2017/07/14

✝✝✝ (CROSSES)『✝✝✝』(2014)

DEFTONESのチノ・モレノ(Vo)が幼少期からの友人であるFARのショーン・ロペス(G)、そしてチャック・ドゥーム(B)の3人で2011年からスタートさせたサイドプロジェクト・✝✝✝(“CROSSES”と読む)。2枚のEPを経て2014年に完成させたのが、このセルフタイトルのフルアルバムです。

DEFTONESでトライしているダークでゴシックな作風はそのままに、サウンド面をそのままエレクトロに置き換えて表現したのがこの✝✝✝と言えるでしょう。ヘヴィロック的な激しさを伴う楽曲もあるにはあるし、曲によってはスクリームも取り入れられていますが、それはほんの味付け程度。基本的にはダウナーでメロウな世界観が展開されています。

過去に発表された2枚のEP収録曲をそのまますべて収録したほか、新たに録り下ろされた新曲5曲を加えた全15曲から構成されているという点においては、結成から2014年時点での集大成と呼べるでしょう。トラックリストも非常に考えられているように見えますが、実は1曲目から1st EP収録曲、2nd EP収録曲、新曲のサイクルを繰り返して収められているという不思議な構成。それでも単なる寄せ集めには感じられないのは、1曲1曲が独立した世界観を持っているからでしょうか。

もともとチノのルーツにはDEPECHE MODEあたりからの影響が見え隠れしていたし、実際DEFTONESでDEPECHE MODEのカバーにも挑戦していましたが、こうやって打ち込み主体のサウンドにトライすると、やはりそういう方向性になってしまうのですね。もちろん、単なるDEPECHE MODEオマージュでは終わっておらず、そこにはシューゲイザーやドリームポップ、あるいはトリップホップあたりからの影響も色濃く表れている。DEFTONESではテイストとして取り入れていた要素を、ここではサウンドの軸として全面に打ち出しているのは大きない違いと言えます。

同じシンガー、違うバンドメンバーではあるものの、DEFTONESと✝✝✝がまったくの別モノと思えないのも事実。それは“スタート地点は同じなのに、そこから枝分かれした道、進んだ道が異なることでゴールが違った”だけの話なんでしょうね。そしてチノが✝✝✝というプロジェクトを経て、DEFTONESで『GONE』(2016年)という力作を完成させたという点も、非常に興味深いのではないでしょうか。



▼✝✝✝ (CROSSES)『✝✝✝』
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投稿: 2017 07 14 12:00 午前 [2014年の作品, Crosses (✝✝✝), Deftones] | 固定リンク

2017/06/24

MR. BIG『...THE STORIES WE COULD TELL』(2014)

2014年9月にリリースされた、通算8枚目のオリジナルアルバム。再結成後としては、2010年末に発表された前作『WHAT IF...』から3年9ヶ月ぶり。ここまで時間が空いたのには理由があり……ご存知のとおり、パット・トーピー(Dr)のパーキンソン病が発覚。また、ポール・ギルバート(G)の難聴が悪化したことや、ビリー・シーン(B)がリッチー・コッツェン(Vo, G)、マイク・ポートノイ(Dr)と新たに結成したバンド、THE WINERY DOGSの活動が好調だったことが、制作の遅れにつながったと言われています。

さて、そうなると誰がバンドの新作制作を引っ張るのか。意外にも、その役割を引き受けたのがエリック・マーティン(Vo)でした。エリックは全13曲中(ボーナストラック除く)11曲にクレジットされ、プロデューサーのパット・リーガンとともに根気よく作業を続けたようです。そこには、病気でドラムが叩けなくなったパット・トーピーが自身がプログラミングしたドラムトラックを採用するという、気の遠くなる作業も含まれているのですから……。

そういう難産の末完成した本作ですが、評価は前作ほど高くないのも事実。ドラム云々は抜きにしても(実際、シンバルなど金モノ系を集中して聴かない限り、プログラミングしたドラムトラックとは気づかないのでは?)、なんとなくバンドが完璧に噛み合ってない印象を受けるのです。

楽曲自体は前作の延長線上にあり、メロディラインなど比較的優れたナンバーが多いのですが、ギターとベースが遠慮がちというか。このへんはポールの病気の影響も大きいのかもしれませんが、それに引っ張られるようにベースもボトムを支えることに専念している印象を受けます。そこにパットの件が加わるもんだから……言い方は悪いけど、「エリック・マーティンのソロアルバム(MR. BIG寄り)」と感じてしまうのです。

いえ、エリックはそうならないよう、しっかりMR. BIGというバンドのことを意識して作業に当たったと思うんです。しかしエリック以外のメンバーが地味すぎるがために、結果エリックの個性のみが突出してしまう。それが先の「バンドが完璧に噛み合ってない」につながるわけです。

