SERJ TANKIAN『ELECT THE DEAD』(2007)
SYSTEM OF A DOWNを突然活動休止させ、フロントマンのサージ・タンキアンが完成させたのがこのソロアルバム。ほとんどの楽器を彼が担当し、ドラムのみSOADのジョン・ドルマイアンと、元PRIMUS(GUNS N'ROSESにもいたことがあったね)のブライアン・"ブレイン"・マンティアが叩いたという、まさにソロアルバムと呼ぶにふさわしい仕上がりとなっています。
SOADを好きだった人からすれば、このアルバムはとてもストレートに聞こえるかもしれません。それほど聴きやすくなっているんですよね……ま、普通のハードロック/ヘヴィロックと比較すれば、十分にねじれてますけど。SOADから変態性を希釈させ、いろんなコーティング(曲によってはピアノやストリングスの音も聞こえますよね?)を施して聴きやすくした印象を受けます。もっとも、その「聴きやすさ」は意図的にそうしたというよりも、本作に収録された楽曲に必要だと感じたからそうしたまでといったところでしょうか。
あのSOADの変態性って、結局はサージやジョン、ダロン・マラキアン(G/Vo)やシャヴォ・オダジアン(B)という4人が揃ってそこのものなんですよね。頭ではわかっていても、実際にこうやって出来上がったそるアルバムを聴いてみないと理解できないもんなんですよね、ファンというのは。
とにかく本作は、ちょっと映画を観てるかのような劇的な作品となっています。より正統派なメロディアス・ハードロックと化した曲もあれば、SOADのような複雑な展開を持つ楽曲もある。恐らく、これまで「SYSTEM OF A DOWNはちょっとわかりにくい」と感じていた人ほど、今回のアルバムにグッと引き寄せられるのかもしれませんね。
個人的には、不思議と「このアルバムをSOADでやったら面白いのに……」とは思わなかったんですよね。これはこれ、というふうに最初聴いたときから割り切れていたというか。この「ELECT THE DEAD」という作品集は、この形で完璧なんですよね。ここまでメランコリックなアルバムは、逆にSOADではやれないと思うし。そういう意味では、今回のソロ活動は正解だったんじゃないかと感じています。こうなると、(いつになるかはわからないけど)俄然SOADの次のアルバムが楽しみになってきますね。
« エレファントカシマシ『俺たちの明日』(2007) | トップページ | PUFFY『honeycreeper』(2007) »
「2007年の作品」カテゴリの記事
- THE SMASHING PUMPKINS『ZEITGEIST』(2007)(2024.08.09)
- SEBASTIAN BACH『ANGEL DOWN』(2007)(2022.11.06)
- BLOC PARTY『A WEEKEND IN THE CITY』(2007)(2022.05.07)
- HARDCORE SUPERSTAR『DREAMIN' IN A CASKET』(2007)(2022.05.05)
- SCORPIONS『HUMANITY: HOUR I』(2007)(2022.03.03)
「System of a Down」カテゴリの記事
- V.A.『IMMORTAL RANDY RHOADS - THE ULTIMATE TRIBUTE』(2015)(2022.11.01)
- 祝ご成人(2001年4月〜2002年3月発売の洋楽アルバム20選)(2022.01.10)
- SERJ TANKIAN『ELASTICITY』(2021)(2021.04.06)
- SYSTEM OF A DOWN『PROTECT THE LAND / GENOCIDAL HUMANOIDZ』(2020)(2020.11.07)
- banned songs of US radio after 9.11(2020.01.02)
「Serj Tankian」カテゴリの記事
- V.A.『IMMORTAL RANDY RHOADS - THE ULTIMATE TRIBUTE』(2015)(2022.11.01)
- SERJ TANKIAN『ELASTICITY』(2021)(2021.04.06)
- SERJ TANKIAN『ELECT THE DEAD』(2007)(2007.11.28)
