カテゴリー「2006年の作品」の80件の記事

2019年5月 2日 (木)

EUROPE『SECRET SOCIETY』(2006)

2006年10月(日本では11月)にリリースされた、EUROPE通算7作目のオリジナルアルバム。前作『START FROM THE DARK』(2004年)で本格的再始動を果たした彼らの、再結成後2作目のスタジオ作品となります。

前作では大ヒット作『THE FINAL COUNTDOWN』(1986年)を手がけたケヴィン・エルソンをプロデューサーに迎えたものの、そのサウンドは『THE FINAL COUNTDOWN』とはまったく異なる、80年代中期のDEEP PURPLEを彷彿とさせるミドルテンポ中心のヘヴィな作風でした。ジョン・ノーラム(G)のやりたいようにやらせすぎ!などいろんな声がありましたが、ソングライティングでジョンが絡んでいるのって半分くらいで、むしろ彼ひとりがどうこうじゃなくて、「ジョーイ・テンペスト(Vo)の今の声域に合わせた曲作り」「もはや大ヒットを狙うのではなく5人の趣味、やりたいことに素直になる」などの結果だったのだと思うのです。

そんな賛否両論あった復帰作から2年。正真正銘の勝負作となるこのアルバムではバンドがセルフプロデュースを担当。作風的には前作の延長線上にあるものの、アップテンポの楽曲が一気に増えたことでアルバムとしてもスムーズでまとまりがあるように感じられます。

また、メロディセンスも前作より際立つものが多く、オープニングを飾る新機軸ナンバー「Secret Society」やシングルカットもされた「Always The Pretenders」、ミドルテンポの「Wish I Could Believe」、ピアノやストリングスをフィーチャーした泣きメロパワーバラード「A Mother's Son」、往年のポップさにも通ずる「Forever Traveling」など聴きどころも多く、前作の汚名返上は果たせたのではないかと思います。

個人的にも、どこかRUSHを思わせる「Secret Society」を初めて聴いた時点で「お、ついに次のフェーズに入ったか!」と前向きに捉えられたし、むしろこのバンドに「The Final Countdown」(楽曲のほう)や2ndアルバム『WINGS OF TOMORROW』(1984年)の幻影を追うのは酷なのではと思ったのでした。つまり、「彼らが再結成してまでやりたいことって何なのだろう?」って素直に知りたくなったのです。

だから、続く8thアルバム『LAST LOOK AT EDEN』(2009年)に初めて触れたときは「新しい全盛期がくる!」と確信したのですが……。

新作が出るたび、いまだにそういった80年代の幻影と追い求め、比較して貶すこと、そろそろやめません? 過去との比較と決別し、作品単位で向き合ってみてはどうでしょうか。そこで初めて見えてくるもの、このバンドにはたくさんあるはずなので。これはその取っ掛かりに最適な1枚だと思います。

 


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2018年12月11日 (火)

PAUL STANLEY『LIVE TO WIN』(2006)

2006年10月(日本では11月)リリースの、KISSのフロントマンであるポール・スタンレー(Vo, G)通算2作目のソロアルバム。『PAUL STANLEY』(1978年)から28年ぶりのソロ作となりますが、前作は当時のKISSメンバー4人同時ソロアルバムリリースという企画の一環だったので、純粋なソロアルバムという意味ではこの『LIVE TO WIN』が今のところ唯一の作品と言えるかもしれません。

2000年代半ばはKISSとしての新作が途絶えていた時期で、その2年前にはジーン・シモンズ(Vo, B)も2ndソロアルバム『ASSHOLE』(2004年)をリリースしています。そちらに対するフラストレーションも多少なりともあったと思うのです(事実、本作リリース後にはソロでショートクラブツアーも行っていましたし)。

さて、内容ですが、我々がイメージするポール・スタンレーそのままの、メロディアスなハードロックアルバムに仕上がっています。80年代のHR/HMテイストのKISSをよりモダンな質感にして、ゼロ年代のアレンジでアップデートした、と書けばよりイメージしやすいかもしれません。

