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2005年9月19日 (月)

BON JOVI『HAVE A NICE DAY』(2005)

BON JOVIの約3年振り、通算9作目となるオリジナルアルバム『HAVE A NICE DAY』がいよいよリリースされました。先行シングル「Have A Nice Day」は8月初旬からiTunes Music Store Japanにて先行配信されていたので俺はそっちで購入していたんだけど、今月に入って店頭に並んだCDシングルの方も売れに売れまくり、気づいたら日本のオリコン・シングルチャートに初のトップ10入りを果たしてしまう程のヒットを記録したのでした。まぁこっちはいろんな要因があると思うのですが(500円という「ワンコイン・シングル」が功を奏したり、等)、兎に角今BON JOVIというバンドが何度目かのピークを迎えようとしていることには違いないと思います。そしてそのピークを支えるのが、自分みたいな「'80年代の全盛期」を支えてきたオールドファンではなく、「It's My Life」以降‥‥下手をしたらつい最、それこそ「Have A Nice Day」を聴いてファンになったような若い子達だという事実。このバンドの凄みは、そういった所にあるんじゃないか、とここ数年は常に感心しています。

3年振りとはいうものの、実は彼等に対しての飢餓感みたいなものは全くなかったんですよね。というのも前作『BOUNCE』(2002年)以降、毎年BON JOVIは音源をリリースしてきてたんですよ。2003年秋には過去のヒット曲をアコースティックでリアレンジした企画盤『THIS LEFT FEELS RIGHT』、そして2004年秋にはバンドのデビュー20周年を記念する4CD+DVD(日本盤は更にCDがもう1枚付いた)ボックスセット『100,000,000 BON JOVI FANS CAN'T BE WRONG』もリリース。更に前者リリース後には、そのアルバムリリース時に行われた特別ライヴを収録したDVD『THIS LEFT FEELS RIGHT LIVE』も出てるし‥‥昔みたいに全く音沙汰なしな期間がゼロだったんですよ、今回。というよりも『CRUSH』(2000年)以降は毎年何かしらの音源/DVDをリリースしてるんですよね、BON JOVIって。そこが凄いというか‥‥

さ、前振りはこの程度にして、このアルバムの魅力について語りますか‥‥

この『HAVE A NICE DAY』、実は今年の春にはリリースされる予定だったという話は既にいろんな所で語られていることだし、実際昨年末のボックスセットリリース時のインタビューでもジョン・ボン・ジョヴィ本人がそう語っていたので、そりゃみんな驚いたよねぇ‥‥へっ、ボックスセットのことしか考えてなかったから、心の準備が‥‥みたいなさ。ところが、実際には曲の追加&差し替え、更に煮詰めたりして、最終的なリリースはそこから更に半年ずれた秋口になってしまったという‥‥ま、それでも全然遅過ぎる!とか思わなかったけどね。むしろ春先に出ると信じたファンからすると、この半年の遅延のお陰でこのアルバムに対する期待感が更に高まったんじゃないかな?

んで、実際我々の手元に届いたこのアルバム、もの凄い傑作に仕上がってるじゃないですか! いや、何かここまで褒めるのもシャクなんだけど‥‥ホント貶しどころがない。BON JOVIのアルバムって(過去にも何度も書いてるけど)前半気合い入れ過ぎて、後半ちょっと散漫になりがちだったんだけど(それって名作『NEW JERSEY』(1988年)からずっとそうだったような気がする)、それも『CRUSH』あたりから解消されてきてたんだけど、特にここ2作のアルバムって最高に良い曲が揃ってるんだけど、すごく隙のない作風になってたのね。悪く言えば(勿論悪いとは思ってないんだけど)作り込み過ぎ、というか‥‥それっていうのはその当時のバンドを取り巻く状況だったりジョン自身の精神状態だったり、そして当時の情勢みたいなものも大きく影響してたんだろうなぁ‥‥特に『BOUNCE』にはそれが色濃く表れてるしね。

