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カテゴリー「2009年の作品」の26件の記事

2021年9月27日 (月)

NEW YORK DOLLS『'CAUSE I SEZ SO』(2009)

2009年5月5日にリリースされたNEW YORK DOLLSの4thアルバム。日本盤未発売。

2004年に再結成を果たし、2006年にはデヴィッド・ヨハンセン(Vo)とシルヴェイン・シルヴェイン(G)のオリジナルメンバーに元HANOI ROCKSサミ・ヤッファ(B)、菅野よう子とのコラボレーションで知られるスティーヴ・コンテ(G)、そしてブライアン・デラニー(Dr)にブライアン・クーニン(Key)の6人で制作した32年ぶりのオリジナルアルバム『ONE DAY IT WILL PLEASE US TO REMEMBER EVEN THIS』で完全復活を果たしたNEW YORK DOLLS。しかし、ブライアン・クーニーはアルバム発表後にバンドを脱退、以降は残された5人で活動を続けることになります。

レーベルをRoadrunner RecordsからAtlantic Records傘下のATCO Recordsに移籍して、約3年ぶりに届けられた再結成後2作目のアルバムは、バンドのデビュー作を手がけたトッド・ラングレンを再度プロデューサーに起用。前回は新たな門出を祝福するようにさまざまなゲストミュージシャンが参加していましたが、今回は5人のみでがっつりレコーディングに臨んでいます。この時点で、バンドが何を求めていたのかが想像できそうですね。

基本的には前作の延長線上にある、少々硬質感を強めたロックンロール/ガレージロックがベース。ただ、楽曲の質感や適度なユルさが前作以上といいますか、良い形で70年代の往年の雰囲気を取り戻し始めている。そこに楽曲の良さ(R&Bを下地にしたガレージロック)が加わり、良い作用を生み出しています。ぶっちゃけ、前作は30数年ぶりの復活ということもあり、力みも多少あったのかな。このナチュラルさ、随所に漂うユルさこそNEW YORK DOLLSだろうと膝を叩きたくなる仕上がりです。

基本的にはヨハンセン&シルヴェインがソングライティングの基礎を作っているのですが、そこにスティーヴ・コンテが4曲で名を連ねている。のちに加入するマイケル・モンロー・バンドでもその才能を遺憾なく発揮していますが、すでにこの時点で最高の仕事ぶりを見せていたことを再確認できます。

ヨハンセンのボーカルも加齢とともに深みが加わり、誰にも真似できないヘタウマぶりを展開。これに合わせて、バックの演奏も硬くなりすぎず、ヘタウマとまではいかないものの適度な緩やかさを漂わせる。このバランスの取り方が非常に的確で、正直今のAEROSMITHストーンズとは異なる魅力が伝わってきます。これがクセになって、たまらんのですよ。

なお、アルバムには1stアルバム『NEW YORK DOLLS』(1973年)収録の代表曲「Trash」を、レゲエアレンジでセルフカバーしたトラックも収録。こちらも今ならではの味わい深さがあります。この遊び心も嫌いになれません。

初期2作は別格として、再結成後ではベストワークでは?と当時は確信したものですが、実はそのあとにもう1枚、最高な1枚を届けてくれることになるとは……それについては、また別の機会に。

 


▼NEW YORK DOLLS『'CAUSE I SEZ SO』
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2021年9月10日 (金)

CHEAP TRICK『THE LATEST』(2009)

2009年6月23日にリリースされたCHEAP TRICKの16thアルバム。日本盤は同年7月22日発売。

前作『ROCKFORD』(2006年)から3年ぶりの新作。2000年代のCHEAP TRICKは『SPECIAL ONE』(2003年)が前作から6年ぶりの新作だったものの、以降は3年間隔で新作を届けてくれ、年齢のわりにハイペースで創作活動を続けているバンドでした。

今作から制作陣に、2021年時点での最新作『IN ANOTHER WORLD』まで関係が続くジュリアン・レイモンドが初参加。キーボードには元JELLYFISHのロジャー・ジョセフ・マニング・Jr.が参加したほか、アディショナル・ミュージシャンのクレジットに同じく元JELLYFISHのジェイソン・フォークナーや、トッド・ユース、LINUS OF HOLLYWOODといったパワーポップ界隈の名前を多数見つけることができます。

