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2015/05/09

ACCEPT『Objection Overruled』(1993)

昨年リリースされた通算14枚目のオリジナルアルバム「Blind Rage」が本国ドイツで初のチャート1位を獲得するという快挙を成し遂げたAccept。残念ながらPanzerを結成したハーマン・フランク(G)とステファン・シュヴァルツマン(Dr)が脱退してしまうというアクシデントがあり、成功を掴んだ3度目の再結成に不穏な空気が……と思ってたら、先月末にようやく新メンバーが発表され、今後も変わらず活動を続けていくことが明かされたばかり。バンドに2度目の黄金期をもたらした布陣の終焉は悲しいものがありますが、きっとAcceptは今後もそのスタイルを崩すことなく、男らしい正統派ヘヴィメタルを聴かせてくれることでしょう。

……と書いてみたものの、今日の主役は3代目ボーカル、マーク・トーニロ加入後の作品ではなく、現在のAcceptへとつながるきっかけを作った最初の再結成の際に制作された9thアルバム「Objection Overruled」についてです。


1993年初頭に再びウド・ダークシュナイダー(Vo)を含む布陣で制作された本作。デイヴィッド・リースを迎えた8thアルバム「Eat the Heat」(1989年)には発売当時「こんなのAcceptじゃない!」とがっかりしたファンも多かったようですが(僕もその1人)、今聴くとそこまで悪くないと思えるのは自分だけでしょうか。それよりも再結成後の……いやなんでもないです。

1993年というと海外ではすでにNirvana、Pearl Jamといったグランジ勢、Panteraをはじめとするヘヴィ / ラウド勢の台頭により正統派ヘヴィメタル / ハードロックバンドは瀕死の状態に陥ってた時期。そんな状況下でこういったストレートなメタルアルバムを制作した心意気は、今思うと素晴らしいものだと思うし(次作以降の変化はこの際無視する)、発売から22年経った今聴いてもちゃんと「聴ける」1枚なんですよね(上から目線でごめんなさい)。

先日CDショップを覗いた際、リマスタリングされ海外で再発売されていることを知りました。再発モノでおなじみ「Cherry Red Records」内のメタル専門レーベル「HNE Recordings」からのリリースですが(※参照)、日本盤に入っていた「Rich & Famous」など追加要素は一切なし。同レーベルから再発されている他の作品と比較すると内容としては弱いですが、自宅でダンボールの片隅に眠っている当時のアルバムを引っ張りだすのも面倒だし、それに昨年新作を聴いて「このへんのアルバムも久しぶりに聴いてみたいな」と思ってたところだったので、思わず手を出してしまったわけです。

いやあ、改めて聴くと発売当時の感情がよみがえってきますね……やっぱりオープニングのタイトルトラックの疾走感。ここでガッツポーズを取ったファンは多かったはずだし、まんまなタイトルに苦笑いを通り越して感動すら覚えるヘヴィナンバー「Slaves To Metal」、アルバム中盤に位置するアンセム感の強い「All Or Nothing」、泣きのバラード「Amamos La Vida」から流れるように続くファストナンバー「Sick, Dirty And Mean」、同じく泣きのインスト「Just By My Own」からエンディングを飾るファストチューン「This One's For You」などなど、今も色褪せない王道メタルチューン満載の展開はマーク・トーニロが参加した「Blood of the Nations」以降の作品に通ずるものもあれば、そこともまた違った「80年代からの流れ」もあったりとなかなか感慨深いもの。とはいいながらも、ちょっと弱いな……と感じてしまう楽曲も少なからずあったりして。特にシングルカットされた2曲目「I Don't Wanna Be Like You」や本作の中では唯一、現在もライブで披露される機会のある「Bulletproof」あたりはちょっと弱いような気もしていて(今聴くとですが)。MVが制作された「Protectors Of Terror」もかな……「Balls To The Walls」での成功をそのまま引き継いだ流れだとは思うんですが、リフ含めもうひと工夫欲しかったかもと思ってしまうわけです。

あと、これは非常に重要な要素だと思うんですが……当時(90年代の2度目の再結成時)はシングルギター編成だったこと。やっぱり「Acceptといえばツインリード」という人も多いと思うんです。少なくとも制作時は4人編成だったものの、ライブはもう1人ギターを入れて5人編成で活動していくんだろうなと考えていたのに……。

実はAcceptのライブを観たのは唯一この「Objection Overruled」に伴う来日公演のときだけ。その際の印象があまり良くなくて、個人的にはその後Acceptに対する印象がどんどん薄くなっていったんですね。80年代はライブに間に合わず、解散後に発表されたライブアルバム「Staying A Life」でこのバンドに対する熱がどんどん上がっていき、そして発表された再結成。なのにあのツインリードが聴けない……そりゃがっかりですよ。しかも期待していたアルバムタイトルトラック「Objection Overruled」が演奏されず(「This One's For You」はやってた記憶がありますが)……

と、ネガティブな思い出までもがよみがえってきてしまった「Objection Overruled」ですが、決して悪いアルバムではないですよ。あくまで個人的な思い出ばかりですので。Accept史の中では弱い作品かもしれないけど、時代背景を考えると非常に重要な1枚かもしれないし。この勢いで、さらにネガティブな思いしかない「Death Row」(1994年)、「Predator」(1996年)も改めて聴いてみようかしら。さすがに20年経てば当時とは違った楽しみ方もできるかもしれないしね。



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投稿: 2015 05 09 10:43 午前 [1993年の作品, Accept] | 固定リンク