カテゴリー「2015年の作品」の46件の記事

2020年1月11日 (土)

ゾンビスクール!(2015)

あらすじ
小説家を目指しNYに出たが、パッとしないクリントは早々に夢を諦め、母校の小学校で臨時職員として勤め始める。出勤初日から、生意気な子供たちには舐められ、個性的すぎる教師たちとはイマイチそりが合わない。しかし、小学校教師になっていたかつての同級生、ルーシーと再会し思い出話と共に淡い恋心を募らせる。
給食の時間。子供たちは大好きなチキンナゲットを頬張り、賑やかな時間が過ぎていく。
そして、午後の時間が始まる。ツインテールの少女、シェリーにいつものようにちょっかいを出すいじめっ子、ペイトリオットだが、シェリーの様子がおかしい。ペイトリオットが髪を引っ張ると、毛束が皮膚ごと剥がれ落ち、そのまま倒れこむや否やシェリーはペイトリオットの顔に噛みつく。
何が起きたか分からないまま、学校中はパニック! 次々とゾンビ化していく子供たち相手に、楽器やスポーツ用品で武装した教師たちが立ち向かう。キッズゾンビVSイカれた教師の戦いの火蓋が切って落とされた!

小学校を舞台にしたゾンビ/パンデミック映画。給食のチキンナゲットに含まれた病原菌からひとりの少女が感染、そこから次々にほかの生徒へと感染していくという流れなんですが、なんとゾンビ化するのは“子供”のみ(どこまでが“子供”かは本編にて確認を)。大人は噛まれたり傷つけられても下痢、嘔吐止まりという、なんともご都合主義(笑)。しかし、そういった条件が物語を面白くしているのは確かで、無軌道に暴れまくる子供たちを前に本気で立ち向かう大人(教師)たちの姿が滑稽なのもまたよし。

そういったコメディタッチのストーリーながらも、血生臭さやスプラッター要素は適度に用意されており、大人たちが内臓むき出しにされたり、腕を千切られたり、目玉を抜き取られたり……(苦笑)。途中で挿入されるイメージシーンでは、内臓(腸?)で縄跳びをする子供の姿も用意されており、もはやここまでくるとクスッとしてしまうのも確か(苦手な人には笑えないシチュエーションですが)。

『ゾンビランド』や『ショーン・オブ・ザ・デッド』的な作風で亜流っちゃあ亜流かもしれませんが、本作を面白いものと昇華させているのは製作総指揮および主演をイライジャ・ウッドが務めていること。しかも、イライジャは小説家として芽が出ず、ニューヨークから田舎に出戻りというパッとしない臨時教員役を見事に演じきっているのですから、最高ったらありゃしない。『コマンドー』をパロッた終盤の決闘シーンといい、ヒロインとのネチネチした三角関係といい、どれを取ってもアホらしくて最高。クライマックスのやっつけ方含め大人がここまで子供をいたぶるのは、コンプライアンス的に問題ないのかという点は気になりますが(苦笑)。

(*80点)

 


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2019年12月 6日 (金)

CRYPTOPSY『THE BOOK OF SUFFERING』(2019)

CRYPTOPSYが2019年6月中旬にリリースした日本限定アルバム。

全8曲が収録された本作は、同年7月中旬に実現した7年ぶりの来日公演を記念して企画されたもので、もともとはアルバム前半4曲がEP『THE BOOK OF SUFFERING - TOME I』(2015年)、後半4曲がEP『THE BOOK OF SUFFERING - TOME II』(2018年)が初出という、連作となったシリーズEPをひとまとめにした内容となっています。

現在のメンバーはフロ、マット・マギャキー(Vo)、クリス・ドナルドソン(G)、オリヴィエ・ピナール(B)、フロ・モーニエ(Dr)の4人。ロード・ワーム(Vo)が脱退してからもだいぶ経ちますし、もはやこの4人編成は安定感すら感じられます。

