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2006/09/17

IRON MAIDEN『A MATTER OF LIFE AND DEATH』(2006)

 IRON MAIDENの3年ぶりの新作「A MATTER OF LIFE AND DEATH」。これが通算14作目、デビューから26年以上経っちゃったわけですが……相変わらずの作風で、古くからのファンは嬉しくなっちゃうんじゃないかな?

 とはいってもこのアルバム、実は意外と敷居が高いアルバムのような気もします。いきなり冒頭からこんなこと書いちゃっていいのかどうかわからないけど、でも敢えて書かせてもらうと……『very MAIDEN』な1枚。いわゆる "Aces High" や "Wasted Years"、"Run To The Hills" で聴けるようなMAIDENじゃなくて、もっとアルバム・オリエンテッドなノリのMAIDENなんだよね。アルバムは「らしい」疾走チューン "Different World" でスタートするけど、その後はひたすら複雑な構成を持つ長尺ナンバーが目白押し。全10曲中4分台の曲はこれのみで、5分台が2曲、6分台が1曲(ま、ほぼ7分だけど)、7分台が3曲、8分台が1曲、9分台が2曲という、まさにプログレチックな作品なのね。アルバムはどちらかというとモノトーンで冷たい空気感。これまでの彼らを踏襲しているけど、例えば現メンバーによる過去2作とは明らかに違うものを感じさせる。気合い・気迫とは違った冷徹さ……いや、ちょっと違うかな。でもそういう冷たさが全体を覆っているのは確かだと思います。

 アルバムジャケットや各曲のテーマ、シンプルなビデオクリップ(しかもアルバム先行シングルは7分半もある "The Reincarnation Of Benjamin Breeg" なんだから驚き)、等々。そういった要素からクールさというか冷たさが伝わってくる。戦争をテーマにしていることは何となく伝わるし(俺は日本盤よりもひと足先にUK盤を購入したので、対訳なしで歌詞を斜め読みしただけです)、そういったスティーヴ・ハリスによるトータル・プロデュースはしっかり表現されてると思います。ただ、このアルバムからMAIDENに入る人がいたら、ちょっと苦しいかもという気もするけど。これが最初に書いた「意外と敷居が高いアルバムのような気も」というのに繋がるわけです。

 1曲1曲のクオリティは相変わらず。ただ、アルバム通してとなるとダークでモノトーンでヘヴィというイメージの強いアルバムだなぁ。実は最初に聴いたとき、10年以上前にリリースされた10作目「THE X-FACTOR」を思い浮かべたんだよね。あのアルバムに似てる気がするんだわ、全体を覆う空気感と楽曲の存在感、そして全体のコンセプトが。でもアルバムが駄作と呼ばれるひとつの理由として、当時のボーカル、ブレイズ・ベイリーの歌メロの弱さやボーカルの貧弱さが指摘されるじゃない? 誰もが当時「このアルバム(「THE X-FACTOR」)をブルース・ディッキンソンが歌っていたら、スゴい作品になってたはずなのに……」と心の奥底で感じていたと思う。そして今回の新作。そう、実は新作はそういうことなんじゃないかな、と俺は思うんだけど……どうでしょう? そして改めてブルースというシンガーの底力を知らしめる結果となったこのアルバム、俺は大好きですよ。気軽に聴ける作風ではないものの、家でジックリと聴きたい1枚ですよね。ライブじゃこのアルバムから全曲演奏したい、なんていう話を伝わってくるほど、メンバーも大満足のアルバムみたいだし、その辺も含めて10月の来日公演に期待したいと思います。幸い俺も武道館に観に行けることになったしね。

 いろんな意味で賛否両論のある1枚だとは思うけど、世間がモダン・ヘヴィネスだ、シンフォニックだ、ゴスだ、と時代に迎合している中、老舗らしく「うちはこれしかやらないし、できないから」という強いこだわりを示し続けるIRON MAIDENはやっぱりスゴいし、なくてはならないバンドだと再認識しました。あと何年続けられるかわからないけど、ずっと変わることなくこのスタイルを守り通してほしいな。

P.S.
最新のビルボードチャートでこのアルバム、初登場9位にランクインしてるんですね。MAIDENにとってこれが初の全米トップ10入りですよね? なんだかスゴいことになってるような……



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投稿: 2006 09 17 01:14 午前 [2006年の作品, Iron Maiden] | 固定リンク

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