2018年6月20日 (水)

DAMAGEPLAN『NEW FOUND POWER』(2004)

2003年にPANTERAを解散させたヴィニー・ポール(Dr)&ダイムバッグ・ダレル(G)兄弟が、同年のうちに新バンドDAMAGEPLANを結成。パトリック・ラックマン(Vo/元HALFORDのギタリスト)、ボブ・ジラ(B/のちにHELLYEAH加入)の4人編成でアルバムを制作し、2004年2月に最初にして最後のアルバム『NEW FOUND POWER』をリリースします。

後期PANTERAのスタイルを継承しつつも、どこか気難しさが強かった同スタイルよりもキャッチーさが増したような楽曲の数々は、良く言えば取っつきやすい、悪く言えばクセが弱いものだったかもしれません。しかし、ボーカリストならまだしも、聴いた瞬間に「そうそう、このドラミング!」とか「これこれ、このギターソロよ!」とか気づけるアーティスト/プレイヤーって、今の時代なかなかいないと思うんですよ。それをバンドが変わっても維持し続けたヴィニー&ダイムバッグ兄弟の個性って、改めてすごいなと。

PANTERAという比較対象がいる以上、どうしてもインパクトの強さを求めてしまいがちですが、そこは正直そこまで強くないかなと。ボーカルのパトリック・ラックマンはそこそこ存在感の強い歌声/ダミ声で主張しており、これはこれでアリ。この声の合わせてなのか、音のほうもどこかモダンで、PANTERAの頭脳チームがあえて時代に寄せていったような雰囲気も。ニューメタル的な色合いや、ALICE IN CHAINS寄りのグランジ/サイケデリックヘヴィロック、90年代後半以降に登場したモダンヘヴィネス系の側面も感じられるのですが、そんな中でもしっかり自身の色を主張するPANTERA組が健気といいますか。嫌いになれないんですね。

「Fuck You」ではSLIPKNOTSTONE SOURのコリィ・テイラー(Vo)が個性強めのボーカルを聴かせ、「Reborn」ではBLACK LABEL SOCIETYザック・ワイルド(G)が“らしい”ギタープレイを披露している(さらに「Soul Bleed」では歌声まで)。また、日本盤ボーナストラックの「Ashes To Ashes」にはALICE IN CHAINSのジェリー・カントレル(G, Vo)もボーカルでゲスト参加しています。完全にご祝儀的なやつですが、これらのコラボレーションがカッコいいったらありゃしない。「Fuck You」ではパトリックもコリィに負けじと叫びまくってるし、このへんは今聴いても本当にカッコいいです。

バンドとしては本作で展開した青写真をもとに、次作あたりで大化けしてもおかしくなかったんですが、アルバム発売から10ヶ月後の2004年12月8日、あんなことになってしまうとは……。

カラーヴァイナルが近々発売されるというニュースを知り、久しぶりに聴いてみたんですが……1周回ってカッコよさが増しているような。もはやダイムバッグ・ダレルのギタープレイを生で聴けないという現実がそうさせるのかはわかりませんが、リリース時に聴いたときよりもポジティブに楽しめる自分がいます。PANTERAを期待すると痛い目を見るかもしれませんが、これはこれで“らしい”作品だと思います。

※2018.6.23.追記
ダイムバッグ・ダレルの実兄であるヴィニー・ポールが現地時間6月22日、お亡くなりになったとのこと。(ソース) この記事を書いたときは、数日後にまさかこんなことになるなんて思いもしませんでした。改めてヴィニーのご冥福をお祈りいたします。

HELLYEAHであなたのプレイ、もう一度観たかったです。



▼DAMAGEPLAN『NEW FOUND POWER』
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投稿: 2018 06 20 12:00 午前 [2004年の作品, Alice in Chains, Black Label Society, Damageplan, Pantera, Slipknot, Stone Sour, Zakk Wylde] | 固定リンク

2018年5月 3日 (木)

THE LIBERTINES『THE LIBERTINES』(2004)

THE LIBERTINESが本国イギリスで2004年8月末、日本で同年9月初頭にリリースした、通算2作目のオリジナルアルバム。前作『UP THE BRACKET』(2002年)やそこまでに発表されたシングル、およびそれに伴う活動で各方面に衝撃を与え続けた彼らですが、このアルバムが発表される頃にはすでにバンド内は崩壊状態で、ピート・ドハーティ(Vo, G)は10日あまりでレコーディングから離脱。以降、ライブにも参加することなるバンドはこのアルバムを発表し、同年末には正式に解散するのでした。

そんなネガティブ要素プンプンの本作ですが、1stアルバムの勢い任せの部分が後退したおかげで、楽曲の良さ……ピートとカール・バラー(G, Vo)のソングライターとしての力量がより見えやすくなったのではないでしょうか。

事実、オープニングを飾る「Can't Stand Me Now」のポップさは何者にも変えがたい素晴らしさがあるし、「Music When The Lights Go Out」や「Road To Ruin」のようなミィアムチューンにもじっくり聴かせる何かが存在している。もちろん、前作にもその要素は十分に含まれていたのですが、本作には切羽詰まった環境の中にもアーティストとしての急成長が見られ、そういったアンバランスさがこのアルバムの魅力を強めているような気がします。

かと思えば、「Arbeit Macht Frei」や「The Saga」のように1分少々の突っ走りまくるパンクロックもあるし、ガレージロックやパブロックからはもちろん、それ以前のルーツロックからの影響も至るところから感じられる。このバンドが単なるポッと出のパンクスではなく、音楽的にしっかりした土台を持つミュージシャン/アーティストであることが伺える側面ではないでしょうか。

でも、リリース当時はそんなこと、冷静に考えられなかったんですよね。リリース直前に敢行された『FUJI ROCK FESTIVAL '04』のステージでは、ピートを欠いた編成でカールが歌っていましたし、若干落ち着いたその作風に「もはや登場時の衝撃を求めるのは残酷かな?」と落胆したりと、彼らが何かするたび、何か発表するたびにネガティブな要素を感じてしまっていたのですから。

だから、彼らが3rdアルバム『ANTHEMS FOR DOOMED YOUTH』(2015年)を発表したあとのほうが、この2枚目に対する正当な評価が下せるようになった気がします。うん、今はデビューアルバムと同じくらい好きな作品ですし、なんなら聴く頻度は全3作中もっとも多い1枚ですから。

ピートの過去のドラッグ癖や犯罪歴が災いして、なかなか来日は難しいと思いますが、いつの日かまたこの4人が日本のステージに立つ姿を観てみたいものです。



▼THE LIBERTINES『THE LIBERTINES』
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投稿: 2018 05 03 12:00 午前 [2004年の作品, Libertines, The] | 固定リンク

2017年10月11日 (水)

GENE SIMMONS『ASSHOLE』(2004)

KISSジーン・シモンズが2004年に発表した通算2作目のソロアルバム。前作『GENE SIMMONS』(1978年)は当時のKISSのメンバー4人が同時にソロアルバムを発表するという、いわば企画チックな側面がありましたが、本作はフルメイクKISSが復活して以降、枠にハマったサウンドスタイルでの活動に対するある種の捌け口として制作された、完全にジーンの(良くも悪くも)自己満足的アルバムです。だって、このタイトルですもの……(苦笑)。

……と、言い切ってしまっていいものかアレですけど、その理由は聴いてもらえば理解していただけるんじゃないかと。とにかく、内容が“ごった煮”なんです。90年代前半のKISSが見せたラウド&オルタナティヴ路線を軸にしつつも、70年代のKISSらしい豪快なハードロックあり、ダンスあり、ヒップホップあり、AOR的歌モノあり、シンフォニック風変わりなポップソングあり、ベックにも通ずるダウナーなオルタナフォークあり……ね? これだけ聞いたらカテゴライズ不能でしょ? そもそも、ジーン・シモンズという策士はそういう奴ですからね。頭が良い(商才に長けている)んですよ。

けど、それがときには仇となることもある。それがまさに、このアルバムなんじゃないでしょうか。ぶっちゃけ、ジーン・シモンズというラベルがなければこんなアルバム、“焦点ずれまくりのオナニー的作品”と切り捨てられるのが関の山でしょうし。けど、“あの”ジーン・シモンズが26年ぶりにソロアルバムを作りました、と知らされてから聴けばなんとなく納得できてしまう……気がする。うん、不思議です。

KISS的なハードロック“のみ”を求める人には、本作はところどころ厳しい1枚かもしれません。が、KISSでジーンが書く/歌う曲が好きという人、1枚目のソロアルバムも気に入っているという人なら問題なく楽しめるんじゃないかと。確かにTHE PRODIGY「Firestarter」のカバーやら、ボブ・ディランやフランク・ザッパとの共作曲やらトリッキーな楽曲も含まれていますが、全体的にはヘヴィな曲よりもフォーキーでポップな楽曲のほうが印象に残るという、そんな“いかにもな”ソロアルバムです。思えばこの人、KISSの前身バンド・WICKED LESTERでもフォーキーな音楽をやってましたしね。

また、先の「Firestarter」ではデイヴ・ナヴァロ(JANE'S ADDICTION)がギターを弾いていたり、他にも現KISSのエリック・シンガー(Dr)、元KISSのブルース・キューリック(G)や、リッチー・コッツェン(G)、ドゥイージル・ザッパ(G)など興味深いゲストプレイヤーも多数参加しているので、プレイ面も問題なく楽しめるはず。

ちなみに、『LOUD PARK 2017』にGENE SIMMONS BAND名義で出演するジーン。残念ながら直近のツアーでは本作からの楽曲は1曲も披露されていないようで、KISSの楽曲が中心とのこと。ソロ曲は1枚目から「Radioactive」のみみたいですね。だったらそっちを取り上げたらよかった……と全部書き終えてから後悔しているところですが、本作は本作で言うほど悪くないので、チャンスがあったらぜひ聴いてみてください。珍味らしい味わい深さ満載なので。



▼GENE SIMMONS『ASSHOLE』
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投稿: 2017 10 11 12:00 午前 [2004年の作品, Gene Simmons, Jane's Addiction, KISS, Prodigy, The, Richie Kotzen] | 固定リンク

2017年6月 2日 (金)

MR. BIG『GREATEST HITS』(2004)

2002年に解散したMR. BIGの、ポール・ギルバート時代(1989〜1996年)とリッチー・コッツェン時代(1999年〜2001年)の両期をまとめたオールタイムベストアルバム。2004年という微妙な時期に発表されていますが、解散前までのキャリアを総括するという意味では非常に手軽な1枚と言えます。

最初のベストアルバム『BIG BIGGER BIGGEST! THE BEST OF MR. BIG』(1996年)がポール時代、しかもチャート的に成功した『LEAN INTO IT』(1991年)『BUMP AHEAD』(1993年)の楽曲が半数を占めるという偏った内容でしたが、本作は1st『MR. BIG』(1989年)から3曲、2nd『LEAN INTO IT』から5曲、3rd『BUMP AHEAD』から3曲、4th『HEY MAN』から1曲、5th『GET OVER IT』(1999年)から2曲、6th『ACTUAL SIZE』(2001年)から2曲と、まぁ妥当な割合となっています。

そこに加えて、本作にはアルバム未収録曲「Strike Like Lightning」が追加されているのが大きなポイント。1990年に映画『ネイビー・シールズ』のサウンドトラックに提供したこの曲は、一部のファンのみの間で知られる隠れた名曲。1st『MR. BIG』の延長線上にあるストレートなハードロックチューンですが、実はこの曲、メンバーのペンによるものではないんですね。そこも含めて、非常に貴重なナンバーではないかと。

ちなみに同サントラにはもう1曲「Shadows」というアルバム未収録曲も収められていますが、こちらはベストアルバムには入っていません。どうせならこっちも入れてほしかった。

さて、アルバムの構成ですが、年代順(リリース順)となっており、純粋にバンドの成長・変化を楽しむことができるはずです。「Big Love」や「Take A Walk」「Alive And Kickin'」「Price You Gotta Pay」といったライブならではの非シングル曲もそれなりに入っているし、なによりもバラード率が低いのが良い(笑)。「MR. BIGといえば美しいバラード!」という人には、2000年にバラード系楽曲をまとめた『DEEP CUTS』というコンピレーションアルバムも発表されているので、ぜひそちらを。

ただ、オールキャリア総括というのを頭ではわかっていても、「Take Cover」のあとに突然「Dancin' With My Devils」が来ると「?」となってしまうのはどうにかならないでしょうか。まぁ自分自身の問題ですけどね。

まぁつまりは……結局僕自身の中でのMR. BIGとは「エリック・マーティン、ポール・ギルバート、ビリー・シーン、パット・トーピーの4人」っていうことなんです。リッチー・コッツェンには悪気はないんだけど。あ、『MOTHER HEAD'S FAMILY REUNION』(1994年)や『WAVE OF EMOTION』(1996年)、大好きです(笑)。



▼MR. BIG『GREATEST HITS』
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投稿: 2017 06 02 12:00 午前 [2004年の作品, Mr. Big] | 固定リンク

2015年10月 7日 (水)

MD.45『THE CRAVING』(1996/2004)

6thアルバム『YOUTHANASIA』(1994年)と7thアルバム『CRYPTIC WRITINGS』(1997年)の間に、ムステインのガス抜きとして結成されたサイドプロジェクト唯一のアルバム。ムステインはギタリスト&プロデューサーに徹し、ボーカルにハードコアバンドFEARのリー・ヴィング、ベースには後にGOLDFINGERに参加するケリー・ルミュー、ドラムにはこの数年後にMEGADETHに加入することになるジミー・デグラッソ(SUICIDAL TENDENCIES、Y&Tなど)を迎え、メタルとパンクの中間と呼べるような肩の力を抜いた音楽を作り上げている。

ファストチューン皆無だった『YOUTHANASIA』を考えれば、ムステインが外でこういう方向性の音楽を鳴らしていたのも多少納得がいく。が、だったらMEGADETHでやれよと思うのだが……。ムステインがプロデュースしたリー・ヴィングのソロアルバムと考えれば楽しめる1枚。

ところでこのアルバム、2004年にMEGADETHのCapitol Records時代の諸作品と共にリミックス&リマスタリングが施され再発されているのだが、こちらではボーカルをムステインの歌ったものに差し替えられている。これがもう……MEGADETHそのもの(当たり前か)。まあMEGADETHにしてはパンキッシュで軽い曲もあるので、まんまMEGADETHというわけにはいかないのだけど。ロックンロール版 or パンクメタル版MEGADETHというか、番外編として接すればそれなりに味わい深い1枚。

ちなみにボーナストラックとしてMEGADETH版「The Creed」(本編5曲目収録)のデモトラックも追加されており(もちろんムステイン、エルフソン、マーティ、ニックの黄金期布陣によるテイク)、こちらも「Sweating Bullets」に通ずるものがあり興味深い仕上がり。なぜこれを『YOUTHANASIA』に入れなかった?



▼MD.45『THE CRAVING』
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投稿: 2015 10 07 12:20 午前 [1996年の作品, 2004年の作品, MD.45, Megadeth] | 固定リンク

2015年10月 6日 (火)

MEGADETH『THE SYSTEM HAS FAILED』(2004)

順調に進んでいる全アルバムレビューもいよいよ佳境に突入。今回は再結成後の3枚(10th〜12th)を紹介したいと思います。個人的には80年代後半〜90年代前半のような熱を持って彼らを支持することはできないと思っていたこの時期ですが、今聴き返すと意外といいアルバムを作っていたんだなと気付かされます。

もちろん往年の名作と比べてしまっては霞んでしまうのかもしれませんが、それでも僕のような人間が聴いて楽しむぶんには十分な良作、力作ばかりだと思いましたよ。前作を聴き終えてから、改めて何度も聴き返したくなったのは、実はこの時期の作品だったことも付け加えておきます。

さて。2002年のムステイン脱退→バンド解散を経て、腕の故障から解放されたムステインはギターに元メンバーのクリス・ポーランド、ドラムにザッパやスティングとの仕事で知られるヴィニー・カリウタ、ベースにカントリー系のジミー・スロースという布陣でソロアルバムを制作開始。しかしレーベルからの意向でMegadeth名義でリリースされることになってしまう。

ムステインがソロでどんな音楽を表現しようとしたのか……聴いてみておわかりのとおり、以前のMEGADETHと何ら変わらない、むしろ初期〜後期の総決算と呼べるような内容に驚かされたのではないだろうか。セールス面での心配があったとはいえ、やはりこのサウンドはMEGADETH以外の何者でもなく、ムステインにはこれしか残されていないのではないかとさえ思えてくる。

1曲目「Blackmail The Universe」の3rdあたりを彷彿とさせるスラッシーな楽曲に続いて、2曲目「Die Dead Enough」では5th以降のキャッチーな側面を見せ、3曲目「Kick The Chair」で再びアグレッシヴなテイストで攻めるなど緩急に富んだ作風は「実は解散前にやりたかったのはこれだったのでは?」と思わせるほど。片腕エルフソンがいないとはいえ、凄腕ミュージシャンたちと作り上げたこのアルバムが再びムステインのメタル魂に火をつけたことは間違いない。



▼MEGADETH『THE SYSTEM HAS FAILED』
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投稿: 2015 10 06 12:00 午前 [2004年の作品, Megadeth] | 固定リンク

2006年9月19日 (火)

KILLSWITCH ENGAGE『THE END OF HEARTACHE』(2004)

 アメリカ・マサチューセッツ州出身のメタルコアバンド、2004年の3rdアルバム「THE END OF HEARTACHE」。このアルバムからボーカルがハワード・ジョーンズという黒人シンガーにチェンジしてるんだけど、俺はそれ以前の2作を聴いていなかったので比較しようがないのね。でも特に評判も悪くないようだし、実際このアルバムはアメリカでもかなりの数売れたようなので、今後の代表作ってことになるのかしら。前作「ALIVE OR JUST BREATHING」もファンの間では評価高いので、ぜひこれを機に聴いてみようと思います。間もなく4thアルバムも出るようだしね。

 「LOUD PARK 06」での来日を控えた彼らですが、実は2004年から毎年来日してるんだよね。でも俺は今回初めて観るわけで、相当期待してるわけですよ。いわゆる「MAメタル」と呼ばれるジャンル(ジャンルではないよな)の先駆者的存在なわけで、どうして彼らが高く評価されるのか、この目でしかと確認してやろうと。

 いや、もちろんアルバムは素晴らしいですよ。スゴい完成度高いと思うし、メタルコアと呼ばれるバンドの中でもひと際存在感あるサウンドを放っているし。でも、正直に書くと、すごくこじんまりしてる印象も強くて。曲自体というよりも、全体的にとてもコンパクトにまとまってる気がするのね。それが聴きやすさに繋がってると思うんだけど……例えば他の新鋭バンド……TRIVIUMでもいいし、BULLET FOR MY VALENTINEでもいいや。あの辺とはちょっと違うんだよね。かと思えば、同じMAメタルに括られるSHADOWSFALLともちょっと違う。この辺の良い意味でのポップさが、例えば映画サントラに何度も起用される起因なのかな、と。実際このアルバムに収録されている "When Darkness Falls" は2003年の映画「フレディVSジェイソン」に、"The End Of Heartache" は2004年の映画「バイオハザードII アポカリプス」に使用されてるわけ。

 そういったことがファンから反感買う要素に繋がるとは思わないけど、どうなのかな。彼らはもう7〜8年やってるわけだから、その辺のぽっと出のバンドとは違うし、そんな彼らがこういうポップでコンパクトな方向に進むのは……いや、それが悪いとは思わないけど。やっぱりこういうバンドは実際にライブ観てみないと何とも言えないのかなぁ。とにかく期待してます。

 って彼ら、ライブDVDも去年出したんだよね。それを観てからライブに臨めばいいのか。なんだーアハハー

 ま、冗談はさておき。年内には4thアルバムも出るのかな。こちらにも大期待。


 
▼KILLSWITCH ENGAGE「THE END OF HEARTACHE」(amazon:US通常盤US限定盤日本通常盤日本限定盤

投稿: 2006 09 19 12:25 午前 [2004年の作品, Killswitch Engage, LOUD PARK] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック

2005年5月22日 (日)

KASABIAN『CLUB FOOT (EP)』(2004)

既に英国メディア(といってもBBCだけかな)では「今年期待の新人」として年頭からプッシュされていた3人組、KEANE。ボーカル+ピアノ(&ベース)+ドラムという、BEN FOLDS FIVEよりもヘンテコな編成によるバンドなんだけどさ‥‥これがいいのよ。本当に涙が出るくらいに、いい。最初、J-WAVEだったかINTER FMだったかで彼らのメジャーデビュー曲 "Somewhere Only We Know" を耳にした時、正直TRAVISとかあの辺のバンドの曲だと思ったのね。けどそれにしてはギターとか入ってこないし‥‥で、曲終わりにバンド名を耳にして、あーこれが噂のKEANEかぁ‥‥って。丁度フジロックへの出演も決まった頃で、こりゃチェックしておかなきゃって思い、早速同シングルを注文して‥‥

同シングルは、イギリスのチャートでも初登場3位を記録する程の人気で、続く "Everybody's Changing" も大ヒット。それを受けて5月にリリースされたファーストアルバム「HOPES AND FEARS」は強豪を抑えて初登場1位に。2週連続1位の後、2位に転落するも、翌週には再び1位に返り咲き。間違いなくイギリスで認知されているわけですよ。

メディアが騒ぐから気になったのではなくて、純粋に曲と最初に出会った‥‥ "Somewhere Only We Know" という素晴らしい名曲との出会いがあったから、俺はこのバンドに興味を持てたわけでして。多分、そういったネットや雑誌等での前評判だけだったら、正直ちゃんとチェックしたかどうか‥‥

「第二のCOLDPLAY」なんて呼び声もあるようですが、それも納得できる音楽性で、ちょっとだけジメッとしてる潤いあるメロディを聴けば、嫌でも「あー、英国的だよなー」と誰もが思うことでしょう。しかもそれが嫌みじゃない。ジメッとしてる割りに、サラリと最後まで聴けてしまう。勿論、心に残るフックはそこら中に存在してますよ。けど、この癒しの空気にやられた聴き手は、その心地よさの中で気づくとアルバムが1巡してしまう。そしてリピート、またリピート‥‥そう、このアルバムにはそういった「スルメ的要素」満載なんですよ。

まず、ギターレスでピアノメインというのが大きいですよね。とにかく耳障りが良い。「ギターがなきゃロックじゃねぇよ!」という心の狭い方は別として、この広がりあるサウンド(エフェクト含む)が本当に気持ちよいのね。今みたいな梅雨時、ジメジメして鬱っぽくなりがちなキミにこそ聴いて欲しい1枚なんだよね‥‥俺もホントこのアルバムに助けられてるもの。

ボーカルも伝統的なUKギターロック系バンドの系譜に当てはまる声質で、悪くない。いや、このサウンドと、このメロディにピッタリ合ってる。全体的に落ち着いた印象の曲が多いので、後半キツいかなぁ‥‥って心配してたんだけど、それなりにバリエーションもあるし(ちょっと打ち込みっぽい実験的な曲調もあってビックリ)そんな心配は無用だったみたい。勿論、そこには「良質なメロディ」という要素が大前提としてあるからこそなんだけど。本当によく出来た曲ばかり。

UKロックが好きだという人なら一発で気に入るはず。いや、そういうくだらないカテゴリーは無用だよね。純粋に「良質なメロディと良質な楽曲。それが10数曲詰まった良質なアルバム」ってだけで十分じゃない。いやー、最近はUKからもSNOW PATROL、カナダからはTHE STILLSみたいな良質なギターポップ/ロックバンドが登場してきてるし、こういう風変わりなKEANEもいるし。勿論相変わらずロックンロール・リバイバル系もいろんなのが出てくる。流行ってよく「10年周期」って言われるけど、今年でブリットポップから10年‥‥成る程、確かにその予兆はあるのかもね。

KEANEが今後どこまで成長するのか、あるいはこのまま1発屋で終わってしまうのか‥‥それは誰にも判らないけど、間違いなくここ日本では受け入れられると思うよ。だって既にうちのネットラジオでかけた "Somewhere Only We Know" が非常に評判よかったからね(問い合わせも幾つかもらったし)。夏に実現するフジロックでの初来日、楽しみだなぁ‥‥



▼KASABIAN『CLUB FOOT (EP)』
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投稿: 2005 05 22 03:56 午前 [2004年の作品, Kasabian] | 固定リンク

2005年5月11日 (水)

SELFISH CUNT『NO WICKED HEART SHALL PROSPER』(2004)

 昨今、特にイギリス辺りではニューウェーブ・リバイバルなんてカテゴリーに区分けされるバンドが数多く登場してますが、当然ながら良いものもあれば、酷いものもある。そしてイギリスだけでなく、その余波を受けてアメリカからも、更には他のヨーロッパ諸国からもその流れにあるバンドが幾つも登場しています。これらも例に漏れず、良いもの/酷いものといろいろです。

 別にそういったニューウェーブ・リバイバルを意識してってわけでもないけど、CDショップに行った時、店員が書いたポップに目をやって「ニューウェーブ」なんて言葉が書かれてた場合には、結構積極的に聴くようにしてます。で、まずアルバムなりシングルなりの1曲目にインパクトがないと、当然ながら買わないわけですが‥‥

  今年の頭だったかな。デジパックでもない、ただの白黒写真の紙ジャケ、スポットライトを浴びるひとりの青年の写真、赤い文字で「SELFISH」、そして白い文字で「CUNT」と書かれたそのジャケット。だけど「CUNT」の上には白いシールが貼られてて、実際には「C**T」と遠目にしか見えない怪しいジャケット‥‥この質素なパッケージに惹かれて、試聴機のプレイボタンを押してみたら‥‥数十秒後、気づいたらこのアルバムを手にレジまで歩いてたんだよな、俺。

 イギリスの2人組らしいんですよ、このSELFISH CUNTというバンド(ユニット)は。昨年辺りから何かと話題になってるらしい存在だそうで、ボーカルとギターの2人構成で、ドラムは全部チープなドラムマシーン。ベースは当然なし。所謂「エレクトロ・パンク」の範疇に入るバンドなんでしょうけど‥‥これがね、ホント馬鹿っぽくて素敵なのよ。

 ライヴはとにかく全部ゲリラライヴらしく、リハーサルスタジオだったり画廊だったり倉庫だったり‥‥と場所を選ばず、いきなり告知なしに現れてライヴするらしいんだわ。何だか最近そんなバンド、イギリスに多くね? でも‥‥俺はこの「フェイク」感に惹かれちゃうんだよね、昔から。

 結構自由に弾きまくってるギターはある意味でパンクであり、ある意味ではブルージーですらある。ボーカルは兎に角叫んでるだけの曲あり、メロディーとも呼べないような何とも怪しげな曲あり、更にはかのボビー・ブラウンの大ヒット曲 "My Prerogative" のカバー(と言っていいのかこれ?)あり、とホントなんでもあり。そういう意味では‥‥立派なパンクでしょうね。

 ふと‥‥昔懐かしいエレクトロ・ボディ・ミュージックなんて言葉を思い浮かべてしまう程、ちょっとした懐かしさも併せ持った不思議な存在、SELFISH CUNT。もうバンド名が最高だよな。間違いなく日本盤は出ないでしょうけど‥‥来日してくんねぇかなぁ‥‥どんな破天荒なステージを見せてくれるのか、想像するだけで楽しそうじゃない?

 きっと‥‥多分'80年代〜'90年代初頭だったらこういう音、「インダストリアル」だとか先の「エレクトロ・ボディ」なんてカテゴリーで片付けられちゃったんだろうけど、2005年の今聴けば、これは紛うことなく「パンク」そのものなんだよね、うん。



▼SELFISH CUNT「NO WICKED HEART SHALL PROSPER」(amazon

投稿: 2005 05 11 12:14 午前 [2004年の作品, Selfish Cunt] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005年4月13日 (水)

Berryz工房『1st 超ベリーズ』(2004)

 Berryz工房について考えることが非常に多いわけですよ。

 いや、すっげー難しいこととか考えてるわけじゃなく。かといって、納得いかない!とかいちゃもんつけたいわけでもなく。なんだろう‥‥ある意味ではハロプロのファン‥‥ヲタにとって、Berryz工房ってのは一種の「踏み絵」みたいな存在なんじゃないか‥‥なんて考えたこともあってね。それはどんなにメロディが親しみやすくて、非常に(ハロプロとしては)高品質なアレンジを施された、売る気マンマンな楽曲を目の前にして、けどそれを歌うのが小学生という現実を突きつけられる、みたいなね。それまでモーニング娘。に中学生がドンドン増えていくことにあーだこーだ言ってた人達からしたら、許し難い現実でしょうし、ただでさえいい年齢した「大の大人が((c)石川梨華)」中学生や高校生の集団(=ハロプロ)に熱を上げてる中に突如として現れたハロー!プロジェクト・キッズ、その中から誕生したBerryz工房。しかも今やモーニング娘。や松浦亜弥以上に作り手側が熱や力を入れているように感じられる、そんな親しみやすいポップなシングル曲を連発してくる‥‥中学生や高校生相手に「ロリコン」呼ばわりされてもおかしくないのに、今度は小学生‥‥ロリコンを通り越して「犯罪者」呼ばわりされてもおかしくない現実。ま、そりゃそうでしょう。

 でも‥‥

 悲しいかな、そんなポップな楽曲に耳を奪われてしまい、今日に至る俺。今のところ、Berryz工房のメンバー8人の判別もつかないし、メンバーの名前だって半分も言えないような状況なわけですが、音源がリリースされれば必ず購入してる。それが俺にとってのBerryz工房なわけ。

 俺が前のサイト(とみ宮)を辞めた時、残念ですみたいなメールを結構いただいたんですが、その中で最も「このアルバムのレビューが読みたかった」って声が多かったのが、実はBerryz工房の1stアルバム「1st 超ベリーズ」なんですね。

 そりゃね、書こうとは思ってたんですよ。けどね、タイミング悪かった。本当に。

 んで、このブログ始める前にも「まず最初に取り上げよう」とか考えていたんですが、開始から約4ヶ月、未だに取り上げていないという‥‥まぁ昨年末以降にリリースされた他のハロプロ系のアルバム群が非常に良作揃いで、それについて書いておきたかったから後回し、ってのがあってさ。んでいろいろ書いたんだけど。でも気づいたら、未だに書いてないという。

 正直な話をしちゃうと、やっぱりのめり込めないのね、アイドルとしては。単純に楽曲は好きなんですよ。「とみ宮」時代も1stシングル "あなたなしでは生きてゆけない" を俺なりにかなり絶賛したつもりだし、その後のシングル‥‥ "ファイティングポーズはダテじゃない!" を初めて聴いた時も「なんでこういう曲を松浦にあげないのよ!」とか複雑な気持ちになったし、全シングルの中では最もクオリティーが低いと思うけど、それでもポップでキャッチーで、気づいたら鼻歌唄ってしまう "ピリリと行こう!" とか、全部俺なりに非常に好意的に受け入れてるんですよ。そりゃ、この歌詞にこのこのメロディにこのアレンジにこの歌声じゃなきゃいけない、ってのは頭で判ってるんですよ。

 それでも『アイドル』として見ちゃうと‥‥全然惹かれないんですわ。

 じゃあ『音楽』として評価しようとすると‥‥う〜ん‥‥正直そこまで他のユニットよりも秀でてる部分があるとも思えないし。「ベリ工ならではの○○」みたいなのも特に感じられないし、現時点では。けどそれは単に俺がベリ工の魅力に気づいてないだけ、見逃してるだけかもしれない。「なんだよとみぃ、全然判ってないね!」って言われてもいいよ、今は。後になってその魅力に気づくかもしれないし、一生気づかないまま、「やっぱり俺的にはベリ工はアイドルとしての魅力は‥‥」って思い続けるかもしれない。今はこうだけど、将来はどうなるか判らないしね。そういう意味でのフラットさは常に持っていたいとは思ってます。

 んで‥‥実はこの1stアルバムも、非常に良いアルバムだとは思っていても、周りが言う程傑作だとは思ってなくて。その辺も今までこのアルバムについて書くことを躊躇してきた原因のひとつなのかな、とか思ったりもするんですが。って俺、躊躇してたのか? ‥‥いや、うん、確かに躊躇してたのかもしれない。それは世間が『モーニング娘。の「セカンドモーニング」やタンポポの「TANPOPO 1」、松浦亜弥の「ファーストKISS」にも匹敵する傑作』と騒げば騒ぐ程、俺の中でどんどんわだかまりみたいなのが大きくなって、その「そこまで傑作か?」という疑問を口にすることを躊躇してしまう‥‥そんな感じだったのかな、と。いや判んないけど。

 確かに1曲1曲は優れてるし、アルバムとしてもいろんなタイプの曲が揃ってて非常にバラエティ豊か。過去のハロプロ・ユニットのアルバムと比較しても、ここまで充実した1stアルバムは確かになかった(既出シングル曲の寄せ集めであるメロン記念日の1stアルバムは除く)。そこに付け加えられた "あなたなしでは生きてゆけない" のリミックスも、初期ハロプロのテーマ曲 "Hello!のテーマ" のカバーもかなり良い出来だと思う。でも‥‥何だろ、何かが物足りないんだよね。いや、悪い作品ではないし、むしろかなり良い出来ですよ。ここ1〜2年の間にリリースされたハロプロ系アルバムの中でもかなり上位に位置する作品集だと思ってますよ。でも‥‥

 多分ここまでくると、それって単に趣味の問題なのかもしれないね。俺がこのアルバムを買って、まず聴く前にブックレットのクレジットを見たのね。バックトラックを誰がアレンジし、誰が演奏に参加してるのか、とか。で‥‥全部打ち込みなんだよね。所謂「生音」‥‥バンドサウンドが一切ないわけ。そう‥‥ここなんじゃないかな、俺的に引っかかってる点って。他のハロプロ系アルバムで必ず1曲は入ってるその手の生音系が一切ない。そこがずっと引っかかってたんだと思うのね。

 いや、そこまで拘ってるわけでもないよ、バンドものに。バンドものじゃなくても、バンドもの以上に素晴らしい名曲は沢山あるわけだし。実際、ベリ工にはこういった打ち込みものが合ってるとは思うのね。作り手側も聴き手(本来聴いて欲しい層=低年齢層)を意識したアレンジにしてるとは思うし、と同時にある一定年齢以上の音楽ファンも惹き付けるような音作りをしてるんじゃないかとも思うのね。

 そう考えると‥‥やっぱり2ndなんじゃないかな、と。恐らくこの夏にはリリースされるであろう2ndアルバムにはそういったアレンジの曲も少なからず収録されると思うのね(実際、このアルバム以後のシングル収録曲には生音ものもあったしね)。実際、その後のシングル曲の充実振りを見れば、間違いなくこの1stよりも濃くて素晴らしい内容になるでしょうし。

 先日リリースされた最新シングル "スッペシャル ジェネレーション" で念願の初トップ10入り(7位)を果たし、早くも6月には新曲をリリース予定のBerryz工房。何やら大きめなタイアップが付くという噂もありますが‥‥となるとアルバムは7月頃か? 丁度前作から1年って感じかな。



▼Berryz工房『1st 超ベリーズ』(amazon

投稿: 2005 04 13 12:30 午前 [2004年の作品, Berryz工房, ハロー!プロジェクト] | 固定リンク | トラックバック

2005年3月19日 (土)

DELOREAN『DELOREAN』(2004)

 「Loveless Records」について何回かに渡って紹介してきました。TRAENINGやJOMI MASSAGEといった個性的な北欧アーティストをここで初めて知ったという人も多いかと思いますが、今回もそんな「まだまだ日本では無名のアーティスト」について紹介していきたいと思います。

 「まだまだ日本では無名」もなにも、まだ日本では音源リリースされてない新人さんですからね。「DELOREAN」という4人組バンドなんですが、ここ日本では4月8日にファーストアルバムが満を持してリリースされます。出身はスペイン・バスク地方だそうで、結成は2000年。2001年にはスペインやフランスのみで「SILOHUETTES」というファーストアルバムがリリースされたそうです。てなわけで、今回紹介するセルフタイトルの「DELOREAN」というアルバムは正確には彼等の2ndアルバムに当たるようです。ただ、このアルバムからリリース元が「BCore Records」に変わっており、その辺りで話題になったりもしてるようですね(最近注目のレーベルで、俺も去年愛聴したTOKYO SEX DESTRUCTION等が所属)。本国やヨーロッパ諸国では既に昨年後半にリリース済みのこのアルバム、ドイツ辺りでも『Dance music made by punks!』といって大絶賛されているそうです。

 サウンド自体はその謳い文句通り、ディスコパンクというか昨今の主流のひとつであるポスト・パンクやニューウェーブ・リバイバルの流れにあるものです。が、そういったバンドの中でもパンク色がより濃く表れている点は特筆に値するべきかもしれません。サウンド的にはもっとポップ間が強くて、例えば‥‥よく比較対象として挙げられるようですが‥‥NEW ORDERやTHE CUREといったバンドと共通する点が幾つか見出すことができると思います。ボーカルの声や歌い方もどこかロバート・スミス(THE CURE)を彷彿させますしね。うん、ポスト・パンクというよりはそういったUKニューウェーブ経由のポップロックの系譜でしょうね。変な気難しさも皆無だし、もっと肉感的かもしれないし‥‥ウルトラマンやドラえもん、仮面ライダーのお面を被って素顔を隠す、その人を食ったようなビジュアル面も、なんか他のそれ系とは一線を画するし。

 そういう意味では‥‥個人的にはELECTRIC SIX辺りと同じ匂いを感じるんですよね。まぁあそこまでのゲイっぽさというか変な作り物感はないですが、もっとエンターテイメントに昇華できそうな、あるいはしてしまいそうな臭いというか。音楽的にも非常に優れているんだけど、ステージではもっと楽しませることをよく知っている、みたいな。そんな印象が強いですよね。うん、是非ライヴは観てみたいバンドのひとつですよね。

 個人的には既にこういったニューウェーブ・リバイバル系には飽き飽きしてたんですが、こういった個性的なバンドがもっと、しかも欧米以外の国から出てくるんなら、進んで聴いてみたいと思うし、そしてそれらがこんな風に視覚的にも楽しませてくれるバンドだっていうんなら、尚歓迎しますよ。この辺のジャンルが気になってる人、そして新しモノ好きの人に是非オススメしたいと思います。DELOREAN、これから耳にする機会がドンドン増えていくと思いますので、しっかり覚えておいてくださいね。



▼DELOREAN「DELOREAN」(amazon

投稿: 2005 03 19 11:27 午後 [2004年の作品, Delorean] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005年1月27日 (木)

MANIC STREET PREACHERS『LIFEBLOOD』(2004)

遅ればせながら、MANIC STREET PREACHERSの通算7作目のアルバム(冷静に考えて、誰がデビュー当時彼等が7枚も、それぞれ個性的なアルバムを作るなんて想像したでしょう?)『LIFEBLOOD』についていろいろ書いてみたいと思います。10月末のリリースタイミングを逃し(というかその頃ってまだこのブログ、一般公開してなかったし)、本当は年末の「MY BEST OF 2004」公開に併せて書こうと思ってたんですが、想像してた以上にプライベートが忙しかったもんでね‥‥結局来日直前のタイミングになっちゃいましたよ。ま、ある意味ではこれでよかったのかな、とも思うんですが。

オリジナルアルバムでいうところの前作『KNOW YOUR ENEMY』の発表が2001年3月。約3年半振りの新作ということで、MANICSにしてはかなり長いブランクだったといえますが、個人的にはそこまで長いブランクとは感じてなくて。というのも、その3年半の間にベストアルバムと2枚組B面曲集がそれぞれ2002年、2003年にリリースされているし、来日も2度、2001年夏のフジロックと2003年1月のベスト盤ツアーで来てくれてるから、そこまでの飢餓感ってのはなかったのね。考えてみて。古いファンなら『THE HOLY BIBLE』以降、ああいう不幸な出来事があって活動休止して、そして大ヒット作『EVERYTHING MUST GO』の時は来日せず、結局1993年秋以降次の来日まで5年半近く待たされたんだから‥‥それを思えば、この状況はまだマシだよね。いや、マシどころか歓迎すべきというか。

さてさて。そんな前振りはこの辺にしておいて。作品について書いてみましょう。

まずこのアルバム、作風としては前作『KNOW YOUR ENEMY』の延長線上ではなく、むしろそれ以降……ベスト盤『FOREVER DELAYED : THE GREATEST HITS』に収録された新曲群(「There By The Grace Of God」「Door To The River」)の流れを組む楽曲集になっていると言えるでしょう。打ち込みと同期したバンドプレイ、ヒンヤリとした質感、感情の盛り上がりを抑えた中音域での歌唱、等。ポップな作風は代表作といえる4th『EVERYTHING MUST GO』や5th『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』の流れにあるといえるでしょうけど、そこともまた違う地平にたどり着いたかな、と。ただポップで穏やかなだけじゃないんですよね、今度のアルバムは。

アレンジ等の装飾部分に関して言えば、ふたつの流れがあると思います。ひとつは制作中にメンバーが聴いていたというDEPECHE MODENEW ORDER(JOY DIVISIONもか)、「ベルリン三部作」時代のデヴィッド・ボウイ(思えばベスト盤ツアー時のオープニングSEはそのボウイの『LOW』でしたしね)からの影響と思わしき、エレクトロ・ポップ路線。プロデューサー陣にその方面の方々を迎えていることも大きいでしょう。ただ、完全な打ち込み方向へは進まず、あくまでも「バンド演奏の装飾としての同期プレイ」という姿勢は崩しておらず、そういう意味で未だに「ロックバンド」としての拘りみたいなものが感じられるかな。

そしてもうひとつが、恐らくMANICSのメンバー自身が上記のようなバンド達と同じように影響を受けた80年代初〜中盤に活躍した、ニューウェーブ〜ギターロックバンドからの影響。U2やTHE CURE、ECHO & THE BUNNYMEN等……勿論それらからの影響はこれまでの作品からも垣間見ることができましたが、ここでは更に際だっているように感じられます。轟音系のギターが大幅に後退し、エフェクターを使いまくり、コードストロークよりもアルペジオ等のフレーズを駆使したギタープレイに、そういった要素が見出せるのではないでしょうか。個人的にはこれまであまり感じられなかった初期U2辺りからの影響を見つけることができたのは、かなり大きな収穫かな。

歌の面に関しても、これまでの作品にあったような高音域でのシャウトや絶叫・絶唱がなくなり、おちついた歌い方や、新境地といえる低音域での歌唱等、今まで以上に冒険が感じられます。前作がどちらかというと原点回帰的なモチベーションで即興的に作られたようなイメージが強いのに対し、この『LIFEBLOOD』はより練り込まれた、作り込まれたイメージが強いですよね。歌詞の面にしろ、歌の面にしろ、そして全体的なスタイルにしろ。過去の作品をみても、1枚ポップな作品集を作ると、その反動で次が攻撃的でギラギラした作風になる、というような振り幅をみせてきてます(過去、同じような作風を連続で発表したのは、4th〜5thの流れのみ)。そういう意味でも、実は前作がリリースされた時点で、「やっぱりここまで(攻撃的に)やり尽くしちゃうと、次は落ち着いた路線なのかな?」と思っていた人は多いと思います。そしてベスト盤に収録された新曲を聴いて、その考えはあながち間違ってないことに気づくわけですよ。

最初にシングル曲である「The Love Of Richard Nixon」 を聴いた時は、さすがに衝撃を受けましたね。いい意味/悪い意味でいえば、俺は断然いい意味でだったんですが。けど中には悪い方に捉えた人も多かったみたいですね。攻撃的でパンキッシュなギターロックを期待してた人も、そして『EVERYTHING MUST GO』や『THIS IS MY TRUTH〜』路線を期待してた人も裏切るような、エレクトロ・ポップでしたからね。さらにギターは相当音数少ないし、暴れまくってない。単なる装飾品としての引っ込んだプレイだし、ボーカルも低音域とファルセットによるダブルボイスで、これまでとは完全に一線を画する作風。そりゃ、従来のMANICSを期待してた人からは苦情が挙がるはずだわ。けど、これを聴いて「MANICSぽくない」と感じたかというと、決してそんなことはないわけですよ。どこからどう聴いてもMANICSの楽曲そのものなわけですよ。この辺はもう、個々の価値観だったり、MANICSというバンドに対して求めるものだったり、個人の許容範囲(音楽の趣味)の問題ですよね……まぁ盲目的に「MANICSなら何でもあり!」という人は別としてさ。

アルバムは想像してた以上の内容でしたよ、個人的には。もっと全面的にエレクトロ寄りなのかと思ったけど、良い意味で2nd『GOLD AGAINST THE SOUL』や4th〜5thの流れを組みつつ、今の彼等にしか生み出せない要素を見事に融合させた、非常に素晴らしい作品集だと思ってるし、下手すると過去の作品の中でもかなりの上位に位置する程に好きな1枚ですよ。俺、『THE HOLY BIBLE』を別とすると、一番好きなアルバムって2ndか5thですからね。そういう意味では、それらの作品集を気に入っているという人には好意的に受け入れられるアルバムじゃないかな。ただ、攻めの要素が希釈なため、「MANICSはこうでなきゃ」という固定観念を頭に強く描いている人にはちょっと厳しい作品かもしれませんね(実際にそういう声、よく聴くし)。

今のイギリスの流れ(COLDPLAYを始め、KEANESNOW PATROLといったバンド達がもてはやされる現状)を考えれば、これでもか!?ってくらいにフィットする作品であり、実際これまでにリリースしたシングル2枚(「The Love Of Richard Nixon」「Empty Souls」)はどちらもチャートで上位入りしたものの、アルバムは何故か初登場13位(注釈:1位と書きましたが、どうやら13位だったみたいです。どこかで1位と読んだ気がしたんだけど……)」。ライヴの方は大盛況みたいで、先日の地元・カーディフでのチャリティ・ライヴには英国過去最大の61,000人が集まったそうですよ。まぁそこには上に書いたようなKEANEやSNOW PATROLといったバンドも出演してたわけですが。

それにひきかえ、日本での状況ときたら……悲惨な有様ですよ。何だろう……MANICSが日本で盛り上がるには、あと5年くらい必要なのかな……あの「デビューアルバム1枚を全世界で1位にさせて解散する」とほざいた若造共が、20年も第一線で活躍しちまったぜ、ってな状況にでもならないとさ……メディアも盛り上げ辛いのかな。精神構造とか、非常に難解なバンドだしな。

そんな俺も、初めて彼等と英国で出会ってから、もう干支が一回り以上しちゃいましたよ。当時ハタチだった俺も、今や30代。ま、彼等とほぼ同年代だし、当たり前の話なんですが。

もうすぐ、「あれ」から10年‥‥「彼」は今、このアルバムをどこかでちゃんと聴いてくれてるのかな‥‥



▼MANIC STREET PREACHERS『LIFEBLOOD』
(amazon:日本盤/:UK盤

投稿: 2005 01 27 12:00 午前 [2004年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005年1月10日 (月)

「第1回菊地成孔楽曲大賞2004」とみぃの場合

 「エスロピII」のピロスエさんが、『第3回ハロプロ楽曲大賞2004』に続き、今度は(恐らく生涯のライフワークのひとつであろう)菊地成孔関連のアンケート企画『第1回菊地成孔楽曲大賞2004』をスタートさせました。で、ずっと参加しようとしてこのエントリを書きかけていたのですが、本日10日が〆切ということで、焦って完成させることにしました。

 詳しい募集要項についてはリンク先をご覧になってください。とにかくミュージシャンとして、そして楽曲提供/アレンジャー/プレイヤーとして、そして文筆家として等、いろんな顔を持つ菊地さんですから、募集項目も様々ですし、ハロプロの時と違って自分にとって聴いてる音源/読んでる文章が限られてしまうので、全部は答えられないかな‥‥と思ったんですが、やはり同郷出身の菊地さんですから、気合い入れて可能な限り選んでみました!(ま、菊地さんがこれ読んでるとは思わないけどねっ!)

 <楽曲部門a>

 「DCPRG、SPKS、KQLD等メインで活動しているユニットの楽曲」から5曲、持ち点10点で振り分ける、ということで。ここはハロプロ楽曲大賞と同じですね。対象は2003年12月1日〜2004年11月30日リリースのもの。ということで、スパンクスも含まれるわけですね。てなわけで、俺が選んだ5曲は以下の通り。ちなみに点数は各2点で。

1位:ヴァンドーム・ラ・シック・カイセキ
2位:エレガントの怪物
‥‥SPANK HAPPYのアルバム「Vendôme, la sick KAISEKI」より。単純に好きなのを選んだら、この2曲になりました。というか、5曲共このアルバムから選びそうだったのですが、涙を飲んでこの2曲に絞りました。

3位:フロイドと夜桜
‥‥「菊地成孔 feat.岩澤瞳」名義のシングル「普通の恋」より。"普通の恋" も良かったけど、単純にこっちのが好みだった、と。ただそれだけですよ。アルバムでのスパンクスとは違う魅力を見せてくれた1曲でしたね。

4位:マネー・ジャングルのジャンヌ・ダルク
5位:色彩のサンバ
‥‥菊地成孔「CHANSONS EXTRAITES DE DEGUSTATION A JAZZ」より。前者はUA、後者はカヒミ・カリイが参加したボーカル曲。共にそれぞれの魅力を最大限に引き出しつつ、菊地さんらしさが全面にしっかり出てる辺りがね。なんつーか強烈というか。

 以上、ボーカル曲を中心に選んでみました。


<楽曲部門b>

 「楽曲部門a」以外の曲‥‥つまり菊地さんがメイン参加してない、楽曲提供だったりミュージシャンとしての参加だったりする楽曲部門ですね。これに関してはUAのアルバムしか聴いてないので、そこからだけになってしまいました。これも各曲2点で。

1位:忘我
‥‥UAのアルバム「SUN」より。菊地さんがソプラノサックスで参加、しかもホーンアレンジまで手掛けた1曲。やはり最初に聴いた時のインパクトが一番大きかったので。

2位:雲がちぎれる時
3位:情熱
‥‥2曲共UAのライヴ盤「la」より。過去の代表曲を、新たなアレンジで表現してるわけですが、最初ライヴで聴いた時、鳥肌立ったもんで。特に前者な。微動だに出来ない程のインパクトでしたよ。


<テクスト部門a>

 「小説、コラム等本人執筆の原稿」ってことで、個人的に一番大好きな「CDは株券ではない」から3本選んでみました(でも一番面白かった回は、「ハロプロ楽曲大賞」@ロフトプラスワンでの回です!w)。これも各2点で。

1位:第14回「織田裕二、CHEMISTRY、鬼束ちひろ」
‥‥これはもう、織田裕二のゲイ話と、鬼束の「僕はこの人がデビューしたときから、裸にしか興味がなかったから(体が異常に良く思えたからだ)、とにかく一日も早くおかしくなるか落ちるかして脱いで欲しいとばかり願っていた。」が全てでございます。

2位:第13回「RIP SLYME、後浦なつみ、SAYAKA」
‥‥やはり後浦なつみの「人生の罰ゲームがあるとして「これからモーヲタになる(ならなければいけない)」というのは、かなりの強度でしょう。」かなぁ。そしてそれ以下の解説も非常に納得いくもので面白かったです。

3位:第10回「奥田民生、EXILE、星井七瀬」
‥‥ジャズ・ベーシスト、菊地雅晃がゲストの回。とにかく星井七瀬の評価が面白かったので。


<テクスト部門b>
<テクスト部門c>
<映像部門>

 ごめんなさい。これに関してはパスで。スミマセン‥‥


<ライヴ部門a>

 菊地さんがメイン参加しておられるユニットのライヴですね。'03年12月〜'04年11月は菊地サン関連、2本しか観てないので、残念ながらそれを選ばざるを得ません。これも2点でお願いします(1項目足りないので選外、だとしたらゴメンなさい)。

1位:2004年10月2日:朝霧JAM@静岡県富士宮市朝霧アリーナ
‥‥DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENでのライヴ。単純に、やっぱり素晴らしかったです。朝霧でDCPRGを‥‥と、初めて朝霧に行った年からずっと思ってたので、念願敵ったりといったところでしょうか。

2位:2003年12月19日:タワーレコード新宿店
‥‥SPANK HAPPYのインストア・イベント。結果的にこれが俺にとって最初で最後の第2期スパンクスになってしまいましたが‥‥瞳ちゃん‥‥嗚呼。


<ライヴ部門b>

 メイン参加以外の、いちプレイヤーとして参加したライヴですね。これに関しては残念ながら1本ということで。これも2点を(1本しか選んでないので、選外になるかも)。

1位:2004年7月31日:FUJI ROCK FESTIVAL '04@苗場スキー場
‥‥UAのフジロックでのライヴ。衝撃でした。いろんな意味で。UAの調子は最高潮とはいえなかったものの、それを補って余りある演奏が素晴らしかった。


<トーク/レクチャー部門>

 これも1本も参加してないので、パスで。


‥‥以上、こんな感じになりました。決して俺、菊地さんのハードコアなファンってわけでもなく、単純にDCPRGから入ってハマッて、続いて聴いたスパンクスもまた好みだった、というだけでね。その他の作品も追ってはいますけど、そこまで熱心なファンというわけではないのであしからず。

 2005年はですね‥‥もっと観たいですね、DCPRGを。そしてその他のユニットも。積極的に観に行きたいです。つーか誰か誘ってください!(それ全然積極的じゃないから自分)



▼菊地成孔「DEGUSTATION A JAZZ authentique/bleue」(amazon

投稿: 2005 01 10 09:50 午後 [2004年の作品, 「1年のまとめ」, 菊地成孔] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005年1月 7日 (金)

The DUST'N'BONEZ『FLAME SKULL BASTARDS』(2004)

 前回のエントリに引き続き、今回は当のThe DUST'N'BONEZのファーストアルバム「FLAME SKULL BASTARDS」について書いてみたいと思います。書くのはいいんだけど‥‥やはりどうしても避けられないですよね、ZIGGYとの比較は。だってさ、'93年から数年間のZIGGYは「森重樹一+戸城憲夫」の2人状態だったわけじゃない。その2人が再び手を組んで、曲を作って音を出せば‥‥それは紛れもなく『ZIGGY』そのものなわけじゃないですか。けど、現在においてもZIGGYそのものは存在する。非常に複雑ですが‥‥そのどれもが素晴らしい曲を作って素晴らしいパフォーマンスをしてくれればいいわけですよね‥‥いや、してくれればしてくれる程、我々は混乱するのか。「‥‥んで、結局どっちがZIGGYなの?」って。そりゃそうだ。

 このThe DUST'N'BONEZ結成に至る切っ掛けは、2002年夏のサマーソニック。復活HANOI ROCKSやGUNS N'ROSESが出演した、あの年ですよ。偶然にも森重と戸城はここで再会し、2人してHANOI ROCKSやGUNS N'ROSESを観るわけですよ。そして翌2003年2月。HANOI ROCKS単独来日公演。ここにも彼等は2人でライヴに足を運ぶんですね。そして‥‥酒の席でいろいろ音楽の話をして、互いの共通項(所謂グラマラスでハードなロックンロール)が現時点においてもまだ有効であることを悟り‥‥あとは自然と転がっていった、と。同年後半に元SADの満園と坂下を引き入れ、2004年3月にBACKYARD BABIES来日公演のアフターパーティーにて初ライヴを行う。その後は‥‥一部の方々はご存知の通りですね。ライヴ活動を繰り返し、そしてこのアルバムを約2週間で完成させてしまった、と。

 全10曲中、9曲の作曲を戸城が手掛け、残り1曲は森重。作詞は全て森重によるもの。ZIGGY時代はあくまで「森重/戸城が5曲/5曲、あるいは6曲/6曲と、同じ比重で曲を書く」50/50体制だったように思うのですが、このバンドはあくまで「戸城主導のバンド」なわけですよ。ZIGGYはあくまで森重が作ったバンドであり、森重がリーダーシップを発揮するバンドであると。その中で、それを踏まえつつ戸城は自身の役割を果たしていた、と。ところがここでは立場が逆転してるわけですよ。森重もインタビュー等で言ってるように、ZIGGY時代に一度も試さなかった『戸城主導で進める』という方法。これがThe DUST'N'BONEZのコンセプトなわけ。

 で、出す音。バンド名のスペル等からもお判りの通り(「〜'N'〜」とか「O」にウムラウトが付いたりとか、最後の「S」が「Z」になってたり、等)、'70〜80年代の、ロックンロールが一番カッコ良かった、輝いていた時代の先人達‥‥AEROSMITHやGUNS N'ROSES、HANOI ROCKSにMOTLEY CRUE等といった「ハードでメロウでグラマラスでデンジャラス」な、ロックンロールバカによる純度の高いロックンロールバンド。そういったものを2004年という時代に再び取り戻そう‥‥正しくそういう音なわけ。そう、ZIGGYだってそこに含まれても何ら違和感ないわけよ。だってZIGGYはGUNS N'ROSESと同期(1987年デビュー組)ですしね。あ、そうか。GN'R組が2004年にVELVET REVOLVERとしてデビューしたってことは、このTHE DUST'N'BONEZもある種VELVET REVOLVERのライバルになるわけか。アハハ。

 ただ、そんなVELVET REVOLVERよりも純度は高いわな。だってZIGGYのほぼ9割以上の曲を書いてきた2人がやってるバンドなわけだからさ。ある種、今のZIGGYよりもZIGGYらしいかも‥‥いや、今のZIGGYは「SNAKE HIP SHAKES」というバンドを通過することで、また別の地点にたどり着いてしまっているから、一概に比較すべきじゃないのかもしれないね。けど‥‥同じシンガーが歌詞を書き、歌っているという事実からして、比較せずにはいられないわな。バンドの顔がふたつのバンドを、しかも元メンバーとやってるわけだから。

 正直な話‥‥このアルバムをZIGGY時代‥‥「Goliath Birdeater」('99年)の後にリリースしていたら‥‥何ら違和感もないわけで。いやむしろ、「ZIGGY完全復活!」みたいに絶賛されてたかもしれないよね。けど実際にはそうならなかった。そうならなかったからこそ、今こうやって「FLAME SKULL BASTARDS」というアルバムが生まれたわけだけど。

 ZIGGYというバンドはこれまた厄介なバンドで、時期によって編成も違えば音楽性も少しずつ違ってくる。初期の薄っぺらいスリージーでグラマラスなロックンロール、タフになった「KOOL KIZZ」、BEATLESにかぶれ始めた「YELLOW POP」や「ZOO & RUBY」。グランジに傾倒しつつある「BLOND 007」。『日本の古き良きロックンロール』的な匂いのする「WHAT'S NEWS!?」、等々‥‥しかし我々の中にあるZIGGYというのは‥‥初期のイメージが強いわけですよ。かろうじて「KOOL KIZZ」辺りまでの。それはその頃が所謂バンドブームであり、ZIGGY自体も "GLORIA" での大ヒットがあったから、お茶の間にまで浸透していた時期だからなんですね。ルックスやスタイルとは裏腹に、歌謡曲のように親しみやすいメロディ。これがこのバンドの売りだったわけですよ。

 勿論、その血はThe DUST'N'BONEZにも流れてます。純血というか、輸血された血液というか‥‥純度は非常に高いですよね。音像こそヘヴィでハードなわけですが、メロディは戸城らしい判りやすさがちゃんとあるわけですよ。考えてみてくださいよ、この人はZIGGY時代に "SING MY SONG" とか "HOW" とか "午前0時のMERRY-GO-ROUND" みたいなポップチューンを残してきた男ですよ。勿論この人が書くハードーチューンも素晴らしいものばかり。それはZIGGY時代のみならず、その後彼が幾つか作っては潰してきたバンドでも遺憾なく発揮されてましたよね。そういう意味では‥‥この手のロックが、そしてZIGGYが大好きな人なら絶対に気に入る音なわけですよ。気に入らないわけがない。むしろ「最近のZIGGYが苦手」という人にこそ聴いて欲しいアルバムですよね。

 ホントはZIGGYとの比較なんて、無意味なんだろうけど‥‥比較することで、どちらが優れていて、どっちが劣っているとか、そういったことが言いたいわけじゃないのよ。正直なところ、俺自身も未だに混乱してるんだから‥‥ZIGGYはこの先、本当に大丈夫なんだろうか。本当にこのまま続いていくんだろうか。こんなにスゲーアルバムを作ってしまった今、ZIGGYの新作は本当に大丈夫なのかな‥‥とか、いろいろ不安に感じてるわけですよ。結局は今月末にリリース予定のアルバムを聴いて判断すべきなんだけど‥‥

 ある意味では同じ土俵なわけじゃないですか、ふたつのバンドは。同じ土俵にはいるけど相撲は取れないわけですよ、だって、同じ人間がメインを務めてるわけですから。でも‥‥我々は心の中で、密かにそれを望んでいるんじゃないのか。そんな気がするんですよね。戸城がZIGGYに戻ることはない。そして森重はZIGGYを解散させる気もない。だったら‥‥お互い良い意味でぶつかり合って、更に良い作品を生み出してくれれば‥‥ファンとしてはこれ以上の贅沢はないわけですよ。ま、このモヤモヤは延々続くわけですけどね!

 いっそのこと‥‥「SONIC MANIA」にでも出て、VELVET REVOLVERやMARILYN MANSONと共演しちまえばいいのに。そういったファンの前で演奏するのも、ある意味ではぶつかり合いですからね。そして‥‥ある意味では「勝ち」が約束されているわけですが。やっぱりZIGGYじゃなくて、The DUST'N'BONEZで出て欲しいよね、あのメンツなら。



▼The DUST'N'BONEZ『FLAME SKULL BASTARDS』(amazon

投稿: 2005 01 07 12:25 午前 [2004年の作品, DUST'N'BONEZ, THE, ZIGGY] | 固定リンク

2004年12月30日 (木)

2004年を振り返る(5)

 今年もあと2日ですが、年が明けても暫く続きそうなこの企画。今回は「ブッチ・ウォーカー」関連の作品を幾つか紹介したいと思います。

 ブッチ・ウォーカーというと、最近では織田裕二とのデュエット相手という認識が強いのでしょうか? 今年前半だとアヴリル・ラヴィーンとの共作/プロデュースで話題になったりしましたが、俺の中では未だに『MARVEROUS 3のシンガー/ギター/ソングライター』という認識が強いんですよね。それくらい彼(彼等)が残した2枚のアルバムは非常に重要で、印象深いハードポップ/パワーポップの名盤なんですよね。

 そんな彼がソロになって、最近では裏方業に精を出している‥‥ちょっと淋しいものがあります。またあの華やかなロックンロールバンドをやって欲しい‥‥と願っているひとりなんですよ、俺。来日実現しなかったしね、MARVEROUS 3時代は。

 さてさて‥‥愚痴はこの辺にして、早速簡単レビューにいってみましょう。

■AMERICAN HI-FI「HEARTS ON PARADE」

 ドラマーに逃げられ(=脱退)、レーベルからも切られ(契約解除)、とことんツイてなかったAMERICAN HI-FIの、前作から1年しか経っていないにも関わらず完成してしまった3rdアルバム。但しこれ、今のところ日本でしかリリースされてません(USでは来年早々リリースとのこと)。日本でのリリース元が変わっていないことから、「前作から1年で!」と絶好調なイメージで捉えられがちだけど、実は現在どん底状態なんだよね。

 今回はかのブッチ・ウォーカー(元MERVEROUS 3。というよりも、ユージ・オダとのデュエットでお馴染みといった方が判りやすいか)がプロデュースを手がけたことが功を奏したのか、とにかく過去2作の作風とは全く異なるイメチェンにひっくり返ったよ。ボブ・ロックを迎えてハード&ヘヴィな味付けだった1st、よりストリート寄りのパンキッシュなモダン・パワーポップ路線へとシフトした2ndを経て、このアルバムでは純粋なパワーポップ/ギターポップを展開。元々その要素を持っていたバンドなだけに、ここまで徹底してくるとは少々意外。これもブッチ効果?