だからということはないでしょうけど、今作はパワフルなロックチューン全開だった前作と比較すると幾分落ち着いた印象を受けます。良い感じに“枯れた”大人のパワーポップ(オルタナカントリー寄り)に、職人受けしそうな高品質なポップソングの数々は、30年を超えるキャリアに相応しい仕上がりで、CHEAP TRICKに憧れてミュージシャンになったパワーポップ界隈の人たちにとっては理想的な1枚ではないでしょうか。

友人の死からインスパイアされたという、讃美歌のような「Sleep Forever」から厳かに始まったかと思えば、SLADEのカバー「When The Light Are Out」で弾けんばかりのパワーポップを響かせる。かと思えば「Miss Tomorrow」「Sick Man Of Europe」で王道のCHEAP TRICK節を響かせ、「These Days」「Miracle」といったバラードでリスナーのハートを鷲掴みにする。アルバム後半もストレートなロックチューン「Everyday You Make Me Crazy」「California Girl」「Alive」でノリにノセたかと思えば、ミディアムバラード「Everybody Knows」「Time Of Our Lives」「Closer, The Ballad Of Burt And Linda」でしっかり浸らせ、最後は極上のピアノバラード「Smile」で締め括り。

全体的にミディアム/スローナンバーの目立つ作風ですが、いっときの売れ線バラードやパワーバラード路線とは異なり、しっかりルーツの見えるミディアムナンバー中心なので、そこは嫌悪感を覚えることはないかと。先にも書いたように、本作は30年選手による“大人のパワーポップ”がテーマですからね(本人たちにその覚えがなくても、我々はそう受け取っています)。そんなアルバムに『THE LATEST』(=最新作)という、身も蓋もないタイトルを付けるセンスも嫌いになれません。

なお、本作は結果的にバン・E・カルロス(Dr)が参加した最後のスタジオアルバムになってしまいました。

 


▼CHEAP TRICK『THE LATEST』
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2021年8月 5日 (木)

BIFFY CLYRO『ONLY REVOLUTIONS』(2009)

2009年11月9日にリリースされたBIFFY CLYROの5thアルバム。日本盤は同年12月23日発売。

前作『PUZZLE』(2007年)が初の全英1位を獲得し、名実ともに英国を代表するロックバンドの仲間入りを果たしたBIFFY CLYRO。続く今作は1位こそ逃すものの全英2位まで上昇し、初のダブルプラチナムを達成。現在までバンドの最高売り上げを記録する代表作として知られます。また、本作からは「Mountains」(全英5位)、「That Golden Rules」(同10位)、「The Captain」(同17位)、「Many Of Horror」(同8位)、「Bubbles」(同34位)、「God And Satan」(同36位)と6枚ものヒットシングルが生まれています。

プロデューサーにガース・リチャードソン(RAGE AGAINST THE MACHINEMELVINSSKUNK ANANSIEなど)、ミキサーにアンディ・ウォレス(NIRVANASLAYERHELMETなど)という布陣は前作から引き続き。要所要所にストリングスをフィーチャーした豪快さやスリリングさを強要したアレンジが魅力的なのもこれまで同様。ただ、前作と大きく異なるのは1曲1曲の完成度がさらに高まっている点で、それが先に触れた数々のシングルヒットにつながっているし、またアルバムとして通して聴いたときもその1曲1曲の高品質さが相乗効果を起こし、結果アルバムとしてのまとまりの良さに一役買っている。そりゃ売れるわけですよ。

本作ではジュシュア・ホーミー(QUEENS OF THE STONE AGE)が「Bubbles」でギターにてゲスト参加。ストリングスアレンジではかのデヴィッド・キャンベル(かのベックの実父)が主導権を握り、「The Captain」や「Many Of Horror」のような楽曲でダイナミックさを強調しています。この繊細さが備わったアレンジこそ彼らの醍醐味であり、アメリカのFOO FIGHTERSとは一線を画する点ではないでしょうか(フーファイもそういったトライを何度もしていますが、正直ここまで武器にはしていませんし)。

「Booooom, Blast & Ruin」や「Cloud Of Stink」のようなアップチューンも存在しますが、むしろ彼らの魅力は大らかなノリを持つミディアムナンバー。アルバムの冒頭を「The Captain」のような楽曲が飾る時点で、彼らの余裕が伝わるのではないでしょうか(そこも前作『PUZZLE』との大きな違いで、今作で得た自信が今後のスタイルに大きくつながっていくわけですね)。