そういった楽曲を手がけるのは、ポールのほかにデズモンド・チャイルド、アンドレアス・カールソン、マーティ・フレデリクセン、ホーリー・ナイトなどといった80年代〜ゼロ年代を代表する職業作家たち。さらにジョン・5(ROB ZOMBIE、ex. MARILYN MANSON)もソングライターとしてだけでなく、ギタリストとしてレコーディングにも参加。かつてのKISSメンバーでもあるブルース・キューリックはベーシストとして3曲でプレイしており、そういった意味ではこれまでの絆と新たな血を交えた実験的な1枚と言えるでしょう。

オープニングを飾る「Live To Win」は“いかにも”なメロディアスハードロックだし、「Everytime I Se You Around」は「Forever」を彷彿とさせるパワーバラード。「Lift」からはモダンなヘヴィロックからの影響が感じられるし、「It’s Not Me」はオールディーズ風のメロディを持ちながらもアレンジは現代的。「Where Angels Dare」あたりはKISSでそのまま演奏すれば間違いなく“KISSの楽曲”になるはずなのに、ここでは“ポールが歌ってるけど、KISSとはまた違ったテイスト”が感じられる。

そう、本作はポール・スタンレーのパブリックイメージそのままの内容なのに、完全にはKISSっぽくなっていない。そのさじ加減がミソなのかなと思うのです。そりゃあソロアルバムを作るんだからKISSとの差別化は考えるでしょう。それがアンドレアス・カールソンやマーティ・フレデリクセンといったモダンなソングライターと、ジョン・5など若手プレイヤーの導入に端的に表れていると。頭ではわかっていても、実はそのへんを理解するのが濃いKISSファンになればなるほど難しさを伴う1枚かもしれません。

ハードロックアルバムとして考えれば、本作は非常によく作り込まれた1枚です。が、KISSファンとして接しようとすると肩透かしを食らう。リスナーのポジションによって若干の評価の違いが生じてしまう、悲しい1枚と言えるでしょう。少なくとも、KISSの新譜に植えていた2006年という時代においては。

けど、リリースから12年経った今聴くとすんなり楽しめる。時代が一周したのもあるし、KISSがその後2枚のオリジナルバムを発表しているのも大きいでしょう。とにかく、KISSのイメージを持ちつつも、ポールひとりでやりたいことをやったらこんなアルバムができるよと。そういう接し方が一番素直に楽しめるのではないでしょうか。



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2018年6月 8日 (金)

LAMB OF GOD『SACRAMENT』(2006)

アメリカ・ヴァーニジア州出身の5人組メタルバンド、LAMB OF GODが2006年8月にリリースした通算4作目のスタジオアルバム。前身バンドBURN THE PRIEST時代の作品を含めれば5枚目のオリジナルアルバムとなります。

前作『ASHES OF THE WAKE』(2004年)からEpic Recordsでのメジャー流通が始まり、その結果全米27位という大躍進を遂げたLAMB OF GOD。続く本作『SACRAMENT』では全米8位まで上昇し、前作同様に50万枚を超えるセールスを記録しました。しかも、本作リリース後の2006年10月には『LOUD PARK 06』での初来日も実現し、ここ日本での認知度も一気に増しました(僕は寝坊して見損ねました……)。

当時、アメリカのメタルシーンに新たなムーブメントが起こり始めており、マサチューセッツ出身のKILLSWITCH ENGAGESHADOWS FALLといったバンドたちのことを“MAメタル”なんてカテゴライズしたりして、新たな波=“New Wave Of American Heavy Metal”の代表格的存在としてLAMB OF GODは認知され始めていました。そこにきての全米8位ですから、いかに当時の彼らがシーンから求められていたかが伺える結果だと思います。

そのサウンドはヘヴィメタル……特に90年代、それこそPANTERA以降のモダンヘヴィネスやグルーヴメタルを軸に、スラッシュメタルやハードコアなどの要素を加えた、いかにも2000年代らしい硬質サウンドが確立されています。

楽曲の大半がミドルテンポ中心というのもPANTERA以降、あるいは90年代以降のSLAYERのノリだけど、そんな中にバランスよく含まれるスラッシー、時にハードコアなアップチューンは軽快さよりもヘヴィさに重点が置かれているためか、聴いていて“素速いんだけど、背中に重石を乗せられてるような”感覚が味わえます。どんな例えだよ。

