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2016/05/06

ANOHNI『HOPELESSNESS』(2016)

「絶望」を意味するアルバムタイトル、ダウナーでどこか宗教色が感じられるエレクトロニックサウンド、そこに乗る「かつてアントニー・ヘガティと呼ばれた“女性”」による深みのあるボーカル。正直、これだけを目にすればかなりコアな層を意識したマニアックな作品と感じてしまうかもしれない。しかし、実際耳にしたアノーニの1stアルバムは非常にポップで、“入って”いきやすい1枚だ。

生音重視のオーガニックサウンドの印象が強いANTONY AND THE JOHNSONSから一変、ハドソン・モホークやOPNといったモダンなエレクトロ系アーティストとのコラボで完成した本作は、母性すら感じさせるアノーニの歌声と相まって「現代のゴスペル」という印象が強い。“彼”から“彼女”になった、と文字にすれば簡単に聞こえるかもしれないが、アノーニという1人の人間が自身の性(さが)を向き合い、葛藤したからこそ誕生した生々しい「記録」なのだ。だからこそ「絶望」というタイトルにより重みを感じるし、そのタイトルトラックから一筋の「希望」が感じられるのも興味深い。


※このレビューは同作リリース時に『TV BROS.』に掲載されものを一部修正して掲載しております。



▼ANOHNI『HOPELESSNESS』
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投稿: 2016 05 06 12:00 午前 [2016年の作品, Anohni] | 固定リンク