 ま、元々ステイシー・ジョーンズのソングライティングには定評があったわけで、今回もそれはいかんなく発揮されています。アレンジこそ異なるものの、メロディ自体は従来のアメファイそのもの。ただ、これまでのガッツあるプレイやアレンジが好みだった人には少々物足りないかも。

 ふと、カナダのHARLEM SCARLEMがRUBBERというバンドへと名義変更した時期を思い浮かべました。正にあんな感じなんでしょうね。とにかくライヴでどうなるのか、そこが見物ですな。



▼AMERICAN HI-FI「HEARTS ON PARADE」(amazon


■SR-71「HERE WE GO AGAIN」

 アメファイを生まれ変わらせたブッチ・ウォーカーとのつき合いも古く、デビュー曲 "Right Now" では共作、これが大ヒットしたことで一気にメジャーになったSR-71も、前作(2nd)でメジャーからドロップ、この約2年振りとなる3rdはアメファイ同様、日本のみでのリリース(こちらも来年早々に海外リリース決定)。

 主要メンバーのミッチ・アレン以外のメンバー総入れ替え、セルフプロデュースということで、相当好き放題やったんだろうなぁ、前作がダークな作風だったからどうなるんだろう‥‥と思っていたら、1stを更にポップにした作風にビックリ。パンク色が若干薄れ、よりモダンなパワーポップへと向かってるかな。個人的にはこっちの方がより好みではあります。

 GN'Rの某ボーカリストの不在を嘆きつつ、古き良き時代を懐かしむ、まんまなタイトルを持つ1曲目や、ピーター・ガブリエルのムーディーな名曲をパンクポップ風にリアレンジした2曲目等、とにかく前半はグイグイ引っ張られる感じ。BOWLING FOR SOUPに提供した曲のセルフカバーも、個人的にはSR-71バージョンの方が好み。ホント、何でこのバンドがアメリカで不当評価されてるのか、理解できん。

 ただ、ひとつだけ難点をつけるとすると、バラードが1曲もないことかな。グイグイ引っ張る感じはいいんだけど、彼等ならではの名バラードがここに加われば、間違いなく再ブレイクできるはずなのに‥‥US盤ではそこら辺が追加されることを願います。



▼SR-71「HERE WE GO AGAIN」(amazon


■BUTCH WALKER「LETTERS」

 MARVEROUS 3解散後にリリースした1stソロから約2年振り、通算2作目のソロアルバムです。前作はホントにスルーされちゃいましたからね。良い作品だっただけに残念極まりないです。

 状況が良くなって来た中で発表されたこの作品、曲は文句無しに素晴らしいです。さすがブッチ・ウォーカーといった感じで、とにかくいろんなタイプの曲が収録されています。個人的にはひたすらきらびやかな80'sアメリカンHRに影響を受けたであろうMARVEROUS 3の2ndが好きだったもので、最近のちょっと落ち着いてきた‥‥まぁ年相応ともいえますが‥‥今のスタイルには一抹の淋しさを感じていたりもするんですが、とりあえず売れなきゃ話にならないわけで。これは兎に角もっとヒットすべきアルバムですよね。アヴリルが再び彼を新曲(映画サントラ用)の共作パートナーに選んだことだし、ホント‥‥頑張って欲しい。



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投稿: 2004 12 30 12:00 午前 [2004年の作品, American Hi-Fi, Butch Walker, SR-71] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年12月28日 (火)

2004年を振り返る(4)

 さてさて。今年もあと数日ですよ。いい加減俺自身の「BEST OF 2004」も決めないとな。ま、それとこれとはまた別なので‥‥さくっといってみましょう。

 今年買った新譜の中で、これまで取り上げる機会のなかった作品を幾つか、簡単に紹介していくコーナー第4弾。今回は一気に3枚いきます。しかもどれも微妙に共通項がありそうでなさそうなバンドばかり。あ、そうか。今年(日本で)デビュー盤をリリースして、夏フェスで初来日を果たした新人さんばかりだ。どれも夏頃の「RADIO TMQ」で一度はかけたことのあるバンドで、実際に俺自身そのライヴを目にしたバンドもいます。ホントどれも良質の、いろんな可能性を秘めた存在ばかり。是非気に入ったらアルバム聴いてみてください。中には来年早々に来日するバンドもいますので‥‥

■SECRET MACHINES「NOW HERE IS NOWHERE」

 アメリカ出身の3人組(内2人は兄弟)バンド。インディーで昨年アルバムをリリース済みで、これはメジャー移籍第1弾(通算2作目)。6月頃、渋谷のHMVで視聴して一発で気に入ったんだよね。1曲目の頭1分ちょっとで十分だったもん。

 いろんなところで言われてるように、'70年代的ハードロックの要素と、現代的なトリップ&サイケ・ポップの要素を上手く融合させた、よく出来た1枚。これ、ライヴだとどうするんだろうね‥‥って気になる程、スタジオ録音に拘りを持って、かなりオタッキーな面を強調しつつ製作された感が強いかな。宅録オタクがメジャーの財力を使って好き放題やってます、みたいな。ま、そこが聴き手側からすると清々しいんだけど。実際楽曲なり曲構成なり、非常によく練られてると思うし、ある種'70年代のPINK FLOYD辺りのプログレバンドにも通ずるものがあるよな、と。まぁそれを2004年では「プログレ」とはもやは呼ばないわけですが。

 SPIRITUALIZEDやここ数作のFLAMING LIPS辺りのファンなら、間違いなくニヤリとする1枚でしょう。サマソニで来てたけど、どうだったんでしょうか?



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■THE KILLERS「HOT FUSS」

 どことなくUK臭を感じさせるサウンドなんですが、実はアメリカ、それもラスベガス出身の4人組。これがデビュー盤。先にイギリスで火が着いて、その後本国でも中ブレイク。気づけばアルバムはゴールドディスク獲得(セールス50万枚突破)。未だにビルボードのトップ100に居座ってます。

 その昔‥‥ブリットポップ後のイギリスでは、「ROMO」なんていうムーブメントをメディアが盛り上げようとしましたが、見事に失敗してます。このTHE KILLERSのアルバムを聴いた時、ふとその「ROMO」(所謂「ニューロマンティック」の'90年版みたいなもの。MANSUN辺りを指すらしいよ)という単語が頭に浮かんだ程、イギリスな音。多分、あの'80年代っぽいシンセサウンドが、そう思わせる原因なんだろうね。あと、全体を多う暗さ・重さ・湿り気。正にイギリスの空だよね。いろんな所で言われてるように、全盛期のDURAN DURANを筆頭とするニューロマ系、U2やデヴィッド・ボウイ、NEW ORDERやPULPといったアーティスト達への憧れ・影響を上手く消化してるバンドだな。新人ぽくないもん。

 俺、ラジオ用&フジロック対策でUS盤リリース後真っ先に買ったんだけど、UK盤と若干収録曲が異なるのね。その辺が気になる人は、全てをフォローしている日本盤を購入することをオススメします。後で買い直したもん、俺も。



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■THE STILLS「LOGIC WILL BREAK YOUR HEART」

 これ、US盤を今年の頭には既に買ってるんだけど、実は2003年リリースなんだよね。けど、日本盤が今年初夏リリースってことで、とりあえずは2004年の新譜に入れたいと思います。

 カナダ出身の5人組による、デビューアルバム。これも「ホントにカナダのバンド!?」と疑っちゃう程に、'80年代UKニューウェーブの香りがプンプンするんだよね。エコバニ(ECHO & THE BUNNYMEN)だったり、THE CUREだったり。けどカナダ。ホント、最近訳判んないって。

 このバンドもシンセとか用いてるんだけど、そっちよりもむしろ煌びやかに奏でられるギターサウンドの方が重要な要素でしょう。適度に分厚くて、けどヘヴィ系のそれとは違う。コーラス等のエフェクトをかけたギター(恐らくシングルコイルのストラト系)がバンドをグイグイ引っ張っていて、そこに乗るボーカルもまた味わい深し。上のTHE KILLERS程の冷たさは感じられず、むしろそういったギターサウンドが仄かな暖かみを醸し出していて。ジワジワ効いてくるわけ。

 残念ながら俺は輸入盤を購入してしまったんだけど、どうもこのバンドの肝はそういったギターサウンドだけでなく、歌詞の深み・重みも含まれるそうなので、これから購入する人は対訳の付いている日本盤を購入するといいかも。ボーナストラック2曲もライヴで聴いたけど、なかなかだったしね。

 SNOW PATROLやKEANE辺りのメランコリックなUKロックを好む人なら、絶対に気に入るバンドのひとつ。海外では全然売れてないらしく、既にレーベルからドロップの噂もあるようで。応援してあげてください。



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投稿: 2004 12 28 05:00 午後 [2004年の作品, Killers, The, Secret Machines, Stills, The] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年12月27日 (月)

THE YELLOW MONKEY『MOTHER OF ALL THE BEST』(2004)

 2004年12月26日。本当の意味での終焉を迎えたTHE YELLOW MONKEY。9月末に出版された某雑誌でのメンバー全員個別インタビューを皮切りに、過去のDVD作品ボックスセット化(PV編とライヴ編に分けられている)やラストライヴとなった東京ドーム公演の完全映像化、そしてメンバー4人が選曲/監修に当たったという2枚組ベストアルバムのリリース、更には東京ドームを含むファンイベントの開催、等々。単に「最後の集金」と切り捨てることも出来るだろうけど、俺は‥‥ファンに対して最後まで非常に忠実なバンドだな、と。「7月には既に解散してました」という事後報告で済ませることも出来たはずなのに、最後の最後にメンバー4人が揃ってファンの前に姿を現すなんて、普通の「解散済みのバンド」には考えられないからね。それだけ今回の解散っていう決断が、他所のバンドのそれとは違った意味を持つものなのかな‥‥いや、真相は当人達にしか理解し得ないものだろうけど(今知ったんだけど、東京ドームでメンバー4人が登場、"JAM" を演奏したそうですね。それに対して賛否あるようですが‥‥個人的には行かないで正解だったかな、と。たった1曲。聴けない人間/聴ける人間が出来てしまう不公平さ。そして既に「終っている」等々含めても、この演奏に何の意味があるのかは現時点では判りませんが。きっと数年経てば、自ずと答えが出るはず。いろんな意味でね)。

 12月にリリースされた、初めてメンバーが監修に加わったベスト盤「MOTHER OF ALL THE BEST」。これまでもTRIAD時代にレコード会社主導のベスト盤が2枚出てるし、TRIAD/BMG両社からリリースしたシングル曲を集めたベスト盤もリリースされてるけど、それらは全てメンバーが望まない形でリリースされたものであり(いや、許諾はしたのかもしれないけど、内容にまでは関わってないからね)、そういう意味では今回は「真の意味でのベスト盤」ということになるのかな。

 まず最初に曲目だけ見て感じたのは、想像してた以上にシングル曲が多く収録されているな、と。しかもしっかりツボを心得てるし。ごく初期の曲が少ないように感じたけど、「イエモンの絶頂期」を凝縮してるという意味では、この選曲で間違いないと思う。本人達が意図的に選んだであろう「SICKS」からの曲が一番多いというのも納得だし、その反面「PUNCH DRUNKARD」からシングル曲のみってのも何か納得できるし、「JAGUAR HARD PAIN」からシングル曲("悲しきASIAN BOY")1曲のみというのも理解できるし。

 アルバムを(ボーナスディスクを含めて)通して聴き終えた後、俺はこの作品集に対してふたつの‥‥何故彼等はこのアルバムをこういう形でリリースしたのかっていう理由が見えてきたのね。そのひとつは、メンバー自身が「THE YELLOW MONKEYって、こういうバンドだったよね/こんなバンドだったんだよ」と、これからイエモンに触れようとするビギナーに対して手解きをするという教科書的役割。シングル曲だけでは見えてこない、バンドの本質的な面をアルバム曲やシングルのC/W曲と取り混ぜることで浮き彫りにさせるという手法。しかも年代順ではなく、(これはもうひとつの理由にも重なるんだけど)既発曲だけでしっかりとした構成を作る。楽曲単位でも、曲の配置によりしっかりとした流れを持ったアルバムとしても楽しめ、尚かつイエモンというバンドを判りやすい形で理解することができる。正しく「YOUNG PERSON'S GUIDE」なわけですよ。

 そしてもうひとつの理由‥‥実はこっちの方がアルバム制作時の比重が大きいように思えるんですが‥‥THE YELLOW MONKEYとしてなし得ることが出来なかった『バンドの終焉を念頭に置いた、最後のオリジナルアルバムを作る』という作業。これが今回の主目的だったんじゃないのか、と。この2枚のディスク(初回盤のボーナスディスクを除く)を聴くと、それぞれにテーマらしきものが存在して、尚かつそれに沿って過去の代表曲と呼べるような27曲が並んでいる構成に、まるで新しいオリジナルアルバムを聴いてるような錯覚に陥るんですよ。いや、どの曲も昔散々聴きまくった楽曲で、そらで歌えるものばかりなんですが、こういう曲順で聴くことで‥‥ホント、俺個人は『もうひとつのオリジナルアルバム』を聴いてるような感覚になってくるんですよね。

 過去に、かのPINK FLOYDが「ECHOES : THE BEST OF PINK FLOYD」という既発曲のみで構成された2枚組ベストアルバムをリリースしたことがあったんですが、これも全く新しい楽曲がないにも関わらず、選曲や曲の配置、曲間や曲のエディット等を用いることで、まるで新しいオリジナルアルバムを聴いてるんじゃないか、いやむしろこれは『作りたくても作れない、最高の形でのオリジナルアルバム』じゃないか、と思えるわけですよ。あのベストに対しては賛否あったようですが、俺は肯定派なんですね。こういう『オリジナルアルバム』もアリなんじゃないか、と。

 下手な未発表曲や未発表テイクを混ぜることなく(それらはあくまで『ボーナス』扱いで)、純粋な『イエモン印の名曲達』によって構成されたアルバム‥‥これは間違いなく『最後の「オリジナル」アルバム』ですよ。ベスト盤なんかじゃなく、ね。

 ロックバンドとしての肉感性、瞬発力を表現したかのようなディスク1、それとは対極的にバンドのコンセプチュアルな面や表現力の深さを表したディスク2。そう考えるとTRIAD時代の曲がディスク2に集中しているのも頷けるかな。デビュー間もない頃から彼等を見つめてきた身としては、ホントに感慨深い2枚ですよ。ライヴに関しては最後に観たのは「Smile」リリース後の初武道館だったから、所謂「大ブレイク後」ってのはこの目で生では観てないんだよね‥‥けど、決してありがちな「バンドがメジャーになったから見捨てた」のではなく、単純に観る機会がなかっただけなんだよね‥‥ずっと観たかったんだけどさ。1年目のフジロックの時は体調壊して観られなかったし、最後の最後となった東京ドームも都合が悪くて断念したし。

 バンドの本質を見極めるという意味では、このベスト盤と同時期にリリースされた映像作品、特にライヴDVDも併せて観て欲しいな、と。ホント、いいライヴバンドでしたから。伊達に自ら「ジャパニーズ・ナンバーワン・ロックンロール・バンド!」と叫んでませんよ、吉井は。

 俺自身はこのアルバムで完全に吹っ切れた。YOSHII LOVINSONのシングルやアルバムを聴いて、ずっとモヤモヤしたものが残ってたんだけど、これでやっと正面から向かっていくことが出来るかな。勿論YOSHI LOVINSONはTHE YELLOW MONKEYではないし、確かに『イエモンの四分の一』であることには違いないんだけど、もっと違った接し方をしていくことが出来るかな‥‥そういう気持ちで改めて、彼のソロ作を聴いてみたいと思います。



▼THE YELLOW MONKEY『MOTHER OF ALL THE BEST』
(amazon:初回盤通常盤

投稿: 2004 12 27 01:30 午前 [2004年の作品, YELLOW MONKEY, THE] | 固定リンク | コメント (6) | トラックバック

2004年12月26日 (日)

2004年を振り返る(3)

 さて、ここ毎日このネタで書いてるわけですが、とりあえず毎回取り上げる作品のテーマを決めてるわけですよ。1回目がUKモノ、2回目はエモ/スクリーモときて、3回目となる今回は‥‥サーフロックというか、ジャック・ジョンソンの系譜にあるアーティストの新譜を紹介したいと思います。両方共、過去にジャック・ジョンソンの作品に参加したことあったんでしたっけ? 前者はこの夏、フジロックでのステージで共演してるし、後者はそのジャックのレーベルからアルバムをリリースする等して、とにかく現在この手の音楽はジャック中心に動いてるような感がありますよね。

 そんなジャック・ジョンソンも来年2月にはいよいよ新作がリリースされるようですし、その前に関連アーティストにも目を向けて、よりこの手の音楽にドップリ浸かってもらおうじゃないですか。ねぇ?

■BEN HARPER & THE BLIND BOYS OF ALABAMA「THERE WILL BE A LIGHT」

 今年の夏、共にフジロックに出演していたベン・ハーパーとTHE BLIND BOYS OF ALABAMA。その2組がフジ前に録音していた共演アルバム。ベン・ハーパーの近作って意外と雑多な音楽性なので、この方向性も納得がいくよね。完全なるゴスペル作品。つーか、メチャメチャかっけーのよ。ソウルフルですね。

 何だろ。こういう作品って理屈じゃないんだよね。もう、聴いてもらって一発で気に入るか/気に入らないか。ホント単純にそれだけ。曲が良いとか云々で語る作品じゃないような気がする。けどそれって、俺自身がゴスペルとかそういったジャンルに敷居の高さを感じてる証拠なのかな?

 俺は‥‥好き。大好き。ちなみに国内盤はCCCD、US盤はCD-DAなのでご注意を。



▼BEN HARPER & THE BLIND BOYS OF ALABAMA「THERE WILL BE A LIGHT」(amazon


■G.LOVE「THE HUSTLE」

 昨今、ジャック・ジョンソンの大ブレイクのお陰で、こういったレイドバック系ギターミュージックが再評価されつつある中、このG.LOVEも仕切り直しで再出発。しかもジャックのレーベルから。バンド名もシンプルにしてね。決してソロではないようですよ。

 内容的には過去の延長線上にある1枚なんだけど、もっと深化してるかな。フォーキーな面がより強調されてるように感じるけど、その辺はジャックやレーベルメイトであるドノヴァン・フランケンレイターからの影響もあるのかな。個人的には一番聴きやすかったかも。うん、一番好き。

 実はこのアルバムを引っ提げた来日ツアー、行くはずだったんですけどね‥‥チケットも持ってたんですけどね‥‥都合で行けなくなってね。未だにチケット、手元にありますよ。クソッ! そのくらい、生で感じてみたい作品ですね、今回は。特に1曲目な。これは絶対に生で聴きたい。



▼G.LOVE「THE HUSTLE」(amazon

投稿: 2004 12 26 12:00 午後 [2004年の作品, Ben Harper, G. Love] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

モーニング娘。『愛の第6感』(2004)

 思ったよりも早くリリースされた、モーニング娘。通算6作目のオリジナルアルバム「愛の第6感」。世間的な評価がどうだとかっていうのは、正直あまり気にしてないのね。というのも‥‥セールスが全てを物語ってるじゃない。売れてないです、ハッキリ言って。リリースした時期が悪かったというのもあるんだろうけど、それ以前に世間から求められていない‥‥これが一番の原因ですよね。

 例えば、このアルバムには大ヒットといえるようなシングル曲が一切入っていない。既に人気が下降気味だった前作「No.5」でさえ、"ここにいるぜぇ!" や "Do it! Now" といったシングル曲が入ってたけど(いや、シングル曲はこれ2曲だけだったけど)、かろうじてチャートで1位を獲得したし、セールス的にもその前のアルバムの半分以下という結果だったものの、それでも20万枚近くは売れたようだし。

 それが今回、アルバムチャート初登場7位、5万枚弱しか売れなかったわけですよ‥‥シングル3曲も収録していながら。けどそのシングル曲("浪漫〜MY DEAR BOY〜"、"女子かしまし物語"、"涙が止まらない放課後")のどれもが大きなヒットを記録していないし、正直一般層にタイトルだけ言っても、絶対にどういう曲か伝わらない‥‥それが現状なんですよね。つまり、コア層であるところの5万人しか買っていない‥‥もはやコア層がそれだけしかいないという現実も悲しいものがありますが、それも仕方ないのかな、と‥‥

 とはいうものの、そういったセールスや人気の低下とは裏腹にこのアルバム、なかなか出来が良いんですよ。ていうかさ、今のモーニング娘。にこれ以上、何を望めというの? 何を基準としているわけ、君たちは?

 アルバム用の新曲のどれもが派手さは皆無だけど、ジワジワ効いてくる魅力を持った楽曲ばかりなんですよ。似非沖縄テイストな "すき焼き"、大人っぽくて落ち着いた雰囲気の "春の歌" や "声"、如何にもモーニングっぽいバカテイストの "直感〜時として恋は〜"、つんく♂色全開のR&B歌謡 "独占欲"、きらびやかなアイドルポップ "レモン色とミルクティ" 等々。どれもがシングル曲のような派手さに欠けるものの、楽曲としてはかなり「らしい」出来で、個人的には大満足だったんですけどね。

 いや、大満足というよりも‥‥最初にアルバムを通して聴き終えた時の安堵感‥‥アルバムを聴く前の不安感はそこにはなく、満足よりも先に「あー、(駄作じゃなくて)よかったー」という安心感の方が先に来たというね‥‥こう感じた人、意外と多いんじゃないの? 前作の出来がああだっただけにね‥‥

 既にミュージカルで披露されていた楽曲の初音源化となる "HELP!!" も "SHIP TO THE FUTURE" も、まぁミュージカルのテーマに沿った歌詞ってことで正直「?」な部分もあるものの、前作でのポッキー絡みのアレよりは全然マシですしね。いや、この2曲も悪くないですよ。

 更に、シングル曲 "女子かしまし物語" の続編的内容といえる "女子かしまし物語2" なんて、シングル版と対極にあるようなパート割り(シングルは名前を呼ばれた子は歌わず、ただ真ん中に立っていて、その周りの数人が歌うという構成なのに対し、"〜2" は名前を呼ばれた子がソロで歌うという構成)と、シングル版以上に張り切っているつんく♂の遊びがかなり耳について、「おい、これってモーニングのメンバーよりもつんく♂の方がレコーディングに時間かかったんじゃないの?」なんて思えちゃう程、「つんく♂の作品」に仕上がってるんだよね。これは "独占欲" という曲に関しても同様で、ここ最近のモーニングのシングル曲にはなかった程の手の込みようというか。恐らく、いろんな意味で「正念場」と感じたのかな‥‥凄く「音楽」で勝負してるように感じられるのね。気合いが伝わってくるというか。

 なんていうかね、立ち位置的にこの作品って実は「3rd -LOVEパラダイス-」にとても近いんじゃないかな、という気がしてね。状況的にも音楽性/内容的にも全然別ものだし、2000年当時のモーニングと2004年のモーニングを比較するのもバカバカしいとは思うんだけど‥‥

 何だろ‥‥背伸びしてないというか、非常に等身大で、身の長けに合った作品集だな、と。浮かれてないし、かといって悲壮感もないし。あー、今彼女達に出来ること/彼女達が得意なことをそのまま形として記録した作品集だな、と思うわけですよ。それは微妙さの残るシングル3曲についても同じことで、アルバム曲に関しては更にそれが特化していると。

 こうやってアルバム通して聴くと、逆にシングル曲の方がインパクト弱く聴こえるのは気のせいですかね‥‥何だろ、良くも悪くも作為的な面が鼻につくというか。悪くはないんだけど‥‥って面が、シングル単体で聴いた時以上に表出しちゃってるような。勿体ないなぁ。

 個人的には好印象で、かなりの頻度でリピートしているこのアルバム、皆さんにはどのように響いているんでしょうか‥‥



▼モーニング娘。『愛の第6感』
amazon

投稿: 2004 12 26 12:01 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, モーニング娘。] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年12月25日 (土)

2004年を振り返る(2)

 つーわけで、2004年に買った新譜の中から、「とみ宮」でもあまり触れることの出来なかった新作について簡単なコメントや感想をつけていくコーナー、その2でございます(コーナーなのか)。

 とにかくね。何度も書くけど、今年は本当に洋楽の新譜を沢山買った1年だったわけですよ。勿論当たりと同じくらいハズレもあったわけですが、それでも基本的には俺、どんなクソ作品でも「あ、ここのこんなところはイイヨネー」とかポジティブシンキングで聴いちゃうから、そんなに酷い作品ってのも少なかったんですけどね。

 今回は、スクリーモというか、エモっぽいバンドを紹介してみたいと思いまーす。

■MY CHEMICAL ROMANCE「THREE CHEERS FOR SWEET REVENGE」

 アメリカの5人組。インディーから以前1枚アルバムをリリース済みで、これはメジャー1発目で通算2作目。今年のサマソニでの初来日も記憶に新しいんだけど、俺は観てないんでアレですが。音はエモ/ポップパンクの範疇に入るのかな。ただ、所々にパワーポップ系にも通ずる甘酸っぱさ、優男風の負け犬感も持ち合わせていて、そういう意味では非常に幅広くアピールするんじゃないかな。日本人好きそうだよね、こういう判りやすい音。

 あとさ、音に似合わずボーカルがゴスっぽいメイクをしてるのも特徴のひとつかな。ま、音には関係ないんだけど、ビジュアル的には面白いよね。どっちかっていうと男っぽいイメージが強いからさ、エモとかスクリーモとか呼ばれるようなジャンルって。

 個人的にはこの手のバンドにそんなに精通してるわけでもないんだけど、そんな俺が聴いても「イイ!」って思えるんだから、やっぱり本当に曲がポップで判りやすく噛み砕かれてるんだろうね。うん、いいバンドだと思いますよ。



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■FUNERAL for a FRIEND「CASUALLY DRESSED & DEEP IN CONVERSATION」

 イギリス出身の5人組。これがファーストアルバム。アメリカではこれ以前にEPの曲を集めたミニアルバムが先にリリースされてますが、こっちが正真正銘のフルアルバム。スクリーモの範疇にあるバンドだろうけど、個人的にはこの音、完全にヘヴィメタルのそれなんだよね。実際彼等は昨年末辺りにIRON MAIDENの欧州ツアーで前座を務めてるんだよね。PVとか観てもMAIDENのTシャツ着てるしね。

 とにかく音は硬質で重い感じ。けどボーカルがしっかり歌えるんで聴きやすいし、所々に挿入されるギターのツインリードもメロディアスで、まぁ正しくメタルのそれだったりするんだけど、そこがまたいいんだよね。パンクの疾走感というよりは、確実にメタルのそれっぽいし。この手の音に精通してるファンにはどう聴こえるのか判らないけど、'80年代にメタルを通過した人間の耳には間違いなく馴染みやすいサウンドだな、と。非常に好印象ですよ。

 彼等は実際に今年の3月にライヴを観てますが、そこでもやはりメタル的なステージングを観る事ができて、尚更彼等はそっち寄りのバンドなんだな、と確信したわけで。そうなると俄然応援したくなるんですよね、個人的には。んで、また英国出身ってのもあるし、ジャケットのヒプノシス風なデザインもモロにあっち寄りだし。兎に角今後が楽しみなバンドのひとつですね。次の作品で間違いなく化けますよ、彼等。



▼FUNERAL for a FRIEND「CASUALLY DRESSED & DEEP IN CONVERSATION」(amazon


投稿: 2004 12 25 07:00 午前 [2004年の作品, Funeral For A Friend, My Chemical Romance] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年12月24日 (金)

2004年を振り返る(1)

 今年はとみぃ的に、洋楽方面は非常に充実した1年でした。8月まで「とみ宮」で洋楽ニュースを重点的に追っていたこともあり、新しい音にも敏感になっていたし、また4月からは「RADIO TMQ」をスタートさせたことで、積極的に洋楽の新譜を買うようになったり。ホント、今年は去年と比べてもかなりの枚数増えてると思いますよ、購入枚数。

 勿論、洋楽だけじゃなく、ちゃんと邦楽も追っていたし、まぁ買う枚数は減ったけどハロプロ関係もちゃんと追ってたし。月に数十枚とか購入するのはザラだったしね。

 そんなだから、「とみ宮」時代にやってた『1日1枚レビュー』みたいなのじゃ、全然追いつかないわけですよ。取り上げたくても取り上げられなかったのも多いし。あれって、別に話題になってるから優先的に取り上げるとかじゃなくて、ホントその日の気分なんですよ。たまたま更新しようって時に聴いてたから取り上げたとか、ホントそんなアバウトな感じだったのね。例えばその日の朝に「よし、今日は帰宅したらこれについて書こう!」と思ってたのに、帰宅時にCD屋に寄ってたまたま買った中古盤が良くて、気づいたらそれについて書いてた、とか‥‥そんなのザラですよ!

 というわけで‥‥今年も残り1週間となってしまいましたが、そんな7日を利用して、今年よく聴いたけど今まで取り上げられなかった作品について、簡単にコメントしていこうかと思います。毎日やるかどうかは判らないけどね。一度に取り上げる枚数も全く決まってないしね。

■THE CRIBS「THE CRIBS」

 双子を含む実の3兄弟による英国のトリオ。今年の3〜4月頃、テキトーにAmazonを彷徨ってたら見つけて、何となく名前に惹かれて購入。そしたら良かったという。そしてその後にサマソニで初来日決定。来日前に日本盤リリース、みたいな流れ。

 よくTHE STROKES辺りが引き合いに出されるようだけど(ま、俺も頭の数曲を聴いた時はそう感じたし、ラジオでかけた時もそんな事言ったけど)、スカスカなバンドアレンジが彼等に通ずるところがあるってだけで、音楽性自体はもっとギターポップ/インディーギターロック寄り。ひと昔前のカレッジチャートを賑わしそうなイメージの音というか。若々しさとオッサンぽいイナタさが同居する、独特な空気感が好き。爽やかとか溌剌といったイメージともまた違うのよね。けど、好きな人は多いと思うよ、この音。

 双子の兄弟がボーカルを取ってて、曲によって歌い分けてるので、そこもまたね。いい感じですよ。とにかく今年よく聴きました。



▼THE CRIBS「THE CRIBS」(amazon


■THE ORDINARY BOYS「OVER THE COUNTER CULTURE」

 本国以上に日本で大当たりしてしまった感のある彼等も、実は今年デビュー組。春に出た "Maybe Someday" と "Week In Week Out" でノックアウトされて、いち早くラジオで後者をかけたっけ。『モリッシーがTHE JAMに加入したような音』ってラジオで話したけど、メディアでもそんな評価をしてたもんだから、あーみんな考えることは一緒かって思ったりね。

 アルバムもそのイメージ通りの音で、もっさり系のボーカルが若いくせに味わい深さを醸し出してて、個人的には好印象。曲もパンク方面に走ることなく、伝統的なブリティッシュロックといったイメージ。決して目新しいことをやってるわけでもなく、確かに「これを2004年にやらなくても‥‥」という気もするけどさ。ただアルバムを聴いてると、ライヴは相当カッコ良さそうだよなぁと。THE SPECIALSのカバー "Little Bitch" も上手くハマってるし。

 深く考えずに聴けるのが、この手のバンドの良いところだよね。逆にいえば、あんまり残らない曲もあるんだけど‥‥カッコいい曲はカッコいいんだけどねぇ。まぁ『期待の超大型新人』といったタイプではないよね。変わらずに、このままも活動を続けて欲しいかな、と。5年後にこの音のまま、まだ続いてたら絶対に感動するもんなぁ。



▼THE ORDINARY BOYS「OVER THE COUNTER CULTURE」(amazonf:通常盤限定盤

投稿: 2004 12 24 11:00 午前 [2004年の作品, Cribs, The, Ordinary Boys, The] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

木村カエラ『KAELA』(2004)

「saku saku」DVD化決定

 「saku saku」と言われて、恐らく木村カエラに興味がなくて地方に住んでるって人の多くは「‥‥何それ?」なんじゃないですかね? そんな気がします。つーか「saku saku」って昔からこんな番組だったっけ?というのが俺の感想。いや‥‥いいんですけどね‥‥どうせ俺が住んでる地区じゃ受信できませんから、TVK‥‥

 1年前。こんなに木村カエラに注目が集まるとは思ってもみなかったよね。だって俺、その頃はまだ彼女のこと、知らなかったもん。多分、今年の春以降だと思うよ。「saku saku」に出てる、モデルの子というイメージしかなかったけどさ。

 ところが‥‥

 6月に歌手デビューした途端に、状況が少しずつ変わってきて。いや、まだこの頃は俺も全然気にしてなくて。あーまたモデルの子が歌出したんだー、程度の印象ですよね。よくあるじゃないですか、その手の話。むしろ加藤ローサとかにも歌わせろよ!くらいの気持ちでいましたからね、俺。

 けどさ。多くの皆さんと同じく、俺も10月末に出た2ndシングル "happiness!!" でヤラレちゃうわけですよ。曲の良さは勿論なんだけど、まず歌う彼女の姿にね、惹かれちゃって。深夜のテレビ番組で観たのかな‥‥普段の印象とまた違うのね。あーこの子、本当に歌うことが好きなんだな、って。それがストレートに伝わってきて。モデルが片手間でCD出してるもんだと、ずっと思ってたもの。彼女自身が作詞してることもその時初めて知って。当然CD買いましたよ。だって曲気に入ったからさ。ほら、彼女のルックスから入ったわけじゃないしさ!(と、最初に言い訳しておこう)

 そういう好条件の中、満を持してリリースされた1stアルバム「KAELA」。これが想像以上に良かったのね。ギターを中心に置いたポップロックなんだけど、全編バンドアレンジなもんで、普通に聴いてて気持ちいいし、その辺の下手なモデル歌手やアイドルものを聴くよりも全然『違和感』みたいなものを感じない。ほら、あるじゃない。『やらされてる感』みたいなの。テレビのタレントさんやモデルが歌うと必ずつきまとう、アレ。けどここには皆無なのよね。純粋に音楽、ロックが好きな女の子が、その筋に長けた奴らと組んで、気持ちいいアルバムを作りました、っていう。そういう作品集だよな、これは。

 製作陣が豪華なのはまぁアルバムを聴いてもらえば判るので、ここには書きません。いや、そういう先入観なしに、まずはひと通り聴いて欲しいかな。普段アイドルものばかり聴いてる人の耳にはちょっと馴染まないかもしれないけど、例えば普通にJ-POPモノを愛聴してる人には全然違和感のない1枚のはず。

 けど、本当の勝負は次のシングルだよね。ここで出し切ってしまいました、ってな感じで終らないためにもさ。折角手にした成功を無駄にしないためにも、ここは更に攻めの姿勢で頑張っていただきたい。いいモノ持ってるんだしさ。



▼木村カエラ『KAELA』
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投稿: 2004 12 24 03:00 午前 [2004年の作品, 木村カエラ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年12月21日 (火)

THE WiLDHEARTS『COUPLED WITH』(2004)

THE WiLDHEARTS、来年2月に来日決定(Creativeman)

 前にジンジャーが「毎年12月に来るから」とか何とか言ってたってこと書いたし、その時に「いよいよ来年2月下旬に来日か!?」とも書いたけど、ようやく公式発表になりました。今回は東名阪、東京のみ2日でクアトロ回り。4日連続って凄いスケジュールだな。後に何がつっかえてるっていうんだ? またアメリカ回るとか? 妙にタイトなスケジュールだな。

 クアトロは初来日以来かな? あれ、東京はリキッドとオンエアだっけ? 名古屋だか大阪がクアトロだったんだっけ?? かなりうろ覚え。初来日の時はリキッドとオンエアに行った記憶はあるけど、クアトロでは観てないな‥‥ああ、あれはTHE HELLACOPTERSか。まぁいいや、とにかくここ最近では一番小規模なステージになりそう。前回の来日時、客足悪かったのか? んなアホな。今年のサマソニでも前日発表だったにも関わらず、かなり盛り上がったって聞いてるけど。みんな義理か? 義理で盛り上がってくれたのか?? だとしたら‥‥



 FUCKですよ!


 まぁいいや‥‥今回、こんな狭いハコで観れるなんて、(ある意味)かなり幸せな状況ですな。そりゃ「年々ツアーやハコの規模が小さくなってくなぁ‥‥」って思いもないわけじゃないですよ。けどね、もう今更どうにもなんないし。新しいファン、なかなか増えてくれないしさ。こんなに曲がよくて、こんなにステージがカッコいいバンドなのに。

 あのですね。このバンドは本当に捨て曲がないわけですよ。大袈裟じゃなくて。アルバム曲やシングルのタイトル曲よりも、そのシングルに入ってるカップリング曲に名曲が多いというのは、イギリスのバンドによくあるじゃないですか。OASIS然り、SUEDE然り、MANIC STREET PREACHERS然り。そういったバンドはC/W曲だけでアルバム作れるじゃないですか。いや、実際作って出してるじゃないですか。

 近年、THE WiLDHEARTSもそういったアルバムをリリースしたんですよ。再結成後にリリースした全シングルに収録された全てのC/W曲及びアルバム未収録のシングル曲、アナログ盤にしか入ってない曲を集めたアルバム、「COUPLED WITH」。

 全20曲+エンハンストでPVが1曲収録。75分以上に渡る名曲の数々。そりゃ解散前と比べれば確かにクオリティーは落ちてるのかもしれないけど、それでもこれだけのレベルを維持できてれば凄いもんだと思うわけで。正直な話、再結成後にリリースされたオリジナル・アルバム「THE WiLDHEARTS MUST BE DESTROYED」よりも好きな1枚なんですよね。曲のバラツキやトータル性等、1枚の作品集として考えると確かに微妙ですが、それでも1曲1曲を取り上げるとかなりの名曲揃い。うん、再結成後も捨てたもんじゃないよね。



▼THE WiLDHEARTS『COUPLED WITH』
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投稿: 2004 12 21 01:30 午前 [2004年の作品, Ginger Wildheart, Wildhearts, The] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年12月17日 (金)

THE WiLDHEARTS『THE WiLDHEARTS STRIKE BACK』(2004)

 えーっ、オッサン今日で40才なのか‥‥つーか若いよなぁ‥‥やんちゃ過ぎて全然40には見えないけどな!

 愛するTHE WiLDHEARTSのシンガー/ギタリスト/ソングライターである、ジンジャー大先生が本日12月17日で無事40才を迎えることになりました。本当ならこの時期、日本に来ていてもおかしくないはずなんだけど‥‥ここ2年、毎年12月は日本でツアーやってるし、実際この夏サマソニで急遽来日した際にも「12月にまた会おう」って言ったそうじゃないですか。「毎年12月に日本に来る!」とも言ってたそうな‥‥ってこのバンド(というかジンジャー)の場合、発言したこと全てがその通りになるとは限らないのは、古くからのファンなら既に周知の事実。こればっかりはね。

 そんな40才の誕生月を祝うかのように(いや実際には違うけど)リリースされたのが、とりあえず公式としては初めてとなるライヴアルバム「THE WiLDHEARTS STRIKE BACK」。恐らくスターウォーズの「帝国の逆襲」から取られたであろうこのタイトル、「ワイルドハーツの逆襲」と捉えればよろしいのでしょうか?(ジャケットもそれをパロッてるしね)

 復活後もいろいろトラブルを起こしたり、また巻き込まれたりで散々なバンドなわけですが、特にここ1年は彼等にとっても非常に充実した1年だったんじゃないでしょうか‥‥というのは現実観てなさ過ぎか? けどさ、今年の春にアメリカでのリリースが決まったり、THE DARKNESSと共に二度も全米ツアーをすることが出来たり、そのTHE DARKNESSの代役としていきなりサマソニで来日したり。勿論、英国を含むヨーロッパでの人気もそれなりに維持してるようですしね。出すシングルは全て全英トップ30入りしてるし、ツアーもそこそこ客が入っているようだし。新曲よりも昔の曲が求められてしまう辺りは、やはり「再結成組」の悲しい性ではありますが、そこはほら、もう40なんだからさ。大人なんだから、我慢しなさいよ。今に始まったことじゃないじゃないの!

 そんなライヴ盤。過去日本では「TOKYO SUITS ME」という限定ライヴ盤が出てたし、非公式ながらもBBC音源を編集した「ANARCHIC AIRWAVES」なんてのもありましたよね。けど、バンドとして本当に「ワールドワイドで同じもの」としてリリースするのは、今回が初めて。そういやぁベスト盤も日/英では内容/フォーマットが違ってますし、それぞれの国を意識すれば内容が異なるのは仕方なかったわけですが(つーかこれまでの英国のレコード会社がやる気皆無だったわけだが)、今回ばかりはバンドも相当乗り気で作ったようで、全英ツアーの中から数公演、いいとこ取りで編集されたのがこの2枚組。選曲も1枚目の方は比較的普段のライヴやフェスでのセットリストに近い選曲/構成で、2枚目の方は古くからのファンを唸らせる選曲だったりして、バランス的には面白い仕上がりになってます。何せ "Girlfriend Clothes" や "Beautiful Thing You"、挙げ句の果てに "Turning America" や "Dangerlust" って! そりゃ最近の彼等に見切りをつけようかと思ってるような人でも、思わず名残惜しくて振り返っちゃうわな。憎いぜ、親父。

 けどね。ライヴ盤特有の臨場感はちょっと薄いかな、と。ミックスのせいなんでしょうけど、歓声が小さいのね。例えば過去に出た2作と比べると、非常に整理されまくっちゃってるかな、と。音の生々しさは、年齢の割には荒々しいプレイのお陰でかろうじて維持してるんですが‥‥そこだけが残念かな。けど、バンドの演奏を聴き入る分には各自のプレイがしっかり聴こえてくるんで、まぁ良しとしますか(これもファンの悲しい性か)。

 噂では、来年2月にはこのライヴ盤を引っ提げて再び日本上陸するというワイハー。昨年12月の来日時は仕事の都合でZepp公演を観損ねてしまいましたが、今回こそは‥‥サマソニも見逃してるしな! オッサン、もう自殺未遂とかさ、そういう子供じみたことは止めてよね。子供もいるんだしさ。ファンだってこんなにいるんだから‥‥来日の際には、俺等もしっかり盛り上げるからさ! 楽しみにしててよ!(って立場が逆転してますが)

 まだワイハーのライヴを観たことないって人、是非一度手に取ってみて。その辺のメロコアバンドよりも数段優れてるし、パワーポップ好きにも引っかかるもの、沢山あるし。昔ハードロック少年だった人には堪らない要素も沢山あるし、パンク好きも惹き付けるような匂いも沢山するし。とにかくカッコいいですから! あ、また彼等を一度も聴いたことないって人は、先にオリジナルアルバムかベストアルバムから聴くことをオススメします。もうちょっと整理されたスタジオ音源の方が入りやすいと思うしね。



▼THE WiLDHEARTS『THE WiLDHEARTS STRIKE BACK』
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投稿: 2004 12 17 11:23 午後 [2004年の作品, Ginger Wildheart, Wildhearts, The] | 固定リンク

2004年12月14日 (火)

飯田様。

 飯田圭織さんのモーニング娘。卒業があと1ヶ月半に迫ってるわけですが、そんな慌ただしい時期にまるで卒業を祝うかのように、彼女の通算3枚目のソロアルバムが今年の年末にリリースされます。

 しかし、このソロアルバム。これまでとは一線を画する内容なんですよ。勿論これまで同様「地中海レーベル」からのリリースなんですが、問題なのはその楽曲クレジット。カバーは1曲もなく、全曲日本語オリジナル楽曲。当然今年リリースされた2枚のシングル "エーゲ海に抱かれて" と "ドアの向こうでBellが鳴ってた" も収録されていて、恐らくそれらを軸にした内容になるかと想われます。

 それでは、現時点で判明している内容をこちらで確認してもらいましょう。

■飯田圭織3rdアルバム「アヴニール〜未来〜」

01. 未来図
 (作詞:佐藤純子 作曲:Rie 編曲:前野知常)
02. 歩いていこう・・・未来へ
 (作詞:飯田圭織 作曲:芦沢和則 編曲:前野知常)
03. ドアの向こうでBellが鳴ってた
 (作詞:三浦徳子 作曲:つんく 編曲:馬飼野康二)
04. 情熱のトビラ
 (作詞:渡辺なつみ 作曲:芦沢和則 編曲:前野知常)
05. 真珠貝
 (作詞:渡辺なつみ 作曲:金田一郎 編曲:前野知常)
06. 私の中にいて
 (作詞:並河祥太 作曲:羽場仁志 編曲:前野知常)
07. 旋律
 (作詞:岩里祐穂 作曲:たいせー 編曲:前野知常)
08. エーゲ海に抱かれて
 (作詞:三浦徳子 作曲:つんく 編曲:前野知常)
09. 世界で一番きれいな星空
 (作詞:岩里祐穂 作曲:松尾清憲 編曲:前野知常)
10. 真冬の輪舞曲
 (作詞:佐藤純子 作曲:芦沢和則 編曲:前野知常)
11. さよならまでにしたい10のこと
 (作詞:岩里祐穂 作曲:羽場仁志 編曲:前野知常)
12. ありふれた奇跡
 (作詞:佐藤純子 作曲:因幡晃 編曲:前野知常)


(参考)※作家陣
羽場仁志
 ‥‥最近ではタッキー&翼の「夢物語」や「愛想曲」等を手掛ける作家さんだそうな。
岩里祐穂
 ‥‥今井美樹作品等でお馴染みの作詞家。
渡辺なつみ
 ‥‥アイドルものを多く手掛けてる作詞家さん。あさみん(安倍麻美)の作詞もやってるのか。
松尾清憲
 ‥‥今更何も言うことはないでしょう。大御所!
・佐藤純子
 ‥‥20年前から活躍してる、アイドル系を多く手掛ける作詞家みたいですね。
芦沢和則
 ‥‥'80年代末に「JAG-TOY」というバンドのシンガーでデビュー。後に作家・ソロシンガーとして活躍。
金田一郎
 ‥‥柳ジョージ、池田聡といった人に曲を提供。
並河祥太
 ‥‥稲垣潤一、楠瀬誠志郎等の作詞。特に後者の 「ほっとけないよ」で有名なのかな。
因幡晃
 ‥‥UFA/地中海レーベル繋がり。


 全12曲中、既出はシングルの2曲のみ。新曲10曲の中につんく♂作は一切なし。たいせーは正直邪魔だけど、他の9曲は所謂「プロの世界」の方々ばかり。ま、最近活躍してるような若手皆無で新鮮さに欠けるけど、逆にこういう感じ('80年代歌謡曲的なノリ)の方が飯田さんの魅力を引き出すことが出来るのでは‥‥と勝手に想像。まぁ聴いてみないことには何ともいえないけど。それでも期待してしまうのは、やはりつんく♂曲がないからかな。

 俺ね、飯田さんのソロ曲の世界観、嫌いじゃないんですよ。「とみ宮」時代にも好意的に評価しましたけど、ホント個人的には懐かしい感じがして、また飯田さんの歌い方や声もあの時代を彷彿させるんだよね。松田聖子かどうかは疑問だけど(どっちかっていうと、完全につんく♂だけどな)彼女らしい歌を聴かせてくれるはずですよ、これらの新曲でも。

 飯田さんはライヴハウスや大きい会場でライヴをやるんじゃなくて、「Blue Note」みたいな超小規模のジャズクラブとか、あるいは中規模のホール‥‥日本青年館とかで、コンサートでもライヴでもない、「リサイタル」を是非やっていただきたい。いや、貶してるんじゃなくて、そういうことが出来そうなハロプロシンガーって、もう中澤さんか飯田さんしかいないんじゃない? そういう世界観も大切にして欲しいよな、と。ハロコンに来るようなガキンチョ(おっと失言)相手にするんじゃなくて、もっと上の世代‥‥歌をじっくり聴いてくれそうな層に向けて歌い続けてくれた方が、彼女のためにもなるように思ってます。勿論、そうなると今度はセールスや動員がどんどん厳しくなってくだろうけど、それでも歌い続けて欲しいし、周りの人間は彼女が歌えるだけの環境を常に維持していって欲しいな、と。切に願ってます。

 ここ最近のハロプロ系アルバム(メロン、娘。)がかなり良作続きだっただけに、まぁ色は違うものの、ここにも期待したいところ。いや、かなり期待してます。

 そして‥‥これが許されるんなら、松浦にはもっと金かけて、今「旬」な作家さんに沢山曲書いて与えてあげてくださいよ。自社のリサイクルカバーやらせとくには勿体ない逸材なんだからさ、歌い手としての彼女は。



▼飯田圭織「アヴニール 〜未来〜」(amazon

投稿: 2004 12 14 12:02 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, 飯田圭織] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年12月 9日 (木)

JOHN LENNON『ACOUSTIC』(2004)

 今年も12月8日が何事もなく、普通に過ぎていきました。特にここ2〜3年は、12月8日だからといって「彼」の曲を聴くとか、そういった儀式めいたことをしてきませんでした。既にそれ自体、前のサイトの最初の年に、彼に対する想いを全て言葉にしてしまいましたからね。まぁ多分意識してなかっただけで、実際には聴いてたんだろうけど、全然記憶に残ってないってことは‥‥それだけ、俺自身の中でも風化されちゃってるってことなのかしら。

 今年も12月8日が来ました。既に24年も経ってしまってるんですね。あともう7年もすれば、ジョンが亡くなったのと同じ年齢なのか。何だか凄く不思議な気分だな、それ。

 長年ロックを聴いていると、亡くなってしまったアーティスト達の年齢を、自分が超えてしまうという機会が何度も何度もあるわけで。特に30過ぎると、それはもうね‥‥大体、20代後半で亡くなってる人、多いじゃないですか。27才ってのが結構集中してるよね、カートにしろ、ジミヘンにしろ、ジャニスにしろ、ブライアンにしろ。もうジム・モリソンも、スティーヴ・クラークも超えちゃったんだな、自分‥‥そりゃ年取るわけだ。そして生き残った奴らも老けていくわけだわ。

 日本では9月に、欧米では11月になって、ジョン・レノンの新しい編集盤「ACOUSTIC」がリリースされました。文字通り、アコースティックな楽曲を集めたものなんですが、これが所謂「未発表デモ音源集」みたいな代物で、賛否両論なんですよ。ま、確かに「否」の声が多いの、判る気がする。だって、完全にホームデモがメインになってるし、しかも妙なエフェクト(全体にコーラス系のエフェクトをかけたような、音がゆらゆらしたイメージ)がかけられてるし。そりゃオノ・ヨーコがファンから批判されるのも無理ないわな。

 けどね‥‥いろんな意味で感慨深くもあるわけ。こうやってアコギ1本で歌われる、音質の滅茶滅茶悪いデモ並みの音源を聴いてると、まるでジョンが戦前のブルーズマン、例えばレッドベリーとかロバート・ジョンソン辺りと同じように思えてくるんだよね。そんな人達の、秘蔵音源発掘!みたいな編集盤を聴いてる感覚。ギター1本で一発録りってのもあって、余計にそう感じるんだわ。

 ここに収められた楽曲の殆どが、ちゃんとスタジオテイクで(それはまんまアコースティックだったり、あるいはバンド用にアレンジされて)オリジナル・アルバムに収録されてるものばかりだけど、個人的には新しい発見も幾つかあって。'60年代末〜'70年代のブルーズだったんだな、ジョンの歌は。けど「Blues=悲しい」歌だけじゃないんだよね、ジョンのブルーズは。愛に溢れてた。それがジョン・レノンなりの、新しい形のブルーズだったんじゃないかと。このどうしようもなくダメダメなアルバムを聴いていて、そういう風に思えてきて。そう思えたなら、このダメさ加減も急に愛おしく思えてきて‥‥それじゃダメなんだけどさ。

 多分このアルバム、年に何度も棚から引っ張り出して聴くようなアルバムじゃないと思う。これ聴くなら、何百回と聴いてるオリジナル作を進んで聴くもんな。けど‥‥こういう夜には、もしかしたらまた聴きたくなるかも。何となくそう思えた、12月8日から9日に日付が変わる夜なのでした。



▼JOHN LENNON『ACOUSTIC』
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投稿: 2004 12 09 01:00 午前 [2004年の作品, John Lennon] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年12月 8日 (水)

ROSSO『1000のタンバリン/OUTSIDER』(2004)

 やっと聴いたよ! ごめんよチバ! 悪気はなかったんだよ! 発売前日に買っておきながら、3週間も封を切らずに、しかも聴いたのが1stアルバムの発売日前日だという‥‥ホントごめん! 全然悪気はないから!(クドイから俺)

 というわけで、ようやく聴いたツイン・マキシシングル「1000のタンバリン/OUTSIDER」。3曲入りマキシ×2枚というボリューム、しかも表題曲以外の4曲は全て12/8リリースのアルバムには未収録という太っ腹振り。恐れ入りました。

 さて‥‥ROSSOというバンドを語る時、2年半前の「BIRD」の時もそうだったように、どうしてもメンバーが過去所属したバンド‥‥BLANKEY JET CITYであったりTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTであったり、更に今回はそこにフリクションまで加わったり‥‥との比較が宿命づけられてしまうのですが、「とみ宮」時代のレビューで俺は「そんなの無意味だから!」みたいに書いたと思うのね(違ったかな? ま、違ったとしても、ニュアンス的にはそういう事が言いたかったんだけどさ)。どうして過去との比較ばかりに無駄な時間を費やして、今目の前にあるROSSOという新しいバンドにちゃんと目を向けようとしないのか。気持ちは判らないでもないけど、やはりくだらないよなぁ、と。そう感じていたわけ。

 そりゃね。俺だってAUDIOSLAVEやVELVET REVOLVERといった海外のバンドを、RAGE AGAINST THE MACHINEやSOUNDGARDEN、あるいはGUNS N’ROSESやSTONE TEMPLE PILOTSと比較しますし、しましたよ。でも、俺は俺なりにちゃんとAUDIOSLAVEというバンドを、そしてVELVET REVOLVERというバンドを「今のバンド」としてリアルに感じて、そして彼らに心ときめかせているわけですよ。それは彼らが以前所属したバンドのファンだったからとか彼らが以前リリースしたアルバムに人生変えられたからとか、そういう気持ち以前に、純粋にロックとしてカッコいい、スタイルとしてカッコいいと思ったから、今の彼らがやっているバンドに、サウンドに心ときめかせているんですよ。過去と心中せずに、未来を一緒に歩きたいんですよ。

 そういう意味で、今回のROSSOの新曲6曲。既に耳にしていた "1000のタンバリン" 以外は初聴だったわけですが、とにかく一発で気に入った、と。カッコいい、と。それで十分だし、何がいけないっていうの? 俺にとっては(これもファンから反発買いそうだけど)終わってしまったバンドを引きずるよりも、全然健全だと思う。勿論、あれがあったからこその、今のROSSOなんだけど。俺は別にBJCにもTMGEにも復活して欲しいとは思ってないので(むしろそれだけは止めて欲しい)、本腰を入れてスタートさせた新生ROSSOを、そして今回誕生した6曲を心から歓迎して、そして愛聴したいと思う。だってカッコいいし。チバが髪伸ばしたのも、この音聴いたら何となく理解できたよ。似合わないけどさ。

 さて。次はアルバムだな。既に我が家にあるんで(封はまた開けてないけどな)、こちらも土曜までには‥‥聴いて感想を書きたいと思います。何故土曜かって? それは‥‥


 その新生ROSSOを、この目で目撃してくるからさ! 待ってろよ、チバ!



▼ROSSO『1000のタンバリン/OUTSIDER』[初回限定生産]
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投稿: 2004 12 08 01:29 午後 [2004年の作品, ROSSO] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年12月 7日 (火)

NIRVANA『WITH THE LIGHTS OUT』(2004)

 NIRVANAの3CD+DVDからなるボックスセット「WITH THE LIGHTS OUT」が、昨日我が家にも到着しました。日本盤リリースのギリギリまで、輸入盤を買うか日本盤を買うかで迷っていたのですが、結局日本盤は「US盤に解説等を付けた仕様」だということで、どうやらUS盤のDVDはリージョンフリーみたいですね‥‥ってことで、金曜夜にUS盤を注文、日曜朝に我が家にこのボックスが到着したのでした。

 ボックスとはいっても箱にCDやDVDが入っているのではなく、横長のブックケース風デジパックというか。メンバー3人の顔とNIRVANAのロゴマークが印刷されたスチールプレートが表面に貼られていて、かなり重厚な印象。ってパッケージの話は別にいいか。みんなが知りたいのは、肝心の中身なんだから‥‥

 俺ね。正直な話、全然期待してなかったのよ、このボックスには。既出音源は数曲のみで、その大半がスタジオデモや、カートが弾き語りをするデモ、スタジオアルバムのアウトテイクという事実。これを知って‥‥どうせアルバムから漏れた曲とか、音質の悪い、ブートレベルの音源だろ?と高を括ってたわけ。それもこれも全部、俺自身がNIRVANAというバンドを、カート・コバーンという人間を、心のどこかでバカにしてた‥‥信用してなかったんだと思う。やっぱり、先に逝ってしまった‥‥てめぇの人生をてめぇの手で終らせるような奴‥‥くらいの気持ちだったんだと思う。口ではリスペクトしてる、とか、今年で10年かぁ淋しいなぁ、とか言いながらも、やっぱりずっとわだかまりがあったんだよね、うん。だからってわけでもないけど‥‥パッケージを開けても、なかなか聴く気になれなくてね。そのまま夜まで放ったらかしにしてたもん。

 ところが。そんなの、ディスク1をプレイヤーのトレイに載せて、プレイボタンを押した後、ものの数秒でどこかに吹き飛んじまった。ただただ、無言でスピーカーから放たれる爆音、轟音、叫び、囁きに耳を傾けるだけで、微動だにできなかった‥‥それが約3時間半、ディスク3枚を聴き終えるまで、緊張感をずっと保ったまま続いて。聴き始めたのが深夜の3時過ぎで、聴き終えたら朝の7時になってた‥‥そう、一晩中これを全部聴いてしまったわけ。それだけ人を惹き付けるものが、このボックスセットの中にはあったんだよね。

 既に持っている音源、何度か別のブートレグで耳にしたことがある未発表曲、知ってる代表曲のバンドデモやカートの弾き語りデモ等、音質のクオリティーはまちまちだし、中にはカセットテープからそのまま起こしたような音源も結構な数あって。けど、それらが見事にマッチしてるんだよね。テープのヒスノイズやら、痛んだ部分から発するノイズが、またその曲のエフェクトだったり味になってたりして。ベックが初期にリリースしたアコースティック作品みたいなローファイさ、というか。特にカートの弾き語りデモにはそういった匂いを感じ取ったり。

 そして、未発表に終った楽曲の数々。それがバンドテイクだろうが弾き語りだろうが、既にその時点で輝いてるんですよ。カートがギターを握って、声を発した時点でそれらが全て「カート・コバーンの曲」、「NIRVANAの曲」として成立しちゃってるんですね、驚いたことに。恐らく数ある音源の中から、そういうものを選んだ結果なんだろうけど、それにしても‥‥なんなんだ、これは!?

 多分。多分だけど‥‥NIRVANA、そしてカート・コバーンって、彼が初めてバンドを組んで、初めてギターを鳴らして、フィードバックさせた瞬間。その時点でNIRVANAってバンドは(まだバンド名が違っていても)既に始まっていて、そして既に完成していたんだな、と。ディスク1の1曲目に収録された "Heartbreaker"(ご存知、LED ZEPPELINの名曲カバー)を聴き始めた瞬間に、俺はそう悟りました。多分‥‥間違ってないと思う。

 NIRVANAが好きで、あるいはNIRVANAに興味を少なからず持っていて、今、このボックスを買おうかどうか迷ってる人がいたら‥‥俺はそんな人達の背中を押してあげたい。まだNIRVANAを聴いたことがないって人には、これを聴く前にまずオリジナルアルバム3枚(「BLEACH」「NEVER MIND」「IN UTERO」)を聴いてもらいたいんだけど、既に彼等のことをある程度知ってる人なら、間違いなくこのボックスセットを楽しめるはず。つーかむしろ、聴くべき。いや、聴く義務があるんだよ。

 そして‥‥DVDな。これは本当に必見ですよ。1988年、カートやクリス・ノヴォセリックの故郷、アバーディーンにあるクリスの自宅で録画された演奏はホント見物だし(壁に向かって歌うカートの姿は、ある意味不気味。まるで「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」を彷彿させる)、その後の1991年‥‥これはDVDだけではなく、CD音源にも言えるんだけど‥‥デイヴ・グロールの加入で、このバンドの「質」が一変するんだよね。チャド・チャニング時代も独特なノリがあって味わい深いんだけど、やはりデイヴのドラミングは完全に別ものであって、本当に最強だな、と。田舎のガレージバンドから、一気に(異論はあるだろうけど)世界最強のハードロックへと導いたんだから。その変化の瞬間(デイヴ加入後初ライヴ映像も入ってます)を、自宅にいながら目撃することが出来るんだから。あと、ジェイソン・エヴァーマン在籍時(4人時代)の映像もあった。パット・スメアが参加した末期の映像で4人編成は見慣れているはずなのに、やっぱり狭いハコで寄り添って激しく演奏する若々しいバンドは、ちょっと感慨深いものがあったりなかったり。

 とにかく。日本盤が20%オフの時に買うか、それより2,000円安く解説なしを買うか。どっちにしろ、買うなら今のうちだから。限定版だしな。後で後悔しないためにもさ(NIRVANAは過去にも「HORMOANING」を日本でリリース後、数ヶ月で廃盤にしたことがあるしね)。

 これを聴いて、俺みたいに悔い改める輩が増えるんじゃないかな‥‥そんなことないか。



▼NIRVANA『WITH THE LIGHTS OUT』
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投稿: 2004 12 07 02:07 午前 [2004年の作品, Nirvana] | 固定リンク

2004年12月 6日 (月)

 メロン記念日『THE 二枚目』(2004)

 メロン記念日のセカンドアルバム「THE 二枚目」が12月1日に発売され、ほぼ一週間が経ちました。ファーストアルバム「1st Aniversary」のリリースが昨年3月だから、1年9ヶ月振り。ほぼ2年と言い切ってしまってもいいでしょう。しかし、前回と今回とでは状況が違う。前作は、デビューから3年と1ヶ月。シングルを8枚リリースした末、ようやく掴んだ「ひとつのゴール」だったわけですが、今回の場合は‥‥この1年9ヶ月の間にシングルを5枚、DVDも4枚(ライヴDVDが3枚、PV集第2弾が1枚)、ソロツアーも数本‥‥それなりに順調だったと言えなくもないでしょう。いや、むしろ前作リリース前を考えれば、状況はかなり良くなったと言っていいでしょう。

 なのに‥‥何故かしっくりこない。それは何故か?

 残念ながら、「1st Anniversary」リリースを境に、メロン記念日はそれまでとはまた別の「トラップ」にハマってしまったように思います。一見順調に活動しているようで、だけど全然パッとしない。売る側の姿勢もあるんでしょうけど、とにかくシングル曲が‥‥いや、個人的には全然問題ないですよ。ファンですし、いくらでも好意的に捉えることはできますから。けど、「モーニング娘。の妹分」としてデビューしながらも、そのイメージは全くといっていい程世間には浸透せず、後から出て来た松浦亜弥に追い抜かれ、気づけば松浦や後藤真希のサポートに甘んじる。いや、それも個人的にはどうってことないんですよ。けど、世間的には‥‥

 そう。「1st Anniversary」リリース後の、メロン記念日にとっての約2年とは「世間一般層との戦い」だったように思うのです。"香水"、"赤いフリージア" と、上手い具合に世間から注目を集められるような状況になり(そしてそれに値する楽曲を貰い)、ほぼベスト盤と呼べるような1stアルバムをリリースし、待望の初全国ツアー。彼女達は成功を手にするはずだった‥‥なのに。状況は一変しなかった。製作陣はそれなりに頑張ったんだろうけど、彼等の感覚と世間の感覚が全く一致しなかった。だから折角貰った大きなタイアップ("涙の太陽")でも何も起きなかった。そして開き直って、つんく♂以外の作家を迎えた楽曲("シャンパンの恋")‥‥全くといっていい程ヒットしなかった。けど、それまでとは違った反応をファンから得た。これは何なんだろう?

