2018年10月22日 (月)

MUSE『THE RESISTANCE』(2009)

2009年9月にリリースされた、MUSEの5thアルバム。前作『BLACK HOLES AND REVELATIONS』(2006年)が本国イギリスで100万枚を超えるメガヒット作となっただけでなく、全米9位&100万枚突破と、ついにアメリカでもブレイクを果たした彼ら。3年ぶりに発表された今作は、全英1位&全米3位という好記録を残し、セールス的にも前作に匹敵する1枚となりました。また、「Uprising」(全英9位、全米37位)や「Undisclosed Desires」(全英49位)、「Resistance」(同38位)というヒットシングルも生まれています。アメリカでのシングルヒットというのは非常に大きいのではないでしょうか。

前作では「Starlight」や「Invincible」といったメジャーキーのポップチューンが印象に残りましたが、本作は全体的に前々作『ABSOLUTION』(2003年)までの要素を強めたイメージ。オープニングの「Uprising」は当時流行だったシャッフルビートを用いつつも、作風的に前作における「Supermassive Black Hole」の延長線上にある1曲。そこからMUSEらしいドラマチックさを持つハードロックチューン「Resistance」や、生とデジタルの融合から生まれたニューウェイヴ的な「Undisclosed Desires」というシングル3連発で聴き手を惹きつけます。ここまでは、前作でファンになったリスナーを楽しませるための“掴み”といったところでしょうか。

ですが、このアルバムは4曲目「United States of Eurasia (+Collateral Damage)」からが本領発揮。QUEENを彷彿とさせる壮大なオペラバラードは、初期の彼らが持ち合わせていた仰々しさがエスカレートしていますし、続く「Guiding Light」も前作にあったポップチューンをさらに激化させたもので、必要以上に力んでいる。ギターの弾きまくりっぷりなんて「この曲のそこで、ここまで弾かなくてもいいんじゃない?」と思わされますが、でも待った。この“無駄なまでに過剰”なのがMUSEの魅力だったんじゃなかった?と、自分が彼らのどこに惹きつけられたかをこの一連の流れで思い出させてくれるわけです。

アルバムはその後も、賛美歌とブルースと攻撃的なハードロックミックスしたような「Unnatural Selection」、ダイナミックかつドラマチックな「MK Ultra」、ピアノを軸にしたストレンジポップ「I Belong to You (+Mon Cœur S'ouvre a ta Voix)」と過剰な曲が続くのですが、アルバム終盤に本作最大の問題作が用意されています。それこそが、9〜11曲目からなる「Exogenesis: Symphony」3部作。トータルで13分におよぶこの組曲は、ストリングスを軸にしたおおらかな第1楽章「Overture」から、クラシカルなピアノとストリングスがじわじわと曲を盛り上げる第2楽章「Cross-pollination」、そして光で包み込まれるようなポジティブさでクライマックスを迎える第3楽章「Redemption」まで、かなり力を入れて作り込まれたもの。各楽章(1曲)単位でも存分に楽しめる内容ですが、ここはあえて3曲続けて聴いて、その世界に浸りたいところです。

エレクトロの要素は前作以上に高まりモダンさを強めているものの、クラシックからの引用やストリングスの導入といった“生の要素”がこのアルバムの持つドラマチックさに拍車をかけている。現代的なサウンドながらも初期作にあった耽美さが復活したように感じますが、実は楽曲自体は「これ!」といった飛び抜けたものが少ないのが難点。「Uprising」のようなアンセムが1曲あるだけでも十分っちゃあ十分ですが、やはり前作がトータルとしての完成度が高かっただけに、ちょっと残念な気もします。決して悪いアルバムではないんですが、もしかしたら「どのアルバムからMUSEのファンになったか?」で本作の評価は激変するんじゃないか……そんな1枚でもあるのかなと。

僕自身は最初に聴いたとき「これはちょっと……」と思ったものですが、何度も聴き込むことでポジティブに受け入れられるようになったし、リリースから数年経ってからは「あれ、悪くないじゃん」と思えるようになった作品でもあります。



▼MUSE『THE RESISTANCE』
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投稿: 2018 10 22 12:00 午前 [2009年の作品, Muse] | 固定リンク

2018年9月 2日 (日)

THE WiLDHEARTS『¡CHUTZPAH!』(2009)&『¡CHUTZPAH! JNR.』(2009)

2009年8月にリリースされたTHE WiLDHEARTSの6thオリジナルアルバム。不完全かつ不本意な形で発売された『FISHING FOR LUCKIES』(1994年)、カバーアルバム『STOP US IF YOU'VE HEARD THIS ONE BEFORE, VOL. 1』(2008年)を含むと、通算8枚目のスタジオアルバムということになります。

また、本作は海外盤と日本盤とで仕様が異なったり、アルバムのアウトテイクで構成されたEP『¡CHUTZPAH! JNR.』(2009年)があったりといろいろ複雑なので、この項でひとまとめに解説していきたいと思います。

まず、本作はジンジャー(Vo, G)、C.J.(G, Vo)、リッチ(Dr, Vo)、そしてスコット・ソーリー(B, Vo)という『THE WILDHEARTS』(2007年)、『STOP US IF YOU'VE HEARD THIS ONE BEFORE, VOL. 1』と同じ布陣で制作。レコーディングはデンマークで行われ、ジェイコブ・ハンセン(VOLBEAT、PRETTY MAIDS、AMARANTHEなど)がプロデューサーを務めました。

本作の特徴は、前作『THE WILDHEARTS』で少しだけ復活した“バンド感”が一気に向上していること。これは同じメンツで長い時間を過ごしてきたことと、直近のカバーアルバムで原点回帰したところも大きかったのかもしれません。

そして、もうひとつ。これまでの半音下げ(E♭)から全音下げ(C)にチューニングを変更したこと。これにより、楽曲の質感がよりヘヴィかつモダンで(どことなく)シャープになった印象を受けます。特にオープニングを飾る「The Jackson Whites」や「Plastic Jebus」「Time Smith」といった楽曲は、このダウンチューニングの恩恵をもろに受け、独特の輝きを見せています。

さて、ここからは各アルバムの仕様についてです。


①『¡CHUTZPAH!』オリジナル盤

全10曲入りでトータル36分。上に書いたように「The Jackson Whites」からスタートし、エレクトロでハードコアでドラマチックなタイトルトラック「Chutzpah」で幕を下ろす構成です。確かに全体的にヘヴィでモダンですが、メロディラインは前作『THE WILDHEARTS』のそれよりもかなり練られている印象が。「You Are Proof That Not All Woman Are Insane」みたいに“いかにも”なひねくれアレンジもあれば、ピアノバラード!?と驚かせておいてハードな展開をみせる「Low Energy Vortex」、軽快なポップロック「You Took The Sunshine From New York」、ストレートなロックンロール「Mazel Tov Cocktail」など“らしい”楽曲満載です。

先に“バンド感”に触れましたが、その要因として作曲にジンジャー以外のメンバーも積極に携わっていること、「The Only One」ではスコット・ソーリーがリードボーカルを担当していることが挙げられるでしょう。個人的にはスタンスが『ENDLESS, NAMELESS』(1997年)にもどこか似ている印象を受けました。もっとも、サウンドの質感や表現したいことは似ているようで異なるんですが。

THE WiLDHEARTSがバンドとして、いよいよ本気を出した……と当時はワクワクしたものですが、ご存知のとおり彼らはこのアルバム以降、新作をリリースしていません。そこも『ENDLESS, NAMELESS』に似ていたりして(苦笑)。

コンパクトで聴きやすく、ヘヴィだけどポップ。このバンドの真髄が現代的な形で表現された、後期の良盤ではないでしょうか。


②『¡CHUTZPAH!』日本盤

イギリス(オリジナル)盤とほぼ同時期にリリースされた日本盤は、全14曲入りで48分というボリューム。オープニングに1分にも満たないアップチューン「Chutzpah Jnr.」が配置され、そこから「The Jackson Whites」「Plastic Jebus」へと続きます。それ以外はオリジナル盤8曲目「You Took The Sunshine From New York」と9曲目「Mazel Tov Cocktail」の間に、「Zeen Requiem」「All That Zen」「People Who Die」(THE JIM CARROLL BANDのカバー。原曲はGUNS N' ROSESがライブ開演前に流していたり、映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』のエンディングテーマにも使用されました)の3曲が追加されています。