改めて聴き返してみても、決して悪いアルバムではないんですよ。だけど、地味さが前面に出てしまい、前作よりも聴く頻度が落ちてしまった。悲しいかな、そういう残念な1枚であります。

また、本作は日本盤の初回限定盤のみ、初期編成で発表した4枚のアルバムからのベスト選曲を再録音したボーナスティスク付き。なぜこのタイミングで再録ベスト?と思ったけど、実はこれ、パットが過去の楽曲でプログラミングの練習をしたってことなんじゃないでしょうか。ここでの“リハーサル”があったから、オリジナル新作では違和感のない“ドラミング”を披露することができた。そう思うと、この『...THE STORIES WE COULD TELL』というアルバムがいかに難産だったかが理解できると思います。

もうひとつ残念なのは、新作本編よりもこっちのボーナスディスクのほうが聴く頻度が高かったということ。声域が若干低くなったエリックに合わせて半音下げで再録された名曲の数々は、原曲よりテンションが落ちるものではありますが、曲によっては大人の色気を感じるものも含まれており、まったくナシではないかな。とはいえこれ、単なるオマケなのであまり高い評価は付けないでおきます。

本作を携えたツアーでは、パットもステージ上に姿はあるものの、基本的にはサポートドラマーのマット・スターがプレイ。パットはタンバリンを叩いたりコーラスを入れたりしつつ、限られた楽曲でドラムを披露してくれました。ここでの変則編成がメンバー的にもお気に召したようで、新たな未来へとつながっていくわけです。



▼MR. BIG『...THE STORIES WE COULD TELL』
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投稿: 2017 06 24 12:00 午前 [2014年の作品, Mr. Big] | 固定リンク

2017/06/20

AC/DC『ROCK OR BUST』(2014)

2014年11月にリリースされた、AC/CD通算15枚目(オーストラリア国内では16枚目)のスタジオアルバム。プロデュースは前作同様、ブレンダン・オブライエンが担当。マルコム・ヤング(G)が認知症のためバンドを離れ、代わりにマルコム&アンガス・ヤング(G)の甥にあたるスティーヴィー・ヤングが加入して制作されました。また、本作を携えたツアー期間にフィル・ラッド(Dr)が逮捕されバンドを脱退。代役として90年代前半に在籍したクリス・スレイドが再加入しています。また、ブライアン・ジョンソン(Vo)も聴力障害のためツアーを離脱。2016年のツアーではGUNS N ROSESのアクセル・ローズがゲスト・ボーカリストとして代役を務めたことは記憶に新しいと思います。さらに、クリフ・ウィリアムズ(B)も本ツアー終了後にバンドから脱退。結果として、我々がよく知るAC/DC最後のアルバムとなってしまいました。

全米1位を獲得した前作『BLACK ICE』(2008年)から6年ぶりに発表された本作は、どの曲も2〜3分台という非常にシンプルな構成。全11曲でトータル34分というランニングタイムは昨今の作品としては非常に短く感じますが、実際に聴くとその倍くらいあるんじゃないかと思えるほどの濃厚さがあります。シンプルだからこその濃さ。これこそが、40年以上の活動を経て到達した境地なのかもしれません。

思えば前作は8年ぶりの新作。気合いを入れて望み、結果として全15曲入り、トータル55分という、当時としては「最強のAC/DC」を表現していたと思います。しかし、その最強な状態からさらに余計なものをそぎ落とした結果、「11曲ぐらいで、34分でも大丈夫じゃない?」という結論にたどり着いた。というのは、考えすぎでしょうか? でも、そう思えるぐらいに寸分も隙がない、鉄壁なロックンロールアルバムだと思うのです。

そう、本作はHR/HMというよりはロックンロール。『BLACK ICE』はまだハードロックですよね。それ以上に原始的、もしくはルーツに原点回帰したのがこの『ROCK OR BUST』なんじゃないでしょうか。

とはいえ、ボン・スコット時代のそれと比較するとまた違うんですけどね。まぁそこは、ブライアン・ジョンソンという替えがきかないボーカリストによるものが大きいと思いますが。幸いブライアンはまだバンドに残っているようですし、耳の調子次第ではツアーにも復帰してくれるはず。レコーディングだって……どうなるのかわかりませんけどね。仮にこのアルバムでバンドの歴史に幕を降ろしたとしても、それはそれで納得がいきますし。

できることなら、このアルバムを携えた来日公演を見たかった。もし後悔があるとしたら、その一点のみです。



▼AC/DC『ROCK OR BUST』
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投稿: 2017 06 20 12:00 午前 [2014年の作品, AC/DC] | 固定リンク

2017/05/06

LINKIN PARK『THE HUNTING PARTY』(2014)

