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カテゴリー「2014年の作品」の34件の記事

2021年8月24日 (火)

EXODUS『BLOOD IN, BLOOD OUT』(2014)

2014年10月14日(欧州では10月10日)にリリースされたEXODUSの10thアルバム(リメイクアルバム『LET THERE BE BLOOD』を含めると11枚目のスタジオアルバム)。日本盤は同年10月22日発売。

連作となった前作『EXHIBIT B: THE HUMAN CONDITION』(2010年)から4年5ヶ月ぶりの新作。今作発売半年前に約10年在籍した前任ボーカルのロブ・デュークスが脱退(事実上のクビ)。その後任として加わったのが、80年代後半から90年代前半、そして2000年代初頭にバンドで活躍したスティーヴ・“ゼトロ”・スーザでした。ゼトロがEXODUSのアルバムに参加するのは6thアルバム『TEMPO OF THE DAMNED』(2004年)以来以来のこと。これでゼトロ、ゲイリー・ホルト(G)、リー・アルタス(G)、ジャック・ギブソン(B)、トム・ハンティング(Dr)という現編成が完成することとなります。

バンドのセルフプロデュース、レコーディングエンジニア&ミックスにアンディ・スニープという布陣で制作された本作。実は前任のロブがボーカリストとしても、そしてステージ上のフロントマンとしても非常に存在感の強い人間だっただけに、彼を放出してまで三度ゼトロをバンドに呼び戻す理由がわかりませんでした。しかし、本作を聴けば「やっぱりEXODUSにはゼトロが必要であり、ゼトロがいてこそEXODUS」という事実が理解できるはず。楽曲もゼトロ在籍時の路線に寄せたのか、王道のベイエリアクランチを存分に堪能することがで、“あの頃”をリアルタイムで通過した自分のような人間には心の底から楽しむことができました。

全11曲中大半がスラッシーなアップチューンというのも良いですし、ゼトロ復帰に華を添えるように元メンバーのカーク・ハメット(G/METALLICA)が「Salt The Wound」でギターソロを、盟友チャック・ビリー(Vo/TESTAMENT)は「BTK」で豪快なボーカルを聴かせてくれます。さらに、異色ともいえるダン・ジ・オートメーターとの共演(「Black 13」のオープニングパート)も見逃せません(まあ、こちらは本当に味付け程度ですが)。

メインソングライターのゲイリー・ホルトは2011年からSLAYERとの活動兼任もあり、多少なりともそのアグレッシヴ加減や初志貫徹なスタイルに影響を受けたはず。そこに原点回帰ともいえるゼトロの復帰とあれば、こういうスタイルに戻るのも納得の一言です。ロブ時代の作品ももちろん大好きですし、あの歌声も非常に好みでしたが、これを聴かされたらぐうの音も出ませんよね。恐れ入りました。

なお、本作の海外限定盤およびデジタル版にはボーナストラックとして、ANGEL WITCHのカバー「Angel Of Death」を収録。こちらでボーカルを務めているのはトム・ハンティングというのも見逃せません。お遊びとはいえ、こういうのもアリっちゃあアリですね。

全米38位という過去最高記録を打ち出した本作以降、ゲイリーのSLAYERでの活動が忙しくなり新作の予定がなかなか見えなかったEXODUS。しか、2019年のSLAYER活動終了を経て、ついに2021年11月19日に7年ぶりの新作『PERSONA NON GRATA』をリリース予定。現在公開されている新曲もなかなか良さげなので、今作を超える内容にも期待できそうです。

 


▼EXODUS『BLOOD IN, BLOOD OUT』
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2021年7月 6日 (火)

SKID ROW『RISE OF THE DAMNATION ARMY - UNITED WORLD REBELLION: CHAPTER TWO』(2014)

2014年8月5日にリリースされたSKID ROWのEP。日本盤未発売。

前作『UNITED WORLD REBELLION: CHAPTER ONE』(2013年)に次ぐ本作は、三部作の第2弾。参加メンバーは前作同様にジョニー・ソーリンガー(Vo)、デイヴ・スネイク・セイボ(G)、スコッティ・ヒル(G)、レイチェル・ボラン(B)、ロブ・ハマースミス(Dr)の5人。

内容も前作から引き続き、オリジナル5曲+カバー2曲の全7曲で構成されています。前作で先祖返りしてリスナーを驚かせた彼らですが、前の1枚をデビュー作『SKID ROW』(1989年)寄りのテイストと無理矢理括るならば、続く今作は2ndアルバム『SLAVE TO THE GRIND』(1991年)寄りのテイストで統一されているかな、という衣装を受けます。良くも悪くも『SKID ROW』の路線を焼き直した楽曲が散見されたものの、個人的にはご祝儀的に高評価を与えた前作を経て、ここでは『SLAVE TO THE GRIND』のテイストを用いているものの、より今の5人らしさが強く滲み出ているかな、という気もしています。

