2017/04/12

MICHAEL MONROE『ANOTHER NIGHT IN THE SUN: LIVE IN HELSINKI』(2010)

001年から始まった“再生”HANOI ROCKSが2009年に活動終了し、再びソロアーティストとして音楽活動を続けると思われていたフロントマンのマイケル・モンロー。しかし彼はあくまでバンドにこだわり、“MICHAEL MONROE”というバンドを組むことを決意するのです。あれですね、初期のアリス・クーパーがALICE COOPERという名前のバンドとして活動していたのと一緒で。MARILYN MANSONもある意味一緒だし。

2010年1月、マイケルのもとに集まったのは“再生”HANOI ROCKSには未参加だった旧友のサミ・ヤッファ(B)、THE WiLDHEARTSのシンガーとしてもお馴染みのジンジャー(G)、DANZIGへの在籍経験を持つトッド・ユース(G)、そしてDEMOLITION 23.のメンバーだったジミー・クラーク(Dr)という布陣。しかしリハーサル段階でジミーが脱退し、代わりにカール・ロックフィスト(Dr)が加入。続いて、そのカールを推薦したトッドもバンドを離れ、ある者には再結成したNEW YORK DOLLSのギタリストとして、またある者には菅野よう子とのコラボレーターとして知られるスティーヴ・コンテ(G)が加わり、第1期MICHAEL MONROEの布陣が完成します。

この第1期メンバーで制作したのが、今回紹介するライブアルバム『ANOTHER NIGHT IN THE SUN: LIVE IN HELSINKI』。本作は2010年6月7日にフィンランド・ヘルシンキのクラブでライブレコーディングされたもので、内容はHANOI ROCKSからソロ、DEMOLITION 23.とマイケルのキャリアを総括するオリジナルナンバーのほか、ジョニー・サンダースやTHE DAMNED、THE STOOGES、DEAD BOYSなどマイケルのルーツとして重要なバンドのカバー曲、そして新バンドMICHAEL MONROEとして制作中の新曲2曲を含む、“過去・現在・未来”をつなぐ豪華なセットリストとなっています。

個人的にはHANOI ROCKSと同じくらいTHE WiLDHEARTSのファンでもあるので、あのジンジャーがHANOI ROCKSの名曲たちをプレイするというだけで生唾モノ。楽曲は新曲含め、どれも“いかにもマイケル”といったものばかりなので、悪いわけがない。演奏も名うてのプレイヤーが揃っているので、タイトでカッコいい。“再生”HANOI ROCKS終了から間髪入れずに動いたことも功を奏し、マイケルの状態もベストに近いものと言えます。

まぁ本作は、翌2011年春にリリースされる1stスタジオアルバムへの前哨戦として録音されたもので、ここ日本では2010年8月の『SUMMER SONIC 10』に出演したことから、興奮冷めやらぬうちに出しておこうということで同年9月に先行リリースされたのでした(海外では10月発売)。そこから半年足らずで真の1stアルバム『SENSORY OVERDRIVE』が届けられるわけで、ファンの熱量を保つという意味でもこのライブアルバムは重要であり、“再生”HANOI ROCKSを終えて改めてマイケル・モンローというシンガーのキャリアを振り返るという意味でも非常に意味のある作品なのです。

それと「You're Next」と「Motorheaded For A Fall」と題された、『SENSORY OVERDRIVE』の片鱗を感じさせる新曲2曲の存在も重要です。「You're Next」はDEMOLITION 23.をよりタイトにさせたスタイルのロックンロールで、「Motorheaded For A Fall」はその名のとおりどこかMOTORHEADを彷彿とさせる疾走ナンバー。マイケルがMICHAEL MONROEで何をやろうとしてるのか、この2曲からも存分に伝わるはずです。ちなみに前者は『SENSORY OVERDRIVE』海外盤のボーナストラックとして、後者は「Debauchery As A Fine Art」と改名され、さらにかのレミー(MOTORHEAD)をフィーチャーした形で『SENSORY OVERDRIVE』に正式収録されています。



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投稿: 2017 04 12 12:00 午前 [2010年の作品, Demolition 23., Ginger Wildheart, Hanoi Rocks, Michael Monroe] | 固定リンク

2017/02/22

OZZY OSBOURNE『SCREAM』(2010)

2017年2月現在、オジー・オズボーンの最新オリジナルアルバムが本作『SCREAM』。2010年6月にリリースされ、全米4位を記録しました。前作『BLACK RAIN』(2007年)ではザック・ワイルドがギターおよびソングライティングで参加していましたが、本作からFIREWINDのガスG.が正式加入。ソングライティング面での貢献度はゼロですが、レコーディングではザックとはひと味違ったヘヴィ&ワイルドさをアピールしています。

プロデューサーは前作『BLACK RAIN』も手掛けたケヴィン・チャーコ。彼はPAPA ROACHやROB ZOMBIE、FIVE FINGER DEATH PUNCH、IN THIS MOMENT、DISTURBEDなどのプロデュースやソングライティングで知られる人で、そのラインナップからもわかるようにとてもモダンな作風を信条とする方です。事実、オジーの前作『BLACK RAIN』はそのひとつ前のオリジナルバム『DOWN TO EARTH』(2001年)とも異なる、モダンなヘヴィロックが軸になっていました。どこかBLACK SABBATHを思わせるような楽曲が“まんまサバス”にならなかったのは、彼の手腕によるところが大きかったと思います。

そのケヴィンは『BLACK RAIN』同様、今作『SCREAM』でもメインソングライターとして制作に参加。ほぼすべての楽曲をオジーとのコンビで書き上げ、残りの数曲はオジー&ケヴィンとアダム・ウェイクマン(YESのリック・ウェイクマンの息子)のトリオで制作しています。ザックのカラーがなくなったことで、モダンな中にもそこはかとなく感じられたアーシーさは今作では減退。「Life Won't Wait」には若干ザック在籍時の匂いが残っている気がしますが、ザックのアーシーサよりもオルタナ感のほうが優っているかなと。