本作での成功は彼らを国民的バンドの座へと引き上げ、続く2枚組アルバム『OPPOSITES』(2013年)のヒットがさらにダメ押しすることになります。

 


▼BIFFY CLYRO『ONLY REVOLUTIONS』
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2020年6月22日 (月)

DEAD END『METAMORPHOSIS』(2009)

2009年11月にリリースされたDEAD ENDの5thアルバム。

1989年の4thアルバム『ZERO』を最後に、MINATO(Dr)が脱退。そのままMORRIE(Vo)やYOU(G)がソロ活動を開始するなど、バンドは事実上の解散状態に。そこから20年たった2009年夏、屋内フェス『JACK IN THE BOX2009 SUMMER』にてMORRIE、YOU、CRAZY COOL JOE(B)、MINATOのフルメンバーで再結成ライブを実施すると同時に、秋にオリジナルアルバムをリリースすることをアナウンスします。このライブの時点で新曲「Dress Burning」を披露しており、往年の楽曲に負けず劣らずのクオリティをアピールしました。

そこから3ヶ月を経て届けられた新作には、最初こそ期待半分、不安半分という複雑な心境で臨みました。仕事柄、確かリリース前に聴くことができたのですが、オープニング曲「摩天楼ゲーム」のイントロを聴いた時点で、小さくガッツポーズを取ったことは言うまでもありません。YOUの豪快なギターリフといい、MINATO&COOL JOEのダイナミックなリズムセクションといい、文句なしの仕上がりですし、さらにモダンな音像が「20年を経て進化したDEAD END」を物語っているように感じさせてくれました。

さらに、MORRIEのボーカル……この数年前からCreature Creatureとして第一線に復帰していたので、こちらに関しては何の不安もありませんでしたが、ソロやCreature Creatureを経てさらに個性的に、さらに濃厚になった歌声で新たに生まれ変わったDEAD ENDを表現してくれました。歌唱スタイルは80年代のそれとは異なるものかもしれませんが、Creature Creature以降身に付けたであろうスタイルがオーソドックスなハードロックにモダンなオルタナ感を掛け合わせた楽曲に非常にマッチ。20年前の続きでもあるようで、新しいバンドのようでもある、とても新鮮な気持ちで向き合わせてくれる良作だと断言できます。

どの曲もこれまでのDEAD ENDにありそうでなかったタイプのものばかりで、そこに「Princess」のような王道ナンバーも含まれているのですが、単なる焼き直しで終わらない新たな魅力を放っている。さらに、Creature Creatureを経たからこそ生まれたであろうハードコア&スラッシーな「Devil Sleep」、10分近くにおよぶダーク&ドゥーミーな「冥合」という新機軸も用意され、いろんな場面でソングライター/プレイヤー/表現者としての20年の積み重ねを実感させられます。

だいたい再結成アルバムって昔からのリスナーの期待度に達しない場合が多いのです(もちろん、LUNA SEAのような例外もあります)が、本作は別格のカムバック作。この傑作がストリーミング含めて手軽に聴くことができない現状、どうかと思いますよ。

 


▼DEAD END『METAMORPHOSIS』
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2020年5月 2日 (土)

HEAVEN & HELL『THE DEVIL YOU KNOW』(2009)

2009年4月末にリリースされたHEAVEN & HELL唯一のスタジオアルバム。

HEAVEN & HELLはロニー・ジェイムズ・ディオ(Vo)、トニー・アイオミ(G)、ギーザー・バトラー(B)、ヴィニー・アピス(Dr)という『MOB RULES』(1981年)や『DEHUMANIZER』(1992年)を制作したBLACK SABBATHの面々による変名バンド。2007年にディオ在籍時の楽曲を集めたコンピレーションアルバム『BLACK SABBATH: THE DIO YEARS』をリリースした際、この4人による新曲を3曲制作しましたが、ここで得た手応えから再度スタジオ入りし、アルバムまで完成させるに至るわけです。