前作にあったメジャーキーのパワーバラードは皆無で、唯一「Catch Your Fall」がそっち寄りの1曲。ただ、ここでは『SLAVE TO THE GRIND』に収録されていそうなダークサイドを表現しており、かつ単なる焼き直しで終わらないオリジナリティも伝わってくる。

かと思えば、「Slave To The Grind」の“腹違いの弟”的なファストチューン「Damnation Army」があったり、地を這うようにダーク&ヘヴィな「Zero Day」がある。後者のみギリギリ3rdアルバム『SUBHUMAN RACE』(1995年)的かなという気がしますが、全体を通して聴いたときの統一感もあって、スルスルと楽しめてしまう。本来彼らが4thアルバム『THICKSKIN』(2003年)でやろうとしていたことの一端ってこういうことだと思うんですが、ようやくここであの路線が消化できたんじゃないでしょうか。10年かかったか……(苦笑)。

カバー曲はQUEEN「Sheer Heart Attack」、AEROSMITH「Rats In The Cellar」とド直球なセレクト。どちらもアップテンポの軽やかなハードロックですが、むしろこの2曲って前のEPに入れるべきだったんじゃないかな。で、前のEPに収めていたE・Z・O「Fire Fire」やJUDAS PRIEST「United」がこっちに入っていると収まりがよかったような気がするんですが……難しいものですね。

本EP発売前の2014年4月には19年ぶりの来日公演も実現。三部作完結編の登場を期待されていたところ、2015年春にジョニーが脱退。以降、トニー・ハーネル(TNT)やZPサート(ex. DRAGONFORCE)がフロントに立っていますが、噂される三部作完結編となるフルアルバムはいまだ届けられず。そして、2021年6月末にジョニーの病死がアナウンスされました……。

実は昨日からの更新は、この訃報を受けて「このタイミングにフラットな視点で、ジョニー在籍時のSKID ROWを総括しよう」と思ったことがきっかけでした。2014年の来日時は仕事の都合などもあり足を運ぶことができませんでしたが、本当にあのとき無理してでも観ておけばよかったな……と今回振り返ってみて改めて実感しました。

ZPサートを含む布陣で三部作をしっかり完結させてくれるのか、それとも別の方向へと進むのか。なんにせよ、今のSKID ROWから目を逸らすことなく、しっかり行く末を見届けようと思います。

最後に、ジョニー・ソーリンガーの冥福をお祈りいたします。

 


▼SKID ROW『RISE OF THE DAMNATION ARMY - UNITED WORLD REBELLION: CHAPTER TWO』
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2020年11月24日 (火)

QUEEN『QUEEN FOREVER』(2014)

2014年11月にリリースされた、QUEENのコンピレーションアルバム。CD1枚ものとCD2枚組の2仕様が流通しており、本稿では2枚組エディションについて触れていきます。

本作はクイーンの“ラブソング”に焦点を当てた作品集で、新たな未発表曲/テイクが加えられたことで大きな注目を集めました。当初本作について、ロジャー・テイラー(Dr, Vo)は「ブライアン・メイ(G, Vo)と新たなQUEENのアルバムを制作する」と発言していましたが、それはのちに「フレディ・マーキュリー(Vo)や、すでに引退したジョン・ディーコン(B)が参加した80年代の音源を用いて、新たにギターとドラムを追加した『MADE IN HEAVEN』(1995年)と同じ方式の未発表曲」を含むコンピ盤であることが明らかになります。

本作のために準備された新曲/未発表テイクは3曲。アルバムのオープニングを飾る「Let Me In Your Heart Again」は『THE WORKS』(1984年)のセッションから、これまで未完成だった楽曲を新たに完成させたもの。フレディのボーカルパフォーマンスも本チャン作品と何ら差を感じさせない完成度で、そこに80年代以降のQUEENらしい厚みのあるダイナミックなバンドサウンドが重ねられています。確かにこれは『THE WORKS』や、それ以前の『THE GAME』(1980年)に収録されていても不思議じゃない1曲です。