 そんな微妙な空気の中、リリースされたのが今回のアルバム。全12曲中、シングル曲が5曲。他7曲がアルバム用完全未発表新曲ということになるんだけど‥‥本来なら大喜びすべきこの事実も、作曲につんく♂が全く絡んでおらず、その大半をはたけやたいせーといった「その他大勢」が手掛けたということで、水を差された感が非常に強く、殆どのファンが聴く前から異常なまでの敗北感を味わっていたのですよ。勿論、この俺も。

 ところが、だ。これが思ったよりも悪くない。いや、結構イケるんじゃ‥‥何度も聴き込んでいくうちに、どんどん馴染んできてるんだな、これが。

 最初に聴いた時の第一印象は、「非常に地味」。シングル曲とアルバム曲との落差を激しく感じたのね。それはアレンジや音の使い方だったり、メロディーの運び方だったり、全体的なイメージだったり。要所要所にシングル曲が配置されてはいるものの、アルバム曲になるとテンションがガクッと下がる。そしてまた、耳慣れたシングル曲で持ち返すんだけど、新曲でクールダウンして、最後はそのままの空気で終了する。そういうアルバムなんだと思ったのね、最初は。

 でもね。決して新曲は駄曲というわけではないんだわ。そりゃ確かに駄目な曲もあるよ(特にたいせー作曲のやつな。奴は本当にプロの作家を辞めた方がいいと思う。誰か本気で奴に気づかせてやってくれ)。けど、平均点はクリアしてると思うんだわ。シングル曲は「売る」こと、「耳につかせる」ことを目的としてる面もあるから、こういうアレンジや音使いで間違いないんだろうね。けど、こうやってアルバムとして他の新曲と並べてみると、どうしても空回りしてるような気がしてくるんだよね‥‥聴き込んでいくうちにさ。同じシングルでも "シャンパンの恋" とそれ以外のつんく♂作4曲を比べると、その方法論が若干違っているように感じられてね。その "シャンパンの恋" に用いた方法論は、しっかりアルバム曲にも流用されているのね。確かに地味だよ。けど、味わい深い。聴けば聴く程味が出る。そんな曲が揃ってると思うのね。

 "シャンパンの恋" 同様、サムシングエルスの今井千尋が手掛けた "レモンタルト" なんて、その最もたる例なんじゃないかな。決してシングルのタイトルナンバーになることはないけど、アルバムの中で活きる曲。そういう曲ってどんなアーティストにも必ずあるよね。地味だけど、ファンの間で大人気のナンバー。それに成り得る1曲でしょう、これは。もう1日‥‥これが11月にリリースされていたら、間違いなく今年の「ハロプロ楽曲大賞」に選んでたはず。しかもかなりの上位に。

 その他にも "キライ、スキ スキ スキ ホント、ウソ ウソ ウソ" も心地よさ(と思ったら、アレンジは矢野博康だった。当然か)、"愛してはいけない…" や "ラストシーン" のベタさ(初期のメロンを今敢えて演じるようなイメージ)、"努力・系・美人" のアレンジ(そう、あくまでアレンジ主体な。これも矢野アレンジ)とか‥‥聴くべき点は幾らでもあるんですよ。

 「1st Anniversary」がああいう作風(シングル・コレクション的内容)だったことから、この「THE 二枚目」こそがメロン記念日にとって真の意味でのファーストアルバムと言えるでしょう。と同時に、前作が「デビューから3年間の成長と苦悩の歴史」だとしたら、今回は「そこから更に、どのように実力を付けたか?」という結果発表、あるいは披露の場。与えられた楽曲が良かろうが酷かろうが、それを見事に「メロン記念日の曲」にしてしまう‥‥初期のような「歌わされてる感」を一切感じ取らせない、一流のパフォーマーへと成長した彼女達の、文字通りの「アルバム」なわけですよ。

 ‥‥ダメだ、メロンのことになると、必要以上に熱くなっちまう。必要以上に長くなっちまう。もっとクールに書くつもりだったのに。

 要するに、あれだ。この1週間、今回も前作同様に毎日聴きまくってるってことですよ。そのひと言に尽きるわけですよ!(結論短っ!)



▼ メロン記念日『THE 二枚目』
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投稿: 2004 12 06 10:50 午後 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, メロン記念日] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年12月 4日 (土)

まだまだあるよ、ボックスセット

 昨日のエントリで、年末商戦に合わせてボックスセットをリリースするアーティストが多いというお話をしましたが、前回挙げた他にもまぁボックスとまではいかないまでも、CD複数枚+DVD、あるいはCD+DVDというセット販売をする企画盤、結構あるんですよね。

 んで、最近話題になってるものをまた幾つか紹介してみようかと。大半が輸入盤ですが、モノによってはDVDがリージョンコード1で普通の家庭用プレイヤーで観れない代物もあるかと思いますので(PCでは観れるってのが多いのかな?)、それ目当てで購入を考えてる人はご注意を。


▼AEROSMITH「YOU GOTTA MOVE」[DVD+CD](amazon

 今年のツアーの模様を収めた、'80年代以降初の本格的ライヴDVD。実は復活後初?という貴重な代物。しかも今春MTVで放送されたドキュメント番組(90分)まで収録され、おまけにライヴテイク6曲+ "You Gotta Move" のリミックスによるCDまで付いてくる。未だに日本版リリース決まらないだけに‥‥けどリージョン1。くそー。



▼LINKIN PARK & JAY-Z「COLLISION COURSE」[CD+DVD](amazon

 MTVの企画でこの夏実現した奇跡のコラボレートのライヴDVD(MTVでのドキュメント映像付き)と、新たにスタジオセッションで録音したCDによる2枚組。最近ライヴ盤とかリミックスとか、この手の企画盤が多いLINKIN PARK、そろそろ純粋な新作が聴きたいところですな。



▼EVANESCENCE「ANYWHERE BUT HOME」[CD+DVD](amazon

 こちらも新作が待ち遠しいニューメタルバンドの、ライヴアルバム+ライヴDVD。KORNのカバー "Thoughtless" がちょっと楽しみ。ライヴでよくやってたスマパン "Zero" も入れて欲しかったなぁ。CDには未発表のスタジオ録音新曲 "Missing" も収録。これ聴いて来年の新作まで待てってことか。



▼A PERFECT CIRCLE「aMOTION」[DVD+CD](amazon

 先日リリースされたカバー+新曲によるアルバム「eMOTIVe」と対となる映像集に、リミックス音源を集めたCDが付いた作品集。全PVが収録されてるし、未公開映像もあるようなんですが‥‥これ、リージョン1なんですよね。購入にはくれぐれもご注意を。



▼「AXIS OF JUSTICE : CONCERT SERIES VOL.1」[CD+DVD](amazon

 SYSTEM OF A DOWNのサージやAUDIOSLAVEのトム・モレロが中心となって開催されたイベントの模様を収めたCD&DVD。クリス・コーネルやブラッドといった他のAUDIOSLAVEメンバーやレッチリのフリー、TOOL/A PERFECT CIRCLEのメイナード、MC5のウェイン・クレイマーがU2やエルヴィス・コステロ、ボブ・マーリーの曲をカバーしてるだけでなく、トム・モレロのアコースティックユニットの曲も収録されてるんですね。



▼ERIC CLAPTON「SESSIONS FOR ROBERT J.」[CD+DVD](amazon

 この春に出た「ME AND Mr.JOHNSON」CDに、そのリハーサル風景&セッションを撮影したDVDがセットになったもの。だったら最初に出せって話ですよね。これだけのために買っちゃいそうな内容ならいんですが。ま、クラプトンのファンは金持ってるオッサン多そうだし、問題ないか‥‥



▼SIMON & GARFUNKEL「OLD FRIENDS : LIVE ON STAGE」[2CD+DVD](amazon

 先にリリースされた2枚組CDに、同内容の映像版DVDを付けたデラックス・エディション。アート・ガーファンクルの麻薬所持逮捕でミソが付いてしまった感もあり、結局来日も実現せず幻となった再結成ツアー。これ観て(聴いて)泣いてください‥‥


投稿: 2004 12 04 12:05 午前 [2004年の作品, A Perfect Circle, Aerosmith, Evanescence, Linkin Park] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年12月 3日 (金)

ボーナスシーズンにボックスセット

 年末時期になると、日本でも海外でもそうなんですが、まぁ‥‥あれですよ、ベスト盤とかが多くリリースされるんですよね。特に海外の場合は「クリスマス・シーズン向け」ということもあり、パーティーでかけるもよし、プレゼントにあげるもよし、といった感じでリリースされることが多いみたい。実際、何かの記事で読んだんだけど、DEF LEPPARDのアルバム「HYSTERIA」が毎年年末になると数万枚売れるそうなんですよ。リリースから5年以上経ってからのお話ですよ。これ、厳密にはオリジナルアルバムですが、シングルヒットが全12曲中7曲も入ってるってことで、まだベスト盤が出る前は重宝されてたんでしょうね。

 というわけで、洋楽に限らず日本でも年末年始にベスト盤をリリースするというアーティストは意外と多いようで。

 ところが。ここ最近はベスト盤だけでは飽き足らず、ボックスセットをリリースするアーティストが増えてるんですよね。数年前にKISSが5枚組ボックスを出したかと思うと、昨年はSLAYERがDVD付き5枚組ボックスとか出したし、今年はBON JOVIやNIRVANAといった目玉商品が人気を呼んでるし。

 というわけで、幾つか気になるボックスセットを紹介。



▼NIRVANA「WITH THE LIGHTS OUT」[3CD+DVD](amazon

 その殆どが未発表テイクという貴重音源満載のボックス。ブートとかで流出した曲もあれば、代表曲のデモテイク、'80年代のライヴ音源まであるので‥‥正直クオリティが心配ではあるんですが、まぁ‥‥コアなファンには嬉しい1品かな、と。当然買いますが。



▼BON JOVI「100,000,000 BON JOVI FANS CAN'T BE WRONG」[5CD+DVD](amazon

 こちらも代表曲は殆ど入っておらず、あっても一部のヒット曲のデモテイクのみ。後は完全未発表のスタジオアウトテイクや映画のサントラにのみ収録された曲、去年出たアコースティック盤に収録される予定だった新曲2曲等、とにかく初聴きの音源てんこ盛り。更に日本盤はB面曲10曲入りのボーナスディスク付き。これも選曲かなり良いので、絶対に日本盤で買い!


▼岡村靖幸「岡村ちゃん大百科」[8CD+2DVD](amazon

 リリース自体は来年2月だけど、これから岡村ちゃんのアルバム揃えようって奴らは、正直これを買いなさい! エピック時代のオリジナルアルバム&未収録曲全部揃うし、DVDもレアなやつ満載だし。当然俺も予約済み!


▼モーニング娘。「モーニング娘。EARLY SINGLE BOX」[9CD](amazon

 8cmシングル時代("モーニングコーヒー" 〜 "恋のダンスサイト")までの8枚を12cm化、それぞれに貴重な未発表音源&テイクを収録。更に人気曲&アルバム曲のカラオケディスク付き。これもマニア向けですけど、"ふるさと" や "真夏の光線" のボーカル違いとか初期テイクとかって聞くと、それだけでもうヨダレものなんですが‥‥

 とりあえず、上の4つは全部予約済みのもの。アホだな相変わらず‥‥


投稿: 2004 12 03 12:40 午前 [2004年の作品, Bon Jovi, Nirvana, モーニング娘。, 岡村靖幸] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年12月 1日 (水)

RAMRIDER『MUSIC』(2004)

 このサイトや前に俺がやってきたサイトをご覧になっている方々なら既にご存知であろう、「MOK Radio」。まだ聴いたことのないという人は、先月末からワンクリックで簡単に聴けるようになっています。今週末(12/3)にも放送があるので、是非一度聴いてみてください。ネットでいろんな音楽が聴けて、その上聴き手とパーソナリティーとの「連帯感」をリアルタイムで感じさせてくれる、音楽好きにとって非常に面白いプログラムですので。

 でね。この番組をずっと聴いてる人なら既にRAMRIDERのことはご存知だと思うんですよ。何せこの番組のテーマ曲を手掛けているのがそのRAMRIDERなのですから。

 そのRAMRIDERがこの度、メジャーデビューを果たしまして。リリース元はaxex系のレーベル。ご存知の通り、avexはこの9月末から「CCCDの弾力化」と銘打って、リリース作品の仕様の選択をアーティストに委ねるという、今までの2年半は何だったんだ!?と思わせるような方針変更を実践しております。ラッキーなことにRAMRIDERのメジャーデビューEPも普通のCD(ま、PVを収録したCD-EXTRA仕様ですが)でのリリースと相成ったわけです。これは本当に嬉しい。

 で、嬉しいついでといっては失礼に当たってしまいますが‥‥このEPがまたいいんですよ。既に前回の「MOK Radio」でも表題曲 "MUSIC" が流れましたが、これが非常にポップでメロウなディスコチューンで、カッコいいのなんのって。カップリングの "ミラーボール" もイカしてるし、他に2曲収録された "MUSIC" のリミックスも原曲と違った味わい/色合いを持った、非常に優れたテイクとなっております。つーか続けて聴いても、歌メロ以外は完全に別のバックトラックなんで、最初聴いた時は同じ曲だって気づかなかった程。ホントいいんだってこれが。

 なんていうか、お会いしたことはありませんが、非常に身内感も強いんですよ。でも、身内だから絶賛するんじゃなくて、これが本当に素晴らしい楽曲だからこうやって公の場で声を大にして絶賛するわけなんですね。だってさ、もっといろんな人の耳に触れて欲しいじゃない、こんなカッコいい曲。いやー、クラブでこれかかったら、本気で気持ちいいって。つーかむしろ、俺がDJやる時にかけたいくらいだもん。

 これまでavex系アーティストのリミックスとか手掛けてきた人だけど、今後はこうやってオリジナルの作品をもっとリリースしてくれるでしょうし、とにかくアルバムで聴いてみたいアーティストのひとりですよね。素敵なダンスナンバー、期待してます!



▼RAMRIDER『MUSIC』
amazon

投稿: 2004 12 01 10:01 午後 [2004年の作品, RAMRIDER] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

H.P. オールスターズ『ALL FOR ONE & ONE FOR ALL!』(2004)

 新サイトスタート一発目の更新がハロプロというのも、何だか俺らしいというか‥‥まぁ全然変わってないってことですよ、前と。こんな感じでやってくんで、よかったらヨロシクです。

 さて。ハロー!プロジェクト発足7周年を記念して制作されたシングル、「ALL FOR ONE & ONE FOR ALL!」。今年は夏にシャッフルユニット企画がなかったので「さすがに今年はネタ切れか‥‥」とほんのちょっとだけ淋しい思いをしてたんですよね。まぁ去年みたいな充実振りが今年も得られるとは思わないし、無理矢理出したらやっぱり駄作だった、と切り捨てられるのもねぇ。

 ところが。年末になって、こんなシングルを出してくるとは。確かに、モーニング娘。が誕生したのが7年前の11月だし、平家みちよ(既にハロプロを卒業済)の武道館デビューイベントもその頃でしたよね。ということは、彼女達のデビューやデビュー決定の1997年11月がハロプロ発足の時期ってことになるのかしら。7年を記念して、ってのはちょっとこじつけっぽいけど、まぁなんにせよこの時期にこうやってこれまでを振り返るのは、ある意味で正しいのかもしれませんね。飯田圭織がモーニング娘。を卒業する前に、こういった企画をやっておくのは‥‥

 表題曲となる "ALL FOR ONE & ONE FOR ALL!" は既にテレビ番組で歌っているところを観た人もいるかと思いますが、総勢46人で歌う正しく「現在のハロプロのテーマ曲」と呼べる1曲に仕上がってます。各メンバーが歌う順番も、それぞれが加入した順番に忠実なんですよね‥‥例えば最初の歌い出しを初期モーニング娘。のメンバーである中澤裕子・安倍なつみ・飯田圭織の3人で歌い、その後に現存の2期メンバー‥‥矢口真里と保田圭が歌い、続いて稲葉貴子(元T&Cボンバー)・アヤカ(ココナッツ娘。)・後藤真希、4期メンバーの4人‥‥という風に、それぞれがハロプロに加わった順番通りに歌っていくという構成が、その歴史の重みを感じさせるのと同時に、古くからのファンには涙モノだったりするんじゃないでしょうか。いや、俺も実際テレビでこれ観た瞬間、本当に泣きそうになったもの。

 曲自体も非常にポップで、最近のつんく♂ワークスの中でもまずまずの出来なんじゃないでしょうか。歌詞にしろ、曲のタイトルにしろ、今のハロー!プロジェクトとつんく♂、ハロプロとファンとの関係を表しているようにも感じられますしね。個人的には好印象。

 カップリングとして収録された2曲もまずまずで、特に稲葉貴子、大谷雅恵&柴田あゆみ(メロン記念日)、松浦亜弥の4人による "三角関係" は久し振りに稲葉や大谷といった「歌える」メンバーの歌を楽しめる、好楽曲に仕上がってますし、伝説のユニット「あぁ!」から一部メンバーを差し替えた "好きになっちゃいけない人" も過去の "FIRST LOVE" には及ばないものの、まずまずの完成度なのではないでしょうか。2曲に共通しているのは、とにかく「歌っている」ということ。これまで以上にそういう「歌い手の存在感」を感じさせる出来になってるんですよね。勿論それはそれなりに歌えるメンツによるユニットだからというのもあるんでしょうけど。

 いやいや。今年の3曲も個人的にはなかなか安心して聴いていられる出来で、正直安心しましたよ。特に "ALL FOR ONE & ONE FOR ALL!" は今後、ハロプロ・コンサート等で最後に歌われたりしたら‥‥ちょっと泣いてしまうかも。何ていうか‥‥「ハロプロの最終回」みたいな曲ですよね。勿論これでハロプロが終わるとか終わって欲しいって意味ではなく、それくらいの一体感を感じるって意味でね。



▼H.P. オールスターズ『ALL FOR ONE & ONE FOR ALL!』
(amazon:初回盤通常盤

投稿: 2004 12 01 12:01 午前 [2004年の作品, H.P. オールスターズ, ハロー!プロジェクト] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年11月30日 (火)

MANDO DIAO『HURRICANE BAR』(2004)

 今から10年前、日本ではTHE CARDIGANSが洋楽ファンのみならず一般の音楽ファンまで巻き込んで大ヒットを記録し、メディア主導で「スウェディッシュ・ポップ」なる一大ムーブメントが繰り広げられていました。イギリスのロック/ポップスバンドが「ブリット・ポップ」と呼ばれるなら、スウェーデン出身のバンドは皆「スウェディッシュ・ポップ」と呼ばれても何らおかしくないわけですが‥‥個人的には凄い違和感があって。だって、当時の俺の中ではスウェーデンといえばデスメタルかガレージロックだったわけですよ。勿論CARDIGANSも聴いてたし実際良いバンドだと思ったけど、それだけじゃないだろ!?という思いも強くて。イギリスのバンドが皆OASISやBLURなわけ、ないのと同様にね。

 2000年前後から、日本でもスウェーデンのガレージバンド、ロックバンドがメディアに取り上げられる機会が増えました。勿論、THE HIVESがイギリスで大ヒットしたのが切っ掛けだったわけですが、それよりも前にTHE HELLACOPTERSみたいなバンドが既に来日して一部で強く支持されていたし、その他にもパンク/ハードロック寄りのBACKYARD BABIESみたいなバンドもいた。ガレージとひと括りにされながらも、実は非常に個性的なバンドが多かったわけですよ。

 このMANDO DIAOは昨年、最もブレイクしたスウェーデンのバンドで、既に数え切れない程の来日公演をこの2年の間に行っています。昨年と今年、サマーソニックにも出演したし、単独来日も3回くらいは行ってるはずだし。ガレージ・リヴァイヴァルとかロックンロール・リヴァイヴァルなんて呼ばれることの多い昨今のシーンの中でも、特にMANDO DIAOは日本での人気が高いバンドですよね。それは露出(メディアだったり、ライヴだったり)の多さも影響してるんでしょうけど、まず彼等のメロウな楽曲が日本人の耳に馴染みやすかったというのも大きいと思います。

 1stアルバム「BRING'EM IN」以上に親しみやすい2ndアルバム「HURRICANE BAR」。モッズ的な色合いも含みつつ、ガレージロックからの脱却を狙ったかのようなポップな作風は、1stにあったような破天荒なノリと違って落ち着いてしまったと取られてしまう可能性も孕んでいるんだけど、個人的にはこれを成長と受け取りたいですね。曲作りをかなり丁寧に行ったんじゃないかと思えるようなメロディラインとアレンジ、小気味良いリズムや耳に残るギターフレーズの数々。それらを上手く引き立てるオルガンの音。そしてタイプの違う2人のシンガー。1st以上に聴きやすくなったのは単にポップになったからだけでなく、各メンバーの技量が大幅にアップしたからというのもあるんでしょうね。表現力の幅が広がったというか‥‥

 前作の衝動性を好んでいた人には大人しく聞こえるかもしれませんが、これはこれでひとつの完成型であり、またライヴではこれまで通りのMANDO DIAOを見せてくれるんじゃないですかね‥‥なんだかそんな気がします。本当に良く出来たアルバムだなと。

 俺、未だに彼等のライヴって一度も観てないんですよ。そりゃそうだ、サマソニなんて2年以上行ってないわけだし、単独公演も毎回すぐにソールドアウトだしね。その彼等のライヴを、もしかしたら観に行けるかもしれない‥‥どうなるか判らないけど。実はかなり楽しみだったりして。無事観ることができたら、その感想もまた書いてみたいと思います。



▼MANDO DIAO『HURRICANE BAR』
amazon

投稿: 2004 11 30 09:26 午後 [2004年の作品, Mando Diao] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年11月27日 (土)

HELMET『SIZE MATTERS』(2004)

 HELMETが7年振りに復活して今年新作をリリースしたんですね。まぁその予兆はなんとなくあったし、今年に入ってベスト盤もリリースされてたし、つうかいい加減ペイジ・ハミルトンには何か動いて欲しいなと思ってたんで、これはとにかく嬉しかったな、と。

 しかもメンツがね。リズム隊が凄いことになっちゃってて。ジョン・テンペスタ(元WHITE ZOMBIEのDr)とフランク・ベロ(元ANTHRAXのBa。但し新作レコーディングには不参加)ですからね。思いっきりヘヴィでスラッシーな作品を期待しちゃうじゃないですか、そんなメンツを聞かされたら。

 ところが。いざ出来上がった新作「SIZE MATTERS」は7年前の全作「AFTERTASTE」の延長線上にある作風で、最初聴いた時は肩すかしを食らいましたね。お前は7年待たせてこれかと。7年間何やってたんだと。ホント胸ぐら掴んで小一時間説教したい心境ですよ。

 が。これが聴き込んでいくうちに、どんどんと耳に馴染んで、かなり良い作品なんじゃないかと思えてきたんですよね。まぁ聴き慣れたってのもあるし、元々俺が前作を含むHELMETの作品が大好きだというのも影響してるんでしょう。けど、これは普通に考えてもレベルの高いアルバムだと思いませんか?

 そりゃね、これを2004年の今やる意味があるのかどうかは正直疑問ですし、「これが少なくとも2000年までにリリースされてたなら‥‥」とも思いますよ。初期の2枚を名盤だと呼ぶ連中からは「意味のない再結成」とか「解散前以下じゃん」と囁かれているのも知ってます。

 けど。俺はこれを支持したい。ここから始まり、そして続いていくことを信じたいですね。とにかくライヴ見せろと。話はそれからですよ。



▼HELMET「SIZE MATTERS」(amazon

投稿: 2004 11 27 12:28 午前 [2004年の作品, Helmet] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年11月24日 (水)

QUEEN『ON FIRE : LIVE AT THE BOWL』(2004)

十三回忌……ってことになるのかしら。1991年11月24日に亡くなっているからね。

2004年はここ日本で、QUEENに再びスポットが当たった年でした。ドラマに彼らの楽曲が起用されたことから日本限定でリリースされたベスト盤は、CCCDながらも100万枚を突破。過去のアルバムを紙ジャケ化したものも好セールスを記録。もはや新しい音源・楽曲がリリースされることはないけど、それでも新しいファンを増やし続けているという意味では、今回の再評価はCCCD云々を抜きにしても賞賛に値するんじゃないでしょうか。

そんな中、命日も間近に迫った今年11月上旬、新しいQUEENの音源がリリースされました。とはいっても新曲ではなく、過去のライヴ音源をCD化&DVD化したもの。ファンの間ではすでに知られている1982年6月の英・ミルトンキーンズ・ボウル公演。当日演奏された楽曲をすべて収録した内容で、CD/DVD共に2枚組。もっともDVDのディスク2は、同時期に行われた日本公演の模様や当時のインタビュー等を収めたスペシャルディスクなんですが。

これ、両方とも買いました。残念ながらプライベートでまとまった時間がまったく取れないのでDVDはまだ観てませんが、CDのほうはここ数日かなりの頻度で聴かせていただいております。

音質的にはあまり良いとは言えないんですが、これは結構貴重ですよね。公式音源でこの時期……アルバムでいうと『THE GAME』(1980年)や映画サントラの『FLASH GORDON』(1980年)、『HOT SPACE』(1982年)をリリースした時期のライヴ音源はリリースされてませんでしたからね。DVDではあるのかな? いや、なかったよな? ともかく、ライヴ盤大好きな僕からすればこれはかなり嬉しいプレゼントなんですけどね。

選曲的には上に挙げた3枚のアルバム、そして『NEWS OF THE WORLD』(1977年)あたりのアルバム曲、それ以前の代表曲がバランス良く混在しているように感じます。何せいきなり「Flash」(テレビCMなんかにもよく使われる「フラッシュ、ア〜ア〜っ」っていうアレ)をオープニングに用いて、そのまま「The Hero」へと続くわけですから。レア以外の何ものでもないですわな。その勢いを保ったまま、「We Will Rock You」のファスト・バージョン(70年代末のライヴのオープニング定番曲ね)や「Action This Day」っていう展開がまたすごい。そして、ライヴテイクは意外に貴重な「Play The Game」「Staying Power」といった珍しいナンバーが続き、定番曲が幾つか演奏された後に「Dragon Attack」! こうみるとファンキーな選曲ですよね、「Staying Power」といい、その後に演奏される「Back Chat」や「Get Down Make Love」とか。

定番の「Love Of My Life」のあとに続く「Save Me」も泣けるし、ファンキーかつヘヴィな「Fat Bottomed Girls」ライヴテイクもイカす。後半は「Crazy Little Thing Called Love」を筆頭にお馴染みのナンバーが続き、意外に暴力的な「Sheer Heart Attack」からお約束である「We Will Rock You」〜「We Are The Champions」〜「God Save The Queen」という流れで終了。終わってみれば「実体験はないけど、いつも通りのQUEEN」なのでした。

フレディは特に80年代以降、ライヴではかなり崩して歌ったりするんで(ライヴだと高音パートはドラムのロジャー・テイラーに頼ってるしね)、ベスト盤からQUEENを知って今回初めてライヴ盤を体験するって人には違和感の多い1枚かもしれないけど、この生々しさこそが「ライヴバンドQUEEN」なんですよね。って知ったかぶっちゃってますが。スタジオでは隙のない緻密なアレンジや録音で完成度の高い(そして時に脱線しまくってバカっぽい)作品を生み出す彼らも、ライヴではただの……いや、最高のロックンロールバンドだったんです。それを再確認、あるいは初めて認識してもらうには丁度いい作品集かもしれません。年齢的にも脂が乗り出した時期ですしね。

けど……やはり最後は映像付きで、DVDで観てほしいな、と。僕もこの週末、時間を作ってゆっくり観たいと思います。

もう13年か。彼らに対する愛情はますます深まるばかり。ホント愛してます。この世に貴方たち、いや、貴方みたいな人が存在してくれたことを、神に感謝します。



▼QUEEN『ON FIRE : LIVE AT THE BOWL』
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▼QUEEN『ON FIRE : LIVE AT THE BOWL』[DVD]
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投稿: 2004 11 24 11:00 午後 [2004年の作品, Queen] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年11月20日 (土)

TRICERATOPS『LICK & ROCKS』(2004)

 "TATTOO" がマイブームで。最近、またよく聴いてるんだわ、TRICERATOPSの通算6作目のアルバム「LICK & ROCKS」。ジャケットのロゴが、和田唱が好きらしい「KISS」のロゴマークをパクってたり、そのアルバムタイトルも古き良き時代の洋楽ロック好きなら思わずニヤリとしてしまいそうなもので("Lick And Promise" であったり、最近の「FORTY LICKS」であったり)、聴く前から何となく音が想像ついてしまいそうなんだけど‥‥やはりまんまの音だった。いやむしろ前作の作風を考えると、これは驚きっつーか「そうきたかー」って思うんだけど。

 俺、トライセラのファーストアルバムが凄い好きでさ。1998年でしたっけ? 丁度今住んでる地元に戻った頃で、まぁいろいろあった頃で。そんな時にこのアルバムに出会って、すごく励まされたっつーか、聴いてて気が楽になれてさ。ホントによく聴き込んだ。あーこいつら、きっと俺が聴いてきたような洋楽ロックが好きなんだろーなぁーって。好意を持ってたつーの?

 その後、彼等がステージでKISSの曲をカバーした、とか耳にした時は思わずニヤリとしたもの(実際にその姿に直面した時はバカ笑いもしたし)。けど‥‥バンドはどんどん成長してって。ファーストの世界観を(音楽的に)更にスケールアップさせたサウンドで、チャート的にも大成功して。「洋楽ファンも気になる日本のロックバンド」から「チャートの常連的バンド」に‥‥それは決して悪いことじゃない。と思う。あれがあったから(良くも悪くも)今の彼等があるわけだし。

 けどさ‥‥俺、あの頃のトライセラも、凄く好きよ。3rd〜4thって実は当時、かなり聴き込んだし。初めてライヴに接したのも3rdの頃だし。あーこういうアリーナを意識させるサウンド作りも上手いなぁ、と。勝手に思ってたんだけど。

 でも、ファンの人達は違ったのかな‥‥特に初期の世界観を愛する人達にとっては。




 さ。新作の話題に戻りますか。今度の「LICK & ROCKS」は、良い意味で初期の勢いを取り戻してるというか、下手な小細工なしの、シンプルな演奏とアレンジで勝負してる点が非常に好感持てるんですよね。生々しいというか、とてもライヴ感を大切にしてるよなと。そういう意味では、確かに「第二のデビュー盤」とか「原点回帰」とか、そういう表現もある意味間違いではない、と。けど、それだけじゃないでしょ、これ。ちゃんと3rd〜4th辺りの「音」も聞こえてくるサウンドですよね。ただ焼き直したんじゃなくて、音楽的にはしっかりこれまで通過してきたものを血と化し肉と化してる。ロックバンドとしては順当な成長だし、むしろ健康的だよな、と。

 だからこそね‥‥歌詞にもうちょっと深みを持たせて欲しかった気もするんだけど‥‥良くも悪くも、そこがトライセラなんだろうけど‥‥何だろ、例えばKISSが未だに‥‥50も半ばに差しかかろうとしてる21世紀になってもティーンエイジャーの気持ちを忘れないロックンロール・マジックについて歌ってるのと同じなのかな、と。勿論、そういう歌詞だけじゃなく、ちゃんとバランスを取ってるわけだけど、KISSの場合は(にしても彼等は‥‥本当にKISS好きだよなぁ‥‥この新作聴いてると、本気でKISSファンはニヤニヤしっぱなしなんじゃないの? そういう意味でも俺は彼等が好きなんだけどさ)。

 和田唱ってまだ20代後半なんだっけ‥‥デビューして7年以上、そろそろ等身大の自分を表現してくれてもいいかな、という気がしないでもないけど‥‥これはこれでひとつの「様式美」でもあるし。それがひょんなことから脚光を浴び、またブレイクする可能性だってあるわけで。こればかりは誰にも判らないことだからね。決して成長していないとは言わないけどさ‥‥もっと別の側面も見てみたいよな、と。彼等の音楽のファンとしての、純粋な感想というか要望なんですけど。

 そういやぁ数日前に有線から彼等の最新シングル "Jewel" が流れてきたんだけど‥‥あれ、彼等にこんな曲あったっけ? いやあったよな‥‥って思っちゃう程、普通にトライセラしてて肩すかしを食らったというか。この自然体さもある意味彼等の魅力というか強みなんだろうね。



▼TRICERATOPS『LICK & ROCKS』(amazon

投稿: 2004 11 20 03:07 午後 [2004年の作品, TRICERATOPS] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年11月18日 (木)

森重樹一『ROCK & ROLL SiNGER』(2004)

 バンドのシンガーがバンド在籍中にソロ活動をする時って、幾つかのパターンがあると思うんですね。

(1)バンドが活動休止中で、その合間にソロ活動
(2)バンドとは違った方向の音楽をやってみたくてソロ活動
(3)とにかく違った人間と音を出してみたくてソロ活動

他にもあると思うけど、代表的なのはこの辺かしら。(1)のケースって、例えばその「活動休止」の理由が「○○がソロやりたいっていうからバンド活動休もうか」っていう場合もあれば、「ここ数年バンドとして走り続けたから、ちょっと小休止しようよ」みたいな場合もあるでしょう。前者の場合は‥‥って例を出すとマズいのかしら、各バンドのファンに対して?

 (2)の場合は‥‥まぁ(1)と絡むことも多いですよね。バンドと違ったことがやりたいからソロやりたい、だからバンド休もう‥‥みたいな。逆にバンドが上手くいってるのに「創作意欲が凄くて収まらない。けどこの曲はバンドのイメージとは違うし、かといって他人にあげてしまうのも勿体ない。是非自分で歌ってみたい」って人もいるでしょう。誰とは言わないけど‥‥

 そして(3)。厳密に言えば、全部(1)と絡む場合が多いのか。むしろ「バンドが休みだから、他の奴とやってみるか」的発想で始める場合とか、たまたま遊びで他所のバンドのメンバーと音出ししたら面白かったから、ちょっとやってみました的な。最初のROSSOもこの辺りに入るのかな(あ、具体的な名前出しちゃった‥‥)。

 でさ。多かれ少なかれバンドのシンガーがソロやる場合って、バンドと違った方向で攻める場合が多いじゃない。むしろ「俺はこういう歌も歌えるんだぜ?」的な、これまでのパブリックイメージを覆すような。ハードなバンドで歌ってる奴が、ソロで急にスタンダードナンバー歌ってみたり、ビジュアル系のシンガーがソロで歌謡曲チックなこと始めてみたり。中には上のROSSOでのチバユウスケみたいな人もいますけど、まぁ大体の場合は「バンドとは違った側面を見せる」ためにソロ活動、ってケースですよね。んで、歌の上手さや表現力の豊かさを知らしめるために、バンドよりもソフトな路線を求めたりする、と。まさかバンドよりも更にハードな方向に進む人も少ないでしょう。

 ところがね。ここにいるんですよ、そういうバカが。

 いえね、名前は「森重樹一」っていうんですけどね‥‥そう、ZIGGY(SNAKE HIP SHAKES)のシンガーですね。

 森重は10年近く前からポツポツとソロ活動をやってるんですよ。アルバムももう5枚くらい出てるのかな。ここ数年は暫くやってなかったんですが(ZIGGYって名前が使えなくてSNAKE HIP SHAKESとして悪戦苦闘してた頃だしな)、ZIGGY名義に戻る頃に久し振りに1枚、アコースティック色の強いアルバムを発表して、この春に約2年振りのソロアルバム「ROCK & ROLL SiNGER」という実も蓋もないタイトルの1枚を発表して。今年はZIGGYとしてのアルバムリリースがなかったから、ファンにとっても非常に有り難い1枚なんですけどねぇ‥‥

 これがさ。ZIGGYよりもハードでカッコいいんですよ、真面目な話。ヤバいですよ、これは。

 アルバムの大半は森重の作詞作曲で、2曲だけ別の人が作曲してるのね。それを書いてるのが清春(SADS)と、元ZIGGY・現在はTHE DUST'N'BONEZで森重と活動を共にする戸城憲夫の二人なんですね‥‥そりゃカッコ悪いわけがない。つーか戸城作曲・森重作詞ってことは、まんま'99年以前のZIGGYなわけですからね。

 アルバムのレコーディングメンバーも面白いことになってて、主に2チームのバンドを使ってるわけ。ギターは両方共ここ最近の森重ソロのパートナーである神田和幸、チーム(1)のリズム隊がドラム・菊地哲(CRAZE)、ベース・戸城。チーム(2)のリズム隊がドラム・ポンプ小畑(元「すかんち」)、ベース・津谷正人(ZIGGY)。なんじゃそりゃ!?でしょ。しかもピアノで現在ZIGGYにサポート参加してる三国義貴、コーラスに中山加奈子(元プリプリ、現VooDoo Hawaiians)と清春‥‥カッコ悪いわけがないわな。

 アルバムは頭からハードドライヴィンする "ROCK'N'ROLL SiNGER" でスタートして、そのままの勢いで "JACK IN THE BOX"、そしてアルバム中最もハードコアな "Skull Red Roses" ときて、戸城作曲の(後にシングルカットまでされた)"Rusty Voice"、ハード&グルーヴィーな "SAY FXXK NO!"‥‥と、ここまでの5曲、まったく息をつかせずに聴かせるんですわ。ZIGGYのアルバムでいえば、「HEAVEN AND HELL」辺りに近いんだけど、あそこまでポップな色はないし、むしろハードコアな面が目立つのね。けどそこは森重のこと、曲はちゃんとメロディアスですからご心配なく。

 なんだろ‥‥これ聴いちゃうと、ZIGGYの存在意義を考えちゃうよね。だって森重は現在ZIGGYの他にソロがあって、更にインディーでTHE DUST'N'BONEZっていうバンドをやってるわけでしょ。こっちでは森重は曲書いてないけどさ‥‥そりゃ解散について真剣に考えるわな、と。ここまで素晴らしいアルバムを作ってしまったらさ。

 ZIGGYの方はもっとレイドバックした方向にいくのかもしれないし(今の松尾宗仁の音楽性、そしてボックスセットに収録された新曲やバンドの前作「ROCK AND ROLL FREEDOM!」の作風を見れば、そう考えるのが普通でしょう)、敢えてバッドボーイズタイプの音楽はTHE DUST'N'BONEZで戸城と共に体現する、と。ソロでは毎回違った形でいろんなことに挑戦する‥‥そう割り切ったのかな、森重は。

 にしてもさ‥‥これはちょっとしたショッキングな作品ですよ。ZIGGYのアルバムよりもカッコいいんだからさ‥‥しっかりしてくださいよ、森重樹一さん!



▼森重樹一『ROCK & ROLL SiNGER』(amazon

投稿: 2004 11 18 10:42 午後 [2004年の作品, ZIGGY, 森重樹一] | 固定リンク

2004年11月14日 (日)

ソニン『ジグソーパズル』(2004)

 数日前放送された「中居正広の金スマ」にて、ソニンが女子刑務所を慰問する模様が放送されました。これ自体がこの番組のメイン企画というわけではなく、あくまでメインは女子刑務所の実態を女性の立場/目から紹介する、といったような内容。いわばソニンはその中の、ひとつの小企画みたいなもの。

 番組中盤以降にスタジオにも登場したソニン。中居が感想等を軽く振った後にVTRへといくわけです。


 何でこんな企画がソニンのもとに行ったのかは正直判りませんし、まぁTBSのことですからねぇ‥‥和田マネなりに頑張ったのかもしれません。まぁそんな裏事情はどうでもいいんですが。

 困惑しながらも、とにかく今の自分自身を、判りやすい形で観客(収監されている人達)に伝えようとするソニン。まずは新曲 "ジグソーパズル" を自らもアコギを弾きながら、バンド演奏で披露。そう、噂通りちゃんとバンドで演奏してるんですね。俺、例の「ミュージックステーション」での生演奏を見逃していたので、これはちょっと嬉しかったですね。いや、この番組自体にソニンが出ること事も知らず、たまたまテレビをボーッと観てたらこの番組が始まって、しかもそういう内容ってことで見入ってしまってたわけなんですが。

 番組内で放送されたのは当日演奏された中の、恐らくほんの数曲でしょう。しかもさわり程度しか流れない。勿論「それ」がメインなわけではないですから、それは仕方ないんですが。少なくともこの日、5曲は演奏されているはず。まず放送された "ジグソーパズル"、"I LOVE YOU" の韓国語カバー、テレサ・テンの "時の流れに身をまかせ"、山口百恵の "秋桜(コスモス)"。そして放送はされなかったけど、当日のリハーサル風景の中で映った "ほんとはね。" の楽譜。恐らくこの5曲は演奏されたんでしょうね、間違いなく。

 ここで注目なのは、やはりテレサ・テンと山口百恵のカバーでしょうか。テレサ・テンの方はしっかりバンド演奏で披露され、まぁそのままコピーしましたっていうような内容でしたし、歌自体もまぁそつなくこなしてるかな、といった内容。けど、聴く側(収監者)にとってはいろんな思いがフラッシュバックするわけですよ。外の世界に残してきた家族や恋人、あるいは当時の生活‥‥こういった曲の方がよりそういう思いをフラッシュバックさせちゃうんじゃないですかね。それをまたソニンが無駄に感情を込めて歌い上げるもんだから(無駄って)。

 そして "秋桜(コスモス)"。当然リアルタイムでの山口百恵を知らない世代なわけですよ、ソニンは。「母親が凄く好きで〜」というエピソードを披露した後に、(恐らく女性マネージャ氏?の)ピアノだけをバックにしっとりと歌うわけです、また無駄に感情を込めて。ところが‥‥これが悪くない。いや、むしろいいんじゃないの?と。歌ってる本人も完全に歌に入り込んじゃってるし、聴いてる方も前のフラッシュバックが更にエスカレートして涙する者続出。それに戸惑いながらも、惹かれるようにスッと「そちら」に入り込んでいって、更に感情を高ぶらせて歌うソニン。正に相乗効果。決して最高に優れた歌手というわけでもないだろうし、聴き手も‥‥恐らく半分も彼女のことを知らないだろう。けど‥‥今その瞬間は、聴き手にとってソニンは最高の歌い手であり、と同時にソニンにとっても収監者達は最高の観衆である、と。

 本当なら常にこういう状態にお客を、そして自分を持っていくのが「歌い手」であり、それが「歌をうたう」ってことなんでしょうね。いや、判り切ったような言い方しちゃってちょっと偉そうですけど、ホントそんな単純で当たり前のようなことを、たまたま軽い気持ちで観たテレビ番組で思い知らされるとは‥‥

 "ジグソーパズル" って曲は、彼女にとっては決して「最高の楽曲」「ピッタリな1曲」とは思えないんですよ。むしろ今は「歌手としての自分探し」の最中なんじゃないかな、と。そういう意味で、つんく♂の元から離れたんだからもっといろんなシンガー/ソングライターの曲、いろんなタイプの曲を歌うべきだと思います。そんな中で、もしかしたら「自分の言葉」で、「自分のメロディー」で歌い出す日が突然訪れるかもしれませんしね‥‥いや、それがピッタリ似合っちゃうのがまたソニンの魅力でもあるんですが。

 けど‥‥間違って尾崎豊方面にだけは‥‥どうか‥‥それは‥‥痛い、痛いから。いろんな意味で。



▼ソニン『ジグソーパズル』
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投稿: 2004 11 14 11:43 午後 [2004年の作品, ソニン] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年11月13日 (土)

SILVERTIDE『SHOW AND TELL』(2004)

SILVERTIDEってどういう立ち位置にいるバンドなんですか?

 いやね、これって15年前だったら絶対に「rockin'on」に取り上げられないで、「BURRN!」辺りで『第二のGUNS N'ROSESを探せ!』みたいなコーナーで、ROCK CITY ANGELSやLITTLE CEASER辺りと一緒に(って誰も知らねーか、この2バンド。めちゃめちゃカッコ良かったのにね)取り上げられてたであろう音のバンドだよね。

 いや、悪いことじゃないよ、こうやって広いメディアで扱われることは。JET辺りと並列で語られるのかもしれないしね、この手のバンドは。

 でもさ。やっぱり俺からすればこれは間違いなく古き良き時代のアメリカン・ハードロックであって、ちょっと前のBUCKCHERRYやNEW AMERICAN SHAME、最近だとDIRTY AMERICANS辺りと肩を並べる良質なバンドだよな、と。何でSILVERTIDEがVAN HALENやVELVET REVOLVERのオープニングアクトに起用されたのかも、この音を聴けば納得いくでしょう。

 だからさ。若者よ、もっとハードロックを聴きなさい。「BURRN!」を読みなさい。

 ま、俺は読まないけどなー(えーっ)



▼SILVERTIDE『SHOW AND TELL』
(amazon:限定盤通常盤

投稿: 2004 11 13 08:25 午後 [2004年の作品, Silvertide] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年11月 4日 (木)

モーニング娘。『涙が止まらない放課後』(2004)

「涙止放」

‥‥と略さないとは思うけど。笑

 ええ、モーニングの新曲「涙が止まらない放課後」でございます。購入以来、久々のヘビーローテーションでございます(c/w共々な)。

 結局、俺は本体にこういったToo Muchでストレンジで冒険的なものを求めてたんだよね、「シャボン玉」以来ずっと。

 曲調こそほのぼのしたメルヘンチックなアレンジだけど、歌が入った瞬間に感じさせるある種の暴力性。この醍醐味(醍醐味?)こそ「モーニング娘。」だったんじゃないのかな、と。

 後藤が抜けて輝きを欠き、保田という一本の柱を失い、尚かつ安倍、辻加護と卒業していく中、「現状維持」を強いられてきた(かのように映る)ここ2年くらいのモーニング。冒険しようとしても「守り」が生じて、結果中途半端に終わり、逆効果。気づけば10万枚にも届かないシングルセールス(かしましが9万5千程度というのもある意味驚きだったけど)。

 そう。だからこそ、もう失うものなんてないんだから‥‥やりたいようにやって欲しかったのよ。そして、今回‥‥勿論大満足とは言わないけど、個人的にはかなりニンマリな仕上がり。何となくさ、「つんく♂は、これ作りながら(レコーディングとかパート割りとか)終始ニヤついてたんだろうなぁ」とか勝手に想像してるんですが。いや、間違いないよ。絶対にあの変態野郎は相当気合い入れて「遊んだ」はずだよ。それはアレンジの丁寧さとか、思った以上にボーカルのピッチいじってないことからも伺えるもの。

 世間的には絶対に売れない部類の楽曲だろうし、ヲタからもある意味敬遠されそうな楽曲かもしれない。けど俺は支持するわ。決してベストとは言わないけど、本体での今年一番のナイスワークだと思いますよ。



▼モーニング娘。『涙が止まらない放課後』
(amazon:初回限定盤通常盤DVD


※モー神通信。さんにもこの曲に関する文が。概ね同意です。ここからまた何かが始まるのかどうか、この目でしっかりと追っていきたいですね。

投稿: 2004 11 04 11:44 午後 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, モーニング娘。] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年11月 3日 (水)

U2『VERTIGO (EP)』(2004)

 U2の新曲 "Vertigo" をこの1ヶ月近く、ずっと聴き続けてるのね。いや、まだ現時点ではCDとしてはリリースされてないんだけど、所謂ダウンロード販売という形では既に海外で10月初頭からスタートしてて、かなりの好セールスを記録してるそうで。勿論iTunes Music Storeの方でも大ヒット中で、気づけばiPodのテレビCMにこの曲が起用され(しかもシルエットでU2の4人も出演!)、挙げ句の果てにこんなものまで発売される始末。いや‥‥ちょっと‥‥欲しいかも。

 んで、肝心の新曲。さすが「シンプルなロックンロールを目指した」とか言うだけあって、本当にロックンロールそのもの。多分いろんなところで言われるだろうけど、初期3部作の頃‥‥特に1st「BOY」の頃の、純粋無垢なまでのストレートなロックンロールを思い出したのは、俺だけじゃないはず。イントロのドラムスティックによるカウントといい、その後にリズムインするドラムとギターのカッティングといい、ボノの熱いボーカルといい、七変化するエッジのギターサウンドといい、分厚いリズム隊といい。その全てが「U2」以外の何者でもないわけ。こりゃアルバム、期待大なんじゃないの?

 前作「ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND」が先行シングル "Beautiful Day" や一部の楽曲を除くと比較的落ち着いた、「あぁU2もオッサンになっちまったなぁ‥‥」と思わせる味わい深い1枚だっただけに、今回は‥‥いや、そこは25年選手のU2のことだから、まぁ単なるロックンロール・アルバムでは済まないわな。

 何にせよ、11月17日(輸入盤は23日)にリリースされる通算11作目のオリジナルアルバム「HOW TO DISMANTLE AN ATOMIC BOMB」(最高に素晴らしいタイトル!)、期待大ですよ。絶対に期待を裏切らないはず。むしろ俺等の期待の更に上を行く凄い1枚に仕上がってるはず。いやー楽しみだ。



▼U2「VERTIGO」[EP](amazon

投稿: 2004 11 03 08:17 午後 [2004年の作品, U2] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年10月31日 (日)

UTADA(宇多田ヒカル)『EXODUS』(2004)

 いや、誰もそんなこと聞いてないと思いますが。単純にアメリカで売れなかった、日本で100万枚程度売るのが関の山、イコール、駄作‥‥と片付けられるのはちょいシャクかな、と。「お前にヒッキーの何が判るっ!?」と、酷評してるにわか評論家モドキを蹴散らかしてやりたい気持ちもないことはないですが、今日はそういった話じゃないので。

 10月後半に放送された「RADIO TMQ」、聴いていただけたでしょうか? 今回は「サヨナナ」の実験4号さんと、「音楽配信メモ」の津田大介さんをゲストに迎え、90分ほぼ3人でハロプロや俺のサイト閉鎖事情や新サイト(ここね)やUTADAの全米進出についてあれやこれやと語り尽くしたわけですが。その中で、俺と津田さんはこの「EXODUS」というアルバムを聴いていて、二人の共通の感想として「地味なアルバム」「R&Bというよりも、もっとポップなアルバム。むしろそういった売り出し方が間違ってるんじゃないのか」という意見があったわけね。で、聴いてない実験さんの素朴な疑問として、「EXODUS」には過去の宇多田のヒット曲‥‥所謂シングルヒット曲の英語バージョンとか入ってるのか、というのがあって。聴いた人は当然判ると思いますが、そんな曲は皆無で、全曲完全未発表の新曲で構成されているわけですよ。

 そこで、実験さんは更に素朴な疑問をぶつけるわけ。宇多田のシングルヒット曲を英訳してリリースすればよかったんじゃないのか、と。あー成る程な、と。その時はそう思ったんですよ。ガイジンからすれば、日本人がいくら彼等ネイティヴ的な音楽‥‥ロックなりR&Bなり‥‥を真似ようとしても、結局はネイティヴには敵わない、あるいはそんな日本人がやるもの聴くくらいならネイティヴにいいアーティストが沢山いるんだから、冒険してまで日本人のは聴かない。むしろもっと日本的‥‥それが俺等日本人からしたら如何に「似非日本的なもの」であっても‥‥な面を全面に打ち出したアーティストの方がガイジンに受け入れられるんじゃないのか、例えば過去を見渡してみても少年ナイフやピチカート・ファイヴ、最近だとPuffy等、そういった似非ジャパニーズ・カルチャー的なものが物珍しくて受ける、みたいな。宇多田も「UTADA」なんていわないで、普通に「宇多田ヒカル」で良かったんじゃないか、と。

 勿論、この先どういう風に転がるかは誰にも判りませんよ。このまま「UTADA」を突き通して、ある日いきなりこの「EXODUS」というアルバムが大ヒットしてしまうかもしれないし、あるいはアルバムを何枚かリリースするうちに、アメリカでもそれなりに認められるようになる‥‥今の久保田利伸みたいにね。いやもしかしたら‥‥これを最後に全米進出は諦め、もっと日本での活動を積極的にするようになる、とか。いろいろ考えられるわけですよ。リリースから1ヶ月での結果は確かに「惨敗」以外の何ものでもないけど、あんな広い国だもの、広まるまでには相当な時間がかかるはずですからね。

 さて。この地味な「EXODUS」というアルバム。確かに過去の彼女のシングルヒット曲や大ヒットアルバム「FIRST LOVE」や「DISTANCE」等と比べると、かなり地味な作風です。それに加えて英語ですからね、余計に取っ付き難いイメージがあります。そんな中での100万枚、俺は売れ過ぎだとラジオの中で言いました。その気持ちは今でも変わりません。むしろこんなご時世に100万枚も売れたんだから、そりゃ売れ過ぎでしょう。

 けどさ‥‥この地味さは急に生まれたものではなかったんだよね。ラジオの収録を終えてから、久し振りに彼女の過去のアルバム3枚を通して聴いて、その後に「EXODUS」を聴いてみると‥‥意外とすんなり聴けるのね。そう、3作目「DEEP RIVER」から繋がってるんだよ、今度の「EXODUS」って。地味って意味では「DEEP RIVER」もかなり地味な部類の作品集だった。シングルヒット曲にはそれなりのメジャー感があったものの、アルバム曲はどれもディープでヘヴィなものばかりで、それらは制作当時の彼女の心情を映し出したものだ、なんて言われもしたけど。歌詞の面はちょっと置いておいて、サウンドに関して言えば、これは間違いなく「DEEP RIVER」の延長線上にある作品集なんですよね。アメリカナイズされた、なんて声もあるようですが、個人的にはそう感じない。むしろ日本的なサウンドだと思いますね。アメリカナイズされるのなら、もっとドギツいサウンドになってたはず。この聴きやすさや音の並べ方は‥‥それが例えティンバランドといった名プロデューサーを迎えていても‥‥間違いなく日本人・宇多田ヒカルのソレなんですよ。だからこれが特別地味ってわけではなくて、むしろ自然な流れだったわけ。仮に全米進出作品が「FIRST LOVE」後に作られたとしたら、その延長線上にある音か、あるいは「DISTANCE」に近いサウンドになったはず。全米向けだからこの音になったのではなく、タイミング的なものだったんですよね。

 今年3月にこれまでの活動を総括したシングル・コレクションがリリースされ、その後にリリースされたことで、どうしても「過去を総括した後の、新たな第一歩」と取られてしまいがちだし、またシングル・コレクションを聴いた耳でこのアルバムに接すれば、どうしてもシングル曲程には魅力的には映らない。ひとつのアルバムとして考えれば決して悪い作品ではないけど‥‥そのタイミングもまたね。

 というわけで、「EXODUS」。俺は「UTADAのデビュー作」というよりはむしろ、「宇多田ヒカルの4作目のオリジナルアルバム」という捉え方をしてみたいと思います。アメリカでの評価は‥‥知らん。どうでもいいや、個人的には。そりゃ売れないよりは売れて欲しいけど。むしろ気になるのは、この後の作品がどういったものになるのか。来年には日本語新曲もリリースされるんじゃないのかな。となると、次は「宇多田ヒカル」名義のアルバムだよね‥‥何時リリースされるのかは知らないけど、それまではこのアルバムをもうちょっと堪能してみたいと思います。



▼UTADA「EXODUS」[US盤]
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投稿: 2004 10 31 12:03 午後 [2004年の作品, 宇多田ヒカル] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年10月27日 (水)

メロン記念日『シャンパンの恋』(2004)

 別にメロン記念日がつんく♂作の曲を歌わないのは、今に始まったことじゃないし。彼女達の初期代表曲である "This is 運命" も "さぁ!恋人になろう" も、つんく♂作曲の楽曲ではない。厳密に言えば、歌詞もつんく♂と他の作家との共作。そういった楽曲が彼女達のライヴで一番盛り上がるという現実‥‥勿論これにはアレンジの妙技も関係してるんだけど。

 だから今度の新曲がつんく♂作じゃなくて、サムシングエルスの今井千尋が作曲だと耳にしても別段驚かなかったし、逆に「ここ最近の低迷振りを考えれば、これはチャンスなんじゃないの?」とさえ思った程。サムエル自体はここ数年ヒットに恵まれないものの、耳にする曲はどれもなかなかのもんだと思ってるし。

 実際完成した "シャンパンの恋" という曲、かなりクオリティーの高い1曲だと思いますよ。アレンジャーが鈴木俊介ってこともあり、打ち込みながらもかなり手の込んだ作りがなされているし、あのつんく♂の変声が入ってないから、普通のJ-POPとしてもかなり高水準なんじゃないでしょうか。

 曲調が比較的落ち着いていることから、かなり地味な印象を受けるんですよね。例えば‥‥同じハロプロでいうと、後藤真希のアルバムの中に、4曲目とか7曲目辺りに入ってそうな感じの、ミドルテンポのR&B調歌謡というか。この曲さ、バックトラック(シングルのカラオケ)だけ聴いてると、ホントにこれ、ハロプロの曲?って‥‥そんな曲。これ、つんく♂は作詞を担当してるけど‥‥レコーディングには立ち会ってないんじゃないの?って疑っちゃう。つんく♂が介入してないから、現場のスタッフの趣味(才能)が活かされた結果なんじゃないか、と。

 メロンの4人も、それぞれに見せ場があって、しかもそれをちゃんとモノにして活かしてるし。ここ数年の充実振りがしっかりと結果として出てる。それがセールスに結びついてないのは残念だけど‥‥いやー、本当にいい曲だ、これ。

 方やカップリング "恋の仕組み。" は作詞作曲共につんく♂作。アレンジはお馴染み高橋諭一。これはこれで悪くない、まぁ良くも悪くも「如何にもつんく♂」な作り。アレンジやバックトラックは "シャンパンの恋" に及ばないものの、平均点は超えたかな、と。正直、アレンジやバックトラック以上にメロンの歌が勝っちゃってる気がするんだけど‥‥周り(つんく♂やスタッフ)が思ってる以上に、彼女達の成長は著しいってことか。とにかく、まぁ如何にもシングルのカップリングといったナンバー。

 いやぁ‥‥"赤いフリージア" を境に、シングルでは代表曲と呼べるような1曲に出会えてないメロン記念日だけど、これは久し振りに俺内で超盛り上がってるね。待望のセカンドアルバムも12/1にリリースされるというし、これはもしかしたらもしかして‥‥いや‥‥どうせ他のハロプロユニットのカバーでお茶を濁してオリジナル新曲は2〜3曲程度だろうから、過度の期待はしないでおこう。



▼メロン記念日『シャンパンの恋』
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投稿: 2004 10 27 11:06 午後 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, メロン記念日] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年10月22日 (金)

Do They Know It's Christmas 2004

オアシスのノエルとブラーのデイモンがコラボ?新生バンド・エイドの詳細
 COLDPLAY、KEANE、THE DARKNESS、TRAVISらの参加が決定済み。他にもOASISのノエル、BLURのデイモン、U2のボノ、ダイド、ロビー・ウィリアムズに声をかけているとか。そうか、もう20年も経つのか‥‥うちにアルバム(オムニバス盤。ABCとかTEARS FOR FEARSとかSTATUS QUO、BON JOVIの曲が収録)アナログ盤、まだあるよ‥‥

 ラジオ、クリスマスシーズンには風変わりなクリスマスソング特集をやろうかしら。勿論全洋楽で。

 BLURといえば、グレアム復帰?なんて話題が。

グレアム・コクソン、ブラーに復帰か?

 是非戻ってください。また "This Is A Low" で泣きまくるギターを聴かせてくださいおながいします。

投稿: 2004 10 22 10:41 午後 [2004年の作品] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年10月19日 (火)

W(ダブルユー)『ロボキッス』(2004)

『ロボキッス』ってタイトルの曲、ギターウルフにもありそでなさそな、そんなイメージ(違うか)。

 W(ダブルユー)のオリジナル曲第2弾、通算3作目となるシングル「ロボキッス」。今回はハモりがなくて全部ユニゾンなのな。まぁそれは置いといて‥‥

 これ、すっげー良くないかい? 何がって、曲やアレンジやバカっぽい歌詞や計算された振り付けや辻加護のチャーミングさとか全部。なんていうの、奇跡的? いや、それは言い過ぎだね。最近特にめぼしい曲がなかったもんだから、つい‥‥にしても、今年リリースされたハロプロ系の中ではトップクラスなんじゃねーの?

 やっぱこの曲は映像込みで楽しむ曲なのかもしれないね。勿論今こうやってCDを何度もリピートしながらこれを書いてるんだけど、やっぱり聴いてるうちに彼女達が笑顔でパフォーマンスする姿が目に浮かぶんだよね。いや、PVの方は知らないけどさ、少なくともテレビパフォーマンスは凄いことになってたな、と。まぁ俺は「ハロモニ。」のしか観てないんだけど(しかもこれ、フルコーラスだったのな。CD聴いて初めて気づいた!)、全てが歌詞とリンクしてるし、曲にも合ってるし、まず何よりも観てて楽しい。何だろ‥‥往年の(「往年」?)"LOVEマシーン" や "ちょこっとLOVE" を思い出させる構成だよね。ヲタの皆さんはきっと真似したくてたまんねーんじゃないの?

 でさ。カップリングの方の出来もかなり良くて。"SEXY SNOW"、鈴木Daichi氏のアレンジなんだけど、グッジョブじゃないの? マイナー調のメロディにバイオリンが絡んできて、つんく♂のコーラスも古き良き時代のモーニング娘。を思い出させるし‥‥そう、初期モーニングにこういう曲、あってもおかしくなかったかな、と。いや変か。

 とにかく2曲ともかなり良いです。シングルとしてみた時、かなりの高得点。売れて欲しい‥‥地味に売れ続けて欲しいなぁ‥‥ぶっちゃけ、こっちを「ドラえもん」絡みで売り出せばよかったのに‥‥って合ってないか。嗚呼。



▼W(ダブルユー)『ロボキッス』
(amazon:CDシングルV

投稿: 2004 10 19 10:43 午後 [2004年の作品, W(ダブルユー), ハロー!プロジェクト] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年10月11日 (月)

洋楽ニュースサイト

 自分が求める形のサイトが見つからないので、時間もちょっと出来たし、独立した洋楽ニュースサイトをはてな辺りでやろうかしら、と思ってさっきからネタを拾っていたんですが‥‥


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A PERFECT CIRCLE、CD+DVDのスペシャル・セット登場!
 間もなくリリース予定のカバー(+新曲)集「eMOTIVe」。USでは「リミックス音源が収録されたCD+ビデオ・クリップとライヴ映像が収録されたDVD」が付いたスペシャル・エディションが11/16にリリースされるそうな。Fuckin' CCCDな国内盤を買うなら(リージョンフリーなら)間違いなくこっち買った方がいいと思う。

ファットボーイ・スリム、THE STROKESらのレア音源配信スタート!
 以前RADIOHEADやKEANEのレア音源も配信した、「WAR CHILD」絡みの「www.warchildmusic.com」にて上記アーティストやPET SHOP BOYS等のレア音源が約200円で購入可能とのこと。

エレクトロ・シューゲイザーの名盤を生んだMANITOBAが改名!
 何でも元THE DICTATORSのシンガー、ハンサム・ディック・マニトバが「マニトバ(MANITOBA)」という名義の使用権で訴えたことで、ユニット・MANITOBAの方は「CARIBOU」という名前に変更せざるを得なかったそうな。過去リリースされた2作もCARIBOU名義で再リリースが計画されているんだって。そんな元MANITOBA、現CARIBOU、間もなく新作をリリース予定。

TRISTEZA、日本盤登場!
 ジミー・ラヴェル(THE ALBUM LEAF)在籍時最後の作品が国内盤化決定。しかも廃盤になっているEP音源も追加収録。11/19リリース。来年には新生TRISTEZAの新作もリリース予定、更に3月には来日公演も予定されているとのこと。

U2新作情報
 11/17(日本盤)リリースの新作「HOW TO DISMANTLE AN ATOMIC BOMB」収録曲目が発表されてます。リードシングル "Vertigo" 聴きましたけど、かなりシンプルでストレートなロックナンバーで、ちょっと意表をつかれた感じ。一発で気に入りましたけど。アルバムが全編この路線だとしたらちょっと怖い。カッコ良過ぎて。

BUZZCOCK、「FRENCH」と「ENCORE DU PAIN」が“2 in 1”で再登場!
 2枚組で10/25リリース(海外)。

クラプトンの代表作 デラックス・エディション化!SACD盤も登場
 ソロ作品の中でも人気が高い「461 OCEAN BOULEVARD」にアウトテイク5曲+'74年12月のライヴ音源11曲を追加した2枚組デラックス・エディションとして12/1(日本盤)リリース予定。また10/26には「SLOW HAND」やドミノスの「LAYLA」がSACDハイブリッド盤でリリース予定。

μ-ZIQの名作「BLUFF LIMBO」復刻に!
 '94年に「Refhlex」からリリースされていた2ndが、10/25に再発(UK)。

TYRANNOSAURUS REX、紙ジャケ化!ボーナス曲も大量収録
 T-REX前夜の、フォーキーな作品集4枚が大量のボーナストラックを追加したリマスター盤仕様で10/18(UK)、12/15(日本盤)にそれそれリリース。

この秋はWHAMがアツイ!!
 織田裕二withブッチ・ウォーカーによる "Last Christmas" のカバー、そしてプリウスのCMに "Freedom" が使われ始めた時点で何やらキナ臭さを感じていたものの‥‥'97年にリリースされた「THE BEST OF...」が11/17に2,100円で再発になるそうです。


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 で、ここまでやって、飽きた。笑

 やっぱり今の俺には無理でした、ハイ。

投稿: 2004 10 11 04:09 午後 [2004年の作品] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年10月 6日 (水)

後浦なつみ『恋愛戦隊シツレンジャー』(2004)

必ずしも「1+1+1」が「3」やそれ以上になるとは限らない。特に音楽の世界では常に共通の認識としてあるんじゃないのかな? 過去にいろんなバンドで名を馳せたアーティスト達が集ったスーパーバンドが誕生したからといって、それが必ず過去彼等が在籍したバンドを超えるような存在になるとは限らない。むしろそうなってしまうことの方が少ない。本当の意味での成功を手にするのは、ほんのひと握りの存在だけ。残念だけど、それが現実なんだよね。

 それはハロプロの世界においても同じ。過去「ごまっとう」というスーパーユニットを生み出したこともあったけど、あれはタイミング的にも絶妙だったんじゃないかな。ギリギリのタイミング‥‥ハロプロ人気がドンドン下り坂へと進み始める直前‥‥いや、その数歩を踏み出した後だったのかな。だからまだ成功を手にするできた。

 ところが今回はどうだろう‥‥明らかにタイミングとしては最悪だよね。もう後がない状況の中でのセッティング。周りからは「最後の最後に、一番やっちゃいけないことやっちゃった‥‥」みたいに言われる始末。しかもそのセンスも最悪だったもんだから、尚更批判的な声が目立つ。

 変なファッションで登場した「後浦なつみ」というユニット‥‥後藤真希、松浦亜弥、安倍なつみ、というハロプロ・ソロ組の稼ぎ頭3人をひとまとめにしてしまった、まるで「紅白対策」で即席に組ませてしまった感が強いこの組み合わせ。確かに「ごっちんとなっちの組み合わせがまた観れる!」という喜びはあったものの、今や既に時遅しといった印象は拭えないし‥‥

 これで曲が本気で素晴らしかったまだ良かったんだよね‥‥ところがさ‥‥

 後浦は完全に失敗だと思う、曲の差し替え。全然出来がいいもの、"LOVE LIKE CRAZY" の方が。「戦隊モノ」とかいう飾りが邪魔してる分、完全に一般リスナーを突き放してる感が強い "〜シツレンジャー" と比べれば、こっちの方が絶対にウケると思うんだけど。特に若い女の子達、こういうモダンR&B的な曲、好きじゃない。アレンジャーのAKIRAの仕事振りはさすがだと思うし、3人の個性のぶつかり合いという意味では完全にこっちの方が勝ってるよね?「LIKE CRAZY」だっけ、今回のコンセプト? 「CRAZY」の意味が違うもの、"〜シツレンジャー" と "LOVE LIKE CRAZY" とじゃ。

 あれでしょ、当初 "LOVE LIKE CRAZY" はデスチャ(DESTINY'S CHILD)とかあの辺の路線を狙ったわけでしょ。あの変なファッションといい。もっとちゃんとしたコンセプトを持ってれば、間違いなく成功したはずなのにね‥‥よりにもよって、あの「▼」な髪型はないよなぁ‥‥あれ、辻希美がコント(「ぴょ〜ん星人」とか「河童の花道」)でよくやる髪型と一緒じゃん。そりゃ3人とも嫌がるって。若い女の子なんだから。ビヨンセでも嫌がるよ、ありゃ。

 「1+1+1」が「3」やそれ以上になるには、勿論その「1」それぞれの力量も大切だけど、それを支える裏方の努力や才能も加味されるんじゃないの、こういう世界じゃ。だからこそ「3以上」になるんじゃないの? それに、「3」や「4」程度じゃ許されないよね、こんな最高の組み合わせなんだからさ‥‥ホント、安易な考えでいろいろ試みるのは面白いと思うけど、もうちょっとさ‥‥頑張ろうよ。尻に火着いてるんだからさ‥‥



▼後浦なつみ『恋愛戦隊シツレンジャー』
(amazon:初回盤通常盤シングルV

投稿: 2004 10 06 03:08 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, 安倍なつみ, 後浦なつみ, 後藤真希, 松浦亜弥] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年10月 1日 (金)

美勇伝『恋のヌケガラ』(2004)

「出来の悪い子供程可愛い」と世間では言われてますが。ことハロプロの世界においてはどうなんでしょうね。

 石川梨華の来春卒業に向けて、ある意味無理矢理組まされた感が強い「美勇伝」というユニット。これが今後、本当に長続きするのかどうか、個人的には微妙に感じてるんだけど(まぁ10月からはその美勇伝をタイトルに付けた帯番組も始まるから、少なくとも3〜6ヶ月は続けるつもりなんでしょう)。

 だってねぇ。石川卒業が来年4〜5月頃だとすると、それまでの約半年の間に、シングルが少なくともあと1枚は出ますよね。で、問題は卒業後よ。その活動の場をどうするのか。今更モーニング娘。に帯同するのもあり得ないし、安倍なつみや後藤真希と一緒ってのもまず考えられない。となると‥‥Berryz工房やWと一緒‥‥これが一番現実的かもね。逆にメロン記念日なんかと一緒に回った日にゃ、メロンの方が食われちゃいますからね、石川人気に。

 さて。世間ではTHE POLICEの "孤独のメッセージ (Message In A Bottle)" のパクリだ、と騒がれている "恋のヌケガラ" という曲。作詞:湯川れい子、作曲:はたけ、というこれまでにない組み合わせで我々の元に送り込まれたわけですが‥‥アレンジが鈴木Daichi秀行じゃなぁ‥‥どうにもこうにも、ねぇ?

