COLDPLAY『X&Y』(2005)
まず始めに断っておくけど、俺はこれまでCOLDPLAYがそんなに好きではなかった。いやむしろ、無駄にメソメソしやがって的要素‥‥所謂「膝抱えて系UKロック」全般がどうにも許せないタイプなもんで、1stや2ndがね‥‥どうにも苦手だったわけ。両方共アルバムを買って、ちゃんと聴き込んだ結果、自分にはちょっと合わないなーと思ってたのね。だからサマソニ初年度の時も、数年前のフジロックの時も「別に俺が観なくても‥‥」って思ってスルーしてたし。
何だろ‥‥決してUKロックは好きだし、そういう苦悩系サウンドも大好きなんだけど、上に挙げたような「ただ悩んでるだけ/ただ膝抱えてるだけで前進しようとしない」路線がどうにもね。RADIOHEADの成功以降、ホントに多かったでしょ、そういうバンドが。けど先駆者であるRADIOHEADが他と違ったのは、やっぱり突き抜け方であったり精神性だったり、ただ弱々しいだけではなくてそれをひとつの要素として用いて、実はもの凄くタフだったって点なんだよね。だから彼等はここまで世界的に成功することができたし、そんな中だからこそ未だに "Creep" が効力を保っていられたわけ。リリースから12年以上経った現在においても、その楽曲のパワーには衰えが感じられないでしょ?
俺はCOLDPLAYもその類‥‥所謂「One of THEM」だと思ってたのね。確かに楽曲は優れてたけど、何だろ、この無駄に感情的な楽曲は!?って、ずっと違和感を感じてて。それはもう、単純に趣味じゃなかったんだろうね。
グラミー賞も受賞して、今や世界的にRADIOHEADクラスへと押し上げられてしまったCOLDPLAY。待望の3rdアルバムがリリースされ、イギリスのみならずアメリカでも初登場1位を記録、しかも3週連続で1位を維持しちゃったりして。日本でもCCCDながら大健闘したこの作品、US盤(非CCCD)のリリースと共に購入したんだけど‥‥
何だろう、これ!? 何でいきなりこんなに「タフ」になっちゃったの?ってくらいに自信に満ちあふれたサウンドが詰まった1枚なわけよ。あーバンドが昇り調子の時に、本当にいい状態で制作に臨めたんだろうなぁ、と思わずにはいられない楽曲群、そしてその名曲の数々を見事に盛り上げている演奏と歌。前作までだったら絶対に「やりすぎ!」とか嫌悪感さえ感じてたかもしれないのに、ここでは「これじゃなきゃいけない」という絶対的なものを強く感じさせてる。例えが悪いかもしれないけど‥‥RADIOHEADが「OK COMPUTER」に辿り着いた時、U2が「THE JOSHUA TREE」に辿り着いた時、RED HOT CHILI PEPPERSが「CALIFORNICATION」に、R.E.M.が「OUT OF TIME」にそれぞれ辿り着いた時と同じような「絶頂感のスナップショット」みたいな作品に仕上がってるわけ。これは悪いわけないわ。有無を言わさぬ説得力があるもの。
どっちかっていうと後半に従来の路線(というか我々が認識している「COLDPLAYらしさ」)が色濃く表れ、前半は‥‥よりエスカレートし、尚かつ歯止めが効かなくなったバンドの特性が良い方向に爆発した、非常に素晴らしい楽曲が集中してる。勿論どっちも素晴らしく、一概には比較できないよ。エモだとかUKロックだとかブリットポップだとか、そんなカテゴライズはどうでもよい、いよいよ「COLDPLAYの音」を完全に掴み取ったような‥‥って言い過ぎか。
うん、これが売れるのは凄く理解できるよ。前作までが何となく「特定の層/人間に向けて放たれた」楽曲だとすると、今度のアルバムの曲はもっと目線を遠くに向けた、「不特定多数に向けて無闇矢鱈と放たれた、ある意味で持て余し気味のパワー」と呼んだ方がいいかもしれない。そのくらい各曲から伝わるものがある。
あーこりゃ、もしかしたらライヴ観なきゃいけないかもしれないなぁ‥‥でもTHE POGUES辺りと被ってるんだよな、フジロック。このバンドがTHE MUSICやFOO FIGHTERSに挟まれても全然負け劣りしないのは確かでしょう。このアルバムがあればね‥‥これが苗場の山々に響いちゃうのか‥‥
« Mr.Children『四次元 Four Dimensions』(2005) | トップページ | L'Arc-en-Ciel『AWAKE』(2005) »
「2005年の作品」カテゴリの記事
- THE TEARS『HERE COME THE TEARS』(2005)(2024.06.04)
- DEPECHE MODE『PLAYING THE ANGEL』(2005)(2023.02.26)
- DISTURBED『TEN THOUSAND FISTS』(2005)(2022.05.27)
- HARDCORE SUPERSTAR『HARDCORE SUPERSTAR』(2005)(2022.05.05)
- ブライアン・アダムスのベストアルバムを総括する(2022年版)(2022.03.12)
「Coldplay」カテゴリの記事
- 2002年4月〜2003年3月発売の洋楽アルバム20選(2023.01.09)
- 祝ご成人(2000年4月〜2001年3月発売の洋楽アルバム20選)(2021.01.03)
- MY BEST OF 2008(2008.12.31)
- COLDPLAY『A HEAD FULL OF DREAMS』(2015)(2015.12.04)
- COLDPLAY『X&Y』(2005)(2005.07.21)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: COLDPLAY『X&Y』(2005):
» <Coldplay 「X&Y」> 対話を求める音 [本日の一枚。音楽についてヒトリごと。]
これ程わかりやすくて、これ程わかりにくい音楽もそうはないだろう。
Coldplayの新作「X&Y」。
かれこれ2週間ほどこのアルバムを聴き続けている。気に入ったからではない。理解したかったから。
最初のうちは、こんな音は自分に必要ないと思った。
ココロに何....... [続きを読む]
« Mr.Children『四次元 Four Dimensions』(2005) | トップページ | L'Arc-en-Ciel『AWAKE』(2005) »

こんにちは。いつも愛読させていただいております。
特に"寝る前にこれ聴け"シリーズは、同時代のHR/HMを通過してきた身に、あまりにノスタルジックに迫ります(笑)。
Coldplayの新作、私も意外にも入れ込んでしまいました。
おっしゃられているように、伝わるものが大きく、聴いているうちに掻き立てられる何かがあります。何度も聞き返したくなるような咀嚼度も高いですね。
というワケでTBさせていただきました。
またお邪魔させていただきますね。
投稿: loaded | 2005年7月24日 (日) 22:45
はじめまして。COLDPLAYを検索していましてこちらに辿りつきました。同じツボではと思い、うちのバンドの音源聴いていただきたく書き込みいたしました。ぜひとも感想聞かせてください。www.sound.jp/blindplace
投稿: Hiroshi | 2005年9月14日 (水) 15:14