続く「Love Kills」は、1984年にフレディがソロシングルとして発表した楽曲。もともとは映画『メトロポリス』のためにジョルジオ・モロダーとともに制作したディスコ調の楽曲でしたが、ここではバラード調にリアレンジされています。レコーディングクレジットにはジョン・ディーコンの名前も見つけられるので、おそらく『MADE IN HEAVEN』制作時のアウトテイクではないでしょうか。原曲のキラキラ/ピコピコ感のイメージが強いだけに、最初こそ違和感が残りましたが(曲後半にその名残が感じられます)、それって『MADE IN HEAVEN』でのリテイク曲を初めて聴いたときと同じ印象なんですよね。慣れれば「こういう曲」と納得するんでしょうけど、そこまでいくにはだいぶ時間がかかりました(苦笑)。

3曲目の「There Must Be More To Life Than This」はフレディのソロアルバム『MR. BAD GUY』(1985年)収録曲のQUEENバージョンなのですが、これがちょっと複雑でして。もともとこの曲、QUEENのアルバム『HOT SPACE』(1982年)収録曲として制作されたものでしたが、なぜかお蔵入り。そこからマイケル・ジャクソンが1983年に制作予定だったデュエットアルバムの候補としてQUEEN側から提供され、マイケルのボーカルもレコーディングされたものの、『THRILLER』(1982年)の爆発的ヒットの影響などもあって制作中止に。最終的にフレディが自身のソロアルバムに自身のソロバージョンとして収録することで、世の中に初めて放たれます。

で、今回ここに収録されたのはその幻の“QUEEN feat. MICHAEL JACKSON”バージョン。フレディの声に並ぶと、マイケルの存在感も多少弱まってしまうといいますか、のちのマイケルほどのオーラがやや感じられないといいますか。完成バージョンというよりはデモに近い状態だったのかもしれませんね。その音源を、かのウィリアム・オービットがミックスすることで、本作にて日の目を見たわけですから、聴けただけありがたいのかもしれませんね。

以降はおなじみのQUEENナンバーが目白押し。“ラブソング”という括りなので、バラードに限らずさまざまなタイプの人気曲/隠れた名曲が30曲以上にわたり詰め込まれています。いわゆるグレイテストヒッツ・アルバムに飽き飽きしているQUEENリスナーにとっては意外な選曲も少なくないので、個人的にも長きにわたり愛聴しているコンピ盤のひとつです。

なお、日本盤のみボーナストラックとして「Teo Torriatte (Let Us Cling Together)」を追加収録。とはいえ、2枚組バージョンはインストの「Forever」で綺麗に締めくくられるので、多少蛇足のように感じられます。1曲でも多く聴きたいというリスナーは日本盤でもいいかもしれませんが、個人的には「Teo Torriatte (Let Us Cling Together)」なしの海外盤およびデジタル盤でも十分な気がします。

2021年でフレディ没後30周年。今年はこの手の発掘モノはリリースされませんでしたが、きっと来年はいろいろ続きそうな予感です。

 


▼QUEEN『QUEEN FOREVER』
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2020年10月14日 (水)

KILLER BE KILLED『KILLER BE KILLED』(2014)

2014年5月9日にリリースされたKILLER BE KILLEDの1stアルバム。日本盤は同年5月14日に発売されています。

本作制作時のメンバーはマックス・カヴァレラ(Vo, G/SOULFLYCAVALERA CONSPIRACYNAILBOMB)、グレッグ・プチアート(Vo, G/THE DILLINGER ESCAPE PLANE)、トロイ・サンダース(Vo, B/MASTODON)、デイヴ・エリッチ(Dr/ex. THE MARS VOLTA)の4人。もともとは2011年にマックスとグレッグが行なったスタジオセッションが軸になっており、ここで制作されたアルバム1枚分の楽曲をトロイ、デイヴを招いてレコーディングすることになるわけです。

いわゆるエクストリームメタル界のスーパースターが勢揃いした“スーパーバンド”なわけですが、その楽曲/サウンドも良い意味で各メンバーが在籍するバンドの持ち味が散りばめられており、かつそれらが乖離することなくバランスよく融合している。しかも、その音を絶妙なさじ加減でまとめ上げているのが、LAMB OF GODGOJIRAHATEBREEDなどでおなじみのジョシュ・ウィルバーというのも、なるほどと頷けるものがあります。

基本的にメインで歌っているのがグレッグのようで、そこにドスの効いたマックスのデス声が織り交ぜられ、さらにトロイも“らしい”歌声を聴かせてくれる。各シンガーが歌い出すと途端にそれぞれが所属するバンドの顔が浮かびますが、それも特に嫌味になっていないし、オリジナリティが欠けているとも思わない。だって、オリジネーター自身がやっているわけだから。とにかく、これだけクセも強く個性も異なるフロントが3人もいて、それらがぶつかり合わないのは奇跡に近いんじゃないかな。個々が自分の武器と見せ方を知っているからこそ、そこで衝突することなく隙間隙間を狙って色を出してくる。ボーカルパートだけ抜き出しても、いろいろと聴きどころの多い1枚だと思います。

