カテゴリー「2011年の作品」の12件の記事

2020年9月26日 (土)

SUICIDE SILENCE『THE BLACK CROWN』(2011)

2011年7月12日にリリースされたSUICIDE SILENCEの3rdアルバム。日本盤は同年7月20日に発売されています。

1stアルバム『THE CLEANSING』(2007年)、2ndアルバム『NO TIME TO BLEED』(2009年)と着実に成長を続けてきた彼らにとって、その人気を確実なものへと決定づけたダメ押しの1枚。前作の時点で全米TOP40入り(最高32位)を果たしていたものの、本作ではついにTOP30入り(最高28位)を記録。本作で彼らに触れたというリスナーも少なくないのかもしれません。

僕は前作『NO TIME TO BLEED』をたまたま購入し彼らに音に触れていたのですが、デスコア然としていた前作の要素を残しつつも、ミドルテンポに比重を置いたメタルコア路線の楽曲が増え始めたことで、少しメジャー感が増したなという印象を受けました。とはいっても、ミッチ・ラッカー(Vo)の咆哮は相変わらず激しいままなので、そこに対して「日和った」なんて一切感じませんでしたが(コアなデスコアリスナーの中には、そう感じた方もいたのかもしれません)。

しかし、そんな本作から「You Only Live Once」というメタルコア寄りの楽曲が代表曲のひとつとして支持を集めるようになるのですから、結果としてはこの進化は好意的に受け入れられたということなのでしょう。同曲に続く「Fuck Everything」や「March To The Black Crown」といったナンバーも同系統ですが、ブラストビートを多用したブルータルな「Slaves To Substance」や「Human Violence」といった楽曲を配置したアルバム序盤から「You Only Live Once」以降の流れ、再びアグレッションが増す「Witness The Addiction」や「Smashed」などを用意した後半という流れは不思議と聴いていて疲れませんし、むしろ良い流れだなとポジティブに感じるほど。僕自身デスコアというジャンルに思いっきり傾倒していたわけではなかったので、逆に過去2作よりも本作のほうがリピートしやすい、聴きやすいと感じていたほどでした(MVはゴア感満載でしたけどね)。

終盤には不穏なギターフレーズを織り交ぜたミドルナンバー「The Only Thing That Sets Us Apart」というフックの効いた曲がありつつも、ラストはやはりこれ!と言わんばかりの「Cancerous Skies」で終了。なお、「Witness The Addiction」にジョナサン・デイヴィス(Vo/KORN)、「Cross-Eyed Catastrophe」にアレクシア・ロドリゲス(Vo/EYES SET TO KILL)、「Smashed」にフランク・ミューレン(Vo/ex. SUFFOCATION)がゲスト参加。「Cross-Eyed Catastrophe」で聴けるアレクシアの女性クリーンボイスは良いアクセントになっており、このへんも本作のメジャー感アップに貢献しているのかもしれません。

「これはハードコアなのか、それともヘヴィメタルの進化系なのか」なんて愚問は置いておいて、ヘヴィなサウンドを愛聴するリスナーにとっては「新しい波が来た!」とうれしくなるような1枚だったことだけは間違いありません。実際、そう感じていましたし。

だからこそ、カリスマ的な存在感を放っていたミッチが本作を最後にこの世を去ることになるなんて、リリース当時は想像もしていませんでした(ミッチは本作リリースから1年以上経った2012年11月1日、バイク事故で急逝)。改めて「You Only Live Once」という楽曲の歌詞が胸に沁みます。

 


▼SUICIDE SILENCE『THE BLACK CROWN』
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2020年2月23日 (日)

コンテイジョン(2011)

あらすじ
香港出張からアメリカに帰国したベスは体調を崩し、2日後に亡くなる。時を同じくして、香港で青年が、ロンドンでモデル、東京ではビジネスマンが突然倒れる。謎のウイルス感染が発生したのだ。新型ウイルスは、驚異的な速度で全世界に広がっていった。
米国疾病対策センター(CDC)は危険を承知で感染地区にドクターを送り込み、世界保健機関(WHO)はウイルスの起源を突き止めようとする。だが、ある過激なジャーナリストが、政府は事態の真相とワクチンを隠しているとブログで主張し、人々の恐怖を煽る。その恐怖はウイルスより急速に感染し、人々はパニックに陥り、社会は崩壊していく。国家が、医師が、そして家族を守るごく普通の人々が選んだ決断とは──?

マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロー、ケイト・ウィンスレットなどそうそうたる面々が一堂に会した、スティーブン・ソダーバーグ監督によるパンデミック系パニックムービー。冒頭10数分の感染する流れが、新型コロナウイルスを通じた今年1月末〜2月上旬の世界情勢と重なることから「予言では?」なんて噂され、公開から10年近く経ったこのタイミングに妙な形で注目を集めることになりました。

もちろん、映画の中で発症するウイルスと現実のコロナウイルスはまったく別モノですし、その拡散スピードや死者の数も映画の中では現実離れしたものがありますが、どこか他人事とは思えない部分も多く、興味深く最後まで観ました。

パニック映画としての側面よりも、ウイルスとどう向き合い感染経路を特定させるか、どうやってワクチンを生成するかに焦点が当てられた作品で、その過程で主要登場人物の一部が感染して死亡するというパンデミックの恐怖を表現する。また、現代的なのがネットを通じて、いわゆるYouTuber的存在が発言力を高めることで、どこか新興宗教じみたものへと進化していったり、完成したワクチンをまず“どの国”の“誰”に、“どういう順番”で投与するか、それによる国同士のやりとりなども描かれており、単なるホラーやパニック作品とは異なる醍醐味が感じられるはずです。

ここ日本で生活していると、日々伝わってくる最悪な現実と重ねて観てしまうため、どうしても娯楽作品として楽しむことができなくなってしまいがちですが、この時期だからこそ観ておいて損はない作品かなと。

個人的に胸糞悪かったのは、最初にベス(グウィネス・パルトロー)が不倫によってウイルスを別の土地にも広め、それによってワクチン生成に翻弄したエリン医師(ケイト・ウィンスレット)がウイルスに感染してしまう流れ。彼女がどうなったかは、ぜひ劇中で確認してもらいたいと思います。

(*78点)

 


▼コンテイジョン
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2020年2月13日 (木)

EVANESCENCE『EVANESCENCE』(2011)

2011年10月上旬にリリースされたEVANESCENCEの3rdアルバム。

メガヒットを記録したデビューアルバム『FALLEN』(2003年)のリリースツアー中、ソングライターのひとりであるベン・ムーディ(G)がバンドを脱退。エイミー・リー(Vo, Piano)は新メンバーを迎えることでツアーを継続し、新たな布陣で2ndアルバム『THE OPEN DOOR』(2006年)を完成させます。同作はチャート上ではデビューアルバム(全米3位)を上回る初の全米1位を獲得。セールス的には200万枚程度とデビュー作には及びませんでしたが、メガヒット後の余波を受けつつ成功を持続させることができました。

『THE OPEN DOOR』は『FALLEN』の世界観を踏襲した、良くも悪くも“ディフォルメ感”の強い1枚でした。即効性はかなり強く、リリース当時は良い作品だと感じながらリピートしたのですが、時間が経つと「これを聴くなら別に1作目があればいいんじゃないか?」と思えるようにもなってしまい。要するに、瞬発力やインパクトはある程度あるのですが、深みが足りない作品集だったように思うのです(今になってみれば、ですが)。

特に、ベンというメインソングライターを欠いたことで、エイミーはテリー・バルサモ(G)という新たなパートナーと共作を続けるのですが、2作目の時点では“デビュー作で獲得できたファン層をいかに離さずに1stアルバムらしさを再現するか”に注力することのみに専念。結果、バンドというよりは“エイミー・リーのソロプロジェクト”感が強くなってしまったのかもしれません。

