全9曲、大半の楽曲が4分に満たないコンパクトな構成で、トータル32分強という彼らのオリジナルアルバムとしてはもっとも短尺。その後に訪れるサブスク中心の音楽シーンを予兆するような内容と言えなくもありません。また、楽曲の作風自体も前作『OCEANIA』で確立した“新生スマパン”らしさの延長線上と言えるものではなく、キャッチーなオルタナロックという装いの楽曲が中心。どこか『MELLON COLLIE AND THE INFINITE SADNESS』(1995年)前後の作風を彷彿とさせるものがあるも、かといって焼き直しというわけでもない。もちろん、聴きやすさという点においては前作にも負けず劣らずの仕上がりだと思います。
アルバムにはRASCAL FLATTS、FLORIDA GEORGIA LINE、リアン・ライムス、ジャスティン・ムーア、BIG & RICH、クレア・ボウエン&サム・パラディオ(2人とも俳優で、ドラマ『ナッシュビル カントリーミュージックの聖地』出演)、ELI YOUNG BAND、ローレン・ジェンキンス、THE CADILLAC THREE、THE MAVERICKS、ブラントリー・ギルバート、グレッチェン・ウィルソン、ダリアス・ラッカー(HOOTIE & THE BLOWFISHのフロントマン)と、カントリーに限定せずその周辺で活躍するアーティストが多数集結。また、ポップパンクバンドHEY MONDAYのキャサディー・ポープ(Vo)、ニューメタルバンドSTAINDのアーロン・ルイス(彼はソロではカントリーにチャレンジ)といった変わり種も名を連ねているほか、CHEAP TRICKのロビン・ザンダー(Vo)や、本家からヴィンス・ニールもゲスト参加しています。
アルバムはRASCAL FLATTSによる「Kickstart My Heart」からスタート。「えっ、これカントリー?」って疑問が生じそうサウンドメイクは、モロにハードロック。本家ほどのドギツさこそないものの、ヘアメタルバンドのカバーと言われても通用しそうな仕上がりです。続くFLORIDA GEORGIA LINE「If I Die Tomorrow」もダウンチューニングしたディストーションギターを使用していることから、ハードロック的側面が強く打ち出されている。その一方で、マンドリンのようなアコースティック楽器を取り入れることで、カントリーらしさもしっかり漂わせたアレンジに「なるほど」と納得。この2曲はHR/HMリスナーも入っていきやすいのではないでしょうか。
リアン・ライムス「Smokin' In The Boys Room」は、原曲がもともとカバーということもあって、どうとでも料理しようがありますよね。かなりレイドバックしたアレンジで、ここでようやく本作がカントリーミュージックによるトリビュートだと強く認識し始めます。ジャスティン・ムーア「Home Sweet Home」にはヴィンス・ニールがゲスト参加しており、原曲のダイナミックさを後退させたスモーキー&ソウルフルな仕上がり。キャサディー・ポープ&ロビン・ザンダー「The Animal In Me」はカントリーというよりも、ロック系アーティストによる普通のカバーといった印象かな。
クレア・ボウエン&サム・パラディオという俳優さん2人によるカバー「Without You」は、原曲のイメージを残しつつアーシーにカバー。ELI YOUNG BAND「Don't Go Away Mad (Just Go Away)」は原曲が持っていたロッド・スチュアート(というかFACES)色をさらに枯れさせるとこうなるかな、な印象。ローレン・ジェンキンス「Looks That Kill」は原曲の邪悪さ皆無の、レイドバック感満載の良質なカバー。THE CADILLAC THREE「Live Wire」は原曲の印象的なキメフレーズは残しつつもテンポダウンし、スライドギターを取り入れることで滑らかさが強調されています。THE MAVERICKS「Dr. Feelgood」はチカーノミュージック的テイストを強めることで、原曲とは別の意味でのノリのよさが際立つ仕上がりです。
ブラントリー・ギルバート「Girls, Girls, Girls」は原曲に沿ったアレンジ/サウンドメイクで、1オクターブ下で歌うことで“らしさ”を表現。グレッチェン・ウィルソン「Wild Side」は“もしもZZ TOPがMÖTLEY CRÜEをカバーして、女性ボーカルで表現したら?”というお題で制作されたような、なかなか面白な1曲。ダリアス・ラッカー「Time For Change」は「HOOTIE & THE BLOWFISHにこういう曲、ありそうだよね?」って仕上がりで、全然アリ。