前作『LIVING THINGS』(2012年)はその前の『A THOUSAND SUNS』(2000年)から1年9ヶ月という最短期間で届けられたにも関わらず、過去4作を総括しつつも非常にコンパクトな作品を提示したLINKIN PARK。いわゆる“ニューメタル”時代(初期2作)を第1期とするならば、作品のたびに大きな変化を繰り返した3nd『MINUTES TO MIDNIGHT』(2007年)から前作までの3作は第2期ということになるのでしょう。

では、続く第3期では何を聴かせてくれるのか。そんなワクワクと不安を抱えるファンのもとに、またもや2年という短いサイクルで届けられたのが通算6枚目のオリジナルアルバム『THE HUNTING PARTY』でした。

プロデューサーを手がけたのは、過去3作に携わったリック・ルービンではなく、メンバーのブラッド・デルソンとマイク・シノダ。いわゆるセルフプロデュースというやつですね。バンドがやろうとすることを客観視する人間がいなくなったことで、どんな独善的な作品が完成するのだろうと思ったら、なんとラウドロックに回帰したバンドサウンドが中心。見方によっては原点回帰と解釈することもできますが、ここで繰り広げられているのは初期のニューメタル、ラップメタルとは一線を画するもの。現代的なラウドロックではあるものの、メタルというよりはパンクに近いテイストが強まっています。

正直、『LIVING THINGS』発表後にスティーヴ・アオキとのコラボ曲「A Light That Never Comes」やリミックスアルバム『RECHARGED』(ともに2013年発売)でEDMやダンスミュージックへの急接近を図ったことから、続く6thアルバムはよりその色合いが強くなるのでは?と予想していたのですが、ここまで生々しくて“やりっぱなし”なロックアルバムを作るとは想像もできませんでした。

“やりっぱなし”の意ですが……過去の楽曲がどれも非常にコントロールされた、かなり作り込まれたものだったのに対して、今作で聴ける楽曲はどれも「スタジオでセッションしたものを、そのまま出した」ような印象が強いから。良く解釈すればバンドとしての躍動感をそのまま収めたと受け取れるし、悪く解釈すれば上記の“やりっぱなし”感を受け取ってしまう。これは聴き手が彼らに何を求めているかで二分すると思います。

つまり、僕は直近の2作をとても気に入っていたため、このタイミングでの変化に対して最初は好意的に受け取ることができなかった。リリースから3年近くたった今聴き返してもその印象は変わることなく、まもなく発表される7thアルバム『ONE MORE LIGHT』でのさらなる変化を考えると今作での中途半端な原点回帰は過渡期そのものだったんだなと思うわけです。バンドを次の10年につなげるために必要なアク抜きだったと。

そう解釈すると、本作に多数のゲストアーティストが参加していることも頷けるというか。ペイジ・ハミルトン(HELMET)、ラキム、ダロン・マラキアン(SYSTEM OF A DOWN)、トム・モレロ(RAGE AGAINST THE MACHINE)というLINKIN PARKよりも前に一時代を築いた人たちとのコラボで、次の一歩を導き出そうとしたのかもしれませんね。

聴く人が聴けば決して悪くない作品集だけど、過去にこだわるLINKIN PARKファンには中途半端なアルバムだった。今はそういうネガティブな感情を拭いきれませんが、『ONE MORE LIGHT』を経てさらに数作発表した後にこそ、この『THE HUNTING PARTY』は評価されるのではないか……むしろそうなってほしいと、ちょっとだけ希望を残して終わりたいと思います。



▼LINKIN PARK『THE HUNTING PARTY』
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投稿: 2017 05 06 12:00 午前 [2014年の作品, Linkin Park] | 固定リンク

2017/03/28

SEBASTIAN BACH『GIVE 'EM HELL』(2014)

元SKID ROWのフロントマン、セバスチャン・バックが2014年にリリースしたソロアルバム第3弾『GIVE 'EM HELL』。アクセル・ローズがゲスト参加したソロ第1弾『ANGEL DOWN』(2007年)、ボビー・ジャーゾンベク(Dr)やジョン5(G)が参加した2作目『KICKING & SCREAMING』(2011年)とそれぞれ話題作となりましたが、本作もそれに負けじと劣らずの内容です。

まずアルバム全体でプレイするバンドメンバーにダフ・マッケイガン(B)&ボビー・ジャーゾンベク(Dr)というHR/HMファン歓喜のリズム隊、ギターにアヴリル・ラヴィーンや P!NKなどと共演経験を持つ若手デヴィン・ブロンソンン、さらにゲストプレイヤーとしてジョン5、スティーヴ・スティーヴンスが参加。それぞれ1曲、3曲で個性的なプレイを聴かせてくれます。

内容的には過去のソロ作の延長線上、というよりもSKID ROWで聴くことができたバズの魅力をより濃密にしたもの。ひたすらアグレッシヴに突き進む「Hell Inside My Head」からスタートすると、あとはストップボタンを押さない限りはバズの猛攻の連続。作風的にはSKID ROWの3作目『SUBHUMAN RACE』をより生々しくしたようなテイストで、パンキッシュというよりはメタリックな色合いがほうが強いかもしれません。