そこから5年という長い歳月を経て、エイミーはEVANESCENCEを“ソロプロジェクト”から“バンド”へと成長させた。だからこそ、このタイミングにバンド名をアルバムタイトルとして用いたのでしょうね。

当初は巨匠スティーヴ・リリーホワイト(U2、XTC、LUNA SEAなど)をプロデューサーに迎えて制作を始めたものの、途中でニック・ラスクリネクツ(ALICE IN CHAINSDEFTONESMASTODONなど)に交代。エイミー、テリー、トロイ・マクロウホーン(G)、ティム・マッコード(B)、ウィル・ハント(Dr)という心強い布陣は演奏やアレンジのみならず、ソングライティング面でも貢献することでよりバンド感を強めることに成功しています。

実際、このアルバムではデビューアルバムの幻影をかなり払拭できているのではないでしょうか。バンドとしての一体感を強め、ソングライティングでも従来のスタイルをただなぞるだけではなくちゃんと進化させている。ゴシックメタルの要素は残しているものの、むしろそれは味付けといった程度に収められており、むしろヘヴィロック/ラウドロックバンドとしての側面を強く確立させているのが本作なのかなと。

シングルカットされた「What You Want」や「My Heart Is Broken」「Lost In Paradise」を筆頭に、「The Other Side」「Never Go Back」、そしてアルバム本編のラストを飾る美しいゴシック&エレポップ風バラード「Swimming Home」など癖になる佳曲が多い。リリースから8年以上経ちますが、意外と何度でもリピートできる1枚です。

 


▼EVANESCENCE『EVANESCENCE』
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2019年8月24日 (土)

TRIVIUM『IN WAVES』(2011)

2011年8月に発表された、TRIVIUM通算5作目のスタジオアルバム。70分近い大作志向だった前作『SHOGUN』(2008年)は全米23位まで上昇しましたが、本作はそれを超える最高13位を記録。現時点ではキャリア最高位を残しています。

前作発表後に10年近く在籍したトラヴィス・スミス(Dr)が脱退し、新たにニック・オーガスト(Dr)が加入してから最初に制作されたのが本作。プロデューサーにかのコリン・リチャードソン(CARCASSFEAR FACTORYNAPALM DEATHBULLET FOR MY VALENTINEなど)とマーティン・フォード(ex. DUB WAR、ex. SKINDRED)を迎えたこのアルバムは、バンドとしても新たな挑戦がたっぷり詰まった1枚に仕上がっています。

聴いてもらえばわかるように、これまでのメタルコア/スラッシュメタルの延長線上とは異なるモダンなサウンドへとシフトチェンジ。前作までにあった“古き良き時代のHR/HMの王道感+現代的な味付け”を通り越し、非常に“ナウ”(死語)なタッチへと変貌を遂げたことで、従来のファンの間でも賛否あったように記憶しています。

だって、オープニングのひんやりしたSE「Capsizing The Sea」からグルーヴメタル的アレンジの「In Waves」への流れといったら……キャッチーなメロディこそTRIVIUM的ですが、楽曲のタイプとしては完全に今までにないタイプ。その後もスクリームを多用しつつもしっかりメロディが耳に残るキャッチーさと、プログレッシヴなんだけど従来のメタル的なそれとは異なるモダンさが際立つプレイ&アレンジの楽曲が続いていきます。

でもね、これが意外と悪くないんですよ。確かに『ASCENDANCY』(2005年)が好きだったリスナーにはキツいし、『THE CRUSADE』(2006年)での“新世代メタル宣言!”的なストレートさも皆無。なのに、聴いていると非常にクセになる楽曲ばかり。「In Waves」同様にシングルカットされた「Built To Fall」や「Caustic Are The Ties That Bind」あたりも、アレンジ次第では前作までに収録されていてもおかしくないんでしょうけど、味付けによってここまで化けるかという驚きもあり。1分半程度のインスト2曲を含む全13曲、トータル51分という長さも程よくて、個人的には前作以上に気に入っている1枚だったりします。

