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2016/11/30

サ上と中江『夢見心地』(2016)

約3年にわたる活動の集大成的なフルアルバム。

前作のミニアルバム『ビールとジュース』収録曲をすべて含むため新曲こそ少ないものの、だからこそユニットとしての成長や2人の絆が深まっていく過程が手を取るように理解できる1枚ではないでしょうか。

新曲群のゲストもさることながら、ラスト2曲のリリックに思わず目から汗が。これで最後とは言わずに、今後もジェネレーションギャップを埋めるようなポップな名演を、忘れた頃に提供してくれたら嬉しいですね。

※このレビューは本作リリース時、『TV BROS.』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。



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投稿: 2016 11 30 12:00 午後 [2016年の作品, サ上と中江] | 固定リンク

2016年11月のお仕事

2016年11月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※11月30日更新)


[紙] 11月30日発売「TV Bros.」2016年12月3日号にて、RADWIMPS「人間開花」の大枠レビュー、サ上と中江「夢見心地」、有村竜太郎「デも/demo」、DECAYS「Baby who wanders」、星野みちる「ユー・ラブ・ミー」(アナログ盤)のレビューを担当・執筆しました。

[紙] 11月30日発売「BUBKA」2017年1月号にて、乃木坂46伊藤万理華×井上小百合インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 11月24日発売「乃木坂46×週刊プレイボーイ2016」にて、「ウワサの真相スペシャル2016」を企画・執筆しました。(Amazon

[紙] 11月18日発売「ヘドバン Vol.12」にて、METALLICA「Hardwired...To Self-Destruct」クロスレビュー、「Load」「Reload」「St.Anger」「Death Magnetic」レビュー、映画「メタリカ:真実の瞬間」独自解説、100人のメタリカ愛アンケート、Mary's BloodとBAND-MAID新作レビューを執筆しました。(Amazon

[WEB] 11月17日、「楽天エンタメナビ」での連載「乃木坂46公認コラム『のぼり坂』」にて「ニコニコ生放送『乃木坂46 秋元真夏リスペクト軍団全員生出演~2度目のニコ生SP~』レポート&メンバーコメント」が公開されました。

[紙] 11月16日発売「TV Bros.」2016年11月19日号にて、METALLICA「HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT」の大枠レビューを担当・執筆しました。

[WEB] 11月15日、「NIKKEI STYLE」にて「乃木坂46の白石麻衣 体当たりで女優業に挑戦」(「日経エンタテインメント!」2016年11月号掲載分)が公開されました。

[WEB] 11月15日、「SPICE」にて「ふなっしー&サバンナ高橋がアクセル&スラッシュに? ガンズ来日公演応援サポーターに就任」を執筆しました。

[WEB] 11月15日、「T-SITE」エンタメニュースにて乃木坂46高山一実インタビュー「この曲調こそが乃木坂46最大の武器。いい曲は歌っていても嬉しい!(高山一実)<後編>」が公開されました。

[紙] 11月14日から全国のTSUTAYA店頭で配布中のフリーペーパー「TSUTAYA on IDOL」にて、乃木坂46高山一実のインタビューを担当・執筆しました。

[WEB] 11月9日、cinema staffのニューシングル「Vektor E.P.」特設サイトにてメンバー全員インタビューが公開されました。

[WEB] 11月9日、「リアルサウンド」にてLittle Glee Monsterのインタビュー「Little Glee Monsterが明かす“2つのはじまり”と2ndアルバムの挑戦「ワールドツアーへの一歩に」」が公開されました。

[WEB] 11月9日、「リアルサウンド」にて乃木坂46高山一実のインタビュー「乃木坂46 高山一実、初フロントの喜びとグループの現在地を語る「全部がいい方向に進んでいる」」が公開されました。

[WEB] 11月8日、「楽天エンタメナビ」での連載「乃木坂46公認コラム『のぼり坂』」にて「舞台『墓場、女子高生』囲み会見&ゲネプロレポート」が公開されました。

[WEB] 11月8日、「T-SITE」エンタメニュースにて乃木坂46高山一実インタビュー「この曲調こそが乃木坂46最大の武器。いい曲は歌っていても嬉しい!<前編>」が公開されました。

[紙] 11月2日発売「TV Bros.」2016年11月5日号にて、LADY GAGA「JOANNE」の大枠レビューを担当・執筆しました。

[WEB] 11月1日、Hi-STANDARD「ANOTHER STARTING LINE」特設サイトにてオフィシャルインタビューVol.2が公開されました。

投稿: 2016 11 30 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

2016/11/23

有村竜太郎『デも / demo』(2016)

Plastic Treeのフロントマン、有村竜太郎による初のソロ作品集(ミニアルバム)。

シューゲイザーやドリームポップ色濃厚なバンドでのイメージからは外れないものの、Plastic Treeが持つカラフルさをよりパーソナルに、かつモノトーン調にギュッと煮詰めた印象。te'やTHE NOVEMBERSなど非V系の“それらしい”バンドメンバーを迎えて制作されたことも、この深化した作風に強い影響を与えています。この処女作が今後の活動にどう影響するのかも楽しみ。

※このレビューは本作リリース時、『TV BROS.』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。



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投稿: 2016 11 23 12:00 午後 [2016年の作品, Plastic Tree, 有村竜太郎] | 固定リンク

RADWIMPS『人間開花』(2016)