かと思えば、「Forgotten (Lost Angels)」「Requiem」みたいな組曲があるんだから面白い。ギターのザクザク感はスラッシュメタル以降のそれだし、ランディ・ブライ(Vo)のボーカルもPANTERAやSLAYER、あるいはデスメタルからの影響を感じさせつつ、時折飛び込んでくるメロウなフレーズにグッとくる。このへんも先駆者たちへのリスペクトが感じられる。それもあってか、どんなにボーカルががなっていても1曲1曲はキャッチーなんですよね、不思議と。そこが中〜後期PANTERAとはちょっと違う点かも。そこがLAMB OF GODを“2000年代のアメリカを代表するピュアメタルバンド”、“PANTERA亡き後、アメリカを代表するヘヴィメタルバンド”と言われる所以かもしれません。

本作が気に入れば、これ以前にリリースされてアルバムも、これ以降にリリースされたアルバムも少なからず気に入るはず。まずは本作を入門編として手に取ってみてはどうでしょう。



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2018年5月 6日 (日)

ARCTIC MONKEYS『WHATEVER PEOPLE SAY I AM, THAT'S WHAT I'M NOT』(2006)

“ポストパンク・リバイバル”や“ガレージロック・リバイバル”の流れから登場したと言われるARCTIC MONKEYSの、2006年1月に発表されたデビューアルバム。本国イギリスで初登場1位を獲得しただけでなく、170万枚を超える大ヒットを記録し、アメリカでも24位まで上昇する出世作となりました。

前年秋に発表されたデビューシングル「I Bet You Look Good on the Dancefloor」が全英1位を記録した時点で、本作のヒットも約束されたようなものでしたが、いやはや、予想以上の出来でした。

「I Bet You Look Good on the Dancefloor」で感じられた勢いは本作にも満ち溢れており、冒頭を飾る「The View From The Afternoon」での性急なリズムはまさにあの頃流行していたポストパンク・リバイバルにも通ずるものがあります。そこから「I Bet You Look Good on the Dancefloor」へと続く構成、デビューアルバムとしては完璧なオープニングだと思います。

かと思えば、踊らせシンガロングさせるミディアムテンポの「Fake Tales Of San Francisco」があったり、グルーヴィーだけど前のめりな「Dancing Shoes」、ひたすら突っ走る「You Probably Couldn't See For The Lights But You Were Staring Straight At Me」「Still Take You Home」と、アルバム前半はあっという間で過ぎ去っていきます。

スローテンポで落ち着いた雰囲気の「Riot Van」を挟んで後半に突入すると、ダンサブルなミドルチューン「Red Light Indicateds Doors Are Secured」、若干クールダウンしたポップな「Mardy Bum」、独特のグルーヴ感で引っ張る「Perhaps Vampires In A Bit Strong But...」、序盤のアコースティック調から途中でテンポアップするパンキッシュな「When The Sun Goes Down」など個性的な楽曲がずらりと並び、ラストはメロウなミドルナンバー「A Certain Romance」で締めくくります。

若さと勢いが前面に打ち出された、まさにこの瞬間でないと作り得なかったデビューアルバム。このバンドは次作以降、アルバムごとに変化を遂げていきますが、軸にあるメロディアスさや個性的なソングライティングのセンスはすでにこの時点で完成されていたと言っても過言ではないでしょう。

本作リリース時点で平均年齢20歳以下。大半の楽曲が2〜3分台で、13曲通して聴いても40分強。こういうストレートなデビューアルバムを聴くと、「いやあ、若いっていいね。ステキ!」と素直に思ってしまうものですね。



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2006年11月28日 (火)

松浦亜弥『Naked Songs』(2006)

うーん、もうちょっと期待してたんだけどなぁ……合格点にも満たないなぁ。まぁまだ1回しか聴いてないから、今後あるタイミングで好きになるのかもしれないけど。少なくとも過去3枚のアルバムとは切り離して考えた方がよさそう。

