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2005/02/01

「I Love You.」

 1995年2月1日。彼は滞在先のホテルから、忽然と姿を消してしまいました。たった一言、「I LOVE YOU.」というメモを残して。そして10年経った2005年2月1日現在、その生存さえも確認できないまま‥‥とうとう10年もの月日が経ってしまいました。

 リッチー・ジェイムズ・エドワーズ。MANIC STREET PREACHERSの頭脳であり、カリスマであり、象徴であり、そしてある意味では「膿」のような存在でもあった男。バンドのコンセプトや歌詞の大半を手掛け、サイドギターを担当(が、殆ど弾けないに等しい。正直ステージではもう一方のギタリスト兼シンガーのジェイムズ・ディーン・ブラッドフィールドの音量が馬鹿デカかったこともあり、ホントに音が出てたのか疑ってた時期もあったけど、確かに弾いてたんだよね。どうしようもなく下手クソだったけど)。

 彼については「とみぃの宮殿」時代に書いた、MANICS初期作品レビューに詳しく載っているので、そこを改めてご覧ください。とりあえず、それを踏まえた上でこの先を読んでもらいたいので‥‥


   ・「STAY BEAUTIFUL EP」('91)
   ・「GENERATION TERRORISTS」('92)
   ・「STARS AND STRIPES」('92)
   ・「GOLD AGAINST THE SOUL」('93)
   ・「THE HOLY BIBLE」('94)
   ・「EVERYTHING MUST GO」('96)


‥‥このくらいまで読めば十分かな? そう、特に「THE HOLY BIBLE」についてよく読んでくださいね‥‥

 さて。昨年秋にMANICS3年半振り、通算7作目となるオリジナル・アルバム「LIFEBLOOD」がリリースされたばかりですが、それから約1ヶ月後の12月。今から約10年前にリリースされたMANICSのサード・アルバム「THE HOLY BIBLE」のスペシャル・エディション盤が発表されました。所謂「10th Anniversary Edition」ってやつです。最近多いですよね? ま、確かに1994年というのは(何度も言うようだけど)音楽界においていろんな意味でターニングポイントとなった年ですからね。OASISやジェフ・バックリーの作品も10th Anniversary盤が出ましたが、MANICSの場合はちょっと意味合いが違ってくるんですよね‥‥だって、この「THE HOLY BIBLE」を境に全てが変わってしまったんですから‥‥このアルバムを生み出したことで失ったもの/得たものが大き過ぎるんですよ。

 得たもの‥‥それは勿論、続くアルバム「EVERYTHING MUST GO」以降の、国民的大ヒットでしょう。シングルは出せば必ずトップ20入りし、とうとうナンバー1シングルまで生み出してしまう。アルバムも出せば必ず1位(あるいは2位)を記録。ツアーも大盛況で、フェスティバル等ではヘッドライナーも務めた。あの憎まれっ子だったバンドが、イギリスを代表するバンドにまで成長してしまったんですからね。

 と同時に、失ったもの‥‥これは先にも書いたように、リッチーの喪失。彼を失うことで、バンドは(ある意味では)別のものになってしまった。これは間違いない事実なんですよ。既に「3人編成」時代しか知らないファンも多いでしょうけど、間違いなくMANICSというバンドは4人でスタートしたバンドだし、ステージ上には未だにリッチーの居場所(ステージ向かって左側には未だに一人分のスペース)があるんですよね。10年経った今でも‥‥

