表情は2004年版のほうが聴きとりやすいので、若干好みの分かれるミックスかもしれませんね。

ちなみに、この2公演目のセットリストですが、

01. The Four Horsemen
02. Leper Messiah
03. No Remorse
04. Fade To Black
05. Frantic
06. Ride The Lightning
07. Blackened
<ENCORE>
08. Seek & Destroy
09. Damage, Inc.

といったもので、最新作『ST. ANGER』(2003年)からは「Frantic」1曲のみ。残りは1stアルバム『KILL 'EM ALL』(1983年)から3曲、2ndアルバム『RIDE THE LIGHTNING』(1984年)から2曲、3rdアルバム『MASTER OF PUPPETS』(1986年)から2曲、4thアルバム『...AND JUSTICE FOR ALL』(1988年)から1曲という内訳です。これは直前5月にバンドのデビュー20周年を記念した企画ライブなどで、初期曲を多数披露したことも大きく影響しているのでしょう。

「Leper Messiah」や「No Remorse」のような楽曲がライブ音源として公式に残されることに非常に大きな意味がある本作、サブスク未配信かつ当時限定盤としてリリースされたもので、現座は入手困難な1枚。僕も手元に残してありますが、1時間強のコンパクトさながらも非常に聴き応えのある良盤なので、もし中古ショップで見かけた際には迷わずゲットすることをオススメします。

 


▼METALLICA『LIBERTÉ, ÉGALITÉ, FRATERNITÉ, METALLICA!』
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2022年3月 3日 (木)

SCORPIONS『UNBREAKABLE』(2004)

2004年6月22日にリリースされたSCORPIONSの15tアルバム。日本盤は『反撃の蠍団』の邦題で、同年6月9日先行発売。

『PURE INSTINCT』(1996年)『EYE II EYE』(1999年)と2つの“問題作”をEast West Recordsから発表したのち、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とのコラボアルバム『MOMENT OF GLORY』(2000年)をEMI Classicsから、アコースティック・ライブアルバム『ACOUSTICA』(2001年)をEast Westから立て続けにリリースしたSCORPIONS。ソフトサイドに振り切った作品が多数続いた中、バンドはついにHR/HM路線へと本格的に回帰します。

オリジナルアルバムとしては『EYE II EYE』から5年強と長いスパンを経て届けられた本作。ラルフ・リーカーマン(B)の脱退を経て、現在までバンドに所属するパウエル・マチヴォダ(B)が加入し、以降12年にわたり続く新体制が完成します(レコーディングでは一部バリー・スパークスなどがプレイ)。『PURE INSTINCT』以来となるアーウィン・ムスパー(CHICAGO、BON JOVIVAN HALENなど)との共同プロデュースで、80年代〜90年代初頭の路線を踏襲した“キャッチーなハードロック”アルバムを完成させます。

アルバム冒頭を飾るミドルチューン「New Generation」はギターリフこそヘヴィですが、メロディラインなどは90年代のポップ路線を踏襲するスタイル。続く「Love 'Em Or Leave 'Em」は従来の彼ららしい、憂いあるメロディラインの良曲ですが、全体的にダウンチューニングで録音されていることもあり、ここ数作と比べるとエッジが効いたテイストに感じられるかもしれません。

その後も「Deep And Dark」「Borderline」とミドルヘヴィ路線が続きますが、M-5「Blood Too Hot」でアップチューンが登場。ようやく往年のSCORPIONSらしさを取り戻した、そう思える1曲にホッとすることでしょう。しかし、M-6「Maybe I Maybe You」でのクラシックとのコラボを通過した叙情的なバラードで空気は一度変化。この流れに過剰にドラマチックなバラードはちょっと浮いているような気がするのですが、どうでしょうか。

アルバム後半は、これも従来の彼ららしいメロウなミドルナンバー「Someday Is Now」や「My City My Town」で再び空気を取り戻す。メロディ自体は『PURE INSTINCT』の流れを汲むポップさが備わっていますが、アレンジの硬質さがそれ以前の作風に回帰していることから、不思議と嫌味に感じられない。オープニング曲こそ多少蛇足に思えますが、それ以降の流れはそこまで悪いものではありません。

その後、これも中期の彼ららしいバラード寄りの「Through My Eyes」、メジャーキーのパワーロック「Can You Feel It」、ミドルヘヴィの「This Time」と似通ったテンポ感の楽曲が続き、ラストはバラード「She Said」と軽やかなロックンロール「Remember The Good Times (Retro Garage Mix)」で締めくくり。全体を通して従来の“らしさ”を意識しすぎたのか、過去2作よりも王道のSCORPIONS節を楽しめるものの、楽曲のクオリティは“問題作”と言われた2作には及ばないかな。そこだけが残念。