これらの新曲4曲は同年12月にバンドのUKツアー会場で販売されたEP『¡CHUTZPAH! JNR.』収録曲。僕は日本盤をまず最初に購入したので、この②の曲順を当たり前のように受け入れ、「おおっ、ショートチューンから入ってヘヴィでモダンな楽曲へと続く構成、カッコいい!」と素直に感じていました。この曲順も悪くない。

ただ、後半……特に追加された3曲が余計だと思ってしまったのも事実。のちに①を購入して聴いてみたら、こっちのほうがスッキリしていて聴きやすい。まあ一長一短ありますよね。

曲数が多い日本盤のほうがいいか、コンパクトなオリジナル盤を選ぶかは、その人次第。まあ機会があったら、両方試してみてください。

ちなみに、ストリーミング(Spotify、Apple Music)には①のみ置かれています。



▼THE WiLDHEARTS『¡CHUTZPAH!』
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③『¡CHUTZPAH! JNR.』

上に書いたように、海外では2009年末にライブ会場およびオフィシャルサイト限定で、ここ日本では『¡CHUTZPAH!』のオリジナル盤(①)との2枚組仕様で『¡CHUTZPAH! –DELUXE EDITION-』と題して2010年5月にリリースされています。

収録曲は②に追加された新曲4曲のほか、オフィシャルサイトで無料配信された「The Snake, The Lion, The Monkey And The Spider」や、「Vernix」「Under The Waves」「Some Days Just Fucking Suck」の全8曲。トータルで26分、EPというよりはミニアルバムと呼んだほうが正しいかもしれません。

まあ、アルバム本編からは漏れた8曲ということで、曲順などはそこまで練られていません。オープニングこそ②と同じショートチューン「Chutzpah Jnr.」始まりですが、続いて彼らならではのヘンテコアレンジな「The Snake, The Lion, The Monkey And The Spider」、さらにポップなメロディのロックナンバー「All That Zen」、8分の6拍子かと思いきや、途中で何度も転調を迎える「Vernix」、BOOM BOOM SATELLITESを思い出させてくれるデジロック「Under The Waves」など、アルバム『¡CHUTZPAH!』以上にクセの強い楽曲ばかり。ああ、確かにこれはあのアルバムに入れたら浮くわな。

アルバム単位では印象的な作風ではないものの、1曲1曲は非常に考えられた“らしい”ものばかり。彼らに一度でもハマったことがあるリスナーなら聴いておいて間違いない1枚です。


▼THE WiLDHEARTS『¡CHUTZPAH! JNR.』
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以上、長くなりましたが、これが『¡CHUTZPAH!』に関連する一連の作品群となります。良い子は最後に触れた『¡CHUTZPAH! –DELUXE EDITION-』を購入しておけば間違いないと思うよ。けどこれ、限定リリースなので現在は廃盤。店頭で新品を見つけたら即買いですし、中古でもときどき見かけるので根気よく探してみてください。


▼THE WiLDHEARTS『¡CHUTZPAH! -DELUXE EDITION-』
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投稿: 2018 09 02 12:00 午前 [2009年の作品, Wildhearts, The] | 固定リンク

2018年7月24日 (火)

BON JOVI『THE CIRCLE』(2009)

2009年11月にリリースされた、BON JOVI通算11作目のスタジオアルバム。前作『LOST HIGHWAY』(2007年)ではカントリー色を強調した作風で19年ぶりの全米1位を獲得しましたが、続く本作もアメリカで初登場1位を記録。セールス的にはそれまでずっと保ってきたミリオンを初めて割り、50万枚程度(全世界で300万枚)にとどまっています。また、大きなヒットシングルも生まれず、リードトラック「We Weren't Born To Follow」が最高68位に達したのみでした。

では、このアルバムは前作までと比べて駄作なのかというと、まったくそういうこともなく。むしろ、『LOST HIGHWAY』で離れてしまったハードロックファンを少しでも引き戻す魅力が詰め込まれているのではないか、と思っています。

当時のインタビューで、リッチー・サンボラ(G)はこのアルバムについて「ロックンロールに回帰したアルバム。至るところに大合唱できるようなコーラスがあって、“これぞBON JOVI”って内容なんだ。でも、単なる焼き直しじゃなくて、しっかりフレッシュなものだよ」と述べています。ホント、この言葉がすべてなんですよ、このアルバム。

全体のトーンとしては若干暗めで、そこは過去の作品でいうと『BOUNCE』(2002年)に近いかもしれません。が、本作がそこで終わらないのは、闇を抜け出そうとする光が見つけられるところ。ダークな世相を反映しつつも、そこから立ち上がろうとする力が『BOUNCE』以上に強く、トーンは落ち着いているもののポジティヴなイメージを受ける。そこが本作最大に魅力ではないでしょうか。

正直、“いかにもBON JOVI”と言えるような80〜90年代の彼らに近い楽曲は少ないです(ゼロではない)。というよりも、むしろ“これからのBON JOVI”をアピールするような作風と言えるでしょう。実際、今となっては最新作『THIS HOUSE IS NOT FOR SALE』(2016年)ってこの『THE CIRCLE』に比較的近い印象を受けますし。そう考えると、本作から“BON JOVIのジョン・ボン・ジョヴィ(Vo)ソロ作品化”が始まっていたのかな、と。『THIS HOUSE IS NOT FOR SALE』とトーンが近いという点も、そこを踏まえると納得できるんじゃないかな。

また、今作はバラードが全12曲中1曲しかないのもポイント。さらに、近作では当たり前となったボーナストラックも皆無で、トータル52、3分で聴きやすさに拍車をかけてくれます。

コーラスの被せ方やギターフレーズがどことなくU2を彷彿とさせる部分も多々あり、シリアスなテイストもU2っぽいといえば確かにそれっぽい。思えば『KEEP THE FAITH』(1992年)の時点でU2との酷似が取り沙汰されましたが、そんな次元じゃないですね(笑)。これぞ戦うロック。前作が区切りの10作目だとしたら、コテコテのハードロックとも枯れたパワーポップとも大人なカントリーロックとも違う、新しいBON JOVIをここからまた始めたということなんでしょう。リリース当時は印象が薄かったけど、今となっては何度も聴き返す1枚です。



▼BON JOVI『THE CIRCLE』
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投稿: 2018 07 24 12:00 午前 [2009年の作品, Bon Jovi] | 固定リンク

2018年5月 2日 (水)

SLAYER『WORLD PAINTED BLOOD』(2009)

2009年11月にリリースされた、SLAYER通算10作目のオリジナルアルバム。パンクカバー集『UNDISPUTED ATTITUDE』(1996年)を含めると、11枚目のスタジオアルバムとなります。また、本作は同年10月に開催された『LOUD PARK 09』にSLAYERがヘッドライナーとして出演したこともあってか、海外より1週間ほど早い10月末に先行リリースされています(とはいえ、ラウパー開催までには発売が間に合わなかったんですが)。

本作は、3rdアルバム『REIGN IN BLOOD』(1986年)から続いたリック・ルービン体制最後の作品。ここ数作リックはプロデュースそのものには携わってはいなかったものの、エグゼクティブプロデューサーとしては名を連ねていました。本作でAmerican Recordingsとの契約が終了することもあり、リックとの共同作業もここで一旦途切れたわけです。

今作ではMETALLICA『DEATH MAGNETIC』(2008年)SLIPKNOT『VOL. 3: THE SUBLIMINAL VERSES』(2004年)などで知られるグレッグ・フィドルマンをプロデューサーに迎え、スタジオでセッションを重ねながらレコーディングを敢行。セッションに次ぐセッションを経て仕上げられていった楽曲群は、どこかライブ感を重視した雰囲気を醸し出しており、生々しさという点においてはここ数作の中ではダントツだと思います。もともとグレッグがそういったタイプのエンジニアというのも大きいんでしょうね。

