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2005/06/17

HANOI ROCKS『ANOTHER HOSTILE TAKEOVER』(2005)

 さて、狂乱のHANOI ROCKS来日ツアーから約1ヶ月が経ちましたが、世のロケンロー馬鹿の皆様如何お過ごしでしょうか?

 今年前半にリリースされた名作群の中でも、やはり個人的な思い入れでいったら一番の作品はこの再生HANOI ROCKSの2ndアルバムとなる(通算では6作目のオリジナル・フルアルバム)「ANOTHER HOSTILE TAKEOVER」リリースから早くも3ヶ月が経とうとしてます。このアルバム、リリース当時から気に入ってたのは当然ですが、実は聴き込めば聴き込む程にその魅力が増していくという、正しくスルメのような「噛めば噛む程味が出る」1枚なわけですよ。

 前作「TWELVE SHOTS ON THE ROCKS」は元々マイケル・モンローのソロアルバム用マテリアルを元に制作がスタートしていたため、アンディ・マッコイの曲(及びマイケル&アンディの共作曲)が少なく、結果として非常に「マイケルのソロに近い」作風となっていましたが、この新作では殆どの曲をマイケル&アンディの共作で手掛け、プロデュースも前作同様この2人(所謂「THE MUDDY TWINS」)が手掛けているんですね。

 さて、その新作の出来はというと‥‥

 これがもうね、改心の1作!‥‥とまではいかないものの、これはこれで大満足な1枚に仕上がってるんですよ。なんていうか、'80年代のHANOI ROCKSが持ち得た「B級臭」が前作以上に濃くなってるというか。いや、これは退化とかではなくて、深化と呼びたい。

 HANOI ROCKS最大の魅力って、パンクでもハードロックでもない、一種独特な音楽性じゃないですか。っていうのは言い過ぎ? そりゃルックスやファッションも当然魅力的ですよ。けど、彼等がここまでカルト的な人気を世界的に得られたのは、間違いなく楽曲によるものが大きいはずなんですよ。時代的影響なのか、ルーズなロックンロールのみならず、パンクやハードロック、更にはニューウェーブといった様々なジャンルを全て呑み込み、HANOI ROCKS(というか、アンディ・マッコイというソングライター)というフィルターを通すことで一種異様で独特なロックンロールに生まれ変わる。最初はルックスから彼等に入っていった俺が20年以上も彼等に接していられるのは、こういった楽曲によるものが大きいんですよ。

 HANOI解散後、アンディはいろいろやるも鳴かず飛ばず、フロントマンに恵まれない20年間だったといえます。一方のマイケルも過去の盟友と共にバンドやったり、アメリカで派手なロックンロール/ハードロックを体現していたものの、気づいたら地元・ヘルシンキに戻って再びB級っぽいパンクやってるし。結局この人達には似合わないんですよ、ハリウッド的な音楽は。

 紆余曲折あり、奇跡の再生(not「再結成」)を果たし、最初はライヴで唸らせて、続けてアルバムをリリース‥‥古くからのファンからは不評だった前作ですが、今度のアルバムはどうでしょう。俺、今度のアルバムの方が数百倍好きだよ、前作より。勿論前作も好きだけどさ、HANOI ROCKSとして考えると‥‥こっちの方が「らしい」よね、独自の「ユルさ」が復活してるし。

 勿論前作に入ってたようなタフでハードな曲もある。先行シングルとなった "Back In Yer Face" なんて正にそれだし。けど、アレンジ面含めて前作にはなかった要素もあって‥‥ヘンテコな展開するよね、途中で。コーラスも前作以上に「如何にも」な感じだし。"Talk To The Hand" なんてマイケルのソロ‥‥ていうか、JERUSALEM SLIM的な1曲だよね。でも、こうやって聴くと非常にHANOIっぽい。何でだろう?

 兎に角好きな曲が多い。最近俺がDJやる時には必ずかける "Love" とか、アンディのフラメンコ風ギターに思わず唸る "Eternal Optimist"、独特な泣きメロを持つ "You Make The Earth Move" や "No Compromise, No Regrets"(これのみマイケル&アンディじゃなか)、初の本格的レゲエ・ナンバー "Reggae Rocker"‥‥これを「昔のHANOIと違う」って切り捨てちゃうの? それ違うんじゃね? 明らかに「続いてる」じゃん、「TWO STEPS FROM THE MOVE」から‥‥これ、前作のレビューの時にも書いたけど、マイケルとアンディはただ単に再結成して過去の焼き直しをしたいわけじゃなくて、終った地点から続けたかったんじゃないかな、と。ま、こういう曲しか書けないんだと言い切ってしまえばそれまでだけど。でもね、やっぱりバンドとして「HANOI ROCKS」という重みのある看板を背負う以上、下手なことは出来ないじゃない。ファンも納得しないだろうし、単なる懐メロバンドだったら。

 年相応の成長と深みを見せつつも、それまでになかった要素も取り込む‥‥それすら必然なわけですよ、HANOI ROCKSという名前で活動する以上はね。俺は全肯定しますよ、2005年のHANOI ROCKSを。うだうだいう年寄り、臭食らえッスよ! ROCK LIKE FUCKッスよ!

 そして今夜も、アルバムは2巡、3巡と繰り返されるのです‥‥ホント、いいアルバムですよこれ。



▼HANOI ROCKS「ANOTHER HOSTILE TAKEOVER」
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投稿: 2005 06 17 06:00 午前 [2005年の作品, Hanoi Rocks] | 固定リンク

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