事実、僕も7月13日の代官山UNIT公演に足を運んでいますが、計算され尽くしたプレイの数々と、音数が多いにも関わらずすべての音の粒が感じ取れるほどクリアなサウンドは、この手のバンドとしては異例といえるもので、熱狂的なリアクションを見せるオーディエンスとの相乗効果により、今まで観た彼らのステージの中でも一番と呼べる内容でした。まあとにかく、フロ・モーニエ先生の千手観音ドラミングが圧巻の一言で、あれだけ連打しても音の粒一つひとつが感じられるのは奇跡的だなと思うわけです。観られて本当によかった。

さて、改めてアルバムの話題に戻りましょう。前述のとおり、本作は2つの録音時期が異なるEPをひとつにまとめたもので、2作品の間には3年というタイムラグが生じています。しかし、『THE BOOK OF SUFFERING - TOME I』のラストである4曲目「Framed by Blood」と、『THE BOOK OF SUFFERING - TOME II』のオープニング曲である5曲目「The Wretched Living」の間にその“3年の差”は一切感じられません。そこには『THE BOOK OF SUFFERING』というひとつのテーマのもとに制作された連作という要素も大きく影響しているのでしょうか。

むしろ、アナログでいうところのA面(『TOME I』)とB面(『TOME II』)という形で、うまく色付けされているとさえ感じられる。つまり、これら8曲は本来収まるべき場所に、収まるべき形で収まったと言えるのではないでしょうか。

メロディやドラマチックさは皆無で、終始無慈悲なまでに轟音で攻めまくり、ときには複雑怪奇な展開で聴き手を驚かせる、CRYPTOPSYならではの個性はどの曲でも健在。むしろ、1曲1曲の際立ちはなかなかのものがあると思います。それはアルバムという形を想定して録音したものではなく、4曲のみというEPとして録音したのも功を奏しているのかもしれませんね。

正式なオリジナルアルバムではありませんし、この形で聴くことができるのは日本のファンのみですが、エクストリームメタルのエクストリームたる所以を存分に味わえる貴重な1枚はぜひとも2019年のうちに触れておいてもらいたいところです。

 


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2019年10月30日 (水)

THE SONICS『THIS IS THE SONICS』(2015)

2015年3月にリリースされた、THE SONICS正真正銘のニューアルバム。

THE SONICSは60'sガレージロック/ガレージパンクを語る上では欠かせないレジェンド的存在で、2012年に日本のTHE BAWDIESが招聘して一緒にツアーを行ったことでその存在を知ったという邦楽リスナーも少なくないのでは。60年代に発表した2枚のオリジナルアルバム『HERE ARE THE SONICS!!!』(1965年)と『BOOM』(1996年)は“ガレージパンクの教科書”的作品として、今でも多くのロックファンに愛聴されています。

彼らのオリジナルアルバムは本当に少なく、ほかには再録曲を含む『INTRODUCING THE SONICS』(1967年)と、80年代にジェリー・ロスリー(Vo, Organ)を軸に変則的メンバーで制作された『SINDERELLA』(1980年)があるのみ。2010年には新録4曲にライブテイク4曲から構成されたEP『8』(日本盤はさらにボートラ2曲を追加した全10曲入りのアルバムボリューム)が発表されており、このとき「約40年ぶりの新録スタジオ音源」と声高に騒がれましたが、2010年から40年を逆算すると1970年前後……つまり、『SINDERELLA』は“なかった”ことにされているんですね。

ちなみに、今作『THIS IS THE SONICS』が発表されたときも「48年ぶりのニューアルバム」との触れ込みだったので、以下同文。そう考えると、本作は通算4作目のスタジオアルバムということになるんでしょうか。

本作はジェリーのほか、ラリー・ペリパ(G)、ロブ・リンド(Sax)というオリジナルメンバー3人のほか、フレディ・デニス(B, Vo)、ダスティ・ワトソン(Dr)という編成で制作。リリース後もこの布陣でライブを行っていたようですが、2016年にはジェリーとラリーがツアーからの引退が宣言され、現在オリジナルメンバーはロブのみという状況のようです。