 いや、決して悪い曲だとは思いませんよ。Bメロ〜サビメロとかはキャッチーだと思うし、アレンジさえしっかりしてればもっと高評価を得ることができたんじゃないか、とさえ思ってますから。けどねぇ‥‥この中途半端なGS風+'80年代歌謡アレンジ、どうにかならなかったのかね? はたけだからってわけじゃないけど、もっとパワフルなハードロック調でもよかった気がするんだけど。サビがサビだけにBON JOVI調とかさ。

 一方、C/W曲である "銀杏〜秋の空と私の心〜"。これがね、なかなかの良曲なんですよ。初期タンポポと「FIRST KISS」時の松浦亜弥との中間的ポジションな楽曲&アレンジで、こちらでは作詞作曲はつんく♂。アレンジは鈴木俊介。何でこれくらいの力を表題曲の方にも入れなかったんですかね。つうかさ、これが平均点レベルなんじゃないの?

 と、いきなりのデビュー曲が辛口評価となってしまった美勇伝。先行きが怪しい気がしないでもないですが‥‥まぁ乗りかかった舟ですからね、俺的には‥‥腐っても石川梨華、っつうか‥‥はぁ‥‥



▼美勇伝『恋のヌケガラ』
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投稿: 2004 10 01 12:48 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, 美勇伝] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年9月24日 (金)

安倍なつみ『安倍なつみ〜モーニング娘。卒業メモリアル〜』 (2004)

 DVDってものが普及してから、それまで以上に映像ソフトを気軽に購入できるようになりましたよね。例えば映画。ひと昔前だったらレンタル以外は考えられなかったのに、気づけば価格破壊が進み、現在ではCDアルバム1枚買うのと同じような値段で新作が買えてしまう。時々キャンペーンと称して1,500円で旧作品を再発したり、2,980円で1枚買うと、もう1枚好きなDVDが貰えたりとか、とにかく頑張ってる。で、こちら側もそう何度も観たりしないくせに、気軽に映画や映像ソフトを購入する。所有欲の強い人だったら尚更だし。ホント便利な世の中になったもんだ。

 映像ソフト‥‥特に音楽系なんて、昔は大金出してまで欲しいと思わせるような作品、少なかったよね。普段観る機会のない洋楽アーティストの場合はライヴビデオとか出ると、そりゃ有り難かったけどさ‥‥けどチケット代よりも高い金出してまでして観たいかと問われると、それもまた‥‥

 結局この手の映像ソフト‥‥DVDの躍進で一番恩恵を受けたのがアイドルやグラビア系の人達なのかな、と。写真集を買う感覚で(しかも同じような値段で)1時間程度の映像が観れるわけだし。イマジネーション働かせなくてもいいしね、いろんな意味で(いろんな意味?)。

 多分、俺もここ数年でアイドル系‥‥まぁ主にハロー!プロジェクト関係ですが‥‥のDVDを随分と買いましたし観ましたよ。けどその殆どがライヴだったりPV集だったり。ま、音楽がメインなわけですよ。けどさ、つい最近、ちょっと異色のDVD作品がリリースされたんですね。で、俺はそのDVDを発売後すぐに入手し、この夏の間、相当な回数リピートして観たわけ。

 「安倍なつみ〜モーニング娘。卒業メモリアル〜」と題したDVD。 諸般の事情で、本来4月に発売される予定だったこの作品、 昨年の卒業発表から約1年経った今年の7月にリリースされたわけですが‥‥

 これがね。何度観ても泣ける。

多少なりともモーニング娘。に、安倍なつみに興味を持っている人が 観た日にゃ、間違いなく号泣ものだと思います。 彼女のチャーミングさは勿論なんですが、それ以上に 人との繋がりの強さであったり、そういう運命めいたものを 強く感じさせる内容で、特に中澤裕子がわざわざ「なっちの 娘。コン、ラスト」となった鹿児島公演にまで足を運んだという エピソードとその映像は、涙なくしては観れません。

 俺、今年1月のなっち卒業コンに足を運んだわけですが、 実は未だにその模様を収めたDVDを観れないんですよね。 自分にとって、あれこそが「モーニング娘。の最終回」であって、 本当の意味で「心底愛したモーニング」はあそこで 一旦終わってるんですよ。 その後のモーニングは、間違いなくあのモーニングなんだけど、 でも「1/25以前」と同じように接したり愛することができない、 そんな存在なんですよ。 だからこそ、あの「惨劇」を好き好んで観ることができない。

 でも、このなっち卒業メモリアルDVDに収録されている 卒業式の模様は、すんなり受け入れることができた。 それはきっと過剰な演出を排除した「記憶の断片」として それらの模様が収録されているから、なのかも。 いや判らないけど。

 自分はそれまで、いや、それこそ「ASAYAN」でオーディション 受けてる素人時代のなっちまで遡っても、彼女を「好き」とか そういった類の興味を持つ事は一度としてなかったんですね。 確かに可愛いとは思う。でも人として惹かれなかった。

 一時期‥‥"LOVEマシーン" でブレイクした頃も実は最初に 心惹かれたのはなっちではなく、ましてや後藤真希でもなく、 市井ちゃんだったという事実。 そしてその市井卒業と共に、彼女達への興味も薄らいでいった。

 再び彼女達に心奪われたのは "ザ☆ピ〜ス!" であり、 その中心で歌っていた石川梨華だった、と。 と同時に、市井ちゃんの芸能界復帰。これが決定打だったわけ。

 でも、俺にとっては常になっちは「One of them」だったのね。

 それがね。

 この卒業前後から、急に魅力的に思えてきた。 そして迎えた1/25。これが決定打だったのかな。 気づけば既にソールドアウトだったミュージカルのチケットも 手を尽くして入手。更には写真集やらDVDやら。 ドラマに出れば、毎週録画してでも観る始末。 もはや末期ですな。

 7年近く、彼女を遠くからずっと見てきて、 ここにきて興味を持つようになったのは、何故なんでしょうね。 そりゃ確かに魅力的ですけど。 1/25は確かに酷かった。けど凄かった。 あれが切っ掛けなのは判るけど‥‥でも‥‥

 これは今後も暫く、何度も観続けるような気がします。

 そのうち、誰かの家で上映会とかやりたい程ですよ。 ま、俺ん家でもいいんですけどね。 来れるもんなら来てみやがれ!って感じですけど。



▼安倍なつみ『安倍なつみ〜モーニング娘。卒業メモリアル〜』
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投稿: 2004 09 24 01:30 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, 安倍なつみ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年9月23日 (木)

ZIGGY『VICISSITUDES OF FORTUNE』(2004)

 今年の夏はZIGGYと共にあった、と言い切っても過言ではありません。

 ‥‥ゴメン、ちょっと言い過ぎかも。いや、とにかくそれくらい「RISING SUN ROCK FESTIVAL」での彼等のパフォーマンスはインパクト大だったんですよ。いや、彼等だけでなく、オーディエンスや環境も含めてだな、うん。間違いなく今まで観たZIGGYの中でもベストだったと思う。'89年よりも、'90年よりも、そして'02年よりも、遥かに上。選曲云々じゃなくて、トータルでベストだった、と。

 勿論今年の夏はフジロックやそのエゾロック含め、いろんなライヴやイベントに顔を出したけど、結局最後に胸に残るのは、石狩の地で聴いた "I'M GETTIN' BLUE" であり "GLORIA" であり、"HEAVEN AND HELL" であった、と。それが全てなんだよ、今の俺にとって。

 結成20周年、デビューから17年。紆余曲折ありながらも、こうやって日本を代表するロックフェスに顔を出し、そこで大合唱を巻き起こしてしまう‥‥ファン以外の若い子までを巻き込んで。きっとそんなロックンロールバンド、数える程しかいないはず。逆にさ、今5年10年と第一線で頑張ってきてるバンドが、もう5年10年経った時、同じような現象が起こせるのか‥‥アーティストにもよるでしょうけど、そういう「誰もが一緒に歌える」必殺の1曲をちゃんと持ってるかだよね。

 俺はずーっと、夏フェスでZIGGYが観たいって言い続けてきたんだよ。ひたちなかは無理としても、せめてサマソニならアリだろう、と。本来なら'02年‥‥HANOI ROCKSが復活し、GUNS N'ROSESが降臨し、急遽THE WiLDHEARTSが来日したあの年にこそ、復活したその年にこそ出るべきだったんじゃないのかな。なのに彼等は普通にチケットを買って、お客として来場していた‥‥なんじゃそりゃ。でもそれがあったから、今の彼等があるんだろうけどさ。

 改めて思うのは、決めの1曲といえる "I'M GETTIN' BLUE" や "GLORIA" 以外にもそれ相応の楽曲、あるいはそれに匹敵する予備軍が腐る程あるということ。この4枚組ボックスを聴いて‥‥頭では判っていたけど‥‥再認識させられましたね。初期のルーズなロックンロールも、中期のBEATLES風サイケポップ〜歌謡ロック路線も、そして再び4人編成に戻ってからのハイパーアクティヴな路線も。ちゃんと一本筋が通ってる。さすが。

 11月。2日連続で渋谷公会堂ライヴを行います。初日はSNAKE HIP SHAKES時代限定、2日目はZIGGY時代限定のライヴみたいですね。演奏時間もかなり長くなりそうですし‥‥当然2日共チケット押さえました。

 さぁ〜て。後は‥‥君らの番だよ。



▼ZIGGY『VICISSITUDES OF FORTUNE』
(amazon :限定盤通常盤

投稿: 2004 09 23 01:00 午前 [2004年の作品, ZIGGY] | 固定リンク

2004年9月22日 (水)

EUROPE『START FROM THE DARK』(2004)

 今の若い子達はよく判らないけど‥‥少なくとも俺等くらいの年代にとって、EUROPEってバンドといえば、間違いなく "The Final Countdown" なわけ。あの安っぽいブラス系シンセによる覚えやすいリフ。メロウで親しみやすい歌メロ。BON JOVI程暑苦しくないボーカル。そして泣きまくるギターソロ。ポップソングとしても通用するあの完成度の高い楽曲こそが、今30前後の人達にとってのEUROPEなわけ。

 「おいおい、待てよ。俺にとってのEUROPEは "Seven Doors Hotel" だぜ!?」と反論する人もいるでしょうけど、そういう人はほんのひと握りだと思う‥‥つまり、メタルファンってことよ。その筋に精通してるから、他にももっと良い曲があることを知ってる。あるいはバンドの本質みたいなものを(それが正しかろうが、あるいはそいつの思い込みだろうが)必要以上に知っていたりする。けど、大半の人達にとってはそんなこと、どうでもいい事実なんだよね。多くの人にとっては、'86〜7年にMTVからバンバン流れたあの曲のPVこそが全てなんだから。

 このバンドも面白いというか、非常に可愛そうな存在なんだよね。多くの人が認識してる3rd「THE FINAL COUNTDOWN」はバンドにとって(世界中で1,000万枚以上も売った最大の大ヒット作であるという事実に反して)『本質ではない』忌むべき存在であり、彼等にとって新しい音楽を模索し続けた4th「OUT OF THIS WORLD」や5th「PRISONERS IN PARADISE」はコアなファンにとっては駄作以外の何ものでもなく、そんな彼等にとっての究極の名盤は1st「EUROPE」や2nd「WINGS OF TOMORROW」だというのだから‥‥こんなにもバンド/一般層/コアなファンの意見が食い違うのも珍しいんじゃないでしょうか。

 そんなEUROPEが約12年振りに復活、13年振りの新作となる6th「START FROM THE DARK」をリリースしました。が、これまた多くのファンにとってはガッカリな対象になってしまうんでしょうね‥‥

 「OUT OF THIS WORLD」というアルバムを個人的には気に入っていたり、また解散前ラスト作となった「PRISONERS IN PARADISE」もタイトルトラックを含む幾つかのトラックは特筆に値する程素晴らしかった、と今でも思ってる俺からすると、今度の新作は間違いなくその延長線上にある作品であり、13年というブランクはあるものの、ソングライティングやメンバー個々のミュージシャンとしての成熟度は、過去の作品とは比べ物にならないと思います。確かに多くの人が思い浮かべる『EUROPE像』からかけ離れた色を放つ楽曲が大半を占めていますが‥‥ジョーイ・テンペストが歌えばどれもEUROPEの曲に聞こえるんですよね。ギターがDやBまでダウンチューニングを施していることから、確かに違和感はあるものの、それは何度か聴いてるうちに気にならなくなりましたね、俺は。つうかむしろ‥‥3曲目辺りで、今このバンドがどういう位置に立って、どういうバンドを相手に戦っていかなきゃならないのか‥‥そしてそれをバンドが必要以上に自覚しているってことに気づきました。そうですね、スウェーデンのバンドですし‥‥そういった若手と同じ土俵で戦わなくちゃならないんですよね、今後は。いつまでも昔のヒット曲で食い繋ぐわけにはいかないんですよ。

 そして‥‥改めてこのバンドって、DEEP PURPLEからの影響が強いバンドなんだな、と再認識。3rdや4th辺りからもその要素は十分に感じられましたが、ここでは更に‥‥THIN LIZZYであったり、UFOであったり‥‥といった'70年代ブリティッシュ・ハードロックが見え隠れするんですよね。勿論、モダンなアレンジを施しているからそう感じない人も多いでしょうけど‥‥やっぱり本質は変わってないんだや、と。

 多分このアルバムは大したヒットを記録することもなく、ツアーのみが大盛況のうちに終わるんでしょうね(だってツアーでは古い曲が沢山聴けるわけですから)。けど‥‥このまま続けて欲しいですね、過去に捕らわれずに、むしろ頭の固いファンを置いてけぼりにするくらいの前進を‥‥。



▼EUROPE『START FROM THE DARK』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2004 09 22 01:00 午前 [2004年の作品, Europe] | 固定リンク

2004年9月21日 (火)

カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)『シャイニング 愛しき貴方』(2004)

 ども。今年に入ってから多くのモーヲタ系サイトから「最近ハロプロに冷たい」「もうどうでもいいんですね?」「中途半端に取り上げないでください」と不評を買いつつも、ネットラジオで推しメンを石川だと公言したり、番組中に大声で「あいぼーんっ!」と叫んでしまう、とみぃでございます。

 つーかさ。俺ずっと言いたかったのよ、そういう人達に。どこ読んでるの?って。彼女等のいいところだけを見てダメなところを見ない振りをするのが「正しいファンの姿」なのかい? そんなのが正しいヲタの姿だというなら、俺はそういう人達とは正直付き合いたいと思わないし、そんなくだらない世界に身を置きたいと思わないわ。

 確かに今年に入ってから‥‥特になっちが卒業してからのモーニング娘。及びハロプロに対して、以前程の興味を持てなくなってるのは事実ですよ。でもさ、だったらCDフラゲしたり発売してから間もなくにレビュー書いたりしないよ。いくら需要があるからといっても、そこまでして書きたいと思わないし普通。俺は‥‥そりゃ以前程じゃないけどさ‥‥サイト終わらせるまでしっかりとモーニングやハロプロと。俺なりに接してきたつもりだけど。愛情を持ってさ。それが伝わらなかったんなら、そりゃもう俺の文章力の問題ですね。うん、もっと精進します。

 まぁ‥‥上に書いたようなことを言ってる人達って、多くが‥‥正に「全肯定」な人達だからな。数年前の俺にもそういう風な側面が多少あったけど、そんな時だって常に問題意識は持ってたつもりよ俺。

 あとさ。ハロプロ系のディスク・レビューは非常に冷静に捉えてるのに、ことライヴレポートになると熱くて私感ばかり‥‥みたいなことを書いてる人もいたけど。はっ!?って思ったよ。予想外の反応だったもので。へっ、そんなもんじゃないの? これ、個人が趣味でやってるサイトよ? 何故私感で語っちゃいけないの?(いけないとは言ってないか)

 CDのレビューってのはさ。何度も聴き込んで書くわけでしょ。で、そんなに良いと思えない作品でも、何回、何十回と聴き込んでると慣れが生じてくるんだよね。で、最初に感じていた疑問が解消されちゃう、あるいはどうでもよくなる場合があるんですわ。要するに、何度も同じものを再現できるじゃないですか、作品(CDやDVD)って。

 ところが。ライヴってたった1回なんですよ。そりゃ一部のモーヲタの皆さんは同じツアーで何回も、あるいは1日に昼夜と同じ公演を見る事ができ、補完したり比較したりできる。けど殆どの人はその時一回限りでしょ? それを熱く語って、いや、熱くなって何がいけないのかな、と(いけないとは言ってないか)。

 それこそ凄い私感ですが‥‥俺、そういった私感の混じらないライヴレポートは読んでて興味を覚えないんですよ。確かに一部雑誌のライヴレポはどうかと思いますが‥‥ネットで見かけるライヴレポって書き手の姿が見えてくるのが、俺的には楽しいというか醍醐味を感じるんですよね。ま、それは俺の場合なんですけど。まぁ‥‥だから、もし次にサイトをやるようなことがあっても、間違いなく同じようなスタンスでライヴレポートを書き続けると思います。ええ、間違いなくね。

 さて、そんな「最近めっぽうハロプロに冷たい」とみぃが、サイト終了後に買ったハロプロ系CDとなると‥‥実はたった2枚なんですよね。なっちの「恋のテレフォンGOAL」と、このカントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)「シャイニング 愛しき貴方」。両方共単純に曲が気に入ったから買ったんですが、特にこのカン紺藤の曲は絶品ですね。

 ますます「カントリー娘。」という存在がどうでもよくなる作品ですが、この'50年代アメリカン・グラフィティ的世界観を持ったロッカバラードは、これまでのハロプロにはなかったタイプの楽曲ですし、何よりも藤本美貴の独壇場ともいえる歌‥‥これがね、久し振りに聴いててゾクッときたわけですよ。Aメロ(サビも兼ねる)での抑えた歌い方は、彼女のソロ作品‥‥特にシングルB面曲に多かったバラード調での歌い方を思い出させたし、Bメロでの盛り上がりで聴かせる歌い上げ。これがもうね。藤本節炸裂といいましょうか。彼女の真骨頂ですよね、これは。他のメンバーのファンからすれば「何であさみのソロが少ないんだよ‥‥カントリー娘。なのに!」とかいろいろ不満の多い1曲なのは確かで、何でこれを藤本のソロ名義で出さないのかは、確かに俺にも疑問です。そう、何でおまけを付けたソロ活動なんですかね?(他のメンバーのファン、スマン。けどこれが現実でしょ?)

 正直、カップリング曲はどうでも良くなるくらい、タイトル曲のインパクトが強いわけですよ。曲がシンプル(AメロとBメロの繰り返しで、3分前後)、アレンジも可能な限りシンプルという最近のハロプロには珍しいタイプの曲で、まぁ売れるタイプの楽曲ではありませんでしたが、個人的には今年の「ハロプロ楽曲大賞」の上位候補のひとつですね。



▼カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)『シャイニング 愛しき貴方』
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投稿: 2004 09 21 12:39 午前 [2004年の作品, カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。), ハロー!プロジェクト] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年9月20日 (月)

エレファントカシマシ『友達がいるのさ』(2004)

 あれっ、エレカシの新作「風」って最初CCCDって出てなかったっけ? だからテンション下がって、シングルも買わなかったんだよな今回。何だよ、何時CD-DAに変わったんだよ!?って最初から?? → 調べてみると、俺が最初にみたamazonは未だに「CCCD」って表記されてるけど、方やHMVタワレコではCCCDの表記がないので、東芝のサイトをそのまま信じてもいいのかしら?

 とにかく。新曲「友達がいるのさ」は最初有線で聴いた時からかなり気に入ってるし、CD-DAとなれば当然アルバムは買うわけですが。となると改めてシングルの方は‥‥カップリング含めてアルバムにそのまま入ってるんだよね。ってことはDVD欲しさに買うかどうかの問題だよね。こないだの野音の "東京の空" 1曲だけだっけ? う〜ん、どうしよう‥‥野音完全版DVDとか出ないのかしら?

 そういえば、エレカシも去年のひたちなかを最後に観てないなぁ‥‥去年の「BATTLE ON FRIDAY」で観た時の、全曲新曲っていう試みは面白かったし、実際曲も凄くいい!と思ったんだけど‥‥結局CCCDってことで聴けなくて。周りの論調が大絶賛モードであればある程、逆にこっちのテンションはどんどん下り坂で。ひたちなかの時も、素直に楽しめなかったし(特に新曲になるとね)。

 エレカシに罪はないよ。悪いのはCCCDであって、レコード会社なんだから。

 そう頭で判っていてもね。凄く許し難いものがあって。自分の中で。

 けどさ。そういうのも、こないだ観たTHE MAD CAPSULE MARKETS単独ライヴで全部吹っ飛んだよ。やっぱり純粋にカッコいいものはカッコいい。それでいいじゃん、って。そりゃCCCDで聴けないのは辛いけどさ。ライヴはそれとは関係なく凄いわけだし。曲の良さも十分伝わったし。

 でもマッドの場合は心のどこかで「‥‥いずれ海外盤がリリースされるだろうから、そこまでの我慢だよな‥‥」って気持ちがあったのも確かで。エレカシはそういうわけにいかないもんなさすがに。

 世の中的には「DEAD OR ALIVE」「俺の道」といった初期ハードコア的サウンド回帰、歌詞の深化を大絶賛してるようだけど、やはり俺はそれに続いた前作「扉」を評価したいんだよね。そこよりも更に数歩上に行ってるよね間違いなく。

 そしてその「扉」から更に余計なものを排除し、より研ぎ澄まされた作品集に昇華させたのが、今度の「風」なんじゃないか、と勝手に思ってます。現時点ではまだリリースされてないし、アルバム中の6曲を、しかも内4曲は30秒程度を視聴しただけの感想でしかないけど‥‥集大成とかそんな簡単な言葉では済まされない、何だかもの凄いアルバムが出来上がったんじゃないか‥‥そんな予感がするのね。

 もしかしたら今のエレカシって、再び「東京の空」くらいの高みに達しようとしてるんじゃないですかね? そりゃもう「生活」みたいなアルバムは無理かもしれないけど。いろんな意味でもう一度、バンドとしてもの凄い高みに達しようとしてる気がします。ま、音源聴いただけでもの言ってるだけですが。

 年末の「COUNT DOWN JAPAN」、エレカシ出るんだっけ? 時間調整して行こうかしら。勿論他の出演者にもよるけどね。



▼エレファントカシマシ『友達がいるのさ』
amazon
 

投稿: 2004 09 20 01:30 午前 [2004年の作品, エレファントカシマシ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年9月19日 (日)

エイプリルズ『パン・ダ』(2004)

 「とみ宮」終了後、本当によく聴いたアルバムが何枚かありましてね。例えばPOSIESの(そしてここ最近はR.E.M.でのライヴ・サポートギタリストとしても有名な)KEN STRINGFELLOWのソロアルバム「SOFT COMMANDS」だったり、グラスゴーからの新たなる刺客・DOGS DIE IN HOT CARSのデビュー盤「PLEASE DISCRIBE YOURSELF」とかね。後はフジロック/エゾロック出演者のアルバムとかさ。

 で、そんな中からいつもは各月のオススメ盤として「MONTHLY PICK-UP」というのを決めてたじゃない。ま、大半は新譜なんだけどさ。でね。8月のオススメ盤にしたかったなー、ってサイト辞めてからずっと考えてた作品が1枚ありましてね。本当にこの1月半近く、ずっと聴いてるんですよ。

 それがエイプリルズのファースト・フルアルバム「パン・ダ」でしてね。ギターポップmeetsエレポップ、男女の掛け合いボーカルという、個人的に非常にツボな1枚でね。例えば‥‥比較として正しいとは思わないけどさ‥‥3〜4年前までのスーパーカーとかさ‥‥なんつーか、そういう匂いを感じるのね。勿論全然別モノだよ。個人的にはエイプリルズの方が断然好きなんだけど。

 とにかくね、曲がいいのよ。ポップでキャッチー尚かつドリーミー。苦手な人にはとことんダメであろう歌詞の世界観やバンドとしてのスタイル、そういったものが足を引っ張ってるっていう声もあるかもしれないけど、そんなの知ったことか。俺が好きなんだもん。何か文句あるか!?

 ジャケのイメージと実際のサウンドとビジュアルイメージと、全てが見事に一致してると思うし、更に先週念願のライヴを観ることが出来たわけだけど‥‥完全にノックアウトされちゃったわけ。あー、アルバムの完成されたサウンドも良いけど、ライヴならではの豪快さと緻密さが同居するこの感じもいいなー、って。

 けどさ‥‥もっとノックアウトする要素があったわけ‥‥ボーカル&シンセの紅一点、イグチミホさん‥‥彼女に一目惚れしちまったわけさ。あーマジですよ! 思わず今、オフィシャルにあるプロフィールにある「好きなタイプはサラリーマン、ちょっと冷たい人。メガネにも弱いらしい。」ってのを読んで、思わず小さくガッツボーズを取ってしまったのは、ここだけの話な。サラリーマンだし、普段はコンタクトだけど家ではメガネだしな。ちょっと冷たい‥‥よし、これからはそんな感じで!(えーっ)

 勿論さ、曲やバンドとしての魅力が大前提ですよ。それがなかったら絶対に気に入ってなかったわけだし。アルバムもこんなにリピートしまくってないだろうし。そう、本当にサイトがあのまま続いてたら間違いなく8月度のオススメ盤として推薦してた作品ですよ。

 あ、来週土曜に下北でライヴ? しかも深夜にレコ発イベント!? やべーっ、土曜出勤終わったらその足で行くよ俺! もうメロメロだもん!!(ダメな奴ー、とか言うなそこ)



▼エイプリルズ『パン・ダ』
(amazon:CDVDCD+1

投稿: 2004 09 19 12:31 午前 [2004年の作品, エイプリルズ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年9月17日 (金)

MARILYN MANSON「Personal Jesus」(2004)

 来週末(9/25)にリリースされるMARILYN MANSON初のベストアルバムに収録されている、唯一の最新録音曲。これ、DEPECHE MODEのヒット曲のカバーなんですよ。

 で、さっきPVを初めて観たんですが‥‥曲自体はオリジナルに忠実で、あれを更にMM風にノイジーにした感じ。けどマンソンはしっかりと、丁寧に歌ってるのね。それが印象的。

 そういやぁギターのジョン5って抜けたんだっけ。だからPVには4人しかいなかったのか(マンソンやキーボードの奴がギター弾いたりとかしてたから)

 今回のベスト盤。日本の初回盤仕様はベスト盤+リミックス&コンピ盤収録カバー曲等のレアトラック盤+"Personal Jesus" までの全PVを収録したDVD、という3枚組なんですよ。これで3,800円だったかな‥‥去年のレッチリが3,500円くらいでCD+DVDだったのを考えると‥‥ま、レアトラック盤は全部既出音源だからイラネ、って人もいるだろうけどさ。

 そういえばMARILYN MANSONって、初来日のクアトロ公演以来、観てないんだよね‥‥あれは'97年の3月頃だっけか? 「ANTICHRIST SUPERSTAR」出た後だから、やっぱ'97年か。現在A PERFECT CIRCLEに参加してるトゥイギーがまだベース弾いてて、最前列彼の真正面を陣取ったんだよな‥‥よだれダラダラ垂らしながらベース弾くトゥイギー萌えー、とか言いながら(嘘)

 そろそろ、もう一回ちゃんと観たいんだけど‥‥去年のBUCK-TICKが前座やった公演、行きたかった‥‥朝霧と被ったんだよな、あれ。ベスト盤出るし、年明けに来ないかしら。ソニマニでもいいんで。

 そういえば、VELVET REVOLVERが来年1月に来日決まりそうですよ。ただ、スコットのビザが下りる/下りないで揉めてるようで‥‥やっぱりドラッグで有罪判決受けちゃったからね。どうにかならないもんかしら。

んん‥‥1月ってことは、やっぱりソニマニか? 去年のリベンジってわけか‥‥成る程ね。



▼MARILYN MANSON「LEST WE FORGET : THE BEST OF 」
(amazon:DVD付限定版通常盤

投稿: 2004 09 17 01:48 午前 [2004年の作品, Marilyn Manson] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年9月 5日 (日)

美勇伝「恋のヌケガラ」を聴く

 ラジオにてフルコーラス聴きました。

 あー、成る程。確かにイントロのギターはTHE POLICEの "孤独のメッセージ" をマイナーに転調しただけだわな。アレンンジもドラムのリムショットとかギターのクリーン+コーラスとディストーションの中間的なサウンドとか、あの曲を意識してるのは判るんだけど、まぁ基本的にはイントロのみですよね。曲自体は良くも悪くもつんく♂流歌謡ロック。それ以上変わりようがないわけですが。

 まぁ‥‥とりたてて騒ぐ程のもんじゃないな、というのが正直な感想。それいったら、昔の歌謡曲なんてね‥‥まぁ久し振りにこういう判りやすい大ネタを使ったって意味で、今回は騒いでるんだろうけどさ。

 それにしても石川が歌うと、全部石川の歌になっちまうのな。改めて、リーサルウェポンだなと実感。



▼美勇伝「恋のヌケガラ」(amazon

投稿: 2004 09 05 11:56 午後 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, 美勇伝] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年8月24日 (火)

BUMP OF CHICKEN『ユグドラシル』(2004)

 ひと通り聴いた感触として、


  「難産だったろうな‥‥」


という印象を受けました。

 別に前作から2年半も間が空いたから、とかそっちを言ってるんじゃなくて、表現者として非常に苦しんだ1枚だったんじゃないかな、と感じたのね。アルバムの作風がこうだから、とか、コンセプトがこうだから、とか、いろいろ思う事はあるけど、個人的にはこういう作品が大好き‥‥というか、すっげー共感する部分が多いから、すんなり入って行けるんだよね。

 ミスチルでいえば「深海」。

 ゆずでいえば「トビラ」。

‥‥って全部トイズじゃんか。苦笑

 いや、久し振りに「アルバムとして」楽しめるバンプの作品集だと思いました。もっと聴き込んでいろいろ味わってみます。

 12月の幕張、とりあえず申し込もうかな。それまでには演奏もっと上手くなってるといいね!



▼BUMP OF CHICKEN『ユグドラシル』
amazon

投稿: 2004 08 24 11:08 午後 [2004年の作品, BUMP OF CHICKEN] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年7月27日 (火)

DONAVON FRANKENREITER『DONAVON FRANKENREITER』(2004)

ジャック・ジョンソンの盟友ってことでここ日本でも紹介される機会が多いドノヴァン・フランケンレイター。実はジャック同様、プロサーファーとしても活躍してきた有名人で、このファーストアルバム以前にもインディーレーベルからミニアルバムを2枚程、リリースしていた過去があります。殆ど日本の市場には流通しなかったこのミニアルバム、昨年の朝霧JAMで初来日を果たした時、会場内で販売され完売しただけでなく、一部都内の外資系CDショップの店頭に並んだものの、すぐに売り切れるといった人気振り。局地的な人気を保っている証拠でしょうか。

実は俺、昨年の朝霧で彼を観てるんですが‥‥なんか能天気なアコースティックセットだったな、という記憶しかないんですよね。ま、朝イチだってってのもあるんでしょうけど、そこまで熱心に観なかったんですよ。後半、BONNIE PINKがゲスト出演したのにも気づかない程でしたし(後で知らされて「あーそうだったんだ」って思ったくらいですから)。

そんな俺が何故急にドノヴァンにハマったのかというと‥‥これはもう、完全にジャック・ジョンソンからの流れですね。ジャックのアルバムにドップリハマって、そこからG・ラヴへと流れ、そしたら知らない間にメジャーからリリースされていたドノヴァンのファーストUS盤を注文して‥‥届いてから毎朝、寝起きに聴いてるのはこればかりですね。

ジャック・ジョンソンよりもアッパーでポップ。それがドノヴァンの第一印象かな。アコースティック主体なんだけど、所々でエレピとかも入ってきて、またジャックのサウンドとは若干違うのね。昨年観たライヴではドノヴァンが歌とギターで、あとはもうひとり、パーカッションのメンバーがいるだけという構成。それで「ドノヴァン・フランケンレイター・バンド」と名乗ってたんだから‥‥

熱すぎない、適度な掠れ具合の声がまた心地よく、客演として参加しているジャック・ジョンソンやG・ラヴも彼等らしい個性を醸し出しつつも裏方に徹してドノヴァンの歌をより引き立てています。音の厚みは明らかにジャック・ジョンソンよりもある。ドラムとパーカッションが同時に鳴ってたり、更にエレキとアコギが2本重なってたり、そこにエレピやオルガンの音が被さるんだから。けど、それでいて「スカスカ感」もしっかり残ってる。この絶妙なアレンジはジャックのセカンド「ON AND ON」も手掛けたマリオ・カルダート・JR(過去BEASTIE BOYSにも参加していた)の手腕によるものでしょうね。

スキンヘッドのジャック・ジョンソン、髭モジャのドノヴァン・フランケンレイター。2者2様なんだけど、最終的にたどり着く地点は一緒という、ね。ホント、愛すべき奴ら、愛すべきアルバムですよ。

こうなると、俄然楽しみになってくるのがフジロック。一体このアルバムのサウンドをどういった編成で再現するのか。アルバム同様、トリオ+αな構成で再現するのか、それともまたふたりという最小編成で歌うのか。ま、どっちにしろ曲がいいんだし、あの環境で聴いたら‥‥イチコロに決まってるよね。



▼DONAVON FRANKENREITER『DONAVON FRANKENREITER』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2004 07 27 12:00 午前 [2004年の作品, Donavon Frankenreiter] | 固定リンク

2004年7月26日 (月)

MELTONE『POP』(2004)

  偶然の出会いだったんですよね、このバンドとは‥‥たまたま親しい友人から彼等のライヴMDを戴いて。「今年のフジロックに出るから!」ってことで‥‥まぁかなり信頼している人の薦めだったからホントにいいんだろうな、と思って気楽にMDをプレイヤーに入れて‥‥結局最後まで集中して聴いてしまったという。圧巻というか‥‥とにかくいち早くライヴが観たいバンドのひとつとして、俺内ランキングの上位に君臨していたバンド、MELTONE。結局その夢は音源を受け取ってからひと月と経たずに実現するわけですが‥‥

  日本に「ジャムバンド」という言葉が定着し始めたのは、間違いなく'99年の夏、あの年のフジロック以来でしょう。あそこに登場したPHISHが全てを変えてしまったといっていいかもしれません。勿論それ以前から、表舞台に出てこなかっただけで‥‥沢山の日本産ジャムバンドが活躍していたのかもしれません。が、そんなシーンに(シーンなんて言葉も本当は使いたくないけど)注目が集まるようになったのは、あれ以降なのは間違いない事実。実際、グリーンステージで目の当たりにしたPHISHのステージは圧巻以外の何者でもなかったですしね。残念ながら俺は伝説の「Field of Heaven」での4時間近くに及ぶライヴは目撃できませんでしたが、後から聴いた話だと本当に凄いの一言だった、と‥‥その翌年には単独来日で日比谷野音公演を実現させたりもしたっけ。残念ながらこの8月でその活動に幕を下ろすことになったPHISHですが、今や国内外のジャムバンドシーンは大変盛んで、例えば今年のフジロックを取ってみても、かなりの数のジャムバンドが出演することになっています。

  ここに紹介するMELTONEは、2000年に結成された比較的新しいバンド。'02年秋に現在のメンバー編成になり、以後ライヴ活動を精力的に続けてきたようで、最近では初のアメリカ公演も実現したばかり。そんな矢先にリリースされるのが、彼等にとって初の公式スタジオ音源となる「POP」。トラック数は9曲とカウントされてますが、実際には1曲の中に小楽章が幾つもあるような長尺の組曲構成になってたりします。当然ライヴではインプロビゼーションを重視した演奏になるので、曲によってはスタジオ盤と姿形が違ってくる曲もありますが、基本的な構成はまぁこんな感じかな、と‥‥いわば「これからライヴを観よう」って人に向けてのカタログ的役割なわけですからね、このファーストアルバムは。

  どうしても楽器隊の各プレイの凄さに圧倒されがちですが、実際には意外と歌モノが多いのも彼等の特徴かな。そのタイトル通り、正に「ポップ」なもので、変な小難しさがない。その演奏にしろ、思わず口ずさんでしまうようなフレーズやメロディが多々あって、そういう意味でも非常に「ポップ」な1枚に仕上がってると思います。

  が。やはり先にライヴを体験してしまった身としては‥‥正直ライヴの方が遥かに上だな、と言わざるを得ないかな、と。バンドには申し訳ないけど‥‥まぁそれだけ彼等のライヴや生演奏が圧倒的なものだということだしね。曲の良さは十分に伝わるし、バンドの輪郭というか骨格の部分はこのアルバムでも十分に計り知れるかもしれない。けど、もっと根元にある本質的な部分は、絶対にライヴで体験/体感して欲しい‥‥そう思わずにはいられない、そんなアルバムです。プロダクションの都合だったり初のスタジオ作だったりと、いろいろ思うようにいかなかった面も多いのかもしれませんが、ライヴの凄さを知っているファンとしてはちょっともどかしい1枚かな‥‥

  でも。あの「凄さ」には及ばないにしても、彼等の曲を手軽に自宅で楽しむことができるようになったという意味では、有り難い1枚でもあるんですよね。それにこういうサイトでライヴレポートとか熱心に書いても、結局はライヴ会場に足を運んでくれる人なんて、ほんの一握りでしょう。だったらまず、音源聴いてよ‥‥ってことで、その前にワンクッションできたという意味では、バンドにとっても、そしてMELTONEに興味を持った人にとっても願ったり敵ったりなのかもしれませんね。

  ジャムバンド好き、プログレ好き、フュージョン好き、楽器弾きの人、楽器弾かないけどカッコいいプレイが好きな人、等々‥‥とにかくいろんな人に聴いて欲しい1枚。これからドンドン成長していくバンドだと思うので、是非チェックしておいてくださいね。そしてフジロックに行く人は、3日目の「Field of Heaven」でお会いしましょう‥‥



▼MELTONE『POP』
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投稿: 2004 07 26 12:00 午前 [2004年の作品, MELTONE] | 固定リンク

2004年7月25日 (日)

キリンジ『Archives SINGLES BEST』(2004)

  「とみ宮」とキリンジ、って組み合わせ、人によっては妙に感じるのかもしれませんが、意外と過去からネタにしてたこと、多々あったんですよね。もう古い話ですが‥‥まだ日記書いてた頃とか。ま、モーニング娘。と絡めたネタだったんですけどね(例えば○○にキリンジの "Drifter" を歌わせてみたい、とか。キリンジのファンの皆様、申し訳ありません)。

  彼等との出逢いですか‥‥多分このサイトを始めた頃かと思いますが‥‥ネットを通じて仲良くなった方からキリンジの「ペイパードライヴァーズミュージック」を勧められたのが最初でしょうか。で、この時は確か別の友人からMDにダビングしてもらって聴いたんですよ。自ら進んで良く聴くタイプの音ではなかったけど、うん、たまに聴くにはいいよねー程度の感想だった記憶があるんですが‥‥

  彼等の音楽を「良い」「好き」と認識するようになって、自ら進んで聴くようになるには、それからもうちょっと時間がかかるわけですが‥‥結局切っ掛けはラジオで聴いた "エイリアンズ" だったんですね。一目惚れならぬ、一「耳」惚れってやつですか?(いやそんな言い方しないから) とにかくこれを切っ掛けに彼等のアルバム「3」を買って‥‥その後はアルバムが出る度に、ちゃんとリリース日に買っているという。へっ、そんなファンとかじゃないですけど‥‥本当のファンの皆さんに申し訳なくて。

  決してシングルを毎作買うような熱心なファンではないですし(ま、気に入った曲の時は買いますけどね)、アルバムも毎日聴き込むといったタイプの人間でもないですが、それでも「これは好きな音」と胸を張って言える。改めてワーナー自体の楽曲を集めたこのベスト盤「Archives SINGLES BEST」を聴いて、そう感じましたね。

  インディーズ時代の楽曲も含め、基本はワーナー在籍時('98~'02年)のシングル曲を中心として、そこにアルバム曲も幾つか絡めた構成になっていて、ほぼ年代順に収録されています(初回盤のボーナストラックとなる幻?の名曲 "さよならデイジーチェイン" のみ、時系列を無視して一番最後に、本当の「ボーナス」トラックとして収録されてますけど)。既に最初から完成度が高いポップスを奏でていた彼等が、作品を重ねる毎に更に高品質で純度の高い、それでいて心に沁みるポップスを連発していたことに改めて驚かされたり、自分がちゃんと聴いていなかった時期‥‥ファースト~セカンドの時期の曲でも、シングル曲はしっかり知ってたな、とか。彼等の過去の業績を再確認するだけでなく、自分のような浅いファンにとっては更に新しい発見がある1枚となってます。

  個人的にはやはり‥‥いろんな思い出や思い入れも重なって‥‥どうしても "アルカディア" や "エイリアンズ" や "Drifter" といった楽曲、アルバムでいうと「3」と「Fine」からの曲が印象深いですね。勿論、それ以外の楽曲も総じて素晴らしいわけですが。

  こういうコンピ盤って、どこかに出かける時には本当重宝するんですよね。例えば‥‥さっき、正にその状態だったわけですが‥‥夜のドライヴにピッタリだったり。時代錯誤な「シティポップ」なんて言葉は使いたくないですけど‥‥でも正にそんな言葉がピッタリなサウンドと世界観なんですよね。高速を突っ走ってたり、殆ど灯りのないような真っ暗闇の中をひとりで走ってる時、その歌詞の一言一言が心に入ってくる‥‥家で聴くよりも車の中で聴く機会の方が断然多いのが、俺にとってのキリンジなのであります。



▼キリンジ『Archives SINGLES BEST』
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投稿: 2004 07 25 06:22 午後 [2004年の作品, キリンジ] | 固定リンク

2004年7月23日 (金)

モーニング娘。『女子かしまし物語』(2004)

  辻希美と加護亜依にとってモーニング娘。在籍時最後の作品となるのが、この通算23作目のシングル「女子かしまし物語」。卒業シングルがメンバー自己紹介的ナンバーというピントのズレ具合がまたつんく♂らしいといえば、確かにそうなんだけど‥‥やっぱり違和感を感じるわけよ、いろんな意味で。

  6分に渡ってメンバー14人個々について歌う、おニャン子クラブでいうところの "会員番号の唄" 的ナンバーという触れ込みだった表題曲 "女子かしまし物語" だけど、ちゃんと歌詞に耳を向けてみるとメチャクチャ違和感を感じるわけですよ。ファンにとっては特にそうなんじゃないですかね? 彼女達のことをよく知らない人からすると「へ~っ、そうなんだ?」とか信じちゃうかもしれない‥‥ある意味面白いとは思うけど‥‥でも、この2004年の7月に、モーニング娘。に対して興味を持つ人達って、本当に限られた属性の人達だけでしょ? そんな時期にこんな「濃い」曲をぶつけてきて‥‥自棄がまわったか、つんく♂!?とか本気で思えて来た程ですよ。まぁ最初は音の荒いラジオ音源だったので、余計にネガに感じた部分もありますけどね‥‥

  ところがね、その同じ曲をテレビでパフォーマンス付きで観たら‥‥印象がガラリと変わったわけよ。あー、つんく♂や周りのスタッフは本気で『"LOVEマシーン" よ、もう一度』とか思ってるんだな、と感じ取れたわけ。中途半端で豪華だかチープなんだかよく判らない似非ファンク調のバックトラック、所々にモーニング自身や他所のお笑い芸人のネタを仕込んでいる振り付け、そして基本的には同じコード進行の8小節を延々繰り返してるだけのメロディー、メンバーの事を歌ったと見せかけて、実は「一般の女子高生やOLの日常を歌にした」だけの歌詞(最初の紹介文のせいで、聴く前から我々にある種の固定観念を植え付けられてしまったわけですね。でも実際にはそういうことみたいですね)‥‥各小節頭でメンバー14人が代わる代わる紹介されていく(決してソロパートがあるわけではなく、だ)、しかも6分間も‥‥バカバカしさを越えて、思わず感動してしまった。いろんな意味で‥‥いや、ネガな意味で涙が出そうになった、というのが本音かな。あー、もう来るところまで来ちゃったなぁ、本格的末期症状だなこりゃ‥‥って。

  決して悪い曲だとは思いませんよ。けどこの単調なメロディを6分間延々繰り返すのは、今の彼ら/彼女等にとって如何に危険な行為か‥‥テクノや本場モノのファンクバンドならまだしも、今や世間から「モー娘。」ってだけで敬遠されがちの彼女等がこれをすることが如何にリスキーか、そして「すぐに飽きられてしまう」可能性を大いに秘めていることにスタッフは気づいてるんでしょうかね? こういう時期(安倍なつみ卒業後、明らかに失速し続けている中での辻加護の卒業、そして中途半端な時期での石川梨華と飯田圭織の卒業発表という、もはやメンバー卒業といった要素でしか話題を集められない時期)だからこそ、もっと慎重に、もっと気合いを入れた展開及びプロモーションが必要なんじゃないかい?と、元ファンとしては本気で心配してしまうわけですよ。

  今年に入ってリリースされた2枚のシングル‥‥ "愛あらば IT'S ALL RIGHT" と "浪漫 ~MY DEAR BOY" はもっと成功してもおかしくないだけの可能性を秘めた楽曲だったと、今になって思う俺ですが‥‥結局はタイミングだったり、売る側の姿勢だったり、そういった要素が上手く機能しなかったために、ヲタ以外の「市井の方々」の耳には届かなかった、あるいは届いても右から左にスルーしてしまった。勿論、過去の楽曲と比べれば弱くなってるのは事実以外のなにものでもないですけどね。

  カップリング曲にしてもそうですよ。アテネ・オリンピックやそれに出場する日本女子サッカーチームに絡めた(あるいは自分達が参加する女子フットサルに向けて歌った)"がんばれ 日本 サッカー ファイト!" という曲も、決して褒められた楽曲ではないと思うんですよ。ここ数作のカップリング曲が非常に意欲的で、ある面においてはシングルのタイトル曲を越えてしまっていたはずなのに、ここにきて急に‥‥とにかく "女子かしまし物語" にしろこれにしろ、共通して言えるのが「中途半端」ということ。バックトラックも「あと一歩」だし、メロディも「あと一歩」、アレンジも「あと一歩」なら歌詞も「あと一歩」。アイデアだけはいいと思うんだけど‥‥実力/能力がそれについてきてない。枯渇してしまったのか、それとも単に時間が足りないだけなのか‥‥どっちにしろさ‥‥この曲、オリンピックが終わったら聴かないと思うよ。なんかね、勿体ないよ。もっとさ‥‥いや‥‥もういいや‥‥はぁ‥‥

  最後にさ。"女子かしまし物語" での彼女達のパフォーマンスを観て感じたことを。つんく♂さん、今回の振り付けって誰がやってるんですか?? 正直、過去最低だと思います。あのね、「笑わせる」と「笑われる」のは全然違うんですよ? そんなの関西出身のあなたならよくご存知のはずでしょ? 実際、"LOVEマシーン" の時にそんなこと、言ってましたよね? 忘れちゃいましたか?? 今のモーニング娘。からは「笑わせよう」という空気ではなくて、「笑われてる」受け身っぽい空気を感じるんですが‥‥本人達の意気込みとは裏腹にね。

  もうさ‥‥モーニングは、年末まで音源出しちゃだめ! 12月の頭に紅白用に出せばそれでいいよ。それまではつんく♂さん、いろいろネタやアイデアを貯め込んでおいてくださいよ‥‥もう一度、最後にもう一度「最高にカッコいいモーニング娘。」を我々に「これでもかっ!?」って位に見せつけてやってくださいよ。お願いだからさ‥‥ 。



▼モーニング娘。『女子かしまし物語』
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投稿: 2004 07 23 12:00 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, モーニング娘。] | 固定リンク

2004年7月 8日 (木)

後藤真希『横浜蜃気楼』(2004)

  後藤真希通算11枚目のシングルとなる「横浜蜃気楼」はいろんな意味で物議を醸し出してるようですね。まずこのシングル収録の2曲、作曲がこれまでのつんく♂ではないという点。今回の両楽曲の作曲に当たっているのは、つんく♂の元バンドメイトであるはたけが担当。しかもアレンジャーにEARTHSHAKERの西田昌史(マーシー)を採用という、かなりの異色作。

  つんく♂自信は「平成版デジハードロック」とかいうテーマを立て、それに合った人選ということではたけに声を掛けたようですが、マーシーってのがね‥‥俺世代にはちょっと感慨深い。最近EARTHSHAKERはつんく♂やモーニング娘。が在籍する「Zetima」にメジャー再移籍したようだし、その辺の繋がりもあるのかしら。

  で、いざ出来上がった曲ですが‥‥デジHRとはいうものの、まぁありがちな打ち込みロック路線ですよね。リズムトラックは完全に打ち込み、ギターとベースのみ生というバックトラック。はたけ作曲ってことでてっきり彼がギターを弾いてるのかと思ったら、「Masanori Mine」という名前が‥‥へっ、はたけの本名って「畠山某」だったよね!? で、ベースには「Koichi Teraswa」の名前が‥‥これって元BLIZARD/元SLYの寺沢功一ですよね? いやー、ビックリした。こんなところで名前を目にするとは‥‥ってことは、先の「Masanori Mine」ってのも、この手の人選かな?(で調べてみたら峰将典という表記で、昔のマーシーのソロアルバムにも参加した経緯があり、現在はAMIDAというバンドでギターを弾いてる人なようです)

  けどまぁ‥‥アレンジ自体は先にも書いた通り、そこまでハードロックしてないし、これまでの後藤を考えればまぁありがちかな?と思える展開を持つ佳曲。メロディがシンプルで覚えやすい、言い方を変えれば単調なんだけど‥‥まぁ最近つんく♂のメロに慣れ切ってたから、ある意味では新鮮かな、と。

  マーシーといえば、最近は横須賀ゆめなという女性シンガーを手掛けているんだよね。で、この子もモロにハードロック路線。あっちの方が本格的なイメージがあるけど、まぁこっちは所謂アイドルポップの範疇ですからね。それを考慮した上で考えると‥‥まぁ平均点は越えたかな、と。でも‥‥きっとこういうタイプの曲って、ライヴを積み重ねることで更に魅力を増すんだろうね。そういう意味では久し振りに後藤のライヴが観たいな、と素直に思いました。

  一方カップリングの "BLUE ISLAND" はお馴染み鈴木俊介のアレンジ。こちらもギターは鈴木が担当し、はたけの出番なし。あれれ??

  曲自体は1曲目よりもポップ色の強いメジャーキーのロック調ナンバー。ふと平家みちよの亡霊が見え隠れしたのは、ここだけのお話ってことで‥‥うん、悪くはないかな。けど特別良いというわけでもない。まぁカップリング曲かな、といった印象。後藤に合っているとは思うんだけど‥‥あと一息といった印象は拭えないかな。

  どうしてもね‥‥後藤の場合ってスタジオ音源で聴くと、あのライヴでの素晴らしさが完全には伝わらないのね。勿論彼女自身が「歌い切れて/こなせて」いないというのもあるんだけど‥‥そういう意味では今後、まずライヴ先行で新曲をバンバンやって、1~2ヶ月してからレコーディングしてリリース‥‥という形を取った方が彼女の魅力を存分に発揮できるんじゃないか‥‥なんて思うんですが、まぁアレですよ、ファンの勝手な妄想ですよね、はい。

  でもねぇ、それくらいやってもいいと思うし、それが出来るだけの実力の持ち主だと思うんですけどね。どうでしょう?



▼後藤真希『横浜蜃気楼』
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投稿: 2004 07 08 01:03 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, 後藤真希] | 固定リンク

2004年7月 6日 (火)

INCUBUS『A CROW LEFT OF THE MURDER...』(2004)

全米ナンバーワンヒットとなった前作「MORNING VIEW」から約2年3ヶ月、インディー盤を含めると通算5作目となる最新作「A CROW LEFT OF THE MURDER...」は、そのタイトル通り乱立するラウドロック/ニューメタル勢から一歩抜きん出た意欲作に仕上がっています。

メジャーからの2作目(通算3作目)である「MAKE YOURSELF」、及びそのアルバムからのシングル "Drive" の大ヒットによって時の人(バンド)となったINCUBUS。当然ながら続く「MORNING VIEW」は全米初登場1位を記録、名実共にアメリカを代表するラウドロック/ヘヴィロックバンドへと成長していきました。と同時に、彼らが知名度を増す切っ掛けとなった "Drive" や "Wish You Were Here" といった王道アメリカンロック路線により、デビュー時にあった「limpbizkitやKORN辺りの亜流」というイメージを覆し、よりナチュラルな方向へと移行しようと模索。ライヴでTHE ROOTSやJURASSIC 5のメンバーとセッションしたり等、より「そちら側」への歩み寄りを伺わせていました。

で、完成した新作。当初「インディー盤の頃みたいな路線になる」という話があったようですが、いざ蓋を開けてみると‥‥それが至極真っ当なアメリカン(ハード)ロックなんですね。まとも過ぎるくらいに真面目な王道ロック。絶対にアメリカ人、好きそうじゃないこういうの?

これまでとの大きな違いは、まずベーシストが変わったこと。そしてプロデューサーをそれまでのスコット・リット(R.E.M.等を手掛ける第一人者)からブレンダン・オブライエン(PEARL JAMやSTONE TEMPLE PILOTSの諸作を手掛ける名プロデューサー)に変えたことが挙げられるでしょう。ベーシストのチェンジはまぁ、そこまで大きな影響は与えてないかな‥‥元々ジャズ的要素の強い演奏スタイルだったし(時にRUSHのように、そして時にはPRIMUSのようににね)その色合いはこのアルバムでも随所にみられる。じゃあプロデュース面は‥‥というよりも、全体を覆う空気感がこれまでとちょっと違うように感じるのね。もっと物腰柔らかいというか、より人肌の温もりを感じるというか。それまでが冷たかったって意味じゃないけど、とにかくよりナチュラルになった印象が強い。

曲もインプロビゼーションを重視したアレンジがここ数作以上に伸び伸びとしてて、更に歌パートになると‥‥まるでU2かPEARL JAMか!?と思ってしまう程に熱い。元々そういう個性の持ち主だったブランドン・ボイドの歌は、ここで更にひと皮もふた皮も剥けたように感じられます。テクニカルな演奏に負けてないし、むしろ彼の歌が全体を引っ張ってるというイメージが強い。で、実際にそういう楽曲が全体を占めているんだから‥‥そりゃ、聴いていて飽きないし、興味深く最後まで聴けるわけだわ。全14曲、約60分という決して短くない時間だけど、終始いろんな発見をしながら楽しめる1枚に仕上がってます。

ヘヴィでラウドな面も勿論残しつつ、しかしそれらはよりストレートな方向へとシフトしていき、カチっとしていたリズムはよりラフさを取り戻し、どこかユーモラスさまで漂わす。最近ではよく比較される機会も多いPJとの大きな違い‥‥あそこまでシリアスで狂気じみていない。ある意味ではより庶民的というか、身近というか(いや、PJが狂ってて身近じゃない、って意味じゃないですよ。それくら孤高の存在ということを表したかったわけでして)。「汎用版PJ」って表現はちょっと皮肉っぽくなっちゃうけど‥‥けど、本当にそう思えてしまう程、親しみやすさを感じてしまうのが今のINCUBUSであり、このアルバムかな、と。

多分、次のアルバムでは更にレイドバックした、ルーズなアメリカンロックを聴かせてくれるかもしれない‥‥けど、もしかしたらホントに初期の頃みたいなラウド路線に復帰するかもしれない。自然な成長を見せてくれるINCUBUSだけど、ある意味ホントに先を予測できないのもまたINCUBUSらしいというか。まだ一度もライヴを観たことないだけにね‥‥一度は楽しみたいものです。オフィシャル・ブートレッグ盤ばかり聴いてる場合じゃないですよね!



▼INCUBUS『A CROW LEFT OF THE MURDER...』
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投稿: 2004 07 06 05:01 午前 [2004年の作品, Incubus] | 固定リンク

2004年7月 4日 (日)

JOSH TODD『YOU MADE ME』(2004)

元BUCKCHERRYのシンガー、ジョシュア・トッドによる新バンド(ソロではなく、あくまでバンドらしい)・JOSH TODDの記念すべきファーストアルバム。一瞬「んん、日本だけのリリースor日本超先行リリース??」って勘違いしてたけど(ほら、最近多いじゃない、いち時代を築いたメタル系アーティストの最新作や新バンドのデビュー作が日本限定リリースとか、日本盤半年先行リリース!とか)、日米ほぼ同時期のリリース、しかもアメリカ盤の方が先に出てたんですね。いやー、勘違いしてゴメンよ!

BUCKCHERRYに関しては、そのデビュー時にはかなり期待してたし、肩入れしてたんですよね。ライヴこそ一度も観れなかったけど、彼らがアメリカのメジャーレーベルから出現したという事実が俺には嬉しくてね。当時はGUNS N'ROSESもMOTLEY CRUEもほぼ隠居に近い状態だったし、かろうじてAEROSMITHが最前線で頑張ってるのみといった、ハードドライヴィングなロックンロールを愛するファンにとってはかなり厳しい状況。そりゃ日本ではやれTHE WiLDHEARTSだ、BACKYARD BABIESだ、THE HELLACOPTERSだと矢継ぎ早に来日して盛り上がってた時期ではありましたが、それはホントに局地的な盛り上がりで。アメリカではラップメタル/ニューメタルが主流の時代、前時代的なグラマラス・ロケンローは既に「死んだ」状況だったわけ。そこに登場した如何にも「前時代的な」風貌とサウンドを持つBUCKCHERRY。1stはアメリカでもそこそこのヒットを記録し、超期待の中リリースされた「TIME BOMB」で本格的ブレイクか‥‥といった中での空中分裂。正直、俺はこのアルバム、あまり気に入ってなかったのね。買ってないもん、未だに。数曲ラジオで耳にして、CDショップで試聴して。それで終わり。あー、結局そっちに行っちゃうか、みたいな。別にヘヴィロックやラップメタルをやってたわけじゃないんだけどさ‥‥もっとバカでもいいじゃないのよ、何でそんなに小賢くなろうとするかなぁ‥‥と、当時は感じたわけですよ(そろそろちゃんと聴いてみてもいいかな、とは思ってるけどね)。

当初、ジョシュのこの新バンドでのデビュー盤にもそういった「小賢さ」みたいなものを感じたのね。サウンド的には「何を今更」な路線も含まれているし。1曲目のハードドライヴィンな "Mind Infection" でおおっ!と唸ったものの、続く "Broken" での例のニューメタル的なヘヴィサウンド‥‥彼がこれをやる意味が本当にあるの? これが彼が本当にやりたかったこと??みたいな疑問が沸々とわき上がってきてね‥‥そりゃ確かに曲はよく出来てるのよ。4曲目 "Flowers & Cages" なんてそういったヘヴィな側面を持ちつつも、彼らしい(らしいのか?)メロウな面もしっかり残ってるし、PVにもなった "Shine" は歌モノとしても十分通用するし。けどさ‥‥彼の資質ってもっとラフでルーズなサウンドで更に栄えるもんだと勝手に思い込んでたもんだからさ‥‥すっげー違和感が終始あったわけ。アルバムリリースから4ヶ月近く経ったけど、ずっと感じてたもん。

けどさ‥‥ハードロック・アルバムとしてのクオリティの高さは認めざるを得ないよな、と。そりゃさ、嫌いじゃないよ、この手のサウンドは。けどね‥‥もっと彼が特異とする手段があるはずなんだよね。頭から否定するような発言ばかり書いてるけど‥‥期待してるだけに、このアレンジ(もっと言ってしまえば、バックを支える若手メンバーの力量)にはね‥‥安直過ぎるというか。6曲目 "Afraid" にしろ、アレンジ次第ではもっとカッコ良くなってるはずなのにさ(いや、これでも十分にカッコいいじゃん!っていう人はいると思うけどさ。メロディの良さを本当に生かし切れてるのかな?と疑問を感じるわけですよ)。言い方悪いけど‥‥「イエスマン」だけじゃバンドは成り立たないわけですよ。もっと(いい意味で)衝突出来るようなメンバー、あるいはパートナーとバンドを組むべきなんじゃないかな‥‥何となくだけど、今のバンドメンバーってジョシュがオーディションで選んだ、「ジョシュの理想像をそのまま具現化してくれる」サイドマンばかりな気がするんだよね‥‥「ソロアルバムじゃなくて、『JOSH TODD』という新しいバンドの1stアルバム」だと言い切るならば、余計にね‥‥ま、その辺は次作に期待すればいいのかな?