それは演奏面にも言えることで、ジョン5やスティーヴ・スティーヴンスのようなテクニカルなギタリストのプレイが乗ることで、ダフ&ボビーの地を這うようなリズム隊のプレイもより活きてくる。その上でのたうち回るバズのボーカルも昔より太くなったことで、豪快さと迫力はSKID ROW時代以上のものがある。また、新加入のデヴィン・ブロンソンンのプレイも一聴して地味そうなんだけど、実はかなりテクニカル。ソングライティング面でもプロデューサーのボブ・マーレットとともにいい仕事ぶりをしてくれたと思います。特に楽曲面に関しては、前作まで在籍したニック・スターリングがかなりの貢献度だっただけに心配したのですが、これはこれでアリ。

そんな中で異彩を放つのが、APRIL WINEのカバー「Rock N' Roll Is A Vicious Game」。ハーモニカをフィーチャーしたアーシーなバラードは、どこかSKID ROWの1stアルバム時代を思い出させてくれます。ひたすらゴリゴリで突き進む作品だけに、この曲になるとちょっと肩の力が抜けてしまいますが(しかもこれに続くのが、オルタナメタル色の強い「Taking Back Tomorrow」なんだから、そのギャップがね)、そこさえ気にしなければ全体的に素晴らしい1枚だと思います。

そういえばバズも『LOUD PARK 12』以来となる5年ぶりの来日公演が『L.A. METAL SUMMIT in TOKYO』で実現するんですね。フェスの趣旨的にSKID ROW時代の曲が多めになりそうな気がしないでもないですが、できたらこの最新作からの楽曲も生で聴きたいものですね。



▼SEBASTIAN BACH『GIVE 'EM HELL』
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投稿: 2017 03 28 12:00 午前 [2014年の作品, Sebastian Bach, Skid Row] | 固定リンク

2015/01/17

Depeche Modeのメタル / ラウド系カバーの私的ベスト10

昨年末からよく聴いているのが、Depeche Modeの最新ライブアルバム「Live in Berlin Soundtrack」。一昨年春にリリースされたオリジナルアルバム「Delte Machine」を引っさげて行われたワールドツアーの音源ですね。残念ながらDepeche Modeの来日公演は1990年くらいに「Violator」を携えてのツアー(武道館公演に行きました)以来実現しておらず、最近でこそ新作リリース後は毎回ツアーDVDやライブCDが発売されるものの、90年代は完全に“死”でしたよね(といっても、90年代半ばはバンド自体が本当の意味で“死”の状態だったのでアレですが)。それこそ「Songs of Faith And Devotion」のツアーが観られなかったのは痛かったなあと。

結局今回の「Delte Machine」ツアーでも、現時点で来日公演は実現していないわけでして。すでにライブ作品が発売されてるってことは……わかります。はい。残念でなりませんが。

さて、話題は変わり。Depeche Modeが好きなメタル / ラウド系バンドって多いですよね。特にデスメタル / ゴシックメタル以降のバンドに多いのかしら。というわけで、今回は「Depeche Modeのメタル / ラウド系カバーの私的ベスト10」という、かなりこじつけ色の強いセレクト。自分が知ってるもの、検索して引っかかって聴いたら気に入ったものを、無理矢理10曲にまとめました。順番は原曲のリリース順……のはずです。まずは、In Flamesを気に入るきっかけになったこのカバーから……。

1. In Flames / Everything Counts

2. A Perfect Circle / People Are People

3. Monster Magnet / Black Celebration

4. Rammstein / Stripped

5. The Smashing Pumpkins / Never Let Me Down Again

6. Deftones / To Have And To Hold

7. Northern Kings / Strangelove

8. Marilyn Manson / Personal Jesus

9. Lacuna Coil / Enjoy The Silence

10. Vader / I Feel You


さて、下の2曲はメタルじゃないけどオマケ。個人的に気に入ってるカバーです。サミー・ヘイガーの「I Feel You」は個人的にナシです。そんな陽気にやられてもねえ。


A-Ha / A Question Of Lust

Johnny Cash / Personal Jesus


にしてもライブアルバム「Live in Berlin Soundtrack」。僕はCDのみの輸入盤を購入してしまったんですが、実はDVD付きのボックスセットも発売されてるんですよね。買ってから知りました(ビョークのBlu-ray+CDもしかり)。アントン・コービンが監督を手がけたというライブ映像もぜひ観てみたいですし、何よりも最新のライブの様子を確認したいですからね。もう1セット購入することになりそうです……はあ。



▼Depeche Mode「Live in Berlin Soundtrack」
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投稿: 2015 01 17 12:03 午前 [2014年の作品, Depeche Mode, 「私的ベスト10」] | 固定リンク