あと、本作は音のみならず、映像やヴィジュアル、衣装のイメージまでをもコントロールしたトータル性の高い内容で、デラックス盤付属のDVDやYouTubeなどで公開されているMV、さらにはアートワークからもその気合いが伝わってきます。結局、こういったコンセプチュアルな作り込みはこれ1作のみとなってしまいましたが、ここでの実験は確実に以降の作品にも活かされているので、決して無駄ではなかったんだなと思っています。

なお、上に書いたように本作にはデラックス盤が用意されており、そちらは本編途中にボーナストラック3曲、最後のインスト「Leaving This World Behind」のあとにSEPULTURAのカバー「Slave New World」など2曲の計5曲を追加した内容となっています。全18曲で約68分……って前作と一緒やん(苦笑)。個人的にはコンパクトな通常盤の13曲構成がお気に入りなので、まずはこちらから聴いて、さらに気になったらデラックス盤を聴いてみると新たな発見があるかもしれませんよ(どちらもSpotifyやApple Musicで聴くことができます)。

 


▼TRIVIUM『IN WAVES』
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※ちなみに、デラックス盤はこちら。

2019年8月 9日 (金)

SCORPIONS『COMEBLACK』(2011)

2011年11月に発表された、SCORPIONSのカバーアルバム。日本では若干遅れて2012年1月にリリースされています。

前年3月に解散を前提として制作されたオリジナルアルバム『STING IN THE TAIL』(2010年)を発表し、以降のワールドツアーが好評を博したSCORPIONS。同作は本国ドイツで2位、アメリカでも17年ぶりにトップ30入り(23位)を果たし、それに気を良くしたバンドは「全世界のファンへの感謝」を形とするために、“アンコール盤”として新たなスタジオアルバムを制作しました。

本作はすべて新録曲で構成されていますが、新曲は一切含まれておりません。全13曲(ボーナストラック除く)中、前半の7曲は1980〜1990年のヒット曲を当時の編成で再録したもの。クラウス・マイネ(Vo)が以前ほどハイトーンが出せなくなっているため、すべてダウンチューニングとなっています。録音状態やミックスは非常にドライなもので、「Rock You Like A Hurricane」のようなキャッチーな楽曲には合っているのですが、オープニングの「Rhythm Of Love」はちょっと物足りなさを感じてしまいます(もともと、原曲がビッグ・プロダクションで派手でしたしね)。

後半6曲は、バンドが影響を受けた60年代のアーティストの楽曲をカバーしたもの。そのセレクトはハードロックとは程遠いもので、THE BEATLES、THE KINKS、THE ROLLING STONES、T. REX、SMALL FACES、グロリア・ジョーンズとブリティッシュビートが中心。唯一、グロリア・ジョーンズのみ浮いていますが、これはピックアップした「Tainted Love」がSOFT CELLがカバーしていることから、実はSOFT CELLのほうを取り上げたつもりなのかな、と。そう考えればラインナップ的にもT. REXと並ばせることができますし、非常に腑に落ちるものもありますね。

どの曲も程よい感じにハードロック化されており、前半7曲との差を感じさせないアレンジだと思いました。「Tainted Love」も「Children Of The Revolution」もダウンチューニングのせいもあって、適度なヘヴィさがありますし。THE KINKSの「All Day And All Of The Night」も「ああ、ギターリフという点でかなり影響受けているんだな」という気づきもありましたし。

ちなみに、デラックス盤には「Big City Nights」のセルフカバーと、フランスの女性歌手アマンジーヌ・ブルジョワとの「Still Loving You」デュエットバージョン、「Shapes Of Things」(THE YARDBIRDSカバー)が追加されています。後者2曲は別として、なぜ「Big City Nights」は本編に入れなかった?という疑問が残りますが、日本盤およびストリーミングサービスではすべて聴けるので問題なし。