また、サウンド/楽曲自体もスラッシュメタルからハードコア、90年代半ば以降のグルーヴメタル/オルタナメタルまで、90年代前半〜2000年代後半のエクストリームメタルの歴史が凝縮された代物で、中でもメロディにもちゃんとしたこだわりが伝わるのが好印象。どうしてもマックスだけだとデス声で突き通しそうですが、ちゃんと歌えるグレッグやトロイのおかげで独特な個性を作り上げられている。で、このメロディが本当にクセになるものばかりで、個人的には「Snakes Of Jehovah」や「Curb Crusher」あたりが本当にお気に入り。懐かしさと新しさがブレンドされたこのスタイルこそ、2010年代前半を象徴するものだと思います。

オープニングを飾る「Wings Of Feather And Wax」の殺傷力や「Save The Robots」の壮大さ、「Fire To Your Flag」での狂気、「Forbidden Fire」での浮遊感とヘヴィさの融合など、最初から最後まですべてがピークでクライマックスで聴きどころという奇跡の1枚。ヘヴィな音楽が好きなら、絶対に聴いておくべき傑作です。

これだけのメンツだし、この1枚で終わるんだろうな……と思っていたら、ドラマーをCONVERGEのベン・コラーに交代し、2020年11月20日に2ndアルバム『RELUCTANT HERO』をリリース! すでに公開中の新曲も良い感じですし、今から発売が楽しみでなりません。

 


▼KILLER BE KILLED『KILLER BE KILLED』
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2020年8月28日 (金)

MARMOZETS『THE WEIRD AND WONDERFUL MARMOZETS』(2014)

2014年9月下旬にリリースされたMARMOZETSの1stフルアルバム。日本盤は『SUMMER SONIC 2015』および『UKFC on the Road 2015』での初来日に合わせ、『マーモゼッツの奇妙で素敵な世界』という邦題で2015年7月に発売されています。

2007年にイギリス・ウェストヨークシャーにて結成されたMARMOZETSは、ベッカ(Vo)&サム(G)&ジョシュ(Dr)のマッキンタイアきょうだいと、ジャック(G)&ウィル(B)のボトムリー兄弟の5人組。紅一点ベッカの時にメロウに歌い、時にカオティックに叫ぶボーカルスタイルと、AT THE DRIVE-INを彷彿とさせる変幻自在なポストハードコア/マスロック的サウンドで注目を集め、2014年にRoadrunner Recordsと契約。セルフタイトルEP『MARMOZETS』に続いて、このフルアルバムを世に送り出しました。

プロデューサーに元HUNDRED REASONSのギタリスト、ラリー・ヒビット(NOTHING BUT THIEVES、DON BROCO、DINOSAUR PILE-UPなど)を迎えて制作された本作は、女性ボーカルのポストハードコアバンドということもあって、どこかPARAMOREを彷彿とさせる要素も散りばめられています。が、注目すべきポイントはそこではなく、先にも書いた「AT THE DRIVE-INを彷彿とさせる変幻自在なポストハードコア/マスロック的サウンド」であり、序盤こそクセはあるけどわかりやすいパンク/ポストハードコアナンバーが続きますが、聴き進めていくうちにヘンテコなアレンジや奇想天外な曲展開が続くことになります。

例えば、「Cry」のようなバラード調の楽曲ひとつ取っても、美しいピアノバラードかと思えば、途中でエモ的な盛り上がりを見せたり、ちょっとしたバンドアンサンブルにクセの強さを見出せたりと、一筋縄ではいかない感じにハマるリスナーも少なくないのでは。最初こそ「ありがちなガールズパンク/エモ」かと思わせておいて、その中身は変態的スタイルでした(笑)という……リリース直後に輸入盤で本作を購入していたのです(試聴なし、完全のジャケ&タイトル買いでした)が、しばらく狂ったようにリピートしていたことを今でもよく覚えています。

このアルバムの場合、どんなに変態的な行為に及んでも(「変態的な行為に及ぶ」て。笑)、メジャー感やキャッチーさが損なわれることがないんですよね。というのも、ベッカの歌声の親しみやすさと、メロディの普遍性が大きな武器になっているから、マスコア的な「Vibetech」みたいな行き過ぎた変態行為(笑)があっても、ほかがキャッチーだから「個性のひとつ」として受け入れることができる。そう、バランス感が絶妙なんですよ。