オジー・オズボーンとのBLACK SABBATHも“生きている”ちゃあ生きているタイミングだったので、サバス名義ではなくディオ・サバスの1作目に当たるアルバム『HEAVEN AND HELL』(1980年)のタイトルをそのままバンド名に用いて、ツアーやレコーディングを続けますが、本作リリースから1年後の2010年5月16日、ディオはこの世を去ることに。結果として、本作が生前最後のレコーディング作品となってしまいました。きっと、ディオ自身も死期を悟り、最後にもうひと花という意味でサバス復帰を選んだのでしょうね。

作風的には『HEAVEN AND HELL』や『MOB RULES』よりも、再編後に制作した『DEHUMANIZER』に近い、ミドルヘヴィナンバーを中心とした内容。ですが、『DEHUMANIZER』のようなモダンヘヴィネス的色合いはまったくなく、むしろ『HEAVEN AND HELL』や『MOB RULES』に含まれていたミドルヘヴィナンバーをより熟成させた、濃厚でねっとりしたディオ・サバス曲で構成されています。要するに、悪いわけがない。最高の仕上がりなのです。

当時のアイオミのスタイルを考えると、本作の次に制作されたオジー・サバスの最終作『13』(2013年)にも通ずる作風と言えるでしょう。つまり、アイオミが「BLACK SABBATHとは?」という命題と向き合い、2人の代表するシンガーとともに完成させた“答え”という意味で、本作と『13』は対となる2枚だと思うのです。

『13』ではひたすらドゥーミーでミドルスロウな楽曲ばかりにご執心でしたが、ここではミドルを軸に若干のアップダウンが用意され、その緩急が聴き手に心地よさを与えてくれる。つまり、同じミドル続きでも『13』ほど退屈しないのが今作最大の特徴であると。それには、ディオという稀代の名シンガーの尽力も大きいと思います。ディオ御大、最後の最後にベストパフォーマンスを残そうと制作に臨んだのでしょう。どこをどう切り取ってもディオ以外の何者でもありません。

わかりやすい派手さは皆無ですが、ディオ・サバスを愛する者、あるいはロニー・ジェイムズ・ディオというシンガーの歌が好きなリスナーなら間違いなくハマる1枚。モダンメタルが台頭する2009年という時代に、オールドスクール世代がかましたカウンターという意味においても非常に重要な作品だと断言できます。

日本盤CDには先のコンピ盤『BLACK SABBATH: THE DIO YEARS』に収録された新曲3曲が、ボーナストラックとして追加されています。つまり、『THE DEVIL YOU KNOW』日本盤を購入すれば、HEAVEN & HELLとしてレコーディングしたオリジナル曲はすべて手に入ることになるので、これから購入する際には迷わず日本盤をゲットしておきましょう。

 


▼HEAVEN & HELL『THE DEVIL YOU KNOW』
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2020年4月 3日 (金)

TINTED WINDOWS『TINTED WINDOWS』(2009)

2009年4月に発売されたTINTED WINDOWS唯一のオリジナルアルバム。日本盤は1ヶ月遅れでリリースされています。

TINTED WINDOWSはテイラー・ハンソン(Vo/HANSON)、ジェイムズ・イハ(G/THE SMASHIN PUMPKINS、ex. A PERFECT CIRCLE)、アダム・シュレシンジャー(B/FOUNTAINS OF WAYNE、IVY)、バン・E・カルロス(Dr/ex. CHEAP TRICK)という名うてのプレイヤー/ミュージシャンたちによって結成されたスーパーグループ。テイラーとアダムは90年代半ばから親交があり、またイハとアダムも各バンドのツアーなどで顔を合わせる機会が多く、2000年代に入ってからはイハがIVYのレコーディングに参加したり、共同でレーベルやスタジオを設立していました。そんな3人が意気投合し、それぞれが影響を受けた70〜80年代のパワーポップやニューウェイヴをモダンな形で表現するバンドとして結成されたのがこのTINTED WINDOWSでした。

彼らは大切なルーツのひとつであるレジェンド・CHEAP TRICKからバン・Eを迎え、アダム&イハのプロデュースで完成したのが本作。ボーナストラックを除く全11曲中、「Back With You」をイハ、「Nothing To Me」をテイラー、「Take Me Back」をテイラー&アダムが手がけ、残りの8曲すべてをアダムが単独で書き下ろしています。