これが全盛期にリリースされていたら「単なる手抜き」と揶揄されていたと思いますが、解散が決定した中での最後のプレゼントというポジションなら“アリ”だったわけです。ところが、ご存知のとおりSCORPIONSはその後解散を撤回。さらなるオリジナルアルバム『RETURN TO FOREVER』(2015年)も発表し、2016年秋には来日公演も行なっています。となると、このアルバム……今となっては非常にトンチキな1枚なわけです。

……まあ、こういう肩の力の抜けたSCORPIONSも悪くない、よね?(苦笑)

 


▼SCORPIONS『COMEBLACK』
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2019年5月 3日 (金)

WHITESNAKE『FOREVERMORE』(2011)

2011年3月にリリースされた、WHITESNAKE通算11作目のスタジオアルバム。前作『GOOD TO BE BAD』(2008年)が全英7位/全米62位という当時としてはまずまずの数字を残しましたが、今作は全英33位/全米49位という良いのか悪いのか微妙な結果に。本国では数字を一気に落としていますが、アメリカでは若干上げている。枚数的には僅差といったところなんじゃないでしょうか。

レコーディングにはデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)ダグ・アルドリッチ(G)、レブ・ビーチ(G)のほか、新加入のマイケル・デヴィン(B)、ブライアン・ティッシー(Dr)が参加。前作では正規メンバー扱いだったティモシー・ドゥルーリー(Key)はサポート扱いで記されています。

どの曲もデヴィッド&ダグによるものという点は前作と変わらず。ライブアルバム『LIVE... IN THE SHADOWN OF THE BLUES』(2006年)に収録された新曲4曲を含めれば、本作で3度目のコラボレーションということになり、さすがに2人の関係性も板についてきたのでしょうか、前作以上にリラックスした雰囲気が各曲から伝わってきます。

オープニングを飾る「Steal Your Heart Away」にしろシングルカットされた「Love Will Set You Free」にしろエネルギッシュさみなぎるハードロックですが、前作よりも力み過ぎていない、むしろ自然体で鳴らされているような感触があります。「I Need You (Shine A Light)」のようなロックチューンはまさにその象徴的1曲と言えるのではないでしょうか。

特にこういった傾向は「Easier Said Than Done」や「One Of These Days」「Fare Thee Well」のようなミディアム/スローナンバーに顕著で、前作における「All For Love」や「Summer Rain」の延長線上にありながらも、より練り込まれた印象を受けます。高音が厳しくなったデヴィッドにあわせてダウンチューニングした結果、こういったミディアムナンバーのトーンが落ち着いたものになった。そこは結果オーライなのかな。

全体的にもミディアムテンポの楽曲が中心なのですが、そんな中で突然飛び込んでくる「Dogs In The Street」や「My Evil Ways」のようなアップチューンが良いアクセントになっている。80年代後半のスタイルをベースにしつつも、どこか80年代初頭の初期WHITESNAKEの香りもほのかに感じられる。前作で10枚目という節目を迎え、ここでもう一度原点回帰……というのは言い過ぎかもしれませんが、改めてWHITESNAKEというバンドの在り方を見つめ直した。なんて解釈するのは過大評価でしょうか?

全13曲で60分超えというボリュームは前作同様で、正直長すぎるなあと思ってしまうし、前作同様「これ!」という1曲がないという点においては減点対象になってしまいますが、個人的には前作よりも印象が良いんですよね。確実に「平均点やB+」以上の完成度を誇る楽曲群が並ぶ1枚だと思います。

 


▼WHITESNAKE『FOREVERMORE』
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2018年8月29日 (水)

DEFTONES『COVERS』(2011)

DEFTONESが2011年4月に“レコード・ストア・デイ”の限定アイテムとしてリリースした、カバーコンピレーションアルバム。当初はアナログ5000枚限定でリリースされましたが、数年後にデジタルリリース&ストリーミング配信開始。現在ではこうやって手軽に聴くことができるようになりました。