ここまでやらかしておいて、続く2ndアルバム『KNOWING WHAT YOU KNOW NOW』(2018年)は変態行為一切なし。無修正ハードコアポルノからモザイクありのイメージAVに移行したくらいの変化に、ちょっと驚きました(それでも完成度は非常に高かったので、個人的には評価に困りましたが)。

続く3rdアルバムが待たれる今、今度はどんな変化を見せてくれるのか。非常に楽しみでなりません。

 


▼MARMOZETS『THE WEIRD AND WONDERFUL MARMOZETS』
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2020年7月 6日 (月)

CODE ORANGE『I AM KING』(2014)

2014年9月にリリースされたCODE ORANGEの2ndアルバム。同タイミングにDaymare Recordingsから発売された本作にて、彼らは日本デビューを飾っています。

1stアルバム『LOVE IS LOVE // RETURN TO DUST』(2012年)はCODE ORANGE KIDS名義でのリリースだったので、CODE ORANGE名義では本作がデビューアルバム。とはいえ、参加メンバーは前作と同一なので、ここは素直に2作目とカウントしていいと思います。

前作から引き続きDeathwish Inc.からのリリース、プロデュースをカート・バルーが担当するという、デビュー時からのCONVERGEとのつながりもそのまま。すでに次作『FOREVER』(2017年)への布石が多数表出しており、メロディアスな要素皆無、一筋縄ではいかないメタリックなハードコア・サウンドで聴き手を翻弄してくれます。

スピードよりも重さや淀みを前面に打ち出したドゥーミーな作風は、先輩格のCONVERGEとは似て非なるもので、CODE ORANGEのほうがスラッジ・メタルあたりに近しい印象を受けます。また、電子的なエフェクト(カットイン/アウトなど)もすでに武器として随所に用いられており、ところどころでハッとさせられる。このインパクトの付け方がCODE ORANGEならではの魅力で、改めてこのタイミングから別格だったんだなと気づかされます。

オープニングの「I Am King」からラスト「Mercy」までの全11曲/32分半、正直息をするのを忘れてしまうほどの挟撃を受けるはず。それくらいの強烈さが伝わるこの力作を、できることならリアルタイムで体験したかった……。

というのも、僕はこのアルバムに関しては完全に後追いなんです。『FOREVER』から入ったリスナーなので、そのあとにこの『I AM KING』を聴くと(若干の違いはあるものの)そのつながりやバンドの成長ぶりには驚かされるばかり。内容的にも甲乙付け難い魅力が感じられます。

本作制作時点でメンバーが20歳前後〜20代前半という事実にも驚かされますが、このダークでカオティックな世界観こそが「2014年のリアルなアメリカ」だったのかな。そういう意味でも、このバンドは2010年代〜2020年代のUSモダンメタル/ハードコア・シーンを語る上で欠かせない存在なんでしょうね。

なお、本作はBillboard 200(アルバムチャート)で最高96位を記録。最新作『UNDERNEATH』(2020年)からこのバンドを知ったリスナーは、絶対に本作と次作『FOREVER』はあわせて聴いていただきたいなと。どれもハズレなしですから。

 


▼CODE ORANGE『I AM KING』
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2020年6月14日 (日)

MANIC STREET PREACHERS『THE HOLY BIBLE 20』(2014)

2014年12月にリリースされた、MANIC STREET PREACHERSの3rdアルバム『THE HOLY BIBLE』(1994年)の20周年記念エディション。日本盤未発売。

1994年8月に発売された『THE HOLY BIBLE』は、オリジナルメンバーのリッチー・エドワーズ(G)を含む4人編成としては最後の作品。2004年12月には本作のリリース20周年を祝して、最新リマスター盤+当時完全未発表だったUSリミックスバージョンの『THE HOLY BIBLE』+未発表のデモやライブ音源の2枚組CDと、ライブ映像やテレビ出演時の映像を含むDVDからなる3枚組エディションが発売されており、『THE HOLY BIBLE』のデラックス盤としてはこれが2作目にあたります(日本盤限定で2009年、シングルC/W曲を追加した2枚組紙ジャケ・エディションも発売されています)。

20周年盤は『THE HOLY BIBLE』の最新リマスター盤(DISC 1)、『THE HOLY BIBLE』USリミックスの最新リマスター盤(DISC 2)、シングルのカップリング&リミックス集(DISC 2)、ライブ音源やBBCセッションなどをまとめたライブ集(DISC 4)のCD4枚組に『THE HOLY BIBLE』最新リマスターのアナログ盤、写真集を同梱したボックスセットとなっており、これさえあれば『THE HOLY BIBLE』期のマニックスの音源は完璧!と呼べる内容……だと思っていたんです。ところが、10周年エディションに含まれていたデモやライブ音源は20周年ボックスには未収録。ありゃりゃ……と思ったら、最近気づいたんですが、デジタル版およびストリーミング版には新たにDISC 5が追加されており、こちらに10周年エディションのみで聴くことができた音源がまとめられており、映像を除けば確実にこのデジタル版で網羅することができます。