う~ん、悪くないアルバム‥‥いや、むしろこの手のジャンルとしてはかなりクオリティが高い方なだけに、余計歯痒く感じるんだよね‥‥ライヴ観れば印象も変わるのかしら‥‥あ、そうか。BUCKCHERRYの曲とかもやるんだよな、間違いなく‥‥嗚呼、余計に歯痒さを感じるんだろうな、それ。



▼JOSH TODD『YOU MADE ME』
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投稿: 2004 07 04 03:23 午前 [2004年の作品, Buckcherry, Josh Todd] | 固定リンク

2004年7月 3日 (土)

L'Arc-en-Ciel『SMILE』(2004)

  前作「REAL」から3年7ヶ月振りのオリジナルアルバムとなる、通算9作目(ベスト盤除く)「SMILE」。2001年春にシングル曲を中心としたベスト盤をリリース、同年秋に映画サントラ曲となる「活動休止」前最後のオリジナル曲 "Spirit dreams inside" をリリースし、その後は‥‥皆さんご存知の通り、それぞれがソロ活動に突入するわけです。

  俺が昨年初頭に『願・2003年ラルク復活』というようなことを書いた「REAL」レビューをアップしたすぐ後に、3枚同時のベスト盤リリースが発表になり、それに合わせ6月に代々木体育館で7回の復活ライヴを行うことを発表。新曲一切なし、ある意味これまでの活動を総括するような内容だっただけに、ライヴ最終日には解散発表があるのでは‥‥なんて憶測まで飛ぶ中、最後の最後で発表されたのが『2004年春、新作発表』という朗報でした。ファンのみならず、その後の日本の音楽シーンをも動かすであろうニュース。さて、L'Arc-en-Cielはこの時代にどう立ち回るのか‥‥

  その後、各メンバーのソロ活動も平行して行われる中、秘密裏に新作制作が行われ、'04年に突入した頃、2月に復活第一弾シングル "READY STEADY GO" が、3月に第二弾シングル "瞳の住人" がそれぞれリリースされ、同月末には本格的な復活を告げるアルバム「SMILE」がリリースされることが発表されるのでした。

  初めて "READY STEADY GO" という曲を聴いた時、「やけにシンプルな曲だなぁ~」と思ったものです。いや、俺だけじゃなく恐らく多くのファンの方々もそう感じたんじゃないでしょうか? 音数もそんなに多い方じゃなく、被さるシンセもシンプルなもの、バンドの演奏はシンプルな中にもタイトさを感じさせる、とてもブランクのあるバンドとは思えないようなもの‥‥いや、だからこそこの曲を復活第一弾に選んだろうな、と思わせるような勢い一発の初期衝動性が強いチューンでした。

  一転して第二弾シングル "瞳の住人" は如何にもtetsuというようなメロウなバラード。しかも歌うのが過去最高に難しそうな超高音ファルセットを要する1曲で、hydeも見事にそれをこなしているんだからさすがというか。良くも悪くもこれらの2曲というのは、これまでのパブリックイメージを崩さない、ある意味期待通りで「ファンが求めるラルク像」を見事に演じ切った、と言えなくもない楽曲でした。その時点においてはまだアルバムがどういったものになるのか(従来通りの路線なのか、あるいはこれまでのソロ活動を包括したような新境地なのか、等)全く判りませんでした。事実、シングルにはこれら2曲以外の楽曲はカップリングされてませんでしたしね(第一弾には各パートレスのテイクが、第二弾にはhyde以外のメンバーが歌う "READY STEADY GO" 別テイクをそれぞれ収録。ま、バンドの重要性というか「この4人の誰かひとりが欠けては成り立たないのが今のラルク」という事実を外に認識させ、また本人達が再認識するという意味では非常に興味深い内容でしたけどね)。

  さて。そういった流れの中で誕生したアルバム。過去で最もシンプルなアルバムジャケット(これまでのアーティスィックな路線とは一線を画するポップな路線)に、ラルクに合ってるのか合ってないのか微妙な「SMILE」というタイトル。ある意味、これまでと違ったものを狙っているのは理解できるでしょう。

  その中身は‥‥恐らく、メンバーの4人自身が「L'Arc-en-Ciel」という枠に縛られながらもその事実を楽しみつつ、尚かつ手探りでバンドとしての次のステップを探し彷徨っているといった印象を受けました。バンドの演奏やアレンジ自体はこれまでで一番シンプルなもので、例えば仕上げ次第では過去の楽曲に肩を並べる名曲になり得たであろう「原石」がゴロゴロしてる‥‥そんなイメージが強い、けどだからといって決してこれまでの作品よりも劣るとも言い切れない新たな魅力を感じさせる前半と、明らかにこれまでのラルクの延長線上にあるのにどこか違った空気を感じさせる後半、というふたつのパートに分けることができるのではないでしょうか。ありそうでなかったタイプの楽曲が多いのも特徴で、恐らく各メンバーのソロでだったら耳にできたかもしれないタイプの楽曲をラルクの4人で料理することでまたソロとも過去のバンドとも違った印象を受ける‥‥1曲目の "接吻" にしろ、シングルになった "READY STEADY GO" にしても過去にあってもおかしくないはずなのに、どこかこれまでと違うイメージを受ける。それこそ初期ラルクにありそうなken作の "Lover Boy" もこれまで以上に生々しい印象を受ける。そして‥‥ある意味このアルバムで一番の異色作では?と思える2曲‥‥"Feeling Fine" と "Time goes on"。多分、これが今のラルクなんだろうな、と感じましたね。ファンが望もうが望まなかろうが、こういった楽曲を彼らが作り演奏したのは必然だったんだろうな、と。ある意味では「REAL」というアルバムの後にこのアルバムが並ぶのは違和感を感じさせない流れであり、そしてある意味では「だからこそ」3年半以上ものブランクが必要だったのかな、とも思うわけで。勿論これらの憶測は結果論でしかありませんが‥‥改めて彼らのアルバムをリリース順に通して聴くと、嫌でもそう思えてしまうわけです。

  そういった意味も踏まえて後半の従来路線に近い楽曲達‥‥"Coming Closer" や "永遠" といった楽曲を聴くと、非常に感慨深いものを感じるわけです。彼らは決して過去を葬るために変化を要したのではなく、単純に「その時その時やりたいことを全部やった」結果がこれだったんだろうな、と。ただ新しいことをやるだけでなく、バンドのパブリックイメージというものを気にしつつ(そしてそれを愛しつつ)その「枠内」にあるものも楽しむ。じゃなけりゃ "Lover Boy" や "Time goes on" や "REVELATION" や "瞳の住人" といったタイプが全く異なる楽曲が同じ枠(=L'Arc-en-Cielのアルバム)の中に収まるわけないですよ。いや、そう考えないとやってられないもん、こっちも。

  復活作ってことで聴く側は結構構えて臨んだんですが、意外とあっさりした作風だったこともあり、最初は肩すかしを食らったんですが、2度3度と聴き返していくうちにいろんなものが見えてくる、非常に味わい深い作品ではないかな、という気がします。個人的には「HEART」以降の作品の中で一番気に入ったかも。いや、アルバムのトータル性や完成度という意味では「HEART」に一歩譲るとして‥‥少なくともあの「シングル連発」「アルバム2枚同時リリース」といった怒濤の日々を経て、更に個々のソロ活動の延長線上に出来たアルバムとして考えれば、予想以上に素晴らしい作品だと思いますよ。

  でも‥‥まだこんなもんじゃないよね?とも思うわけでして‥‥贅沢言わせてもらえば、このくらいはまだまだ序の口でしょ?と。肩ならしというか、数年間まともに活動を共にしてなかった4人がリハビリの意味で作り上げた‥‥そんな印象も感じられるというか。バンドとしてはずっと続いていたのかもしれないけど(だからこそ、活動休止前のシングル "Spirit dreams inside" が含まれてるんですよね。普通だったらベスト盤に入れちゃうもん、活動休止までをひと括りとして考えてるんだったら。そう考えてないから、「REAL」に続く作品というイメージがあったから、この曲を持ってきてるんですよね?)、このアルバムを引っ提げたツアーを経験したことで、更にこのバンドは量産体制に入って(と同時にソロもこなすんだろうなぁ、今の彼らは)第二、第三のピークを迎えるんだろうなぁ‥‥そんな気がします。

  最後に。このアルバムはレーベルゲートCD(CCCD)です。しかし、この6月にアメリカのインディーレーベル「TOFU RECORDS」からUS盤(非CCCD。つまり普通のCD)がリリースされたことによって、幸運にもこの作品を購入して聴くことができ、このような形で取り上げることができました。海の向こうで日本のアニメが局地的に人気を得ていること("READY STEADY GO" は某アニメの主題歌でしたからね)、それが切っ掛けでアルバムがアメリカでリリースされ、ライヴまで決まったこと。正直な話、そういったことはどうでもいい‥‥というかそこまで興味のある話じゃないんですが、聴ける機会を得ることができたという意味で、素直に感謝したいと思います。

※追記
本作国内盤は現在、通常のCDDA形式で再発されています。



▼L'Arc-en-Ciel『SMILE』
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投稿: 2004 07 03 12:00 午前 [2004年の作品, L'Arc-en-Ciel] | 固定リンク

2004年7月 2日 (金)

THE BOOM『百景』(2004)

THE BOOMを『MONTHLY PICK-UP』に取り上げるのは、今回で2度目ですね。基本的に「同一アーティストを二度取り上げない」のがあのコーナーの信条なのですが、時として例外が生じてしまいます。過去、複数回ピックアップされたアーティストはMr.Children、モーニング娘。、HEATWAVEの3組のみ。いろんな意味で俺の音楽感や人生観を変えて来たアーティストばかり。そこに今度はTHE BOOM通算11作目となるオリジナルアルバム「百景」を加えることになりました‥‥だって、本当に素晴らしいポップアルバムなんだもん。アルバム全曲を聴く前から決定していたことですから、俺の中で。

このアルバムに接する前、俺は収録曲を数曲耳にしていました。先行シングルの「僕にできるすべて」や「朱鷺 -トキ-」といった先行シングル曲(とはいってもこれらは一昨年末のリリースなんですけどね)、今年5月の武道館&大阪城ホールでのデビュー15周年を記念するスペシャルライヴにて配られた「24時間の旅」や「光」といった楽曲達。これらを聴いただけで、既に俺の中では「間違いなく名盤!」と勝手に思い込んでたのね。それは、ここ数年‥‥いや、ソニーから東芝に移籍した後の作品群が常にハイクオリティーなものばかりだったからってのも大きいんだけどさ。

けど、まずなによりも、俺の心を大きく揺さぶったのがこのTHE BOOMとスタッフ、そしてプロデューサー佐藤剛からのメッセージでした。既にいろんなところで語り尽くされた話題なので敢えてここで再びその内容には触れませんが、とにかく俺に強烈な印象を与えた大きな出来事だったのです。

勿論、そういった事象によって音楽の内容が左右されることはありません。実際に自分が聴いて、本当に良い/素晴らしいと思えたのなら、それは自分にとって本当に良い音楽/歌なのだ、と。当たり前だけど、それが全てですからね。

で、実際に耳にした「24時間の旅」「光」といった楽曲は、THE BOOMらしい、非常にクオリティーの高い優れた楽曲だったのです。もうこの2曲だけで満足なのに、更に上記のシングル曲まで収録される。しかも再録音までして。そりゃ期待しちゃうに決まってるじゃないですか!

正直、ソニー時代末期の彼らはアルバム毎に極端な方向に進みすぎていて、作品によってはちょっと馴染めないものもありました。俺内での名曲度が非常に高い "手紙" を収録したアルバム『TROPICALISM -0°』は一部では評価が高いようですが、俺的には正直馴染めないアルバムなんですよね。個々の楽曲は最高に素晴らしいものが多いのですが‥‥しかし、東芝移籍後の作品群‥‥『No Control』や『LOVIBE』がいろんな意味で先の『TROPICALISM -0°』を更に進化させたような内容なのにも関わらず、素晴らしいアルバムだったこと、更には『OKINAWA~ワタシノシマ~』で過去の楽曲を更に深化させていったこと。こういったことを経て、オリジナルアルバムとしては約3年9ヶ月振りとなる『百景』は、THE BOOMが「沖縄」や「ブラジル」に走る前の、本当にシンプルな「歌」を聴かせてくれていた原点に立ち返ったかのような味わい深い作品群に仕上がったのです。勿論、ここには「沖縄」も「ブラジル」も「スペイン」もまだ存在します。しかしそれらが独立した要素として混在しているのではなく、既に「THE BOOM」というジャンルの中のひとつの「色」として見事に混じり合っている。全ては「歌」を聴かせるための、単なる味付け程度に過ぎない‥‥そんな強気な姿勢が感じられる、優しくて力強いアルバム。それがこの名盤の魅力であり、今のTHE BOOMの魅力なんだと思います。オリジナルアルバムをリリースしてこなかった約4年近くのブランクで、彼らは「いかにして『歌』を聴き手に届けるか」という命題と格闘し続け、そしてその答えを見つけ形にした。だから「どんどんコピーして」もらってでも多くの人に聴いてもらいたい‥‥それだけの自信があったから。それだけの自信作だったから。

「歌」は確かに最後の最後に残りました。そしてそれはちゃんと俺のもとに届きました。さて、今度は皆さんのもとに届ける番ですね‥‥その切っ掛け作りとして、俺は今この文章を書いています。昨日届いたばかりの、この素晴らしいアルバムを何度もリピートしながら。



▼THE BOOM『百景』
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投稿: 2004 07 02 12:00 午前 [2004年の作品, BOOM, THE] | 固定リンク

2004年6月26日 (土)

曽我部恵一『世界のニュース light of the world』(2004)

  曽我部恵一が自主レーベル「ROSE RECORDS」から5/13にリリースした「ワンコイン・シングル(=500円)」、"世界のニュース light of the world"。これ、CDではなくてCD-Rでの発売なんです。というのも‥‥この曲が完成したのが5/11、それをライヴ会場で販売し始めたのが5/13‥‥普通のCD流通ならどう考えても無理な話でしょう。しかし、曽我部は「早くみんなに聴いてもらいたかった」から、ほぼ宅録デモテープ状態の音源2曲(タイトル曲の他に "雪" も収録)を完成した次の日にCD-Rに焼き、更に次の日には手売りを始める‥‥ぶっちゃけ、JASRACに登録とかそんな小賢しい真似をしていない、正しく「ゲリラ・ソング」。

  この曲("世界のニュース light of the world")が出来た経緯についてはこちらに曽我部本人のコメントが載っているので、それをまず読んでもらうとして‥‥彼は以前にも「9・11」テロを経て "ギター" という名曲(彼のソロ活動第一弾)をドロップしてるけど、これもある意味その流れにある楽曲かもしれません。全ては地続きで終わっていないわけだし‥‥そういう現実に対して感じたことをそのまま曽我部流の表現で真空パックした、そんな1曲。それが "世界のニュース light of the world" かな、と。チープなリズムトラック、いかにもライン録りなギター、ラフな多重録音コーラス‥‥普通だったら全てがマイナス要素になってしまうであろう「完成品に程遠い」過程の状態をそのまま放出してしまうというのは、作り手としては冒険以外のなにものでもないはずなんだけど‥‥全然そういう空気は感じられないんだよね。ただただ「いい曲が出来たんで、ファンにすぐ聴いてもらいたいんだ!」というポジティブな気持ちが前面に出ている。そういった曽我部のポジティブさと、楽曲が持つパワーに圧されて、聴き手である俺等もただ圧倒されっぱなし。初めてこの曲を聴いたときのインパクトといったら‥‥いや、その録音状態も衝撃だったけど、こういう曲をこういう形で発表したのが曽我部恵一だったというのも衝撃だったわけで。やっぱり信用できるカッコいい奴だな、と。惚れなおしたよ。

  そんなダンサブルで力強い "世界のニュース light of the world" とは相反し、カップリング "雪" は音数の少ない、至極シンプルなスローナンバー。リズムを刻むのはメトロノームのみ(終盤にドラムやギターが加わる)、メインは曽我部の歌と、これまた音数が極端に少ないシンプルなピアノ。途中からうっすらとシンセっぽい音が被さるものの、やっぱり印象としては隙だけで味わい深いメロウな1曲。最近の曽我部はギターの弾き語りで全国を回ってるようだけど、こういったピアノ弾き語り的ナンバーもまたいいね。彼の甘い歌声と甘いメロディが、このシンプルなアレンジにはまりまくってる。とにかくただ心地よくてウットリする。音響系っぽいエンディングも意外性があって、更にマル。いやー、素敵なシングルだなこれは。

  曽我部は8月に再びワンコイン・シングル(今度は4曲入り!)を、そして9月には待望のサードアルバムを同じインディーレーベルから発表します。今後はメジャーではなく、こういったフットワークの軽さを選ぶのかな‥‥輸入権だのCCCDだの、聴き手に規正を与えるような出来事が多くなった昨今のメジャーシーン。佐野元春にしろ、この曽我部恵一にしろ、もしかしたら彼らが今後新しい道しるべを作っていってくれるのかも‥‥そして我々は可能な限り、彼らをバックアップ‥‥つまり、素晴らしい作品に対して、それに見合ったお金をちゃんと落としていく=作品を購入‥‥していかなければね。



▼曽我部恵一『世界のニュース light of the world』
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2004年6月24日 (木)

岡村靖幸『モン・シロ』(2004)

  さて‥‥昨年夏の奇跡的復活から少しずつですが精力的になりつつある、我らが岡村靖幸大先生の音楽活動。昨年秋にはホントに久し振りとなる単独ツアーが(無事中止にならずに)決行され、更には同年頭にリリース予定だったもののリリース中止となっていた岡村と卓球としてのアルバムも無事年末にリリースされたり、ニューウェーブ・トリビュートや尾崎豊やシーナ&ロケッツのトリビュート盤に参加し、カバーながらもソロ音源を精力的に発表してきた岡村ちゃんが、満を持してのオリジナル新曲をリリース! 「岡村と卓球」名義の "come baby" から数えても1年半、完全なる岡村靖幸名義のシングルとなると2001年春の "マシュマロ ハネムーン" 以来だから‥‥まるまる3年振りってことになるのかしら‥‥おお!(感涙)

  昨年のツアーでは新曲が一切披露されず、あくまで「リハビリ中」なんだという事実を我々に叩き付けた岡村ちゃん。今年は本気で音楽やる気になってます。この5月にリリースされた新曲 "モン・シロ" に続き、7月にもシングル、更に9/1には約9年振りとなるオリジナルアルバムがドロップされる予定なのですよ!! どうするよ、えっ!?

  というわけで、今月から4ヶ月連続で最近の岡村ちゃん関連のリリース作品(ライヴDVDや「岡村と卓球」作品含む)を不定期的に紹介していきたいと思います。まずはこの "モン・シロ" というシングルについて‥‥何せ待望の新曲ですからね!

  シングルには3曲収録されていて、表題曲となる "モン・シロ" の他に、ピアノでの弾き語り風 "未完成"、昨年10月のZepp Tokyo公演からセッション部分のライヴ音源 "セッション(@Zepp Tokyo)"(多分これ、俺が観に行った10月14日の公演のものかと思われます)という、非常にバラエティに富んだ内容になってます。

  如何にも岡村らしい極太ビートを持つ "モン・シロ" は、全盛期の岡村ちゃんを思わせるような素敵な歌詞がのったゴキゲンな1曲に仕上がってます。バンドものではなく、あくまで宅録的「密室系ファンク」に拘る岡村‥‥プリンスがいろんな意味で外へと開けているのに対し、引き蘢り~リハビリという約10年を過ごした岡村。非常に興味深い対比となってます。ホントにさ‥‥メロディもビートも歌詞も、全部「岡村靖幸」のままなんだもん、当たり前だけど。嬉しくてたまんないわけよ!

  繊細な弾き語り "未完成" にしても、岡村節は全開ですよ。ある意味アレンジや楽曲自体が「未完成」だからこのタイトル?と思えなくもないけど‥‥歌詞からですよね、当たり前だけど。でも‥‥俺からすれば、このシングルの時点での岡村がまだ「未完成」なのかな‥‥なんて思えてね。というのも‥‥聴いてもらえば判る通り、岡村ちゃん、まだ声が完全復活してません。「岡村と卓球」の時点で既に気づいてはいたんですが‥‥明らかに歌い込みが足りない感じですよね。普通、太ると声が太くなったり出やすくなったりするもんだと思うけど‥‥単に歌ってなかったのかな?という気が。ライヴでは辛い部分があるにはあったけど、基本的には夏の復活劇と比べれば10月の単独公演は随分出てたし、もうこの辺はレコーディングやライヴを重ねてコンディションを元通りに(ならなくても、それに近いくらいには)して欲しいよね、と。期待してるよ!

  で、最後はZepp Tokyoでのライヴセッション。これ、当初のセットリストには入ってなかったもので、当日機嫌が良かった岡村が「もっとやりたいんだけど、持ち曲(演奏できる曲)がないので」と急遽始めたセッション。歌われている内容や歌詞がまんま10/14のものと同じなので、絶対に自分が行った日に演奏されたものだと思います。これ聴けば、如何にライヴでの岡村が、そしてミュージシャンとしての岡村靖幸が天才的かがお判りいただけると思います。

  ファンだからさ、甘い点数を付けてしまうのは仕方ないのかもしれないけど‥‥それにしてもこれらの楽曲の完成度には目を見張るものがありますよね。さすが、引き蘢ってただけあるぜ!(えーっ!?)さっ、次のシングル、そしてアルバムに期待だせ!!



▼岡村靖幸『モン・シロ』
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投稿: 2004 06 24 12:00 午前 [2004年の作品, 岡村靖幸] | 固定リンク

2004年6月23日 (水)

TMG『TMG I』(2004)

  B'zのギタリスト/コンポーザーである松本孝弘のソロ・プロジェクト、「TMG(TAK MATSUMOTO GROUP)」のファーストアルバム。参加メンバーはギター/作曲が松本、ボーカルに元MR.BIGのエリック・マーティン、ベース&ボーカルにNIGHT RANGERのジャック・ブレイズ、ドラムにザック・ワイルドやスラッシュとの共演等セッション活動がメインとなるブライアン・ティッシーという、一部の属性の方々にとっては非常に豪華な面々(一部の曲で、レニー・クラヴッツのツアーメンバーとしても有名な女性ドラマー、シンディ・ブラックマンも参加)。特にエリックとジャックという「'80年代のMTVハードロック世代」にとっては懐かしいメンツの参加は、ある意味親しみやすいんじゃないかな。

  基本的には'80年代~'90年代前半によく聴けた「アメリカン・ハードロック」。そこに松本らしいアイディア(B'z的なリズムやリフを導入等)を散りばめつつ、普通に「洋楽ハードロック」として楽しめるクオリティを保っています。これは松本云々というよりも、エリックが歌っているからってのが大きいように思います。

  けど、これをMR.BIGやNIGHT RANGERといったバンドと比べた場合、やはり若干見劣り(聴き劣り)するのは否めないかな、という気も。またメロディに関していえば、本家であるB'zよりも‥‥って書いたらファンに怒られるんでしょうか? 正直なところ、そこが一番気になりましたね。シングルとなった "OH JAPAN ~OUR TIME IS NOW~" は聴き慣れたこともあって結構キャッチーに感じられるんですが、他のアルバム曲は‥‥正直、似たり寄ったりなイメージが強いですね。曲調やテンポ的なもの、そしてキーなんかが似通った楽曲が並んでいる、しかも14曲という曲数もそれに影響してるのかな、と。10曲くらいでもっとメリハリある選曲/曲順だったら、ファーストインパクトももっと強烈なものだったんじゃないかな‥‥って気がするんですが。そういうわけで、1~2回聴いた感じでは非常に散漫な印象を受けました。

  勿論、聴き込んでいくうちに「らしさ」が見えてきて、ドンドン気に入っていくんだろうとは思うけど‥‥そこまで熱心なファンでもないしなぁ、俺。

  ただ、演奏に関してはさすがと言わざるを得ないかな、と。意外と過小評価されているジャックのベースプレイも、一時期のNIGHT RANGER以上に活かされているし。松本のプレイもソロ・プロジェクトの割にB'zの時みたいな派手な弾きまくり感があまり感じられず、どちらかというとバランスを重視したプレイになってるような気がしますね。最近のB'zのアルバムとか聴いたことがないから比較のしようがないですが‥‥最近は隙間を埋めるようなプレイよりも、ワザと隙を作るようなプレイに目覚めたんですか、松本は? いや、よく判らないけど‥‥少なくともこのアルバムでの彼のプレイからは、そういう雰囲気を感じました。

  個人的に気に入っているのは5曲目辺りから‥‥"I wish you were here" みたいな王道アメリカンロック路線、そして如何にもB'zチックなアレンジを持つ "THE GREATEST SHOW ON EARTH" が特に気に入ったかな。後者のアレンジなんて、普通の欧米ハードロックでは考えられない味付け(アレンジ)ですからね。日本人的というか、フュージョン的というか、ホント独特ですよね。こういう曲を聴いちゃうと‥‥どうせなら、B'zの代表曲を英語詞でセルフカバーしたアルバムでも作ればいいのに、とか思っちゃうんですが。それは稲葉の手前できないのかな、なんて。実はB'zの楽曲をセルフカバーした方がよりポピュラーなハードロックアルバムになったんじゃないかな‥‥って思うんですが。如何でしょう?

  思ってた程派でではなく、どちらかといえば地味な部類のアルバムですよね。MR.BIGでいったら4作目の「HEY MAN」、NIGHT RANGERでいったら同じく4作目の「BIG LIFE」とか(って両方共ファンからは駄作扱いされることの多い1枚じゃないか! いや、俺は気に入ってるんですけどね)。あ、そうか。その分ツアーでは派手な曲‥‥NIGHT RANGERの "(You Can Still) Rock In America" とかMR.BIGの曲をカバーすればいいのか!(って実際やるみたいな発言をエリックはインビューでしてますよね。さて、どうなることやら‥‥)

  最後に‥‥このアルバムをここ日本でのみリリースすることによって、一番「得」をする人って誰なんでしょうね? いや、金銭面での話じゃないですよ。松本がこのアルバムをリリースすることで、B'zを小馬鹿にするようなハードロック・ファンから受け入れられるとも思えないし、逆にB'zしか眼中にないようなファンにエリックやジャックがどう受け入れられるのか‥‥結局その答えって、2作目を作って初めて見えてくるものなのかも。というわけで、何年先になるか判らないけど、セカンドアルバムを熱望します。勿論、今回のメンバーでね!



▼TMG『TMG I』
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投稿: 2004 06 23 12:00 午前 [2004年の作品, B'z, Mr. Big, Night Ranger, TMG] | 固定リンク

2004年6月22日 (火)

BEASTIE BOYS『TO THE 5 BOROUGHS』(2004)

この6年は本当に長かったよね。丁度このサイトを始めた年(98年)に『HELLO NASTY』という傑作をリリースして、翌99年頭に来日公演を行って。その年の秋にはベスト盤『THE SOUNDS OF SCIENCE』をリリース。その後いろいろと話題を振りまきつつも、結局6作目となるアルバム『TO THE 5 BOROUGHS』が我々の手元に届くまでに、6年という月日が流れてしまったんだから‥‥ホント長いって。だって6年前にはまだエミネムは裏路地でくすぶれてた頃だよ。丁度Dragon Ashがオーバーグラウンドへ上り詰めようとしてた時期。本当に6年という時間は大きいです。

じゃあその6年でBEASTIE BOYSは古くさくなってしまったか、時代遅れになってしまったかというと‥‥それはこのアルバムを聴いた人の判断に任せるよ。なっ、如何に彼らが原点回帰的な「純粋なヒップホップ・アルバム」を引っ提げて戻ってこようが、それを時代錯誤とか呼ぶ奴、誰もいないよな? むしろ20年近く第一線で戦ってきた3人にだから作れた作品。それがこの『TO THE 5 BOROUGHS』なんじゃないかな。ヒップホップに疎い俺ではあるけれど。いや、そんな俺だからこそ、そんな風に感じるのかもしれない。

作品的には前作からの流れにあるといってもいいかもしれないし、逆にある意味初期の作風に近いといってもいいかもしれない。ここには「ハードコア・バンド」としてのBEASTIESはいないし、ジャズ/ファンク的実験サウンドを生演奏で披露するBEASTIESの姿もない。ただあるのは3本のマイクと、ターンテーブルのみ。そういう意味では非常に「ハードコア」なアルバムだよね。

15曲で42分というトータルランニングも抜群だし、1曲1曲の自由度が非常に高くて、とにかく聴いていて飽きがこない。普段からヒップホップばかり聴いてるような人にとってはどうか知らないけど、少なくともロックファンな俺にも存分に楽しめる1枚。過去の作品みたいにハードコア・パンク調のバンドサウンドは皆無だけど、そんなの全然気にならないし、ただただカッコいいだけ。それで十分じゃない?

本当はこの手のアルバムについて語る時って、ここのサンプリング・ネタがどうだとか、バックトラック云々だとか、3MCのマイクパフォーマンスやライムがどうこうとか、そういったことについてもっと書くべきなんだろうけど、そういうのは専門家に任せます。難しいことは本当に判らないし、カテゴライズとかそんなの無視して‥‥俺にとって十分に「ロックンロール」アルバムとして機能している‥‥それだけ。カッコいいし、気持ちいいし、飽きがこない。ホントそれだけなのよ。

純粋にロックしか聴かない人にとってどう映るのかな、このアルバム‥‥まぁ最近ではエミネムとか普通に聴いてる子の方が多いだろうから、きっとこのアルバムも好意的に受け入れられるはず。



▼BEASTIE BOYS『TO THE 5 BOROUGHS』
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投稿: 2004 06 22 12:00 午前 [2004年の作品, Beastie Boys] | 固定リンク

2004年6月10日 (木)

ASH『MELTDOWN』(2004)

ASH約3年振り、通算4作目となるアルバム『MELTDOWN』は前評判通り、これまでで一番ヘヴィな音像を持った作品に仕上がっています。時代の流れに迎合した、と批判することもできますが、そこはASHのこと、それでもポップなメロディはしっかり健在です。

今回のアルバムはアメリカ(LA)で録音され、製作陣にもこれまでと違った人選(FOO FIGHTERSを手掛けたプロデューサーに、RAGE AGAINST THE MACHINEやTHE MARS VOLTA等を手掛けたミキサーを起用。ま、ミキサーはMUSEの新作も手掛けてますが)で臨んだ意欲作となっていて、それはまぁ聴いてもらえばすぐにお判りいただけると思いますが‥‥前作での良い意味で「肩の力が抜けた」攻めの姿勢が、このアルバムではガチで攻めまくってる姿勢に一転してます。気合い入りまくり、攻撃しまくり‥‥要するにリフの応酬、ダウンチューニング、重いリズム、弦楽器の歪み具合‥‥これを指して「アメリカナイズしてしまった」とは言いたくありませんが、まぁそう言われても仕方がないかなぁ、という内容でして。

かくいう俺も、最初にこのアルバムからの楽曲(ネット限定でリリースされていた「Clones」や「Orpheus」等)を聴いた時、思わず「うわーっ、まるでSMASHING PUNPKINSみたいだなぁ~」と唸ってしまった程で‥‥ここでいう「スマパンぽい」というのは、彼らのラスト作となった『MACHINA』での作風・アプローチに似てる、かな?と感じまして‥‥ネット巡回すると、実際にそういう声が結構見られるので、あー同じように感じてる人意外といるのね、と関心したものです。

が、アルバム全体を通して聴くと、そこまでスマパンぽいというわけではなく、そこにはしっかりこれまで積み上げてきた「ASHらしさ」が散りばめられていましたよ。ま、前作『FREE ALL ANGELS』で聴かれたような「胸キュン青春ポップ」路線はかなり減退してしまいましたが、これが「20代後半の彼ら」がより「リアル」に感じられるもの、そして今の彼らに最も適した表現方法なんでしょう。それを否定する気はありません。ここまでくると、むしろ「好みのサウンドか否か」の問題だと思うので‥‥そういう意味ではこのアルバム、非常に好みであります。だって、スマパンが好きな俺が言うんだから、ねぇ?(えーっ!?)

なんていう冗談はさておき、適度にポップさを保ち、それでいて全体的な「ロック比重」は過去最高に高いこの新作。個人的に最も気に入っている点は、シャーロットのコーラスの比重が過去最高に高くなっていること。セカンドアルバム制作前後に加入し、適度に曲も書き、ステージではカッコカワイイ感じで華を添えてきた彼女、前作でもその片鱗はあったのですが、ここにきて完全に「シンガー」としての見せ場が増えてます。しっかりしたコーラス、時々メインボーカルのティム以上に目立ってしまう箇所もあり、思わずニンマリ。それが影響してなのか、彼女はこの夏に初のソロアルバムをリリースするそうです(勿論ボーカルは全部彼女!)。ソングライターとして、そしてシンガーとしてのエゴが出てきたのか、単に「ASHに合わない曲」が沢山出来たからなのか‥‥まぁそれはアルバムを聴いて判断してみましょうや。

とにかく。昨今のロックンロール・リバイバルとも、従来のブリットポップとも、そしてパワーポップやギターポップ的なものとも違う、新しい道を進もうとしている彼ら。ある意味、MUSEやTHE DARKNESS辺りと同じ枠で括ってしまいたくなる1枚なんですが‥‥なんてこと書くと、古くからのファンから怒られてしまうのでしょうか。まぁ要するに、最高にカッコいいロックンロールアルバムだってことですよ!

最後に。このアルバムをこれから買う方へ。絶対に初回盤をゲットしてください。通常盤と違い、初回盤にはボーナスディスクが付いた2枚組仕様になってるので。しかも新作からの楽曲を全曲演奏したライヴ音源ですよ! 更に数曲、前作や過去の代表曲まで追加されててかなり贅沢な1枚になってます。日本盤だと更に2曲追加されてて、まるでフルライヴを聴いてるかのような錯覚に陥ります。スタジオ版とライヴ版との違いも楽しめるし、更に「ライヴ観てみたいなー」って気持ちに絶対なるはず。さぁ、迷わず初回盤をゲット!



▼ASH『MELTDOWN』
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投稿: 2004 06 10 12:00 午前 [2004年の作品, Ash] | 固定リンク

2004年6月 9日 (水)

メロン記念日『涙の太陽』(2004)

  メロン記念日の2004年1発目、通算12枚目のシングルとなる今作は、カバー曲をタイトルチューンに持ってきた意欲作。恐らく誰もが一度は耳にしたことがあるだろう名曲 "涙の太陽" をメロンがカバーするってのは、既に3月に行われたツアー時から判っていた事実で、このツアーでも真っ先に披露されていたそうです。そして4月からは某化粧品メーカーのCMソングとしてテレビで何度も耳にする‥‥今年に入ってちょっとペースが落ちたような気がしていただけに、この起用はちょっと嬉しかったかも。

  その "涙の太陽"。アレンジにはお馴染み鈴木Daichi秀行を起用し、彼らしい打ち込み主体のダンスチューンに仕上がってます。歌も誰がセンターというような感じではなく、4人がほぼ平均的に分け合って歌うといった構成で、ここ最近の柴田あゆみシフトとはちょっと違った印象を受けます(ま、ビジュアルイメージは相変わらず柴田推しなわけですが)。こうやって聴くと、誰が足を引っ張ってるとかそういったマイナスポイントは殆ど感じられません‥‥いや、本当に成長したのね。柴田は柴田なりに試練を乗り越え、他の3人も腐ることなく自らの成長に精進した、と。その結果が昨年~今春のツアーにもしっかりと表れてたと思うし、同じようにこの曲にも色濃く刻まれています。

  最初、メロンの今度のシングルがカバー曲だと知った時は「‥‥」という反応しか出来なかったんですよ。嗚呼、いよいよつんく♂め、手を抜き始めやがったな、と。ところがその曲が "涙の太陽" だと判った途端に「全然アリじゃん! むしろメロンにピッタリの曲じゃない!?」と180度反対の反応を見せるわけですよ。そう、俺は本当に彼女達にピッタリの曲だと思うんだけどね。事務所も頑張って大きなタイアップを取って来たし、誰もが一度は耳にしたことがあるであろう1曲だし、それになによりフルコーラスで2分40秒程度というのがオイシイ。大半の歌番組でフルコーラスで歌えるから、全員平等に見せ場がある。メロンのようなグループにとって、これはオイシイんじゃないかな? 是非そのチャンスをモノにして欲しいものです。

  そして‥‥カップリング曲よ。"さあ、早速盛り上げて 行こか~!!" というつんく♂らしいタイトルの1曲なんだけど‥‥イントロのドラムで腰を抜かしそうになりんだわ! アレンジは "涙の太陽" 同様、鈴木Daichiが担当。恐らくファンが思い浮かべるであろう『メロン記念日』のパブリックイメージをまんま具体化したハイパーロックチューンなのですよこれが。いや、ハイパーロックというよりは、完全にハードロック。ドラムはかのそうる透が担当、イントロからコージー・パウエルか、はたまたカーマイン・アピスかと思わせる暴れっぷり。いや、ここまで派手に叩いちゃっていいの!?って心配しちゃう程に叩きまくり。手数が多いのなんのって‥‥あれだね、RAINBOWとかBLUE MURDER辺りのファスト・チューンにメジャーキーのポップなメロディーを載せたようなイメージ。これでバッキングのギターがもっとオーバードライブしまくってたら完璧なんだけど、まぁそこは「聴きやすさ」を尊重したのか、それとも単位鈴木Daichi氏の趣味なのか。でも十分に満足だよ俺は。

  ドラムの暴れっぷりに合わせるかのようなベースラインの動きっぷりも印象深いんだけど‥‥これ、クレジットを見ると打ち込みっぽいんだよねぇ(ベーシストのクレジットなし。けど聴いてると打ち込みっぽくないのね。もしかしたらDaichi氏が弾いてる!?)。まぁそれを抜きにして考えても、本当に良く出来たバックトラック/アレンジだと思うよ。ここ最近のメロンのカップリングの中では破格の完成度だね。勿論、彼女達のパフォーマンスに関しては何も言う事なし。ライヴを想定して作られたであろうこの曲、既にライヴ感がしっかり備わってるし、1回聴いて「あーライヴのエンディング辺りでこれやって盛り上がるんだろうなー」って確信しちゃったし。歌詞もファン(オーディエンス)と彼女達との間にある絆を形にしたかのような内容だし。あーこれ聴いちゃったら、都合で断念してた6月のライヴに行きたくなっちゃったよ! けどまぁ‥‥座席指定だしね。8月のZepp公演まで我慢しますか(って行くのかよ!?)

  2曲共、本当に「メロンらしい」楽曲に仕上がってるし、バランスも良い。対外的にメジャー曲 "涙の太陽" を持ってきて、コアなファンにはみんなが望む形の楽曲("さあ、早速盛り上げて 行こか~!!")を用意する。正直、どっちがタイトルトラックでも俺的には全然違和感なし。どっちもメロンらしいし。

  世間の評価とかどうでもいい。自分が満足できるシングルがこうやって手元に届けられたんだから。ホント、もうメロンに関しては心配要素はないよ‥‥つんく♂さえしっかり仕事してくれれば。



▼メロン記念日『涙の太陽』
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投稿: 2004 06 09 12:00 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, メロン記念日] | 固定リンク

2004年6月 8日 (火)

KEANE『HOPES AND FEARS』(2004)

既に英国メディア(といってもBBCだけかな)では「今年期待の新人」として年頭からプッシュされていた3人組、KEANE。ボーカル+ピアノ(&ベース)+ドラムという、BEN FOLDS FIVEよりもヘンテコな編成によるバンドなんだけどさ‥‥これがいいのよ。本当に涙が出るくらいに、いい。最初、J-WAVEだったかINTER FMだったかで彼らのメジャーデビュー曲 "Somewhere Only We Know" を耳にした時、正直TRAVISとかあの辺のバンドの曲だと思ったのね。けどそれにしてはギターとか入ってこないし‥‥で、曲終わりにバンド名を耳にして、あーこれが噂のKEANEかぁ‥‥って。丁度フジロックへの出演も決まった頃で、こりゃチェックしておかなきゃって思い、早速同シングルを注文して‥‥

同シングルは、イギリスのチャートでも初登場3位を記録する程の人気で、続く "Everybody's Changing" も大ヒット。それを受けて5月にリリースされたファーストアルバム「HOPES AND FEARS」は強豪を抑えて初登場1位に。2週連続1位の後、2位に転落するも、翌週には再び1位に返り咲き。間違いなくイギリスで認知されているわけですよ。

メディアが騒ぐから気になったのではなくて、純粋に曲と最初に出会った‥‥ "Somewhere Only We Know" という素晴らしい名曲との出会いがあったから、俺はこのバンドに興味を持てたわけでして。多分、そういったネットや雑誌等での前評判だけだったら、正直ちゃんとチェックしたかどうか‥‥

「第二のCOLDPLAY」なんて呼び声もあるようですが、それも納得できる音楽性で、ちょっとだけジメッとしてる潤いあるメロディを聴けば、嫌でも「あー、英国的だよなー」と誰もが思うことでしょう。しかもそれが嫌みじゃない。ジメッとしてる割りに、サラリと最後まで聴けてしまう。勿論、心に残るフックはそこら中に存在してますよ。けど、この癒しの空気にやられた聴き手は、その心地よさの中で気づくとアルバムが1巡してしまう。そしてリピート、またリピート‥‥そう、このアルバムにはそういった「スルメ的要素」満載なんですよ。

まず、ギターレスでピアノメインというのが大きいですよね。とにかく耳障りが良い。「ギターがなきゃロックじゃねぇよ!」という心の狭い方は別として、この広がりあるサウンド(エフェクト含む)が本当に気持ちよいのね。今みたいな梅雨時、ジメジメして鬱っぽくなりがちなキミにこそ聴いて欲しい1枚なんだよね‥‥俺もホントこのアルバムに助けられてるもの。

ボーカルも伝統的なUKギターロック系バンドの系譜に当てはまる声質で、悪くない。いや、このサウンドと、このメロディにピッタリ合ってる。全体的に落ち着いた印象の曲が多いので、後半キツいかなぁ‥‥って心配してたんだけど、それなりにバリエーションもあるし(ちょっと打ち込みっぽい実験的な曲調もあってビックリ)そんな心配は無用だったみたい。勿論、そこには「良質なメロディ」という要素が大前提としてあるからこそなんだけど。本当によく出来た曲ばかり。

UKロックが好きだという人なら一発で気に入るはず。いや、そういうくだらないカテゴリーは無用だよね。純粋に「良質なメロディと良質な楽曲。それが10数曲詰まった良質なアルバム」ってだけで十分じゃない。いやー、最近はUKからもSNOW PATROL、カナダからはTHE STILLSみたいな良質なギターポップ/ロックバンドが登場してきてるし、こういう風変わりなKEANEもいるし。勿論相変わらずロックンロール・リバイバル系もいろんなのが出てくる。流行ってよく「10年周期」って言われるけど、今年でブリットポップから10年‥‥成る程、確かにその予兆はあるのかもね。

KEANEが今後どこまで成長するのか、あるいはこのまま1発屋で終わってしまうのか‥‥それは誰にも判らないけど、間違いなくここ日本では受け入れられると思うよ。だって既にうちのネットラジオでかけた "Somewhere Only We Know" が非常に評判よかったからね(問い合わせも幾つかもらったし)。夏に実現するフジロックでの初来日、楽しみだなぁ‥‥



▼KEANE『HOPES AND FEARS』
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投稿: 2004 06 08 03:54 午前 [2004年の作品, Keane] | 固定リンク

2004年6月 7日 (月)

W(ダブルユー)『デュオ U&U』(2004)

  辻希美と加護亜依の新ユニット、W(ダブルユー)のデビューアルバムとなるこの「デュオ U&U」。デビュー曲 "恋のバカンス" の出来がC/W曲含めて素晴らしかっただけに、その期待が自然とアルバムにも向いたわけですが‥‥いやいや、期待以上の完成度で正直ビックリした、というのが最初の感想。とにかく出来が良い。曲の良さってのは勿論最初から保証されてるわけですよ、だってつんく♂が全くタッチしてないわけで、しかも大半が昭和歌謡の名曲ばかりですからね。悪いわけがない。となると問題になってくるのは、その料理の仕方(=アレンジ)だったり、その料理を食べる人(=歌う。ま、このふたりの場合こういう表現の方が合ってるしな)だったりなわけで。シングルを聴く限りでは問題ないよ!と思ってはいたものの、そりゃね、15曲もあればさ、不安が多少なりともあるわけよ。最近のハロプロ・ワークスの不甲斐なさを見るに連れて、その思いは尚一層強くなっていくんだからさ‥‥

  けどね、ここまで愛に溢れたアルバムは本当に久し振りな気がした。そりゃさ、安倍や後藤のアルバムも既出曲が多かったものの、それなりに愛情は感じたよ。新曲が沢山入っている松浦のアルバムだって、今出来ることを全てやったという愛情感じたし。でもこの「デュオ U&U」にはそういった「歌い手に対する愛情」ではなくて、もっとこう根本的な‥‥音楽に対する愛情を感じるわけよ。比較するのはどうかと言われそうだけど‥‥そう、モーニング娘。の「セカンドモーニング」だったりタンポポの「TANPOPO 1」で実践してきたような、それに近い姿勢を感じ取ったわけ。オリジナル曲と全部カバー曲という大きな違いはあるものの、その姿勢/向き合い方は同じなんじゃないか、と。制作過程が凄く楽しかっただろうなぁ、と。それはプロデューサーのつんく♂のみならず、各アレンジャーにしても同じだったんじゃないかな?

  収録された楽曲の、大半はリアルタイムで知ってる曲ばかり。とはいっても、自分の記憶を辿ればピンクレディーが最も古いものかな、リアルタイムだと。男ながらによくテレビの前であの振り付けを真似したりしたよなぁ‥‥ま、俺も歌って踊るの、ガキの頃から大好きだったからさ。それが何時しか楽器を演奏することの楽しさを覚え、そこから自分で楽曲を制作するという楽しみも覚えた。気づけば「音楽はゼロから作り出して、自分で表現するものだ」みたいな考え方をするようになってた、特にバンドやってた頃はね。勿論「ゼロから」なんてことはあり得ないわけで、全部何かしらから影響を受け、そこからスタートしてるんだけどさ‥‥

  そんな俺が時々壁にぶつかる。曲が書けなくなったり、自分で書いた曲を歌うことに妙な窮屈さを感じたり。そういう時はどう対処したかというと‥‥自分の原点に戻って、影響を受けたアーティストの曲をカバーしてたのね、バンドで。いや、カバーというよりは、まるっきりコピーだったりするわけですが。けどさ、ある程度自分達の個性を確立してしまうと、どんなに他人のコピーをやっても、完全なコピーって難しいんだよね。どうしてもそこに自分の「味」やら「色」が滲み出てしまう。まぁそれが成長ってやつなんだろうけどさ‥‥

  このアルバムを聴いた時、ふとそういう自分の身にあったことを思い出したのね。他人の曲をコピーするのって本当に楽しいよな、って。そう、このアルバムはカバーアルバムというよりは、原曲に比較的忠実に再現されているという意味で「コピーアルバム」と呼んだ方がいいのかもしれない。つんく♂は以前にもBEATLESのコピーアルバム(あれもカバーではないよなぁ)を作ってるしね。今回はたまたま辻加護の新ユニットの企画として「カバー」というテーマが挙がったんだと思うけど、その与えられた(与えられた?)企画を心の底から楽しんでるよな、というのが手に取るように判るわけ。で、そんな風に楽しんで作ったもんだから、それが辻加護にも伝染し、実力以上のパワーを発揮した。更にそれが聴き手にも伝わってくる。いろんな相乗効果が重なっていって、結果として非常に素晴らしいアルバムになった、と。聴いた人ならみんなこの意見に納得してくれるんじゃないかな? 決して辻加護だけが凄かったんじゃない。しかしプロデュースチームの企画勝ちというわけでもない。いろんな偶然が重なって得た結果(そしてそれは最初から必然でもあったわけです)。俺やあなたがこのアルバムに手を出したのもある意味偶然であり、そして必然であったと。最初からある程度の成功は見えていたけど、ここまで素晴らしいものになるとは俺も、そしてあなたも思ってなかったんじゃないかな?

  とまぁ、とにかく素晴らしいわけですよ。どこがどう素晴らしいとか、どの曲がどう良いんだとか、そういった詳細なレビューは他所のモー。サイトにお任せします。既に語り尽くされてるでしょうから‥‥俺は俺の観点で、如何にこのアルバムが素晴らしいものとして仕上がったか、そこに至る流れを勝手に妄想して書いてみました。モーニングやアイドルポップにほんの少しでも興味がある人なら、絶対に「大切な1枚」になり得る作品であり、そしてそれ以外の人にとっても「何だよ、辻加護、意外にやるじゃん?」とか「何か‥‥懐かしいなぁ‥‥(あるいは「全曲リアルタイムで知らないけど、何故か懐かしい匂いがする」)」っていう驚きの1枚になるはず。もうさ、黙って最後まで聴いてよ! お願い!



▼W(ダブルユー)『デュオ U&U』
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投稿: 2004 06 07 12:00 午前 [2004年の作品, W(ダブルユー), ハロー!プロジェクト] | 固定リンク

2004年6月 6日 (日)

VELVET REVOLVER『CONTRABAND』(2004)

元GUNS N'ROSES組‥‥スラッシュ、ダフ・マッケイガン、マット・ソーラム(この人はつい最近までTHE CULTでも叩いてましたね)の3人に、デイヴ・ナヴァロ(JANE'S ADDICTIONのギター)のソロバンドやzilch(元X-JAPANのhideが生前参加していた無国籍ヘヴィバンド)、先のダフのバンド・LOADEDにも参加した経験を持つギタリスト、デイヴ・クシュナー、そして最後にピースとして加わったシンガー、スコット・ウェイランド‥‥言うまでもなく元STONE TEMPLE PILOTSのメンバー‥‥の5人によって結成された新バンド、VELVET REVOLVER。ってバンド構成を説明するだけでこれだけの行数を要する、所謂「スーパーバンド」と呼ばれるような、デビュー前から大きな期待が寄せられていたバンドなわけですが、いろんな意味でトラブルメーカーなスコットのお陰でアルバムリリースが大いに遅れたり、今年1月に実は来日予定(1月末の屋外フェス「SONIC MANIA」)だったのが、スコットの逮捕等で実現しなかったり等、そっち方面でも何かと話題なわけでして‥‥所謂ハードロックの範疇に入るバンドの中で、良くも悪くもここまで話題性に富んだバンドは随分と久し振りかなぁ‥‥なんてね。

昨年夏に映画「ハルク」の為にオリジナル曲 "Set Me Free" を提供し、こりゃ世間が大騒ぎするか!?とか思ったものの、周りは意外と冷静でビックリしたけど、まぁこうやってアルバムリリースにまでこぎ着けたことで、ようやく盛り上がり出したみたいですね。タイミング的にも3月にリリースしたGN'Rのベスト盤が世界的に大ヒットを記録してる中でのデビューとなるので、そりゃ否が応でも盛り上がるわな、メディアもロックファンも。

けどさ‥‥ひとつだけ見誤って欲しくないことがあってね。きっと誰もがこのVELVET REVOLVERに接する時に考えることだと思うけど‥‥GN'Rとの比較ね。あるいは彼らにGN'Rサウンドを求めたりとかさ。そりゃね、元メンバーが3人も参加してるんだもん、嫌でも比較したくなるし、本家が動かない今、VRにその幻影を求める気持ちも判らないでもない。で、そういう人に限って言うわけさ‥‥「GN'Rと違う」「GN'Rっぽいんだけど、あれより劣る」とかさ。いや、大きく間違ってはいないと思うけど‥‥俺、やっぱり違うと思うのね。

そもそもさ、GN'Rのメインソングライターって他でもないイジー・ストラドリンだったんじゃねぇの? クレジット的には全員の名前が載っている1st「APPETITE FOR DESTRUCTION」にしろ、その大半はイジーが骨格を作ったわけでしょ? 勿論アクセル・ローズもスラッシュもダフも作曲に貢献してはいるけど、比率的には「イジー6.5:アクセル1.5:スラッシュ1.5:ダフ1.5」くらいだったんじゃないかな、と。そして、そんなだから10数年経った2004年においても未だにアクセルは苦悩してるんじゃないかな、と。違うかしら?

そういう意味でこの「CONTRABAND」という作品、GN'R以上にSLASH'S SNAKEPITやダフのソロ、そしてSTPと比較されるべきアルバムなのではないかと力説したいわけ。だってそうじゃない?

で、実際にアルバムを聴いた感想ね。思ったより悪くなかった、むしろ好意的に受け取れる作品集だな、というのが第一印象。数回聴き込んでいくうちに、あー何か久し振りにこんなアメリカンハードロックアルバムを聴いたなーと感じたり(いや実際にはその手のアルバム、結構聴いてるのにね)、STPがストレートになるとこんな感じなのかな、とかいろいろ想像したりしてね。うん、面白いアルバムだと思いますね。実際、曲もよくまとまってるし。スコットが歌ってるからなのか、それともバンドアレンジをワザとそうしたのかは判りませんが、とにかくGN'R側というよりもSTP側に比重が傾いてる気がします。ストレートなんだけど、妙な浮遊感がある、みたいな。サイケではないんだけど、独特な「色」や「味」を感じる‥‥別にマット・ソーラムがいるからってわけじゃないけど‥‥THE CULTの'90年代以降の作品と非常に近い空気を感じましたね。あれがひとつの「アメリカンハードロック」のスタイルを築いたといってもあながち間違ってませんよね?(ま、実際にはTHE CULTはイギリスのバンドなわけですが、よりアメリカナイズされた「ELECTRIC」や「SONIC TEMPLE」辺りで大ブレイクしたのでね。で、この辺のサウンドに対してアクセルも非常に憧れや嫉妬心を持っているという話もあるしね)

ストレートな曲は確かにSLASH'S SNAKEPIT辺りがやってたことと共通するものがあるし、実際ギターソロなんて聴いちゃうとまんまスラッシュなわけですよ(当たり前の話ですが)。そこからブルーズ色を後退させ、スコット特有の浮遊感(カメレオンみたいにコロコロ変わる声色)が加わることで何か別のものへと変化する。それがVRの持ち味なのかもしれませんね? で、そんな中にあって一際光っているのが、"Fall To Pieces" や "Loving The Alien" のようなスローな曲。スコットのボーカルがちょっとデヴィッド・ボウイを彷彿させるようなイメージで、特に後者はギターがスラッシュっぽくなくて面白いかな、と。

そういえば‥‥STPっぽいから余計にそう聞こえるのかもしれないけど‥‥いや違うよな‥‥あのね、全体的にギターリフが単調な気がします。GN'Rと比べるのは反則だと自分で言っておいてアレですが、バリエーション少ないよね、このアルバムでのギターリフって。その大半がベースとのユニゾンだし。SNAKEPITの時ですらもうちょっと印象的なリフが幾つかあったような気がするんだけど‥‥そこが一番残念な点。ロックがヒットチャートで活躍する機会が減ったこんなご時世だからこそ、スラッシュにはもっと頑張ってキッズがギターを手にしたくなるようなサイコーにイカしたギターリフを増産して欲しかったんだけどね。そこは今後に期待ですかね。あとは‥‥やっぱライヴだな、うん。この手のバンドの場合は、やっぱりツアーを重ねることで更に曲のバリエーションが広がったり、よりライヴを意識した曲作りをするようになるはずだから。そもそもスコット自体がここ数年引き蘢りに近い状態だったから(STP初期に比べれば、ってことね)、現在行われているツアーがこのまま順調に進めば続くセカンドアルバム(‥‥本当にあるのだろうか?)は更に凄いアルバムになるはずなんですよね。だってさ、これだけ凄い野郎が5人も揃ってるんだもん、出来ないはずがないでしょ?

まぁそれまでは、このアルバムを可能な限り大音量で聴くことで我慢することにしましょうよ。どうせGN'Rのアルバムは‥‥ねぇ?



▼VELVET REVOLVER『CONTRABAND』
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投稿: 2004 06 06 05:56 午後 [2004年の作品, Guns N' Roses, Stone Temple Pilots, Velvet Revolver] | 固定リンク

2004年6月 2日 (水)

安倍なつみ『だって 生きてかなくちゃ』(2004)

安倍なつみにとってモーニング娘。を卒業後、最初のシングルリリースとなるわけですが、まさか卒業後半年近く経ってからの発表になるとは思ってもみませんでしたね。だってさほら、安倍さんならきっと、出せばそれなりに売れるだろうからさ、もっと早くからバンバン連発するんだろうな、とか勝手に想像してたもんで。ところが卒業後、最初の仕事がミュージカルで、4月からはテレビの連続ドラマ初主演。そっち方面の実力もまぁそれなりに持ってるといえる彼女のことだから、この抜擢もまぁアリかな、歌はモーニング時代以下にペースを落として、そっち方面に力を入れていくのかな、とか思っちゃいましたよ。

ソロシンガー「安倍なつみ」名義としてはセカンドシングルとなる今回の『だって 生きてかなくちゃ』は、その初主演ドラマの主題歌に起用され、この春から毎週オンエアされている話題曲。アレンジにはお馴染み鈴木Daichi秀行を迎えた、アルバム『一人ぼっち』に収録された隠れた名曲「あなた色」にも通ずるラテン色が強いダンサブルなナンバー。潤いあるマイナーキーのメロディが結構ツボで、まぁ悪く言ってしまえばつんく♂の手癖で書かれた曲なわけですが、意外とこれが安倍に合ってるんだよね。「あなた色」の時にも感じたけど(特にライヴを観て余計にそう思えたんだけど)、やっぱりこういったタイプの曲が意外と合うのよね、安倍さんには。タイプがちょっと違うけど「Memory 青春の光」とか、モーニング時代の初期代表曲なんかも正にこの系統の楽曲といえると思うし、そういうイメージが強いから余計にそう感じちゃうのかもしれないけどさ。俺はこの曲、「なっちらしい」と思うよ。歌詞もこれまでの彼女の歌ってきたものと比べて、ちょっとだけ大人っぽいイメージがあって、また新しい発見があったりで。明らかにモーニング時代とは違った層に向けて歌われているよな、と。ま、今回はドラマ主題歌ってのがあるからそういう路線になったのかもしれないけど。「夢見る乙女」的路線もいいですが、こういうクールな路線もまたいいな、と。

一方、カップリング曲「恋にジェラシー申し上げます」は、タイトルトラックとは一転してメジャーキーの爽やかなポップソング。アレンジには湯浅公一を迎え、初夏を思わせるような従来のなっちらしいイメージの1曲に仕上がってます。恐らく多くのファンにとって、この曲は「正しい安倍なつみの曲」に感じられるんじゃないですかね。俺も実際、最初にこの曲を聴いた時「あーそうそう、こういう曲を待ってたんだよなー」って思いましたもん。歌詞にしても、ザッツ・安倍なつみ劇場といった感じで、微笑ましいし。うん、期待通りの1曲

そういえば湯浅公一アレンジ曲にもハズレって殆どないよなぁ(俺的にね)。勿論今回も大当たり。なんていうかね……過去の曲に例えると……モーニング時代の「男友達」の延長線上にある楽曲だよね、曲調的に。もっとアコースティックなものを望んでいた人には期待はずれなのかもしれないけど、俺におってはこれも「安倍なつみ」なんだよね、うん。あれだけが安倍なつみの全てだとは思わないし、あれだって彼女を形成する内の、ほんのひとかけらだと思うんだけどなぁ。ま、この辺の感じ方・考え方は人それぞれですし、議論するつもりはないですけどね。

2曲に共通していえるんだけど、珍しくつんく♂の声やコーラスが入ってないのね。そのせいだからか判らないけど……もしかしてこの2曲、つんく♂が書いてないんじゃないか?と感じたのね。それくらいすっきりした印象が強くて。ま、確かにメロディだけ追えばつんく♂の手癖っぽい作品なんだけど、でも、まぁ最近はレコーディングにも立ち会わないことが多い、なんて噂もあるくらいだからね。仮に彼のスタッフ(あるいはゴーストライター)が書いた曲だとしても、納得できるような出来なら、個人的にはアリですけどね。全肯定はしないけどさ。

正直、安倍の今後にはとても期待してるんですよ。モーニングという堅苦しい枠から離れた今だからこそ出来ること、沢山あると思うし。どんどんと低年齢化/そういう層へのアプローチが進んでいく中で、やはり安倍には年相応の、今しか歌えないいろんなタイプの歌を歌って欲しいし。その可能性はアルバム『一人ぼっち』で十分に感じさせてくれたわけだしね。そういう意味では、これこそが本当の意味での第一歩なんだろうね。聞くところによると、8月には早くもサードシングルのリリースが予定されているそうですね。今月半ばにはファーストソロコンサートも始まるし。残念ながら今回のライヴには行けそうにありませんが、秋のツアーには何をしてでも参加したいな、とさえ思ってます。モーニングへの熱が冷める一方、それと反比例するかのように俺の安倍に対する想いは募るばかり……へっ、これって恋、恋なの??



▼安倍なつみ『だって 生きてかなくちゃ』
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投稿: 2004 06 02 12:00 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, 安倍なつみ] | 固定リンク

2004年6月 1日 (火)

Spaghetti Vabune!『eight players e.p.』(2004)

  日本を代表する「青春ギターポップバンド」と言い切ってしまっても過言ではない、今の自分にとって大切な存在のひとつであるspaghetti vabune!の最新音源が発表されました。昨年リリースされた名盤「summer vacation, sunset vehicle」から約1年2ヶ月、そして自分が彼らに出会ってから約7ヶ月。こうして新しく生まれた名曲達に出会えたことを、とても嬉しく思います。過度な期待をすることもなく、そして不安を感じることもなく、非常にフラットな気持ちで彼らの新曲を待っていたのですが‥‥うん、やっぱり良かったよ。ひたすら笑顔でリプレイしっぱなしの日々ですよ。そうそう、これを待ってたんだよ!ってね。

  今回は新曲2曲+アルバム収録曲のリアレンジ曲+リミックス曲の4曲入りマキシシングル。「eight players e.p.」というタイトルで、単語の頭文字だけ取ると「epep」になるという‥‥(ハイ、言われる前にちゃんと気づいてましたよ俺!)しかもアルバム収録曲の中でも人気の高い "chocolate song" のPVがCDエクストラで収録されているという徹底したサービス振り。この内容でこの値段(1,470円)なら正直安いくらいだと思うよ。だってねぇ、同じくらいの値段でタイトル曲だけ豪華で、残り2曲のカップリング曲が手抜き、あとはカラオケバージョンでお茶を濁すというメジャーアーティスト、腐る程いるもんねぇ(敢えて名前は挙げないけどね)。もうね、これくらいやれと。本当にアーティストのことを大切に思っているならそれくら出来るだろ!?と。無理言ってますかね俺?

  2曲の新曲はどちらもvabune!らしいウキウキ青春ギターポップ。"candy" は丁度今くらいの時期の、雨上がりの晴れた午前9時(あるいは午後3時)といった印象のアッパー曲で、ある意味vabune!の王道ナンバーと言っていいでしょうね。2人のボーカルによる掛け合いも前作以上に磨きがかかっていて、安心して聴ける1曲に仕上がってます。続く "ago" はもっとズッシリとした印象を持つポップナンバーで、ギターのキラキラ度が抜群。ツインボーカルのバランスも良いし、とにかくこの曲の肝はギターでしょう。いろんな音色・いろんなフレーズ・いろんな表情‥‥1曲の中にこれだけいろんな要素が含まれていながらも、バラけた印象が全くないのはさすがというべきか。好きな人にはたまらない1曲だろうし、初めて聴く人にも「なんかカッコイー!」と素直に思わせてしまう説得力を持った楽曲に仕上がってると思います。ホント、さすがというべきかしら。

  後半2曲はアルバム「summer vacation, sunset vehicle」収録曲のリアレンジ&リミックス。これがまたね、面白くてさ‥‥前作収録の "three" のリアレンジ・バージョンとなる "3.1" なんだけど‥‥この曲、思わず仰け反っちゃったね。いやー参った。アルバムではもうちょっと重くて、所謂シューゲーザーっぽい色合いを持った佳曲だったんだけど、ここでは終始同じラインを繰り返すベース(ループ)に歯切れ良いリズムが重なり、その上に浮遊感あるボーカルが乗り(ホント、ベストワークだと思いますよ!)、その隙間を少しずつ埋めていく印象的なギター‥‥あのですね、新曲2曲は勿論大好きなんですが‥‥このマキシの中でどれが一番好き?って問われたら俺、即座にこの曲を挙げてしまう自信大です。新曲を差し置いて前のアルバムのリアレンジ曲を選ぶとは言語道断!と怒られるのを承知で書いてますが、ホントにこの曲をこういう風に味付けし直したこと、そしてそれがモロに自分の好みだったことが嬉しくて、嬉しくて。メンバーに会ったら思わず無言で抱きしめたくなっちゃう程ですよ(それは言い過ぎ?)。

  最後の1曲は同じくアルバムからの "favorite song" を、capsuleの中田ヤスタカがクラブリミックスした "favorite song (contemode bossa mix)"。原曲の可愛らしさを更に増長させ、ボッサ風に再構築したバックトラックはさすがというか。まぁ普段のvabune!とは違うモノという印象は強いんだけど、遊びとしては十分に機能してるし、全然アリですよね。むしろボーカルの個性や可愛らしさを前面に打ち出した好リミックスに仕上がってると思いますよ。いやー、フロアでこれ聴きながら気持ちよく踊りたいね!