オープニングトラック「World Painted Blood」こそ仰々しいイントロを持つ大作ですが、それ以外の楽曲は基本的に2〜3分台のショートチューンが中心。ドラムの音作りが若干軽めなせいもあってか、そこがパンクロック的な抜けの良さと通ずるものがあります。そういった点こそSLAYERにしては異質に感じられますが、楽曲そのものはいつもどおりの残虐で暴力的なヘヴィメタルそのもの。まさに“世界を血で染める”というアルバムタイトルどおり、血生臭い1枚と言えるでしょう。

キャッチーさという点においては、前作『CHRIST ILLUSION』(2006年)やその後の『REPENTLESS』(2015年)に譲りますが、ハードコア度は『DIVINE INTERVENTION』(1994年)に匹敵するものがある気がします。要するに、SLAYERはいつも最高っていうことです(笑)。

これがトム・アラヤ(Vo, B)、ケリー・キング(G)、ジェフ・ハンネマン(G)、デイヴ・ロンバード(Dr)のオリジナル編成最後のアルバムになってしまうなんて、発売当時は考えたこともなかったし、そもそもジェフ最後の作品になるとは誰が想像したでしょう。アルバムとしての印象は全キャリア中でも薄いほうかもしれませんが、ことジェフとの思い出となると非常に重要な1枚なのかもしれません。

今日は5月2日。午後から思い出したかのように引っ張り出し、爆音で聴いております。みんなもこのアルバムを聴いて、ジェフ・ハンネマンという素晴らしいギタリストがいたことを、今日くらいはしっかり思い出してほしいな……。

そしてSLAYERは5月10日、サンディエゴからフェアウェルツアーをスタートさせます。このツアーがいつまで続くのかはわかりませんが、もう一度あの勇姿を目に焼き付けておきたいところです。



▼SLAYER『WORLD PAINTED BLOOD』
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投稿: 2018 05 02 03:00 午後 [2009年の作品, Slayer] | 固定リンク

2018年4月 3日 (火)

EUROPE『LAST LOOK AT EDEN』(2009)

2009年9月にリリースされた、EUROPE通算8作目のオリジナルアルバム。『START FROM THE DARK』(2004年)から数えると、再結成後3枚目のスタジオ作品になります。『START FROM THE DARK』でEUROPEの新しい形を提示しつつ、続く『SECRET SOCIETY』(2006年)ではより進化したモダンなスタイルを確立しようとしましたが、この『LAST LOOK AT EDEN』では『START FROM THE DARK』で試したスタイルをよりクラシカルなサウンド(70年代ハードロック的アプローチ)で表現。以降、最新作『WALK THE EARTH』(2017年)まで続くスタイルの礎となった、起死回生の1枚と言えるのではないでしょうか。

『START FROM THE DARK』で旧知のプロデューサー、ケヴィン・エルソンを迎え、続く『SECRET SOCIETY』ではセルフプロデュースに挑戦したEUROPEは、続く今作でH.E.A.TやAVATARなどを手がけるトビアス・リンデルを迎えて制作。リリース当時、最初にリードトラック「Last Look At Eden」を耳にしたときは、「ようやく吹っ切れたな」と思ったことを今でも覚えています。

確かに、多くのリスナーが彼らに求めるスタイルとは真逆かもしれません。そりゃあみんな『WINGS OF TOMORROW』(1984年)や『THE FINAL COUNTDOWN』(1986年)の頃のスタイルに戻ってほしいと思っていることでしょう。けど、それがやりたかったら、この再結成はなかったんでしょうね。5人がEUROPEという冠の下で今やりたいこと、やれることが「自分たちのルーツに正直になること」だったんだと考えると、この『LAST LOOK AT EDEN』に到達することは非常に納得のいく話だと思います。

特に本作ではストリングスによるオーケストレーションを大々的にフィーチャーした楽曲が多く、その味付けが70年代的仰々しいハードロックサウンドに見事フィットしている。ミドルテンポのヘヴィチューン「Last Look At Eden」や「No Stone Unturned」や「Only Young Twice」、そしてバラードの「New Love In Town」はその最良の結果ではないかと思います。

もちろんそれだけではなく、「The Beast」みたいなアップチューンもあるし、80年代後半の彼らをどこか感じさせる「Gonna Get Ready」もある。「Run With The Angels」みたいにダークな異色作も含まれていますが、このへんは評価がわかれる1曲かもしれませんね。そして、ラストはジョン・ノーラム(G)のメロウでエモーショナルなギタープレイが存分に活かされたバラード「In My Time」で締めくくり。個人的には全体を通して非常に満足の1枚で、再結成後でも1、2を争う良盤だと思っています。

なお、本作は再結成後唯一、本国スウェーデンでチャート1位を獲得。『THE FINAL COUNTDOWN』、『OUT OF THIS WORLD』(1988年)に続く通算3枚目のNo.1アルバムという意味でも、彼らのキャリアにおける重要作品と言えるのではないでしょうか。

もちろん、本作以降すべての作品が良い作品だとは言いません。しかし、再結成から3作目でここにたどり着けたからこそ、EUROPEは80年代に活動していた頃よりも長くバンドを続けられている。それは間違いない事実であり、僕はこの現実を素直に受け入れたいと思います。



▼EUROPE『LAST LOOK AT EDEN』
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投稿: 2018 04 03 12:00 午前 [2009年の作品, Europe] | 固定リンク

2018年4月 1日 (日)

DEAD BY APRIL『DEAD BY APRIL』(2009)

海外では2009年5月、日本では同年10月にリリースされた、スウェーデンのメタルコアバンドDEAD BY APRILのデビューアルバム。このちょっとあとには同じスウェーデンからAMARANTHEがデビューしたりと、2010年代初頭の同国からの新たな波が感じさせられたのも、今となっては懐かしいですね。

ツインギター編成、そしてフロントマンのJimmie Strimmelがひとりでスクリーム&クリーンボーカルを担当するという5人編成で制作されたのはこのデビュー作のみで、その後はギター1本の4人組体制だったり、新たにクリーンボーカル専任メンバーが加わったフロント2名体制だったりと、メンバーチェンジが慌ただしいのがこのバンドの特徴かもしれません(そんな特徴はいらないですが。苦笑)。このデビュー作、リリース直後に輸入盤を購入し、適度にヘヴィ、かつ非常にメロディアスで聴きやすいこともあって、当時よく愛聴した記憶があります。また、のちに国内盤がリリースされ、ボーナストラックが追加されジャケットが差し替えられたこちらのエディションもレーベルからサンプルをいただいたことを覚えています。

なぜ、このタイミングにこのアルバムを引っ張り出したか?と言いますと……はい、4月なので(笑)。こういうタイミングでもないと、きっと触れることもなかったでしょうから。たまにはこういうのもいいですよね。

久しぶりに聴いてみましたが、やっぱりメロディが親しみやすいのが良いですね。適度にシンセをフィーチャーしたりデジタル加工したりしつつも、基本的にはギターとドラムが織り成すザクザク感の心地よさと、スクリームとクリーントーンを巧みに使い分けるボーカル、そして日本人の琴線に触れる切ないメロディライン。ヘヴィメタルと言ってしまえば確かにヘヴィメタルだけど、ギターリフでグイグイ引っ張るよりもギターとドラムが一丸となって生み出すグルーヴ感はメタルコアそのもの。そこにLINKIN PARKEVANESCENCE以降のバンドらしいメロディの強さを加えることによって、あの時代ならではの空気感を作り上げていた。そういうバンドだったんだなと、改めて実感しています。

もちろん、DEAD BY APRIL以前も以降も、この手のバンドはたくさん存在します。そんな中でも、メロディセンスが優れていたという点において、このDEAD BY APRILはほかの同系統バンドよりも頭ひとつ抜き出ていたのではないでしょうか。ぶっちゃけ、スクリームパートを排除してもう少し穏やかなサウンドにしたら、ヒットチャートを賑わすようなポップスとしても通用するような高品質の楽曲ばかりですし。

