MANIC STREET PREACHERS『JOURNAL FOR PLAGUE LOVERS』(2009)
MANICS STREET PREACHERSがスティーヴ・アルビニと仕事をすると知ったとき、もうそれだけで勝利は決まっていたと思うし、そのアルバムが“リッチー・エドワーズの遺した詩を使った『THE HOLY BIBLE』(1994年)の続編”になると聞いて、その思いはさらに強い確信へと変わっていった。そう思ったMANICSファンは多いはずだと思う。
決して前作『SEND AWAY THE TIGERS』(2007年)は駄作だと思わないし、実際にここ数作の中ではもっともヒットした1枚だと思う。でも、個人的にしっくりこなかった。それだけの話であって、だから2年前のサマソニにも足を運ばなかった。それについては、ちょっとだけ後悔してる部分もあるけど(その後、単独来日公演が実現しなかったからね)。
さて。前作から2年ぶり、通算9作目のオリジナルアルバムとなる本作。『THE HOLY BIBLE』と双子のようなキリキリ/ヒリヒリした重苦しい作品集を期待した人も多いと思うけど、実際にはちょっと違ってた。確かに『THE HOLY BIBLE』やそれ以前の2枚(『GENERATION TERRORISTS』、『GOLD AGAINST THE SOUL』)の要素を中心に起きつつ、それ以降……つまり“リッチー不在後”のサウンドも何の臆面もなく、積極的に導入してみせる。ある意味では集大成ともいえる作風で、だけど“あの頃のMANICS”が戻ってきたともいえる内容。そのバランス感であり、説得力は前作にはなかったものだと思う。これは、ある意味“覚悟が違う”んだろうね。そんな気がした。
1曲1曲を取り出して、この曲は○○からの影響が強くて、この○○って曲には『THE HOLY BIBLE』のアノ曲のフレーズが引用されてる、とか。そういうことはこの際どうでもいい。いや、本当はよくないんだけど、ぶっちゃけそんなことがどうでもよくなるほどにMANICSらしいアルバムだなぁ。僕は『KNOW YOUR ENEMY』(2001年)での“第2のデビューアルバム”感も、『LIFEBLOOD』(2004年)での“実験しながら迷走”感も大好きだった。だって、そのダメさ加減がいかにもMANICSらしいじゃない、人間らしいくていいじゃない。MANICSってそういうバンドだったじゃないか。“4 REAL”事件も、「30曲入り2枚組デビューアルバムを1位にして解散」発言にしても、その後の解散撤回にしても。そんな愛すべきMANIC STREET PREACHERSが帰ってきた。僕にとってはそう思えるし、『KNOW YOUR ENEMY』→『LIFEBLOOD』→『JOURNAL FOR PLAGUE LOVERS』という流れは、なんとなく『GENERATION TERRORISTS』→『GOLD AGAINST THE SOUL』→『THE HOLY BIBLE』の流れに共通してる部分がたくさんあると思うんだよね。だからこそ、『SEND AWAY THE TIGERS』というアルバムが(決して悪くはないんだけど)どうにもしっくりこない。ま、結果論でしかないのかもしれないけどさ。
UKツアーでは彼ら、2部構成のライブを行ったんだとか。1部で新作を曲順どおりに全曲披露。2部でおなじみのヒット曲を演奏する構成。そうする必要は絶対にあると思う。今後はどうかわからないけど、今はこの流れでひとつの作品……ぶっちゃけ、日本盤ボーナストラックを除く13曲で1曲なんだと。別にコンセプトアルバムでもなんでもないんだけどね。だけど……わかるよね?
あと数日で、MANICSは再び日本のフェス(NANO-MUGEN)出演のために来日する。今回もフェス、しかも単独公演はなし。恐らく1時間程度のセットリストだろうから、新作完全再現もないだろうし、さっそく新作の曲を数曲取り入れたグレイテストヒッツ的内容になるんだろうね。かなり残念だけど、前回見逃してる分を取り戻したいと思う。当然2日間とも行くし、その翌日のアコースティックセットにも足を運ぶ。こんな機会でもないと、彼らのアコースティックライブなんて観れないからね。
さて……アジカンやスピッツ、the HIATUSを目当てに会場に足を運んだ若い子たちに、この音がどう響くのか。とくと見届けてやろうじゃないですか。
……ということを夕べ書いて用意しておいたんです。そしたら、ね。ご存じのとおり、ニッキーの急病で来日キャンセル。あちゃー。これはもう、完璧な単独公演を待つしかないね。とにかく、ニッキーお大事に。

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