  最後にCDエクストラで収録された "chocolate song" のPV。これもvabune!のイメージにピッタリな出来で、とにかく観ていてニンマリしちゃうような内容。何だろう‥‥このバンドの曲を聴いてると、本当に笑顔が絶えないんだよね。ちょっとクールを気取ってみました的ギターポップバンドが数多くいる中で、vabune!は「vabune!らしく自然でいる」ことが既にクールなのであって、その結果聴き手に笑顔をもたらすという‥‥何のポーズもなく、何のギミックもない。だからこそ「強い」んだよね、「歌」が。"chocolate song" を改めて聴いて、そんなことを思ったりしましたね。

  というわけで、大絶賛ですよ。悪いわけがないって。まだ彼らの音に接したことがない人、悪いことは言わないからさ、とりあえずこのマキシから入ってみない? いろんな顔をしたvabune!がそこには待ってるからさ‥‥。



▼Spaghetti Vabune!『eight players e.p.』
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2004年5月29日 (土)

PROBOT『PROBOT』(2004)

FOO FIGHTERSのデイヴ・グロールが、約4年前からその存在を臭わせる発言を繰り返してきたメタル・プロジェクト「PROBOT」。それが'04年になってやっと日の目を見ることになりました。「デイヴがデスメタルをやる」とか「いや、ドゥームメタルみたいだ」とか噂だけが一人歩きしてた感がありますが、結果は見ての通り、もの凄い「豪華プロジェクト」となっております。

基本はデイヴが全ての楽器を多重録音し(一部例外あり)、そこに各曲毎にゲストボーカルを迎えるという形で、曲もデイヴが各シンガーに合わせて起用に作ってます(歌詞は各シンガーが作詞)。全11曲(+シークレットトラック)に11人のシンガー。恐らく、メタルを普段聴かない(聴いていても'90年代初頭以前の古き良き時代のメタル/ハードコアを知らない)世代からすると、知ってる人なんて誰もいないのかも‥‥いや、かろうじてレミー(MOTORHEAD)くらいは知ってるかな? 決して全米/全英チャートで大ヒットを飛ばしたようなバンドのシンガーは参加してない、所謂「アングラ」的、カルト的な存在ばかりが選ばれているように感じます。もっとも、普段からメタルしか聴かないようなコアなファンからすれば、「何でクロノスやキング・ダイアモンドと一緒にC.O.C.のマイク・ディーンの名前があるの? そもそもマイクってベースで、ボーカルはペッパー・キーナンじゃないの?」とかいろいろ不満の声も挙がりそうな気がしますが、それは完全に無視ね。だってメタルファンやフーファイのファンに向けて作られたアルバムじゃないもんこれ。絶対に「デイヴのオナニー」的自己満足アルバムだもん。じゃなきゃ、もっと売れる要素を取り入れて、メジャーレーベルから出すんじゃないの?(今回のアルバムをリリースする「Southern Lord」っていうレーベルもCHURCH OF MISERYとかTHE OBSESSED、ELECTRIC WIZARDみたいなコアなバンドを扱うインディーレーベルですしね)。

先に書いたように、1曲1曲がバラバラで、アルバムのトータル性を考えると微妙ですが、メタルのオムニバスアルバムと考えた場合、非常によく出来た作品なんじゃないかな、と思うわけです。マックス・カヴァレラが参加した曲なんて、彼が参加するSOULFLYや'90年代半ばのSEPULTURAでやってたことをよく研究して、曲調だけでなく演奏スタイルもそれらを模倣してるんですよね。同じくリー・ドリアン参加曲も彼のCATHEDRALチックなドゥームメタルしてるし。レミー参加曲もまんまMOTORHEADだしね。デイヴがそんなによくメタルものを聴いてるなんて知らなかったよ。もっと初期の‥‥それこそ今回参加してるVENOMやCELTIC FROST、VOIVOD辺りに拘った作風になるのかと思ってたもんで、NIRVANA前後の同時代に活躍するバンド‥‥SEPULTURAやNAPALM DEATH‥‥を選ぶのがかなり意外に思えましたね。単純にメタル/ハードコア好きなのね、この人。

デイヴがNIRVANA以前にハードコアバンドでドラムを叩いてた話は有名ですが、その名残りなのか、'8O年代後半頃のC.O.C.をイメージしてマイク・ディーンをボーカルに起用したり(彼、一時期ボーカルもやってたんですよ)、D.R.I.みたいな懐かしい名前も飛び出す始末。この辺は、完全に'80年代してますよね。それぞれが参加した曲も見事にそれっぽいし。かと思えば'80年代ドゥーム/ストーナーロックの元祖・TROUBLEのエリック・ワグナーなんて人まで呼んでるし。この辺はQUEENS OF THE STONE AGEのアルバムに参加した流れかなぁ、なんて勝手な推測をしてみたいりして(ご存知の通り、デイヴはQOTSAの前作でドラムを叩いてます。QOTSA自体、元々はストーナーロックバンドのKYUSSが前身ですしね)。

‥‥とここまで書いて、多分殆どのフーファイ・ファンがチンプンカンプンな名前や内容ばかりだろうな‥‥なんて思ったんですが、要するにあれですよ、カッコいいと感じればそれでいいし、理解できなければ素直にフーファイやNIRVANAまで戻ればいい。それで十分じゃないですかね、このアルバムへの接し方って。そこまでシビアに考える必要ないと思いますよ、だって単なる「遊び」なんですから(売れる/売れないは二の次でしょう、上にも書いたようにね)。で、これ聴いて「メタルってカッコいいかも‥‥」とかちょっとでも思ったら、各シンガーが参加するバンドに手を出せばいい、と。そうやってデイヴのルーツを探っていくのも面白いかもしれませんよね。

あ、個人的には勿論楽しめる1枚でしたが、やっぱり俺的にはデイヴのハードなドラミングを久し振りに堪能しまくれたのが一番の収穫ですね。QOTSAのアルバムやライヴ@フジロックも良かったけど、やっぱりね、ここまで派手にやってくれるとさぁ、嬉しいじゃない? 最近のフーファイはドラムが固定してるから、アルバムで彼のプレイを聴くような機会もないしね。たまにでいいんで、またこういう「遊び」を見せて/聴かせて欲しいですよね、NIRVANA時代からのファンとしては。



▼PROBOT『PROBOT』
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投稿: 2004 05 29 03:48 午後 [2004年の作品, Foo Fighters, Probot] | 固定リンク

2004年5月27日 (木)

THE RASMUS『DEAD LETTERS』(2004)

フィンランドというと、何となくだけど‥‥「ロック後進国」みたいなイメージがあるような、ないような‥‥いやね、ひと昔前だと(いや、数年前に再結成してるから最近もだけど)HANOI ROCKSとかいるけどさ、後が続かなかったじゃない? ところがここ最近‥‥今年に入って、現地では既に人気のあるバンドがワールドワイドで(あるいは日本で)CDをリリースする機会を得たり、来日する機会を得たりしてるわけ。NEGATIVEなんていうバンドもそのひとつだし、今回紹介するTHE RASMUSもそのひとつ。けどTHE RASMUSに関しては、まだ日本デビューは先の話。現時点では7月に今回紹介する「DEAD LETTERS」をリリースするという話だけど‥‥

俺がこのバンドを知ったのは、今年4月。とあるPVを流す番組で偶然彼らのPVを観て。今思えばそれは "Still Standing" という曲だったんだけど、これがね‥‥何ていうか‥‥いや、メロディアスなハードロックだな、というファースト・インプレッションがありつつ、けどちょっと違うぞ、何が違うんだこれ‥‥と興味深く最後まで画面に釘付けになってしまったわけです。髪に黒い鳥(カラス?)の羽をつけた、全身黒でちょっとビジュアル系っぽいボーカル。そしてバックを支える如何にもハードロック系な3人。ドラムなんて短髪にメガネだもんなぁ‥‥なんだこれ? しかも曲はメチャクチャメロウだし、適度にハードだし、ちょっとゴスっぽい印象もあるし‥‥

で、ここまできて気づいたわけよ。あ、これって最初にEVANESCENCEを聴いた時と同じ印象かも、と。まぁ向こうは女性ボーカルでしたけどね。

このTHE RASMUSというバンド、フィンランド出身の4人組で、既に現地では大人気のバンド。この「DEAD LETTERS」というアルバムも現地では既に2003年にリリース済みで、何枚ものシングルヒットを飛ばした大ヒット作なんだそう。で、メジャーの「Universal Group」と契約し、このアルバムを引っ提げて2004年3月にワールドワイド・デビューというわけ。

アルバムを聴いてもらえば判る通り、とにかくメロウでキャッチーな楽曲のオンパレード。俺はUS盤を買ったんだけど(UK盤は曲順が異なるみたいです)、ド頭からいきなり哀愁感タップリな "In The Shadows" からスタートし、そのまま同じくメロウなマイナーチューン "Guilty" へと流れ、3曲目にして最大のハイライトといえる(つうか俺的にはこのアルバムの中で一番好きな) "First Day Of My Life" の登場。この曲、とにかくイントロのギター&ベースのユニゾンプレイからしてカッコ良過ぎ。ちょっとMUSE辺りにも通ずる演奏スタイル&耽美性を前面に押し出し、サビでドロドロに溶けそうな程の甘いメロディを浴びせるという、ホント名曲中の名曲。勿論その後も先の "Still Standing" やヘヴィな "In My Life" とか名曲のオンパレード。バラードもあったり、メジャーキーを用いたポップチューンありで、とにかくすんなり聴けてしまう1枚。ボーナストラックである(4thアルバム収録曲で現地で大ヒットした) "F-F-F-Falling" まで、全く飽きさせない構成になってます。更にエンハンスド仕様で "In The Shadows" のPVも観れるんだから、お得ですよこれ。このPV観て、バンドのビジュアル面を補ってみてくださいね。とにかく曲の良さとバンドのビジュアルイメージがかなり好みのバンドですよ。

きっとレコード会社は「どこかに『第二のEVANESCENCE』いないか?」と血眼になって世界中をあたったんでしょうね。そんな中で所謂ロック未開の地的なイメージのあるフィンランドで、英語で活動するバンドがいた、と。しかも非常に素晴らしい楽曲を沢山持ったバンドあった、と。そりゃ胸を張って世界中にオススメするわな普通。ハードロックとかゴスとかポップとか、そんなの関係ねーよ。曲の良さが全てなのよ!ってな感じでね。いやーこれは驚きですわ。

多分今年後半、日本でも注目される機会が多くなると思いますよ。間違いなく来日も果たすでしょうし、雑誌メディアへの露出も増えるでしょう。既にかの伊藤政則氏もイチオシしているという話を耳にしてますし(彼、EVANESCENCEの時も大プッシュしましたしね)。北欧メタルとか哀愁メロディアスHM/HRファンのみならず、上に挙げたようなバンド‥‥EVANESCENCEやMUSE等、あるいはBON JOVI辺りのメロウな楽曲とか‥‥を好んでいる人にこそ、是非聴いてもらいたいアルバム。いやいや、それ以外の人も是非!



▼THE RASMUS『DEAD LETTERS』
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投稿: 2004 05 27 03:57 午後 [2004年の作品, Rasmus, The] | 固定リンク

2004年5月24日 (月)

SLIPKNOT『VOL.3 : (THE SUBLIMINAL VERSES)』(2004)

バンドがビッグになるに連れて、いろんな煩わしさと対峙していかなければならないのはもはや必然というか‥‥いや、可能ならばそういった音楽以外の煩わしさからは距離を取って、ただひたすら作品作りとライヴにのみ集中できればいいんだけどね。けどそうもいかないのが、この世界。それをただ「芸能界チック」云々で切り捨てて、小さい世界の中で殻に籠って同じ穴の狢相手にチマチマ活動をするのもいいでしょう。それはそれで否定しないよ。けど俺はそういった人種には惹かれない‥‥それだけのことです。

SLIPKNOTが前作「IOWA」リリース前後からかなりヤバい状態だった、というのは既に周知の事実なわけで、それはここ2年くらい(=バンドとしてのツアー終了後)の各メンバーの精力的なソロ活動(ジョーイによるMURDERDOLLSやコリィによるSTONE SOUR、ショーンによるTO MY SURPRISE、シドによる変名DJ活動・DJ STARSCREAM等)をみればお判りでしょう。バンドから距離を置きたい、あるいはもうウンザリしているメンバーもいたかもしれない‥‥事実、コリィは2002年末にSTONE SOURの公式サイトで「SLIPKNOTはあと1枚アルバムを作って、そのツアーをやったら解散する」って自ら発言しちゃったしね(後に撤回)。そのくらい、いろんな意味で追い詰められていたんだろうな、と想像に難しくないわけで。

バンドは2003年も活動することなく、その年の夏には各メンバーのユニット/バンドで夏フェスに出演する予定でした。ここ日本の「FUJI ROCK FESTIVAL 03」にも最初STONE SOURの名前が挙がり、後にMURDERDOLLSの名前もアナウンスされました。が、後に双方キャンセルに。理由は「SLIPKNOTのアルバム作りに突入する」から。急に決まったかのようなこの事実。多分、メンバーとしても「このタイミングを逃したら、もう‥‥」みたいに感じてたのかもね。

その後、プロデューサーに過去2作を手掛けたロス・ロビンソンではなく、SLAYERやRED HOT CHILI PEPPERS、SYSTEM OF A DOWNといったラウドロック界の名プロデューサー、リック・ルービンを迎えていることが発表され、2004年前半にリリースされるだろうことも判明。更に2004年1月末から日本で開催される「SONIC MANIA 04」への出演も決定。レコーディングをそれまでに終了させる予定だったのか、それとも合間に抜けて息抜きのつもりだったのかは判りませんが、とにかく約2年振りの来日が決まり、急に慌ただしくなり始めたんですよね。

ところが、その来日は実現しませんでした。理由は「アルバム作りに専念したい」から。相当アルバム作りに集中したかったのか、それとも予定より難航して遅れていたのか‥‥とにかく、この時点でアルバムリリースが「GW明け=5月中旬にリリース」という新しい情報も。間違いなく、2004年前半の山場のひとつになるに違いないアルバムの登場を、今か今かと我々は待ち続けたのでした。

そして今、俺はそのSLIPKNOTのサードアルバム「VOL.3 : (THE SUBLIMINAL VERSES)」を何度もリピートしています。うん、これは間違いなくSLIPKNOTのアルバムだ。と同時に、これまでのSLIPKNOTからすれば「らしくない」新しい要素も数多く発見できる、非常に興味深い内容になってます。

まず、史上最強(狂)だった前作「IOWA」と比べれば明らかにブルータル度が減退しています。レコーディング中のメンバーに花瓶を投げつけてわざと怒らせてレコーディングさせたという曰く付きの前作とは異なる作風‥‥プロデューサーが変わっているんだもん、そりゃ異なるでしょう。今回、バンドが何に対して怒りを覚え、そしてそれを音にぶつけたのか‥‥いや、もしかしたらそんなに怒ってないかもしれない。判らないけど。ただ、明らかに「SLIPKNOTの音」ですよね。残虐度はかなり下がったものの、それでも十分にヘヴィだし(ま、普段からこの手の音楽ばかり聴いてる人にとっては物足りないんでしょうけど)。全米チャートのトップ5入りを果たしたバンドの3作目と考えれば、この変化は自然な流れかな、とも思います。

この手のバンドの場合、1枚目で衝撃的なデビューを飾り、2作目では更に衝撃度を追求した作品作りに走り、3作目で「(1)よりポピュラリティーある方向へ進む」「(2)迷いが生じていろいろ実験をした意欲作を生む」「(3)とりあえず前作の延長線上にある作品を増産する」のどれかに分岐する、というパターンが多いと思います。KORNなんて正に(1)だし、limpbizkitは典型的な(3)でしたし。で、SLIPKNOTの場合はというと‥‥これ、(1)と(2)の中間かな、という気がします。

いきなりダークでドゥーミーなゴシックソング "Prelude 3.0" からスタートした時点で「あ、すっげー悩んで考えた構成だろうな?」と感じましたね。こんな変化球する必要ないのに‥‥要するに、今1stや2ndでやったようなことをまた再現することは、「2004年のSLIPKNOT」にとっては自分を偽っていることになっちゃうんでしょう。勢いだけで圧せる、そんな時代は終わったんだ、と。これって結局、各メンバーのソロ活動も影響してるんでしょうね。

で、全体的な印象として比較的スピード感を抑えたようなイメージが。暴虐性が薄れたと感じたのは、この辺の影響もあるのかな、と。ブラストビートが心地よくひたすら突っ走るような印象の "Three Nil" にしろ、どこか考え尽くされた印象があるし。とにかくひと捻りもふた捻りもあるアレンジの曲が多いかな、と。

スピードを抑えた反面、直線的だったSLIPKNOTのイメージが、ちょっとだけグルーヴィーになった印象を受けた‥‥それもこのアルバムから感じられた新しいイメージ。ミドルの曲からそういったものを若干感じ取れたんですが、これはやはりリック・ルービンによるものなのかな? いやよく判らないけどさ。そんな印象があるからさ。

あとはね、メロディアス度が急上昇してますよね。スローな曲(中にはアコースティック・バラードまで!)がかなり増えたこと、1曲のヘヴィソングの中に急にポップでメロウなラインが登場する "The Nameless" みたいな曲もあるし、イントロのツインリードがメロデス(メロディック・デスメタル)並にメロウなハーモニーが登場する "Opium Of The People" とか、これまでには考えられないような新境地がそこら中に散りばめられてます。が、聴き終えた後の感想は「あーSLIPKNOTのアルバムだー」というもの。けど、過去2作を聴き終えた時に感じた爽快感みたいなものは今回感じられませんでしたね。

バンドとして相当煮詰まっていたんだろうな、試行錯誤したんだろうな、というのがここまで感じられる作品も珍しいですよね。これ、ファンには賛否両論激しい1枚になると思いますよ。ただ激しいだけの作品を期待してたファンからは「ぬるい!」と一喝され、1stにあったような「絶妙なメロディアスさ」を求めるファン(=2nd否定派)からは「もうダメぽ」と切り捨てられる‥‥そんな運命を辿りそうな予感が‥‥

けど、俺に関して言えば‥‥これ、かなり気に入ってますよ。まぁ前作を超えてはいないと思うし、現時点では1stとどっちが上かと言われれば、まぁ1stと答えちゃうんですけど、それでもこれ、かなりリピートしてますよ。まぁ俺がだんだんとこの手のラウド系から離れていってるので、そういう人にとっては非常に親しみやすい内容になってるかな、と。これまでこのバンドに対して嫌悪感を持っていた一部の層にも結構アピールする内容じゃないかな、と感じてます。

METALLICAだって3rd以降はアルバムをリリースする度に旧来のファンから非難され続け、どんどん古いファンが離れていったにも関わらず、それと引き換えにチャート上でどんどん成功していき、その数倍以上もの新しいファンを獲得していった。MEGADETHもそうでしょう。恐らくこのSLIPKNOTも(もしこの先も活動が順調に続いていくなら)そういう道を辿っていくのかもしれませんね。まぁこのバンドが数年後に「LOAD」みたいなアルバムを作っているとは想像できませんけどね。



▼SLIPKNOT『VOL.3 : (THE SUBLIMINAL VERSES)』
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投稿: 2004 05 24 01:16 午後 [2004年の作品, Slipknot] | 固定リンク

2004年5月21日 (金)

W(ダブルユー)『恋のバカンス』(2004)

  いやービックリした。正直心のどこかでバカにしてたと思うのよ、辻希美と加護亜依の新ユニット、W(ダブルユー)のことをさ‥‥表向き「あー、ザ・ピーナッツの "恋のバカンス" かぁ。判りやすいし元々曲がいいんだから、アリじゃない!?」とか言っておきながら、内心「何だかんだいってモーニング娘。も落ち目だし、音楽的にも面白味が薄れてるし、辻加護に何ができるっていうのよ!?」とか思っちゃっててさ‥‥

  ライヴ初めて "恋のバカンス" を聴いた時は、ほんのちょっと感動したりもしたんだけど(久し振りにモーニングのメンバーがちゃんと「ハモッてる」のを観た/聴いたからさ)、その後テレビで何度かこの曲を歌うふたりの姿を観ても、殆ど無反応。アレンジ自体は特に悪いとは思わないけど、何かねぇ‥‥あと一歩といった印象。歌い込みが足りないとか緊張してるとか、いろいろあるんだろうけど‥‥う~ん大丈夫!?といった感想しか出てこない。どうしたものか‥‥

  けどさ、こうやってシングル買ってるわけよ。何故か。単純にザ・ピーナッツの曲だけを集めた3曲入りの「コンセプト・シングル」としてどれだけ楽しめるのか、そしてつんく♂は何を思って彼女等のデビューにカバーソングを選んだのか。それを知りたかったってのが一番なのかな‥‥どうにも釈然としなかったからさ。

  で、聴いたわけですよ。"恋のバカンス" に関しては今更何も言うことはないですよ。何度も聴いてるし、印象が悪くなることはないけど、まぁ可もなく不可もなくといったところ。実はこの曲のバックトラックが打ち込みじゃなくてバンドサウンドだったという点は、嬉しい驚きだったけど(アレンジはお馴染み鈴木Daichi秀行。そしてギターで鈴木俊介が参加してたりする)。

  ところがさ‥‥このシングル、もの凄い内容なのよ。問題となったのがカップリングの2曲。"月影のナポリ (TINTARELLA DI LUNA)" と "悲しき16才 (HEARTACHES AT SWEET SIXTEEN)"。共に海外のヒット曲の日本語カバーで、ザ・ピーナッツのバージョンをリアレンジしたもの。いやね‥‥悪いことは言わないから、これだけでも聴いた方がいいって。辻加護、甘く見すぎてたかも‥‥

  前者が辻、後者は加護がリードを取ってるんだけど、これまで披露されることのなかった実力の一部がしっかり発揮されてるのよ。勿論曲やアレンジが彼女達に合ってたというのも大きいんだけど、それ以上に‥‥モーニングやミニモニ。等では味わえなかったものを、これでもか!?と言わんばかりに聴かせてくれる。共にたった2分ちょっとの楽曲なのに、凄い濃度・密度なわけ。好き嫌いはあるだろうけど、明らかに「歌い手」としてこの4年は無駄じゃなかったんだなぁ、と再認識(無駄な訳ないけどね)。

  で、アレンジもこれまた良いんだよね。前者はDaichi氏、後者は高橋諭一なんだけど、共にそれぞれの持ち味を存分に発揮した内容になってて、辻のイメージにピッタリなハイパーアクティヴ・ポップに仕上がった "月影のナポリ (TINTARELLA DI LUNA)"、加護の女の子らしい面を強調したかのような可愛らしいアメリカンポップス"悲しき16才 (HEARTACHES AT SWEET SIXTEEN)" ‥‥ゴメン、完全にハマッちまったよ俺。このシングル、特にカップリング2曲を延々リピートしっぱなし。ハロプロ関係の楽曲でここまでリピートを繰り返したの、今年に入ってからは "Berryz工房"のデビュー曲以来かも‥‥嗚呼、結局はモーニング以外なのかぁ‥‥

  とにかく、こうなると俄然アルバムの方も楽しみになってくるよね。アルバムは昭和の女性デュオ曲(それこそザ・ピーナッツからピンクレディ、俺世代には懐かしいうしろゆびさされ組やBabeまで)をカバーしまくりなんだから‥‥後はアレンジャー次第、か。選曲は特に文句なしだし‥‥このシングルで見せてくれた『奇跡』を再び味わえるのか、それとも本当にただの『奇跡』で終わりなのか‥‥結果はあと数週間で出る‥‥怖くもあり、楽しみでもある。あー、ハロプロ関係でここまで新譜リリースが楽しみなの、いつ以来だろう?(けど悲しいかな、これがつんく♂楽曲じゃないという点が唯一の心残り)

  これは『終わり』なんかじゃない。新しい『始まり』なんだ‥‥そう信じたいよ、今は。



▼W(ダブルユー)『恋のバカンス』
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投稿: 2004 05 21 12:00 午前 [2004年の作品, W(ダブルユー), ハロー!プロジェクト] | 固定リンク

2004年5月16日 (日)

FRANZ FERDINAND『FRANZ FERDINAND』(2004)

FRANZ FERDINANDというこのヘンテコなバンド名。昨年末辺りからよく目に/耳にするようになり、今年に入ってからも英「NME」で大々的に取り上げられたことから話題が日本に飛び火し、まだ見ぬ(というよりもまだ音さえも聴いていない人も多いのに)「期待の大型新人」と大騒ぎ。雑誌メディア等でも既に取り上げられ、ようやくファーストアルバムがヨーロッパで今年2月にリリース。アメリカでも4月にリリースされ、時同じくして日本では「FUJI ROCK FESTIVAL 04」への出演が決定。そして遅ればせながら6月にここ日本でもアルバムがようやくリリース決定。一部の洋楽ファンの間ではその名前だけが先行している感が強い彼らも、この日本盤リリースによって、いよいよ本格的にブレイクするのかなぁ、という気が。

イギリスはスコットランド、グラスゴー出身の4人組。言われてみれば「成る程」と納得してしまう風変わりなバンドですよね。グラスゴー出身というと妙に「ヘンテコ」「風変わり」「一筋縄でいかない」というイメージが強いもんですから。しかもこのファーストアルバム、THE CARDIGANSといった'90年代中盤に流行したスウェディッシュ・ポップの仕掛人としても名高く、日本でも原田知世やBONNIE PINK等を手掛けてきたプロデューサー、トーレ・ヨハンセンが手掛けています。どういう経緯で彼を起用したのかは判りませんが、これは非常に面白い組み合わせだなぁと思います。グラスゴー繋がりでその筋で名の知れた方々を起用するという手もあったはずですが、このひねくれ具合もスコティッシュ・バンドならではかな、と。まぁ勝手に妄想してるだけですが。

とにかく、そのサウンドも一筋縄ではいかないもので、ガレージロック(リバイバル・ロックンロール?)風なものからディスコ風、ニューウェーブ風、ポストパンク風と、とにかく多彩。そういう意味では昨年ブレイクしたELECTRIC SIXを彷彿させましたが、こちらの方がもっとミニマルなイメージがありますね。ELECTRIC SIXってステージングやその音そのものもそうだけど、もっとエンターテイメント色が強いしね(QUEENの "Radio Ga Ga" をカバーする辺りにも出てますしね)。

決して演奏が特別上手いとか凄いという印象はないんですが、シンプルな4ピースの演奏(+時代を感じさせるシンセサウンド)がいい味を出してるのも確かで、曲毎にいろんな要素や色を見せつつも、最終的には(これは個人的な感想ですが)ポストパンク色で統一されたアルバムだなぁというイメージを抱くんですよね、アルバムを聴き終えた後。このごった煮感がポストパンクのそれと被るのかもしれないけど、だからといって‥‥例えばTHE RAPTUREやRADIO 4みたいなバンドともちょっと違う。あー英国産のバンドだなぁというイメージもしっかり持ってる。このFRANZ FERDINANDが『新世代USポストパンクに対する、英国からの回答』と評される意味、なんとなく理解できますね。

またロックンロール・リバイバル~ニューウェーブという側面からTHE STROKES辺りとも比較されてるようですが‥‥成る程、確かにそれも一理あるかな、と。音の触感は確かにその流れにあるかも。けどやっぱり別物だよね‥‥当たり前の話だけど。今上に挙げたようなここ数年の間に登場した新世代バンドが全部アメリカ産なのに対して、これがイギリスからの答えだ!と胸を張りたいのも判るよ。バンド側がそれを狙ってるとは思えないけど、結果としてそうなってしまうのも仕方ないのかな、と。

個人的に最近、よく聴くアルバムの1枚なんですよね。「Rough Trade」のポスト・パンクのコンピ盤と併せて聴くと、その面白味もまた増していい感じです。勿論、上に挙げたような新世代USバンドが好きな人も気に入ると思うし、最近のUKロックを追ってる人にもオススメしたバンドのひとつだし。音楽以外の面でも、やれエミネムのボディーガードに殴り掛かったとか、いろいろと面白話題を提供してくれてるし、かのOASISも「いろんな意味で」注目してるみたいだし、これはひょっとして‥‥今年後半、いろいろな意味で音楽シーンを盛り上げてくれるバンドになるかもですね。ま、とりあえずは夏の初来日時に彼らのステージを観て、最終的な判断をしてみたいと思います。



▼FRANZ FERDINAND『FRANZ FERDINAND』
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投稿: 2004 05 16 07:26 午後 [2004年の作品, Franz Ferdinand] | 固定リンク

2004年5月14日 (金)

THE ORDINARY BOYS『WEEK IN WEEK OUT (EP)』(2004)

   この手のバンドを全部『ロックンロール・リバイバル』の一言では片付けたくないよね‥‥そんなちっちゃい枠で括ってしまうには本当に勿体ない、活きのいいバンドがイギリスからドンドン登場してきてるんだから‥‥多分1~2年前だったら全部その類のバンドってことで片付けられてたんだろうけど、もういいよそんなの。聴いて「感じる」か「感じない」か、「クる」か「こない」かのどちらかじゃない全部?

  というわけで、個人的に今年のイギリス出身の新人の中では(タイプこそ違えど)KEANE(このバンドも後に紹介しましょう)と共に大期待してるのが、今回紹介するTHE ORDINARY BOYSという4ピースバンド。こんかい取り上げる "Week In Week Out" は彼らにとって2枚目のシングルで、4月の上旬に発表されたばかり。そう、このバンド、今年の「SUMMER SONIC」で初来日を果たすことからその名前を知ったんだけど、この決定以前にリリースされていたファーストシングル "Maybe Someday" がなかなか手に入らなくて。で、気づいたら4月にこの "Week In Week Out" がリリースされてて‥‥迷わずゲットしてた、と。

  プロデュースにスティーヴン・ストリート(THE SMITHSの諸作品やBLURのブリットポップ三部作、THE CRANBERRIES等)、ジャケットデザインに「STYLOROUGE」といった『判る人には判る』ツボ突きまくりの外部スタッフに囲まれ、恵まれた中でのリリースとなったこのシングル、出だしのリフを聴いた瞬間に一発で気に入ったのよ。出音が全てとはよく言ったもんだよね‥‥ホントその通り。

  表題曲 "Week In Week Out" を判りやすく例えると、『モリッシーがTHE JAMに加入したかのような音』‥‥で何となく想像できるかな? バンドスタイルとしてはモッズ(バンド名じゃなくてスタイルの方ね)っぽくてかなりパワフル。ボーカルが弾いてるらしいオルガンの音が男っぽいサウンドに被さると絶妙。ボーカルがモリッシーっていうとちょっと弱っちいイメージがあるかもしれないけど、声はポール・ウェラーをもっと野太くしたような感じで、ちょっとした節回しがモリッシーっぽいというか。つうかさ、こいつら若いのに凄い玄人じみた色を醸し出してるんだよなぁ‥‥なんじゃこりゃ!?

  で、一転してC/W曲の "Hand In Hand" は緩い感じのポップナンバー。こっちの方がちょっとだけTHE SMITHS色が強いかな?という気もするけど、やっぱ基本はモッズなんだろうか‥‥途中挿入されるエレピなんか聴いちゃうと、まんまそんな気がしてくるし‥‥オフィシャルサイトにある写真を観ると、確かにモッズっぽい印象もある‥‥んだけど、この金髪の長髪がボーカルかな‥‥違うわ、こいつはギターだ! で、如何にも「ポール・ウェラーから影響受けました!」っぽい空気を醸し出してる奴がボーカルなのか‥‥あー何か納得。このもっさりしたルックス(で、ギタリストが妙に浮いててカッコいい)も個人的にはツボ。うわー、どんなライヴやるんだろうか、こいつら。激しそうなのは判るんだけど‥‥こいつら目当てでサマソニに行ってしまいそうな予感。

  アルバムの方は6月末にUK、日本は7月上旬にリリースされる予定になってます。ホント‥‥期待を裏切らないバンドだと思うよ、俺の中では(先日届いたファーストシングル "Maybe Someday" もこれまた激カッコよかったしさ)。昨今のガレージ/ロックンロール・リバイバルの枠には収まらない、括れないからこその魅力が満載‥‥な気がするんだけど。ま、シングル2枚聴いただけでここまで断言してしまうのもアレだけどさ‥‥サマソニ行こうって人は是非名前を覚えておいてよ。確実に今後ブレイクする新人のひとつだと思うからさ。



▼THE ORDINARY BOYS『WEEK IN WEEK OUT (EP)』
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投稿: 2004 05 14 12:00 午前 [2004年の作品, Ordinary Boys, The] | 固定リンク

2004年5月13日 (木)

モーニング娘。『浪漫 ~MY DEAR BOY~』(2004)

  安倍なつみ卒業後、最初のシングルとなる今回の「浪漫 ~MY DEAR BOY」。前作「愛あらば IT'S ALL RIGHT」から約4ヶ月振り、通算22枚目のシングル、という以上の重みを感じさせる1枚なわけだけど‥‥正直レビューしようかどうか、現物(CD)を聴くまで悩んでたのよ。いや、悩んでたというか、やらない方向で考えてたし。正直な話、「ヲタの神経を逆撫でるようなことしか書けねぇなー」とか思ってたもんで。

  で、今はどうかというと‥‥ぶっちゃけ、この曲のテレビパフォーマンスって最悪だよね? 口パクだとまだいいけど(いやよくないが)、実際に歌われちゃうと‥‥センターの3人‥‥藤本美貴、高橋愛、そして問題の石川梨華‥‥この最後の人が何故センターで歌ってるのかホント疑問で。いや、ルックス面でってのは理解できるんだけど、先の2人と比べると、実力的に明らかに数歩劣るわけじゃない? 藤本はもう一行歌っただけでその場の空気が一変するだけの魅力を持ってるし、高橋はまぁその域まで達していないものの、それでもかなり実力をつけてきたと思うし(この子の場合、同じ曲でも回数歌わせると最初の頃と全然違う位に成長してるしな)。なのに石川‥‥本当にこの曲に必要だったの!? 安倍抜きのモーニング娘。第4期(後藤加入前までを第1期、後藤加入後~卒業までを第2期、後藤卒業から安倍卒業までを第3期と考えた場合ね)最初の曲がこれで本当に良かったのかなぁ‥‥俺には未だにその答えが正しいのか間違っているのか、判断がつかずにいます。

  お馴染み鈴木俊介をアレンジャーに迎えたタイトルトラック、"浪漫 ~MY DEAR BOY"。特に30代の方々なら一聴して判るように、今回の曲調は明らかに'80年代中盤の、レベッカやバービーボーイズ、あるいは氷室京介のソロ楽曲からアイディアを拝借しています。今年に入ってからのつんく♂作品は松浦亜弥の "奇跡の香りダンス。"、モーニング娘。おとめ組の "友情 ~心のブスにはならねぇ!~" といった楽曲がそれぞれボウイ(というか布袋寅泰作品)やブルーハーツといった'80年代の日本を代表するロックからアレンジのアイディアを拝借しています。しかもおとめ組の楽曲同様、この曲の演奏をしてるメンツがね‥‥ギターとプログラミング(リズムトラックは打ち込み)が鈴木俊介、ベースが元リンドバーグの川添智久、ソプラノサックスが元バービーボーイズのKONTA、キーボードが元レベッカの土橋安騎夫という徹底振り。これでドラムが元ボウイの高橋まことだったらもっと笑えたんだけど(いや笑うとか笑わないの問題じゃないし)。

  KONTAのソプラノサックスのせいか、全体的な印象がどうにもバービーボーイズのそれっぽいんだよね。歌メロ(特にBメロ~サビの辺り)は氷室っぽいし、要所要所に挿入される印象的なパーカッションはレベッカっぽいし‥‥う~ん、この2004年という時代に、つんく♂は何がやりたいのでしょうか? 一周回って「新しいやん?」とでも言うのでしょうか? いや、違うから。一周どころか、既に3周くらいしちゃってて、ちょっと飽きがきてるから。

  いやね、テレビパフォーマンスでは印象最悪だったこの曲。ライヴにてフルコーラスで聴いたら、印象がかなり良くなったんだよね。あと、ああいうアリーナクラスのステージで観ちゃうと、どうにもね‥‥ぴったりっつうか? うん、上手いこと誤摩化されてるな俺。

  でもね‥‥やっぱり書いておくよ。決して悪い曲だとは言わないけど、正直これ聴いちゃうと "Go Girl ~恋のヴィクトリー~" や "愛あらば IT'S ALL RIGHT" ですら名曲に聞こえてきちゃうんだからホント不思議。そうか、今度の曲にはそういう効果があったのかっ!!!

  ‥‥いや、ホントさ。これ以上レベルを下げていってどうするよ? ミニモニ。やBerryz工房の楽曲が水準以上だったことを考えると(それでもモーニングが歌えば並止まりなんだろうけどさ)、明らかに不遇時代まっしぐらって感じだよね。本当、どうなっちゃうんだろう‥‥考えれば考える程に憂鬱になってくるよ。

  ところがね、そんな「もうだめぽ」的精神状態をほんのちょっとだけ回復させてくれたのが、カップリング曲の "ファインエモーション!" だったというね。これが「サイコー!」とまでは言い切れないものの、なかなか良い佳曲だったもんだからさ。アレンジはお馴染み鈴木Daichi秀行。"浪漫 ~MY DEAR BOY" にも通ずる'80年代色を若干みせつつも、小気味良いポップロック調に仕上がってて、これまでのモーニングから想定できる範疇内のイメージもあって、かなり好印象。まぁ決してシングルの表題曲になるタイプの曲とは言いがたいけどさ、それでもカップリングとしては十分合格といえる出来だと思うよ。まぁね、全盛期('99~'01年)のそれと比べればねぇ‥‥そりゃ比べるだけ酷ってもんですよ。個人的にはかなり好きなタイプの楽曲。これをもっと丁寧に仕上げてポップス調に味付けすれば、もしかしたらシングルのタイトルナンバーとしていけたんじゃないのかな‥‥なんて思えちゃう程、好き‥‥と書けば、判ってもらえるでしょうか。あー何かまた首の皮1枚で繋がった感じ。ちょっと嫌な感じだなぁ‥‥

  もうね、これはシングルとしては‥‥絶対にヒットしないと思う。いくら初回盤にポスター5枚&イベント券封入したところで、そんなの買うのはヲタだけだし、そのヲタにすら見捨てられつつあるからねぇ(そう考えると、ジャニーズのファンって本当に凄いと思う。毎回初動で10~20万枚以上記録してるんだから)。"Go Girl ~恋のヴィクトリー~" 並、いや、下手したらあれを下回る可能性もあるよな‥‥だって、今の彼女達にはマイナスポイントはいくらでもあるけど、セールスポイントは‥‥「負」の要素しかないんだから。もはや「負」の要素をセールスポイントにするしか道はないのかね‥‥いやね、こんなこと書いてるけど、こころのどこかでは「国民的アイドルよ、再び!」とか叶わないだろう夢を信じてるのよ。100%ないとは判ってるんだけどね‥‥。



▼モーニング娘。『浪漫 ~MY DEAR BOY~』
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投稿: 2004 05 13 12:00 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, モーニング娘。] | 固定リンク

2004年5月 5日 (水)

V.A.『ROCK AGAINST BUSH VOL.1』(2004)

  勿論、ここに紹介する26組のバンド全てが必ずしもパンクロックだとは限りません。が、本質的な部分からすれば、俺から見れば全部パンクバンドだと思えるんですよね。

  NOFXのメンバー、ファット・マイクが運営するレーベル、「FAT WRECK RECORDS」が、反ブッシュ政権、というか次期大統領選でブッシュが当選することを危惧して立ち上げたのが「www.punkvoter.com」というサイト。そしてそれが高じて、「ROCK AGAINST BUSH」というプロジェクトまで立ち上げ、それに賛同するミュージシャンを集めてこのアルバムまで完成させてしまいました。

  参加アーティストは26組。有名どころだとOFFSPRING、SUM41、NEW FOUND GLORY、PENNYWISE、LESS THAN JAKEといったパンク勢、そしてTHE GET UP KIDSやMINISTRYといったちょっとパンクからは外れたラインにいるバンドもその趣旨に賛同して参加。中にはジェフ・ビアフラ(元DEAD KENNEDYS)みたいな大御所も参加しています。しかもこの26組中18組が現時点で未発表の新曲を提供しています。太っ腹! OFFSPRINGなんて、オリジナルアルバムでは耳障りのいいポップパンクを聴かせておいて、このアルバムでは "Baghdad" という直球のパンクソングを持って来ているんだから‥‥

  アルバムの内容については、まぁオムニバス特有のバラツキがあるので絶賛こそしませんが、まぁ好きな人なら楽しんで聴ける1枚だと思います。実際、このアルバムがこの内容で、しかもDVDまで付いて1,000円前後で買えるという事実‥‥如何に作り手が儲けを度外視して、如何に多くの人の手元に、耳に届けたいか‥‥その意思が伝わってきますよね。

  パンクって何だろうね‥‥いや、ロックでもいいや。別に必ず政治的なことに関わるべきだとは思わないよ。けどさ、言いたい事さえも言えない今の風潮の中、こうやってリスクを伴う活動を矢面に立って実践している人がいる事実。これを日本の「自称・パンクロックバンド」の皆さんにも見習ってもらいたい。カッコだけのパンクや、「俺等はメジャーとは関わりたくない」とかポーズ決めてるインディーパンクやその周辺、少なからず「パンク」というものに影響を受けているのなら、そして「パンク」と名の付くシーンや音楽に携わっているのなら、(その内容はともかくとして)このやり方だけでも見習って欲しいと切に願うよ。

  別に今一部の音楽ファンの間で問題視されている輸入権の問題だけじゃないよ。日本の政治は本当にどうしようもないところまで来てると思う。それを見て見ぬ振りして「パンク」を名乗るのは、正直カッコ悪いと思う。どうしようもなくね。まだまだ日本には、こんなもんじゃない、本当にカッコいい「真の」パンクロックバンド、沢山いるはずでしょ? ジョー・ストラマーがこの現実を知ったら、向こうで泣いてるよきっと。

  ファット・マイクの主張、全てを受け入れることは出来ないけど、彼が言わんとしてることは理解できる。そしてその手段(=今回のリリース)も非常に判りやすくて好感が持てる。日本でもこういうことが出来ないのかなぁ‥‥インディーズレベルでさ。もっとカッコいいとこ、俺に見せて欲しいよマジで。



▼V.A.『ROCK AGAINST BUSH VOL.1』
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投稿: 2004 05 05 03:29 午後 [2004年の作品, Compilation Album, Dead Kenedys, Get Up Kids, The, Ministry] | 固定リンク

2004年4月27日 (火)

LAST DAYS OF APRIL『IF YOU LOSE IT』(2004)

スウェーデンといえばひと昔前はスウェディッシュ・ポップ、今ではガレージ/リバイバルロックの宝庫とされる、音楽ファン要注目なお国なわけですが、そこにこのLAST DAYS OF APRILも加えておきたいですよね。前作「ASCEND TO THE STARS」から約2年振り、通算5作目となるこの「IF YOU LOSE IT」。初期の頃に顕著だった「エモ」の要素は完全に後退し、もっとギターポップ寄りのサウンドへと進化してます。この辺の流れ、同じ時期にリリースされたTHE GET UP KIDSの新作にも同じものを感じます。歳を重ねることで、エモをやってた頃みたいな若々しさが後退してしまったのか、それとも円熟味が増しているのか‥‥その辺はミュージシャンによってまちまちでしょうけど、このバンドの場合はいい具合に成長してると思いますね。

個人的にはエモも嫌いじゃないし、むしろライヴとかで聴いたら弾けちゃうんだろうけど‥‥でも趣味でいったら完全に今の路線の方が好みなんですよ。ギターポップ/ギターロック‥‥なんならインディーギターロックでもいいや(っていうかこの辺のジャンルの枠組みってどうでもいいんですけどね!)。で、このアルバムを聴いていて凄く感じたのが上のようなGET UP KIDSとの共通点だったりするんですが‥‥それ以上にピッタリ符合するサンプルが先駆者にいるじゃないの。いや、エモじゃないけどさ‥‥そう、TEENAGE FANCLUBよ! 彼らも初期は轟音ギターに甘美なメロディーを絡めた独自の路線で登場したものの(しかもアメリカでのグランジと微妙に被ったりしてね)、アルバムを重ねていくにつれ、初期の色合いを完全に消し去り、楽曲指向で味わい深い路線へと移行していきましたよね。俺、最初にこの「IF YOU LOSE IT」というアルバムを聴いた時、そういったTFCの中期諸作を思い浮かべたんですよ‥‥「GRAND PRIX」とか、あの辺を。楽曲自体は初期の作品に通ずるのに、その表現方法が当時とは違う、新しい手段を用いている。TFCにしろGET UP KIDSにしろこのLAST DAYS OF APRILにしろ、そいういう見事な進化をしてるように思います。

楽曲自体は本当によく練られたものが多く、特別「ここが凄い!」とか「ここがサイコー!」っていうポイントは少ないんですが、むしろこのアルバムはそういったポイント、ポイントを楽しむよりも全体の雰囲気/空気感を楽しむのが一番だな、と。トータルで聴いた時の爽快感というか‥‥いや違うな。安心感とか温かみとか、そういった方が合ってるかな。そんな印象を受けるのね、このアルバム。メロディーも温かいし、演奏も激しすぎず、それでいてダラダラしすぎてもない。人肌の温かみ、適温‥‥そんなイメージがピッタリ。北欧的な冷たさは皆無。いや、スウェーデンのギターポップバンドにそんなものを求める輩は少ないよな。

これはもうね、夜のアルバムですよ。トータルで34分というトータルランニングも良いし(俺は輸入盤を買ったのですが、日本盤には更にボーナストラックが入ってるのかな?)、激しすぎないから適度な音量で深夜に流していても気が散らない。むしろ夜に聴きたい、ちょっと肌寒いこの時期に、温かい布団にくるまってね。ホントは隣に女の子がいればいいんだろうけど‥‥違うのよ、このアルバムは一人で聴くべきなのよ。一人で孤独を噛み締めながら、アルバムの温かみを実感する‥‥それがこのアルバムの正しい楽しみ方なのではないでしょうか? っていうか、そんな空気がひしひしと伝わってくるのよね、このバンドからは‥‥

そんな所謂「負け犬」感というか、弱者的要素を感じさせるのも、TFCと共通するかな。ま、とにかくTFC辺りが好きな人なら間違いなく気に入る1枚。勿論、スウェーデンものが好きな人もね。



▼LAST DAYS OF APRIL『IF YOU LOSE IT』
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投稿: 2004 04 27 03:43 午前 [2004年の作品, Last Days Of April] | 固定リンク

2004年4月23日 (金)

宇多田ヒカル『誰かの願いが叶うころ (EP)』(2004)

2003年唯一の音源であった「COLORS」から1年3ヶ月振りに届けられた、宇多田ヒカルの新曲 "誰かの願いが叶うころ"。2004年に入りいきなり武道館5公演を行い、更に3月末にはこれまでのシングル曲をまとめたベストアルバムをリリース、これまでの活動にひと区切りつけ、いよいよ全米デビューに向けて本格的に動き出したんだなぁ、と思った矢先の新曲リリース。しかも旦那さん初監督映画のテーマソング。いろんな意味で興味深い1曲となっています。

俺、初めてこの曲を聴いたのは‥‥4月に入ってすぐかな? 有線で聴いたんだよね。いきなりかかったんだけど、聴いてすぐにヒッキーの曲だと判ったのね。けどさ‥‥宇多田っぽくないよね、いろんな意味で。凄く新鮮だったのと、強烈だったのと、とにかく「あー、ベスト盤の前に出すのを止めた理由が何となく理解できるわ」と思ったのね。別にこれが「第二期・宇多田ヒカル」を象徴するとは思わないんだけど、とにかく凄く強烈な曲だと思いました。

アレンジがシンプル(宇多田が弾くピアノと、アコギにストリングス系のプログラミングのみ)というのは、間違いなく「歌詞」に重点を置いているからでしょうね。そう、この歌詞こそこれまでの「宇多田らしくない」と感じたものだったのよ。初めて聴いた時も、とにかく耳に飛び込んでくるのは、メロディでも歌声でもなくて、その歌詞だったのね。なんて言うかさ‥‥これまでとパターンが違うな、と。今までの「歌詞」というフォーマットではなくて、もっとこう、「詩」というか‥‥多分、メロディが先に出来た曲ではなくて、歌詞から先に作った曲なんじゃないかな、と直感的に感じてさ。自分も詞書くからってのもあってそう感じたのかな‥‥よく覚えてないんだけど。

そしたら実際、本当に「詞先」の曲だったのね、これ。宇多田本人がそう言ってたから間違いないんだろうけど‥‥ある程度、映画の内容を把握した上で書かれたものだと思うんだけど‥‥凄く力強い「想い」が伝わってくるな、と。リズムすら排除して、ゴチャゴチャしたアレンジになっていない分、更にその「想い」は強く伝わってくるわけですよ。

で、それに合わせてなのか、メロディもかなり考えて書かれてるし。かなり難しい節回しが多い、起伏にとんだメロを持つ曲。難易度最高レベルですかね。そういう意味では、ある程度「消費される」ことを意識して作られたこれまでのフォーマットと、かなりかけ離れた楽曲ですね。完全に「宇多田ヒカルだけのもの」というような印象。で、それを聴き手が「自分でも歌いたい」という風に「所有」するというよりも、その宇多田の「想い」を「共有」するといったイメージ。それがこの曲に対する、俺が今感じていることです。

ぶっちゃけ、尾崎豊トリビュートに収録された "I LOVE YOU" のカバーの、数百万倍も素晴らしい出来。たった1曲(+カラオケ)に660円も払うのはちょっと気が引ける、という人もいるかと思いますが、正直安過ぎるくらい。全曲持ってるのにリマスター&新たなパッケージで売られるベスト盤を買うなら、こっちを買えって話ですよ。正直、200万枚くらい売れないとおかしい1曲。

何度も言うけど、決してこれが全米デビューを控えた宇多田の「第二章」というわけではなく、あくまで次章へのインタールード的な作品と捉えた方が良さそうです。うん、贅沢なインタールード曲だ。



▼宇多田ヒカル『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2』(「誰かの願いが叶うころ」収録)
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投稿: 2004 04 23 12:00 午前 [2004年の作品, 宇多田ヒカル] | 固定リンク

2004年4月13日 (火)

AEROSMITH『HONKIN' ON BOBO』(2004)

前作『JUST PUSH PLAY』から丁度3年振りに発売された、AEROSMITHのスタジオ・アルバム14作目にあたる今作品は、10年くらい前から出る出ると噂されてきたブルーズのカバーアルバム。偶然にも同時期にエリック・クラプトンもかのロバート・ジョンソンのブルーズ・カバーアルバムをリリース、英米を代表するブルーズをベースにしたロック・ミュージシャンが、それぞれの個性をどう活かし、どうオリジナリティを確立するかが非常に興味深い「対決」となってしまいました。ま、本人達には競うなんて気持ち、全然ないでしょうけどね。で、俺も「同じブルーズを扱っても、絶対に別物になるだろう」って判ってたので、特に意識しなかったですけど‥‥

『GET A GRIP』リリース後暫くして「ソニー移籍前に、古巣のゲフィンでブルーズ・アルバムを出して、契約満了」という噂が出回ったのが最初でしょうか? このアルバムのツアーからジョー・ペリーが必ずステージでジミ・ヘンドリクスの「Red House」をプレイするようになったんだよなぁ(ま、それ以前からちょこちょこやってはいましたが)。だから余計に信憑性を感じてしまったりしてね。

その後、新作が出て、ツアーが終わる度に「次作はブルーズ・アルバム!」なんていう話があったよな気がするんですが、結局毎回ライヴ盤だったりベスト盤だったりで、いっこうに取りかかる気配は感じられず。ま、それ以上に「オリジナルの新曲」に力を注いでくれていたので、特に残念とは思いませんでしたけど。

前作『JUST PUSH PLAY』がある意味「従来の色(=80年代半ばの復活以降の色合い)」と「未来(=同時代性だったりテクノロジーだったりを導入)」とを結びつける意欲作だったこともあり、またその後に2枚組のオールタイム・ベストでとりあえずひと区切りついたこともあってか、ここでようやく本格的にブルーズ・アルバムに取りかかることになったのでした。前作から3年というインターバルも、ここ10年で一番短いし、何よりも前作から今作の間にベストがあったり2度の来日があったりで、そんなに間が空いたように感じなかったのも良かったですしね。

実は俺、ここに収められている11曲のルーツソング(ブルーズだけに拘らず、ルーツロック的なナンバーからゴスペルまで、意外と幅広いんですよね)の大半は、オリジナルの方を知ってたもんで、選曲には特に意外性は感じなかったものの、「一体どういう風に料理するんだろう?」というエアロらしさの表現方法/アレンジが非常に気になってたんですよね。まんま“どブルーズ”してしまうのか、それともアレンジしまくるのか‥‥。

実際に出来上がったカバー曲達は‥‥多分原曲を知らなかったら全部エアロのオリジナル新曲に聴こえてしまうんじゃないか?と思える程、完全に自分達のものにしてしまってるんですよ。どこからどう聴いても、正真正銘のエアロ節。原曲を完全に崩してしまったものもあれば、比較的オリジナルに近いものもある。ユルユルな曲もあれば、鬼気迫る緊張感を感じさせるテイクもある。完全に楽しんでるな、ってのがそのサウンドから存分に伝わってくるわけですよ。お仕事としてのアルバムではなく、お遊びとしてのアルバムなんだな、と。それが嬉しくてね。こんなにカッチリしてないエアロのスタジオテイクを聴くの、下手したら『DONE WITH MIRRORS』以来だからね。

これはもう、ブルーズ・アルバムというよりは、「ルーツロック・アルバム」と呼んだ方が正しいかもしれないね。特に頭4曲の流れとか聴いちゃうとさ‥‥ブルーズに限定されてないわけじゃない、これらの曲って。アレンジ的にもさ、その辺に全然拘ってないわけだし。というよりも‥‥例えば初期の作品‥‥『GET YOUR WINGS』での重さや『TOYS IN THE ATTIC』でのポップさを同時に持ち合わせているような、そんな感覚。決してコンテンポラリーなサウンドではないんだけど、かといって古くさくもない。それはきっと、エアロ自身が枯れてないからだろうね。スティーヴン・タイラーの歌聴いてると、枯れるどころかドンドン若返ってる気がするし(その反面、ジョー・ペリーのボーカルはドンドン枯れてってるんだよね、いい意味で。ギターは相変わらず若々しいんだけど)。このバランス感が残ってるから、ただのブルーズのカバーアルバムに落ち着かなかったんだろうな、と。

唯一収録されたオリジナル新曲「The Grind」も、いい意味でセカンド~サード辺りにまでレイドバックしてるし。意識したわけじゃないんだろうけど‥‥勿論、今の彼ららしさも十分に残しつつね。そこはさすがだわ。時代と対峙していくエアロも勿論大好きだけど、やっぱり俺はこういう「得意なことをストレートにやる」エアロも大好きなわけでして。ま、所詮は80年代初頭からリアルタイムで追い続けてるオールドファンですからね!



▼AEROSMITH『HONKIN' ON BOBO』
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投稿: 2004 04 13 12:00 午前 [2004年の作品, Aerosmith] | 固定リンク

2004年4月11日 (日)

Mr.Children『シフクノオト』(2004)

  前作「IT'S A WONDERFUL WORLD」から1年11ヶ月振りとなるMr.Childrenの最新アルバム「シフクノオト」。2002年7月リリースのシングル "Any" から始まり、同年12月の "HERO" とそのカップリング "空風の帰り道"、更に2003年9月にラジオ・オンエアのみで発表された話題曲 "タガタメ" と同年11月のシングル "掌" と "くるみ" といった既出曲6曲を含む全12曲ということで、「新曲が少ない」という声が発表前からあったようですが、何故そういう構成に至ったのかは完成したアルバムを聴けば答えが自ずと見えてくるだろうから、これまで特にそれについてはコメントしてきませんでした。確かに最初にアルバム曲目が発表になった時、「あれー、カップリング曲も入れちゃうんだ」とは思ったものの、肝心なのは残りの新曲であり、そして既出曲と並んだ時のバランス、アルバムとしての完成度だったので、それに対して不満は抱かなかったですね。

  既にいろんなところで桜井和寿が発言している通り(また、初回盤付属のDVDでも語られているように)、アルバムタイトルには『至福の音』と『私服の音』というダブるミーニングがかけられています。それ以外にも音の響きでいえば『至福(私服)ノート』と受け取ることができるし、実際にそれらの言葉の意味合いが納得できるような内容に仕上がっているのではないでしょうか? 最初の仮タイトルが「コミック」だったということから、個人的には『~ノート』という響きが妙にしっくりくるんですけどね‥‥ま、それは皆さんひとりひとりが実際にアルバムを聴いた感想を当てはめていけば、またタイトルの意味合いも少しずつ変わってくるんだろうなぁ‥‥と。そういう自由なアルバムなんだろうな、という気はしますね。

  で‥‥レビューやるに当たって、これまでミスチルのアルバムで必ずやっていた全曲レビューを、今回は止めようかな、と思ったんですね。時間が取れないというのもあるし、それ以上に‥‥最初に数回聴いた時、良い作品集だとは思ったけど、前数作のような傑作とは言い難いよなぁ‥‥と感じたもので。けどまぁ乗りかかった船だ、期待してる人もいるみたいだし、思い切ってやってみようか‥‥というわけで、リリースからちょっと遅れましたがレビューすることになりました。今日は朝から天気も良かったので、延々リピートして聴いてましたよ。それではいってみましょう‥‥


◎M-1. 言わせてみてぇもんだ
  サーカスか、場末のキャバレーか、と思わせるようなジャジーなイントロから、中~後期BEATLES的ヘヴィ&サイケなミドルチューンへ。これまでのミスチルのアルバムとは明らかに違うスタート。オープニングにSE的なインストを持ってこなかったのも新鮮だし(とはいっても「DISCOVERY」や「Q」にもその手のSEはないんですけどね)、何しろこの手の曲自体が随分と久し振りな気がするので(ある意味「深海」以来!?)。とにかくこの曲の要はギターでしょうね。田原、頑張ったなぁ、と。

◎M-2. PADDLE
  既に2月から某テレビCMに起用されていたので耳に馴染みのある1曲。意表をついたミドルヘヴィでスタートし、曲間も殆どなく2曲目に。前作からの流れにある、ある意味ミスチルの王道パターン。聴き手としてはここでひと安心。サビ後半での崩した譜割りが印象的。

◎M-3. 掌
  言うまでもなく最新シングル。詳しくはこちらで。ミスチルの「王道ポップ・サイド」から「王道ロック・サイド」へと流れていき、続く「王道バラード」へと続くこの流れは、正しく前半部のハイライトといえるでしょう。曲自体は地味なものが続くんだけどね。

◎M-4. くるみ
  前曲から、シングル収録時と全く同じ流れ。"掌" との両A面シングル。詳しくはこちらで。何も言うことはないでしょう。名曲。

◎M-5. 花言葉
  初回盤付属DVDエンディングでの「コスモスの花言葉は『乙女の純情』」 というあの言葉が印象深いですが、楽曲の方も印象的‥‥いや、地味か。「versus」の後半辺りに入ってそうな印象の1曲。地味だけど味わい深く、後半の展開部(転調前ね)で思わずググッときてしまいました。

◎M-6. Pink~奇妙な夢
  スロウでヘヴィ、しかもダーク‥‥けど「BOLERO」の頃とは違った種のダークさ。芯から病んでいるのではなく、雰囲気としてのダークさ、表現としてのダークさ、といったところかな。とにかく音作りが非常に凝っていて、とても興味深い内容。ちょっとだけ抽象的で夢を具体化したような歌詞も印象的。多分世間の受けは悪いだろうけど、個人的にはアルバム中かなり好きな部類の1曲。

◎M-7. 血の管
  で、そのダークな空気をちょっとだけひきずったかのようなイントロ。ピアノとストリングスだけをバックに歌われる、ちょっとだけ重苦しい印象を持つパラード。1曲目 "言わせてみてぇもんだ" といい、前の "Pink~奇妙な夢" といい、全体的にこのアルバム、地味でダークで穏やか‥‥という印象。勿論、前半を聴いた限りの感想だけどね。

◎M-8. 空風の帰り道
  シングル "HERO" のカップリング曲として既出。このアルバムのレコーディング自体は2003年春頃からスタートしたと思うんだけど、こうやって聴いてみると既に2002年秋‥‥"HERO"レコーディング時から、おぼろげながらそのイメージは見えていたんだろうね。違和感なくアルバムに収まっているこの曲を聴いて、そう実感しました。

◎M-9. Any
  アルバム中唯一、前作「IT'S A WONDERFUL WORLD」とほぼ同時期に制作された1曲。結局実現しなかった前作でのツアーでも、間違いなくハイライトのひとつとなったであろう曲だよね。詳しくはこちらを。やっぱりどこか、「前作の音」かな‥‥偏見かもしれないけど、音のゴージャスさは明らかに「IT'S A WONDERFUL WORLD」のものだよね。あのアルバムが16色のパステルをいろいろ組み合わせたカラフルなイメージなのに対して、「シフクノオト」がどこかモノトーン/セピアなイメージが強い。そう考えると "Any" は‥‥楽曲の地味さ加減は「シフクノオト」っぽいかな?という気がしたけど、いざアルバムの中に入れてみるとハッキリと「IT'S A WONDERFUL WORLD」だよな、と感じる。制作側はそこまで考えてない/感じてないのかもしれないけどさ‥‥ま、いち個人の感想ですけどね。

◎M-10. 天頂バス
  中盤の穏やかなノリから大ヒットシングルで転機を迎え、いよいよラストに向けて大きな盛り上がりをみせるこのアルバム‥‥個人的にはこのアルバム一番のハイライトだと思っているこの曲。ROLLING STONES的アーシーなロックンロール調アレンジのA~Bメロはどこか "光の射す方へ" を彷彿させるアレンジ。けどサビになるといきなりエレクトロな四つ打ちに。どこか一時期のスーパーカー的で面白い。更に中盤の展開部ではまた違った印象のアレンジ‥‥どこかニューウェーブ的というか。ぶっちゃけ、3つの異なるアレンジの曲を合体させたような1曲になってるのよ。この辺は何となく「Q」的ですよね。凄く面白い曲だなこれ。バンドというより、桜井とプロデューサーの小林武史のふたりで遊んでみました的楽曲というか。

◎M-11. タガタメ
  で、ラストに向けて更に盛り上がっていくこのアルバム。ラス前に持って来たか、この曲を‥‥ま、詳しくはこちらでね。もはや何も言う事はないでしょう。この曲に感動/共感できない人とはちょっと距離を取りたいな、と思える程圧倒的な1曲。やっぱりこのポジション(アルバム最後ではなく、ラス前)しかあり得ないよな、うん。

◎M-12. HERO
  最後の最後はこの超名曲を持ってきたか‥‥"タガタメ" の余韻を引きずったまま、歌い出しの「例えば誰か一人の命と/引き換えに世界を救えるとして」って歌詞聴いて、思わず目頭熱くさせちまったよ。ったく、反則! 桜井自身もこの曲でアルバムを終えるという構想が最初からあったみたいですね。詳しくはこちらで。そういえば既出シングル曲で終わるアルバムってのも、「BOLERO」以来で随分と久し振りだね(ま、「BOLERO」の場合はボーナストラック的位置なんだっけか、"Tomorrow never knows" は)。


◎まとめ

  実は今回、歌詞についてあまり深く突っ込まなかったのは意図的です。というのも、桜井自身も「ミスチルというと『歌詞が~』と言われることが多く~」と初回盤付属DVDの中で述べていたので、今回は(っていうか毎回だけど)特にサウンド/アレンジ面中心で語ってみました。いや、もうね、大体そうじゃない、他所のサイトもさ、歌詞云々って。だったら俺らしいやり方でアルバム語ってみようかな、と。

  最初に書いたように、良いアルバムだとは思うけど傑作とは言い難いなぁ‥‥と感じたのは、アルバム全体のトーンが地味目なのが大きいでしょうね。一聴してカラフルなイメージがない。全体が似たようなトーンでまとまっているし。いろんなギミックは仕掛けられているものの、それは聴き込んでいく内に発見していくといったような感じ。ホント、細部にまで拘って制作されているのは何度も聴いてよく判りました。

  何だろ‥‥「ポップ」という要素に拘ったことで外に向けて放った「IT'S A WONDERFUL WORLD」とは真逆にあるのかな、「シフクノオト」って。極端な話だけどさ。歌われる対象だったり、聴いて欲しい対象がもっと限定されているように感じるのも、このアルバムの特徴かもしれませんね。勿論「ポップ」なんだけど、前作ではいろいろ計算されていたからこその作風だったのに対し、今回は好き放題やったものをまとめたような、そんなイメージ。そうか、だから「コミック」であり「私服ノート」なのか。妙に納得。

  あとさ‥‥これはもう仕方ないことなんだけど、前作でツアーをやらなかった(出来なかった)のも、このアルバム制作に大きく影響してるように思います。最後に大掛かりなツアーをやったのが2001年夏。2002年12月に単発でライヴはやったけど‥‥やっぱり「バンド」としてこれは大きいと思うな。「作家」としては然程大きな影響はないと思うけど(‥‥いやあるな。絶対あるわ)。

  以前‥‥「掌/くるみ」のレビューで書いたんだけど、次のアルバムは「Q」みたいな作風になるんじゃないか?っていうの‥‥あながち間違ってなかったように思います。勿論完全にあの路線の延長線上にある作品だという意味ではなくて、振り幅/前作からの流れという意味でね。「DISCOVERY」~「Q」という流れと、「IT'S A WONDERFUL WORLD」~「シフクノオト」という流れ/作品の振り幅が、俺には似たように映るんですよね‥‥

  さて、改めて。最高傑作かどうか‥‥という問いに対しては、正直まだ自信を持って答えることはできません。聴けば聴く程、どんどん好きになっていくアルバムではあるんだけど、まだそこまで言い切れない。多分‥‥ライヴ観たいんだろうな。ライヴ観て、セットで判断したいんだと思う。「IT'S A WONDERFUL WORLD」みたいな一聴して「傑作!」と言い切れる作品とは違う、非常にデリケートな作品集だからさ、これ。



▼Mr.Children『シフクノオト』
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投稿: 2004 04 11 12:00 午前 [2004年の作品, Mr.Children] | 固定リンク

2004年4月 7日 (水)

堂島孝平『FIRST BEGINNING』(2004)

もうね、単純に素晴らし過ぎ。自分が求める「ポップミュージック」の全てが、ここに詰め込まれてる。そう言い切ってしまってもいい程に、最高な1枚。全盛期の佐野元春 & THE HEARTLANDに匹敵する程、今の堂島孝平 × GO-GO KING RECORDERSからはもの凄いオーラと勢いを感じるわけです。

実は俺が堂島孝平に注目し出したのってかなり遅くて、しかもその理由も不純なもので‥‥彼自身に興味があったのではなくて、彼が他のシンガーに提供した楽曲に惹かれてたというね。KinKi Kidsに提供した "カナシミブルー" であったり、乙葉に提供した "一秒のリフレイン" であったり‥‥それらの作曲者が堂島孝平だったという。ホント、そんな切っ掛けなんですよ。

で、次がシングル曲‥‥しかも比較的最近の、"45℃" や "銀色クリアデイズ" といった曲を有線で耳にして、それが堂島の曲だと知り、更に彼に惹かれていったという。けど、何故か音源に手を出すことはしなかったのね。う~ん、警戒していたというか、何というか‥‥

ところが。先日店頭でこの新作「FIRST BEGINNING」と出会い、そのジャケットに惹かれて、気づけばCD片手にレジまで歩いていたというね。ホント、ジャケ買い‥‥とはまた違うのかもしれないけど、まぁこれもある種のジャケ買いだよね、と。その前に「堂島孝平のニューアルバム」という認識があったからってのも大きいけど。

いやー、参った。最初に書いた通り、本当に自分が好きな要素がそこら中に散りばめられたアルバムなのよ。なんつーの、言い方が古いけど‥‥シティ・ポップとでもいいましょうか。タイプというか流派(?)が違うものの、例えばキリンジ辺りにも通ずる流れがあるような。ただ、堂島の方がもっとはっちゃけてるというか、弾け切ってるというか。勿論キリンジも好きな俺ではありますが、心底好き!と言い切れるのは、やはり堂島の方かもしれませんね。

彼の書くメロディや歌詞は勿論なんですが、個性的な歌声もまた味わい深いし、それ以上に「GO-GO KING RECORDERS」という固定バンドの素晴らしさ。これは書いておかなければなりませんね。東京スカパラダイスオーケストラやLA-PPISCH、EL-MALOといったバンドのメンバーから成る凄腕集団という印象が強いんだけど、そういう意味からもやはり元春における「THE HEARTLAND」みたいだよな、と。決して「HOBO KING BAND」じゃなくてね。

決して過去の偉人達の焼き直しではなくて、ちゃんと2004年のリアルな音としてそこで鳴っている。だからこそ今の俺にちゃんと届いた‥‥それがこのアルバムですよ。20代だからこそ出せるメロディとサウンド‥‥なのかもしれませんね。とにかく大傑作。俺的に本年度のベスト10枚に絶対に入るね、これ。



▼堂島孝平『FIRST BEGINNING』
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投稿: 2004 04 07 03:34 午前 [2004年の作品, 堂島孝平] | 固定リンク

2004年4月 2日 (金)

GUNS N' ROSES『GREATEST HITS』(2004)

GUNS N' ROSES初のベストアルバム。しかもこれ、メンバーが望んだものではなく、何時まで経っても出る気配のない幻のアルバム『CHINESE DEMOCRACY』(1999年頃からだっけ、このタイトルが一人歩きを始めたのは?)までの繋ぎとして、レコード会社が勝手に選曲・リリースしてしまった代物。当然、アクセル・ローズくんはレコード会社を訴えるわけですが、残念ながら負けてしまうわけです。つうかこの訴えについての報道が伝わって来た頃には、既に日本とヨーロッパでは発売直前だったわけですが。

結論から書いてしまうと、個人的には納得のいかない選曲。だけど「ガンズの『ガ』の字も知らない子達に向けては良い選曲かな?」とも思うわけで。要するにこれ、シングルコレクションじゃない? 勿論コンプリートしてるわけじゃないけど(ここに収録されていないシングル曲は「It's So Easy」「Nightrain」 くらいか?)、まぁ1999年の復活以降のライヴでも演奏される機会が多くて、PVにもなってて、尚かつシングルとしてもリリースされヒットした曲を選べば、必然的にこういう選曲になるわな。

勿論、「これ聴くなら『APPETITE FOR DESTRUCTION』聴け!」っていう声もよーく判るよ。実際に俺もそう思ったもん。けどさ、同時に俺は『USE YOUR ILLUSION』2枚も、そして作品としては中途半端かもしれない『GN'R LIES』も好きなわけ。決してそれらのアルバムの中のベストトラックばかりが集められたわけじゃないし、俺が好きな曲は殆ど選ばれてないわけだけど、それでも全盛期(1988~92年くらいか?)をリアルタイムで通過してない子、手っ取り早く彼らの歴史を知りたい子達にはこれもアリなのかな、と。ほら、THE WHOのベストアルバムだって、満足いくような内容のものってないじゃない?(彼らも殆どがシングルコレクション的なものばかりだしね)AEROSMITHだって、80年代の復活以降の曲でベスト作れば、バラード集みたいいなのが出来ちゃうじゃない。それと一緒だよ。こういうベストを取っ掛かりにして、気に入ればファーストから聴く……そういう意味での「教科書」……いや、というよりも「副読本」というか「参考書」みたいなものかな?