2014/12/19

Sixx:A.M.『Modern Vintage』(2014)

Motley Crueのニッキー・シックス(B)、現Guns N' RosesのDJアシュバ(G)、そしてプロデューサーやソングライターとして活躍するジェイムズ・マイケル(Vo)からなるロックバンドの、3年ぶり3作目のオリジナルアルバム。前2作(2007年の1st「The Heroin Diaries Soundtrack」、2011年の2nd「This Is Gonna Hurt」)がそれぞれニッキーの著書「The Heroin Diaries: A Year in the Life of a Shattered Rock Star」「This Is Gonna Hurt」と紐付いたコンセプチュアルな内容だったのに対して、新作はただやりたいことをひたすらやっただけというような印象が強い、非常にバラエティに富んだ内容に仕上がっています。それは前2作がニッキー主導で制作が進められたのに対して、新作はジェイムズ単独名義でのプロデュースなのも大きな影響を与えているのかもしれません。

どこかヒンヤリとしてヘヴィなサウンドに、シリアスかつエモーショナルな歌が乗る。それが以前のSixx:A.M.のイメージでした。ニッキーの著書との関連性もあり、“あのMotley Crueの司令塔のプロジェクト”というイメージが拭えなかったのもまた事実。でも今回のアルバムを聴く限りでは、「ああ、ようやく本当に意味でバンドになったな」という印象を受けました。Motley Crueが現在フェアウェルツアーを行っているのもあり、ニッキーは今後こちらに本腰を入れるのか……なんてこともチラつきますが、それはこの際無視して。

それまでの「ニッキーのやりたいことを具現化するためにほかのメンバーがサポートする」形から、「才能ある若手を経験ある大御所がサポートする」形へのシフト……と言ってしまっては変かもしれませんが(実際ジェイムズもDJアシュバも40代ですし)、この“バンド化”はそういうシフトチェンジが功を奏したものなのかなという気もしています。ニッキーがやりたいことというよりも、3人がやりたいことを全部詰め込んだような。Queenを彷彿とさせる「Gotta Get It Right」、どこか初期My Chemical Romanceを思い浮かべる「Hyperventilate」、ディスコテイストのダンスナンバー「Miracle」、カントリーやロカビリーの影響が伺える「Before It's Over」、さらにはMotley Crueがブレイクした頃に大ヒットしたThe Carsのバラード「Drive」のカバーまで、楽曲のタイプは本当にさまざま。じゃあてんでバラバラな内容かというと、決して散漫なわけではない。それはメロディセンスであったりアレンジやサウンドのテイストが統一されているのも大きいでしょう。

まるで歴代のロックのオイシイところを抜き出したような楽曲(=Vintage)を、現代的なサウンド&アレンジでまとめあげる(=Modern)。まさに文字通りのアルバムと言えるでしょう。人によっては前2作の世界観が好きという人もいるでしょうが、個人的にはこの進化は評価したいと思います。いやあ、ぶっちゃけ自分の中では今年の10枚に選びたい1枚です。現在はMotley Crueのワールドツアーがあるので難しいでしょうけど、可能なら来年後半以降、日本でもガッツリとツアーをやってほしいなと思います。これなら大歓迎だよ、ニッキー。



▼Sixx:A.M.「Modern Vintage」
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投稿: 2014 12 19 04:20 午前 [2014年の作品, Guns N' Roses, Motley Crue, Sixx:A.M.] | 固定リンク

2014/12/17

Rival Sons『Great Western Valkyries』(2014)

アメリカはカリフォルニア州ロング・ビーチ出身の4人組バンドによる、通算4作目のオリジナルアルバム。恥ずかしながらこのバンド、名前しか知らず音はずっと未聴でした。そんな僕がなぜ今回この新作を手にしたかというと、ジャケット写真の雰囲気とEaracheからのリリースという2人に惹かれて。実は一切試聴せずに購入したのでした。完全なる“ジャケ買い”ですね。

さて、実際に聴いてみたら……なんですかこれ? なんで誰も教えてくれなかったんですか?ってくらいに、自分的にドストライクな音なんですが。説明するまでもないでしょうけど、ここで展開されているのは1960〜70年代の英国ロックそのもの。中でもCreamやLed Zeppelinなどブルースをベースにしたハードロックやサイケデリックロックが軸になっていて、ぶっちゃけ音質をグッと落としたら「60年代末に日の目を見ることがなかったB級ブリティッシュバンド」と言われても信じてしまうようなサウンド / 楽曲が楽しめます。