実は2ndアルバム『INCOMPARABLE』(2011年)まではしっかり聴いていたものの、以降の2作品(2014年の『LET THE WORLD KNOW』、2017年の『WORLDS COLLIDE』)は聴いていなかったので、これを機にほかの作品にもしっかり触れてみようと思います。

なお、2013年に脱退し『LET THE WORLD KNOW』『WORLDS COLLIDE』に不参加だったJimmie Strimmelは、『WORLDS COLLIDE』リリース後にはバンドに復帰。昨年秋には『WORLDS COLLIDE』収録曲数曲をJimmieがスクリームパートのみ歌い直した4曲入りEPやアコースティックEPもリリースされているようです。



▼DEAD BY APRIL『DEAD BY APRIL』
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投稿: 2018 04 01 12:00 午前 [2009年の作品, Dead By April] | 固定リンク

2017年10月23日 (月)

FIVE FINGER DEATH PUNCH『WAR IS THE ANSWER』(2009)

アメリカ・ラスヴェガス出身の5人組バンドFIVE FINGER DEATH PUNCHが2009年秋に発表した2ndアルバム。本作はBillboardアルバムランキングにて最高7位を記録し、100万枚以上を売り上げる出世作となりました(チャート的には以降の作品のほうが上位入りしてますが、セールス的には本作がもっとも売れた作品)。

いわゆる“2000年代のメタルコア”以降のサウンドの持ち主で、非常に“現代のアメリカ的なヘヴィメタル”と呼ぶことができると思います。事実、本作もヘヴィだけど適度にハネたリズムを持ち合わせており、聴けば「PANTERAスタート、LINKIN PARK経由」みたいな印象を受けるんじゃないでしょうか。

しかし、彼らが他のUSメタルコア勢と若干異なったのは、アイヴァン・ムーディー(Vo)の歌唱力と、ハンガリー出身のゾルタン・バソリー(G)の個性が反映されたメロディセンス。アイヴァンはデスボイスだけでなく、メロウなパートでも野太くて嫌味のない、男臭い歌声をしっかり聞かせており、特に「Far From Home」や「Walk Away」といったスローナンバーでその魅力を全力でアピールしています。

楽曲も先に挙げたようなグルーヴメタル的要素を軸にしつつも、至るところから王道ハーロドック的な臭いがプンプンしてくる“新しいのにどこか懐かしい”作風。1曲1曲がコンパクト(基本3分前後)なのも良いし、とにかくスルスル聴き進められるんだけど、聴き流しできないようなフックもそこらじゅうに仕掛けられている。歌メロやギターちょっとしたフレーズやソロプレイからは泣きの要素も感じられ、叙情的なバラードもあればギターが泣きまくりのインストナンバーも登場するので、ヘヴィさ一辺倒なモダンメタルに苦手意識を持っている高齢メタルファンにも引っかかるんじゃないでしょうか。

さらに、そういった層にうってつけなのが、「Bad Company」のカバー。そうです、かのBAD COMPANYのデビューアルバムに収録されていた、あのミディアムテンポのブルースロックナンバーです。リリース当時、MVの影響もあってこの曲はそこそこのヒットになったらしく、事実僕もこのMVを観て聴いてみようと思ったのでした。

ちなみにこのMVは、彼らがイラクに駐在している米兵のために行ったツアーの様子を、ドキュメンタリータッチにまとめたもの。アルバムタイトルである『WAR IS THE ANSWER』というタイトル含め、いろいろ考えさせられるものがありますね……。

この手のバンドに偏見を持っている人にこそ知ってもらいたいバンドのひとつ。だって、近作ではロブ・ハルフォード(JUDAS PRIEST)と共演も果たしてしまっているんですから(まあロブのことだし、って返しはなしな)。



▼FIVE FINGER DEATH PUNCH『WAR IS THE ANSWER』
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投稿: 2017 10 23 12:00 午前 [2009年の作品, Five Finger Death Punch] | 固定リンク

2017年8月31日 (木)

THEM CROOKED VULTURES『THEM CROOKED VULTURES』(2009)

FOO FIGHTERSのデイヴ・グロール、QUEENS OF THE STONE AGEのジョシュ・ホーミ、LED ZEPPELINのジョン・ポール・ジョーンズという世代を超えた人気ロックバンドのメンバーが結成したスーパーバンド、THEM CROOKED VULTURESが2009年に発表した現時点で唯一のアルバム。

このバンドの構想自体は2005年頃からあったようで、それぞれ忙しいメンバーだけになかなかスケジュールが合わず、いざ動き始めたのは2009年に入ってから。同年7月にレコーディングを開始し、8月にはシカゴで初ライブ。そのままヨーロッパをツアーしながらレコーディングを続け、同年11月に本作『THEM CROOKED VULTURES』がリリースされました。

このバンドではジョシュがボーカル&ギター、デイヴがドラム、ジョンがベースやキーボードなどさまざまな楽器を担当。ライブではサポートメンバーでギタリストがもう1人加わっています。

ジョシュとデイヴはQOTSAの3rdアルバム『SONGS FOR THE DEAF』(2002
年)で共演したほか、デイヴは同作のツアーでもドラムを担当。またジョンはFOO FIGHTERSの5thアルバム『IN YOUR HONOR』(2005年)にゲスト参加しており、デイヴを中心にそれぞれつながりがあったわけですが、とはいえこの3人が本当につながるなんて当時は考えてもみませんでした。

とはいえ、この3人でバンドをやるなら……と想像すると、ジョシュがボーカルの時点でどこかQOTSA的なものになるんだろうなと。そこに曲作りでどこまでデイヴやジョンのカラーが反映されるのか、それによってバンドの方向性がある程度固まるんだろうなと考えていましたが、本当にその通りの内容だったので、最初はちょっと肩透かしを食らったことを覚えています。

わかりやすく表現すれば、QOTSAからストーナーロック的な側面を排除し、ブルースベースのクラシックロック……CREAMやLED ZEPPELINなどの60〜70年代ハードロックをこの3人流に解釈したのがこのアルバム。「Elephants」「Reptiles」なんてツェッペリン的だし、「Scumbag Blues」はCREAMっぽいコーラスが入るし。でも、そこに1969年生まれのデイヴ、1973年生まれのジョシュの個性が加わることで単なるクラシックロックの焼き直しにならない、ロックンロールリバイバル以降のフレイバーが散りばめられたエバーグリーンなロックアルバムに昇華されているのではないでしょうか。

あと、本作を聴いてジョン・ポール・ジョーンズのマルチプレイヤーぶりに改めて驚かされたのをよく覚えています。アルバムではベースのほかにキーボード、ピアノ、クラヴィネット、オプティガン(メロトロンの光学式ディスク使用版)、マンドリンなどをプレイしており、こういった楽器の導入がツェッペリンを彷彿とさせるサウンドを現代に再降臨させることに成功しているのですから、ジョンジーさまさまですね。

ただ、アルバム自体はメリハリがあまりなく、ゆるゆると進行していく印象も。好きなことをただ好き放題やった結果なのでしょうが、全13曲で70分近いトータルランニングも影響しているんでしょうね。もちろんこれだけあればライブ1本フルでやるには十分なんですけど、そのライブも……2010年のフジロックで観たときは正直、そこまで盛り上がらなかったなぁと。もし2枚目が制作されることがあれば、よりバラエティに富んだ内容に期待したいところです。



▼THEM CROOKED VULTURES『THEM CROOKED VULTURES』
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投稿: 2017 08 31 12:00 午前 [2009年の作品, Foo Fighters, Led Zeppelin, Queens of The Stone Age, Them Crooked Vultures] | 固定リンク

2017年7月23日 (日)

ALICE IN CHAINS『BLACK GIVES WAY TO BLUE』(2009)