「Let Me Hear You Scream」みたいにドライヴ感の強い楽曲もあるにはあるけど、アルバムの軸になるのはミドルテンポで重苦しいサウンドを持つナンバー。オープニングの「Let It Die」はまさにその象徴といえる1曲だし、不穏なイントロとギター&ドラムのユニゾンリフが気持ちいい「Diggin' Me Down」などは“2000年代のオジー”だからこそできる楽曲かなと。かたやBLACK SABBATHでは王道感の強いHR/HMに挑み、かたやソロでは同時代性を大切にしたヘヴィメタルにチャレンジする。これが(リリース当時)60歳を超えたジジイのやることかよと。ただただ脱帽です。

そして、こういうモダンなサウンド&楽曲だからこそ、ガスG.のギターワークが活きるというのも納得。ザックが弾いていたら、もっといなたくなっていたんでしょうね(まぁそもそもザックが弾く時点でソングライティングにも携わるだろうから、こんな作風にはならないでしょうけど)。このアルバムから早7年。BLACK SABBATHの活動終了を経て、オジーはスティーヴ・スティーヴンスなどとソロアルバムの準備をしていると聞きます。それがソングライティングのみなのか、はたまたレコーディングにも参加するのか。そしてガスG.の処遇はいかに。なんにせよ、早く“2017年のオジー・オズボーン”が聴きたいし、生で観たいものです。



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投稿: 2017 02 22 12:00 午前 [2010年の作品, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2017/01/23

RATT『INFESTATION』(2010)

バンドにとってボーカルは“顔”みたいなもの。その声が変われば、バンドの顔も変わる。つまり、リードボーカルさえずっと変わらなければ、多少音楽性が変化してもかろうじてそのバンドだと認識してもらえるし、音楽性が一環していてもボーカルがころころ変わればなんとなく違和感を覚えるのです。もちろん、RAINBOWのようにボーカルが変わることで、その音楽性を変化させていく手法を取ったバンドもいるわけですが、ここではギタリスト中心ではなく、あえてボーカルを軸にしたパーマネントなバンドという視点で語っていきたいと思います。

80年代に一世を風靡したRATTは、90年代に入ってすぐに解散。しかし90年代後半にロビン・クロスビー(G)を除く編成で再結成します。のちにロビンが亡くなり、全盛期のラインナップでの復活は叶わぬ夢となりますが、彼らの場合ボーカルのスティーヴン・パーシーとリードギターのウォーレン・デ・マルティーニさえ在籍していればRATTと名乗ってもなんら問題ないと思うのです。だから2000年代に入り、スティーヴンが脱退して元LOVE/HATEのジジー・パールをボーカルに迎えたと知ったときは「さすがにそれは……」と思ったものです。

ところが、2000年代後半に入りスティーヴンがバンドに復帰。彼とウォーレン、ボビー・ブロッツァー(Dr)の80年代ラインナップに元QUIET RIOTのカルロス・カヴァーゾ(G)、元VINCE NEIL BANDのロビー・クレイン(B)という布陣で制作されたのが、2010年に発表された11年ぶりのオリジナルアルバム(通算7枚目)『INFESTATION』です

アルバムからのリードトラック「Best Of Me」が初公開されたとき、そのあまりにも「RATTな音」に驚愕し、「俺たちのRATTが帰ってきた!」と歓喜したのを昨日のことのように覚えています。どれが「RATTの音」なのかと問われると、とても感覚的なものなのですが……ウォーレンのギターリフ、テンポ感、スティーヴンの声が合わされば、それは間違いなく「RATTの音」として成立するんじゃないかと思うのです。それはアルバムオープニングの「Eat Me Alive」にも言えることで、この2曲のみで間違いなく「ああ、あのRATTが帰ってきた」と断言できてしまうのだから不思議なものです。

アルバムは正直、80年代後半の数作よりもRATTらしい作風だったと思います。先に挙げた2曲は歴代のヒットシングルに並ぶ代表曲になりうる完成度ですし、それ以外の曲も聴けば「RATTらしい」と納得できるものばかり。「Last Call」のツインリードも、「Lost Weekend」のリフ〜リードの流れも、すべてが「RATTらしい」。ただ、100%RATTかと問われると……自信がないのも事実。何か物足りなさも感じる。それが何なのか、リリース当時は気づきませんでした。

ここ最近、ボビーが知らないメンバーをかき集めてRATT名義でツアーをしたことに対して、ウォーレンが抗議し、スティーヴン、ウォーレン、カルロス、そして全盛期メンバーのフォアン・クルーシェ(B)の4人がRATTの名曲たちを演奏するツアーを行うことを発表しました。このメンツを見て気づきました……「そうか、フォアンのコーラスだ!」と。アルバムに足りなかった要素はこれだったんです。確かに『INFESTATION』にもそれらしいコーラスが入っているんですが、微妙に違うんですよね。

ボビーの決してうまくはないドラム(ときどきモタるしね)、フォアンの個性的なコーラス、ウォーレンの独特なギターリフ、そしてスティーヴンの唯一無二な歌声。ここにQUIET RIOTで一時代を築いたカルロスのギターワーク&ソングライティングが加わることで、RATTは全盛期にも勝るような作品を作ることができるはずなのに……世の中、うまくいかないものですね。再びRATTがひとつにまとまることを願いつつ、今日はこの7年前のアルバムを聴きたいと思います。



▼RATT『INFESTATION』
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投稿: 2017 01 23 12:00 午前 [2010年の作品, Ratt] | 固定リンク