DETFONESは2005年にも『B-SIDES & RARITIES』と題した、シングルのカップリング曲や未発表音源からなるCDとMVなどを収めたDVDの2枚組作品を発表していますが、本作『COVERS』には先の『B-SIDES & RARITIES』にも収録されていたカバー曲が複数含まれています。

本作の内訳は以下のとおり。原曲者カッコ後ろに「*」が付いている楽曲は、『B-SIDES & RARITIES』にも収録されていたものです。


01. Drive [原曲:THE CARS]
02. Caress [原曲:DRIVE LIKE JEHU]
03. Please, Please, Please, Let Me Get What I Want [原曲:THE SMITHS] *
04. No Ordinary Love [原曲:シャーデー] *
05. Savory [原曲:JAWBOX] *
06. Do You Believe [原曲:THE CARDIGANS]
07. Simple Man [原曲:LYNYRD SKYNYRD] *
08. Ghosts [原曲:JAPAN]
09. The Chauffeur [原曲:DURAN DURAN] *
10. If Only Tonight We Could Sleep (Live) [原曲:THE CURE] *
11. Sleep Walk [原曲:SANTO & JOHNNY]


11曲中5曲がアルバム初収録。つまり、『B-SIDES & RARITIES』以降に録音されたカバーということになります。

どの曲も原曲のイメージを損なうことなく、しっかりDEFTONESとしてのカラーも主張した良カバーではないでしょうか。THE CARSの「Drive」の気怠さなんて最高だし、DURAN DURANやJAPANはこれ以上崩しようがなかったのか比較的原曲に近い状態。そういったところに、このバンドの原曲者への愛情が感じられます。

ちなみに、『B-SIDES & RARITIES』のみで聴けるカバー曲は以下のとおり。


Wax And Wane [原曲:COCTEAU TWINS]
Sinatra [原曲:HELMET]
Night Boat [原曲:DURAN DURAN](iTunes版のみ収録)


どんだけDURAN DURANが好きなんだ!って話ですが、このへんが個人的にDEFTONESを信用できるところでもあるんですけどね。彼らはこのほかにも、コンピレーションアルバムに「To Have and to Hold」(原曲:DEPECHE MODE)、「Jealous Guy」(原曲:ジョン・レノン)を提供しています。

さて、昨日のDEATH OF LOVERSからの続き。同じようなUKニューウェイブからの影響下にあるDEFTONESとNOTHING / DEATH OF LOVERSですが、いくつか被る要素はありつつも軸になっているものが異なることに気づかされます。THE SMITHSやTHE CURE、COCTEAU TWINS、DEPECHE MODEのようなバンドこそ両者ともルーツとして重なるものの、NOTHING / DEATH OF LOVERSはニューウェイブでもポストパンク寄りで、DEFTONESはニューロマンティック寄り。大雑把に括ればこうなるのではないでしょうか。あと、DETONESはMTV世代という言い方もできるかもしれない。THE CARSやシャーデーが入っているあたりに、その匂いが感じられます。まあ、これは両バンドの年齢の違いとも受け取れますが。

もしNOTHINGやDEATH OF LOVERSが純粋なカバーアルバムを作るとしたら、一体どんな選曲になるのか。あそこまでど直球でルーツへの愛情を形にするバンドなんだもん、そりゃあカバーにも捻りなんて求めませんよこちらも。ホント、一度聴いてみたいものです。



▼DEFTONES『COVERS』
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2017年6月21日 (水)

MICHAEL MONROE『SENSORY OVERDRIVE』(2011)

先日55歳の誕生日を迎えたばかりのマイケル・モンロー。再生HANOI ROCKS解散を経て、現在彼の活動拠点となるのが自身の名前を冠したMICHAEL MONROEというバンドです。今回紹介するのは、2011年春にリリースされたMICHAEL MONROE名義での1stアルバム(ソロとしては通算6枚目)。当時のメンバーはマイケルのほか、ジンジャー・ワイルドハート(G)、スティーヴ・コンテ(G)、サミ・ヤッファ(B)、カール・ロックフィスト(Dr)。ジンジャーは本作に伴う活動途中で、案の定バンドを離れています。