オープニングのファストチューン「Stampede」こそ彼らにしては若干平均点的な仕上がりですが、続く「Dying Breed」「Dark Side Of My Heart」のキラーチューンぶりには目を見張るものがあり、キャッチーなメロディラインや重厚で男臭いコーラスワーク、パワフルなギターリフとタイトなバンドアンサンブル、ウルフによるクラシカルかつメロウなギターソロといった、このバンドに必要不可欠な要素がすべて揃っている。文句の付けようがありません。
〈Oh Oh〜〉コーラスやロシア民謡的メロディを取り入れたミドルヘヴィ「Fall Of The Empire」、泣きメロパワーメタル「Trail Of Tears」、冒頭のアコギ含め哀愁味漂う「Wanna Be Free」、ギャロップビートが軽快な「200 Years」、ストレートなメタルチューン「Bloodbath Mastermind」など、楽曲のバリエーションも比較的幅広く、似たようなタイプの楽曲で固められることの多いこの手のバンドにしては、最後の最後まで飽きずに楽しめるのも本作の魅力。終盤に用意されたメタルバラード的な「The Curse」や、恒例のなったクラシックからの引用ギターソロ(今回はエドヴァルド・グリーグ『PEER GYNT(ペール・ギュント)』より「Morning Mood(朝)」)をフィーチャーした締めくくりに相応しい疾走ナンバー「Final Journey」までの全11曲、スルッと聴くことができるはずです。
さて、このライブアルバムですが、PANTERAがもっともノリにノッていた1994年のライブを収めたもので、1994年6月4日にイギリス・ドニントンパークで開催された野外フェス『Monsters Of Rock』出演時の音源となります。同年春に『FAR BEYOND DRIVEN』が初の全米1位を獲得、イギリスでもキャリア最高の3位を獲得したタイミングであり、当然彼らはフェスのメインステージに出演。AEROSMITHがヘッドライナーを務めた年で、PANTERAはPRIDE & GLORY、THERAPY?に次ぐ3番手としてステージに立っています(その後、SEPULTURA、EXTREME、AEROSMITHという出順)。
当日のセットリストは以下のとおり。
01. A New Level 02. Use My Third Arm 03. Walk 04. Strength Beyond Strength 05. Domination / Hollow 06. Slaughtered 07. Fucking Hostile 08. This Love 09. Mouth For War 10. Primal Concrete Sledge 11. Cowboys From Hell
このうち、アルバムには「A New Level」「Primal Concrete Sledge」を除く9曲を収録。当時の触れ込みでは「『Monsters Of Rock』出演時の模様を完全収録」と謳われていましたが、録音状態の不備が理由でしょうか。結果としてこういう中途半端な形となっています。ライブのオープニング定番曲である「A New Level」をカットし、当時の新曲「Use My Third Arm」からスタートする形は少々意外かもしれません。
新たなツアーを行うために海外で発売された本作は、『SURGICAL STEEL』セッションから生まれた全5曲を収録。『SURGICAL STEEL』日本盤に追加収録された「A Wraith In The Apparatus」「Intensive Battery Brooding」といった耳馴染みの強い曲のほか、完全未発表の「Zochrot」「Livestock Marketplace」、『SURGICAL STEEL』冒頭を飾ったインスト「1985」のリプライズ・バージョンという『SURGICAL STEEL』との関連性の強さを感じさせる作品となっています。
「A Wraith In The Apparatus」「Intensive Battery Brooding」はスピード感よりも重さ重視したテイストで、アルバム本編と比べたらインパクトは若干弱め。ただ、「Intensive Battery Brooding」は終盤にアップテンポにギアチェンジするアレンジがカッコいいので、これはこれでアリ。
内容に関しては上で触れた通りですが、EPがミドルテンポ中心でクオリティ的にもアルバムより若干落ちること、かつトータル全16曲/約65分という長尺作品となってしまったことで、アルバムの魅力が良い形で伝わりきらないような印象も受けます。ただ、「1985」で始まり「1985 (Reprise)」で終わる構成はドラマチックで良いと思うので、EPからの4曲をカットして「Mount Of Execution」〜「1985 (Reprise)」でアルバムが終了していたらアルバムの持つ抒情性がより強調されたんじゃないかなと、今さらながらに思ってしまいます。