基本的にどれも名曲だから、よほどのことがない限り外さないと思うんだけど……なんだろ、この「あがり」感。アゲアゲのあがりじゃなくて、双六でいうところのあがりね。しかもちっちゃくまとまっちゃってる。歌上手い奴が一番陥りやすい勘違いの典型だなぁ。

原曲を変わったアレンジでやろうとした努力は買うけど、緩過ぎる……例えば「オシャレ!」や「I know」の高揚感も、「初めて唇を重ねた夜」のスケールの大きさも……ああ、もうやめよう。

やっぱり期待が大きすぎたんだよなぁ……もう本当にダメなのかね、松浦。

「こういうのなら、ヲタ以外にもアピールするかも」と淡い期待をしてる人もいるかもしれないけど、いまだに一般層がイメージする松浦亜弥っていうのは、あくまで「あやや」なんじゃないかな。そういう意味じゃ、これは違う気がする。ぶっちゃけ、年寄り臭いもの(苦笑)。

なんだかんだで俺、松浦に対しては常に肯定的だったけど……これはねぇ……う~ん。素直に楽しめないなぁ。当初予定されていた(らしい)「Desparado」(ご存知EAGLESの名バラード)も入ってないしね。それこそジャニスの「Move Over」入れたらインパクトがもっとデカかったはずなのにね。



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2006年11月16日 (木)

FOO FIGHTERS『SKIN AND BONES』(2006)

仕事の絡みで聴くことになったFOO FIGHTERSのアコースティック・ライブアルバム『SKIN AND BONES』。全然期待しないで聴いてみたんだけど、これがスゴい良い。

いわゆるパンキッシュでアッパーな曲は一切ないんだけど(そりゃそうだ、あってもアコースティックアレンジされてるしな)、聴き応え十分・濃厚な1枚に仕上がってる。中心にあるのは『IN YOUR HONOR』(2005年)のアコースティックサイド(DISC 2)だけど、過去の曲(例えば「My Hero」とか)もこれにあわせてアレンジされてて、グッとくるものがある。曲によってはストリングスとかピアノ、アコーディオン、ハーモニカも入っていて、ユルユルになったりグッと緊張感が増したりと、今のバンドの状態がいかに良いかが伝わる好内容なんですよ。

俺は今のところ武道館しか行く予定ないけど、これ聴いたらアコースティックセットも観たくなった。あ、でも来日公演は4人で演奏するのか。んじゃいいか(笑)。

フーファイはどのアルバムも好きだけど、これがダントツで一番好きなアルバムになりました。単に今の心境に合ってるだけかもしれないけど。



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2006年10月12日 (木)

SLAYER『CHRIST ILLUSION』(2006)

気づけば5年ぶりですか、SLAYERの新作。前作『GOD HATES US ALL』(2001年)ではドラムがポール・ボスタフだったんだよねまだ。その後にボックスセットが出たり、そのちょっと前にボスタフが抜けて、助っ人でデイヴ・ロンバードが復帰して、気づいたらそのまま居座っていたり。挙げ句の果てに名盤『REIGN IN BLOOD』完全再現ライブをやったり、そのDVDを発表したり。

でもねぇ……ファンはそういうのを求めていないんですよ(いや、全部嬉しいけど)。最強の布陣に戻ったんだから、ここは一発最強の新作が欲しいわけですよ!

んで、最初に2006年6月6日(「666」!)に公式サイトでフル試聴公開されたのが、新作収録曲の「Cult」という曲。個人的にはもうこれ1曲でノー問題だったわけ。完全にノックアウトされたよ。良き時代のSLAYERと今のSLAYERがうまく融合されてて、ドラムもちゃんとロンバードのそれだってわかるプレイだったし。確かに『REIGN IN BLOOD』を超えることはないだろうけど、それでも標準ラインはクリアしてるんじゃないかな、と。そう確信したわけです。

それから2ヶ月後。いよいよリリースされた『CHRIST ILLUSION』は……皆さんの耳にどう響きました?