バンド編成になったからといって急激に音楽性が変わるわけもなく、ここで聴ける楽曲やサウンドは過去のマイケル・モンローを知る人なら納得の内容。パンクロックを通過した軽快なロックンロールがたっぷり詰め込まれています。HANOI ROCKSだろうがDEMOLITION 23.だろうが、なんでもあり。どの時代の曲と混ざり合っても違和感のない、普遍的なロックンロールソング集と言えるでしょう。

とはいえ、ソングライティングに携わる人間が変われば、そのテイストが多少異なる楽曲もいくつか含まれるわけで。本作でいえば、ポップなメロディを持つ「Superpowered Superfly」は明らかにジンジャーの手腕によるもの。この曲と「Later Won't Wait」はジンジャーが単独で書き下ろしたもので、「Later Won't Wait」もどこかTHE WiLDHEARTSやその他ジンジャーが携わってきたバンドに共通するストレンジさが含まれており、それがマイケルの個性とぶつかり合うことで生じた化学反応を楽しむことができます。

こういった新境地もいくつか含まれていたことから、個人的には「MICHAEL MONROE、これから面白くなるんじゃね?(但しジンジャーが抜けなければ)」と思っていたのですが……さすがに2枚目はなかったと。ただ、次は次で面白いコラボレーションが生まれるので、また別の意味でワクワクしたわけですが。

ちなみに、ジンジャーの後釜としてバンドに加わったのが、当時BACKYARD BABIESが活動休止中だったドレゲン。マイケルとBYBは過去にコラボ経験があるとはいえ、この邂逅にはさすがに驚きました。

なお、本作の本編ラストに収められている「Debauchery As A Fine Art」は、前年に発表されたライブアルバム『ANOTHER NIGHT IN THE SUN: LIVE IN HELSINKI』に先行収録されていた「Motorheaded For A Fall」を改作したもの。基本構成は一緒ですが、このスタジオテイクにはオリジナルタイトルにその名が含まれていたMOTORHEADのレミーがゲスト参加しています。

2017年のこのタイミングに「マイケル・モンローってどんな人? どれから聴けばいいの?」と質問されたら、まずはこのアルバムをオススメすると思います。そこから新作まで順々に聴いてもいいし、過去をさかのぼってもいい。あるいは、HANOI ROCKSに進むのもアリ。本作を拠点にすれば、マイケルのどのキャリアにもたどり着けるはずです。



▼MICHAEL MONROE『SENSORY OVERDRIVE』
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2017年2月12日 (日)

NIGHT RANGER『SOMEWHERE IN CALIFORNIA』(2011)

NIGHT RANGERが2011年初夏に発表した、通算9枚目(“MOON RANGER”と呼ばれる特殊編成で1995年にリリースした『FEEDING OFF THE MOJO』を含めると10枚目)のオリジナルアルバム。再結成後もしっかり参加していたジェフ・ワトソンが脱退し、新たにジョエル・ホークストラ(G)が加わって最初のアルバムになります。と同時に、NIGHT RANGERがついに“らしさ”を取り戻した記念すべき1枚ではないかと思っています。

1996年のオリジナル編成での再結成以降、1人抜け、また1人抜けとメンバーチェンジを繰り返しながら新陳代謝を続けてきた彼ら。一時は新作を10年近くもリリースできない期間もありましたが、ジェフ・ワトソン脱退後にバンドとしてのエンジンに再び火がついたのか、ジャック・ブレイズ(Vo, B)、ケリー・ケイギー(Vo, Dr)、ブラッド・ギルス(G)のオリメン3人に先のジョエル、そしてエリック・レヴィー(Key)という新たな布陣で4年ぶりのオリジナルアルバムを完成させるのです。