ということで、豪華な箱やアナログ盤、写真集などが欲しい人はフィジカル(ボックスセット)で購入し、音源だけあればいいという方はiTunesやAmazon Musicなどでデジタル版を購入すればいいかなと(Amazon Musicは6000円ですべて手に入りますしね)。

名盤『THE HOLY BIBLE』に関しては、19年前に熱と愛がこもったテキストを残していますので、そちらに譲ります。最新リマスターでは音の生々しさとダイナミズムはより極まっているんじゃないでしょうか。1994年当時の若干チープなサウンドも、実はこのスタイルにはぴったりなので、どちらが最高とは断言し難いのですが……。

で、今回はUSリミックスを中心に書いていこうかなと思います。このUSリミックス、その名のとおり1994年当時にアメリカでのリリースに向けてトム・ロード・アルジがリミックスを担当したもの。最終的には契約などの関係でUSリリースが実現せず、2004年までお蔵入りされていたわけですが、当時はオリジナル版よりもリバーブが効いてウェットさが増したリミックスに「!?」と疑問を感じたものですが、何度か聴いていると意外と悪くないことにも気づきます。質感的には前作『GOLD AGAINST THE SOUL』(1993年)で展開したアリーナロック的なものに若干近づけたかったのかな。でも、グランジ全盛だった1994年だからこそ、オリジナル版の『THE HOLY BIBLE』は光り輝いたわけで、そこの読みは実際のところどうだったんだろう?と思わざるを得ません。結果、リリースは叶わなかったわけですが、もしUSリミックス版があの当時世に放たれていたら、少しは歴史が変わったのでしょうか。

ギターの音像/押し引きがオリジナル版以上にメリハリが効いていて、ドラムのタイトさも嫌いじゃないし、「Yes」のエンディングや「She Is Suffering」のエフェクトなどオリジナル版にはないものも追加されており、そのへんの聴き比べも非常に面白いんじゃないでしょうか。

DISC 3にはシングルのカップリングで聴くことができた「Too Cold Here」や「Love Torn Us Under」などの隠れた名曲などを網羅。このへんは続く『EVERYTHING MUSG GO』(1996年)への布石だったんだなと気づかされる部分もあるので、改めて興味深いものがあると思います。このほか、オリジナル・リリース時の日本盤にボーナストラックとして収められたライブ音源や、バーナード・バトラー(G)がゲスト参加したSUEDE「The Drowners」のカバーライブ音源、THE CHEMICAL BROTEHRSなどによるリミックス音源、さらには「Revol」の未発表バージョンも聴くことができます。

DSIC 4はリリース当時、英BBCで収録されたAstoriaでのライブ音源や、2014年にBBC Radio 4のために収録されたスタジオライブ音源4曲を収録。Astoriaでのライブはフルスケール収録ではありませんが、それでも全13曲とかなりボリューミーな内容となっています。そして、新録のスタジオライブはすべてアコースティックアレンジを施されたもので、「This Is Yesterday」といったいかにもな楽曲のほか、「Faster」や「P.C.P.」などパンキッシュな楽曲が日和ることなくアコースティックバージョンで生まれ変わっています。これはこれで今のマニックスらしくて、個人的には嫌いじゃないかな。

『THE HOLY BIBLE』をこれから初めて聴く人には、まず13曲入りのオリジナル版をオススメします。ストリーミングなら1994年のオリジナル版も2014年のリマスター版も両方聴けますので、どちらから入ってもいいかな。で、本作を気に入ってマニックスというバンドを十分理解した上で、このボックスを存分に味わうといいんじゃないでしょうか。なので、まずは10数枚におよぶオリジナルアルバムを先に堪能して、デラックス・エディションは余生のお楽しみとして残しておいてもいいと思いますよ(笑)。

 


▼MANIC STREET PREACHERS『THE HOLY BIBLE 20』
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2020年6月10日 (水)

VANDENBERG'S MOONKINGS『VANDENBERG'S MOONKINGS』(2014)