個人的には、こっちよりも『LIVE ERA '87-'93』を聴いた方が彼らの本質が理解できるんじゃないか?と思うんですが、まぁあれは2枚組だし、手軽に楽しむには今回のベストの方がいいのかな、と(輸入盤だと1200円程度で買えますからね)。

そりゃね、「Mr.Brownstone」も「Rocket Queen」も「Think About You」も「One In A Million」も「Right Next Door To Hell」も「Double Talkin' Jave」も「Coma」も「Locomotive」も「Estranged」も、そうそう「Oh My God」も入ってないんだけどさ……そりゃね、そんな曲ばかりのベスト盤出されても、正直売れないよなぁ、と。俺しか買わないし、多分。

……と、このベスト盤を肯定したところで、逆にマイナスポイントも幾つか挙げていきますか。

まずね、カバー曲が以上に多い。オリジナルアルバムが4枚(正確には3.5枚か)だからってのは判るけど、よりによってカバー集『THE SPAGHETTI INCIDENT?』から2曲(「Ain't It Fun」「Since I Don't Have You」)も収録した他に、ライヴでお馴染みの「Knockin' On Heaven's Door」と「Live And Let Die」、さらにアルバム未収録の「Sympathy For The Devil」と、計5曲。アルバムの三分の一以上がカバーって……そりゃないよな、マジで。しかもアルバム未収録が先の「Sympathy For The Devil」だけで、これが“売り”ってのもねぇ。だったら「Oh My God」(1999年に映画サントラで急遽発表された新曲)も入れろよ!とか思っちゃうんですが、やっぱり「Oh My God」はすでに『CHINESE DEMOCRACY』の音なんでしょうかね。それは理解できるんだけど。

もうひとつ。ガンズらしいグルーヴィーでアップテンポのロックチューンが異常に少ない! つうかそれらってファーストの曲だけじゃん! 如何に『USE YOUR ILLUSION』、いや、『GN'R LIES』での「Patience」以降、ミディアム/スロウ曲をシングルに選んできたか。ヒットチャート対策でしょうけど、ここまで多いと……アップテンポの曲、半分以下ですよ!? これでGN'Rの魅力を伝えようって方が無理。いや、勿論これも彼ら(というよりもアクセル)の魅力であり、売りのひとつですよ。けどさぁ。バランス感あってこそのバラードでしょ、彼らの場合。なのに……あーあ。宝の持ち腐れですよ。

あ、もうひとつあった。これはマイナスポイントというよりも、ちょっと気になった点。楽曲のクレジットがオリジナルリリース時と変わってるのが多いのね。ファーストはいいのよ、バンド名義だったからさ(正確にはバンドメンバー5人の名前が列記されている)。けど『USE YOUR ILLUSION』って、アルバムのブックレット見れば判るけど、バラバラなんだよね。イジの個人名義だったり、スラッシュとダフの連名だったり、アクセルが外部ライターと共作してたり、とか。ところがこのベスト盤では全部「アクセル/イジー/スラッシュ/ダフ」の連名。「Yesterdays」のみ、オリジナルにもあったウェスト・アーキンとデル・ジェームズの名前が。これは何を意味するんですか!? 『LIVE ERA '87-'93』まではちゃんとクレジットされてたのにね……不思議だ。ま、この辺はレコード会社のしたことであって、アクセルは一切関わってないからね。だから中途半端なのかも。

とまぁ、最後は作品の内容とは全く関係のない話でお茶を濁しましたが……要するに、音源全部持ってる人は、最新リマスタリングによって若干音がクリアになったかな?というようなこと以外に魅力は見出せないと思いますので、買うなら輸入盤でいいかも。初心者で、それこそガンズの『ガ』の字も知らなくて、普段ハードロックとか聴かないって人は、ある意味このベストから聴くのもいいかもしれませんね……と、そんなアルバムですこれは。最近出た宇多田ヒカルのベストと、要は一緒ですよ。多分。



▼GUNS N' ROSES『GREATEST HITS』
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投稿: 2004 04 02 10:28 午後 [2004年の作品, Guns N' Roses] | 固定リンク

2004年3月31日 (水)

Berryz工房『あなたなしでは生きてゆけない』(2004)

実はね、全然取り上げるつもり、なかったの。つうかさ、暫くハロプロ関係とは距離を保とう、と。そう考えてたのね。だからさ、正直なところ、2月半ばにミニモニ。のアルバムと中澤裕子のシングルを買って以降、ハロプロ関連の音源&DVDって全然買ってなくて。つうか買う気に全然ならないし、聴きたいとも思わなかった。仕事中に有線から流れてくる松浦亜弥や後藤真希の新曲は耳にするものの、テレビでそれらの曲が流れようものなら、意識的に消してしまったりチャンネル変えたり。とにかく、それくらい‥‥拒否反応とまではいわないけど、とにかく暫くは「放っておいて」欲しかったのよ。

それはネット上でも同じでさ。どういうわけか、他人から「○○を取り上げてくれ」とか「○×△のアルバムレビュー、期待してます」とか言われちゃうと、急に醒めちゃう、みたいな。天の邪鬼ってのもあるんだけど、それ以上にね‥‥特にハロプロに関しては、今年‥‥安倍なつみのモーニング娘。卒業以降は、特に厳しい目で見てしまいがちだからねぇ。本気でボロクソに書いていいのなら別だけど‥‥でもそれってこのサイトの趣旨に反するしね。そこまでして取り上げる必要も感じないし。だから、好きにさせて欲しかったのよ、暫く。

で、それは3月末になった現在においても引き続き続行中なわけだけど‥‥そんな中、ちょっとだけ俺の心を動かす曲があって。それがBerryz工房のデビュー曲「あなたなしでは生きてゆけない」。最初聴いた時は「ハロー!プロジェクト・キッズには何の興味も持てないし、小学生相手に頑張ればいいんじゃない?」くらいの気持ちで、まともに聴かなくて。いや、バックトラックとかアレンジは耳に残ってたんだけどさ、ホントのところ。

ところが、これを職場の有線で、フルコーラス聴いた時‥‥ピンときたのよ。最初はサビにくるまで、それがBerryz工房の曲だとは気づかなかったんだけどね。

お馴染みAKIRAによるバックトラック&アレンジ、コーラスも彼とつんく♂による、ふざけた要素は皆無で真っ当なR&B歌謡路線。メンバー8人は顔と名前が殆ど一致しないものの(ま、覚えるつもりもないけどな)、ZYXやあぁ!で見覚えのある顔も幾つかある‥‥その程度の認識。歌唱力もかなり個人差があるし、つんく♂が歌唱指導したものをそのままなぞっているんだろうけど、完全にコピーし切れていないためか、微妙な印象が強い‥‥でもね、その「微妙さ」「未完成な面」が現時点でのBerryz工房の魅力のひとつなのかな、と。勿論、与えられた楽曲が昨今のハロプロ内楽曲の中でもかなりの高品質というのもある。アレンジャーの仕事振りもそうだし、とにかく関わるスタッフの「これを成功させよう」、いや、「失敗させられない‥‥」という使命感がヒシヒシと伝わってくるのよ。

けどね。言い方を変えてしまえば、真剣過ぎて「つんく♂プロデュース」らしい遊び心が少なくて、面白味に欠けるかな、と。勿論今回の場合はそういった面を排除した真剣勝負だってこと、十分理解してるんだけど‥‥この辺は、続くセカンドシングルに引き継がれるのかな? 例えば太陽とシスコムーンがシングル連発していく中で、多面性を見せていったようか感じで‥‥

多分このユニット自体、つんく♂はどういう方向に持って行きたいか、見えていないんだと思う。だってシングルのタイトル曲でかなり本格的なR&Bに接近したタイプの曲調を持ってきて、カップリングでは如何にもハロプロなユーロビート調ポップソング「BERRY FIELDS」を用意してるんだもん。これまでのキッズ絡みのユニットのシングル‥‥ZYXやあぁ!の場合は、タイトル曲もカップリング曲も込みで、シングル1枚としてのトータル性や完成度が非常に高かったんだけど、Berryz工房の場合は(勿論楽曲の出来は2曲共水準以上なんだけど)そこまでトータル性にこだわってないのかな、と。夏にセッティングされたファーストアルバムに向けて、とにかくいろんなことを試そうとしてるのかな‥‥と。固定したイメージで固めたくないのか、やはり単に頭の中で完成図が見えていないのか。それはプロデューサー本人にしか判らないことだけど‥‥俺はまぁこんな感じでいろいろ試せばいいんじゃない?、と。まずはアルバムなんでしょ? そこから「次」を判断すればいいんじゃないの?

この本気度からすると、間違いなくスタッフはBerryz工房を「モーニング娘。、松浦亜弥に続く存在」に仕立て上げようと考えてますよね。最近のモーニングの不甲斐なさを見るに連れ、ますますハロプロ離れが進む俺。それを打破するのがBerryz工房‥‥なわけないと思いますが、それでもこうやって俺に文章を書かせるだけの魅力を持ったシングルだったな、と。



▼Berryz工房『あなたなしでは生きてゆけない』
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投稿: 2004 03 31 12:00 午前 [2004年の作品, Berryz工房, ハロー!プロジェクト] | 固定リンク

2004年3月25日 (木)

ミニモニ。『ミニモニ。ソングズ2』(2004)

  ミニモニ。約1年8ヶ月振りに発表されたセカンドアルバム。前作「ミニモニ。ソング大百科1巻」リリースからこのアルバムまでの間に大きな出来事がありました。そう、メンバーチェンジ。矢口真里から高橋愛へとバトンタッチされ、強制的に(?)路線変更も強いられました。良くも悪くも試行錯誤を続けるミニモニ。、といった印象が強かったのが、ここ1年くらいの彼女達でしょうか?

  このアルバム、全16曲中既出曲が7曲、シャッフルユニットのカバーが2曲、インタールードやリミックスが3曲。というわけで、純粋な新曲は4曲なんですね。前作が全16曲中7曲が新曲だったことを考えると、ちょっと厳しいかな?とか、既出曲も矢口卒業「以前」と「以後」の曲が入り交じっていて大丈夫?とか、シャッフルのカバーがここにもあるよ‥‥とか、とにかく聴く前はいろいろ思うことがあったんですが‥‥とりあえずちゃんと聴いて判断しよう、そう思い、聴く前に過度の期待をすること、あるいは難癖つけることは止めました。

  で、実際にリリースから1ヶ月経ち、まぁここ半月程は全然聴いてなかったんですが(‥‥オイオイ)、今久し振りに聴いてみて、やはり最初に聴いた時と同じ感想を持ちました。そう、全然悪くない、むしろかなり良いのですよ。

  既出シングル曲に関しては言うまでもないでしょう。矢口在籍時の3曲、高橋加入後の4曲は勿論なんですが、意外にシャッフルのカバーが良かった気がします。"壊れない愛がほしいの" は高橋&加護をボーカル、辻&ミカをラップに分けた編成はまぁ仕方ないとして‥‥本家シャッフル以上にパートの多い高橋、必要以上に甘ったるい歌声の加護、彼女達の声が意外にハマっていたのが意外でして。"BE ALL RIGHT!" はちょっと本家よりもパンチが足りないんですが、違った見方をすればこれはこれで可愛らしいのでいいかな‥‥という気がしてきて(オイオイ)、なかなか味わい深いな、と。

  で、アルバム用の新曲がどれもかなり良い出来なんですね。ロック色の強い煽り系 "WASSUP? 遠慮がテーマ" は単純にカッコいいし、"CRAZY ABOUT YOU" からの流れがクールでかなり良い。で、そのまま "ミラクルルン グランプリン!" への流れもまた自然で良い。頭3曲‥‥いや、オープニングSEのサウンドコラージュから含めて、掴みはかなり良い出来だと思います。

  他の新曲も素晴らしく、ある意味ではミニモニ。的なんだけど新境地とも言えるだろう可愛らしい "ズキュンLOVE"、一方それとは対照的でクールな "LOST LOVE"、いい意味でミニモニ。らしくないR&B系バラード調の "ぎゅっと抱きしめて " 等、とにかく良い意味で我々の期待を裏切る作風ばかりで、聴いてて飽きさせない。如何につんく♂が本気でミニモニ。を使って遊んでるかが伺える一面ではないでしょうか。

  あと、アルバムの流れも自然ですよね。これだけごった煮感が強いのに、違和感なく自然な流れで聴ける。前作同様「音のおもちゃ箱」という意味ではかなり散漫なアルバムなんだけど、それを感じさせないのはミニモニ。の個性によるものなのか、単に俺の贔屓目なのか‥‥とにかく驚きの連続でした。前半に新機軸、後半に比較的従来路線&矢口在籍時の曲を固めたのも成功の要因かな。

  あ、そうそう。このアルバムの中盤とラストに "ミニモニ。ジャンケンぴょん!" のリミックス(1分~1分半程度のリミックス)が収録されてるんですが、タイトルがそれぞれ "黒ミニモニ。ジャンケンぴょん!"、"白ミニモニ。ジャンケンぴょん!" と、思わずQUEENのセカンドアルバム「QUEEN II」における『BLACK QUEEN SIDE』『WHITE QUEEN SIDE』を思い出してしまうんですが‥‥丁度2枚目ですしね、両方共。恐らく意図的なものだと思うんですが、こういった辺りにも製作陣の遊び心を感じますね。で、実際にこのリミックスが結構面白かったんですよ。是非フルで聴いてみたいなぁ‥‥

  ‥‥なんてかなり褒めてきましたが。けど‥‥そうはいっても、普通の音楽ファンはミニモニ。なんて聴くわけもないわけで、単なるネタの対象でしかないわけですよね。ええ、判ってますよ。判ってますとも。まさかこの期に及んでまだ「ミニモニ。いいよね~!」とか書く事になろうとは、俺も思ってもみなかったからさ。

  けどさ‥‥やっぱり、イイものはイイんだわ。最近のハロプロ系の盛り下がり振りから、このアルバムをスルーした人が多かったようで、実際惨敗ともいえる程のセールスしか記録できませんでした。今からでも遅くないからさ‥‥気になる人はチェックしてみてよ。他の人には薦めないよ。うん、無理に薦めない。いいよ、ファンアイテムでも。残念だけど、それが現実だもん。贅沢なファンアイテム。だからさ‥‥ちゃんと聴いてよ、ファンの皆さん。



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投稿: 2004 03 25 12:00 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, ミニモニ。] | 固定リンク

2004年3月20日 (土)

THE GET UP KIDS『GUILT SHOW』(2004)

THE GET UP KIDS 約2年振り、通算4作目(レアトラック集は除く)のフルアルバム「GUILT SHOW」。前作「ON A WIRE」でR.E.M.等を手掛けるスコット・リットを迎えて「脱エモ」的路線へと進化していった彼らのスタイルは、この新作でも更に激化しているように感じます。

個人的にはセカンド「SOMETHING TO WRITE HOME ABOUT」で聴かせてくれた路線が好きだったりするんですが‥‥うん、これはこれで「アリ」かな、と。正直なところ、前作はあんまりピンとこなかったんですよ。なのにその延長線上にある新作は意外とツボだった。何故なんでしょうか?

今回のアルバム、初期の作品を手掛けるエド・ローズが再びプロデュースに当たってます。もしかしたら、そういった要素も少なからず彼らの作品作りに影響してるのかもしれませんね。しかし、そう簡単には「エモ」路線へ行ってたまるか!みたいな意地というか心意気も十分に感じられ、しかもそれが空回りせず上手く機能している。恐らく人間として、ミュージシャンとしてひと回りもふた回りも大きくなり、余裕が出てきたというのもあるんでしょう。とにかくバンド名通りのサウンドを体現していたファースト~セカンドの路線とは異なる‥‥いや、その路線を踏まえつつ、更に数歩前へ踏み出したイメージ。それがこの新作の印象ですね。

オープニング "Man Of Conviction" でのパンキッシュな疾走チューンに思わず仰け反ってしまい、「新作は原点回帰か!?」と一瞬思うものの、その後は前作にあったような非常に穏やかで和やかなギターポップを聴かせてくれます。最近のエモとは一線を画する、本当の意味での「エモーショナル」な『歌』と『演奏』を聴かせてくれる、それが今のTHE GET UP KIDSの魅力なのかな、と。残念ながらまだライヴを観る機会がないんですが(セカンドリリース後の来日公演を大阪で観れそうだったんですが、結局観れず終い。一昨年のフジロックでも何故か観なかったしね)、多分今の方が面白いんじゃないかな‥‥とこの新作を聴いて思いました。およそライヴ向きとは言い難いアルバムラストの流れ‥‥"Is There A Way Out" ~ "Conversation"、そしてボーナストラックながらも極上のエモーショナル・チューン "Like A Man Possessed" 等。とにかく濃くて深いエンディングで、本当に興味深い作風になってますよ。

前作でスコット・リットを起用した時、本気で「こいつらは次世代のR.E.M.になりたいんじゃなかろうか!?」って思ったんだけど、それもあながち間違ってないような気がしてきました‥‥特にこの「GUILT SHOW」という作品を聴く限りでは、彼らは順当にその道を進み始めたと言ってもよいでしょう。後は多くの人に聴く切っ掛けを与えるだけだ。FOUNTAINS OF WAYNEが昨年アメリカであれだけブレイクしたんだもん、THE GET UP KIDSだってチャンスさえあれば‥‥ねっ、そう思わない?



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投稿: 2004 03 20 07:38 午後 [2004年の作品, Get Up Kids, The] | 固定リンク

2004年3月17日 (水)

ソニン『ほんとはね。』(2004)

  ソニンがレコード会社から契約を切られた(契約更新しなかった)、という話は昨年秋頃から既に出回っていた話題でしたが、結局他所のメジャーレーベルと契約することなく、事務所の自社レーベルから、インディーズ・アーティストとして何度目かの再出発をすることになりました。しかもその一発目に持って来た曲が、同事務所・同レーベルのより子。の代表曲である "ほんとはね。" だというんだから‥‥

  今回、つんく♂を起用しなかったのは予算的なものもあるかもしれないし、あるいは文字通り「今回だけ」の措置なのか‥‥それは2作目、3作目と作品を重ねていくうちに判ると思いますが、とりあえず今回に関してはこの選択、大正解でしょうね。既に完成度の高い原曲の雰囲気を、変なアレンジで壊すことなく、更に「ソニンらしい」表現方法でこの曲を歌ったという時点で、この曲は成功したようなもんです。今更原曲の良さについてここで説明するつもりはないですよ。聴けば判るじゃないですか、如何に優れた楽曲かが。それをごくシンプルなアレンジで(ピアノ自体は原曲のトラックをそのまま使用か?)、途中から被さるストリングス系シンセの音がちょっと安っぽくてアレなんですけど、まぁ極力音数を減らして「歌」に焦点を当てたという意味では、より子。のオリジナル・テイクと同様ですね。というか、これ以外のアレンジはあり得ないんじゃないか!?とさえ思わせる程。

  ソニンの歌唱についてはいろいろ意見はあると思いますが、感情が入り過ぎてる分、ちょっとビブラートがキツ目かな!?という気もするけど、見方を変えれば‥‥それだけ歌い手が気持ちを込めて歌った渾身の1曲ともいえるわけで。その辺は聴き手の「ソニンに対する思い入れ/感情」だったり偏見によって感じ方も変わってくるのでアレですけど、個人的には支持の方向で。

  最近、半メジャー/半インディーで活躍する某女性シンガーが、同じようにピアノ弾き語りで「卒業/別れ」をテーマにした楽曲をヒットさせていますが、正直なところ、あれがヒットするなら何故この "ほんとはね。"がもっとヒットしなかったんだ!?という想いが強いです。「ソニンというキャラクター」が足を引っ張ってる気がしないでもないですが‥‥勿体ないよなぁ。この曲がもっと世に広まることで、ソニンの新しい可能性やより子。復帰への第一歩へとなるはずなのに。まぁそれでも有線等では耳にする機会が多い1曲ですし、折角の卒業シーズンなんだから、世間の例に習って「卒業出前ライヴ」とかやればいいのに。二番煎じでもいいじゃん、この曲は「人に聴いてもらう」ことで更に魅力を増していく1曲なんだからさ。

  正直に書いてしまえば、やはりこれが本格的な復帰一発目という意気込みは感じられず、どちらかというと「企画モノ」色が若干感じられるんですよ。テレビ番組での企画然り。もっと違う方法はなかったのかな、と‥‥まぁそれを変えてしまったら、ソニンがソニンじゃなくなるのかもしれないけど‥‥それにしてもねぇ‥‥本当に勿体ない。

  最後に。この1曲入りCDには、PVが収録されたDVDが永久仕様で付いてきます。このPVがとにかくよく出来たものでして。映像付きで観るとまた聴こえ方も違ってくる1曲なんだなぁと。これを観るためだけに買っても損はしないと思いますよ。



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投稿: 2004 03 17 12:00 午前 [2004年の作品, ソニン] | 固定リンク

2004年3月 7日 (日)

Theピーズ『アンチグライダー』(2004)

  騒ぐなら1年前から、いや、2年前の復活時から騒いでくださいよ、頼むから‥‥


いいに決まってんじゃんか!


  ホント、バカかと、アホかと。前作「Theピーズ」を素通りしたくせに、急にこのアルバムから良くなったかのように「サイコー!」とか言ってやがる信用ならない奴らの胸ぐら掴んで、目の前に正座させてそのまま小一時間(ry

‥‥って感じで、本当に素晴らしいのですから。これ以上、どんな表現がある!?ってくらいにね。

  本当はね、いちいち書きたくないんですよ。こんな「出る前から傑作」だって判り切ってる作品について、そしてやはり我々の想像通り、いや、想像以上に素晴らしかったアルバムに対して「素晴らしいです!」なんていう当たり前のレビューをね。だって今や「一億総Theピーズ絶賛期」なわけじゃないですか。そんなご時世に俺ごときが「みんな、ピーズ聴きやがれ!」とか「B'zと間違えてんじゃねぇよ!」とか言ったところでね‥‥他所のサイトの皆さんが褒めてくれるんですから、俺が手を下すまでもねぇよな、と。

  判り切ってたわけですよ。1年近く前から既に演奏されていた、当時完全未発表の新曲、この「アンチグライダー」に収録されることとなった "ギア" や "ウチ帰れ" や "全速力で遠回し" を聴いていれば、絶対に「Theピーズ」以上に素晴らしい内容になると。もう1年近くも前から確信してたわけですよ、ファンは。

  残念ながらいろんな事情で昨年6月以降彼らのライヴを観れてないので、その後他の新曲をライヴで聴く機会はなかったわけですが、伝え聞く話ではやはり最高だと。そう言ってる奴らを信用していたわけではないですが、まぁ間違いないだろうな、と。だってあのピーズだぜ?ってね。

  どうよ、これ。全10曲で40分にも満たない、ある意味時代に逆行した作風。そして、だからこその濃度と充実度。ダメな大人による、ダメダメな歌詞と最高にリアルで生々しいサウンド。デビュー時から何ひとつ変わってない。途中休んだからこその開き直り。"Mr.カウパァ"、"残念賞"、"妄想パーティー"、"寝る前に一発"‥‥とても40前後のいい大人が書く曲のタイトルとは思えない、名言の数々。そして、だからこそ誰にも真似出来ない個性。これこそが「Theピーズ」なんだよ。高校生の時に観たまんまなんだもん。バカバカしい程に最高で、そして切ない。笑顔と哀愁が同居する、それでいて悲壮感を一切感じさせない最強で最狂なロックンロールバンド、それがTheピーズなわけですよ。

  彼らはアルバムのラストソングに本当にググッとくる楽曲を持ってくることが多いんですよ。"シニタイヤツハシネ" にしろ "反応ゼロ" にしろ、前作での "グライダー" にしろ。そして今回も "脱線" という素晴らしい曲を最後に届けてくれまして‥‥ルーズでシンプルなロックサウンドに乗るその歌詞を、是非皆さんにも堪能していただきたいな‥‥全体を覆う下ネタ・ムードを一掃するようなこの曲。どこまでが冗談で、どこからがマジなのかなんて、そんなのは関係ないんだよ。人生自体がマジであり、と同時に冗談みたいなものなんだから。それをそのまま歌詞と音にしただけ。ホントそれだけのことなのに、それすら出来ない「自称・リアルロックンロールバンド」が多いこと、多いこと‥‥ま、みんな頑張れや。

  もうね、一回ライヴ観ろ!ってぇの。このアルバム1枚で満足するような奴、俺は信用ならないね。これ聴いたら居ても経ってもいられねぇだろ普通? 小さいハコで間近で観れて満足するのも大いに結構。けどさ、野音だろ! ピーズがワンマンで初めて野音でやるんだよ!? 何故無視できる? 記念すべき夜だろ??

  というわけで、これ読んでアルバム気になった奴らは皆、ここからアルバム買うように!(w

  そして‥‥野音で会おう!



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投稿: 2004 03 07 12:00 午前 [2004年の作品, ピーズ, The] | 固定リンク

2004年3月 3日 (水)

後藤真希『②ペイント イット ゴールド』(2004)

  後藤真希のセカンドアルバム「②ペイント イット ゴールド」は前作「マッキングゴールド①」とは比べものにならない程の完成度を誇る良作に仕上がったと思います。思うんですが‥‥素直に「すっげーイイ!」とは言えないんだよね。多分、1年前の俺なら両手を挙げて大絶賛してたはずなんだけど‥‥いや、実際買ってから最初の1週間はホントにいいと思ってたのね。あの時、あの時点でちゃんとしたレビューを書いていたら、また違った感想・内容になったはずなんだけど‥‥ゴメン、やっぱり無理だし自分に嘘つけないからさ。正直に書こうと思います。どうやら多くのモーヲタの皆さんが、俺がこのアルバムについて何かコメントするのを期待してるみたいなんで‥‥読んでガッカリしたらゴメンね。でもさ、俺に無理して書かせた君らの責任も多少はあるんだからね!(と他人に責任転嫁)もうちょっと時間をおいてから、もっと気持ちが落ち着いてから書きたかったんだけど‥‥

  昨年リリースされた4枚のシングルがまずまずの出来だったので、それらを軸にしたアルバムになれば間違いなく良い作品になるだろう‥‥そう信じてたのね。新曲がたった4曲でも、モーニング娘。時代のセルフカバーやシャッフルユニットのソロバージョンが入ったとしても、それは揺るがないだろう、と。実際、最初に聴いた時は納得できる作品だと思ってた。しかし、時間が経つに連れてこう思うようになったのね‥‥実際に提示された作品は自分が想像していた基準点を上回ったとは言い難い、微妙なアルバムだ、と。ヲタ的観点からすれば「ちょっとダークなイメージがあるけど、統一感があってよくまとまった、非常に聴きやすい作品」ってことになるんでしょうけど、既に気持ちが離れつつある俺からすれば‥‥「やっぱりこれ聴いて喜べる/楽しめるのって、モーヲタだけだよなぁ‥‥」というね、書いてる方も読んでる方も非常に暗い気持ちになりそうな感想しか出てこなくて。悪くはない。むしろこれ聴いて楽しめる自分がここにいる。けどもう一方で「‥‥こんなもん? 後藤真希ってこの程度??」という疑問を持つ自分もいる。そしてそんなふたつの相反する気持ちを冷静に眺めながら「‥‥結局あれっしょ?いくら良いっていっても、モーニングとかに興味を持ってる人だけでしょ、進んで聴く人って?」と妙に醒めたことを言う自分もいて‥‥って全部俺本人には違いないんだけどさ。そういう「聴き手を複雑な気持ちにさせる」アルバムだなぁ、と。

  本来ならここで「全曲解説!」とかやるべきなんだろうけど、当然ながらそんな気にもなれず、こういう自分の中にある疑問を文章にしてお茶を濁してるわけなんですが‥‥けどあれですよ、例えばシングル曲以外のセルフカバーなんかは、よく出来てると思いますよ。よく出来てるけど、「Something Special」を感じ取れるかというと‥‥ね。判るでしょ? 新曲に関してはもうね‥‥更にその傾向が強いわけで。悪くないんだけど、果たしてこれを「後藤真希」が歌う必要があるのか、あるいは「後藤真希」の歌になっているのか‥‥この辺が今後の大きな課題のような気がするのね。

  多分これを読んでくれてるようなファンの子は、後藤のライヴにも足を運んだことがあると思うのね。だからこそ言いたいんだけど‥‥このアルバムとライヴを比べて、どう感じる?‥‥ねっ? 言ってる意味判るでしょ? つまりさ、そういうこと。「ライヴやるためにアルバム作ってるんだよ!」みたいなマンネリをモノともしないロックバンドならまだしも、一応は「ポップス」やってるわけでしょ。そういうジャンルってアルバムもライヴ同様に、あるいはそれ以上に重要なんじゃないの。なのにこのアルバム‥‥「アルバムの後藤真希」からは「ライヴでの後藤真希」を超えるような、あるいはそれ相当の凄みや迫力‥‥つまり魅力が全く伝わってこないのね。あの凄みは現場で体験した人にしか判らないと思う。そう、だからこそそれを「作品」にちゃんと詰め込むべきなんじゃないの?ってね。それはもうつんく♂をはじめ制作側の責任であり、そして後藤本人の実力不足でもあると。あの勢いを何故作品にまで持ち込めなかったのか‥‥時期的に絶対秋のツアーと重なってるはずなんですよ、このアルバムのレコーディングって。実際、秋ツアーでやってた曲(セルフカバーね)も入ってるのに、あの域には達してない。レコーディング作品だから、わざと押さえ気味に歌ってるのか‥‥あるいは‥‥

  もうね、後藤が今後生き残っていくには、あの凄みをお茶の間に思い知らせるしかないと思うんですよ。カワイイだけなら掃いて捨てる程いるわけですよね、アイドルの世界って。実際、デビュー当時の後藤には神がかった、何か特別なものを感じてたはずなんですね。けど、今の彼女はどうよ? 勿論カワイイよ。けど‥‥それ以外の魅力が上手く伝わらない。ファンならまだしも、一般層にとってはただの「ゴマキ」なわけ。このままフェードアウトしてしまうには本当に惜しい存在。既にハロプロには松浦亜弥もいる。今度は安倍なつみがソロになった。後藤以上に「モーニング娘。の顔」だった存在。そういった人達と肩を並べて競っていかなければいけない。更に‥‥今はソロ活動休止してるけど、藤本美貴という逸材もまだいるわけですから‥‥こういった人とは違った魅力を、どうやったら「閉じた世界」の外へ向けられるか‥‥つまり、それこそが今後の作品作りに繋がっていくはずなんです。60点の楽曲を力業で90点以上にまで持っていける松浦、ただそこにいるだけでオーラを感じさせる安倍、歌だけでなく喋りでも自己主張できる藤本。対外的にこういった「自分の見せ方」を知っているソロシンガー達との違いを、どうやってファン以外にも見せていくのか、そしてどうやったら「外側」にいる人間をも巻き込めるのか‥‥勿論つんく♂にも頑張りを見せて欲しいのは当然なのですが、やはり後藤本人がこれ以上に成長しない限りは‥‥先は厳しいと思います。

  ちょっと作品の評価からは外れた内容になってしまいましたが、やはり彼女からはまだまだいろんなものを引き出せるはずと信じているし、この作品程度で満足していたらね‥‥松浦や安倍のアルバムを聴いた後となると余計にね、そう思うわけですよ。本当にもどかしいアルバムだよ。



▼後藤真希『②ペイント イット ゴールド』
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投稿: 2004 03 03 12:46 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, 後藤真希] | 固定リンク

2004年3月 2日 (火)

HEATWAVE『LONG WAY FOR NOTHING』(2004)

  おかえりなさい‥‥そう言わずにはいられない気持ちになっちゃうよね、このアルバムを前にしたら。ずっと待ってたんだ、いつか絶対に戻ってくるって。そう思い始めてから2年半、ようやく帰ってきてくれた。顔見知りの仲間と、そして新しい仲間を引き連れて。

  俺がHEATWAVEの音楽と初めて接した時、既に彼らはその活動を停止した後でした。SOUL FLOWER UNIONの演奏をバックに山口洋が歌う "トーキョー シティー ヒエラルキー" や "ガーディアンエンジェル" に胸を打たれたのが切っ掛け。その後、アルバムを買い漁る日々。けど彼らはもういない。後々、ヤポネシアン・ボールズ・ファンデーションやSFUのサポートで山口の姿を見かけたけど、やはり「僕は僕のうたを歌おう」の言葉通り、山口洋というソングライターが書いた歌を、自ら歌って欲しい。そしてそれを聴きたいし、観たい‥‥ずっとそう願ってた。そして、それが現実のものになった、と‥‥

  「LONG WAY FOR NOTHING」と名付けられた新作。ラスト作となったベスト盤「LONG LONG WAY -1990-2001-」から、ずっと続いていたかのようなタイトルにまずグッとくる。そして中身は‥‥いきなり "STILL BURNING" って高らかと宣言してるし。またここから始まるんじゃなくて、あの時からずっと続いてたんだ、終わってなかったんだってことに気づかされて、また涙。楽曲自体も、そして歌詞も本当にいい。解散前も勿論良かったけど、更に深みが増した気が。30代に突入して数年経つけど、だからこそ余計に、痛いくらいに伝わってくるんだな、山口の歌詞が。そして時に強く、時に優しく、時に切なく響くメロディー。ホント、これ以上説明を付けたくないくらいに良過ぎるんだもん。

  復活したHEATWAVEのメンバーは山口と、オリジナルメンバーの渡辺圭一(現在はJUDEのベーシストとしても活動中)、過去HEATWAVEのレコーディングにも参加した経験を持つキーボーディストの細海魚、そして元ROOSTERS、現ROCK'N'ROLL GYPSIESのドラマー・池畑潤二(過去、渡辺とJUDEで活動を共にしていたことも)という4人。豪華過ぎる。だけど、全く違和感がないのね、この顔ぶれ。実際にアルバムから聴こえてくるサウンドも、この4人だから‥‥というような切迫感とか強烈な凄みってのは控えめで、それ以上にもっとこう‥‥あくまで「歌」ありきで、それを下から支えるような演奏というか。勿論、各プレイヤーの力量は半端じゃないし、それは聴いていて存分に伝わるんだけど‥‥やっぱり歌なのね。言葉を大切にした歌。それが全て。

  あーもう、これ以上何を書こうか‥‥本当に、まずは聴いて欲しいのよ。特に俺と同年代のロックファンは必須事項ですから。これ読んだら会社の帰りにCD屋に酔って、このアルバムを手に取ってみて。あるいはこれ読み終えたらすぐにネット通販出来るサイトから注文するとか。あ、何なら右隣のリンクからでも‥‥(ってさりげなく強制してるな、これ)

  冗談はさておき、本当にさ、こんな駄文読む前に、まずはCDを手に取って欲しいのよ。そして歌詞をじっくり読みつつ、その音に耳を傾けて欲しいな、と。決して派手でラウドなロックンロールが繰り広げられてるわけじゃないし、「夢を見ていこうぜ!」みたいな前向きさが沢山詰まってるわけでもない。酸いも甘いも噛み分けた「大人」だからこそ伝わる、いや、そこを通過していない10代、20代の子達にも伝わるはず‥‥そんな等身大のリアル・ロックンロール。それがHEATWAVEというバンドであり、このアルバム最大の魅力だと思っています。壁にぶつかり、痛い目をみたり、裏切られたり、失恋したり(あるいは離婚したり)、仕事でヘマしたり‥‥そんな悪い事続きの日々。だけど最後には "それでも世界は美しい" と歌うこのアルバム。是非この曲の歌詞を読んで、あなた自身の心で感じて欲しい‥‥そう願って止まない、そんな傑作です。

  最後に。このアルバムに出会えたことに感謝。このアルバムを作ってくれたHEATWAVEに、山口洋に感謝。来月、直接「ありがとう」と言いに行きたいと思います‥‥。



▼HEATWAVE『LONG WAY FOR NOTHING』
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投稿: 2004 03 02 01:41 午前 [2004年の作品, HEATWAVE] | 固定リンク

2004年2月26日 (木)

モーニング娘。おとめ組『友情 ~心のブスにはならねぇ!~』(2004)

  モーニング娘。おとめ組としてのセカンドシングル「友情 ~心のブスにはならねぇ!~」は表題曲である新曲と、初期モーニング娘。のシングル曲 "サマーナイトタウン"、そしてモーニング娘。さくら組と共通のカバー曲 "Say Yeah! -もっとミラクルナイト-" のおとめ組バージョンからなる3曲入りのマキシ形体。一見豪華なようだけど、"サマーナイトタウン" は既成音源にちょっとだけ手を加え、更にライヴ同様のショートバージョンという肩すかし気味な内容。実質、通常の2曲入りシングルにおまけが付いたような感覚かな。だとしたら、通常のシングル+300円という価格設定はちょっと高過ぎると思うな。過去散々お金を回収できたであろう楽曲("サマーナイトタウン")をおまけにつけるんだから、もっと太っ腹でもいいのにね‥‥さすがアップフロント。

  さて、内容について触れましょう。表題曲 "友情 ~心のブスにはならねぇ!~" は以前から何度かサイト上でも書いてきた通り、青春パンク調のロックナンバー。アレンジには前作 "愛の園 ~Touch My Heart!~" 同様、鈴木俊介を、バックトラックの演奏にはドラムに元ブルーハーツ、現THE 3 PEACEの梶原達也、ベースには元LINDBERGの川添智久を迎え、メロン記念日の "This is 運命" ばりに攻めまくってます。イントロのギターのコードストロークをバックに歌うパート、中盤劇的なストリングスが挿入される等の構成は正にブルーハーツのそれを狙ったアレンジといえるでしょう。

  最初この曲をノイズまじりのラジオで聴いた時、そりゃもう興奮したんですよ。おー、そうきたか!って。けどね、正直に書いてしまうと‥‥初聴からリリースまでの短期間、つまり発売前までにこんなにも興味が失せてしまう曲っていうのもまた、モーニング関係では初めてのことじゃないかな、と。勿論俺に関してですけどね‥‥何だろう‥‥周りが「パンクだ」「ブルハだ」と騒げば騒ぐ程、どんどん気持ちが離れてくんですよね。だってさ、確かにフォーマットとしてブルハ的な要素を取り込んではいるものの、そこにあるもの(歌詞等)は、どうあがいたって「青春パンク」止まりなんですから。いくら元メンバーが参加してるからといって‥‥ねぇ。非常に'80年代的であるのは確かですが(ということは、ある意味現代的でもあるということか!)、なんつーか、JUN SKY WALKERS(S)やそのフォロワーを薄めたような歌詞がね‥‥

  あとさ。個人的にパンク度という意味では、 "ここにいるぜぇ!" の方が何ランクも上だと思いますね。演奏はガッツがあるけど、正直彼女達のパフォーマンスには‥‥

  カップリングにも触れておきましょう。"Say Yeah! -もっとミラクルナイト-" はメロン記念日の "かわいい彼" 等を手掛ける守尾崇によってリアレンジされています。確かにそれっぽくなってますが、正直原曲のあのチープさが良かったのかなぁと再認識。ここでのボーカルパフォーマンスはまずまず。辻、石川、飯田といった原曲にも参加してるメンバーの安定感もさることながら、他のメンバーの頑張りもなかなかのものだと思います。それは "サマーナイトタウン" に関しても同様で、特にこの曲では田中の個性が光ってるのではないか、と思います。こういうマイナー調が彼女の声質や歌い方に合ってるというのもあるんでしょうけど、原曲とは違った「トーンの高い/明るい」"サマーナイトタウン" という新鮮さと相俟って、この曲の印象を更に良くしてるように感じました。だからこそ、フルコーラスで聴きたかった。寸止めさせて、「後はライヴにいらっしゃい」という集金の誘いか何かなのでしょうかこれは。

  おとめ&さくら組の2曲を初めて聴いた時、「おとめ組のひとり勝ちだなこりゃ!」とか思ってたんですが、CD音源で聴いた今となっては完全に逆転し、当初「企画モノ臭が強い駄曲」だと思っていたさくら組の方が気に入ってしまうとは‥‥これだからCDが出てちゃんと聴くまで判断が下せないんだよな、特に最近は。



▼モーニング娘。おとめ組『友情 ~心のブスにはならねぇ!~』
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投稿: 2004 02 26 12:05 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, モーニング娘。, モーニング娘。おとめ組] | 固定リンク

モーニング娘。さくら組『さくら満開』(2004)

  安倍なつみ卒業後初となる、モーニング娘。さくら組のセカンドシングル「さくら満開」。その衣装といい、「純和風」をイメージしたばかりに奇をてらったかのような印象が強まった曲調といい、全てが空回りしてるように感じられた第一印象。ラジオでこの曲を最初に聴いた時、どうにも苦手なタイプな曲だなぁと感じたのを今でも覚えています。その後、テレビで歌う姿を何度か見かけたのですが‥‥やはりダメでした。あの「企画モノ臭」が強いイメージが。俺、未だにこの曲を歌う姿、最後まで通して観たこと、ないもんね。

  そんなタイトル曲、"さくら満開" なのですが‥‥これがね、CDでのクリアな音源で聴くと‥‥想像していた程悪くないんですよ。いや、むしろ「‥‥これ、もしかしてかなり良い?」と感じる自分がいたりしてね。6分半というトータルランニングもあり、これをテレビサイズで上手く表現するにはちょっと厳しいものがあるかと思います。そういう意味ではモーニング娘。おとめ組よりも劣るような気がしてしまいますよね。曲調やインパクト等、全てにおいておとめ組の方が即効性が強いですからね。

  いや、だからこそ、この "さくら満開" って曲はフルコーラス、じっくりと聴き込むことを要する「スルメ的楽曲」なのかもしれませんね。メロディの抑揚はそれほど大きくないのですが、これがジワジワと効いてくるんですわ、何故か判らないけど。とにかく不思議な魅力を持った1曲。

  この曲は高橋諭一によるアレンジで、三線や中国古筝といった楽器を用いることで高橋らしいアコースティック色豊かなアレンジがより際立ったように感じられます。生演奏にこだわったおとめ組と違い、リズムトラック等大半が打ち込みによるものなのですが、それを強く感じさせないのはさすがといいましょうか。デビュー曲 "晴れ 雨 のち スキ♡" から2曲連続でスローナンバーということで、もうちょっと違った面も見てみたいな、という贅沢な望みはありつつも、これはこれで納得がいく楽曲かな、と。

  けどね、一点だけ。どうしても文句をつけたい箇所があるんだよね。それは歌詞。おとめ組もそうだけど、何だろう‥‥入り込めないというか‥‥イメージし難い世界観なんだよね。それは自分が年を取ったからとか、そういった次元ではないと思うのね。何というか‥‥現実離れしすぎているというか。以前、タンポポとプッチモニの歌詞を比べて、それぞれのスタイルの違いを明確にした文を書いたけど、完全に「ヲタ寄り」の世界観というか‥‥。

  2枚のシングルについて‥‥というよりも、ここ最近のモーニング娘。やハロー!プロジェクトがリリースする楽曲について、全般に言えることだと思うんだけど‥‥「歌」を世に出すというよりもむしろ「ファンアイテムとしてのCD」を生産してるようなイメージがどんどん強くなってるんですよね。「いや、そんなのずっと前からそうじゃんか!オマエが気づいてなかっただけだよ!」とか言われそうですが‥‥それでも伝わってくるものがあったんですよ、ファンじゃなかった頃とかでも。けどさ‥‥今の楽曲の大半ってファンが聴いてても「?」って感じる曲がどんどん増えてる。むしろ理解できる、共感できる歌詞を持つ曲が殆どないんだよね。タレントとしてのモーニングに以前のような魅力を感じられない今となっては、音楽にその魅力を求めるしかない俺なんだけど‥‥だから厳しいのよ。出来れば取り上げたくないくらい。

  と、ネガなことばかり書いても仕方ないので、カップリング曲について話題を移します。おとめ組同様 "Say Yeah! -もっとミラクルナイト-" と、モーニング初期のヒット曲 "抱いて HOLD ON ME!" の、それぞれさくら組バージョンが収められています。"Say Yeah! -もっとミラクルナイト-" はおとめ組と全く同じ音源なので説明は割愛。歌に関しては正直おとめ組よりも聴いてて楽しいな、と感じましたね。細かな技術的な上手い/下手じゃなくて、非常に聴かせ方が上手く感じられたのがさくら組の方。これはちょっと意外でしたね。おとめ組の方がそういうのに長けているメンバーが多い気がしたもんだから。それにさくら組は安倍を欠いた後だけに、その「喪失」という現実をまざまざと見せつけられるのかな、と思ってたもんでね。凄く意外でした。そしてそれは "抱いて HOLD ON ME!" にしても同様。最初聴いた時は、その若々しい声(=トーンの高い声)に違和感を感じたものの、慣れてみるとこれはこれで味わい深いな、と。高橋はファンク歌謡よりも、こういったR&B歌謡的な曲調の方が合ってるよな、とか、紺野はワンフレーズ歌うだけでいいアクセントになる存在感を持ってるよな、とか、矢口や加護、亀井といった女の子らしい声の中に突然現れる異物感‥‥吉澤や新垣の声はそれだけで武器だよな、とか。安倍という絶対的な存在がいなくなったことで、もっと失速するのかと思ってたさくら組だけど、これは意外な収穫でした。ま、とはいっても全て高得点というわけではなくて、ギリギリ合格点といった印象は拭えないですけどね。

  「モーニング娘。」の顔を失った本体は、上手い具合に分割ユニットを使ってその現実から我々の目をそらすことに成功‥‥したのかな? ま、少なくともさくら・おとめの14人が並んだ時に、以前程の「華」を感じなくなったのは間違いない事実ですが(それが果たして安倍の喪失だけによるものなのかは正直疑問ですが)。まぁ今回に関してはいろいろ面白いことに気づかせてもらえたので、良しということにしますか‥‥。



▼モーニング娘。さくら組『さくら満開』
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投稿: 2004 02 26 12:00 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, モーニング娘。, モーニング娘。さくら組] | 固定リンク

2004年2月25日 (水)

Ken Yokoyama『The Cost Of My Freedom』(2004)

  まだ裏路地でくすぶれてる頃から知っている古い友人がいて。いや、特に「友人」って意識したことはなかったんだけど、気づくといつも側にいて。人生の局面、局面で助けられることもあったっけ。本当の意味で「友人」と認識したのが、今から5年前の夏。多分、このままずっと仲良くやっていけると思ってたんだけど‥‥その後、そいつと会う機会がめっぽう減り、気づいたら俺の前から姿を消していたんだ。

  でもね、そいつはずっと俺の側にいたんだよね。姿は見せなかったけど、その形を変えて、ずっと俺の側にいてくれたんだよ。

  そして5年振りにそいつと再会できた。前に会った時と名前が変わってたけど、俺の前での振る舞いは5年前と何ら変わらない、自信に満ちあふれた力強さを伴ったものだったよ。笑顔も、優しさも、力強さも、全部何も変わってなかったんだ。そんなそいつに触れて、ちょっとだけ荒んだ生活を送ってた俺も「‥‥まだまだ行けるよな?」って気持ちを持ち返すことが出来たんだ。

=====

 1999年夏にリリースした「MAKING THE ROAD」という傑アルバム作の後、マキシシングル「Love is a Battlefield」を発表して、Hi-STANDARDは長い冬眠期間に突入しました。その間にメンバーの脱退があったり、今回の主人公である横山健がBBQ CHICKENSや原爆オナニーズで活発に活動してきましたが、正直なところ俺は見向きもしませんでした。それは自分にとって「苗場やマリンスタジアムで体験した "Mosh Under The Rainbow" に匹敵するか否か」という大きなハードルがあったからかもしれません。とても大きな、とてつもなく大き過ぎるハードル。Hi-STANDARDというバンドとそのメンバーに対して、それだけ過剰な期待をしてしまっていたのです、この5年間。

  けど、もう大丈夫。今の俺にはこの「The Cost Of My Freedom」というアルバムがあるから。決してハイスタの焼き直しでも代役でもない、そして「BBQ CHICKENSの横山」でも「原爆オナニーズの横山」でもない。もっと言えば「ハイスタの横山」のようで、ちょっと違う横山を感じることができるアルバム。「ハイスタ後~」ではなく、まだ続いている青春‥‥酸いも甘いも噛み分けつつも、それでもただひたすら前だけを見据えて笑顔で突き進む、そんなアルバム。

  そう、そんなアルバムだから安心でき、信用することができたんだと思うよ。本当に素晴らしいロックンロール・アルバムです。

=====

  来月、5年振りに「彼」に会いに行ってきます。



▼Ken Yokoyama『The Cost Of My Freedom』
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投稿: 2004 02 25 12:00 午前 [2004年の作品, Ken Yokoyama] | 固定リンク

2004年2月24日 (火)

COURTNEY LOVE『AMERICA'S SWEETHEART』(2004)

「CELEBRITY SKIN」から早5年半。女優としてでもなく、はたまたゴシップ・クイーンとしてでもなく、ミュージシャンとして戻って来たコートニー・ラヴ。その彼女のソロアルバム第一弾「AMERICA'S SWEETHEART」が先日、日米ほぼ同時期にリリースされました。コートニーのロックサイド、そしてポップサイドの両方がバランスよく同居した、非常によく出来た作品集に仕上がっています。5年半は確かに長かった。フジロックでの来日中止やHOLE解散もあった。裁判沙汰なんて日常茶飯事。NIRVANAのメンバーとも揉めた。けど、ようやくここまでたどり着けた。そして届けられた作品は納得出来るものだった、と(少なくとも自分にとってはね)。

今回のアルバム、ほぼ全曲を元4 NON BLONDSのリンダ・ペリー(ピンクやクリスティーナ・アギレラへの楽曲提供等でも有名)と共作していることもあり、どんなにハードでパンキッシュな曲でもメロディはポップで親しみやすいものばかり。オープニングのハードロックチューン "Mono" にしろ、続く "But Julian, I'm A Little Older Than You" といい、バックの演奏はHOLE時代とは違ったハードさ(オルタナ特有のそれ、というよりももっとオーソドックスなハードさ)を持ちながらも、しっかり口ずさめるようなメロディを持ってるのはさすがというか、とにかく聴いてて気持ちいい。その他の曲も「CELEBRITY SKIN」にもあったようなアーシーなアメリカンロック、メロウなポップチューン、旦那のバンドを彷彿させるヘヴィチューン、ロバート・プラントも真っ青なLED ZEPPELIN風ヘヴィブルーズ、スローナンバー等々。とにかく「ソロ」の利点を生かし、可能な限りいろんないろんなことに挑戦しようとしてるのが見受けられます。が、それらが1枚にまとめることで決してバラバラな印象を受けるはなく、コートニーの個性によって頭から最後まで一本芯が通ったかのようなトータル性さえ感じられます。

もはや「LIVE THROUGH THIS」の頃のようなコートニーはここにはいないのかもしれません。ある意味、あの頃のコートニーが最も嫌ったポジションに、今の彼女は居座っているのかもしれない。けど、あのアルバムを制作した10年前と今とでは比べ物にならないくらいの変化があった。だって、あのアルバムを作っていた時、まだカート・コバーンは生きていたんだから‥‥

とにかく無心で楽しめる、豪快なアメリカン・ハードロックアルバムだと思います。そう呼ばれることに、きっとコートニーは抵抗があると思いますが、俺は敢えてそう呼びたい。時代が時代だったら、ジョーン・ジェットやリタ・フォードといった女性ロッカーに肩を並べた、あるいは彼女達をも凌駕したアルバムになっていたかもしれない、そんなカッコいいアルバムだと思います。

蛇足ですが、今回のアルバム制作に携わったバンドメンバー。ドラムには末期HOLEにも参加し、その後MOTLEY CRUEのヘルプ・ドラマーとしての来日経験も持つサマンサ・マロニーやその前任だったパティ・シュメルといった元メンバーが名を連ねています。そんな中、個人的に気になった名前が‥‥ジェリー・ベストって名前があったんですよ。これって、'80年代に活躍したハードロックバンドに在籍してた人ですよね?(最初WARRANTの人かと思ったら、あれはジェリー・ディクソンだった。で、FASTER PUSSYCATのメンバーかと思ったけど違った。どのバンドだったっけ??)更に曲によっては元MC5のウェイン・クレイマー、先頃再結成したTHE PIXIESのキム・ディールなんかも参加してるようです。また、1曲だけ作詞で、エルトン・ジョンの創作パートナーであるバーニー・トーピンも参加してます。如何にコートニーがこのアルバムに情熱を注いだか、そしてどれだけ本気かが伺えるんじゃないでしょうか? ほぼ同時期に元メンバーであるメリッサ・オフ・ダ・マーもソロでアルバムをリリースします。対決ってわけじゃないですが、こうやっていろんなメンバーがいいアルバムを沢山作ってくれるのは嬉しいもんですね。



▼COURTNEY LOVE『AMERICA'S SWEETHEART』
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投稿: 2004 02 24 12:00 午前 [2004年の作品, Courtney Love] | 固定リンク

2004年2月23日 (月)

PHANTOM PLANET『PHANTOM PLANET』(2004)

アメリカはロサンジェルス出身の5人組、PHANTOM PLANETの約1年半振り通算3作目となるセルフタイトル・アルバム。現時点('04年2月末)ではまた日本盤は出ていませんが(4月上旬リリース予定)、今後いろんな意味で注目される問題作になると思いますよ。

元々はポップでメロディアスなパワーポップを信条とするバンドだったと思うんですが(俺が聴いたことがあったのは、セカンドとなる前作「THE GUEST」のみ)、それを意識してこの新作を聴くと、正直プレイヤーのストップボタンを押して、中に入れたディスクを今一度確認してしまうかもしれません。それくらい、これまでのイメージとはかけ離れた音楽性にシフトチェンジしています。

今作のプロデュースを手掛けているのが、MERCURY REVのデイヴ・フリッドマン。いろんなギターロック/ポストパンク/ポストロック系アルバムで、そしてここ日本ではナンバーガールの諸作を手掛けたことで知られる人です。この人がPHANTOM PLANETのようなパワーポップ系を手掛ける‥‥最初この情報をうちのニュースで取り上げた時は「どんな感じになるのか全然想像つかないだけに楽しみ」と思ってたんですが‥‥こりゃ想像できませんよ。まさかこんなにガレージ色が強いサウンドになるとはね‥‥

一部にデイヴ・フリッドマンらしいポストパンク色も取り入れつつ、けどそれはほんのちょっと味付け程度で、やはり基本になるのはギター中心のバンドサウンド。録音方法にもよると思うんですが、とにかくゴリゴリ且つガリガリしたギターとベースの音が目立った、ある種殺伐とした印象が強い内容になってます。ドラムサウンドひとつを取っても生々しいし、ボーカルのラフな感じからも余計そういった印象を受けるんですよね。また楽曲も以前のようなポップさが減退し、オルタナ/ガレージ系のそれっぽさが強くなって‥‥上手い表現じゃないかもしれませんが、「ブリットポップ3部作」から「タイトル無題」アルバムへと移行したBLURみたいな感じ。あれとイメージが被りますね。こういう変化って雑誌メディアとか喜びそうだけど、それまでの音楽性が三度の飯より好きだったファンからすればいい迷惑ですよね。それが如何に音楽的に優れた作品であっても‥‥

個人的な感想を言わせてもらえば、最初は確かにビックリして、ちょっと引いちゃったんですよ。事前にこういう変化をしている、とは伺っていたんですが、まさかここまでとは思ってなかったもので‥‥しかし、何度か繰り返し聴くうちに慣れたってのもあるんですが、だんだん気に入ってきちゃったんですよね。まぁ自分の場合はこういったタイプの音楽も好きだからってのもありますが、それ以上に「ライヴはどうするんだろう?」っていう意地悪な見方をしちゃってね。ほら、前作までの曲と新作の曲を同じライヴでやると、どんな感じになるのかなぁと。多分バンド側はそこまで考えずに「ちょっとここら辺で一発、ブレイク狙おうぜ!」くらいの気持ちでデイヴ・フリッドマンを迎えて、「俺達、MY BLOODY VALENTINEとかも大好きなんだぜ」なんていう面を強調しつつ(バンドオフィシャルサイトのバイオ参照)こういう方向に進んだのかな、なんて穿った見方をしてしまったりして。いや、悪くないですよ。むしろ良く出来た作品だと思います。それまでの音楽性を知らない人がいきなりこのアルバムから聴いたら、絶対にこういうバンドだと思うし、例えば「THE STROKESがポストパンクに走った」かのようなサウンドに興味を示せるなら、バンド側の勝利でしょうしね。

今後もいろいろ物議を醸し出すと思いますが‥‥きっとそれなりにブレイクするんでしょうね。例えば今夏の「SUMMERSONIC」に出演したりとか(フジロックというよりはサマソニだよな、この音って)。多分もう少ししたら雑誌なんかも騒ぎ立てると思いますし‥‥今回の「化け」がいい方向に進むのか、それとも悪い方向に進むのか、見物なのはこれからでしょうね。



▼PHANTOM PLANET『PHANTOM PLANET』
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投稿: 2004 02 23 03:24 午後 [2004年の作品, Phantom Planet] | 固定リンク

2004年2月20日 (金)

飯田圭織『エーゲ海に抱かれて』(2004)

  モーニング娘。の現リーダー、飯田圭織初のソロシングル「エーゲ海に抱かれて」はそのタイトルからも想像出来る通り、彼女が昨年リリースした2枚のアルバム(「オサヴリオ」と「パラディノメ」)で歌ったギリシア/フランス/イタリア等のポップスの延長線上にある作風。実際にアレンジもソロアルバム同様、前野知常がアレンジを手掛けているんだけど、今回最大の売りとなるのは恐らくつんく♂書き下ろしのオリジナル曲を、彼のプロデュースで歌うということなんでしょうね。安倍なつみ卒業の後だけに、ここでソロとしてもうちょっと前に出しておこうっていう気持ちが働いたのか、それとも卒業への第一歩なのか‥‥そんなことは誰にも判らないわけですが(少なくともつんく♂と事務所の首脳陣以外は)、とりあえずは届けられたこの2曲について書いてみたいと思います。