俺は……あのね、前もどこかで書いたかもしれないけど、そう簡単に超えられる作品じゃないでしょ、『REIGN IN BLOOD』って。それこそ『SOUTH OF HEAVEN』でもいいし、『SEASONS IN THE ABYSS』でもいいんだけど、あの時代に、あの年齢で、ああいう音を作り上げたっていう事実。それを10年20年、同じテンションで続けることは不可能に近いですよね。勿論それを軽く成し遂げてるアーティストもいるでしょう。けど、このスタイルで20年以上続けてこれたのが奇跡だと思うし(METALLICAANTHRAXのような音楽性の変化だってあるわけだし)、それこそ全部同じな「金太郎アメ」みたいなアルバムにしてこなかっただけマシなのかな、とも思うし。いや、彼らを庇護するわけじゃないですよ。でも……うん、俺はこれはこれでいいと思ってます、正直な話。

そりゃね、言い出したらきりがないですよ。不満を覚える箇所もあるし、ここはサイコーっていうパートも曲もある。ファン全員を100%満足させることなんて不可能だし、なんだかんだで文句言ってる奴らって俺と同じ年代の偏屈なオッサンか(笑)、10代の「リアルタイムでは知らないけど(さらにライブ観たことないけど)、メディアが『REIGN IN BLOOD』サイコーって騒いでるから、それと比べたらねぇ?」みたいな輩ばかりなんじゃないかな? 彼らを批判する気も、SLAYERを貶す気もない。俺はこれを現実として受け入れてるし、彼らが今できること・やりたいことをやった結果がこれだとしたら、それ相応の評価をしようと思う。勿論、これが本当に酷い作品だったらこっぴどく貶すけどさ。逆に中途半端に良い作品なもんだから(ヘヴィロック/メタルの範疇で言えばね)、言葉に詰まる場面もあるんだよな。

ホント、METALLICAが『ST. ANGER』出したときみたいな変化があったなら、賛否大きく分かれていろいろ書きようがあるんだろうけど……でも好きですよ、これはこれで。つーか40代半ば〜後半のオヤジがいまだにこういうサウンドを続けてること時代が奇跡的だと思うし、そこは賞賛すべきだと思う。ライブじゃテンション保ったまま「Angel Of Death」やら「Chemical Warfare」をいまだに演奏してるんだから。

あ、そういえば俺、SLAYERのライブってもう10年以上観てなかったんだ。初来日とボスタフでの初来日時のみか……今回は「LOUD PARK 06」と翌日の新木場STUDIO COASTで2夜連続で観ることになるわけですが……ワクワクして眠れない夜が続きそうです!



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2006年10月 4日 (水)

MASTODON『BLOOD MOUNTAIN』(2006)

 間もなく「LOUD PARK 06」でも来日するアメリカのバンド、MASTODONのメジャー移籍1作目「BLOOD MOUNTAIN」は、メタル周辺のさまざまなジャンルを飲み込んだ、それでいて1本筋の通ったもの凄いエクストリームな作品に仕上がっております。

 いわゆるハードコア寄りのメタル/ハードロックにスラッジの要素を加えたり、さらにプログレッシヴな演奏パートを導入することで他の同系統バンドとは一線を画する独自性を生み出していたり。それがこのバンドの魅力みたいに言われていますが……うん、確かにそうなんだけどさ、俺は前作「LEVIATHAN」を聴いたときに、例えばCORROSION OF CONFORMITY辺りとの共通点がたくさん見受けられるバンドだなぁと認識してたのね。引きずるようなリズムセクションに、テクニカルな演奏。そしてところどころに見え隠れするハードコアからの影響(ま、C.O.C.の場合はもともとハードコアの流れにあるバンドだけどさ)、そしてBLACK SABBATH……そういうポイント同士で俺の中では繋がっていた2組なわけ。

 でも、このニューアルバムでさらに数歩先に行った感が強いなぁ、MASTODON。C.O.C.が良くも悪くも現状を維持してるイメージが強い分、まだアルバム3枚目というMASTODONはより前進してるし成長している。ハードコアな要素は若干後退したものの、プログレッシヴロック的な(特定のバンド名を敢えて出すなら、RUSH辺り?)側面をさらに強く打ち出してるように感じられる。強力な曲はより強力に、重い曲はより重く。そしてどの曲にもテクニカルなプレイが次々と登場する。なんじゃこりゃ?