2014年2月リリースの、VANDENBERG'S MOONKINGSデビューアルバム。

VANDENBERG'S MOONKINGSは元VANDENGERG(当時)、元WHITESNAKE、元MANIC EDENのエイドラン・ヴァンデンバーグ(G)を中心に、ヤン・ホーフィング(Vo)、セム・クリストフェル(B)、マルト・ナイエン・エス(Dr)という故郷オランダの若手ミュージシャンたちとともに結成した4人組ハードロックバンド。エイドリアンにとって自身が全面参加するスタジオアルバムはWHITESNAKEの『RESTLESS HEART』(1997年)以来17年ぶりとなります。その間にはVANDENBERGのベストアルバム『DIFFERENT WORLDS: THE DEFINITIVE VANDENBERG』(2004年)のために名曲「Burning Heart」を再録するなどありましたが、基本的にはこの期間音楽活動はほぼ行っておらず、基本的にはエアブラシの絵画アーティストとしてひっそり暮らしていたようです。

そんな彼が17年ぶりに音楽活動を再始動させ、満を辞して完成させたVANDENBERG'S MOONKINGSのデビューアルバム。展開されているサウンドは、基本的には『RESTLESS HEARTS』やMANIC EDEN唯一のアルバム『MANIC EDEN』(1994年)で聴くことができたブルース・ベースのオールドスクール・ハードロックです。ただ、曲の派手さや親しみやすさはそういった過去の作品よりも突出したものがあり、このへんは若手ミュージシャンたちから触発されたものも大きかったのでしょうか。エイドリアンのギタープレイも、気持ちフレッシュさが増しているような印象を受けます。

「Good Thing」のポップなソウルフィーリングは、MANIC EDENあたりでも感じられた要素ですが、ヤン・ホーフィングという癖の強すぎないシンガーが歌うこと、そして女性コーラス隊の厚みあるハーモニーが加わることで、かつてないキャッチーさが伝わってきます。かと思えば、「Breathing」ではVANDENBERG時代の北欧フィーリングを漂わせている。このテイストもMANIC EDENだともう少しブルース色が強かったのですが……うん、これはWHITESNAKEでいうところの「Sailing Ships」(1989年の『SLIP OF THE TONGUE』収録曲)と同じ香りですね。

で、その「Sailing Ships」も本作でセルフカバーしております。しかも、この曲限定でWHITESNAKEのデヴィッド・カヴァーデイルがボーカルを担当。「80年代は腱鞘炎でレコーディングに参加できなかったけど、本来はこういうアレンジにしたかったんだよ!」という心の叫びが伝わってきそうな、穏やかながらもエモーショナルな仕上がりはなかなかのものがあります(できれば若い頃のカヴァーデイルの声で聴きたかった……)。

その他のハードロックナンバーに関しても一長一短あるものの、ブルースロックに特化したエイドリアンが好きなリスナーなら文句なしで楽しめる内容だと思います。間違ってもVANDENBERGの幻影をここに求めてはいけません……。

2014年という時代に本作はどこまでアピールできたのか?という課題は残りましたが、普遍性の強い作風/楽曲は聴く時期を選ばず楽しめるものではないでしょうか。

 


▼VANDENBERG'S MOONKINGS『VANDENBERG'S MOONKINGS』
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2020年5月 2日 (土)

V.A.『RONNIE JAMES DIO: THIS IS YOUR LIFE』(2014)

2014年4月初頭にリリースされた、ロニー・ジェイムズ・ディオのトリビュートアルバム。日本盤は海外に先駆け、同年3月下旬に発売されました。

2010年5月にがんのためこの世を去ったディオを追悼すべく、メタル界の重鎮から次世代バンドまで幅広い層が一堂に会したこのアルバム。全14曲(ボーナストラック除く)中、本作のために録音された未発表テイクは10曲と単なる埋め合わせ的アルバムでないことが伺えます。

そのラインナップもロブ・ハルフォードJUDAS PRIEST)やグレン・ヒューズ(ex. DEEP PURPLE)、SCORPIONSMOTÖRHEAD、ビフ・バイフォード(SAXON)といった大御所からMETALLICAANTHRAX、DOROなど直接的なフォロワー、そしてHALESTORM、コリィ・テイラー(SLIPKNOTSTONE SOUR)、KILLSWITCH ENGAGEなどの次世代アーティスト、さらにはヴィニー・アピス、ダグ・アルドリッジ、ジェフ・ピルソン、ルディ・サーゾ、クレイグ・ゴールディ、サイモン・ライト、スコット・ウォーレンといったDIOオールスターズまで、世代的にもかなり広いものとなっています。

本編ラストに収められたDIO「This Is Your Life」(1996年の『ANGRY MACHINES』収録曲)を除く13曲中、RAINBOWナンバーを選んだのが5組、BLACK SABBATHナンバーが3組、DIOナンバーが5組とやはりRAINBOWへの人気が集中。METALLICAに至ってはメドレー形式で4曲取り上げてますからね。ズルいわ(笑)。