2002年4月、レイン・ステイリー(Vo)の急死をもって、その活動に幕を下さざるをえない状況に追い込まれたALICE IN CHAINS。それから4年後、彼らは新ボーカリストにウィリアム・デュヴァールを迎え再始動。オリジナルアルバムとしては1995年の3rd『ALICE IN CHAINS』から実に14年ぶりに発表されたのが、本作『BLACK GIVES WAY TO BLUE』です。

ミドルテンポで引きずるようにヘヴィで陰鬱なスラッジサウンドはそのままに、あの“聴いてるだけでどこか不安な気持ちになってくる”も健在。冒頭2曲「All Secrets Known」「Check My Brain」を聴けば、間違いなく「あのALICE IN CHAINSが帰ってきた!」と実感できるはずです。

3曲目「Last Of My Kind」に入り、ようやくウィリアムの本領発揮。レインのような“爬虫類的でカリスマチックな”歌声ではないものの、深みのあるパワフルな歌声を響かせてくれる。最初こそこのALICE IN CHAINSサウンドに別の声が乗ることに違和感があったけど、何度か聴き返しているうちにそれも慣れてくると思います。

全体的な構成は、前作にあたる『ALICE IN CHAINS』の延長線上にある作風。しかし、レインのドラッグ癖で思うように活動できず無理矢理仕上げた感も多少なりともあった『ALICE IN CHAINS』と比べると、本作はより整理されている印象が強い。もちろん、前作はその無理矢理感が良い方向に作用していたわけで、あれと同じもの、あるいはそれに近いものを再び作ることは不可能。そういう意味では、ここには前作で試みた挑戦の完成型が存在しているのではないでしょうか。あの当時は『ALICE IN CHAINS』こそがAICサウンドの究極型だと思っていたけど、その続きがあったとは(いや、その続きが聴けることになるとは)……長生きはしてみるものですね。

ジェリー・カントレル(G, Vo)がメインで歌う「Your Decision」なんて、まんまALICE IN CHAINSじゃないですか(当たり前の話ですが)。でも、そこには不条理さも混沌さも存在しない。それが聴く人によってはもの足りなさにつながるかもしれませんが、1枚のロックアルバムとしての完成度は非常に高い。グランジブームが終焉した1994〜5年頃から10数年経ち、ようやく本家のうちの1組が万全の体制で“あの頃”にけじめをつけた。この『BLACK GIVES WAY TO BLUE』はそういう、今後活動を続けていくために作らなくてはいけなかったアルバムなんじゃないでしょうか。

「Your Decision」のラストフレーズ“It's Over”を耳にするたび、そう思わずにはいられません(で、前作のラストナンバーが「Over Now」だったのにも、何かの因縁を感じるという)。



▼ALICE IN CHAINS『BLACK GIVES WAY TO BLUE』
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投稿: 2017 07 23 12:00 午前 [2009年の作品, Alice in Chains] | 固定リンク

2017年7月22日 (土)

DEAD BY SUNRISE『OUT OF ASHES』(2009)

LINKIN PARKのチェスター・ベニントン(Vo)が現地時間7月20日朝、ロサンゼルスの自宅で亡くなっているところを発見されました。自殺だったとのことです(詳細はこちら)。LINKIN PARKは来週から新作『ONE MORE LIGHT』を携えた北米ツアーも控えており、そのうちの数ヶ所には11月の来日公演で共演するONE OK ROCKがゲスト出演する予定でした。

11月の来日公演には僕も足を運ぶ予定だったので、ぶっちゃけ驚きを隠しきません。いや、ショックといったほうが正しいか。深夜にこの報せを受け、そのまま眠れずに朝を迎えてしまったのですから。

ふとLINKIN PARKの音源を手にとってみようとしたら、しばらく聴いていなかったこのアルバムが目に入りました。そういえば、これはまだ取り上げてなかったな……今日はチェスターのソロプロジェクト・DEAD BY SUNRISE唯一のアルバム『OUT OF ASHES』(2009年)を紹介することにします。

このプロジェクトは2005年頃に立ち上げられ、LINKIN PARKの3rdアルバム『MINUTES TO MIDNIGHT』(2007年)のレコーディング開始前にこの『OUT OF ASHES』を制作したとのこと。プロデューサーにハワード・ベンソン、制作パートナーに元ORGYのギタリスト2人、ライアン・シャックとアミア・デラクを迎え本作を完成させました。作風的になんとなく『MINUTES TO MIDNIGHT』で聴けるストレートなサウンドは、すでにこのDEAD BY SUNRISEを立ち上げた時点から決まっていたのですね。

とはいえ、LINKIN PARKとDEAD BY SUNRISEはボーカリストとソングライター(の一部)が一緒というだけで、バンドとしては別モノ。特にこのDEAD BY SUNRISEはヒップホップ色皆無ですし、よりダークさが強まっている印象があります。ゴシック的なダークさではなく、90年代初頭のグランジあたりに蔓延していたダークさと言ったほうがわかりやすいでしょうか。

適度にプログラミングなどを導入していますが、基本的にはギターを軸にしたハードロック。本作でのチェスターは激しさよりも、歌をじっくり聴かせることに注力しているように感じられます。「Crawl Back In」でのグランジ的作風はLINKIN PARKにはないラフさがあるし(これがのちのSTONE TEMPLE PILOTS参加につながるとは、当時は思ってもみませんでしたが)、バラード調の「Give Me Your Name」で美しい歌声を聴かせたかと思えば、続く「My Suffering」や「Condemned」では初期LINKIN PARKを思わせるスクリームを響き渡らせる。「Inside Of Me」みたいにLINKIN PARK的な楽曲もあるけど、それ以上に耳に残るのは、「Let Down」や「Into You」、そして「In The Darkness」のようなムーディーな歌モノ。同じシンガーによる2つのバンドの比較は避けきれませんし、それによってファンは本作を「LINKIN PARKより劣る」と判断してしまうかもしれません。実際、自分もリリース当時はそう感じたんですから。

でも、久しぶりに聴いてみたら(チェスターの死を抜きにしても)しっかり楽しめる1枚になっていた。これってもしかしたら、LINKIN PARK自体の方向性が少しずつDEAD BY SUNRISEに歩み寄っていたのもあるのかも……なんていうのは、言い過ぎでしょうか?

結果的には1回こっきりのプロジェクトで終わってしまいましたが、この続きがもしあったのなら……いや、“たられば”はやめておきましょう。今は彼が残した数々の名作に浸ることにしましょう。



▼DEAD BY SUNRISE『OUT OF ASHES』
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投稿: 2017 07 22 12:00 午前 [2009年の作品, Dead By Sunrise, Linkin Park, Orgy] | 固定リンク

2015年10月 6日 (火)

MEGADETH『ENDGAME』(2009)

前作が7thアルバム『Cryptic Writings』以来10年ぶりにBillboardアルバムチャートでトップ10入り(8位)を果たしたMEGADETHが、ほぼ2年というインターバルで発表した通算12枚目のアルバム(今作も9位にランクイン)。

今作でギタリストがクリス・ブロデリックに交代したものの、作風は前作の延長線上にある内容で安定したメタルチューンの数々を楽しむことができる。オープニング「Dialectic Chaos」が久しぶりにインストから始まり、そのままさらにスラッシーな「This Day We Fight!」へとなだれ込む構成も気持ち良い。

かと思うとドラマチックなイントロの「44 Minutes」もある。ポップとは意味合いが異なるメロウな王道メタル+MEGADETHらしさという、4th以降に彼らが成し遂げたかったこともここでようやく迷いなく示すことができるようななった印象。

個人的にはリリース当時は前作よりも印象が弱いイメージがあったが、こうやって改めて聴いてみたら前作よりも好きかもしれないと思えるほど気に入った。ボーナストラックを除いて44分程度という昔ながらのランニングタイムも、1枚通して聴くときに好印象を与えてくれる。2000年代でもっとも“らしい”アルバムと言えるのではないだろうか。なお、本作を携えたツアー中にムステインの戦友・エルフソンがバンドに復帰する。