再びHR/HM路線へと立ち返ったものの、まだまだ手探り状態。バンドが本当の意味で“らしさ”を取り戻すには、もうちょっと時間がかかりそうです。

 


▼SCORPIONS『UNBREAKABLE』
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2021年2月27日 (土)

DURAN DURAN『ASTRONAUT』(2004)

2004年9月28日にリリースされたDURAN DURANの11thアルバム。日本盤は同年10月20日発売。

1986年にアンディ・テイラー(G)、ロジャー・テイラー(Dr)が相次いで脱退し、1997年にはジョン・テイラー(B)も脱退し、デビュー時のメンバーはサイモン・ル・ボン(Vo)とニック・ローズ(Key)のみになっていた2000年前後のDURAN DURAN。ところが、2001年のアンディ、ロジャー、ジョンの3人がバンドに復帰し、2003年からは日本をはじめ世界各国でクラシック・ラインナップによるツアーで大成功を収めます。

そのツアーの準備を兼ねて新曲制作にも臨んでいたバンドは、旧知の仲であるナイル・ロジャース(CHIC)のほか、アヴィリル・ラヴィーンLINKIN PARK、GOOD CHARLOTTEなどで成功を収めていたドン・ギルモア、TLCやBOYZ II MEN、メイシー・グレイなどで知られるダラス・オースティン、カバーアルバム『THANK YOU』(1995年)からバンドのレコーディングに携わるマーク・ティンレイをプロデューサーに迎えてアルバムを完成させます。それがEpic Records移籍第1弾作品となる『ASTRONAUT』です。

テイスト的にはロック色濃厚なリードシングル「(Reach Up For The) Sunrise」(全英5位/全米89位)の印象が強いかもしれませんが、全体的にはロックとポップス、ブラックミュージックをミックスしたニューウェイヴ風味の“らしい”スタイルで、非常にバランスの良い1枚に仕上がっています。なんとなくですが、この5人で制作したデビューアルバム『DURAN DURAN』(1981年)から20数年経て、大人になった5人が同じ方向性で新曲を作ったらこうなった、という印象も受けます。同じくシングルカットされた「Nice」のような小気味良いリズムのファンクロック、「Astronaut」で聴けるニューウェイヴの“その先”感は、まさに“あの頃”のDURAN DURAを進化させたようなスタイルですしね。

と同時に、“90年代のDURAN DURAN”をこの5人で実演したような「What Happens Tomorrow」(全英11位)や「Chains」のような楽曲も存在し、ただ単に初期を焼き直しでは終わらず、しっかり90年代の彼らも“なかったことにしない”のはさすがだなと思いました。思えばリユニオンツアーでもしっかり「Ordinary World」などのヒット曲は演奏されていましたものね。

音の質感や味付けはモダンに進化していますが、軸にあるものは“あの頃”と何も変わっていない。アルバム本編を締めくくる「Still Breathing」を聴く頃には誰もがそう実感できる、そんなキャリア総括&原点回帰な1枚ではないでしょうか。

なお、本作はiTunesやAmazonなどでダウンロード購入(単曲購入不可)できるものの、ストリーミング配信では聴くことができません。Apple Musicがスタートした2015年には聴けたはずですが、いつの間にやら国内では消えているし。同じくEpic Recordsからリリースされた次作『RED CARPET MASSACRE』(2007年)は今でもサブスクで聴けるのに。ぜひすぐにでも配信再開していただきたい1枚です。

※追記(2021.5)
2021年3月末より『ASTRONAUT』を含む、未配信だった90年代末〜2000年代前半のアルバムがストリーミング解禁されました。めでたしめでたし。

 


▼DURAN DURAN『ASTRONAUT』
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2020年5月17日 (日)

JIMMY EAT WORLD『FUTURES』(2004)

2004年10月にリリースされたJIMMY EAT WORLDの5thアルバム。

前作『BLEED AMERICA』(2001年)の大ヒット(全米31位。ミリオン突破)をはじめ、同作から「The Middle」(同5位)、「Sweetness」(同75位)とシングルヒットが続出したことで、いよいよメジャーフィールドでも名前を目にする機会が増えたJEWですが、続く今作では同作にあった弾けるような明るさ/ポジティブさが減退したように感じられ、影や哀愁味などを強めた異色作に仕上げられています。

「Sweetness」のようなキャッチーさを求めるリスナーには、本作は地味に映るかもしれません。しかし、1曲1曲の精度/完成度は前作以上に高まっており、アルバム全体のバランス(楽曲の質のみならずサウンドの質)もシンプルなのに繊細さが際立つ作りに。これは新たなプロデューサーであるギル・ノートン(PIXIESFOO FIGHTERSFEEDERなど)の手腕によるものも大きいのかなと思います。

