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2005年3月 5日 (土)

JUDAS PRIEST『ANGEL OF RETRIBUTION』(2005)

テレビ東京:新番組「ヘビメタさん」 司会に熊田曜子ら(MSN-Mainichi INTERRACTIVE)

 ヘヴィメタルを愛する者にとって、「ヘビメタ」という呼称は単なる軽蔑語というか、ホントにマイナスのイメージしかないんですよね。それは恐らく‥‥1980年代半ばに放送された某番組に出演した、日本のインディーメタルバンド達(その中には当時まだマイナーだった「X」の姿も)が笑いのネタとされ、例えば「早朝ヘビメタ(寝てる芸能人の前でいきなり演奏して起こす)」「ヘビメタ運動会(文字通り、ステージ衣装のまま普通に運動会)」「ヘビメタ歌合戦(横森正三氏のアコーディオンをバックにメタルシンガーが熱唱)」なんていうコーナーで色モノとして使われ、その奇抜なファッションや、自らをジミーだのポールだのと呼ぶバカっぽさが更に拍車を掛け、世間の笑い者になってたんだよね‥‥(と、遠い目)

 当時高校生だった俺は普通にメタルキッズでしたよ。いや、メタルだけしか聴いてなかったってことはなかったけど、やはり一番好きなジャンルはハードロックやヘヴィメタルだったし。だから、出演するバンド達のやりたい事とかやってる事も理解できたのね。と同時に、それをブラウン管を通して観る事で、如何にそれらが滑稽かってことも理解してて。普通に笑ってたもんな、テレビ観て。勿論魅せ方も上手かったわけだけどさ。

 そんなヘビメタが、深夜とはいえ再び地上波の深夜に帰ってきますよ‥‥15年振りくらいに。まぁテレ東は昔からこういうの、結構やってきてたし、当たるとホントに(カルト的に)面白いの連発してたから、個人的には期待してます。「エアギター勝ち抜きバトル」、楽しそうだなー。

 さてさて。そんな「ヘビメタ」ですが、最新のオリコン・アルバム週間チャートで珍事が発生してます。先頃リリースされたJUDAS PRIESTの約4年振り(オリジナルシンガーであるロブ・ハルフォード参加作としては、'90年の『PAINKILLER』以来、約14年半振り)の新作『ANGEL OF RETRIBUTION』が、チャートのトップ10入りを果たしてしまったのです。勿論、過去にも海外のメタルバンド/ハードロックバンドが日本のオリコンチャートでトップ10入り、あるいは1位を獲得してしまったこともありました。イングヴェイ・マルムスティーンの『FIRE AND ICE』だったり、BON JOVI『THESE DAYS』だったり、MR.BIG『HEY MAN』だったり。しかし、それも全て10年以上も前のお話。21世紀において「ヘビメタ」は単なる時代遅れの“終った”ジャンルだったわけですよ、コア層以外にとって。

 しかし、PRIESTにロブが復帰したことでメディアやファンが大騒ぎし、昨年行われた復活ライヴツアーで見せつけた貫禄振りを伝え聞いたファンが大騒ぎし、今度の新作は出る前から大騒ぎだったわけですよ‥‥曰く、『「PAINKILLER」に続くべきオリジナルアルバムの完成』等々と。

 んで、実際に完成したアルバムを聴いて‥‥非常に懐かしい香りがプンプンして、聴いてるこっちの顔がニヤケてしまう程に首尾一貫の鋼鉄魂を感じさせる作品集だな、と感じたわけです。ただこれ、決して「PAINKILLER」の後に続くような作品集ではないですよね。そこだけは力説しておきます。間違いなく「PAINKILLER」に続くアルバムは「JUGULATOR」であり、「DEMOLITION」なわけですよ。じゃあ今度のアルバムは「DEMOLITION」に続く作品かというと、イエスでもありノーでもあるかな、と。

 イエスというのは一部の楽曲に関して、前作で再び復活したアコースティックを導入した叙情性豊かなスロウソングが今回も取り入れられている点かな。"Angel" や "Eulogy" といった辺りは、そう言えなくもないでしょう。'80年代の作品辺りからこういったスロウソングを聴く機会がめっきり減っていたので、個人的には非常に嬉しいですね(しかもそれをロブの声で聴けるんだから)。

 そしてノーというのは‥‥この作品が単なる「前作の延長線上作品」なのではなく、これまでのJUDAS PRIEST史を総括するような作風だということでしょうか。つまり、単なる「PAINKILLER」以降の続編なのではなく、それらの要素も取り入れつつ、非常にオールドスタイルのPRIESTを現代の手法で再現しようとした、そういう意気込みを感じるわけですよ。もうアルバム1曲目の "Judas Rising" のイントロを聴いた瞬間に俺、てっきり「SIN AFTER SIN」か「STAIND CLASS」でも聴いてるんじゃないか!?って錯覚に陥った程でして。続く "Deal With The Devil" や "Revolution"、"Worth Fighing For" にしたって「BRITISH STEEL」や「SCREAMING FOR VENGEANCE」、「DEFENDERS OF THE FAITH」 といった往年の名作に入ってそうなタイプの曲調であり、アレンジなんですよね。かと思えば現代的な "Demonizer" や "Hellrider" みたいな曲もあり、ちょっと往年のBLACK SABBATHLED ZEPPELINをPRIEST風様式美に仕上げた13分以上もある超大作 "Lochness" もある‥‥古くからPRIESTに慣れ親しんできた身からすれば、こんな作品は本当に久し振りなわけですよ‥‥リアルタイムで最初に聴いたアルバムが「DEFENDERS OF THE FAITH」だったんですね、俺。だから未だに一番好きなPRIESTのアルバムはこれで(そう、いくら「PAINKILLER」に当時衝撃を受けたからといっても、これを越えることはないですね、俺の中で)、20年経ってようやくあそこに再び戻ってきたような感じなんですよね、この「ANGEL OF RETRIBUTION」を聴いてると。

 多分「PAINKILLER」辺りから入った子、それ以降しかしらない子、あるいはリアルタイムで初めて「ロブのいるPRIEST」を体験する若い子達からすれば、これはつまらない、聴き所の少ない退屈な作品なのかもしれないけど、この作品こそが約40年近くに渡るブリティッシュ・ハードロック/ブリティッシュ・メタルの集大成のひとつなんですよ。奥義ですよもはや。それくらい言い切っちゃってもいいと思うよ。ここまで真正面からぶつかってこないでしょ、SABBATHもリッチー・ブラックモアも。かろうじてIRON MAIDENが頑張ってるくらいか。けど、まだPRIESTの域にまでは達してないよね。

 決して過去最高の傑作とは言い難いけどさ、俺はこれ大好きですよ。久し振りにヘヴィメタルのアルバムを聴いて「あーメタルってやっぱいいなー」って思えたもん。最近、こんな純粋なメタルの新譜を聴いてなかったから(何を聴いてもどこかモダンヘヴィネスだったりその辺の影響が垣間みれたし)、余計に新鮮なんだよね。これ、アメリカでも売れるといいねー。いや、売れるでしょう、世が世だしさ!



▼JUDAS PRIEST『ANGEL OF RETRIBUTION』
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投稿: 2005 03 05 12:00 午前 [2005年の作品, Judas Priest] | 固定リンク