いざ完成した本作は、まずオープニングの「Growin' Up In California」でノックアウトさせられます。往年の「(You Can Still) Rock In America」を彷彿とさせる曲調、そしてあの“時代錯誤なシンセ”はないもののイントロのツインリードでぐっと心を鷲掴みにされ、ジャックのボーカルとジャック&ケリーのハーモニー、テクニカルなギターソロの応酬とすべてが“全盛期のNIGHT RANGER”をイメージさせるものばかり。『NEVERLAND』(1997年)も『SEVEN』(1998年)も良かったんだけど、待ってたのはこれなんですよね、うん。

その後もNIGHT RANGERらしい楽曲が続きます。ヘヴィな「Lay It On Me」、軽快かつキャッチーな「Bye Bye Baby (Not Tonight)」、ポップながらお豪快なハードロックチューン「No Time To Lose Ya」、イントロの泣きメロにグッとくるマイナーキーの「End Of The Day」、そしてNIGHT RANGERにとってもうひとつの“大きな武器”である王道パワーバラード「Time Of Our Lives」と、とにかく粒ぞろい。80年代の“バラードバンド”的レッテルを払拭しようと意識したのか、バラードは先の「Time Of Our Lives」のみ。基本的にはキャッチーなメロディを持つアップテンポ〜ミドルテンポのロックナンバーが中心で、彼らが今何をしたいのかが明確に理解できる1枚に仕上がっています。

思えば、バラードはあれだけヒット曲があるんだから、ぶっちゃけ過去の楽曲のみでことが済む気がするし、それだったらロックバンドとしての“今”を形として証明したほうがいいのではないか……きっとそんな思いが強かったんでしょう。「俺たち、まだまだやれるし!」って。「Growin' Up In California」から始まって、ドラマチックでスケール感の大きい「Say It With Love」で幕を降ろす構成もバッチリですしね。

僕自身もこのアルバムを聴いて「NIGHT RANGER、やっぱりイイじゃん!」と改めて思えたし、きっと同じように感じた往年のファンは多かったんじゃないかと信じています。大人の貫禄と「まだまだやれる!」っていう若々しさが混在した良作です。



▼NIGHT RANGER『SOMEWHERE IN CALIFORNIA』
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2015年10月 7日 (水)

MEGADETH『Th1rt3en』(2011)

さあ、いよいよ最終回です。今回はゼロ年代に発表した2作品(13th、14th)に加え、ムステインの課外活動として結成されたバンド・MD.45唯一のアルバム『The Craving』についても触れてみたいと思います。2年半ぶりのニューアルバムとなる15thアルバム『Dystopia』(ジャケットがHELLOWEENの新作みたい)は2016年1月発売。今週末に迫った「LOUD PARK 15」ではこのアルバムからの新曲もいち早く聴けるかもしれませんね。というわけで、最後の最後に新作に対する予想&期待も記しておきたいと思います。

エルフソン復帰後初のアルバムは、13枚目のアルバムということで『Th1rt3en(=Thirteen)』という安直なタイトル。さらに曲数もこれにちなんで13曲入りという、ここ最近のアルバムではかなり多いトータルランニング(60分近く)。

この中には既発曲のリメイク(「New World Order」「Black Sawn」「Millennium Of The Blind」)も含まれており、これによって内容が若干散漫になった気がしないでもない。何も今さらマーティ&ニック時代の曲を引っ張り出さなくても。とはいえ、冒頭3曲で連発されるスピードメタルチューンの並びは圧巻。

全体的な雰囲気は前作『ENDGAME』の延長線上という印象。ここ数作はアルバムごとに若干違った作風にチャレンジするというよりは、前作をアップデートさせてMegadeth道を極める的なイメージがあるが、先のリメイク曲での水増しによりちょっと勿体無い印象の強いアルバムになってしまったかな。

とはいえ、先のリメイク3曲も決して悪い曲ではないんだけど……。「Never Dead」みたいなガッツのある曲の後に聴き覚えのある「New World Order」が来ると、ちょっとだけ萎えるのも本音。全体的に「あと一歩」な1枚。



▼MEGADETH『Th1rt3en』
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