SWEET & LYNCH『ONLY TO RISE』(2015)
ここ数日、80年代のHR/HMばかり聴き漁る日々でございます。が、新年明けて早半月。そろそろ新譜についても書きたいなあと思ってたところに、このアルバムが発売されました。ということで、今日はこの異色の組み合わせによるアルバムについて。
僕はジョージ・リンチというギタリストが大好きで。いや、正確には80年代から90年代初頭のジョージが大好きでした。アルバムで言うとLynch Mobの2ndアルバムあたりまで。ギタープレイ自体も好きなのですが、恐らくあのDokken〜Lynch Mobのサウンドの上で鳴らされるリフやソロが大好きだったんだと思います。だから再結成Dokkenのアルバムで聴けた「周りを見ないで自分の中だけで鳴らされてるソロ」にイマイチ馴染めなくて。アルバム自体は嫌いではなかったんですけどね……それ以降のDokkenや再結成Lynch Mobなどの作品にピンと来るものはなく、期待してたT&Nもバンドというよりはプロジェクト感が強い中途半端な作品、昨年発売されたKXMも悪くはなかったけど「別にジョージ・リンチにそれ求めてないから……」という印象でした。
だから、いくらStryperのマイケル・スウィート(Vo, G)と一緒にアルバムを作ると知っても、そこまで過剰な期待はできませんでした。ところが、このMVを観てその不安は一気に逆転。もはや期待しか持てなくなってしまったのです。
日本先行リリースされたこの記念すべき1stアルバム。想像していた以上の出来でした。80年代中盤のDokkenが持っていた魅力、そして当時のジョージ・リンチが持っていたバランス感が絶妙に発揮された、メロディアスなアメリカンハードロックの良作だと思います。アルバムはDokkenの3rdアルバム「Under Lock and Key」やStryperの3rdアルバム「To Hell With The Devil」に入っていても不思議じゃない「The Wish」からスタートして、Dokken「The Hunter」を彷彿とさせる「Dying Rose」、 枯れた雰囲気が絶妙な「Love Stays」へと続いていきます。往年のスタイルを、酸いも甘いも噛み分けた2人が今表現することで生まれる“ちょうどよさ”。もちろん過去の焼き直し的なスタイルだけではなく、「Time Will Tell」みたいな“ありそうでなかった”タイプの楽曲もあるし、サイケでありLed Zeppelin的な色合いもみせる「Strength In Numbers」もある。「Alone Again」の続編と言えなくもないパワーバラード「Me Without You」はじめ、Dokken的な要素はそこらじゅうに散りばめられていますが、現在のジョージらしいブルージーなミディアムヘヴィナンバーも満載です。そして、そういった楽曲を丁寧に、力強く歌い上げていくマイケル・スウィートのボーカルはさすがの一言。これを今のドン・ドッケンが歌ったところで……おっと、誰か来たようだ(苦笑)。
そんな2人のパワープレイを、決して派手な演奏に走らず手堅くフォローするリズム隊の存在も重要です。ジェイムズ・ロメンゾ(B)、ブライアン・ティッシー(Dr)というPride & Gloryでのタッグで知られる2人がベーシックな部分を支えたからこそ生まれた化学反応と言ってもいいのかもしれません。ジェフ・ピルソンでもミック・ブラウンでもなかったから、ここまでの作品が生まれたのだ……と言い切ってしまいたくはないですが、それはそれで皮肉なものです(とは言いながらも、タイトルトラックのエンディングで聴かせるドラムソロは強烈ですけどね)。
「Recover」や「Only To Rise」のようなファストチューンもあり、ジョージの激しいソロやマイケルのハイトーンボイスもちゃんとフィーチャーされてる。「Divine」冒頭の弾きまくりソロなんて、往年のジョージそのものですもんね。マイケルはStryperで忙しいでしょうし、ジョージもいろんなバンドをやってるから定期的に作品を作るのは難しいでしょうけど、可能でしたら数年に1枚でいいので継続してほしいプロジェクトだと思います。でもライブは……観たいような、観たくないような。意外とライブが原因で消滅しそうな気もするので、無理にはしなくても大丈夫ですよ。
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