ちょうど2014年はLed Zeppelinのオリジナルアルバムがリマスタリング&リイシューされ、元Creamのジャック・ブルースが10月に急逝したこともあり、個人的にこういったバンドの諸作品を引っ張り出す機会が増えた時期でした。そんなタイミングに、自分の前に登場したこのアルバム。悪いわけがない。ちょっとしたアレンジ、サウンドエフェクトから感じられる先人たちへのリスペクトと偏愛。楽曲の構成、メロディにもこだわりが感じられ、とても2014年とは思えないものばかり……と思ったんですけど、実は1周回ってすごく2014年的なんじゃないかと。だって今年はファレル・ウィリアムスの「Happy」がバカ売れしたんですよ。2013年のDaft Punk以降の流れを考えると、ファンク / ソウルだけじゃなくてロックだって……と思ってしまうんです。

とはいえ、結局Rival Sonsは今のところ大きなヒットには恵まれてないわけですが、メジャーシーンでFoo Fightersが気を吐き続け、大御所であるAC/DCやPink Floydが新作をリリースした今、こういったインディバンドが日の目を見るチャンスはゼロでないと信じています。いや、それくらいの夢は見てもいいよね。



▼Rival Sons「Great Western Valkyries」
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投稿: 2014 12 17 04:02 午前 [2014年の作品, Rival Sons] | 固定リンク

2014/12/16

Nickelback『No Fixed Address』(2014)

カナダの国民的ロックバンドによる、前作「Here And Now」から3年ぶりの8thアルバム。2013年発売のベストアルバム「The Best of Nickelback Volume 1」を区切りに長らく在籍したRoadrunnerから離れて、ユニバーサル系列のRebublicに移籍して最初の作品となります。

このバンドに対しては前々作にあたる2008年の6thアルバム「Dark Horse」の頃が個人的なピークで、前作「Here And Now」はそれほど聴き込んだ記憶がなくて。だからのちに発売された「The Best of Nickelback Volume 1」を聴いて、「ああ、こんな曲あったね」と思い出す程度でした。

そんな中、先行公開されたシングル「Edge of a Revolution」を最初に聴いて「お、今回は好みかも……」と期待したんです。どことなくリズミカルさを感じさせるテンポと適度にヘヴィなサウンド、そして耳に残るキャッチーなメロディ。“これぞスタジアムロック!”な「Edge of a Revolution」に続いて公開されたバラードナンバー「What Are You Waiting For?」は、サウンド的には新たな可能性を感じさせるパワーバラードで、「新作は従来の王道さにモダンな色合いを加えた感じになるのかな?」と予想しました。

で、実際に聴いたアルバムは、自分が予想していた以上にバラエティに富んだ作風に仕上がっていました。オープニングを飾る「Million Miles an Hour」から「Edge of a Revolution」、そして「What Are You Waiting For?」という冒頭の流れからは先に書いたような「モダンな要素を加えた王道スタジアムロック」がその後も続くのかと想像したのですが……女性コーラスを取り入れたファンキーな「She Keeps Me Up」、ラッパーのフロー・ライダーをフィーチャーしたブラスサウンドが印象的な「Got Me Runnin' Round」(どことなくサンタナとのコラボ曲を彷彿とさせる)みたいな新境地的楽曲が飛び出し、驚かされます。また従来路線のハードロックナンバー、バラード含め全体的にボーカルへのエフェクトやエレクトロ調の色合いを加えたアレンジが施されており、ヘヴィな楽曲にもソフトな色合いが感じられ、ぐっとAOR的な色合いも強まったかな?という気もしました。

一見とっ散らかっている印象もあるんですが、通して聴いたときはそこまで違和感はなく、むしろ最後までサクッと聴けてしまったかなと。11曲で43分というトータルランニングも程よいし。確かに「Dark Horse」までの作品、いや前作「Here And Now」と比べるとおとなしくて地味な印象なんですが、そこまで悪くない気もする。単純に好みもあるとは思いますが、人によってかなり評価が分かれる1枚かもしれません。僕にとっては前作以上に聴き返す機会が多い作品ですけど。あとはライブでどう印象が変わるのか……早くデカい会場で爆音で聴きたいですね。



▼Nickelback「No Fixed Address」
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投稿: 2014 12 16 10:53 午後 [2014年の作品, Nickelback] | 固定リンク

2014/12/12

Kix『Rock Your Face Off』(2014)

最近またKixとして活動してることは知っていたのですが、オリジナルアルバムとしては1995年の「$how Bu$ine$$」以来実に19年ぶりの新作という。その事実にも驚いたのですが、実際に聴いてみると音が何も変わってないことにも驚きました。まあ彼らの場合、劇的に変わられても困るわけですが。ぶっちゃけ、19年という時間の流れを感じさせない、いい意味で安心印の1枚です。

ただ、メンバーに関しては全員が黄金期のメンバーではなくて。メインソングライターだったベーシストのドニー・パーネルは再結成には参加しておらず、スティーヴ・ホワイト(Vo)がKix解散時に始めたバンド、Funny Moneyのマーク・シェンカーが加わっています。それ以外は代表作「Blow My Fuse」発売時のメンバーなので、問題ないのかもしれませんが(実際、プロデューサーも往年の彼らを支えたテイラー・ローズですし)。

