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2005/12/19

LOST IN TIME『時計』(2005)

 LOST IN TIMEの1年5ヶ月振り、通算3作目のオリジナルアルバム「時計」は、過去2作と比較しても最も穏やかで、最も人肌に近い温もりを持ち、最も自然に鳴っているアルバムに仕上がってます。この1年半に彼らが経た成長の数々は、実際にそのステージを観ればお判りいただけると思いますが、それが見事に『形』としてこのアルバムに表れているのではないでしょうか。

 このアルバムが過去の2枚と比べ、また実際のライヴでの彼らと比較すれば非常に落ち着いた作風で、実際「ライヴでの良さが上手く生かされていない」という声をファンの間からよく聞きます。実際、俺も初めてこのアルバムを聴かせてもらった時、そういった印象を持ちました。何て言うか、非常に小さくまとまってしまっているような‥‥そんな気が。けど違ったんですよ。

 12/18に新宿厚生年金会館で行われたワンマンライヴで、このアルバム収録曲を、アルバムと全く同じ楽器編成で演奏したんですね。曲によってはベーシストやキーボードのサポートを入れたりして、可能な限りアルバムのサウンドに近いサウンドでこのアルバムの曲を表現しようとした。ポイントはここにあるんじゃないかな、と思うんです。

 ライヴを中心に活動し、そこで生まれていった楽曲達をレコーディングして制作された1枚目や2枚目のアルバム。リリースを重ねる毎に彼等なりの成長が伺えるわけですが、この3枚目に関しては楽曲自体はライヴ先行で発表されてきたものの、それをいざレコーディングしようとした時に、良い意味での「ミュージシャンとしての拘り」が生じていき、スタジオワークならではの試行錯誤を繰り返したのかな‥‥非常に練られたアレンジを耳にするに連れ、そういったことが脳裏を過るのです。特に彼等のようなトリオバンドの場合、どうしてもそういったアンサンブルに対する拘りが作品を重ねる度に高じていくのは至極自然なことだと思うんですね。

 方向性に関してはファンそれぞれに思うところあるでしょうし、勿論俺の中にも「こうであって欲しい」みたいな思いはありますが、ああいうライヴ(12/18の厚生年金会館)を観てしまった後となると、このアルバムはまた違った聴こえ方をしてくるし、それまで見えて(聴こえて)いなかった面(音)が改めて顔を出したりして、非常に興味深く楽しむことができます。元々このアルバムはスルメ的要素が強い1枚だと思うんですが、その思いは更に強くなりましたね、自分の中で。

 ライヴを経て成長していった楽曲が、レコーディングで練られることで新たに生まれ変わり、更にライヴを繰り返すことでまた新たな地平へと辿り着く。このアルバムの楽曲達は今後もっと違った色を放っていくだろうし、このアルバムもツアーが終わる頃にはまた違った評価を受けるようになる‥‥そういう気がしますね。作り手の人柄がダイレクトに伝わる、こういう時期だからこそ浸りたい音が詰まった、非常に人間臭いアルバム。今年はこのバンド(のライヴ)に出会えたことが、非常に大きな収穫だったと思います。これを読んで興味を持った人、是非アルバムを聴いて、また機会があったら是非ライヴも観てください。ふたつ合わせて初めて「LOST IN TIMEというバンド」が理解できるはずですから。



▼LOST IN TIME「時計」(amazon

投稿: 2005 12 19 02:15 午前 [2005年の作品, LOST IN TIME] | 固定リンク

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