▼MEGADETH『ENDGAME』
(amazon:国内盤CD / 輸入盤CD

投稿: 2015 10 06 12:10 午前 [2009年の作品, Megadeth] | 固定リンク

2010年1月 3日 (日)

BEST OF 2009(洋楽アルバム編)

さて、昨日から引き続き2009年の総括・洋楽編です。洋楽アルバムに関しては仕事上で聴くものとプライベートで聴くものとでジャンルに偏りが出てしまうのですが、そのおかげで幅広いジャンルを聴くことができているのかな、なんて思ったり。いわゆる国内盤がリリースされているものから、外盤でしか手に入らないしょーもないメタルまで、ホントさまざまです。中には一度聴いてそれで終わりという作品もあったり、逆に「あれー、これ去年のアルバムかー。なんでもっと早く聴かなかったんだろう?」と時期を逃してしまったものもあったり。ま、それは2009年に限ったことではなく、例年いつだってそうなんだけど。

で、2009年の洋楽アルバム。正直困ったなぁというのが本音。こちらは仕事抜きでゼロから選び始めたので、それこそジャンルがとっ散らかっていたり、あれも入れたい、これも外したくないと選んでたら、最終的に10枚を超えていて。一応前回の邦楽編と同じ規定に従って5枚にまで絞りましたが、あくまでこれは2010年1月2日深夜の時点での5枚かな。きっと1日経ったらまた変わるだろうから。そういう心づもりで読んでもらえると幸いです。

本当にね、なんであれを外さなきゃならなかったんだろうってのも多かったんですよ。それこそ「メタルだけで5枚とか別の機会にやろうかな」なんて思うくらいに。ま、やらないんですけど(苦笑)

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▼MANIC STREET PREACHERS「JOURNAL FOR PLAGUE LOVERS」(amazon:日本盤US盤

結局、来日しないし(苦笑)。まぁこのバンド、このアルバムに関しては過去のエントリーをじっくり読んでいただきたい。それで十分でしょう。リリースから半年以上経ったけど、僕の気持ちは変わらないです。



▼MUSE「THE RESISTANCE」(amazon:日本盤US盤

これは賛否両論激しかった1枚でしたね。海外では評価高いのかな……いや、よく知らないんだけど。先行シングル「Uprising」を指して「MARILYN MANSONみたい」という理由で批判する人がいたのには閉口したけど、その後に届けられたこのアルバムについても、あれやこれや……。正直、僕もこのアルバムを初めて聴いたときは「なんじゃこりゃ……」と言葉を失ったけど(良くも悪くもね)、だけど「じゃあ今年(2009年)、他にこんなアルバムあったか?」と自分に問いかけてみると思い当たらない。それだけ衝撃が大きなアルバムだったことは間違いないわけで。

前作がひとつの大きな分岐点になったのは間違いないと思うんだけど、あの大ヒットを受けてMUSEが“どっち”側に転がっていくのか。それがこのアルバムに遺憾なく発揮されていると思います。別にこのバンドのやることならなんでもOKとは言わないけど、確実に僕個人の趣味の範疇に近づいてきたな、と。最終的にはそこに尽きると思います。あくまで個人的には、ね。



▼GIRLS「ALBUM」(amazon:日本盤US盤

とにかく不思議なバンド。ローファイ。パワーポップ。変態。でも美しいくてピュア。いろんな例えができるサウンドで、バンドに対する前情報や歌詞を目にすることなしに聴いたらどんな反応を得るのか……恐らく多くの人は雑誌やらネットで得たこのバンドに対する事前情報で、彼らに距離を置いたりちょっと敬遠したりするのかもしれない。逆に、これはちょっと聴いてみたいなと興味を持つかもしれない。実際、僕は後者だったんですが……そういった前情報がなくても、これは純粋に音/楽曲だけで気に入ってただろうな。

パワーポップの中でもかなり60's寄りのサウンドで、しかもサイケデリック調で、かなりカルトチックな雰囲気を醸し出してる。ぶっちゃけ、このバンドの評価って0か100のどちらかだと思うんです。でも、そこを乗り越えたときに初めて分かち合える“何か”を持ったアルバムなんじゃないかな……そう信じてます。きっと3年後にはハイプとして片づけられちゃうかもしれない。でもいいじゃない。こういうのってリアルタイムで体験してこそでしょ?



▼THE QEMISTS「JOIN THE Q」(amazon:日本盤US盤

2009年、もっともライブを観れなかったのが悔やまれるのがTHE QEMISTS。サマソニ……(今更悔やんでも仕方ないんだけど)。海外ではPENDULUMあたりと比較されてるみたいだし、そのPENDULUMも2008年のサマソニで好評だったから、本当に観たかったんだよね。

ま、その話はまあ今度じっくり語るとして。正直、THE QEMISTSの音ってニューレイヴやエレクトロの流れにあるものなんだろうけど、根本にあるのはロックに近いような気がして。だから僕みたいな人間にも親しみやすいんだろうし、そういう意味では90年代のTHE PRODIGYに立ち位置が近いような。同じような理由で彼らに興味を持った、そしてハマッたロックファンも多いんじゃないでしょうか。トレンドって意味では決して新しい音ではないんだけど、個人的には一周回って(カッコイイとは言わないまでも)新しい気がしました。



▼CONVERGE「AXE TO FALL」(amazon:日本盤US盤

2009年一番の衝撃はこのアルバムと、今年12月頭に行われたCONVERGEの来日公演でした。そう言い切れるくらい、インパクトの強い作品、強烈なライブでした。。

“激情、カオス、そして悲しみ”……このアルバムを通して聴いたとき、こんな言葉が脳内に思い浮かんだんだけど、これが合ってるかどうかは別として、個人的にはこういうアルバムはひさしぶりな気がしました。この3つの要素のうち、どれか2つが揃っているアルバムはたくさんあるんだけど、そのすべてが揃うのは希かな、と。でも、メタルのそれとはまた違うんですよね。エモのそれともちょっと違っていて……って、なかなか表現が難しいんだけど。

単純に頭振れるってだけの音じゃない、非常に知的で感情をダイレクトに出しつつも、どこか抑制したりコントロールしてる。そこがこのアルバム、このバンドの魅力なのかなと個人的には思ってます。

投稿: 2010 01 03 02:57 午前 [2009年の作品, 「1年のまとめ」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2010年1月 2日 (土)

BEST OF 2009(邦楽アルバム編)

先月、某音楽雑誌からの依頼で2009年の邦楽シーンを振り返るアンケートに答えたのですが、これについて考えているときに「そういえばここ4年くらい、ブログで1年のまとめ的なこと書いてないなぁ」なんてことに気づいてしまって。実は毎年毎年、その候補となるようなアルバムだけは20枚くらい書き留めるようにしてはいるんですが、そこで終わってしまっていたんですよ。なので今回は……まぁ世間的には“ゼロ年代”とやらの終わりの年なので(そもそもこの言い方は大嫌いなのですが)、たまにはいいかなと思ってそのアンケート結果をもとに、拡張版をここに書いていこうかなと思います。

以前ここの読者さんにもアンケートに答えてもらう形式とは違って、今回は「邦楽アルバム5枚」「洋楽アルバム5枚」「邦楽シングル5枚」「良かったライブ3本」「2009年を象徴するアーティスト」「2009年印象に残った新人アーティスト」みたいな項目で回答していこうかなと思います。

というわけで、今回は邦楽アルバム編です。実際雑誌用には3枚しか選んでなくかったんだけど(しかも無理矢理順位付けてたし)、今回はさらに選出できなかった候補から2枚追加した5枚を選んでます。

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▼detroit7「Black & White」(amazon:日本盤

正直な話、自分にとってdetroit7って「外タレのライブに行くとオープニングに出てくるオルタナバンド」という存在でしかなかったんだけど、このアルバムを聴いて考えを改め直しました。で、この音を聴いて確実にライブが観たくなって、何本かライブにも行ったなぁ。恐らくここ数年、こういう昇り調子だったとは思うんだけど、その成果が上手く表現されたアルバムだと思います。detroit7は早くも1月に、さまざまなアーティストと曲毎にコラボしたミニアルバムをリリースしますが、そこでさらに化けてくれるはず。まだまだ本性を現しきってないと思うので、2010年も目が離せそうにないです。