実際、今作ではドニーに替わりマークがメインソングライターとして活躍しています。とはいえ、Kixの基本路線であるAC/DCライクな泥臭いロックンロールがズラリと並んでいるので、そこは心配ないわけですけどね。だけど、「Blow My Fuse」「Hot Wire」あたりに感じられた“ほんのちょっと洗練された印象”がなくなり、良くも悪くも開き直った感じが強いかなと。そういう意味では、よりAC/DC寄りなサウンド / 楽曲になったと思います。

なんて難癖付けましたけど、実際に聴くと“これぞKix”という、いかにもなロックンロール満載なので、最後まで何も考えずに楽しめますけどね。AC/DCが新作をリリースした今こそ、あわせて堪能したい1枚だと思います。日本盤は残念ながらリリースされてませんが、これを機に来日してほしいですね。



▼Kix「Rock Your Face Off」(amazon:輸入盤CD

投稿: 2014 12 12 03:17 午前 [2014年の作品, Kix] | 固定リンク

2014/12/10

ドレスコーズ『1』(2014)

新境地的作風でリスナーを驚愕させたレーベル移籍第1弾作品『Hippies E.P.』から2カ月強を経て届けられた、志磨遼平1人体制で制作されたドレスコーズ1年ぶりのアルバム。

前体制との決別の意味もあるのか、今作には『Hippies E.P.』収録曲は一切含まれていない。が、その理由はアルバムを一聴すれば納得できるはず。『1』(ワン)と題されたこの作品集には、今まで志磨が携わってきたどの作品よりもハッキリと、志磨の本音や素顔……“個”がぶちまけられているから。

ロックンロールに変身願望を重ね合わせ、自身の“個”を抑えようとした彼が、ここで自身を肯定し、バンドという鎧を外し、すべてをさらけ出すことでなし得た化学変化。その結果、特定のジャンルにカテゴライズするのが難しい1枚がここに産み落とされた。もちろんカテゴライズなんて聴いた人それぞれが好きなように決めればいいだけの話。それでもカテゴライズが必要ならば、これはもう「志磨遼平というジャンル」と声を大にして叫ぶべきではないでしょうか。

※このレビューは本作リリース時、『TV BROS.』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。



▼ドレスコーズ『1』
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投稿: 2014 12 10 12:00 午後 [2014年の作品, ドレスコーズ] | 固定リンク

King 810『Memoirs of a Murderer』(2014)

昨日のOpethと同じタイミングで購入していた(つまりCDの山の底にあった)CDのひとつ。先日「あれ、これ前に買ったよな? どんなやつだっけ……」と店頭で試聴するものの、まったく記憶になくて危うくもう1枚購入してしまうところでした。

さて、このアメリカはミシガン州フリント出身の4人組メタルコア / ハードコアバンドのRoadrunner移籍第1弾アルバム。確か店頭のポップに「全米一危険なバンド」みたいなタタキ文が書いてあった記憶があります。何が“危険”なのか? それは下記のMVとNAVERまとめを確認してもらえば理解できるかと思います。

全米一危険な都市で生まれた超極悪メタルバンド"KING 810"がヤバイ - NAVER まとめ

……確認しましたか?

彼ら自身もヤバそうな空気プンプンです。実際、全16曲(トータルランニング67分)の今作を聴いても、そのヤバさは強く伝わってきます。そう、冒頭3曲目までは。

ボキャブラリーが少ない中での例えになってしまいますが、例えば(NYハードコアバンドの)BiohazardにSlipknot的カラーを加えたような、そういう印象をアルバムから受けました。ミディアムヘヴィな曲でゴリゴリに押すだけではなく、アコギをフィーチャーしたブルージーな曲あり、ストリングスを導入したメロウがバラードあり、スポークンワーズあり、と一筋縄でいかない感じが単なるメタルコアバンドやハードコアバンドとは異なる個性と言えるでしょう。

とはいえ、決して音楽的には幅広いことをやってるわけではありません。特にボーカルはほぼメロディを歌っておらず、ひたすら絶叫というイメージが強いです。なので昨今の、軽くメロディアスさが取り入れられたメタルサウンドに慣れてしまった人には、アルバムを通して聴くにはちょっとキツイかもしれません。まあそもそも、Slipknotの1stアルバムだってリリース当時は万人受けするなんて思ってなかったですし、これはこれでいいのではないでしょうか。個人的には毎日好んで聴くタイプではないですが、好きな部類の1枚です。

その風貌やスタンスから、ヒップホップを愛聴する人のほうが実は受け入れやすいのかも。ダークでメロウなスローナンバー含めて。CD購入を悩んでるメタルファンは、下記のMVをチェックしてから決めてみるのもいいかもしれません。


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投稿: 2014 12 10 12:10 午前 [2014年の作品, King 810] | 固定リンク