HANSONが持つ突き抜けるようなポップネス、FOUNTAINS OF WAYNEのベースにあるオルタナティヴロック経由のパワーポップ感、そしてバン・Eを除く3人が多大な影響を受けたであろうCHEAP TRICKの香り。本作はそのすべてが凝縮された、終始ストレートに突き進むキャッチーなギターロックを堪能できる1枚と言えるでしょう。

FOWが持つカントリーテイストやCHEAP TRICKに備わっていたサイケデリック感は残念ながらここには含まれておらず(いわゆるハードロック的側面もだいぶ弱いかと)、どちらかというと「テイラー・ハンソンというフロントマンを、才能ある作曲家アダムが調理してみました」という印象が強い内容かもしれません。聴く人によってはそこに物足りなさを感じるかもしれませんが、個人的にはそこを抜きにしてもよく出来たパワーポップ/ギターロックアルバムだと断言したいな。だって、何度聴いて飽きがこないですからね。爆音で、気持ちよく楽しめる1枚です。

本作を携えた来日公演(2010年1月)にも足を運びましたが、当日は本作からの楽曲にTHE KNACK「Let Me Out」、BUZZCOCKS「I Don't Mind」のカバーを披露したことが特に印象に残っています。本作に参加したメンバーの各メインバンド、そしてカバーでピックアップしたバンド。ここにTINTED WINDOWSの本質があるのではないでしょうか。

テイラーは近年、TINTED WINDOWSは決して解散したわけではないと名言していましたが、結局2作目が制作されることなくアダムは新型コロナウイルスが原因で4月1日(現地時間)、この世を去りました。アダムといえばFOWかIVY、もしくは彼が手がけた映画『すべてをあなたに』の劇中曲「That Thing You Do!」が有名でしょうけど、僕的にはこのスーパーバンドも忘れたくないな……。

 


▼TINTED WINDOWS『TINTED WINDOWS』
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2019年11月22日 (金)

MOTLEY CRUE『GREATEST HITS』(1998 / 2009)

MOTLEY CRUE、約4年ぶりにライブ活動再開。オフィシャルにて正式に、過去のツアー活動停止に関する契約書を“爆破にて破棄”したことがアナウンスされています(笑)。噂によると、2020年にDEF LEPPARDPOISONとともに北米ツアーを行うんだとか。

はい、予想通りの展開ですね(笑)。HR/HM系とプロレスの“辞めた/解散した/引退した”を真に受けてはいけません。特にこのオッさんたちの場合は、余計にね。

そもそも、2019年の流れ(自伝映画『ザ・ダート:モトリー・クルー自伝』公開と、それに伴う新曲4曲入りサウンドトラックアルバム『THE DIRT SOUNDTRACK』リリース、1989年の大ヒット作『DR. FEELGOOD』のリリース30周年エディション発売など)を考えれば、いずれライブ活動も再開させるだろうことは予想の範疇内。そもそも、映画と新曲を制作している時点で、ライブのスケジュールも調整していただろうしね。わかります。

たぶんこの映画経由で初めてMOTLEY CRUEに触れたというビギナーも少なくないと思うんです。そんな人たちが今、ストリーミングサービス経由でまず最初にどのアルバムから手を出せばいいのか。もちろん、映画のサウンドトラックから入るのが筋でしょう。そこから、1stアルバム『TOO FAST FOR LOVE』(1981年)から順々に聴くのか、あるいは最大のヒット作『DR. FEELGOOD』から入るのか、聴き方はそれぞれだと思います。

ただ、このバンドの場合、アルバムごとにスタイルを変えていますし、90年代に入ってからはその方向性がさらに激化していると思うのです。あれです、デヴィッド・ボウイQUEENでまず最初に聴くべきオリジナルアルバムで迷うのと一緒。だったら、最初にベストアルバムから入っていこう……そう思われる方も少なくないと思います。

MOTLEY CRUEは現在までに、ベストアルバムを3タイトル“正式”リリースしています。“正式”と付けたのは、バンド側が意図して発表したという意味で、レーベル側がバンドの意図せぬところで発表したタイトルも複数あるので、ここではそれらは省くことにします。

その3タイトルというのが、1988年リリースの初のグレイテストヒッツ・アルバム『GREATEST HITS』と、“オリジナル4”の再々結成を記念した2枚組ベストアルバム『RED, WHITE & CRUE』(2005年)、そして2009年に発表された『GREATEST HITS』。このうち現在ストリーミングサービスで試聴できるのは2009年版の『GREATEST HITS』となっています。