 今回リリースされた「THE HOLY BIBLE : 10th Anniversary Edition」はCD 2枚組+DVDという3枚組仕様。CDの方は英国盤(及び日本盤)をリマスターしたものに、ライヴテイクを数曲プラスしたディスク1。当時アメリカ用にリミックスしたにも関わらず、結局リッチーの事件があってお蔵入りになっていた「US MIX」版のアルバム+ライヴテイク&ラジオ用音源のディスク2。そしてDVDには当時のテレビ出演時のライヴ映像やレディング、グラストンベリー・フェス出演時の貴重な映像、更には今回新たに制作された "Yes" や "Judge Yr'Self" 等のPV(隠しトラックで "Faster"、"Revol"、"She Is Suffering" のPVも収録)、そして2004年のMANICS 3人が語る「THE HOLY BIBLE」制作時の裏側回想インタビューを含む約90分。濃い。とにかく濃過ぎる内容。初期からのファンなら涙モノの内容だし(リッチーを含む編成に涙し、その一言一言に涙し、そして10年前と今の風貌の違いに涙する)、今しか知らない若いファンには貴重な映像満載になってるはず。

 思えば、リッチー在籍時の映像作品って公式リリースされてないんですよね。PV集のみで。そういう意味で、一番バンドとして脂の乗ってる時期、そして一番混沌としてた時期を捉えた映像集は、何をしてでも手に入れたいものですよ‥‥限定生産だもん、今のうちに買っておかないと、直ぐに廃盤になっちゃうよ?

 さてさて‥‥音源の方については、今更語るべきことはないよね。既に「とみ宮」時代に語り尽くしてるし。ま、ディスク1の方はリマスターによって確かに音がクッキリした印象があるかな。けどもともとザラついた音像が売りの作品なので、これ以上手を加えるのは止めた方がいいかな、と。これを最後にして欲しいな、個人的には。

 そういう意味では、10年間眠り続けていた「US MIX」盤が今回の目玉になるわけですが‥‥これが兎に角凄い、いろんな意味で。あんなに「パンク」な作品が、こんなに正統派ロックアルバムに変わってしまってるんだから。いや、勿論いい意味でね。凄く聴きやすくなってるよね。ドラムやギター、ベースにボーカル。全てのパートの輪郭がクッキリしてて、独立してる。UK盤はそれらが混ざり合ってドロドロした作風だったのに、US盤ではその辺がしっかり整理されて、力強いロックアルバムに進化してる。あー、これ当時出てたらきっとオリジナル盤の方で苦手意識を持った人とか、聴きやすくて喜んだんじゃないかなぁ‥‥って思ったりして。勿論、全部が全部いい方向に作用してるわけじゃなくて、中にはUKミックスの方が優れてる曲もあるのね。その辺はDVDでジェイムズやニッキーが挙げてる曲名に同意です。DVD観る前にCD聴いて、俺も全く同じことを感じてたから。とりあえず、先入観なしでひと通りCDを聴き比べてからDVDを観て、納得してください。

 ‥‥これくらいでいい? とにかく俺にとって「THE HOLY BIBLE」という作品は、自分の生涯においても非常に重要な作品だし、今でも史上最強のロックアルバム・トップ5の上位に君臨してるわけ。その作品について何度も語るっていうのはちょっと‥‥こそばゆいというか、イイものはイイんだから無駄口叩く前に聴けや!とか思ったり、とにかく変な感じなのよ。何だろ‥‥確かに「もっと多くの人に聴いて欲しい!」っていう気持ちがあるのと同時に、あまりこの作品の魅力というか本質的な部分を大勢の人間と共有したくないっていう我が儘な気持ちもあってね‥‥正反対なことを言ってるけど、理解してもらえるのかな‥‥それくらい、自分にとって特別な作品であって、特殊な存在なのよ。

 多分、自分が1994年晩夏に聴いた時の想いを完全に伝えるのは難しいと思うし、それを同じことを感じ取って欲しいとも思わない。だけど、純粋に優れたパンク/ロックンロール・アルバムとして楽しんで欲しい‥‥そういう気持ちはある。無茶苦茶なこと言ってるけどね。要するに‥‥聴いたアナタが判断すればいいことですよ。



▼MANIC STREET PREACHERS「THE HOLY BIBLE : 10th Anniversary Edition」(amazon

投稿: 2005 02 01 01:06 午前 [Manic Street Preachers] | 固定リンク

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