スタジオアルバムとしては『11』(2008年)から約6年半ぶりの新作となる本作は、カバー曲中心で構成された1枚。THE BEATLESやボブ・ディラン、チャック・ベリー、CREEDENCE CLEARWATER RIVIVAL(CCR)、THE BEACH BOYSの名曲の中に、オリジナル新曲「She Knows Me」をミックスした全11曲入りの作品集となっており、デラックス盤にはさらに5曲(うち1曲は、ディズニー映画『OLD DOGS』のために制作したオリジナル曲「You've Been A Friend To Me」)、日本盤にはここにもう1曲追加されたボリューミーな内容となっています。
ちなみに、カバーの内訳は以下のとおり。
01. Any Time At All [THE BEATLES] 02. She Knows Me [オリジナル新曲] 03. I Can't Stop Loving You [ドン・ギブソン、レイ・チャールズ] 04. Kiss And Say Goodbye [THE MANHATTANS] 05. Lay Lady Lay [ボブ・ディラン] 06. Rock And Roll Music [チャック・ベリー、THE BEATLES] 07. Down On The Corner [CREEDENCE CLEARWATER RIVIVAL] 08. Never My Love [THE ASSOCIATION] 09. Sunny [ボビー・ヘブ] 10. The Tracks Of My Tears [SMOKEY ROBINSON & THE MIRACLES] 11. God Only Knows [THE BEACH BOYS] 12. You've Been A Friend To Me [オリジナル曲] 13. Help Me Make It Through The Night [クリス・クリストファーソン] 14. C'mon Everybody [エディ・コクラン] 15. Many Rivers To Cross [ジミー・クリフ] 16. You Shook Me [マディ・ウォーターズ、LED ZEPPELIN] 17. Let It Be Me [THE EVERLY BROTHERS]
60's中心の選曲ですが、これはブライアンが幼少期から10代にかけて夢中になったルーツミュージックということなのでしょう。実際、アートワークに使用された写真も、彼が16歳の頃の写真ですし(今の彼からは想像もつかないロン毛時代!)。ビートルズで「Any Time At All」を選出するあたりに、彼のこだわりや音楽的嗜好が見え隠れしますね。
本作に関しては当時の所属レーベルからの提案だったものの、すでにジェフ・リン(ELO)とともに次のオリジナルアルバム『GET UP』(2015年)の準備に取り掛かろうとしていたこともあり、当初はブライアンはこのアルバムを制作することに消極的だったんだとか。しかし、気心知れたボブ・ロック(「Kiss And Say Goodbye」「Rock And Roll Music」のみ)と、これが初タッグとなるデヴィッド・フォスターとの共同作業が与えた影響はかなり大きなものがあり、結果として非常にポジティブに受け取ることができたそうです。
大袈裟な言い方になりますが、本作を軸に過去へ遡ると『11』や『ROOM SERVICE』があり、未来に目を向けると地続きで『GET UP』あり、そこからモダンな形にシフトさせた『SHINE A LIGHT』(2019年)があり、そういった経験を経ての原点回帰となる最新作『SO HAPPY IT HURTS』(2022年)がある。(あえてこういう言い方をさせていただきますが)ブライアンの音楽活動後期において、実は本作の存在ってかなり大きなものがあると個人的には思っています。
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本作はそのタイトルからもわかるように、1999年12月31日にカナダ・バンクーバーのBC Place Stadiumで実施された年越しコンサートの模様を収録したもの。今の若い世代の方には馴染みが薄いかと思いますが、当時は20世紀から21世紀に移り変わることがお祭り騒ぎだったんですよ(「2000年問題」とか知らないんでしょうね。苦笑)。
ポール・スタンレー(Vo, G)、ジーン・シモンズ(Vo, B)、エース・フレーリー(G, Vo)、ピーター・クリス(Dr, Vo)のオリメンで制作した19年ぶりのスタジオアルバム『PSYCHO CIRCUS』(1998年)を携え、1年がかりで実施したワールドツアーのクライマックスとなったバンクーバー公演は、記録によると全20曲が披露されているとのこと(エースのギターソロ、ジーンのベースソロを除く)。しかし、アルバム本編には厳選された15曲が収録。現在出回っているデジタル盤は「2,000 Man」「God Of Thunder」がボーナストラックとして追加された17曲バージョンで、アナログ盤はさらに「Detroit Rock City」を加えた全18曲バージョンとなっています。なお、アルバム未収録となったのは「Shock Me」と「Cold Gin」。