2014/12/09

Opeth『Pale Communion』(2014)

今年も残り3週間ほどになり、ようやく2014年のまとめに取りかかろうと思うようになりました。で、iTunesにぶち込んだ新譜や、リッピングすらされず目の前に山積みになっているCDの山を眺めているわけですが……そんな中に、8月末に購入していたにも関わらず、その存在をすっかり忘れていたアルバムが見つかりました。それが今回のお題となるOpethの新作「Pale Communion」。ちょっと前にDIR EN GREYの「UROBOROS」を聴き返して、その流れでOpethの「Blackwater Park」を聴いていたのに、なぜか新譜の存在をすっかり忘れていたという。本当に申し訳ないです。

Opethというと、個人的にはこのMVの印象が強くて。9年前にこの曲を含むアルバム「Ghost Reveries」(2005年)を出会ったのがOpethを知ったきっかけなのですが、デス色が散りばめられた「Watershed」(2008年)までの諸作品はもちろん大好き。けど個人的にツボに入りまくったのは前作「Heritage」(2011年)以降なんです。


そういう自分なもんだから、今回の「Pale Communion」はドンズバでした。「Watershed」以前を否定する気はもちろんないし、これ以前の作品も好きですが、個人的な好みに一致したのがたまたま前作と今作というだけの話。もちろん今でも「Blackwater Park」をはじめとするアルバムの数々、ちゃんと聴いてます。

で、当の主役である「Pale Communion」。なんでこれを3カ月以上も放置してたんだ!?って後悔するくらいに、現在ドハマリしてます。特にPink Floydの新作「The Endless River」(こちらについても後日語りたいと思います)が気に入っているだけに、その流れでなんとなく聴きたくなるんですよね。もちろん両作品の方向性は異なるわけですが、聴きたい音楽の“流れ”としてこの2枚は今の自分にとって対になるものだなって。70年代のELPやKing Crimsonあたりにも通ずるサウンドや世界観。静と動、特に静に主力を注いだ印象の強い今作は決して聴き手の高揚感を煽るようなものではないかもしれないけど、それでも気付いたら手にしている、スルメのような1枚です。


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投稿: 2014 12 09 02:06 午前 [2014年の作品, Opeth] | 固定リンク

2014/12/03

クリープハイプ『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』(2014)

「激動の2014年をこの1枚に込める。」

資料にあったこのキャッチコピーを見て、「ああ、いろいろあったけど、あれ全部今年の出来事か……」とすっかり忘れてたことに気付くくらい、この春からのクリープハイプの快進撃は印象的だった。

その2014年を締めくくる傑作の誕生……と言いたいところですが、ここはひとつ「来たるテン年代後半へのロックスタンダード作品のひな形」と言い切ってしまいたい、そんな1枚です。

一般的な高速4つ打ちビートとは異なる、オーソドックスなバンドサウンド。しかしどこか引っかかりのあるメロディとフレーズの数々。そして歌詞にはさまざまな視点でつづられた日常。中にはバンド自体を自虐的に歌ったものさえある。攻撃的だけど、誰かを傷つけるための言葉ではない。80年代、90年代、そしてゼロ年代を経てたどり着いた(と言ってもメンバーにはそんな感覚は皆無だろうけど)このサウンドとこの言葉が、向こう5年を牽引していくことになるんじゃないか。そう断言したくなる、強力な1枚の誕生です。

※このレビューは本作リリース時、『TV BROS.』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。



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投稿: 2014 12 03 12:00 午後 [2014年の作品, クリープハイプ] | 固定リンク

2014/08/27

syrup16g『Hurt』(2014)

小学1年生だったら中学1年生に上がっているし、中学1年生だったら高校すら卒業している。ゼロ年代以降の音楽シーンで言えば3周、4周ものサイクルで激変している。そう、6年って決して短くない時間だ。

今年6月に突如発表されたsyrup16gの6年ぶりの再結成。これに大きく反応したのは当時受けた“傷”がいまだに癒えない「大人になれない子供」と、シロップをリアルタイムで体験できなかった「あの頃子供だった大人」なんじゃないだろうか。そんな、前に進めずにいた者たちに届けられた6年ぶりの新作タイトルが『Hurt』というのも、実にらしいし興味深い。

再び傷付くために、そして傷付けるために立ち上がったシロップはあの頃と同じように、それでいてちょっとだけ頼もしさを増して僕らに「死んでいる方がマシさ 生きているよりマシさ」と語りかける。このアルバムを聴いたとき、自分は前に進めていなかったのではなく知らず知らずのうちに何歩も前進していたことに気付かされる……そんな、痛みと喜びを伴う怪作の誕生だ。

※このレビューは本作リリース時、『TV BROS.』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。



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投稿: 2014 08 27 12:00 午後 [2014年の作品, Syrup16g] | 固定リンク