全12曲で32分というトータルランニング、しかもモノラル録音という徹底されたスタイルの作り込み。そして、オリジナル曲とカバーがほぼ半々という構成も、初期2作に習ったもので、こういった文字情報だけだと「THE SONICSのオリジナルメンバーがTHE SONICSを“模倣”して現代によみがえらせた」と穿った受け取り方もできるかもしれません。

し・か・し。聴いていただけばおわかりのとおり、ここで展開されているハイテンションなガレージロックサウンドはTHE SONICS以外の何者でもなく、オープニングトラックの「I Don't Need No Doctor」(ご存知、レイ・チャールズのカバー)が始まった瞬間「あ、THE SONICSだ!」と確信するはずです。

脳天から血が吹き出るんじゃないかってくらいに高いテンションは、初期の作品にも匹敵するものがあるかな。2015年のレコーディングということで、モノラルとはいえかなり整理された録音となっているので、そこに初期の破壊的なアグレッシヴさは感じられず、そこだけが残念かな(こればかりはね)。とはいえ、そんな中で最善を尽くしたプロデューサーのジム・ダイアモンド(THE WHITE STRIPES、THE VON BONDIES、THE DIRTBOMBSなど)の手腕は現代においては素晴らしいものがあるとは思います。実際、尖っているのにめちゃめちゃ聴きやすいですからね。

初期2作は別格として、そこと比較すれば確かに聴き劣りするかもしれない。だけど、ロックアルバムとしては文句なしの完成度なのは間違いない事実。ああだこうだ言う前に、純粋に楽しみたい1枚です。

 


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2019年9月24日 (火)

REFUSED『FREEDOM』(2015)

2015年6月末にリリースされた、REFUSEDの4thアルバム。ここ日本では3ヶ月遅れの2015年9月下旬に発表されています。

前作に当たる3rdアルバム『THE SHAPE OF PUNK TO COME』(1998年)をリリース直後、バンド解散を発表したREFUSED。メンバーはTHE (INTERNATIONAL) NOISE CONSPIRACY、INVSN、TEXT、AC4.などといったバンドで音楽活動を続けましたが、2012年に期間限定で再結成。このときはフジロックでも来日しており、相当話題になりました。

そして、2015年に本格的再始動。2012年の再結成時に参加したジョン(G)が不参加で、デニス(Vo)、クリストファー(G)、マグナス(B)、デヴィッド(Dr)の4人でスタジオ入りし、ニック・ローネイ(YEAH YEAH YEAHS、ニック・ケイヴ、PUBLIC IMAGE LTD、KILLING JOKE、GANG OF FOURなど)をプロデューサーに迎え完成させたのが本作です(「Elektra」「366」のみ、楽曲共同制作者であるシェルバック(エド・シーラン、テイラー・スウィフト、PiNKなど)がプロデュース)。

REFUSED休止中もそれぞれがミュージシャン/表現者として常に活動を続けていたとはいえ、REFUSED名義のアルバムは実に17年ぶり。その間にポストハードコアやミクスチャーシーンはどんどん進化していきましたし、ぶっちゃけ当時は革新的だった『THE SHAPE OF PUNK TO COME』も今の耳で聴けば“新しすぎる”なんてこともなくなっています。

しかし、この『FREEDOM』というアルバムで展開されている世界観、サウンド、ボーカル……そのすべてが『THE SHAPE OF PUNK TO COME』から地続きであると同時に、古臭さを一切感じさせない「2015年の音」に仕上がっているのですから、不思議ったらありゃしない。

『THE SHAPE OF PUNK TO COME』もかなりソリッドで殺傷力の強い1枚でしたが、本作の殺傷力もハンパないものがあります。しかし、そのやり方(殺り方?)がちょっと違う。前作が切れ味抜群の刃物だとしたら、今作は数百キロはあるであろうハンマー。そこが経験や知識の蓄積によるものなのか、あるいは単純に表現者として成熟したということなのか。なんにせよ、再結成後のアルバムでがっかりさせられずに済んだだけでなく、あの当時並みの興奮を再び味わえるとは思っていなかったので、これにはびっくりです。

