MANIC STREET PREACHERS『SEND AWAY THE TIGERS』(2007)
2004年リリースの『LIFEBLOOD』から3年ぶりに発表された、MANIC STREET PREACHERSの8thアルバム。2005春からは約1年強のライブ活動休止期間がありましたが、バンドは当初の予定よりも早くレコーディングに突入し(そのおかげで、昨秋に予定されていたジェームスとニッキーのソロ・カップリングツアーは中止となってしまいましたが)、一聴して「これぞマニックス!」とすぐにわかるような力作を届けてくれました。
前作での実験的要素がなくなり、ギターリフありきの楽曲がズラリと並んでいます。全体の構成や作風も、過去の『EVERYTHING MUST GO』(1996年)あたりを彷彿させるものだし、恐らく多くのファンが望むマニックス像に忠実なロックアルバムに仕上がっていると思います。実際、これだけいきなり聴かされたら、もう「サイコーッ!」と唸ってしまうはず。2008年度のベストアルバム入りも間違いないんじゃないかな?
でも、待って。そうじゃないだろ、と。
僕も最初にこのアルバムを聴いたとき……先行シングルの「Your Love Alone Is Not Enough」や無料配信された「Underdogs」を聴いたときは、思わず興奮して「これこれっ、これを待ってたんだよ!」と手に汗握ったものでした。実際、アルバムを通して聴いたときも、全10曲(国内盤のボーナストラックを除く)とその後に登場するシークレットトラックに鳥肌を立てたりしたものです。
でも、違うんだよ。そうじゃないんだよ。
確かに『SEND AWAY THE TIGERS』は素晴らしいロックアルバムだと思います。けど、マニックスの歴史の中でみれば、このアルバムはそれほど重要じゃない気がするんです。むしろ、これまでのマニックスのサウンドの変遷を考えれば考えるほど、これは単なる過渡期なんじゃないかなぁと思えてくるわけですよ。しかも、無駄に完成度が高いからタチが悪い。思い入れを抜きにすればいいんだろうけど、本当に評価に困ったアルバムだと思います。
彼らはアルバムごとに、その前の作品とは同じことをしていないんですよね。唯一の例外は『EVERYTHING MUST GO』から『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』(1998年)だけ。この流れは必然を感じさせられたけど(あのときは、ああするしかなかった、みたいな)、今回はなぜこんな「まとめモード/総決算モード」の作風にしてしまったのかなぁ。確かにニューウェイブの要素を取り入れて、打ち込みやらテクノポップやらの色がにじみ出た『LIFEBLOOD』はセールス的に苦戦したし、実際酷評するファンも多かったと聞きます。でも、だからこその冷却期間(活動休止期間)だったんじゃないの。ジェームスもニッキーもソロでそれぞれやりたいことをやってアク抜きをしたと思ったら、『GENERATION TERRORISTS』(1992年)から『EVERYTHING MUST GO』までの要素(1994年の3rdアルバム『THE HOLY BIBLE』は例外か)を総括したような内容が出てくるもんだから……確かに大多数のファンには求められているかもしれない、でもそれはMANIC STREET PREACHERSというバンドのスタイルとはまた違ったものなんじゃないの?
聴けば聴くほど、そういう疑問が頭の中をグルグル駆けめぐる。そして彼らに対する熱が少しずつ冷めていく。いや、今でも大ファンだよ。それは間違いない。だけど、さすがにサマソニには行けなかった。後で聞けば、そのセットリストも「いかにもフェス向きのグレイテスト・ヒッツ構成」だったというし。新曲はたった2曲だっけ? フジロックのときでももう少し新曲やってたよね。それ知ったら、さらにガッカリしたなぁ。
結局は単独公演を観てみないと、何も解決しない気がします。俺は別に彼らに対してミーハーなファンというわけじゃないので、そのルックスがどう変化しようが特に気にしません。でも、音や言葉や姿勢に対しては、最後まで貫いてほしいと思うわけです……そこに惹かれてこの15年、ファンを続けてきたわけですから。もしかしたら僕は、マニックスにTHE CLASHを重ねすぎてるのかなぁ。
ホント、ひとつのロックアルバムとしては素晴らしくよく出来た作品なんですよ。だからこそ、歯がゆいわけです。いやいや、もしかしたら僕が初めて『EVERYTHING MUST GO』に接したときみたいに、1年2年と時間を置いたら、このアルバムの意味が見えてくるのかもしれない。でも今は……う〜ん、本当に困った1枚です。

▼MANIC STREET PREACHERS『SEND AWAY THE TIGERS』
(amazon:日本盤/UK盤)
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