楽曲の作りのみならず、曲タイトルのシンプルさにも目がいくのが本作の特徴かもしれません。そんな中で特にインパクトを残すのが、モノクロのアートワークに加え、「Kill」や「Pain」「Drugs Or Me」あんどといった若干ネガティブに映るワードでしょう。しかし、当の「Kill」はダークさを微塵も感じさせない良曲ですし、「Pain」にいたっては疾走感の強いエモーショナルなロックチューンという、本作を代表する1曲ですし。中でも、アルバム中盤における「Pain」から「Drugs Or Me」への流れは美しさを通り越して、圧巻の一言。暗闇からどんどん光が差していくような構成は、本作におけるハイライトと言えるでしょう。

要するに、全体のトーンが暗めで落ち着いた雰囲気だからネガティブな作品なのかと思いきや、実はアルバムタイトルに象徴されるように、本作は“前を向いた”作品集なわけです。

ポップパンクの底抜けに明るい雰囲気が苦手というHR/HM寄りリスナーは少なくないかもしれません(ヘアメタルの陽気さとはまた違う空気感ですしね)。ですが、エモやそこを通過したパワーポップは少なからずハードロックリスナーにも引っかかるものがあるはずで、特にJEWの作品中ではこの『FUTURES』は演奏もタイトでハードさが前面に打ち出されており、もっとも我々のような層にリーチする1枚だと思うのです。事実、僕も『BLEED AMERICA』までのアルバムは嫌いではなかったけど、一気に惹きつけられたのはこの『FUTURES』を聴いてからですしね。

グランジ以降のオルタナティヴロックに偏見がなく、かつ「HR/HMといえば様式美」だとか「ヘヴィ/ラウド以降のバンドは認めない」なんていう穿った解釈を持ち合わせていないリスナーなら、絶対に引っかかるはず。一般的には3作目『CLARITY』(1999年)や『BLEED AMERICA』が代表作になるのでしょうが、個人的なベストアルバムはこの『FUTURES』です。

 


▼JIMMY EAT WORLD『FUTURES』
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2020年5月 5日 (火)

BON JOVI『100,000,000 BON JOVI FANS CAN'T BE WRONG』(2004)

2004年11月にリリースされた、未発表中心で構成されたBON JOVI初のBOXセット。海外盤はCD4枚+インタビューで構成されたDVDの5枚組仕様ですが、日本盤のみBOX未収録のシングルC/W曲を10曲集めたボーナスディスクCDを追加した5CD+DVDの6枚組となっています。

本作は1984年にデビューしたBON JOVIの20周年と、トータルセールス1億枚突破を記念して制作されたもの。これまで正式リリースされていなかった未発表曲のデモ音源、アルバム曲として発表済みの楽曲のデモバージョン、シングルのカップリングや映画のサウンドトラック盤などでリリースしてきたアルバム未収録曲を集めたもので、CD4枚に50曲(日本盤はCD5枚に60曲)というボリューミーな内容となっています。

80年代のデモや未発表曲は比較的少なく、『NEW JERSEY』(1988年)用に多数制作された楽曲群は皆無(日本盤のみ、既発の「Let's Make It Baby」をDISC 5に収録)。これは、のちに『NEW JERSEY』のデラックス盤(2014年発売)でまとめてリリースされていることを考えると、『NEW JERSEY』完全版(というか『SONS OF BEACHES』)をのちにちゃんと形として残したいという考えがあったのでしょうね。

ということで、デモの大半は『KEEP THE FAITH』(1992年)以降のもので構成されており、中にはリッチー・サンボラ(G, Vo)が初ソロアルバム『STRANGER IN THIS TOWN』(1991年)のために用意したデモや、デヴィッド・ブライアン(Key)が映画『メンフィス』に提供したボーカル曲、ティコ・トーレス(Dr)がリードボーカルを務める未発表曲まで含まれており、バンドとしての蔵出し感が非常に強い内容となっています。

そんな中に、ほんの少しですが80年代のデモ音源も含まれておりまして、1986年の「Someday Just Might Be Tonight」は時期的に『SLIPPERY WHEN WET』(1986年)のために制作されたものなのでしょう。曲の質感的には次の『NEW JERSEY』か、あるいは『KEEP THE FAITH』あたりにも通ずるものがあり、この“枯れた”感はジョン・ボン・ジョヴィ(Vo)が若くして持ち合わせていたものなのだと気づかされます。そのほか、1985年の「We Rule The Night」はモロにハードロック色濃厚で微笑ましいですし、1986年の「Out Of Bounds」はいかにも『SLIPPERY WHEN WET』からのアウトテイクというノリで嫌いじゃないかな。

個人的に興味深いのは、既発曲のデモバージョン。どのような流れを経て完成に至ったのか、完成版から削られた未公開のメロディなどその過程が垣間見られるという点でも、お得感がかなり強いのではないでしょうか。DISC 4の最後にシークレットトラックとして収められている「Livin' On A Prayer」含め、隅々までその違いを確かめてみてください。