▼フジファブリック「CHRONICLE」(amazon:日本盤

12月上旬の段階ではこのアルバム、候補の10枚には選んでたんだけどトップ5とかトップ3に入れるのは違うなと思ってたんですよ。自分にとっては2008年の「TEENAGER」が完璧すぎたので、この“新たなステージに向かう過渡期的な1枚”は評価こそしてるけど、ベストに選ぶのは違うのかなって。だけど……新年早々あまりしんみりするのも違うと思うけど……もうこれは、作品の内容以上に別の要因が強すぎて、選出するしかないなと。ホント、これに続くアルバムがどうなっていたのか……今後の展開などいろいろ耳にしていただけに、残念でなりません。まだフジファブリックの音を聴いたことない人がいたら、前作「TEENAGER」もしくはこの「CHRONICLE」から触れてみてはどうでしょう。もちろん、「FAB FOX」でもいいわけですが。



▼KREVA「心臓」(amazon:日本盤初回DVD付日本盤通常

ヒップホップ、特に日本のシーンに疎い自分がこのアルバムを選ぶのはどうなんでしょう……でも明らかなのは、KREVAはヒップホップの枠を超越して、ひとつのポップス、カルチャーとして存在していること。特にこのアルバムは過去のソロ作と比較してもヒップホップ度が薄いかもしれないけど、このタイミングでこれを出さなきゃならなかった意味みたいなものが強く感じられる1枚でした。コンセプトアルバムというわけではないだろうけど、確実にそう思わせる構成/作風なのも、自分が気に入った要因なのかもしれないし。あと、秋に始まったツアーを観てしまったのも選出した要因のひとつかな。ライブ観てから、このアルバムを聴く頻度はさらに上がったし。ここ数年さまざまなフォロワーが登場したけど(特に誰とは言わないけど)、そんな後続たちを一気に引き離す、圧倒的な1枚だと思います。



▼DEAD END「METAMORPHOSIS」(amazon:日本盤初回DVD付日本盤通常

DEAD ENDは自分にとって特別な存在なんです。このバンドがいなかったら10代後半から20代前半、自分はバンドで飯食っていこうなんて考えなかったし、またシーンにおいても90年代以降のV系バンドに大きな影響を与えたわけだし。メジャーでの活動期間も本当に短くて、リアルタイムではたった1回しか観てないんですよね。そんな伝説のバンドが、20年ぶりに再始動して。個人的にはユニコーン以上に“ありえない”再結成(正確には解散してないので再始動ですが)だったわけで。8月の幕張メッセの復活ライブは衝撃以外の何ものでもなかったし、その上全盛期メンバーで作った20年ぶりの新作も「ZERO」と2009年の間の空白(=20年)を自然に繋ぐ内容だったし。なんかもう、言葉にするのも勿体ないくらいの凄みや衝撃が詰まった1枚だと思います。恐らくその内容以上に自分の思い入れが勝ってしまっているのかもしれないけど、そんなのどうでもいいや。2009年という年にDEAD ENDとGUNS N' ROSESが観れた……それだけで十分です、自分にとっては。



▼吉井和哉「VOLT」(amazon:日本盤初回DVD付日本盤通常

80年代の自分にとってDEAD ENDが大切だったように、90年代の自分にはTHE YELLOW MONKEYがいた……なんてことをふと、最近出たトリビュートアルバムを聴きながら思い出したわけですが(実はそこまで大切な存在だとは当時思ってなくて、普通に追ってたくらいの心づもりだったんですが、よくよく考えるとイエモン以降そういうバンドっていないんですよね、自分にとって)。で、イエモンが正式に解散する前後からスタートした吉井のソロ。ライブは正直怖くて観に行ってなかったんだけど、3rdソロ「39108」リリース前後のフェス出演を機に、自分の中で吉井に対する認識が変わって。吉井の健在ぶりとイエモンの不在を同時に感じ、それ以降は機会あるごとにライブを観に行ってるわけです。

で、個人的には「39108」以降のアルバムはどれもグッとくるものばかりで(YOSHII LOVINSON時代も良いんだけど、聴くときの体調によって持ってかれちゃうからね)、そんな中でも「VOLT」の漲り度はハンパないっつうか。ライナーでRO界隈の方々もイエモン「SICKS」との比較をされてますが、恐らくそう感じたファンは自分含め多かったはず。そのくらい「おお、ここまで来たか!」と思ったのと同時に、怖いな……とも思ったわけで。鉄壁すぎて、これライブでどうするんだろうとか思ってたら、ちゃっかりライブでは全曲披露してたりして。もちろんライブも文句なしで、吉井ファンとしては年末の吉井武道館(ソロ時代のグレイテスト・ヒッツ的内容)含め大満足の1年だったと思います。

なんて言うか……音の粒子が凝縮されたような太い音。バンドサウンドしかり、歌しかり。楽曲的にもバラエティに富んでいて、最後の最後「またチャンダラ」でほわほわした空気で終わって、また頭から聴き返そうとすると鉄壁な「ビルマニア」が始まる。中毒性という意味で、非常に「SICKS」に近いのかな、と。やってることは違うんだろうけど、そこにある精神性みたいなものは非常に近いと思います。

となると、本当に次が心配なんですが(苦笑)、吉井の話だと次のアルバムは1年後みたいなので(「VOLT」から2年ぶりってことか)、まぁ焦らずに待つことにしますか。きっとまた全部をご破算にするような新たな試みを始めるかもしれないしね、あの人のことだから。

投稿: 2010 01 02 03:16 午前 [2009年の作品, 「1年のまとめ」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2009年8月 3日 (月)

Sparta Locals解散

Sparta Locals、11年間のバンド活動に終止符(ナタリー)

ついに発表されちゃいましたか。いや、9月のワンマンライブのタイトルが「ラストダンスはあなたに」(THE DRIFTERS「ラスト・ダンスは私に」が元ネタ?)になると知った時点で、最悪の事態は想定できたのですが……それに加え、外部からいろいろ伝わってくる噂などもあって、いつ発表されてもおかしくないんだろうなと思ってた。それなりに覚悟はできてたとはいえ、いざ発表されると思っていた以上にショックですね。

このバンドにちょうど1年前、インタビューをしていて。インディーズに移って最初のアルバム「Leecher」発売に伴い行われたものでした。

新たなスタートをきる『SPARTA LOCALS』にインタビュー!(YAMAHA gage)

個人的にこの「Leecher」というアルバムは、“2008年の10枚”に真っ先に挙げるアルバムでした。それくらいよく聴いたし、もっといろんな場所で爆音で鳴らすべき作品だと思ったし。だからこそ、インタビューでも語られていた「Leecher」に続く新曲たちをもっとたくさん聴きたかったな。結局、この1年間でリリースされた新曲って今年の頭に出たシングル「水のようだ」とそのカップリング「サーカス小屋の少女」だけ。勿体ないよ、本当に……。

彼らはこの春、キャリア初となる海外ツアーをアメリカで実施しました。「SXSW」の「Japan Nite」の一環として行われたこのツアーに動向した人の話ですが、Sparta Localsのライブは現地の人にかなり熱狂的に迎えられたとのこと。実際に動向した別のバンドのスタッフの方々は、「へっ、スパルタってこんなバンドだっけ!?」とかなり驚かされたそうです。そのパワフルなパフォーマンスは、シングル「水のようだ」にも9曲ほど収録されてますが、本当にここ最近の彼らのライブは(特に新曲を伴ったパフォーマンスは)強烈なものだったと思います。

確かに、従来のファンからすると「Leecher」というアルバムは賛否両論の1枚だったかもしれません。バンドが新たなステージに突入したのと同時に、新たなスタイルを確立しようとした。決して「Leecher」というアルバムでは、そのスタイルは完成していなかったし、本当ならもう1枚ないし2枚はリリースを重ねて、現編成での「Sparta Locals第2章」を我々に提示してほしかったな、というのが本音です。

ラストライブ、観に行こうかどうか非常に悩んでます。確かにこれを観逃せばもう彼らのライブを楽しむことはできない。だけど、本当はもっとフラットな気持ちでSparta Localsのライブを楽しみたかったというのもあって。だけど……結局足を運んでしまうんでしょうね。

この曲も、そしてビデオも、とても素晴らしい出来だっただけに、本当に残念でなりません。



▼Sparta Locals「水のようだ」(amazon:日本盤

投稿: 2009 08 03 01:43 午前 [2009年の作品, Sparta Locals, 音楽] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2009年7月31日 (金)

STEEL PANTHERがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!