『RED, WHITE & CRUE』に関しては過去に本サイトで取り上げているので、今回は『GREATEST HITS』と題した“内容の異なる”2つのグレイテストヒッツ・アルバムについて紹介したいと思います。

 

 

①1998年バージョン

モトリーはそれ以前、結成10周年を記念したコンピレーションアルバム『DECADE OF DECADENCE '81-'91』(1991年)を発表していますが、これは純粋なベストアルバムではないので、Elektra Recordsを離脱した1998年の時点で廃盤扱いになっています。それに代わるように同年秋、新たに設立された自主レーベルMötley Recordsからの第1弾アイテムとしてリリースされたのがこのベストアルバム。ヴィンス・ニール(Vo)在籍時(『TOO FAST FOR LOVE』から『DR. FEELGOOD』までの5作と、『DECADE OF DECADENCE '81-'91』収録の新録曲、1997年の最新作『GENERATION SWINE』)の既発曲に、ボブ・ロックがプロデュースを手がけた新曲2曲「Bitter Pill」「Enslaved」を追加した全17曲入りとなっています。

ただ、グレイテストヒッツと謳いながらも「Live Wire」や「Too Young To Fall In Love」といった初期のMV制作楽曲は含まれておらず、代わりに当時からライブで再び演奏するようになった「Too Fast For Love」、インダストリアル調にリテイクした「Shout At The Devil '97」、『GENERATION SWINE』収録曲「Glitter」のリミックスバージョンなどを聴くことができます。

正直、当時はこの選曲に「いかにもアメリカ人が作った感覚」と思った記憶があります。それは新曲2曲から始まり、その後は年代などめちゃくちゃで、構成とか考えてるのかな?と感性を疑いたくなるような曲順にも表れているんじゃないかな。まあ、慣れるとこれはこれで嫌いじゃないんだけどね。

肝心の新曲2曲は、直前に『GENERATION SWINE』みたいにインダストリアル風アレンジなしの、どストレートなハードロック。ボブ・ロックを交えて制作したということは『DR. FEELGOOD』よ再び、という気持ちがあったのかもしれないけど、『GENERATION SWINE』を通過した当時のモトリーにはすでに戻れない過去となっていたようで。若干ダークさを残しつつも適度な爽快感を表現した「Bitter Pill」も、いかにも彼ららしいグルーヴィーなミドルチューン「Enslaved」も決して悪くはないけど、特別素晴らしいとも言い難い“アルバムの中の1曲”というつなぎ曲の印象。今思えば、このスタイルが10年後の『SAINTS OF LOS ANGELES』(2008年)につながっていたのですね(この際『NEW TATTOO』のことは忘れよう)。

 


▼MOTLEY CRUE『GREATEST HITS』
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2019年10月23日 (水)

LAMB OF GOD『WRATH』(2009)

LAMB OF GODが2009年2月に発表した、通算5作目のスタジオアルバム。前身バンドBURN THE PRIEST時代の作品を含めると、6枚目のオリジナルアルバムとなります。

前々作『ASHES OF THE WAKE』(2004年)で一気に知名度を高め、続く前作『SACRAMENT』(2006年)ではついに全米TOP10入り(最高8位)を果たした彼らでしたが、本作ではその記録を更新。初登場2位という、現時点における最高記録を残しています。

本作では、以降長くタッグを組むことになるジョシュ・ウィルバー(TRIVIUMCROSSFAITHSONS OF TEXASなど)にプロデューサーを交代。これが功を奏したのか、前作までの殺傷力を維持しつつ、より“わかりやすい”作風へと見事なバージョンアップを遂げています。

オープニングの「The Passing」から「In Your Words」への構成は、もはやHR/HMの古典的伝統芸といえるもの。ドラマチックさを際立たせるという意味でも、本作でこのアレンジ/構成を用いたのは大正解だったと思います。

で、実質的なオープニングトラック「In Your Words」で聴ける“90年代以降のモダンメタルの集大成”的サウンド。もちろん前作までの延長線上にあるのですが、不思議と聴きやすくなっているんですね。ボーカルのちょっとした歌メロによるものなのか、あるいはギターのフレージングの工夫によるものなのか。あるいはそれ以外の要素によるものなのか。実際にはいろんな実験の組み合わせの結果だとは思いますが、メジャーから発表された過去2作以上の“メジャー感”がひしひしと伝わってきます。