とはいえ、本作で鳴らされている音はポストハードコアそのものかといえば、実はちょっと違う……いわば『THE SHAPE OF PUNK TO COME』で見せた“パンクの未来”のさらに先を進むものなのかもしれません。例えば「Françafrique」は前作の流れを汲むものの、しっかりモダンな色合いが加えられている(リリース時期的に、BRING ME THE HORIZON「Happy Song」とイメージが重なった人も多いのでは。しかし、あちらがニューメタル以降だとしたら、こちらはもっとポストハードコアなんですよね)。「Destroy The Man」や「Servants Of Death」にはソウルミュージックなどブラックミュージックの香りも感じられるし(これは確実にTHE (INTERNATIONAL) NOISE CONSPIRACYからの流れでしょう)、ラストのエピックナンバー「Useless Europeans」まで本当に一瞬たりとも気が抜けない。いや、本当に力作(というか激作)ですよ、これ。

リリース元のEpitaph Recordsの日本流通先が当時のソニーからワーナーに移ったため、現在は日本盤が廃盤のようですが、10月には待望のニューアルバム『WAR MUSIC』の発売が控えているので、ぜひ解散前の3作とあわせて再発を願いたいところです(とはいえ、『WAR MUSIC』はユニバーサル系のSpinefarm Recordsからのリリースなので難しそうですが)。

 


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2019年9月 7日 (土)

EUROPE『WAR OF KINGS』(2015)

2015年3月にリリースされた、EUROPE通算10作目のスタジオアルバム。

前作『BAG OF BONES』(2012年)ではプロデューサーにケヴィン・シャーリー(IRON MAIDENAEROSMITHTHE BLACK CROWESDREAM THEATERなど)を迎え、再結成後としては初めてイギリスでトップ50入りを果たすなど好成績を残しました。

続く今作では、プロデューサーをデイヴ・コッブ(RIVAL SONSなど)に交代。再始動後は基本的に毎作プロデューサーを変えているEUROPEですが、このデイヴ・コッブとの出会いは相当手応えがあったらしく、続く最新作『WALK THE EARTH』(2017年)でもデイヴを再起用さいています。

基本的には『BAG OF BONES』で試みた……いや、再結成第1弾アルバム『START FROM THE DARK』(2004年)で実践した、DEEP PURPLEUFOTHIN LIZZYなどを彷彿とさせるルーツロック/クラシックロック路線を推し進めたものなのですが、正直楽曲面では単調でイマイチという感想しか残らなかった『BAG OF BONES』から脱却し、バンドアンサンブル含めかなり高品質な楽曲がずらりと並ぶ1枚に仕上げられています。

ヘヴィさは前作譲りですが、そのヘヴィさが妙に浮くことなく楽曲とマッチしている。また、楽曲自体もバラエティに富み、しっかり練り込まれたアレンジとプレイ/フレーズと相まって「これはこれ」として楽しめるものに昇華されている。もはや「80年代のEUROPE」がどうのこうのとかどうでもよくなるくらい、気合いの入りまくったハードロック/ブルースロックを堪能できる1枚なのです。

しかし、メロディに関しては相変わらずと言いますか、抑揚が足りないジョーイ・テンペスト(Vo)には少々落胆させられます。惜しい、本当に惜しい。

このアルバムまでの時点で、再結成以降5枚のアルバムが制作されているわけですが、メロディアスさや楽曲の強度でいいますと7thアルバム『SECRET SOCIETY』(2006年)がベストで、次点が8thアルバム『LAST LOOK AT EDEN』(2009年)かな?と今でも思っています(ただ、アルバムトータルの完成度で考えると『LAST LOOK AT EDEN』がベストなんですけどね)。

しかし、楽曲の練られ方や演奏力、表現力に関して言えば、実は本作がトップクラスではないか……そう思う自分がいます。だって「Praise You」あたりを聴いてしまったら……ねえ?(ちなみに、この曲のボーカルは悪くないと思います)

ジョーイの声に関しては無いものねだりをしてしまいがちですが、音楽性については(個人的には)この路線は気に入っているので、ここを経て続く『WALK THE EARTH』までよくたどり着けたな、と今さらながらに関心しています。そういった意味では、本作とその前作『BAG OF BONES』は過渡期的作品かもしれませんね。

