HOOBASTANK『EVERY MAN FOR HIMSELF』(2006)
HOOBASTANKの通算3作目のアルバム「EVERY MAN FOR HIMSELF」は、バカ売れした前作「THE REASON」から約2年半ぶりに発表される作品集という以上に、ベースのマーク脱退後初の作品という意味で注目される1枚なのかもしれません。全米第2位を記録したシングル "The Reason" で完全にブレイクした感の強い彼らですが、果たして新しいアルバムではどういった方向性を押し進めるのか、そしてメンバーチェンジはその音楽に影響するのか。このアルバムに対する注目点は大きく分けてこの2点かと思います。
で、アルバムよりも先に先行シングル曲 "If I Were You" がラジオやMTV、ネット上で流れ始めて‥‥新作はこの大ヒット曲路線を押し進めたものになるのか、とちょっとガッカリしてたんですよね。勿論、デビューから5年近く経って未だにスクリーモもないだろう、とは思うんだけど。多くのファンはああいった路線を求めてるように感じてたんでね。当たり前といえば当たり前か、前作のヒットを受けて同じ路線を進むのは。
ところがアルバムをいざ聴いてみると‥‥一概に「"The Reason" 路線」と言い切ってしまうにはちょっと違うように感じたんですね。いや、確かに全体を覆う大らかでゆったりしたイメージは、間違いなくあの大ヒットの影響なんでしょうけど。大ヒットしたことで、実験的なことをやってみたくなった、あるいは前からやってみたかった路線に進める環境になったのか。この新作には一筋縄ではいかない要素をいろいろ見つけることができます。
確かにアッパーな曲も1〜2曲あるにはあるんだけど、残りの曲はメロウなミドル〜スローチューン。しかも若干サイケな色合いも見られる。ぶっちゃけて書くと、評価の分かれるアルバムだなぁと。曲間が殆どなく、全部つながってるような印象を受けるので、ある意味ではコンセプトアルバムっぽいイメージもあるし。特に前半7曲は完全にそういう印象が強い。中盤で以前の路線 "Without A Fight" でちょっとブレイクが入って、その後は再びミドル〜スロー路線へ。結局最後の "More Than A Memory" まで聴かせる路線で一貫してる。ある意味では潔いって思うんだけど、ちょっと聴き手を突き放し過ぎかも?という気も。このアルバムでさらに新しいファン層を掴む可能性も多いにあるだけに、ちょっと今後に注目したいかな、と。
非常によく出来た、良いアルバムだと思うんだけど、これはホントの意味で理解するにはもっと聴き込まないといかんな。時間をかけて、ゆっくりじっくりと味わいたいアルバムですね。

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