以降も、どこからどう聴いてもLAMB OF GOD以外の何者でもないのですが、どこか新しさも感じられる。と同時に、彼らが守ろうとしているヘヴィメタルの歴史の重みもしっかりと伝わってくる……「Grace」のような楽曲で聴ける、ちょっとした工夫からもそういった思いは確実に伝わるはずです。特にこの曲、ソロを含むギタープレイが圧巻なので、ぜひ一度聴いてもらいたい!

あと、曲が何回でもカッコいいと思えるバンドって、ドラミングがとにかく素敵なんですよ。テクニカルなプレイをここぞとばかりにブッこんでくるのに、それを「難しいことやってますよー」とまったく感じさせない、ナチュラルなプレイといいますか。本作で聴けるクリス・アドラー(Dr)のプレイはまさにそれで、彼にとっても真骨頂と言えるものなんじゃないでしょうか(だからこそ、今年発表された彼の脱退は残念でなりません……)。

LAMB OF GODの本質を知るという意味での入門盤には前作『SACRAMENT』がオススメですが、すでにLAMB OF GODというバンドのことを知っていて若干の苦手意識を持っている方には、ぜひこの『WRATH』を聴いていただきたい。そう断言したくなる、すべてにおいてバランスの整った1枚です。

 


▼LAMB OF GOD『WRATH』
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2019年7月14日 (日)

KISS『SONIC BOOM』(2009)

2009年10月発売の、KISS通算19作目のオリジナルアルバム。

ポール・スタンレー(Vo, G)、ジーン・シモンズ(Vo, B)、エース・フレーリー(G, Vo)、ピーター・クリス(Dr, Vo)のオリジナル編成で制作された前作『PSYCHO CIRCUS』(1998年)から11年ぶりとなる新作で、新たに設立された自主レーベルKiss Recordsからのリリース(海外ではRoadrunner Records流通)。しかしながら、ここ日本では契約上の問題などもあり2019年7月現在まで一度も日本盤が発表されていないKISS唯一のオリジナル作品となります。

レコーディング参加メンバーはポール&ジーンにトミー・セイヤー(G, Vo)、エリック・シンガー(Dr, Vo)という2019年現在のラインナップと同じ編成。アルバムのプロデュースも現時点での最新作『MONSTER』(2012年)同様にポール&グレッグ・コリンズが担当しています。

KISSのオリジナル作品では現時点で最高となる全米2位まで上昇した本作。いかにもブルース・フェアバーン的キラキラサウンドと従来のKISSらしさがいびつな形でミックスされた『PSYCHO CIRCUS』とは異なり、今作では我々がイメージする“メイキャップ時代のKISS”をモダンにした作風にシフトしています。つまり、ご機嫌かつ適度にハードなロックンロールが最初から最後まで展開されている、文句なしの内容なわけです。

全11曲中、ボーカルの内訳はポール4曲、ジーン4曲、ポール&ジーン1曲、さらにトミー1曲、エリック1曲と非常に良いバランス。特にポールとジーンが一緒に歌う「Stand」は70年代のKISSの“あの”感じが見事に再現されており、なかなかの良曲なんですね。トミーのギターソロも耳に残るフレージング多数で、後半のドラマチックなアレンジ含め、KISSオールタムベストでも上位に入るべき1曲ではないかと思うのですが、いかがでしょう。

オープニングの「Modern Day Delilah」こそ彼らにしては地味な楽曲ですが、以降はどこをどう切り取ってもKISS。ジーンも2曲目の「Russian Roulette」こそヘヴィ路線ですが、こちらはモダンヘヴィというよりは70年代のハード&ヘヴィ寄りなので問題なし。9曲目の「I'm An Animal」も一緒ですね。そうそう、こういうジーンが観たい(聴きたい)んだよ我々は。

エリックの歌う「All For The Glory」はポール&ジーンが書き下ろした、どこかTHE HELLACOPTERSを思わせる哀愁味の強い1曲。まあTHE HELLACOPTERSがKISSをなぞっているので逆っちゃあ逆ですが、ここではなんとなくその関係性が逆転してしまっているような。エリックのしゃがれ声もあって、余計にそう感じさせるんですよね。うん、良曲。

