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2016/08/29

Bryan Adams『Into The Fire』(1987)

ブライアン・アダムス、5年ぶりの来日公演が2017年1月に決定しました。今回は1月23日に大阪・大阪市中央体育館、24日に東京・日本武道館という計2公演。オリジナルアルバムとしては2008年3月発売の『11』以来7年半となる新作『Get Up』を昨年10月にリリースしているので、同作を携えての来日公演となるわけですが……そうか、そんなに空いてたんですね。その合間にもライブアルバム『Bare Bones』(2010年)やライブDVD『Live At Sydney Opera House』(2013年)、カバーアルバム『Tracks Of my Years』(2014年)、そして1984年の名盤『Reckless』の30周年記念盤(2014年)もリリースされたりと、ことアイテムには事欠かなかったので、7年半というのは改めて意外な気がしました。

そして来日に関しても、定期的に日本公演をやってくれてる印象があったのですが、それって結局90年代のイメージなんだなと、ここで改めて気づかされました。前回の来日は2012年2月。この際には東名阪で計4公演、その前になると2005年4月ということで、7年も空いている。さらにその前は2000年6月だから、5年のブランク。90年代は1992年、1993年、1994年、1997年と定期的に来てくれてるから、この印象が強かったわけですね。なるほど、納得。

では自分がブライアン・アダムスを最後に観たのはいつだろう?と振り返ってみると……21世紀に入ってからは、確実に観ていない。となると……おそらく彼のキャリア初の最大規模ジャパンツアーとなった1992年2〜3月のツアー時はイギリスに留学中だったので観てないし、翌1993年は武道館1回だけなので行ってないはず。たぶんですが……1994年か1997年、どちらかの武道館公演を観てるはずなんです。ただ、どっちだったかの記憶が曖昧で。ベスト選曲だった記憶は確かにある、でも1996年発売の『18 Til I Die』の楽曲を聴いたかどうか……聴いたような気もするし、聴いてない気もするし。もしかしたら両方行ってるかもしれないけど、それすら記憶があやふや。困ったもんです。ただ、これを機に来年の来日公演には足を運んでみたいなと思ったのも事実。20年近く観てないのなら、あれから彼がどう成長・成熟したのか生で確認したいし(「あれから」時の記憶があやふやなくせに)。

閑話休題。ブライアン・アダムスで一番好きなアルバムを尋ねられたとき、多くの人は大ヒット作の『Reckless』か、同じくらい大ヒットを記録した1991年作の『Waking Up The Neighbours』を挙げることでしょう。しかし、個人的にはその『Reckless』と『Waking Up The Neighbours』の間に挟まれた、地味で小ヒットしか記録できなかった1987年作の『Into The Fire』をピックアップしたいのです。『Cuts Like A Knife』(1983年)も『18 Til I Die』もいい作品だし、アメリカでは大コケした1998年作の『On A Day Like Today』も個人的には捨てがたい(いや、僕個人で言ったら『On A Day Like Today』は『Into The Fire』の次に好きかも)。でも、あえて『Into The Fire』は名盤だと、声を大にして言いたいのです。

アメリカだけで500万枚ものセールスを記録し、初の全米No.1シングル「Heaven」をはじめ6枚ものヒット曲を生み出した『Reckless』に続く、通算5作目のオリジナルアルバムが『Into The Fire』。時期的に言うと、ちょうどU2が『The Joshua Tree』をリリースしたのと同タイミングで、この2枚は当時聴きまくった記憶があります。僕自身、高校に上がるタイミングで、入学祝いでいただいた音楽ギフトカードでこの2枚を同時購入したんじゃなかったかな。

ブライアン・アダムスというと元気ハツラツ、健康的なロッカーというイメージが『Cuts Like A Knife』と『Reckless』で植え付けられたと思うのですが、続く『Into The Fire』ではそういったイメージを払拭するような、シリアスで若干ダークなサウンド……要するに、「いつまでも子供じゃいられない」というブライアンの意地みたいなものが前面に打ち出されています。まぁその結果、大きなヒットには結びつかず、次作『Waking Up The Neighbours』まで4年もの歳月を要することになるのですが(もちろん理由はそれだけじゃないと思いますが)。

たぶん自分も高校生になり、それまで聴いてきたロックよりも幾分大人なものに憧れがあったのでしょう。そんなタイミングに発表された『Into The Fire』は当時の自分の心境を重ねやすい1枚だったんだと思います。でもね、今聴き返すと……地味といえば地味だけど、決して駄作ではない。1曲1曲の完成度は高いし、のちの作品にもこういったテイストの楽曲は含まれているわけでして。ただ、全編こういったテイストだったことが問題で、多くのリスナーが求める「ブライアン・アダムス像」と異なった。それがヒットに結びつかなかったわけです。

元気ハツラツ路線の延長線上にあるけどちょっと大人テイストの「Hearts On Fire」もあれば、アッパーなロックンロール「Another Day」「Only The Strong Survive」もある。でも軸になるのはリードシングルの「Heat Of The Night」やタイトルトラック「Into The Fire」、どこかゴスペルチックな大人のバラード「Victim Of Love」など。この頭3曲の印象なんですよね。このほかにも「Native Son」「Rebel」「Home Again」など地味目だけど聴き応えのあるミディアムナンバー多数。気楽に聴ける作品ではないかもしれないけど、一度ハマれば抜け出せなくなるほどの深みがある、そんな1枚ではないでしょうか。

リリースから間もなく30年経つけど、改めて聴いてみて思ったのは、そんなに古さを感じさせない作品だなと。『Reckless』や『Waking Up The Neighbours』はサウンドやミックス的にクセが強いから人によっては時代を感じてしまうかもしれないけど、この『Into The Fire』はいい塩梅のバランス感で成り立ってると思いました。果たしてリリース30周年のタイミングで現代的にリマスタリングされることがあるのか、そうなったときにどんな音になるのか、いろいろ気になりますが、しばらくはこのアルバムを何度も聴き返して、そのディープな世界観に浸ってみたいと思います。



▼Bryan Adams『Into The Fire』
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投稿: 2016 08 29 02:18 午後 [1987年の作品, Bryan Adams] | 固定リンク