 


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2019年5月17日 (金)

MICHAEL MONROE『BLACKOUT STATES』(2015)

2015年10月に発表された、マイケル・モンローの同名バンド名義による3rdアルバム。マイケル個人としては通算8枚目のソロアルバムに当たります(JESUSALEM SLIMDEMOLITION 23.を含むと10枚目)。

前作『HORNS AND HALOS』(2013年)から加わったドレゲン(G / BACKYARD BABIESTHE HELLACOPTERS)が早くも脱退(こちらは健康上の理由とBACKYARD BABIES再始動が理由)。ジンジャー・ワイルドハート、ドレゲンとスター性の強いギタリスト、かつソングライターとしても強烈な個性を持つ人間がアルバムごとに変わる状況含め、いかにもマイケル・モンローらしいなと思ってしまいましたが、ドレゲンに代わり加入したのはリッチ・ジョーンズ(ex. THE BLACK HALOS、ex. AMEN、ジンジャー・ワイルドハードなど)。

……あれ、今回地味じゃね?(苦笑)

そう思った人、仲間だね(笑)。リッチは2013年のジャパンツアーに参加できなかったドレゲンの代役として帯同したキャリアの持ち主で、加入も自然な流れだったんでしょう。要は“人間性”が求められたのかな。

前作の時点でソングライティング能力を遺憾なく発揮していたもうひとりのギタリスト、スティーヴ・コンテは本作でも大半の楽曲に名を連ねており、改めてこのバンドのメインソングライターとして手腕を振るっていますが、さて、リッチ・ジョーンズはどうかといいますと……。

全13曲中8曲にクレジットされており、そのすべてがスティーヴとの共作、あるいはその2人とサミ・ヤッファ(B)やマイケルとの共作という形となっています。スティーヴのように単独名義での楽曲はないものの、少なからずバンドの曲作りに貢献できているようです。ひと安心。

さて、肝心の内容ですが、どこからどう切り取ってもマイケル・モンローそのもの。ソロになってから、特にこのバンド編成になってからの彼のパブリックイメージそのままのサウンド/楽曲を楽しむことができます。つまり、「ポップで親しみやすいメロディが備わった豪快なロックンロールとパンクロック、ときどきレイドバックしたカントリーロック風ポップチューンも」楽しめるというわけです。あと、ディー・ディー・ラモーン(RAMONES)が生前書き残した未発表曲「Under THe Northern Lights」が、マイケルの手によって正式レコーディングされているのも本作の特徴かな。

ただ、悪い言い方をしてしまうと、何の驚きもない予定調和とも受け取れる。これはもう、聴き手に委ねるしかありませんが……僕はわりと好きです。いや、かなり好きかな。飛び抜けてすごい!と思える楽曲が1曲くらい欲しかった気がするけど、前作と前々作『SENSORY OVERDRIVE』(2011年)が良すぎたというのも大きいのかしら。ちょっと贅沢ですよね。

そんな中、個人的には「R.L.F.」という高速パンクチューンが大のお気に入り。これ、マイケルが昔から口にしてきた信条「Rock Like Fuck」のことですからね。そりゃ嫌いになれるわけがない。いまだにこの姿勢でロックと向き合ってくれていることに感謝します。

さて、本作リリース後は30年のソロキャリアを総括するベストアルバム『THE BEST』(2017年)をリリースしていますが、オリジナルアルバムは4年待っても届かない状況。そんな中、この夏には『SUMMER SONIC』で3年ぶりの来日が実現……ってことは、そろそろってことですよね? 期待してもいいですよね? 過剰に期待して待ってます。

 


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2019年4月28日 (日)

HOLLYWOOD VAMPIRES『HOLLYWOOD VAMPIRES』(2015)

アリス・クーパー(Vo)、俳優のジョニー・デップ(G)、AEROSMITHジョー・ペリー(G)を中心に結成されたスーパーバンド、HOLLYWOOD VAMPIRESが2015年9月に発表したデビューアルバム。リリース当時、全米43位/全英30位という成績を残しています。