トミーの歌う「When Lightning Strikes」はトミー&ポール書き下ろしによる、ミドルテンポのご機嫌なロックンロール。エースのようなヘロヘロボーカルとは違う、芯のある太い歌声に最初こそ戸惑いますが、これはこれであり。

全体的にインパクトの強い作品というわけではないですが、平均点以上の仕上がりで文句のつけどころも見当たらない。実は、90年代以降のKISSオリジナル作品の中では非常に高品質な1枚ではないでしょうか。そういった良作がいまだ国内リリースなし(しかもストリーミングサービスにもなし)というのは悲しい話です。ただ、「Modern Day Delilah」や「Say Yeah」など一部楽曲は最近のベストアルバムでも聴くことができるので、まずはそちらで試してからアルバムに触れてみてもいいのかな。

なお、本作の初回限定盤は3枚組仕様で、2008年に日本限定リリースされた再録ベストアルバム『地獄烈伝』と、2009年4月のブエノス・アイリス公演から6曲を収めたDVDが同梱されています。今でも中古で見つけることができるので、これから購入する人はこちらでもいいかもしれませんね。

 


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2019年4月 5日 (金)

NIRVANA『LIVE AT READING』(2009)

2009年11月に同名の映像作品DVDとともにリリースされた、NIRVANAの秘蔵ライブアルバム。

メジャーデビュー作品『NEVERMIND』(1991年)のバカ売れ後の1992年8月30日、イギリスで開催された『READING FESTIVAL』のヘッドライナーとして出演した際のパフォーマンスを完全収録(DVDのみ/CDは「LoveBuzz」とMCをカット)したファン待望の1枚。これまでブートレッグで死ぬほど世に出回ったこの映像/音源がカートの死後から15年以上、実際のフェス開催から17年を経てようやくキレイでオフィシャルな形で発売されたわけです。

この時期のカート・コバーン(Vo, G)は予想だにしなかった空前のメガヒットを前に、かなり斜に構えたスタンスで観客やメディアの前に姿を現していたタイミング。このレディングでも金髪の長髪ヅラをかぶり車椅子に乗って登場するなど、どこまで本気でどこからが冗談なのか……というオープニングで客を引かせてから、鋭いギターリフの「Breed」からライブをスタートさせます。

聴いてもらえばわかるように、決して演奏的技術がうまいわけでもないし見ストーンも多い。バカ売れした「Smells Like Teen Spirit」なんて誰もがアルバムと同じ音を求めて来ているのに、わざと音を外す。プロとしてはあってはならないし、人によっては「客をバカにしてる!」と憤慨するんでしょうけど、逆にカートとNIRVANAの面々が、1992年という“醒めた”時代にこれをやることに意味があり、だからこそカッコよかったんだよ……と思うわけです。

当時も存分にカッコいいと思っていたし、あれから20年近くを経た今観ても明らかにカッコいい。本当、真似できないカッコよさですよね。ただ、このカッコよさが成立するのって、デイヴ・グロール(Dr)という鉄壁のリズムが存在したからだとも思うわけでして。特にこれには後年になってから、より強く感じるようになりました。改めてこの人のドラミング(リズムキープやフレージング、パワー含め)、非ハードロック的な時代において実はかなりハードロック的なんですよね。そのアンバランスさが、ハードロック耳の自分にもハマったんだろうなと改めて思います。

もちろん、リズムだけじゃなくて曲の良さも大きい。特に『NEVERMIND』の収録曲はパンクとかオルタナを通り越して、ポップスとしての側面もかなり強いし、その前夜であった『BLEACH』(1989年)の楽曲にも存分に片鱗が感じられる。このライブでは翌年秋に正式リリースされる3作目のアルバム『IN UTERO』(1993年)の楽曲も数曲披露されていますが、『NEVERMIND』と『BLEACH』の中間といった印象でいろいろ舐めきっているのもまた良いです。

もう二度と帰ってこないこの時代、この演奏、このバンド。だからこそ、この1枚の存在は非常に大きい。音源としてももちろんですが、ぜひ映像付きで楽しんでもらいたい作品です。

 


▼NIRVANA『LIVE AT READING』
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