 がなっているようで、でもしっかり歌ってる。曲調のせいか、時々オジー・オズボーンが思い浮かんじゃうんだけど、それはこのタイプのバンドの宿命なんでしょうね。それを差し引いても、もの凄いアルバムだと思いますよ。決してクールでスマートなタイプのサウンドではないし、目新しくもないんだけど、でも2006年的なサウンドだなぁと感じさせてしまう説得力がここにはある。アルバムでここまでやるんだから、ライブはもっとすごいんだろうなぁ……そう感じずにはいられないアルバムですね、これは。

 昨日のTRIVIUMのレビューで「これが2006年におけるヘヴィメタルの在り方」と書いたけど、このMASTODONの方向性・音楽性というのも、もうひとつの2006年におけるヘヴィメタルの在り方なのかな、という気がします。まぁともに決して目新しいサウンドではないんだけど、過去の歴史に対する敬意を表しつつ、今を生きてるみたいな。そういう意識が強く感じられます。



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2006年10月 3日 (火)

TRIVIUM『THE CRUSADE』(2006)

 前作「ASCENDANCY」からたったの1年半で届けられた、TRIVIUMの3rdアルバム「THE CRUSADE」は噂どおりにスゴいことになってました。いやぁ、俺の想定していた成長の度合いを遥かに超えた、もの凄いヘヴィメタルアルバムを作っちゃったなぁ……マット・ヒーフィーってまだ20歳そこそこだよね?(汗)「好きこそものの上手なれ」なんて言葉のとおり、やっぱり若い子は飲み込みも早いし、それを用いて成果を出すのも早い……ま、彼の場合は才能の問題だと思いますが。

 バンドとしてもこの2年近くで相当な数のライブをこなしたはずで、それが良い方向に機能したのかな。実際に曲を書く時間はほとんどなかったようで、全部前回のツアー中に書いたみたいだけど(BULLET FOR MY VALENTINEも同じようなこと言ってたな。1stで売れちゃうとそういうことになるわけか)、その割にかなり……いや、相当良い曲が出来上がってると思います。

 ハッキリ言っちゃえば、ここには「M.A.メタル」も「メタルコア」も「スクリーモ」も存在しません。あるのはただひとつ、「ヘヴィメタル」のみ。そう、これこそ純粋な、2006年におけるヘヴィメタルの在り方なんじゃないかな、と思うわけです。もちろんいろんなバンドがいていいし、いろんなサウンドがあるから音楽って面白いんだけど、我々が忘れかけていた何かを一瞬にして思い出させてくれるのがこのアルバム「THE CRUSADE」なんじゃないか、と。そう信じたいわけです。

 ボーカルはスクリームやデス声を極力抑え、歌メロを重視した歌唱がメインになってます。その点においてこれまでのファンからは賛否分かれるかもしれません。曲もモダンな要素は若干後退し、かなり古めかしい、それこそ'80年代的なサウンドを彷彿させる瞬間が何度も登場します。でも頭2曲を聴いた時点で、俺は思いっきりガッツポーズを取ってたけどね。俺はスクリームがなくなったことで嘆くよりも、こういう音楽を素直にカッコいい、彼らがこれをやることに意味があると信じてます。

 前作をよくMETALLICAの「MASTER OF PUPPETS」と比較する声があったけど(実際彼らは今年、ケラングの付録のために "Master Of Puppets" をカバーしてたけどね)、それじゃあこの新作はどうなるのよ……と考えたところで、実は俺は今回、「RIDE THE LIGHTNING」を作ってしまったんじゃないか?なんて思う瞬間があってね。決して後退ではなく、良い意味でね。より深いルーツを探っていった結果、そこにたどり着いたのかなぁ……なんて思うんだけど、きっと俺だけだろうね、そう思うのは。

 いやぁ、とにかく名盤。今年の10枚への選出決定ですわ。



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2006年10月 1日 (日)

ソウル・フラワー・ユニオン『GHOST HITS 00-06』(2006)