この頃になるとオリメン編成にも関わらず「Heaven's On Fire」や「I Love It Loud」「Lick It Up」もセットリストに復活。『PSYCHO CIRCUS』という新作を制作したことで、全体的にバランスが取れるようになったことが大きいのかな。とはいえ、同作からはタイトルトラックとエース歌唱の「Into the Void」のみなんですよね。『PSYCHO CIRCUS』を引っ提げたジャパンツアーは実現しなかっただけに、記録としてもう少し残してほしかったなあ。
ピーターの叩く「Psycho Circus」は若干もっさりした印象で、ライブのオープニングにしては弱いような。けど、「Into The Void」での歯切れよいリズムはカッコいいんだよなあ(レコーディングでピーターが叩いたのは「Into The Void」だけみたいですしね)。
内容に関しては“いつもどおり”が強くて、評価が難しいところなんだけど……本作に関しては、オリジナル編成で「Heaven's On Fire」や「I Love It Loud」「Lick It Up」をプレイしているという点に尽きるかな。「Heaven's On Fire」はリズムが若干ゆったりめだけど、「I Love It Loud」は想像以上にヘヴィだし、「Lick It Up」も軽やかさがしっかり伝わる。ピーターのみならず、エースも彼なりに頑張っているのが伝わりますしね。
当時のメンバーはポール・スタンレー、ジーン・シモンズ、エース・フレーリー、エリック・カー(Dr, Vo)。日本やオーストラリアなどアメリカ以外の諸国で先行発売。当時はここでしか聴くことができなかった新曲4曲(「I'm A Legend Tonight」「Down On Your Knees」「Nowhere To Run」「Partners In Crime」)がかなり話題となりました。ジャケットにエースの姿はあるものの、当時はすでにバンドから脱退しており、新曲のレコーディングにはのちにバンドに加入するブルース・キューリック(G)の実兄ボブ・キューリック(G)がリードギターとして参加しています。
当時のメンバーはポール・スタンレー、ジーン・シモンズ、ブルース・キューリック、エリック・カー。この年の春に10年ぶり(ノンメイクアップ時代としては初めて)の来日公演が決定したことを受け、それにあわせて日本のみ10万枚限定で制作されたレアアイテム。今となっては10万枚も刷ったのか!って驚きですけどね。内容は「Rock And Roll All Nite」や「Love Gun」などの70年代ヒットよりも、「Creatures Of The Night」や「Lick It Up」「Heaven's On Fire」「Tears Are Falling」などの80'sヘアメタル期が中心。主にシングルカット/MV制作された楽曲が中心で、そんな中に「I Was Made For Lovin' You」のリミックスバージョンという初CD化レア音源が含まれているのが売りかな(のちに「Psycho Circus」シングルのカップリングで世界的にCD化されました)。
当時のメンバーはポール・スタンレー、ジーン・シモンズ、ブルース・キューリック、エリック・カー。日本では『CHIKARA』から間を空けずに発表されることになりましたが、『KILLERS』未発売だった北米などの海外諸国では『DOUBLE PLATINUM』以来10年ぶりのベスト盤。考えてみたら「I Was Made For Lovin' You」はもちろん、80年代の楽曲をまとめたコンピが10年も出ていなかった事実に驚かされます。
内容は「Let's Put The X In Sex」「(You Make Me) Rock Hard」の新曲2曲や、一部楽曲のリミックス、そしてエリック・カーが歌唱した「Beth」など、単なるベスト盤では片付けられない楽曲が多数。北米盤ではなぜか直近の新作『CRAZY NIGHTS』(1987年)からの楽曲が含まれていません(ヨーロッパ盤には「Crazy Crazy Nights」「Reason To Live」収録)。とはいえ、ヘアメタル期のヒットシングルが簡単におさらいできるので、実はもっとも手軽に楽しめる入門盤かもしれません。
これまでのコンピのように新曲やリミックス曲は皆無で、既発曲がリマスタリングされている程度。ただ、それだけでは売りがなさすぎるので、1996年6月28日のデトロイト公演から「Shout It Out Loud」のライブ音源を追加。こちらは当時MVも制作されています。