サバス曲は当然すべて80年代の……と思いきや、オニ・ローガン(Vo/ex. LYNCH MOB)は『DEHUMANIZER』(1992年)からの「I」を選ぶ通ぶりを発揮。こちらはジミー・ベイン(B)やローワン・ロバートソン(G)といった旧DIO組も参加しています。この曲、こうやって聴くと思ったほどモダンなテイストが少なくて、80年代のディオ・サバスを踏襲してたんだねと気づかされます。

1曲ずつ解説していたらキリがないので割愛しますが、ANTHRAX「Neon Knights」におけるジョー・ベラドナのモノマネぶりが相変わらず最高なことと、SCORPIONS「The Temple Of The King」が完全に自分のものと化していること、METALLICAメドレーの強引ぶりなどは特筆すべきものがあるかなと。もちろん、ほかの楽曲も最高なので、原曲を知らないリスナーでも楽しめるはずです。

なお、日本盤にはSTRYPERによる「Heaven & Hell」、DIO DISCIPLES(DIO最終ラインナップのディオ抜き)による「Stand Up And Shout」を追加収録。ストリーミングなどのデジタルバージョンではHATEBREEDのフロントマン、ジャスタによる「Buried Alive」を聴くことができます。ここはぜひ、日本盤を手に入れておきたいところです。

 


▼V.A.『RONNIE JAMES DIO: THIS IS YOUR LIFE』
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2019年7月30日 (火)

LOUDLION『DIE TOUGH』(2014)

カナダ出身のLo-Fi系アーティストBleuが中心となり結成した80'sロックのオマージュプロジェクト(?)LOUDLION。そのプロジェクトが今のところ唯一残しているのが、この『DIE TOUGH』というアルバムです。

リリースは2014年6月となっていますが、一部では2010年に発売されていたという情報もあります。少なくとも僕がCDを入手したのは2014年だったので、広く流通し始めたのが2014年ということだったのかもしれません。

さて、80'sロックのオマージュなんて最初に書きましたが、このアルバムで展開されているのはクラシックロック……つまり、80年代のハードロック/アリーナロックそのもの。というよりも、もっとピンポイントで……DEF LEPPARDもモチーフにオリジナル曲を作っちゃいました、しかもマット・ラングのプロデュース/サウンドメイキングをお手本にして……という代物なのです。

聴けばすぐにわかる、ドラムのマシーンっぽさ。今のLEPSというよりも『HYSTERIA』(1987年)のサウンドをシミュレートしたんでしょう。ギターサウンドや深くかけられたリバーブ、ゴージャズなコーラス、そして何よりもBleuによるジョー・エリオット真っ青なボーカル……似てる(笑)。

可能な限りシミュレートしてはいるものの、やはりそこは予算の違いなのか、本作は全体的にチープさが否めません。そこがハードロック畑の人の手によるものか、あるいはLo-Fi系/パワーポップ系の人の手によるものかの違いなんですかね。

にしても、楽曲が本当にいろいろ研究されていて興味深い。ベースになっているのは『HYSTERIA』が60%、『PYROMANIA』(1983年)が35%、『HIGH'N'DRY』(1981年)が5%といったところでしょうか。ギターのプレイに関しては確実にフィル・コリンなんですよね。だから『HYSTERIA』や『PYROMANIA』がベースなわけですが。

これ、何も知らずに「DEF LEPPARDが80年代に残した未発表デモ音源」って渡されたら、信じちゃうんじゃないでしょうか。ってくらい声も音も曲もツボを押さえているし、マット・ラングによる完成品の一歩手前的な質感もそれっぽいし。

あと、個人的に興味深いのが「The Hills Have Eyes」「Dawn Of The Dead」といった曲タイトル。前者は『サランドラ』、後者は『ゾンビ』とホラー映画のタイトルから用いられているんですね。ちなみに「The Hills Have Eyes」は、その『サランドラ』のリメイク映画『ヒルズ・ハブ・アイズ』の第2弾『ヒルズ・ハブ・アイズ2』のサウンドトラックに提供した1曲。なんだ、まんまじゃないか(笑)。

Amazonのレビューを見たら「DEF LEPPARDもどきにもなっていない」という声がありましたが、これをパロディやオマージュ作品として楽しめるくらいの広い心は常に持ち合わせていたいなと思う、今日この頃です。いやあ、普通に楽しい1枚ですよ。

 


▼LOUDLION『DIE TOUGH』
(amazon:海外盤CD / MP3

 

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