  タイトル曲 "エーゲ海に抱かれて" は作詞に三浦徳子('80年代以降の歌謡曲/ポップスを手掛けてきた大御所。市井紗耶香 in CUBIC CROSSでも歌詞書いてましたね)を迎え、作曲がつんく♂という形になってます。曲調は‥‥タイトルに誤摩化されそうになりますが、基本的には'80年代によくあったムード歌謡風ポップス。場末の飲み屋から流れる有線にピッタリ‥‥って書いたらファンに怒られそうですが、元々つんく♂の書くメロディの持ち味がそういった環境にピッタリということもあり、ある種「つんく♂歌謡劇場の集大成」と言うことも出来ると思います。中澤裕子以降、この手の楽曲を歌えるハロプロメンバーがいなかったわけですが、ここにきてまさか飯田がこういう路線に進まされるとは‥‥良くも悪くも、その辺がつんく♂らしいというか、ハロプロらしいというか、あの事務所らしいというか‥‥

  好きか嫌いかで問われれば、もう断然好きですね(えーーーっ!?)。いや、俺の中にはこういった音楽も染み付いてるわけですよ。ほら、実家がスナックやってるし、幼少の頃から演歌とか歌謡曲を普通に聴いて育った人間ですから(その反動で洋楽ロックに走ったのね‥‥とか言うなやそこ)。だから、なんていうか‥‥うん、凄く懐かしい空気を持ってるんですよね。で、飯田の歌い方も曲調やイメージに見事合致してる。ちょっとWINKの後期っぽい雰囲気・色合いも感じつつ、徹底的に歌謡曲してる。飯田の意思とは裏腹に‥‥その辺が切なさを倍増させてたりもするんですが。

  カップリングの "最後の接吻" も同系統のムード歌謡風。こっちは作詞もつんく♂。こっちの方がもっとムード歌謡色が強くて、さすがにこれはタイトルトラックには持ってこれないよなぁ‥‥的なイメージが強い。何度も書くけど、やはりこれを今歌えるハロプロ・メンバーは中澤と飯田だけだわ。本当は保田圭辺りに歌わせてみてもいいんだけど‥‥バックトラックなんかもさ、フレンチポップのカバーとかだったら非常にチープに感じたのに、つんく♂のメロディーだとこれが全然違和感ない。むしろピッタリというか‥‥良い意味でも、悪い意味でもね。逆にこれを全部生音/生演奏でやったとしたら‥‥中澤や飯田には合わないんだろうね。今度は松浦亜弥辺りに歌わせてみたくなるんだから‥‥って別にどっちが上とか下とかって話じゃないですよ? 合ってる/合ってないの話ですから‥‥

  まさか飯田もこういう曲調でソロデューシングルを出すことになるとは、思ってもみなかっただろうね。しかもこのカップリング曲、彼女が過去在籍したタンポポのデビュー曲とある意味同じタイトルだしね(あっちは "ラストキッス")‥‥非常に意味深なタイトルだ‥‥

  けどね、これはこれでアリかな‥‥とも思うわけでして。方や後藤真希や松浦みたいなシンガーがいて、もう一方に中澤や前田有紀、そして飯田みたいな歌い手がいる。その間にはいろんなユニットがあるんだから‥‥今後はこれを全部つんく♂が手掛けるとは限らないみたいだし、いい方向に転がってってくれるなら、演歌だろうがムード歌謡だろうが、俺は全然構わないけどね。そこまで心狭くないからさ。あと好きだしね、単純にこの手の歌謡曲。



▼飯田圭織『エーゲ海に抱かれて』
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投稿: 2004 02 20 12:00 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, 飯田圭織] | 固定リンク

2004年2月 6日 (金)

日暮愛葉『Born Beautiful』(2004)

  日暮愛葉のソロデビューアルバム「Born Beautiful」は本当に素晴らしい「歌モノ」作品として仕上がっております。シーガル・スクリーミング・キス・ハー・キス・ハーという、その筋のファンにはたまらないバンドで約10年に渡って活動し、'02年に突然の活動休止。その後は元JUDY & MARYのYUKIのソロデビュー曲 "the end of shite" の制作・プロデュースを手掛けたり(後に自身でセルフカバーすることに)等しながら、自身も'03年秋にソロデビューシングル "NEW LIFE" を発表、年が明けた'04年1月にこのアルバムをリリースしたというわけです。

  正直に白状しておくと、俺は「シーガル~」が微妙に苦手でした。嫌いではないんだけど、どうにも馴染めないという。感覚的な問題なので、どこがどう気に入らないとかそういうのは特にないんだけど‥‥そもそも「オルタナ・クイーン」だのという呼び名も好きじゃなかったし(アメリカにも同じように呼ばれたHOLEの コートニー・ラヴという人がいますけどね)、何かね‥‥うん。ダメだった。

  ところが、そんな俺が何故かこのアルバムを手にしてる。しかもかなり愛聴してるし。これはもうね、先入観とかそういったものなしに、先の "NEW LIFE" を「ゆうせん」で何度も耳にして、ずっと気になってたからなんですよ。最初はそれが誰の曲だか知らずに聴いていて、しかも何度も聴くうちに頭から離れなくなり、気づいたら口ずさんでる自分がいて‥‥で調べたら、これが愛葉の曲だったという。

  イメージが違う‥‥多分多くの人‥‥それは俺みたいに「シーガル~」に苦手意識を持って避けて通ってきた人‥‥はきっとそう思ったことでしょう。緩くて、まったりしていて、暖かい。それがこのアルバムの、そしてこのアルバムでの日暮愛葉のイメージ。地に足が着いたような、そんなテンポが全体を覆っていて、聴いていて妙に心地よい。特に変なことをやってるわけじゃないのに、どこかヘンテコな印象を受ける。だけど「変わり者」的なイメージはなく、ごく自然に、当たり前のようにそこで「鳴って」いる音と歌。録音方法もあるだろうし、アレンジも関係あるだろうし、そして何よりも愛葉の肩の力が完全に抜け切ったボーカル‥‥これら全てがこのアルバムを優しくて強いものに仕立て上げた要素であり、これらひとつが欠けてもこのアルバムは成り立たなかったはず。そう言い切れる程、鳴っている音や空気まで、全てから存在感をひしひしと感じるし、自信が漲ってる。「いらない無駄」は完全排除して、「必要な無駄」は積極的に取り込んでいる‥‥そんなアルバムではないでしょうか。

  バンド時代にアグレッシヴな路線で突っ走った人が、ソロに移行した途端にルーツロック的な「まったり」路線に、あるいはギミックにこだわった人達が、ソロになったらシンプルな「歌モノ」にスタイルを変えるのは実際によくあることです。バンドが派手であればある程、その反動は大きい。日暮愛葉の場合がこれに当てはまるのか、正直疑問ですが‥‥いや、それとは違う流れを感じるな。多分、今の彼女にとって、この方法こそが最も「アグレッシヴ」なものだったのかも。そう感じずにはいられない程の高水準な1枚。オルタナファン(オルタナファン?)だけじゃなく、普通に女性ボーカルものを好んで聴く人にも進んで聴いていただきたいアルバムです。



▼日暮愛葉『Born Beautiful』
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投稿: 2004 02 06 01:33 午前 [2004年の作品, 日暮愛葉] | 固定リンク

2004年2月 4日 (水)

安倍なつみ『一人ぼっち』(2004)

モーニング娘。卒業から10日経った2月4日。安倍なつみは「モーニング娘。の安倍なつみ」から「ソロシンガー・安倍なつみ」としての第一歩を踏み出しました。その第一歩とは初の単独ミュージカルのスタートであり、同時にこのソロアルバム『一人ぼっち』の発表でもあるわけです。まだ彼女の喪失から立ち直っていないファンも多いかと思いますが、最終的に「進む」ことを選んだのは安倍本人なのだ、そう信じているからこそ、俺はこのファースト・ソロアルバムにも失望することもなく、また過剰な期待を寄せることもなく、とてもフラットな状態で臨んでいけたのかもしれません……。

既に一部では「新曲が少ない」「やっつけ仕事で作られた感が強い」といったネガティブな声が聞こえてきていますが、最終的には自分の耳を信じよう、そう思いこのアルバムを手にしました。さて、1曲ずつ簡単に解説していきましょう。

●M-1:22歳の私
2003年8月リリースのソロ・デビューシングル。詳しいレビューはこちら。言うまでもなく、彼女の「モーニング娘。卒業へのカウントダウン」はこの曲からスタートしたといっていいでしょう。「彼女自身のこれまで、そしてこれからを示唆するような内容」というようなことを書いたら、一部の方から「そういう風に限定されない、もっと広意義なことを歌ってるんだよ」と指摘を受けました。勿論そんなことは判ってますよ。でもね、歌の解釈はひとそれぞれでしょう。それを踏まえつつも、やはり俺はどうしてもこの曲の歌詞を「安倍なつみ」本人と重ねてしまう。それはそんなにいけないことなのでしょうか?……と、アルバムとしては結構重い雰囲気でスタートしていきます。

●M-2:Memory 青春の光(安倍 Version)
1999年2月リリースの、モーニング娘。として4枚目のシングル曲の安倍ソロバージョン。オリジナルバージョンは安倍と福田明日香によるツートップの良い面を強調した、非常にしっとりとした味わい深い名曲でした。今回は安倍のボーカルを除いて全てオリジナル・バージョンとまま。だから当然バックトラックも豪華だし(NYにて録音された、名うてのR&B/フュージョン系スタジオ・ミュージシャンによるバックトラックがもう生唾モノ!)、コーラスも録音当時のモーニングによるもの。ま、オリジナルよりもコーラスの音量が抑え気味ですけどね。安倍のボーカルは確かに成長を感じさせるものになってると思います。そりゃ17歳の歌と22歳の歌とを比べるのはね……それなりに経験も積んできただろうし、それがちゃんと歌に表れてると個人的には感じますよ。ただ、原曲にあった「エロさ」が殆ど感じられなくなってしまった点に関しては残念というか。もうそういったモノをつんく♂自身も、そして聴き手も求めてないんでしょうね。

●M-3:恋した女の子どすえ
アルバムの為に用意された新曲その1。アレンジャーは鈴木俊介。打ち込みを多用したヘヴィなロカビリーといった印象で、ギターの歪み具合とノリが気持ちいい1曲に仕上がってます。安倍のボーカルも、例えばモーニング時代の「Mr.Moonlight ~愛のビッグバンド~」辺りで聴けた男らしさを強調したものになっていて、特にここではムスムン以上にハードボイルドな印象を受けます。モーニング時代は「こういうのって安倍に合ってないのかな?」なんて思ったこともあったけど、とにかくソロとして「バラエティ豊かな歌い手」を目指そうとしてるのか、思った以上にハマっています。うん、かなりいいですね。藤本美貴辺りが歌ったらもっとハマったんだろうけど……。

●M-4:晴れ 雨 のち スキ♡(安倍 Version)
2003年9月にモーニング娘。さくら組デビューシングルとして発表された曲の、安倍ソロバージョン。原曲のレビューはこちら。つい最近の曲っていうのもあるし、さくら組のテイクが耳に馴染んでることもあってか、全編安倍の声で歌われるとちょっとだけ違和感がありますね。ま、その違和感が消えるのも時間の問題かと思いますが。これもバックトラック等は原曲のまま。矢口真里による高音コーラスがそのまま残されているのが、個人的には嬉しかったなぁ。矢口のこういうコーラスの声は、とにかく気持ちいい。タンポポ時代からずっとそうだけど、最近そういう機会が減ってるだけに……もっと「歌手」として使ってあげてください。

●M-5:…ひとりぼっち…
アルバムの為に用意された新曲その2。アレンジャーは小西貴雄。安倍と小西の相性ってホントに悪いんだよなぁ……ってずっと思ってたんだけど、ここではかなりいい味を出していて、アルバムの中でもひと際印象に残るトラックとなっています。例えば、モーニングでいうと『3rd -LOVEパラダイス-』辺りでやってそうなことを再び‥‥といった印象でしょうか。バックトラック自体は全部打ち込みなんだけど、それも全然嫌味じゃないし、むしろここでメインになるのは安倍による多重録音コーラスなのだから……うん、こういう方向性でもっといろんなことに挑戦して欲しいな、彼女には。

●M-6:黄色いお空でBOOM BOOM BOOM(安倍 Version)
2000年3月にシャッフルユニット・黄色5で発表された曲の、安倍ソロバージョン。原曲のレビューはこちら。これもバックトラックは当時のまま……と思ったら、ラップが被せられてる! 始まってすぐにラップが入ってきてビックリ。ま、曲をぶち壊す程の酷さではないし、ボリューム的にも抑えられてるので、そんなに気にならないかも。安倍のボーカルも当時のテイクと比べても格段の成長をみせていると思うし、何よりもこうやって安倍の歌声を思う存分堪能出来るって意味では、本当に有り難いと思います。ちなみに、この曲でサックスを吹いてるのは、DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENやSPANK HAPPYでお馴染み、菊地成孔。ファンの間では有名なエピソードですね。

●M-7:あなた色
アルバムの為に用意された新曲その3。アレンジャーは鈴木Daichi秀行。Daichiが得意そうなラテン系打ち込みダンスチューン、といった印象かな、大雑把に言うと。全編打ち込みなので、全体を覆う安っぽさだけは拭えないんだけど……それでもこれ、結構いいと思うのは俺だけ? 例えば過去にDaichiが手掛けたこの手のタイプの曲と比べても、俺は今回のが一番優れてると思うんですけど。多分、安倍が歌っているというのも大きく影響してるとは思いますけど‥‥やっぱり安倍って、ダンス☆マン的ファンク路線よりもこういった路線や上記のカバー曲にあるようなR&B色が強い緩い路線の方が合ってるよな、うん。改めて実感しましたね。

●M-8:トウモロコシと空と風
2000年4月にリリースされたコンピレーション盤『プッチベスト ~黄青あか~』に収録されていた、安倍にとって事実上初のソロ楽曲。レビューはこちら。この曲のみ特に「New Version」とかその手の表記がないので、多分当時と同じテイクだと思います。ボーカルもこの曲のみ妙に若々しいし、今程艶っぽくもない。悪くないんだけど、この中に入っちゃうとね……ちょっと浮いちゃうという。勿体ないなぁ。折角だからこれも録音し直せばよかったのに。けど、「18歳」の少女だった安倍……その「18歳らしい歌声」を味わえるという意味では、これはこれでアリなのかな。曲の良さに関しては言うまでもないでしょう。シャンプーのCMが懐かしいよね、うん……。

●M-9:ふるさと(安倍 Version)
1999年7月リリースの、モーニング娘。通算6枚目のシングル曲の、安倍バージョン。といっても、そもそもこの曲の原曲の時点で「安倍ソロ」なわけでして、要するに今回ボーカルを録音し直して、更にストリングスを追加して今まで以上に劇的に盛り上げるアレンジにしてしまった、と。1/25のラストを彷彿させる劇的さもあり、また安倍のボーカルもオリジナルバージョンよりも方の力が抜けた印象で……ふと、あの日の夜を思い出してしまいます。しかもコーラスはモーニングによるものをそのまま使ってるわけだし(ま、このオリジナル音源録音に参加しているメンバーで今でも残ってるのは飯田と矢口だけなんだけど)……この曲を今後、安倍はひとりで背負っていくわけか……。

●M-10:腕組んで帰りたい
アルバムの為に用意された新曲その4。アレンジャーは高橋諭一。バンドサウンドを用いた、非常に「安倍なつみ」のイメージにぴったりなポップロック。これもいい曲だなぁ……なぁ、どうするよ、安倍にこの歌で歌ってるようなことを言われたりされたりしたら……なぁ、どうするよ?(クドイってば)ある意味、一番「等身大の安倍なつみ」に近い楽曲かもしれませんね、全てにおいて。モーニング時代の「せんこう花火」や「男友達」にも通ずる「色」と「空気」を持った1曲。ライヴでなら本編ラストに演奏されそうなイメージ‥‥そう、安倍は後藤真希や松浦亜弥とは違って、こういったイメージが強いんですよね。だから……現実的には少ないだろうこの手の曲を大切にして欲しいと思います。

●M-11:母と娘のデュエットソング
2003年5月に「おけいさんと安倍なつみ(モーニング娘。)」名義で発表された、安倍ソロ活動へのプレデビュー盤。レビューはこちら。前曲の空気をそのまま受け継いだノリで、この繋ぎは個人的には大成功だと思います。つうかこの曲、ここにしか持ってきようがないわな。ライヴだったらアンコール1曲目、本編ではなくて番外編といった印象かな。アルバム本編は前の曲で終わって、ここからの2曲はむしろボーナストラックとして考えた方がよさそうですね。

●M-12:ピ~ヒャラ小唄
2003年11月にアニメ映画「とっとこハム太郎」の為に、映画内キャラクターの「プリンちゃん」名義で発表された楽曲。レビューはこちら。ボーナストラックとして考えれば特に気にならないかな。本編は本編で充実してるので、これはおまけとして受け取った方が良さそうです。ムキになって「こんなクズ曲入れやがって!」って怒ってもねぇ……折角のアルバムが台無しじゃないかい?


●総評
多分、未だに安倍の卒業を受け入れられずにいる人にとっては、これ以下はないって程に酷いアルバムなんでしょうね。うんうん、その気持ち、判らないでもないですよ。

けどね、だからこそ俺は声を大にして言いたいのさ……

いいアルバムじゃんか、これ!

大体さ、既出の曲やモーニング等のソロバージョンは、原曲が良いんだから悪いはずがない。そしてアルバムの為に用意された新曲4曲も、非常にバラエティに富んだ内容で、良くいえば「安倍のいろんな魅力や可能性を魅せて」くれるし、悪くいえば「統一感がない、安倍をどんな方向に持っていきたいのか、製作陣も決めあぐねている」といった感じでしょうか。でも俺は、敢えて前者の意見を取りたいと思います。

モーニング娘。として6年間やってきたことを無駄にすることなく、それを踏まえた上で更にもう数段上に行くには……その課題がこのアルバムに詰め込まれているような気がします。そういう意味ではこの「一人ぼっち」というアルバム、“ファースト”アルバムではなくて、“ゼロ”アルバムなのだと個人的には解釈しています。これは「ソロシンガー・安倍なつみ」としての第一歩というよりは、「モーニング娘。として活躍してきたシンガー・安倍なつみ」としての、これまでの集大成であり、「本当のファーストアルバム」への“プレ”ファースとアルバムなのだ、と。

そう考えると、これが「やっつけ仕事」などではなくて、「今後の彼女の活動にとって、必要だった作業」だったのだと解釈することができます。ま、物事視点を変えるだけで、ポジティブにもネガティブにもなれますからね。俺はこのアルバム、一発で気に入ったし、そして購入してから既に4~5回ぶっ続けで聴きまくってます。決して「名盤」とは呼べない1枚なのですが、心に残る1枚にはなり得るよな……自分にとっては、そういう作品になりそうです。じゃなかったら、ワザと「今月のオススメ作品」になんか選出しませんよ! そう、上記のようなモーヲタにある種喧嘩を吹っかけてるようなもんですからね(別にホントに反論して欲しいとか、そういう意味じゃないですからね)……。

別に俺は安倍のファンでもないし、安倍に強い思い入れもないし、彼女のモーニング娘。卒業発表に対しても何の感想もなかった。けど、俺は彼女が歌う曲が好きで、彼女の歌声が好きなんです。それで十分じゃない?



▼安倍なつみ『一人ぼっち』
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投稿: 2004 02 04 12:00 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, 安倍なつみ] | 固定リンク

2004年1月28日 (水)

松浦亜弥『奇跡の香りダンス。』(2004)

  松浦亜弥、通算12枚目、2004年一発目のシングルとなる「奇跡の香りダンス。」は、既に新年早々テレビCMソングとしてお披露目済みのタイトルナンバーと、昨年秋のツアーでも披露されていた太陽とシスコムーンのヒット曲 "宇宙でLa Ta Ta" のカバーを収録した1枚。元旦から「×3」という素晴らしいアルバムをリリースしたものの、以前のようなヒットを記録することが出来なかった松浦。このシングルがどこまでヒットするのか‥‥個人的には意地悪なものの見方をしてしまいそうですが‥‥ちょっとね、これまでにないタイプの楽曲だったのと、作り手側のお遊びが過ぎるのでね。このユーモアが聴き手(特に彼女のファン以外の、一般層)にどこまで通じるのかが気になるんですよ。

  タイトルトラック "奇跡の香りダンス。" は勿論つんく♂作品。アレンジには既にお馴染みの鈴木 Daichi 秀行が当たっています。楽曲のタイプとしては、ちょっとロック色の強いポップソング。そうね‥‥ハッキリ言っちゃえば、布袋寅泰へのオマージュというかパロディーというか。所謂「デジデジ」した感じのポップロックを基調としたアレンジで、ギターなんてバッキングの細かなフレーズやソロの運び方(ツインリード風ハーモニーを用いたフレーズそのものやメジャーからマイナーへと流れていくコード進行等)まで、とにかく布袋‥‥というか「ギタリズム」シリーズを意識したかのようなアレンジ。Daichiって以前にも後藤真希のアルバムで布袋っぽいアレンジの曲をやってたし、年齢的にいってもボウイ世代なんだろうね。けど、今回の場合はDaichi云々よりも、つんく♂の指示及び悪ふざけなんじゃないかな。コーラスの入れ方とか松浦のちょっとした節回しが、ホントに布袋っぽいし。つうかこれ、このまま布袋に歌わせてみたい。特にサビの最後のフレーズのところとかね。

  勿論、ただの布袋オマージュでは終わってません。そういったポップロック色を更に強める役割を果たしてるのが、そんなバックトラックの上に散りばめられているキラキラしたシンセの音色。イントロの'80年代テクノポップ的フレーズや、昨年の同CMソングに起用された "ね~え?" っぽいシンセのシーケンス(ピチカートっていうんですか、あの音色?)等が、かろうじて「従来の『あやや』っぽさ」を引き出してるような。けど、今回の場合は完全に機能してるとは言い難く、何かふたつの異なる色合い(布袋調ポップロックとカワイイ路線)が混じり合わずに平行線をたどってるような気がしないでもないかな、と。もうひと捻り欲しかったな‥‥うおっ!っt唸ってしまうような。そして、アレンジももうちょっとだけ時間をかけてあげれば、完璧なものになったと思うんですが。

  松浦の声質が完全に以前と変わってしまったことを受けて、こういった曲調を選んだのだと思いますが(じゃなかったら、過去あのCMに起用された路線‥‥"♡桃色片想い♡" や "ね~え?" の延長線上にある路線を選んだはずなんですよ。少なくともあのCMを観る限りではね‥‥しかし、それが出来ない事情が生じた(=松浦の声質の変化)。だったら「今出来ることを、今しか出来ないことを」ってことになったんでしょうね。それがアルバム「×3」での変化であり、この "奇跡の香りダンス。" だったのかな、と。

  そしてシングルのカップリング。今回は新曲ではなくて、昨年の秋ツアーでも披露されていた "宇宙でLa Ta Ta" のカバー、しかもご本家・稲葉貴子とのデュエット。これも今までにない形なので、面白いといえば面白いんですが‥‥単純に昨秋のツアー用に録音したものをそのままシングルに入れたのかな、と。だとしたらガッカリなんですが‥‥けど、こうやって稲葉の歌を堪能できるって意味では、個人的には有り難いんですけどね。ただね、バックトラックが太シスのオリジナルトラックそのままなんですよね(アレンジは河野伸)‥‥導入部での松浦の語りは日本語で新たに書き下ろしされてますけど(オリジナルは中国語)‥‥アルバムを出した後だから曲が少ないってのも理解できるんですが、それにしてもね‥‥バックトラックまで同じとなると‥‥最近はカントリー娘。やおとめ組・さくら組でのカバー&セルフカバーでバックトラックの再録音やリアレンジをちゃんとやってくれてたので安心してたんですが‥‥う~ん‥‥曲は勿論名曲なので文句ないのですが(松浦の「今の」声も意外とこの曲に合ってるしね?)‥‥

  いろいろと釈然としない面もありつつ、このシングルを延々リピートしてるわけですが‥‥そうなんだよね、この "奇跡の香りダンス。" をアルバム「×3」に入れればよかったんだよな。もうひとつメジャー感の強い楽曲が入ってれば、間違いなく名盤と呼ばれていたであろう1枚になったのに‥‥いや、今でも大好きですし、ホントによく聴く1枚ですよ? ただ、全体的なバランスを考えた時にね‥‥勿体ないな、と今でも思うわけですよ。レコーディング時期は一緒だったはずだから、作り手(スタッフ等の製作陣)がワザと「これはアルバム用」「こっちはシングル用」って振り分けたんだろうね。あと、CMタイアップとの兼ね合いもあって、この曲のみ早めに完成させなきゃならなかった(提出しなきゃならなかった)からアレンジがアルバム曲よりも雑だった、とか‥‥ま、邪推すればいくらでもできるので、この辺にしておきますけど‥‥ホント勿体ないですよ。

  とはいいながらも、ずっとリピートしてるってことは、間違いなく気に入ってるってことなんですけど。この曲、GLAYの新曲と同日リリースなんですよね‥‥まぁあちらは今回バラード調なんですが。どうせなら同系統の楽曲で対決して欲しかった‥‥なんて思ったりして。



▼松浦亜弥『奇跡の香りダンス。』
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投稿: 2004 01 28 12:00 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, 松浦亜弥] | 固定リンク

2004年1月26日 (月)

THE BENS『THE BENS EP』(2004)

2003年の前半から噂にはなっていた、3人の「Ben」‥‥ベン・フォールズ、ベン・リー、ベン・クウェラーによる、企画色の強いユニット、それが「the bens」。まんまなユニット名ですが、とにかくお遊びで始めたこのユニットは、ツアーしたり等いろいろ出没情報はあったものの、ちゃんとした音源が出るのか、出るとしたらどこから出るのか、等といろいろ噂先行で話題となりました。既にフルアルバム分の楽曲があるとか、レコーディングは既に完了しているとか‥‥で、いろいろ紆余曲折ありながら、ベン・フォールズの企画シングルをリリースしている「attacked by plastic」というレーベルから、ネット通販限定で流通することになったのが、今回紹介する『the bens ep』という4曲入りのEP。もともとこれ、03年春に行われた3人合同によるツアーで会場限定発売されていたEP。本来はここに3曲のライヴ音源(この時にツアーの模様を収録したもの)を追加した計7曲で、同年8月に日本発売される予定だったんだけど‥‥ま、ライヴ音源はなくなって本来の形に戻ったものの、こうやって日本のファンも手に入れることができるようになっただけマシというか。

個人的には、この中で思い入れがあるのってベン・フォールズくらいなんですよね。ベン・リーは以前「Grand Royal」から出てたアルバムを1枚だけ聴いたことがあるだけだし(それもかなーり前の話ですよね)、ベン・クウェラーに関しては名前しか知らない状態(いや、ずっとアルバム聴こうとは思ってたんですが‥‥)。そんな人間が、ほぼ無知に近い状態でこの音源に接したわけですが‥‥意外に面白かったな、と。最初はもっと3人のエゴが出まくった、ソロ色が強い独立した楽曲が数曲ある程度なのかな、と思ってたんだけど、思ってた以上に1曲の中にちゃんと各人の個性が出た形に収まってるような気がします。

オルタナ・カントリー調の1曲目「Just Pretend」の和んだ空気、3人が順番に歌い、3声コーラスをかますところなんて特にシビれますよね。イントロのベースとシンセの音にいきなりヤられる「Xfire」はさしずめオルタナ・ポップスといったところでしょうか。これ、バックトラックって全部3人でやってるのかしら? シンセ類はベン・フォールズ、エレキ類はベン・クウェラーかな? ドラムは‥‥この中途半端にローファイぽい感じが、ワザと狙ったような雰囲気が出てて、如何にもポップ職人3人による仕事といった感じ。曲自体もこれが一番好きかも。そして同じくローファイっぽいアナログシンセとリズムボックスの音がたまらない「Stop!」もいい感じ。適度に枯れてて、適度に激しくて、適度に甘くて、適度に狂ってる感じ‥‥この「適度」ってのが非常に優等生っぽくて、人によっては鼻につくかもしれないけど‥‥個人的にはこの2~3曲目のノリでアルバム1枚作って欲しいなぁと思います。そして最後はアコギとピアノが印象的なバラード調の「Bruised」。これも「いい曲書いてやろう」っていう気合いと「狙って外す」といった相反するもののバランス感が絶妙。ちょっとベン・フォールズ色が一番強い楽曲な気がしないでもないけど‥‥まぁ、3人のうち、誰かひとりがリーダーとなって曲を書くなんてことは当たり前の行為だからねぇ。たまたまこの曲の場合はベン・フォールズが先頭に立って他の2人を引っ張る形になったのでしょう。うん、いい感じ。

こういうタイプの音楽、今はなんて呼ぶの? ほら、よく「AAA」とか「オルタナ・ポップス」とか、いろいろ新しい呼び名(カテゴリー)があるじゃない? 個人的にはまぁそんなのどうでもいいんですが‥‥うん、面白いと思いました。ただ、まだ「この3人でやる必要性・必然性」みたいなものを見つけるまでには至らないかな、と。たった4曲だしね。いい曲は勿論あったけど、決定打になるような名曲には至ってないし。各人ソロで好き放題やった方がもっといい作品が作れるような気もするんだけど‥‥だからこそ、単なる企画ものとして終わらせないで、ちゃんとした「完全無欠のアルバム」を完成させて欲しいなぁ、と思うわけでして。既に完成してるのかもしれないけど、それを聴いた時に初めてこの「the bens」に対する正当な評価を下したいと思います。

ま、あれですよ。なんだかんだ言って、このEPの4曲を「iPod」にブチ込んで、普段から聴きまくってるんですけどね!



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投稿: 2004 01 26 12:00 午前 [2004年の作品, Ben Folds] | 固定リンク

2004年1月25日 (日)

モーニング娘。『愛あらば IT'S ALL RIGHT』(2004)

  いろいろ小難しいことでも書こうかとか、モーヲタ・サイドに寄りかかった生温い好意的なレビューを無理して書こうかとか、この日を迎えるまで散々悩んだのですが‥‥ゴメン、やっぱり無理! もう俺には無理だから!

  モーニング娘。21枚目、安倍なつみ在籍時正真正銘のラストシングル、「愛あらば IT'S ALL RIGHT」。タイトル曲 "愛あらば IT'S ALL RIGHT" はタイプとしては‥‥多分 "I WISH" や "でっかい宇宙に愛がある" といった名曲達と比較される運命にあると思うんですが‥‥アレンジは小西孝雄。彼のアレンジ曲にしては成功してる部類に入るんじゃないでしょうか。そしてカップリングに異色作 "出来る女" は鈴木俊介によるアレンジ。ちょっと風変わりで演劇チックというかオペラ風な雰囲気が漂った、まぁ早い話が「QUEEN」風。これまでだと永井ルイの十八番だったわけですが、最近ハロプロとの関係が切れたのか全く彼が参加することがないので、代わりに‥‥といったところでしょうか。ちゃんとブライアン・メイ風のギターまで登場するし。ま、カップリングとしては面白味を存分に感じた1曲でした。

  以上。


  ゴメン、本当に書くことがないんだ‥‥だってさ、少なくとも俺にとっての『なっちがいる「モーニング娘。」』は、前作 "Go Girl ~恋のヴィクトリー~" で一旦終了してるし、俺の中でも完結してるし。正直、あそこで終わった方がキレイだったと思う。なのに、ファンというのはいつでも自分勝手で我が儘なもんで、「あんな曲でなっちを卒業させるのか?」とか「もう1曲、なっちらしい曲で‥‥」とか言いたい放題。気持ちは判らないでもないけど‥‥そんなのは「安倍なつみのソロ」でやってくれ、俺は「モーニング娘。」が聴きたいんだよ。勿論、この "愛あらば IT'S ALL RIGHT" って曲もモーニング娘。なんだけど、何故こうも「聴き手に届かない」曲で彼女を送り出そうとするのか、そして「卒業」を「企画」として重んじるばかりに、残された14人の今後を蔑ろにしている点が凄く嫌な感じで気になるんですよ。

  "AS FOR ONE DAY" の時も少しは気になっていたんですが、何故メンバーが卒業する直前に新曲を出すのだろう?って。それって売る側としては「話題になるし、セールス的にも期待できる」ってことなんでしょう。送り出される側にとっても思い出になる1曲として記憶に残るでしょう。けど、モーニング娘。はその先もずっと続いて行く。その曲は卒業するまでの、ほんの数日の為の「中継ぎ」でしかなく、そのメンバーが抜けた後、我々は改めてその「穴」の大きさを思い知らされるわけです。幸い、"AS FOR ONE DAY" の時は保田圭の穴を藤本美貴が加入することでことなきを得ましたが、今回の場合は新しい要素で穴埋めすることはできません。残された14人でフォローするしかない。そうなると、絶対に、否が応でも思い知らされる「安倍なつみの喪失」。これって、今後のモーニング娘。にとってプラスになることなの?

  去って行く安倍には悪いけど‥‥この曲はむしろ、安倍が抜けてすぐに出すべき1曲だったんじゃないかな、と思いました。ま、歌詞の面で多くのファンが安倍と重ねて合わせて感涙してるのも理解できなくはないですが、何か俺、上手く誤摩化されているような気がするのよ。だから素直に受け入れることができない。「ひねくれ者!」とか「ファン失格」とか言われてもいいんだけど、やっぱり安倍体制で出すべきじゃなかったと思います。これは残された14人に対する裏切りだと思います。


  ‥‥なんてこと言っても、それは全部「モーヲタ」という狭く閉じた世界での話。一般の、モーニング娘。に必要以上の思い入れがない音楽ファンにとっては、正直どうでもいい話であり、またこの曲も「以前程伝わってこない」アイドル歌謡の1曲に過ぎないわけです。上に書いたように、この曲の歌詞に心揺さぶられるのって、結局モーニングにある一定以上の思い入れがある、あるいは彼女達を好意的に捉えている人達だけなんですよ。"ここにいるぜぇ!" 辺りから鼻につき始めた「躁過ぎる程の前向きさ・人生応援ソング」的歌詞。一見「意識革命」だったり「人生って素晴らしもんだよ」といった肯定的な内容で「外に」向かっているように取れるんですが、実際には「内に」向かっているように感じるんですよね。いや、リリース当時はそこまで考えもしなかった(そして俺もその「内側」のまっただ中にいたから気づきもしなかった)けど、その後リリースされたアルバム「No.5」を聴いて、どうにもそれが鼻につき始めて。だから、自分の中では "AS FOR ONE DAY" や "シャボン玉" は、そういった空気を打破する意欲作と受け取っていたんです。でも、実際にはそれさえも「内側」だけの話で終わってしまい、結局開き直って "Go Girl ~恋のヴィクトリー~" にたどり着く‥‥ま、相変わらず勝手に分析・妄想してるわけですが。そういった意味で、この "愛あらば IT'S ALL RIGHT" って同じように「内に」向かって歌われているように感じられるんですよ。だから「外側」には届かない。いや、届いたとしても正確には通じていない、曲解されて終わり。最初聴いた時にそういうイメージが強かった、だから呆れたし、怒りを覚えたんですよ、この曲に。

  ぶっちゃけ、世間一般では別に安倍なつみが卒業しようが「俺の生活が変わるわけでもない」し、もう名前知ってるメンバーも少ないし、辻加護もそろそろ辞めるようだし、ああ終わりだね‥‥程度の存在でしかない。何か面白いことをテレビでやっても、以前のように面白がられることもなく、歌われる楽曲に心動かされる人も少なく、安倍卒業企画で涙する矢口真里の姿を観て「卒業の度に嘘泣きとか大変そうですよね?」と醒めた感想をこぼす‥‥これが自分の周りにいる人達の、素直な感想なわけ。この半年で、本当に彼女達に対する世間の興味は薄らいでいます。卒業と増員でしか話題作りできないアイドルユニット、それが現在のモーニング娘。なんです。それが現実。


  ただ、以前程の興味は持てないものの、それでも「モーニング娘。」という存在と、彼女達が歌う楽曲は好きな自分が、まだここにいる。安倍の姿がないモーニングを実際に目撃して、その興味は更に弱いものになるのかもしれない。けど、苦言を呈しながらも、好きな者達を最期まで看取る覚悟はできてます。きっと今後の「とみ宮」での新曲レビューは、モーヲタにとって耳の痛い内容になるのかも‥‥一緒に地獄まで行く覚悟ができてる人だけ、今後もお付き合いいただければ、と思っております。興味があまりない、沢山あるレビューの中のひとつとして読んでいる方々は、暖かく見守ってやってください。立ち位置は以前と違うものの、2004年もモーニング娘。及びハロー!プロジェクトを応援していくつもりですので‥‥。



▼モーニング娘。『愛あらば IT'S ALL RIGHT』
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投稿: 2004 01 25 12:00 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, モーニング娘。] | 固定リンク

2004年1月24日 (土)

コンタクト『君の夢を見たんだ』(2004)

  お友達からその名前を初めて教えてもらったのが、昨年の夏頃。丁度シングル「バイオリズムep.」をリリースした頃。んで、フジロックにも出演したものの、うっかり寝過ごしてしまって観れず終い。その後、秋に「バニッシングep.」をリリース、今年に入って早速待望のファースト・フルアルバムをリリースすることとなった、2004年大期待のニューカマー、コンタクト。なんて書き方をするとちょっと大袈裟かもしれませんが、実際彼らの音を初めて聴いた時‥‥アルバム購入前に上記のシングル2枚を購入したんですが‥‥おおっ!と唸ってしまったんですね。これはもう、アルバム大期待だな、と。

  実際にリリースされたアルバムは、俺の期待を遥かに上回るもので、ホントによく出来た作品集でした。既出曲(シングル収録曲)が大半なのですが、殆どが別バージョンだったりするので、まぁ問題なし。実際、「バイオリズムep.」のタイトルトラックだった "バイオリズム" はシングルではエンディングがフェードアウトしてるんだけど、アルバムではその部分がノーカットで収録された「完全版」だし、同EPではライヴテイクだった "ハチミツの花" と "wonderland" はスタジオテイクでの収録。そりゃ「シングルもちゃんと持ってる!」って人にとっては「もっと新曲聴きたかった!」となるんでしょうけど、このアルバムから入って行く人にとっては、デビュー後の集大成的内容となってるので、正にうってつけの1枚かと。

  昨年辺りからASIAN KUNG-FU GENERATIONやレミオロメン、LOST IN TIMEといった新世代ギターバンドが注目を集めていますが、このコンタクトもその中に入れても引けを取らない、非常に個性的なバンドといえるでしょう。4ピースのギターロック、シーケンサーを導入した独特なバンドサウンド(しかも手弾きシーケンサーだってさ!)、メランコリック且つセンチメンタリズムを強調したメロディと歌詞、「ブリットポップ」以降の流れにあるアレンジ、等々‥‥確かにありがちといえばそうかもしれないんだけど、個人的には「プラスα」の部分を多いに感じるんですよね。人によっては「何だよ、またRADIOHEAD以降の『部屋で膝抱え苦悩』系の亜流登場か!?」と悪態つくかもしれませんし、実際その要素は持っているように感じますが‥‥それだけでは済まされない「何か」がある、と。その「何か」「プラスα」が何なのか、まだハッキリと見えてはいませんが、俺は上に挙げた新世代バンド達と同じように良いと感じた。そして「それ」を見極めたいと思ったし、だからこそライヴを一度観てみたいと思った。それが素直な感想です。

  実際、楽曲はどれもよく練り込まれていて、素晴らしい出来映えだと思います。過去、ライヴで何度も演奏されてきた楽曲が中心でしょうから、本当の意味での勝負は次のアルバムなのでしょうけど、その前にこの完成度の高いファースト・フルアルバムを素直に楽しみたいと思います。この時期に聴くと、心に沁み入りますね、彼らって。購入してから数日、家でも職場でもこればっかり聴いてます。

  一回しか言わないから、よく聞いてね。このバンド名、今年の大晦日まで覚えておいてください。間違いなく、今年いろんな意味で話題になるバンドだと思いますから。今後の活躍に期待しております。そして‥‥2月のライヴ、日程的に合うんで行こうかしら?(ホントは3月のワンマンに行きたいんだけど、予定がねぇ‥‥)



▼コンタクト『君の夢を見たんだ』
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投稿: 2004 01 24 12:00 午前 [2004年の作品, コンタクト] | 固定リンク

2004年1月21日 (水)

スピッツ『スターゲイザー』(2004)

  スピッツ通算28枚目のシングル、「スターゲイザー」は昨年秋からテレビ番組のテーマソングとして流れていたタイトル曲 "スターゲイザー" と、同年のツアーで既に披露されていたらしい "三日月ロック その3" の2曲を収録した、'02年9月のアルバム「三日月ロック」以来16ヶ月振りに発表される音源。'03年はツアーに明け暮れたこともあり、同年後半になると新しいマテリアルを求める声が少しずつ高まっていった中での "スターゲイザー" タイアップ、しかも王道中の王道スピッツ・ソングということもあって、多くの人が握り拳でガッツポーズを取ったんじゃないでしょうか。

  タイトル曲 "スターゲイザー" は確かにこれまでの王道路線にある1曲。良くいえば「絶対に誰の耳にも引っかかるであろう、大衆に消費されることを想定したポップソング」であり、同時に「‥‥って結局いつもと同じじゃねぇか?」という悪い言い方もできる、取り方によって諸刃の剣になり得るもの。確かにこれはヒットしますよ‥‥特にここ数作のシングルでは、大ヒットした "空も飛べるはず" や "チェリー" といった楽曲とは音楽的にも歌詞の内容的にもちょっと違った、非常にひねっているという印象を持っていたので、まさかここまで素直に「ヒット狙いました!」的なものを出してくるとは思わなかったのね。いくら彼らが「番組とのタイアップが決まり、番組から影響を受けて書いた」といっても、ここまで判りやすいものをこの時期に持ってくるとはねぇ‥‥既にミリオンヒットとかそういった類の世界から完全に離れたところにいる人達だと思ってただけに、ちょっとしたショックを受けましたね(勿論いい意味で)。決して今の彼らが売れてないとかそういった意味じゃないですよ? ただ今のスピッツにはそういったマスゲーム的なものが似合わないと、勝手に思い込んでいただけですから‥‥

  カップリングの "三日月ロック その3" は、まぁこれも従来の彼ららしいストレートなロックチューン。決してシングルのタイトルチューンになることはないけど、アルバムやc/w曲としていい味だして、ライヴでは盛り上げる為に一役買う、といったタイプの楽曲でしょうか。アルバム通して聴いた時にいいアクセントになるだろうけど、こうやって抜き出して1曲のみ聴かされても‥‥個人的には「ああ、いい曲だよね!」で終わってしまうタイプの曲かな、と。

  このシングル、過去に同番組に起用された曲を挙げるまでもなく、大ヒットを記録するでしょうね。それもミリオンに近いくらいの、あるいは久し振りのミリオンを記録するくらいの大ヒットに。それが今のスピッツに必要なのか否かは俺には判りません。これがアルバムへの起爆剤になるとは正直思えないんですよね。というのも‥‥この2曲が非常に優等生的なイメージが強くて、ここ2作くらいにあった「ひねくれ具合」だったり「ねじれ具合」があまり感じられなくて、全然先が読めないし、ここから次のアルバムが想像できないんですね。ま、幸いこの曲は次のオリジナルアルバムには収録されないようだし(代わりに3月に'99年以降にリリースされたアルバム未収録のシングル曲やc/w曲を集めた編集盤に収録されるそうです)。「次の一手」を占うという意味では、これに続くシングル曲の時まで待つことにしましょう。

  まぁそうはいっても、これは本当に良く出来た楽曲ですし、これまでスピッツに興味がなかった人達にも彼らの良さ/魅力を知らしめるに相応しい題材になると思いますよ。と同時に、離れて行くファンも少なからずいるような気も‥‥特に「隼」辺りの作風に惹かれて遅咲きのファンになったような人にとってはね。



▼スピッツ『スターゲイザー』
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投稿: 2004 01 21 12:00 午前 [2004年の作品, スピッツ] | 固定リンク

2004年1月20日 (火)

BON-BON BLANCO『BON VOYAGE!』(2004)

  BON-BON BLANCOの7ヶ月振り、6枚目のシングルとなる「BON VOYAGE!」は、ブレイクへの起爆剤となる記念すべき1枚となるでしょうね。ご存知の通り、このシングルのタイトル曲 "BON VOYAGE!" は既に昨年10月からテレビアニメ「ワンピース」のオープニングテーマとして大量オンエア中。子供から大人にまで人気のあるアニメの主題歌に大抜擢ですからね、これまで以上に多くの人の耳に留まるわけですよ。過去、ボンブラは "涙のハリケーン" が同様にテレビアニメ「ゲットバッカーズ」のエンディングテーマとして起用されたことがありましたが、原作程アニメ版の人気がなかったこともあり、思った程の成功を収めることができませんでした。が、今回ばかりは話は別。最初から成功が約束されたようなものなのです。現にリリース後のオリコン・デイリーチャートを追ってみると、「6位→4位→11位→10位→6位→9位」というかなりの好成績を収めていて、実際ウィークリーチャートの方でもトップ10入りは確実かと思われます。後はこれをどれだけ持続するかですよね。過去、同番組のオープニングテーマは1年近くに渡って同じ曲をプッシュするので、多分この曲も暫くは耳にする機会が続くことになるわけです。少しでもセールスが伸びてくれるといいですね。

  とまぁ、チャートの話はこれくらいにして‥‥タイトル曲 "BON VOYAGE!" は前作 "バカンスの恋" とは一転して、メジャー感強いポップなアッパーチューン。これまでのボンブラ‥‥アルバム「BEAT GOES ON」までの流れにある楽曲なので、前作での大人っぽいアーシーな路線が苦手という人にも受け入れられやすいんじゃないでしょうか。もっとも、初期の "愛 WANT YOU!!" や "だって、女の子なんだもん!"、"愛のナースカーニバル"辺りの路線が好きだった人にとっては、それ以降の流れは結局どれもダメなんでしょうけど‥‥

  そうはいっても、この曲のメジャー感、ポップさ、溌剌さは過去のシングル曲の中でもピカイチだと思うし、これがアニメ主題歌に選ばれたというのも頷ける話なんですよね。楽曲自体はこれまで同様大島こうすけの手によるものなんですが‥‥ひとつあか抜けたかな、という印象が強いですね。ただ、バックトラック的にはこれまでの中では一番弱い気がしますけど‥‥この辺のバランス感は正直難しいですね。何とも言えないです、曲がいいだけに‥‥ま、いいだけにもっと凝ったアレンジを施してもよかったような気もしますけど(今日日アニメ主題歌でもかなり手の込んだ作品、沢山ありますしね。普通にJ-POPものがそのまま起用される時代ですから)。

  方やカップリングの "ありがとう I Love you,yet..." はもっと大人っぽい、所謂前作での新境地的路線を継承したものといえるでしょう。イントロでのパーカッションの使い方がかなり雰囲気出てて、思わず「おおっ!?」を身を乗り出してしまう程。かなりいいメロディとアレンジを持ったいい曲だと思いますが、やはりシングルのタイトル曲に持ってくるにはちょっと地味かな?という印象が強いですね。特に "BON VOYAGE!" を聴いてしまった後となると‥‥そう考えると、如何に前作 "バカンスの恋" が実験的なシングルだったか‥‥成功こそ収めなかったものの、いい意味でアクセントにはなりましたしね。

  さて、ここまでくると次の作品‥‥セカンドアルバムに期待してしまいたくなるんですが‥‥どうやら次のアルバムは「シングル・コレクション」アルバムになるようです(3/24に「CD+DVD限定盤」「CD単体」「DVD単体」の3種類同時リリース)。まだシングル6枚でベスト盤‥‥というのはちょっと疑問なんですが、ま、今回のブレイクを無駄にしたくないという事務所やレコード会社の損得勘定が働いたのでしょうか、それともここでひと区切りつけたいと首脳陣が考えたのか‥‥まだアルバムの内容が判らないだけに(シングル6曲は間違いなく入るでしょうけど、それ以外の楽曲がシングルオンリーのC/W曲なのか、それとも未発表の新曲なのか不明)これ以上のコメントは控えますが、あれだけ完成度の高い(そう、嫌味なくらいに高品質だった)「BEAT GOES ON」に続くオリジナルアルバムを作ろうとなると、そう簡単にはいかないですものね。

  ま、とにかく今はボンブラがこの先どこまで成長していくか、お手並み拝見といったところですかね。「いい曲」と「いい環境」を与えられた者は、強いですよ‥‥。



▼BON-BON BLANCO『BON VOYAGE!』
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投稿: 2004 01 20 12:32 午前 [2004年の作品, BON-BON BLANCO] | 固定リンク

2004年1月15日 (木)

YOSHII LOVINSON『SWEET CANDY RAIN』(2004)

  THE YELLOW MONKEYのシンガー、吉井和哉のソロプロジェクトといえる「YOSHII LOVINSON」名義の、2枚目のシングルとなる「SWEET CANDY RAIN」。昨年秋になってようやく、「TALI」という名曲と共に表舞台に戻ってきた吉井。しかしながらこのシングルがCCCDということもあり、うちでは取り上げることができませんでした。有線やラジオでは毎日何度も耳にしたこの曲、如何にも「イエモンの吉井」が戻ってきた!といったようなメロウでセンチな楽曲で、俺も大好きだったわけですが、今回のシングル‥‥これはある意味異色作であり、ここからが「YOSHII LOVINSONの本性」剥き出しといった感じなのかもしれません。

  "TALI" という楽曲が比較的「解りやすく」、従来のファンにも受け入れられやすい作風だったのに対し、今回のタイトルトラック "SWEET CANDY RAIN" はとても地味で、それでいて重くて暗くて深い。これまでの吉井だったら絶対にシングルには持ってこなかったタイプの楽曲なのですが‥‥これもまた吉井らしさ全開の1曲なんですよ。ドラム以外の楽器(ギターとベース)は全て吉井自身が手掛けていることも関係あり、バックトラックの演奏自体は無駄をそぎ落とした、非常にシンプルな構成。悪く言えばスカスカなんですが‥‥そうすることによって余計にこの曲の深みが増すという。その楽曲を作った人間だからこそ判るといいましょうか、全てにおいての責任を吉井が背負い込むことで、イエモン時代とはある意味正反対な表現方法を選んだようです。無駄をそぎ落とすという意味では両者に共通する要素なんですが、方やそれでも「煌びやかで艶やか」に出来上がる4人の個性のぶつかり合い、そしてこちらはそれをひとりで担うという重労働且つ自由度が高い「何でもあり」な空間。確かに各楽曲での作詞作曲の表現方法も以前とは少々異なっているように感じられますが、根本にあるものは変わっていない、いや、変わりようがないわけで。どこからどう聴いても吉井そのものなはずなのに、イエモンとは全く異質な何かを感じる。"SPIRIT'S COMING (GET OUT I LOVE ROLLING STONES)" なんていうシンプルなロックンロールも、イエモンだったらもっと違った表現手段を用いたはずなのに。勿論、他の3人の個性が加わらないから違うのは当たり前なのですが、両者でのソングライターは共に吉井なのに‥‥どこか違う。実験的で如何にも「ソロでやりそう」なイメージが強い "70 GO" にしても同様。

  イエモンでは一足先にヒーセがHEESEY WITH DUDES名義でシングルやアルバムをリリースしていますが、こちらは我々が想像する「イエモンのヒーセ」をそのまま絵に描いたかのようなグラマラスでワイルドなハードロックを展開してくれたのですが‥‥勿論、吉井にしろ「ソロとなるといろいろ考えるんだろうな?」とはファンも考えていたはずなんです。しかし、ここまで濃いものを持ってくるとは‥‥正直、想像してた以上の代物でしたよこれは。

  至極当たり前なことを書きますが‥‥やっぱりTHE YELLOW MONKYEは吉井ひとりでは成り立たない。あの4人だったからこそ成し得た「奇跡」だったんだな、と。だからといってヒーセや吉井のソロがイエモンよりも劣ると言ってるんじゃないですよ。愛着が強い分、これをすんなり受け入れるには、もうちょっと時間が必要かな、と。あと、たった数曲でこういう判断をしてしまうのも、ちょっと気が引けるんですけどね‥‥ひと月後にはいよいよ吉井のファーストアルバムが到着します。今のところCD-DAでのリリースみたいですが‥‥CCCDだったら相当凹みます。最終的な判断はそのアルバムを聴いて下すことにします。なので今回はここまで。

  あー、やっぱり俺ってイエモン大好きだったんだなぁ‥‥そんなことをふと思い出させてくれる、そんなシングル。「吉井和哉というソングライター/シンガー」が好きだったのではなくて「THE YELLOW MONKEYの吉井和哉」が好きだったんだなぁ、と。そう気づかせてくれた今回のソロ活動。改めて失ったものの大きさを実感すると同時に、今後起こる「何か」が全く想像つかないだけに‥‥楽しみであるのと同時に、非常に不安なわけですよ。大成功したバンドから独り立ちしてソロになり、マニアックになりすぎて失速するというパターン、過去何度も見てきてるわけですからね。有無を言わせぬ大傑作を期待しております。



▼YOSHII LOVINSON『SWEET CANDY RAIN』
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投稿: 2004 01 15 04:14 午後 [2004年の作品, YELLOW MONKEY, THE, 吉井和哉] | 固定リンク

2004年1月 2日 (金)

松浦亜弥『×3』(2004)

  既に入手してから1週間経つわけですが、実際には2004年1月1日発売作品なんですよね、これ。というわけで、本当に久し振りだ‥‥ハロプロ系のアルバムで、こんなに聴き込んだのは。

  というわけで、松浦亜弥の約1年振り、通算3作目となるオリジナルアルバム「×3」(「トリプル」と読む)。前作「T・W・O」がバラエティに富んだ反面、非常に散漫な内容だったことを考えると、これはある意味対照的な内容なのかな‥‥とにかく、一聴して感じたのは「傑作の予感」。ここ最近の彼女に対し少し疑問を感じていただけに、これは嬉しい誤算。そして‥‥つんく♂よ、まだまだここまで出来るのかお前は!という驚き。たった3枚のシングルを軸にアルバムを構成していくのではなく、あくまで「アルバム用の新曲」が軸となる作品。これは本当に興味深いです。

  さ、能書きはこのくらいにして‥‥恒例の全曲コメントにいきますか‥‥時間もあることですし、たっぷりお楽しみください。


●M-1:GOOD BYE 夏男
  '03年6月リリースの通算10枚目のシングル曲。詳しいレビューはこちら。アルバム1曲目には必ずシングル曲、しかも活きが良い曲を持ってくるハロプロ系ですが、やっぱり今回は‥‥これしかないよな。好き嫌いが非常にハッキリするタイプの曲ですが、彼女の歌はやっぱり凄いと思わされる、パワーゲーム的楽曲。

●M-2:GET UP! ラッパー(松浦 Version)
  '03年7月リリースのシャッフルユニットEPより、松浦が参加したSALT5の楽曲を彼女のソロ・バージョンで収録。原曲レビューはこちら。既に'03年秋ツアーでソロ(とはいっても稲葉貴子とのデュエット形式)で披露してたこの曲、音源として聴いてみると‥‥ちょっと弱い気が。歌い方の問題なんでしょうけど、前曲の力技の後だとどうしても霞んでしまう。楽曲的にはこっちの方が好みなんですけどね。それにしてもこのアルバム、頭2曲でここまでストロングスタイルな作風って、ちょっと異色かな。ちなみにここまでの2曲、お馴染みの鈴木Daichi秀行がアレンジ。

●M-3:可能性の道
  お馴染み河野伸アレンジによる、アルバム用新曲。イントロでのワウがかかったギターといい、クラヴィネットやピアノのフレーズ、そして打ち込みながらも太めのスネアドラムの音とソロパートでのハーモニカっぽいシンセの音色、どれもが自分好み。勿論楽曲的にも‥‥アレンジのせいか、ちょっと黒っぽいポップソングといった印象。例えばスティーヴィー・ワンダーとか、あの辺のポップソング。ファーストアルバム「FIRST KISS」の路線に近いようで実はかなり色合いが異なると思います。だってファーストの頃の彼女だったら、間違いなく歌いこなせてなかったと思うから。

●M-4:ね~え?
  '03年3月リリースの通算9枚目のシングル曲。レビューはこちら。小西康陽アレンジということで、ここにくるといきなりクオリティーがググーンと上がるのは気のせいではないですよね? 松浦のボーカルパフォーマンスもここまでの4曲、どれも違った色合いを見せていて、ちゃんと「歌い分けている」感を味わうことができます。うーん、やっぱりこれ、いい曲だわ。

●M-5:オリジナル人生
  鈴木俊介アレンジによるアルバム用新曲。あーとうとう来たか‥‥というジャズテイストの1曲。当然生バンド(ドラム・ウッドベース・ギター・ピアノ)での演奏。歌と演奏とのぶつかり合い的テイストを強く感じる楽曲で、彼女のボーカルパフォーマンスもなかなかのものだし、曲も悪くない。稲葉によるコーラスもかなり雰囲気出ててカッコイイし‥‥いやー恐れ入った。本当に凄い曲だわこれ。

●M-6:恋してごめんね
  更に続く新曲は、再び河野伸によるアレンジなんですが‥‥うわーっ、前曲での黒っぽいノリをそのまま受け継いだ、ドス黒いファンク・ポップ。爽やかさ以上にドス黒さの方が耳に残る、非常にカッコいいアレンジとメロディーと演奏とボーカル‥‥例えば一時期のTHE STYLE COUNCIL("Wanted" 辺り)なんかを彷彿させるファンキーさ、と言えばお判りいただけますか? ブラスも豪快で気持ちいいし、実はブリブリいってるベースが鈴木Daichi秀行による打ち込みだというのも非常に興味深い。中間部でのつんく♂&松浦によるスキャットも味があって、マル。結局さ、今こういう曲をここまで歌いこなせるのって、松浦しかいないんだよね‥‥改めて彼女の大物振り、そして「異質」感を実感させられましたね。いやー、お見事!

●M-7:THE LAST NIGHT
  ファンキーなノリで盛り上がった後、ここでしっとりと小休止。'03年9月リリースの通算11枚目のシングル曲。レビューはこちら。鈴木俊介アレンジ。アルバムのこの流れで聴くと、本当に盛り上がる。例えば1~2曲目で力技をまざまざと見せつけられ、2~4曲目で煌びやかなポップサイドで和ませ、5~6曲目で演奏と歌が一丸となってビートを刻み盛り上げ、ここでは5~6曲目とは違った形の「歌と演奏」で盛り上げる。ちょっと歌い上げ過ぎかな、という気もするけど、まぁそれも彼女の個性でしょう。好き嫌いは分かれるけど。

●M-8:私と私と私
  ここで再びポップサイドへ。お馴染み高橋諭一によるアルバム用新曲。ちょっと「FIRST KISS」路線に近いアレンジだけど、もっとこっちの方が黒っぽい。基本的に今回のアルバムを聴いて感じるのは、そういった「ブルーズ/ジャズ/R&B」といったブラックミュージックへの、松浦なりの歩み寄り。散漫さが印象的だった前作との違いは、この方向性の統一といった点に大きく表れているのです。同じようなポップソングでも、表現方法次第でこうも変わるんだよ、と言わんばかりに。アルバム用新曲群はとにかく力の入れ具合が半端じゃないこと、聴いてもらうとお判りかと思うんですが‥‥箸休め的ポジションにある楽曲なので軽視されがちかもしれませんが、とにかくこれ、いい曲ですよ。

●M-9:Yeah!めっちゃホリディ(HIGH TUNED mix)
  '02年5月リリースの通算6枚目のシングル曲のリミックス・バージョン。前のアルバムにも収録されていた曲をこういう形で収録するのは、単に曲数稼ぎ/水増しだと思ってたんですが‥‥いやね、これがいいんですよ。リミックスは平田祥一郎の手によるもの。他のハロプロ系だとカン紺藤 "先輩 ~LOVE AGAIN~" やZYX "白いTOKYO" といった楽曲のアレンジの他、実は「SHO-1」名義でメロン記念日の "夏"(「チャンス of LOVE」c/w曲)のアレンジやモーニング娘。の "Do it! Now" のリミックス(「プッチベスト3」収録)等も手掛けてきてる人なんですね(つい最近、同一人物だと知りました。驚きです。だってメチャ好みのアレンジする人だし)。で、そのリミックス。本当に「アリ」なんですよ。ちょっと違うかもしれないけど、アルバムでいうと4曲目の "ね~え?" に近い色合いを持つアレンジなんですね。こういう活かし方もあるんだな、と。全体的な雰囲気を考えると確かに浮いているかもしれませんが、アルバムに華を添えるという役割は十分に果たしているし、単なる「水増し」で終わっていないと思いますよ。ま、リミックスとか苦手な人にとっては全く受け付けない1曲でしょうけどね。

●M-10:涙のわけ
  再びアルバム用新曲に。アレンジはAKIRA。バックトラックやコーラスも全てAKIRAの手によるもの。R&Bテイストのダンサブルな1曲で、例えばBoAとかSPEEDといった辺りの流れを組む楽曲なんだけど‥‥歌詞にドキリとさせられるんですよね、これ。2コーラス目の歌い出し。「モーニング娘。の数の変化や 突然訪れるお天気雨 未来なんて誰もわからないけど」って‥‥こんなデリケートな時期にこんな歌詞を、対抗馬である松浦に歌わすなんて‥‥つんく♂もやるな、と。多分、冷静に聴けない人も多いんじゃないですかね? けどさ‥‥いい曲なのよ、これ。シングルにはならない、どちらかというとシングルのc/wやアルバム用なんだけど、だからこそ活きる曲かな、と。

●M-11:LOVE TRAIN
  そしてアルバム最後を飾るのは、鈴木Daichi秀行アレンジによる新曲。R&Bテイストのスローチューンなんですが‥‥彼が過去手掛けたアレンジの中でもトップ3に入る完成度ではないでしょうか。つうか、それ以上に松浦の歌な。歌うというよりは「囁き」に近い歌唱法。これが曲の切なさ、儚さに合っていて、二重マルなんです。音数が少ないバックトラック、その上で印象的に鳴っているオルガンの音がとにかく印象的。いやー、これは「夜」ですね。特にアルバムラスト2曲は「夜の曲」。R&B系のアルバムでいうところの「後戯」的な楽曲。ホントにこれを夜、ドライブしながら聴くとハマるんですよ(実験済み)。アルバムの中でも個人的にはベストトラックに挙げたい1曲。


●総評
  さて、新鮮早々幸先良いスタートを切れそうな2004年のハロプロ、そして松浦ですが、これ本当に素晴らしいアルバムだと思います。例えばアイドルヲタ以外の、普段J-POPを聴いてるような人にも胸を張ってオススメできる1枚。

  けど、大傑作だった「FIRST KISS」には1~2歩及ばない「傑作」止まりなんですよね、現時点では。何故か? それは‥‥残念ながらアルバムの頭2曲が足を引っ張ってるかな、という気がするんですわ、個人的に。楽曲単体としては好きなんですが、正直このアルバムの作風には合わないような。あとリミックスもね。カラフルさという意味では捨てきれないものがあるんですが、どうしてもこのアルバムの統一感(特にアルバム用新曲6曲の作風)を考えるとね。そこだけがマイナス要因。それ以外の面‥‥例えばつんく♂による楽曲面だとか各アレンジャーによるアレンジだとか、そういったものは全て合格点を軽く越えてると思います。ホント、前作が嘘みたい‥‥

  と、かなり手放しで絶賛しまくるのもアレなんで、もうひとつだけ苦言を。このアルバムをもし「面白くない」と片づけるなら‥‥それは「異物感」の不足、でしょうか。楽曲単位でいくとどれも素晴らしいし、実際絶賛に値するものばかりなんですが‥‥「いい曲」ばかりで「凄い曲」がないんですよね。年末にもこちらで書きましたが、 "そうだ!We're ALIVE" だったり "Yeah!めっちゃホリディ" だったり "さぁ!恋人になろう" みたいな曲がないわけですよ。だから "Yeah!めっちゃホリディ" をリミックスして入れたのかもしれないけど‥‥残念ながらそういった意味でのマジックはこのアルバムには見られません。そこだけかな、本当に惜しいなと思うのは。

  今後、そういったマジックをつんく♂に求めるのは酷なのかもしれないし、もしかしたら本当に彼はそういった「飛び道具」に頼らない『楽曲勝負』を望んでるのかもしれない。だけどさ‥‥要はバランスなわけでしょ? いくらつんく♂が「いい曲」を連発しても、世間的には「凄い曲」の方で認知されてしまっている。その結果がセールス面に如実に表れてる気がするんですが‥‥ま、だからこそこのアルバムには成功を収めて欲しいと願ってるんですけどね。

  最後はネガなことばかり書いてしまいましたが、とにかく良いアルバムなのには違いないです。久し振りにハロプロ系のアルバムでスカッとした作品だったのは確か。是非「普通のJ-POP」として接してみては如何ですか、非ヲタの皆様?



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投稿: 2004 01 02 12:00 午前 [2004年の作品, ハロー!プロジェクト, 松浦亜弥] | 固定リンク