« QUEEN + PAUL RODGERS@横浜アリーナ(10/30) | トップページ | AEROSMITH『ROCKIN' THE JOINT』(2005) »

2005年11月 1日 (火)

QUEEN『A KIND OF MAGIC』(1986)

QUEENで一番思い入れのあるアルバム、一番よく聴いたアルバム、一番完成度の高いアルバム……人によってそれぞれ異なるんだろうけど、時期によって音楽性が異なるQUEENのようなバンドの場合、それぞれに意外なアルバムが挙がることが多いんじゃないかな。

例えば、一般的には駄作と呼ばれるような『HOT SPACE』(1982年)だって見方を変えれば非常に魅力的に映るし、世間的には傑作呼ばわりされている『A NIGHT AT THE OPERA』(1975年)だってある人にとっては別にどうってことのない1枚かもしれない。「そんなの個人の価値観や趣味の違いじゃん」と言ってしまえばそれまでだけどね。

この『A KIND OF MAGIC』というアルバムは前作『THE WORKS』(1984年)の流れを汲む、通算12作目のオリジナルアルバム。もともとは映画『ハイランダー』のサントラ的作品として全9曲中6曲が映画に使われていて、さらにアルバム制作前に既出だった「One Vision」も映画『アイアン・イーグル』主題歌としてヒットを飛ばしている、非常に“映画づいた”作品集だったりします。そういうこともあって、人によってはオリジナルアルバムと見なさない人もいるし、この要素が災いして「完成度が低い」「内容が散漫、統一性がない」なんていう人もいます。が、もともとQUEENって1枚のアルバムにいろんなジャンルの音楽、いろんなタイプの楽曲を詰め込むバンドだったんじゃないの? 特に世間一般で名盤と認識されている『A NIGHT AT THE OPERA』なんて、その代表例じゃない。

楽曲のタイプは、『HOT SPACE』〜『THE WORKS』の流れにあるものが多く、シングルヒット予備軍的コンパクトでポップなナンバーが数多く収められています。特にこのアルバムではソングライターとしてジョン・ディーコンが大活躍していて、名バラード「One Year Of Love」や「Friends Will Be Friends」といった楽曲のみならず、ファンキーでポップな「Pain Is So Close To Pleasure」にもフレディ・マーキュリーと共に名を連ねています。

また、ロジャー・テイラーもタイトルナンバー「A Kind Of Magic」 という、その後の彼らの代表曲のひとつを生み出しているし、ブライアン・メイは壮大なバラード「Who Wants To Live Forever」と、ヘヴィなギターが冴える「Gimme The Prize」を手掛け、フレディは先の「Pain Is〜」と「Friends〜」をジョンと共作。単独では初期の疾走感&ヘヴィさを持つハードロックチューン「Princes Of The Universe」を手掛けています。創作面では非常に良いバランスで4者4様な楽曲を書き、それを1枚のアルバムにまとめた、ある意味でもっともQUEENらしい手法で制作され、その結果“80年代のQUEENの指針”となる作品を完成させたのですから、さすがとしか言いようがありません。

と、何でここまでこのアルバムをベタ褒めするかというと僕、このアルバムが大好きなんですよ。恐らくQUEENのアルバムでもっとも聴き込んだ、回数聴いたアルバムじゃないかな、『GREATEST HITS』を除くと。リアルタイムだと丁度中3くらいだったのかな。その頃はそこまで夢中ってわけでもなく、“QUEENのニューアルバム”というよりは単純に“当時ヒットしたアルバム”という認識で耳にしていてたのね。だって、その頃の僕にはすでに“QUEEN=「Bohemian Rhapsody」”みたいな固定観念があったし、“ああいうクラシカルなサウンドこそQUEEN”って雑誌の受け売りが刷り込まれていたから、「これは同じバンド名だけど違うバンドのアルバム」くらいの気持ちで接していたんだよね、ガキのくせに生意気にさ。「クソだ、終った」とか言いながらも、曲の良さ/ポップさには敵わず、気づくと口ずさんでる、そんなアルバムが『A KIND OF MAGIC』だったんです。

その後、僕が素直に“リアルタイムのQUEEN”と対峙できるようになるのは、さらに5年くらい経った、それこそフレディの余命が数ヶ月というような時期なんだけどね……。

変な固定観念がなくなった今、まぁ今は逆にQUEENを愛し過ぎていてどのアルバムにも愛着が湧いちゃって、冷静な判断ができないような立場なんだけど。それでも僕の中ではこのアルバム、5本指に入るほどに好きなアルバムなんだよね。「Who Wants To Live Forever」で泣いて、「Princes Of The Universe」で拳を天に掲げる、みたいな。『HOT SPACE』以降に試していたことが、ここで一旦完結しちゃうわけです。それをライヴという形で表現することができた、間に合っただけでも、このアルバムはまだ救われてると思います。

斜に構えてわかった振りをしてたガキの頃を思い出させる、そんな1枚。甘酸っぱい、懐かしくて恥ずかしい思い出の詰まった作品、それが僕にとっての『A KIND OF MAGIC』です。



▼QUEEN『A KIND OF MAGIC』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2005 11 01 12:34 午前 [1986年の作品, Queen] | 固定リンク