アルバム本編14曲(日本盤やデラックス盤はさらにボーナストラック追加)中、オリジナル曲は3曲のみ、うち1曲は1分半程度のナレーションベースの楽曲なので、純粋なオリジナル曲は2曲と言えるでしょう。しかし、このバンドの魅力はそういったところにあるのではなく、ロッククラシックと呼ばれる過去の名曲群とそれらに参加する豪華なゲスト陣にあると言えるでしょう。

ピックアップされているカバー曲もTHE WHO「My Generation」、LED ZEPPELIN「Whole Lotta Love」、THE DOORS「Break On Through (To The Other Side)」、ジョン・レノン「Cold Turkey」、ジミヘン「Manic Depression」、SMALL FACES「Itchycoo Park」、PINK FLOYD「Another Brick In The Wall (Part 2)」、そしてアリス自身の「School's Out」などロックファンなら誰もが一度は耳にしたことがあるはずの定番曲ばかり。

そういった楽曲をアリスのボーカル、ジョニー&ジョーのギターを軸にブライアン・ジョンソン(Vo/AC/DC)、ペリー・ファレル(Vo/JANE'S ADDICTION)、ポール・マッカートニー(Vo, B, Piano)、オリアンティ(G)、ジョー・ウォルッシュ(G/EAGLES)、スラッシュ(G)、キップ・ウィンガー(B/WINGER)、ザック・スターキー(Dr)、デイヴ・グロール(Dr/FOO FIGHTERS)などそうそうたる面々で華麗に盛り上げているわけです。

軸にあるのは60〜70年代のクラシックロックに対する敬意と愛情なもんですから、アレンジに関しても基本的にはオリジナルに忠実。現代的に味付けするにしても破綻することがない範囲でのリアレンジとなっています。そういう意味も込めてのバンド名(ハリウッドに今も巣食うヴァンパイアたち)なのでしょうね。

ジョー・ペリーが思ったほど暴れまくってないとか、ジョニー・デップのギターテクが意外としっかりしているとか、久しくオリジナル新作を発表していなかったアリス・クーパーのボーカルをたっぷり楽しめるとか、そういった視点もあるものの、基本的には「キャリアのある大御所たちが嬉々としてロッククラシックをカバーして楽しむ様子を、目を細めて微笑ましく眺める」というのが本作を楽しむ上での趣旨なのではないかと。それくらい甘々でいいんじゃないかな。

そんなHOLLYWOOD VAMPIRESも間もなく4年ぶりの新作『RISE』をリリース予定。次作はオリジナル曲が中心で、カバーは3曲程度とのことで、最初のテーマから逆転してしまっていますが、果たしてどうなることやら。

 


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2019年4月13日 (土)

HALESTORM『INTO THE WILD LIFE』(2015)

2015年4月にリリースされた、HALESTORM通算3作目のスタジオアルバム。前作『THE STRANGE CASE OF...』(2012年)が全米15位という好成績を残しましたが、今作はそれを上回る全米8位を記録。ロックファンがいかにこのバンドの新作を待ち望んでいたかが伺える結果だと思います。

前作は「ヘヴィさ」「スピード感」「キャッチーさ」の3要素のバランスが絶妙で、「こりゃ売れるわ!」って1回聴けばすぐに理解できる即効性の強い内容でした。が、今作はバンドとしての地力とリジー・ヘイル(Vo, G)のボーカリストとしての個性/魅力を最大限に引き出すために、3要素のうちの「ヘヴィさ」を強調した作風へとシフトしています。

オープニングを飾る重々しい「Scream」からして、前作での軽快な序盤のノリとは異なるもの。だって、前作は「Love Bites (So Do I)」「Mz. Hyde」「I Miss The Misery」という鉄壁の3曲でしたからね。それに対して、本作では「Scream」から組曲のようにミドルヘヴィ「I Am The Fire」へと続き、その後も「Sick Individual」「Amen」とミドルナンバーが続く。ここまで変化がない一本調子な構成、ぶっちゃけ挑戦しすぎでしょ? 最初に聴いたときは正直、「これ、好きになれるかなあ。リピートする気になれるかなぁ」と不安を感じたことを今でも覚えています。