多分、現在多くのHR/HMファンが注目しているであろうバンド、STEEL PANTHER。8月上旬に予定されている初来日公演は、キャパの小ささも関係してか即日完売。これ、まだ日本盤アルバムが発売されるまでの出来事だからね(アルバムは来日公演翌日にリリース)。すでに輸入盤はリリースされているし、YouTubeなどでも彼らのライブ映像がたくさん公開されてるから、そのへんから彼らに注目したって人も多いことと思います。

僕自身もYouTubeでいろんなビデオ(特にお約束的な80'sハードロックのカバー映像)を観て、彼らにハマッたクチ。当然アルバムも買って、ヘヴィローテーション中。これは何をしてでも観たいバンドだよね確かに。

カッコよすぎる。ちょっとTWISTED SISTERの「We're Not Gonna Take It」を彷彿とさせる作風がいいよね。ギターが昔のジョージ・リンチ・モデルっぽかったり、サビ前のフレーズがGUNS N'ROSES「Sweet Child O'Mine」を引用してたり。

個人的に好きな映像が、これ↓。コリー・テイラー(SLIPKNOT)が飛び入りして、POISON「Nothin' But A Good Time」を一緒に歌うやつ。コリー、完全にブレット・マイケルズになりきってるし。

もともとはロスで80's HR/HMの名曲をカバーする目的のバンドだったのが、気がついたらオリジナル曲もやってた。そんなところでしょうね。メンバーには元FIGHT(ギター)とか元L.A.GUNS(ボーカル)といった名のあるバンドのメンバーもいるしね。

アルバム自体は決して新しいことをやってないし、これを2009年に出すってどうなのよ!?的な批判もあるかもしれない。でも、敢えてこれを2009年に堂々とやることに意味があるように思えるんだよね。確かに海外ではこの手のハードロックが再評価されてるし、当時のいろんなバンドが再結成してる。でも再結成組はあの頃の魅力を完全に再現できてないし、何か新しいことをやろうとしても……ねぇ? だったら若い世代がまんまやればいいって話ですよ。

ま、STEEL PANTHERのメンバーが全員、本当に若いとは思えないけど……トリビュートバンドはどこの世界にもいるし、それこそ日本でもサマソニに行けばそういったバンドがステージに出てるわけだし。偏見を捨て去って、その感覚で観れば十分に楽しめるバンドだと思います。



▼STEEL PANTHER「FEEL THE STEEL」(amazon:日本盤US盤

投稿: 2009 07 31 12:22 午前 [2009年の作品, Steel Panther] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2009年7月18日 (土)

MANIC STREET PREACHERS『JOURNAL FOR PLAGUE LOVERS』(2009)

MANICS STREET PREACHERSがスティーヴ・アルビニと仕事をすると知ったとき、もうそれだけで勝利は決まっていたと思うし、そのアルバムが“リッチー・エドワーズの遺した詩を使った『THE HOLY BIBLE』(1994年)の続編”になると聞いて、その思いはさらに強い確信へと変わっていった。そう思ったMANICSファンは多いはずだと思う。

決して前作『SEND AWAY THE TIGERS』(2007年)は駄作だと思わないし、実際にここ数作の中ではもっともヒットした1枚だと思う。でも、個人的にしっくりこなかった。それだけの話であって、だから2年前のサマソニにも足を運ばなかった。それについては、ちょっとだけ後悔してる部分もあるけど(その後、単独来日公演が実現しなかったからね)。

さて。前作から2年ぶり、通算9作目のオリジナルアルバムとなる本作。『THE HOLY BIBLE』と双子のようなキリキリ/ヒリヒリした重苦しい作品集を期待した人も多いと思うけど、実際にはちょっと違ってた。確かに『THE HOLY BIBLE』やそれ以前の2枚(『GENERATION TERRORISTS』『GOLD AGAINST THE SOUL』)の要素を中心に起きつつ、それ以降……つまり“リッチー不在後”のサウンドも何の臆面もなく、積極的に導入してみせる。ある意味では集大成ともいえる作風で、だけど“あの頃のMANICS”が戻ってきたともいえる内容。そのバランス感であり、説得力は前作にはなかったものだと思う。これは、ある意味“覚悟が違う”んだろうね。そんな気がした。

1曲1曲を取り出して、この曲は○○からの影響が強くて、この○○って曲には『THE HOLY BIBLE』のアノ曲のフレーズが引用されてる、とか。そういうことはこの際どうでもいい。いや、本当はよくないんだけど、ぶっちゃけそんなことがどうでもよくなるほどにMANICSらしいアルバムだなぁ。僕は『KNOW YOUR ENEMY』(2001年)での“第2のデビューアルバム”感も、『LIFEBLOOD』(2004年)での“実験しながら迷走”感も大好きだった。だって、そのダメさ加減がいかにもMANICSらしいじゃない、人間らしいくていいじゃない。MANICSってそういうバンドだったじゃないか。“4 REAL”事件も、「30曲入り2枚組デビューアルバムを1位にして解散」発言にしても、その後の解散撤回にしても。そんな愛すべきMANIC STREET PREACHERSが帰ってきた。僕にとってはそう思えるし、『KNOW YOUR ENEMY』→『LIFEBLOOD』→『JOURNAL FOR PLAGUE LOVERS』という流れは、なんとなく『GENERATION TERRORISTS』→『GOLD AGAINST THE SOUL』→『THE HOLY BIBLE』の流れに共通してる部分がたくさんあると思うんだよね。だからこそ、『SEND AWAY THE TIGERS』というアルバムが(決して悪くはないんだけど)どうにもしっくりこない。ま、結果論でしかないのかもしれないけどさ。

UKツアーでは彼ら、2部構成のライブを行ったんだとか。1部で新作を曲順どおりに全曲披露。2部でおなじみのヒット曲を演奏する構成。そうする必要は絶対にあると思う。今後はどうかわからないけど、今はこの流れでひとつの作品……ぶっちゃけ、日本盤ボーナストラックを除く13曲で1曲なんだと。別にコンセプトアルバムでもなんでもないんだけどね。だけど……わかるよね?

あと数日で、MANICSは再び日本のフェス(NANO-MUGEN)出演のために来日する。今回もフェス、しかも単独公演はなし。恐らく1時間程度のセットリストだろうから、新作完全再現もないだろうし、さっそく新作の曲を数曲取り入れたグレイテストヒッツ的内容になるんだろうね。かなり残念だけど、前回見逃してる分を取り戻したいと思う。当然2日間とも行くし、その翌日のアコースティックセットにも足を運ぶ。こんな機会でもないと、彼らのアコースティックライブなんて観れないからね。

さて……アジカンやスピッツ、the HIATUSを目当てに会場に足を運んだ若い子たちに、この音がどう響くのか。とくと見届けてやろうじゃないですか。

……ということを夕べ書いて用意しておいたんです。そしたら、ね。ご存じのとおり、ニッキーの急病で来日キャンセル。あちゃー。これはもう、完璧な単独公演を待つしかないね。とにかく、ニッキーお大事に。



▼MANIC STREET PREACHERS『JOURNAL FOR PLAGUE LOVERS』
(amazon:日本盤海外盤

投稿: 2009 07 18 12:05 午前 [2009年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック