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2005年11月 1日 (火)

QUEEN『A KIND OF MAGIC』(1986)

 QUEENで一番思い入れのあるアルバム、一番よく聴いたアルバム、一番完成度の高いアルバム‥‥人によってそれぞれ異なるんだろうけど、こと時期によって音楽性が異なるQUEENのようなバンドの場合、それぞれに意外なアルバムが挙がることが多いんじゃないかな。

 例えば‥‥一般的には駄作と呼ばれるような「HOT SPACE」だって、見方を変えれば非常に魅力的に映るし、世間的には傑作呼ばわりされている「A NIGHT AT THE OPERA」だって、ある人にとっては別にどうってことのない1枚かもしれない。「そんなの個人の価値観や趣味の違いじゃん」と言ってしまえばそれまでだけどね。

 この「A KIND OF MAGIC」というアルバムは前作「THE WORKS」の流れを汲む、通算11作目のオリジナルアルバム。元々は映画「ハイランダー」のサントラ的作品として、収録曲全9曲中6曲が映画に使われていて、更にアルバム制作前に既出だった "One Vision" も映画「アイアン・イーグル」主題歌としてヒットを飛ばしてる、非常に『映画づいた』作品集だったりします。そういうこともあって、人によってはオリジナルアルバムと見なさない人もいるし、そういった要素が災いして「完成度が低い」「内容が散漫、統一性がない」という人もいます。が、元々QUEENって1枚のアルバムにいろんなジャンルの音楽、いろんなタイプの楽曲を詰め込むバンドだったんじゃないの? 特に世間一般で名盤と認識されている「A NIGHT AT THE OPERA」なんて、その代表例じゃないの。

 楽曲のタイプは、「HOT SPACE」〜「THE WORKS」の流れにあるものが多く、シングルヒット予備軍的コンパクトでポップなナンバーが数多く収められています。特にこのアルバムではソングライターとしてジョン・ディーコンが大活躍していて、名バラード "One Year Of Love" や "Friends Will Be Friends" といった楽曲のみならず、ファンキーでポップな "Pain Is So Close To Pleasure" にもフレディ・マーキュリーと共に名を連ねています。またロジャー・テイラーもタイトルナンバー "A Kind Of Magic" というその後の彼等の代表曲のひとつを生み出しているし、ブライアン・メイは壮大なバラード "Who Wants To Live Forever" と、ヘヴィなギターが冴える "Gimme The Prize" を手掛け、フレディは先の "Pain Is〜" と "Friends〜" をジョンと共作し、単独では初期の疾走感&ヘヴィさを持つハードロックチューン "Princes Of The Universe" を手掛けています。創作面では非常に良いバランスで4者4様な楽曲を書き、それを1枚のアルバムに纏めた‥‥ある意味で最もQUEENらしい手法で製作され、その結果『'80年代のQUEENの指針』となる作品を完成させたのですから、さすがとしか言いようがありません。

 と、何でここまでこのアルバムをベタ褒めするかというと、俺このアルバムが大好きなんですよ。恐らくQUEENのアルバムで最も聴き込んだ、回数聴いたアルバムじゃないかな、「GREATEST HITS」を除くと。リアルタイムだと丁度中3くらいだったのかな。その頃はそんなに好きってわけでもなく、『QUEENのアルバム』というよりは単純に『当時ヒットしたアルバム』という認識で耳にしていてたのね。だって、その頃の俺は「QUEEN、イコール、"Bohemian Rhapsody"」みたいな固定観念があったし、ああいうクラシカルなサウンドこそQUEENって雑誌の受け売りで刷り込まれてたから。だから「これは同じバンド名だけど違うバンドのアルバム」くらいの気持ちで接してたんだよね、ガキのくせに生意気にさ。クソだ、終ったとか言いながらも、曲の良さ/ポップさには敵わず、気づくと口ずさんでる‥‥そんなアルバムが「A KIND OF MAGIC」だったのね。

 その後、俺は素直に『リアルタイムのQUEEN』と対峙できるようになるのは、更に5年くらい経った、それこそフレディの余命が数ヶ月というような時期なんだけどね‥‥

 変な固定観念がなくなった今、まぁ今は逆にQUEENを愛し過ぎていてどのアルバムにも愛着が湧いちゃって冷静な判断ができないような立場なんだけどさ。それでも俺の中ではこのアルバム、5本指に入る程好きなアルバムなんだよなぁ。"Who Wants To Live Forever" で泣いて、"Princes Of The Universe" で拳を天に掲げる、みたいなね。「HOT SPACE」以降に試してたことがここで一旦完結しちゃうんだよね。それをライヴという形で表現することができた、間に合っただけでも、このアルバムはまだ救われてると思いますよ。

 斜に構えて判った振りをしてたガキの頃を思い出させる、そんな1枚ですよ。甘酸っぱい、懐かしくて恥ずかしい思い出の詰まった作品、それが俺にとっての「A KIND OF MAGIC」です。



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投稿: 2005 11 01 12:34 午前 [1986年の作品, Queen] | 固定リンク

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