でも、今回アルバムは‥‥確かに昨年のアメリカ大統領選を意識した内容になってるとはジョン本人も語っているけど‥‥もっと肩の力が抜けた、良い意味で「ラフ」なアルバムなんだよね。だけど、キメるところはしっかりキメてるし、どこからどう聴いてもBON JOVI以外の何ものでもない。シングル曲「Have A Nice Day」でしっかり聴き手の心を掴んでおいて、これもBON JOVI以外の何ものでもない「I Want To Be Loved」ときて、アーシーなアコースティックバラード「Welcome To Wherever You Are」へと流れていく。その後はユルいアメリカンロックあり、ハードロッキンなナンバーあり、ゆったりしたバラードあり‥‥だけど後半5曲はただひたすら疾走するロックンロールナンバーが続いて、最後の最後に(兎に角歌詞が素晴らしい)名曲「Story Of My Life」へと辿り着く。凄く完璧な流れだし、捨て曲も1曲たりとも存在しない。凄いというしかないよ‥‥しかも良い意味で「作り込まれてない」から、そんな完璧な流れであろうと緊張感や緊迫感を伴うこともなく、すんなりと最後まで聴けてしまう。先に書いた『肩の力が抜けた、良い意味で「ラフ」なアルバム』とは、正にこういうことを言うんだよなぁ‥‥という、ホントに素晴らしい作品なわけよ。

‥‥ってここまで書いたら、もう他に書くことないんだよなぁ。そうそう、「ラフ」っていうのは、例えばこれまでのBON JOVI作品の肝のひとつであったキーボード、今回はその比率が低くて本当にギターが前面に出まくってるんだよね。曲によっては殆どキーボードが聴こえない曲もあるくらい。多分そういった「ギターアルバム」的な作風に仕上がったことも、「ラフ」に聴こえる要因なのかもしれないね。で、リッチー・サンボラもソロやバッキング含め、相当気合い入れて頑張ったんだろうなぁ‥‥というのが手に取るように判るんだよね。しかもそれを聴き手にスラッと聴かせてしまう辺りも改めて凄いというか。日本盤ボーナストラックとなった3曲(当初アルバムに入る予定だったが、最終的には差し替えられてしまった4曲の内の3曲)と聴き比べれば、作風然りギタープレイ然り、その違いの大きさに驚くんじゃないかな‥‥多分この春にアルバムが出てたなら、間違いなく過去2作と同系統の作品で終ってたと思う。でも、そこから更に踏ん張ったから、そこから更に数歩進んだ、ある意味では最も『THESE DAYS』(1995年)に近づいた、良い意味であのアルバムと近作の中間に位置するフラットでアーシーで親しみやすい作品に仕上がったんじゃないかな、と。

俺の同世代の奴らもそうだけど、未だにBON JOVIというと「Livin' On A Prayer」や「Bad Medicine」といった曲名を挙げたり、そういった産業ロック臭が苦手だというんだよね。でもさ、ここ10年のBON JOVIっていうのは自身のルーツにとても忠実で、それこそライヴじゃ'50〜'60年代のソウルやR&Bの名曲をカバーしてきてるし、アルバム自体もブルース・スプリングスティーン化がどんどん進んでるし。要するにどんどん「ナチュラルなアメリカン・ロック」へと昇華してるわけですよ。先の『THESE DAYS』ではそれをやり過ぎてしまった感があったけど、今回のアルバムは従来のファンも、そしてこれまでそういう風に敬遠してきたロックファンとを繋ぐ橋渡し的1枚になったんじゃないかな‥‥そう信じて疑いません。

とにかく、こんな素晴らしいアルバムをみすみすスルーしてしまうなんて、愚か者のすることですよ。絶対に聴け!

 


▼BON JOVI『HAVE A NICE DAY』
(amazon:日本盤DVD付日本盤US盤

 

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