その後は「Dear Daughter」のような渋めのピアノバラード、レイドバックしたミディアムナンバー「New Modern Love」とやっぱり“アガる”ことはないのですが、後半折り返しに入ったところでヘヴィながらもアッパーさ加わった「Mayhem」で少し色が変わる。再びバラード調の「Bad Girl's World」でトーンダウンするも、11曲目「Apocalyptic」のダイナミックな演奏、ラストを飾るシンプルなロックンロール「I Like It Heavy」(ソウルフルなエンディングも最高なこと!)などで少し変化をつけてくれるので、なんとか最後まで乗り切ることができました。

こう書くと非常にネガティブな印象を与えるかもしれませんが、どの曲も非常にカッコいいし、リジーのシンガーとしての魅力が100%伝わるアレンジに仕上がっていると思います。ただ、それがミディアム〜スローテンポで13曲も続くと、さすがに厳しいかなと。もちろん、これがアメリカの“ノリ”だってことは重々承知しています。が、日本ではこれはさすがに厳しいような気がします。いくらHALESTORMが好きな自分でも、このアルバムを何度もリピートする気にはなれないほどですから……。

しかもこのアルバム、デラックス盤には「Jump The Gun」「Unapologetic」という2曲を加えた56分/15曲構成。ですが、ハネ気味のリズムが気持ち良い前者とソウルフルなメロと節回しが印象的な後者という、本編にはないタイプの楽曲がボーナストラックってどういうことよ?(苦笑) そこまでして本編のトーンを統一させたかったんでしょうかね。戦略とはいえ、これは解せないなあ。この2曲を加えて、10〜12曲程度に絞ったほうがもうちょっとまとまりがよかった気がします。あるいは、1曲くらいアップテンポの楽曲を入れるとか……まあその反省が、次作『VICIOUS』(2018年)に活かされたんでしょうね。

うん、ツウ好みの1枚だと思います。ビギナーは2ndか4thから入って、最後に聴くといいんじゃないかな。それからでも十分に魅力は伝わると思うので(むしろそのほうが伝わりやすいはず)。

 

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2019年4月12日 (金)

GHOST『MELIORA』(2015)

2015年8月に海外でリリースされた、GHOSTの3rdアルバム(日本盤未発売)。本作はスウェーデン本国ではもちろん1位、さらに全米8位、全英23位という好成績を残しており、スウェーデンのバンドとしてはEUROPEの大出世作『THE FINAL COUNTDOWN』(1986年)以来、約30年ぶりの快挙を達成しています。

大ヒットを記録する次作『PREQUELLE』(2018年)の片鱗はすでにこの時点で表出しており、歌メロのポップさ、キャッチーさは次作にも匹敵するものがあります。ただ、『PREQUELLE』での(良い意味での)アメリカナイズとは異なり、本作にはヨーロッパのバンド特有の陰りや湿り気が至る所に散りばめられており、コーラスの重ね方などに70年代のサイケデリックロックやプログレッシヴロックにも通ずる緻密さが感じられます。

オープニングの「Spirit」から数珠つなぎで流れるような構成は、どこかコンセプトアルバムのようでもあるしホラー映画やサスペンス映画のサウンドトラックのようでもある。そんなドラマチックな序盤から叙情的な「He Is」で空気が冷え切ったところでヘヴィな「Mummy Dust」を急にお見舞いされると、まるで不意打ちを食らったかのようなショックを受けるはず。しかも曲中にさりげなく挿入される、不穏さを表現するピアノフレーズ。単にヘヴィなだけでは終わらせないこのダークさ、クセになるくらいたまらんです。

全体を通して聴くと1stアルバム『OPUS EPONYMOUS』(2010年)のヘヴィさ、アグレッシヴさと2ndアルバム『INFESTISSUMAM』(2013年)の叙情性の良いとこ取りといったところで、バランス感は過去3作中で随一。アングラ臭もだいぶ薄まり、キャッチーさが強まったことでかなりメジャー感が増したのではないでしょうか。