デモやアウトテイクといわれると「ボツ曲ってことは出来が悪いんでしょ?」って思ってしまいがちですが、そこはBON JOVIのこと。これまでもシングルのカップリングなどで発表してきた平均点以上の未発表曲を聴けばおわかりのとおり、基本的にはほかの同系統のバンドよりも優れた良曲ばかり。中には「本当にこれでボツなの?」と思わされるものも多いですし、「Real Life」や「Good Guys Don't Always Wear White」などサントラでしか聴くことができなかった“隠れた名曲”にもこの機会に触れることができる本作。初心者にはオススメしませんが、BON JOVI好きを公言するリスナーには必ず引っかかるポイントがある作品集だと思いますよ。

こんな貴重なボックスセットがストリーミングサービスで手軽に楽しめるようになるなんて。なんて便利な世の中になったんでしょうね。

 


▼BON JOVI『100,000,000 BON JOVI FANS CAN'T BE WRONG』
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2020年4月19日 (日)

VAN HALEN『THE BEST OF BOTH WORLDS』(2004)

2004年7月にリリースされた、VAN HALENにとって2作目のベストアルバム。

初のグレイテストヒッツ・アルバムとなった『BEST OF VOLUME 1』(1996年)から8年ぶりのベスト盤ですが、その間にバンドが発表した新作は三代目ボーカルのゲイリー・シェローン(EXTREME)が参加した『VAN HALEN III』(1998年)のみ。しかも、ゲイリーはその後しばらくして脱退しております。どうしてそんなタイミングにまたベスト?という経緯は、実は2004年当時に書いた『5150』(1986年)レビューに記されております。

つまり、ゲイリー脱退→ボーカル不在時にエディ・ヴァン・ヘイレンの舌癌発覚で活動休止→サミー・ヘイガー復帰&ツアー実施→ツアーに向けた新しいアイテムが必要→新曲作ろうぜ、ということでこのお手軽ベストが用意されたわけです。なので、同じベストでも『VOLUME 2』にはならなかったわけですね。

とはいえ、その内容はCD2枚組ということもあり全キャリアを網羅するような大ボリューム。デビュー作『VAN HALEN』(1978年)からサミー在籍時ラスト作となった10thアルバム『BALANCE』(1995年)までのオリジナル作に、当時バンド唯一のライブアルバムだった『LIVE: RIGHT HERE, RIGHT NOW』(1993年)からのテイクも含む全36曲で構成されています。

あれ、『VAN HALEN III』の楽曲は……って、ツアーでサミーがこの作品からの楽曲を歌うとは思えませんしね。あと、『BEST OF VOLUME 1』に収録された「Humans Being」やデヴィッド・リー・ロスとの12年ぶり新曲も未収録。ここまで入れてしまったら、全米1位まで獲得した『BEST OF VOLUME 1』がカタログとして意味を持たなくなってしまうので、あえて差別化したんでしょうか。

アルバムは『BEST OF VOLUME 1』同様に、デビュー作収録のインスト「Eruption」からスタート。“2つの世界(デイヴ期、サミー期)のベスト”といいながらも、結局はエディのバンドなんだっていう象徴的なオープニングですよね。で、そのあとにサミー歌唱の新曲3曲が続くのですが、『VAN HALEN III』からの続きというよりは、サミーが参加した『BALANCE』からの続いという印象が強い作風かな。ダウンチューニングでヘヴィさを強調していますが、芯にあるのは開放的なアメリカン・ハードロック。アレンジには随所にサミーー在籍時の名曲群を彷彿とさせる味付けが、豊富に用意されています。シングル向けな突出した魅力こそ薄いものの、おまけとしては十分な役割を果たしているです。

以降はデイヴ期/サミー期、リリースされた時期関係なく、ご機嫌なナンバーが目白押し。「You Really Got Me」や「(Oh) Pretty Woman」「Dancing In The Street」など『BEST OF VOLUME 1』からは外されたカバー曲も含まれており、まさにキャリアを総括するような“ベスト of ベスト”と断言できる内容です。シングル曲だけを楽しみたければ、本作だけ持っていれば十分っていう作品集ですね(むしろ、チャートインしたシングル曲でここに収録されていないのは「So This Is Love?」くらいかな? ラジオヒットした「Somebody Get Me A Doctor」や「Mean Street」「Don't Tell Me (What Love Can Do)」あたりも収録容量の関係で外れているけど)。

可能性は薄いけど、もし今後VAN HALENが再び表舞台に舞い戻り、ツアーを行うようなことがあれば……デイヴが歌う新曲を含む“3つめのベスト盤”が生まれる可能性がありますが、その可能性はゼロに近いのかな。

 


▼VAN HALEN『THE BEST OF BOTH WORLDS』
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