 久しぶりにソウル・フラワー・ユニオンのワンマンライブに行ってきました。丁度9月後半に3枚目のベストアルバム「GHOST HITS 00-06」がリリースされ、それに伴う全国ツアーだったんですが……内容はどちらかというと「これからのSFU」を強く印象づけた、素晴らしいものでした。

 いわゆる「インディーズ落ち」してからのナンバーを中心に収録した今回のベスト盤。"アンチェインのテーマ" 以外は名盤「SCREWBALL COMEDY」から昨年発表されたオリジナルアルバム「ロロサエ・モナムール」までの作品からライブでも人気のナンバーを中心に、ミックス違いやテイク違いなどを含む全17曲が収録されています。今回のライブでもこのアルバムから半数近くのナンバーが演奏されました。が……彼らはベスト盤ツアーといいながらも、すでに5〜6曲の新曲を用意していて、この日のライブは正直それらの新曲が中心になっていたといってもいいほど、強烈な印象を放ってました。

 俺は初めて「SCREWBALL COMEDY」を聴いたとき、それまでのソウルフラワーと比較すると非常にシンプルな……語弊があるかもしれないけど、ニューエスト・モデル時代の匂いがプンプンするなぁと思ったんですよ。実際、ほぼ全曲が中川敬による楽曲でしたしね。その後、片腕だった伊丹英子が結婚〜出産〜アイルランドへの移住などがあり活動から離脱状態に陥ったことから、ほぼ中川ひとりによるバンドになってしまった印象が強まって(もちろん、他のメンバーありきですよ、ソウルフラワーは。ここでは楽曲に命を吹き込むという意味でこういう書き方をしています)。それと同時に発表される新曲は、さらにシンプルでストレートな方向へと移行していき、「シャローム・サラーム」で聴くことができた新曲は完全に「歌もの」と呼んでも差し支えないナンバーばかりだったと思います。

 '90年代の彼らはいろいろなジャンルの音楽スタイルを飲み込み、ソウルフラワーならではの特別な音楽を作り出そうと試行錯誤の繰り返しだったのかな。だから一時はファンやメディアが彼らを見放そうとした(そして、俺もそのひとりだった)。だけどライブアルバム「High Tide And Moonlight Bash」で流れが変わったな、と。そして「SCREWBALL COMEDY」……インディーズに移ったことでメジャー時代よりも動きやすくなったというのもあるのかもしれないけど、とにかく2000年前後……もっといえば、2001年の「9・11」以降、彼らの中で何かが変わったのは事実なんでしょうね。

 つまりこのベストアルバムは、そういったソウルフラワーの変化の歴史をこれまで以上に端的に表した1枚なんじゃないかな、と個人的には思ってます。充実ぶりは過去2枚以上だと思うし、ライブ映えする楽曲ばかり。フェスやイベントで一度は耳にしたことがあるナンバーがズラーッと並んでいるので、聴いていて安心感が強い。これからソウルフラワーを聴いてみようという人はぜひこのアルバムと前のベスト「GHOST HITS 95-99」を聴いてみるといいんじゃないかな?

 今回のツアーで聴くことができる新曲は、これまで以上に歌っている楽曲が多く、歌詞もいろんなタイプがあったし、また音楽的にも新境地を感じされるものもありました。これまでのベスト盤2枚は何となくレコード会社主導で作っちゃいました的な印象が強かったけど、今回は充実した7年間の活動の軌跡をディスク1枚じゃ足りないのに無理矢理詰め込んだ感が強い、とても強力な内容に仕上がってます。ライブでは中川がしきりに「もっと売れると思って満を持して発表したのに……」と淋しそうにコメントしていたのが印象的でした。ソウルフラワーといえば、夏フェス。今年はあまり夏フェスに出ていたという印象がなかっただけに、ちょっとタイミング的に悪かったかなぁという気もするけど、今からでも遅くないのでぜひ一度手に取ってみてくださいな。

 ていうかさ、上にリンク貼ったようなアルバムは全部名盤なので、まだ聴いたことのないという人はとにかく聴いておくように。日本の、オリジナリティ溢れるロックバンドの名盤を聴き逃しているなんて、なんて勿体ない人生を送っているんですか!



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