とはいえ、そのヴィジュアル含めまだまだカルト的な域は脱していないのかな。まあそこが良かったんだけど。

いわゆるヘヴィメタルというよりは、ダークなハードロックという表現がぴったりな1枚。最新作『PREQUELLE』でGHOSTにハマったというリスナーが次に手に取るにはうってつけの作品だと思います。ここから1stに進むか、それとも順を追って2ndにたどり着くかは、このアルバムを聴いて判断してもらえばいいかな。それくらい、GHOSTというバンド(アーティスト)における“真ん中”にある1枚だと思うので。個人的にはこのアルバム、『PREQUELLE』と双璧の完成度だと思っています。

なお、本作は2016年に発売されたEP『POPESTAR』と合体させた2枚組デラックス盤も出回っており、配信だとこのデラックス盤がメインになっています。ライブには欠かせない名曲「Square Hammer」が含まれているので、これから聴こうという人はこのデラックス盤がオススメです。

 


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2018年6月 7日 (木)

LIKE A STORM『AWAKEN THE FIRE』(2015)

ニュージーランドはオークランド出身の4人組メタルバンド、LIKE A STORMが2015年2月に発表した2ndアルバム(日本盤未発売)。リリースから1、2ヶ月後に店頭で試聴して気に入って購入して、しばらくは移動中によく聴いてた記憶があります。

なんでこのタイミングに取り上げようかと思ったかといいますと、今月3rdアルバムがリリースされるらしいので、久しぶりに引っ張り出したわけです。よく聴いたなぁって。

このバンドはクリス(Vo, G)、マット(G)、ケント(B)のブルックス3兄弟が中心となり結成。2009年のデビューアルバム『THE END OF THE BEGINNING』(2009年)でかのケニー・アロノフ(Dr)を迎えて制作し、リリース後にはSHINEDOWN、SKILLET、PUDDLE OF MUDD、DROWNING POOL、ALTER BRIDGEらとツアーを回ったとのこと。この布陣からも、なんとなく音楽性が想像できるのではないでしょうか。

そのとおり。ポスト・グランジ以降のヘヴィロックやニューメタルを軸にしつつも、そのルーツには土着的なカラーも見え隠れし、そこがメロディなどに表出しており、適度に心地よく感じられます。

オープニングナンバー「Chaos」や続く「Love The Way You Hate Me」にはオーストラリアの民族楽器であるディジュリドゥがフィーチャーされているのも個性的ですし、「Never Surrender」なんてリフやイントロこそモダンなヘヴィメタルそのものですが、メロディは豪快なアメリカンハードロックといった印象。そんなヘヴィな楽曲の間に「Break Free」や「Southern Skies」のようなカラッとしたバラード、「Ordinary」みたいにちょっとダークなアコースティックナンバーはいると、よりこのアルバムのメロディアスさが浮き立つのですから面白い。

で、このアルバムの面白みはカバーのセンスにもあるのかなと。9曲目に収録されている「Gangster's Paradise」はアメリカのラッパー、クーリオが1995年に発表した楽曲のカバー。同年公開されたアメリカ映画『デンジャラス・マインド/卒業の日まで』のサウンドトラックに収録され、メガヒットを記録しました。カバーバージョンは原曲に忠実なアレンジながらも、ヘヴィメタルバンドが演奏するとこうなるんだという仕上がり。ラップパートはメロウに歌われており、それにより普通にアルバムの中の1曲として馴染んでいます。当時は「そうか、もう原曲リリースから20年も経ったのか……」という事実に驚かされたものです。

突出した個性といえば先の民族楽器を導入した点が挙げられますが、トータルではまだまだこれからのバンドといった印象。3rdアルバムから先行カットされた新曲「The Devil Inside」は本作『AWAKEN THE FIRE』により磨きをかけたような1曲なので、ここで化けるのかどうか期待しながら次作を待ちたいと思います。



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