オリメン時代にこだわった選曲なので、『SMASHES, THRASHES & HITS』以降に生まれたヒット曲「Hide Your Heart」「Forever」「Unholy」などは未収録。ただ、北米盤以外では「God Gave Rock 'N' Roll To You II」が選出されているのが謎かも。なお、日本盤のみ海外盤未収録の「C'mon And Love Me」「Rock Bottom」がセレクトされております。このへん、いかにもですね。
アルバムのレコーディングは、ウィルコと活動を共にしてきた永遠の相棒ノーマン・ワット・ロイ(B)、YESのスティーヴ・ハウ(G)の実子であるディラン・ハウ(Dr)の鉄壁トリオに、THE STYLE COUNCILなどで知られるミック・タルボット(Key, Piano)を迎えた編成で実施。プロデューサーにはMANIC STREET PREACHERSの諸作を手がけることで知られるデイヴ・エリンガという(彼らからしたら)若手を迎えて、たった1週間で録音を済ませたそうです。
収録された全11曲(デラックス盤ボーナスディスク収録曲除く)のうち、10曲はウィルコがこれまでに制作・発表してきた楽曲のセルフカバーで、残り1曲はボブ・ディランの「Can You Please Crawl Out Your Window?」カバーとなります。アルバムタイトルにも用いられた「Going Back Home」からもわかるように、DR. FEELGOOD時代の楽曲も複数含まれており、リリースから40年近くを経たいぶし銀のプレイ&演奏に、より深みが増したロジャーのボーカルが乗ることで、原曲とはまた違った魅力を感じ取ることができるはずです。
ちなみに、本作は全英3位という好記録を樹立。2014年11月には先にも触れたボーナスディスク付き2枚組デラックス・エディションも発表されています(日本盤は2015年2月リリース)。こちらには本編未収録の「Muskrat」に加え、「Some Kind Of Hero」「Keep On Loving You」「Turned 21」のウィルコ歌唱バージョン、2014年2月のWILKO JOHNSON BANDのライブ音源やロジャーとのコラボライブ音源など全18トラックが収められているので、アルバム本編がご自身の感性にフィットした方はぜひチェックしてみることをオススメします
2014年6月10日にリリースされたNIGHT RANGERの10thアルバム(“MOON RANGER”と呼ばれる特殊編成で1995年にリリースした『FEEDING OFF THE MOJO』を含めると11枚目)。日本盤は同年5月21日先行発売。
ジャック・ブレイズ(Vo, B)、ケリー・ケイギー(Vo, Dr)、ブラッド・ギルス(G)、ジョエル・ホークストラ(G)、エリック・レヴィー(Key)という布陣による、『SOMEWHERE IN CALIFORNIA』(2011年)に続く2作目のスタジオアルバム。原点回帰ともいえる王道アメリカンハードロックが展開された前作の流れを汲む作風で、前作の79位には及ばなかったものの全米で最高105位という数字を残しています。
タイトルトラック「High Road」に見られるように、全体を通してミディアムテンポ中心で若干落ち着いた感が強いテイストですが、1曲1曲の作り込みは前作以上。どの曲も基本的にジャック/ブラッド/ケリーのオリメン3人によるもので、ジョエルは「I'm Coming Home」「L.A. No Name」の2曲のみ、エリックは「Don't Live Here Anymore」「Only For You Only」「Brothers」の3曲に名を連ねています。
王道感の強いポップロック調のタイトルトラック、ミドルテンポのハードロック「Knock Knock Never Stop」と序盤はアゲるテイストではないものの、3曲目「Rollin' On」での起伏に富んだアレンジで一気に熱量が高まる。バラードとまではいかないムーディーな「Don't Live Here Anymore」、比較的アップテンポ寄りのポップロック「I'm Coming Home」と、前半はかなりバラエティに富んだ楽曲が並びます。なんとなくですが、印象的には3作目『7 WISHES』(1985年)に似ているような。ただ、バラードで勝負している感があまり前面に出ていないところは今作の良いところかな。
後半は豪快なロックチューン「X Generation」で勢いを付けたかと思うと、彼ららしいピアノバラード「Only For You Only」でワンクッション起き、ミドルヘヴィの「Hang On」、流麗なギターフレーズが耳に残るハードチューン「St. Bartholomew」、ビートルズチックなサイケさをはらんだポップバラード「Brothers」とジョエルのアコギプレイを全面にフィーチャーしたインスト「L.A. No Name」でしっとりと締めくくります。