映画『君の名は。』の記録的大ヒットに伴い、彼らが手がけたサントラ盤が大ヒット。そんな好状況なタイミングに発表される本作は、実に3年ぶりのオリジナルアルバムという事実だけでなく、ドラマー山口智史を欠く形で初めて制作されたオリジナル作品という側面も持つ、注目の1枚。しかし彼らはこういったブランクやメンバーの不在をマイナスと捉えることなく、より自由度の高い作品を完成させることに成功。それが本作のタイトル『人間開花』という言葉につながったことは間違いないでしょう。

従来のファンはポジティブさに満ちたこの内容に歓喜し、「前前前世」や「スパークル」、そして本作未収録の「なんでもないや」しか知らなかった“『君の名は。』新規”はとことん音楽で遊びまくった本作に驚くはず。このタイミングにここまで“開けた”アルバムを完成させられたことは、奇跡でも偶然でもなく必然だったのだと、ここ最近の流れを見て改めて感じることがあります。そう、RADWIMPSはいつだって“持ってる”バンドだった。それが今回、この傑作タイミングで一気に炸裂するだけなのです。何とも頼もしいじゃないですか。

※このレビューは本作リリース時、『TV BROS.』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。



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投稿: 2016 11 23 12:00 午後 [2016年の作品, RADWIMPS] | 固定リンク

2016/11/21

METALLICA『HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT』(2016)

前作『DEATH MAGNETIC』から実に8年ぶりのオリジナルアルバム。今作リリースまでの8年間については、こちらの記事でまとめているので参考まで。

今作はリリースの3ヶ月前に最初の曲(「Hardwired」)が公開され、その1ヶ月後に2曲目(「Moth Into Flame」)、さらにその1ヶ月後に3曲目(「Atlas, Rise!」)が順次公開されるという徹底したプロモーション展開を用意。しかも3曲ともしっかりMVまで制作しており、こんなご時世にお金かけてるな、なんて思っていたら……発売前日に、アルバム全収録曲のMVを2時間おきに公開していくという驚愕のプロモーションを展開。アホかと。これもう、CD買わなくても全部聴けちゃうじゃん。しかもサブスクリプションサービスでも聴けるし。どうなってるの!?

と思ったけど、ビルボードの集計方法が変わって、確かサブスクリプションでの再生のみならずYouTubeの再生回数もカウントされるようになったんですよね。すげえな、徹底してる。

さて……今回普通にレビューしようかと思いつつも、そういう事情もあって自分がやる必要もないのでは?なんて思ったのです。が、今作に関しては仕事柄、人より早く試聴することができたので、どうせならその際のファーストインプレッション(試聴時のメモ)を晒してしまおうかと思いまして(M-1のみ、WEBで初公開された際の感想を流用)。試聴した時点では「Hardwired」と「Moth Into Flame」の2曲のみが公開されていただけで、残りの10曲がこのとき初めて聴いたわけです。事前情報が何もない状態での試聴なので、自分が何を感じたのか、この作品をどう位置付けたのか、記録として残しておくのも面白いかなと思ったわけです。

しっかりしたレビューは、「ヘドバン Vol.12」を読んでいただければと。ここからは、番外編的にお楽しみください。


<DISC 1>

M-1. Hardwired

どことなく初期(特に1st『KILL 'EM ALL』)のヤケクソさを感じさせつつも、バスドラのアクセントの付けかたには『ST.ANGER』期の匂いも漂わせている。少なくとも『DEATH MAGNETIC』とは異なる作風で、その後に制作された「Lord of Summer」がもっとも近いような気がしないでもない。また歪みのかかったミックスが物議を呼んだ『DEATH MAGNETIC』とも異なり、非常に整理された音なのも興味深い。


M-2. Atlas, Rise!

大袈裟なイントロから入るも、リフは非常にシンプル。「Hardwired」にも通ずる1st『KILL 'EM ALL』路線や、3rd『MASTER OF PUPPETS』の流れ。サビメロに絡むギターフレーズが“歌い”まくってる。メタルというよりは、70年代のハードロック的イメージ。ラーズのオカズ、手グセ、カークのギターソロのメロディなどどこを取っても正統派という印象。転調やテンポチェンジなどの展開はないが、しっかり構成・構築された大作。


M-3. Now That We're Dead

ミドルテンポ。独特なタム回し。「Search & Destroy」的でもあるし、ブラックアルバムや『LOAD』に入っていても違和感なし。リフの刻み方に遊び心を感じる。ここまでの3曲を聴いて、全体的にシンプルな印象を受けたが、それでいて実は要所要所の作り込みがしっかりしていることにも気づく。


M-4. Moth Into Flame

今作中ではもっとも2000年代の流れを汲む楽曲。懐かしさと新しさが同居した、不思議な魅力がある。サビメロの節回しが独特で、一聴してMETALLICAと気づかされる。Bメロ後のギターソロの絡みが心地よい。この随所に挿入されるギターソロ(しかもツインリード)が本作の肝かも。


M-5. Dream No More

ダウンチューニングを用いたダークなミドルナンバー。高音&低音のダブルボーカルと、引きずるようなヘヴィなリズムは「The Thing That Should Not Be」っぽい。中盤のブレイク(無音)でのブレスが生々しく、ドキリとさせられる。全体の感触は『LOAD』『RELOAD』的か。が、キャッチーさはその2作以上。それらにあった間延び感も皆無。アレンジ練られてる。


M-6. Halo On Fire

イントロでのツインリードがカッコイイ。バラード調かと思わせておいて、不穏な空気を醸し出すミドルナンバーという。メロウでキャッチー、サビでヘヴィさ増す。全体の構成は「Fade To Black」を思い出すが、メロは『LOAD』『RELOAD』的。


<DISC 2>

M-1. Confusion

軍隊の行進を思わせるイントロのリズムは「The Struggle Within」っぽい。が、全体の雰囲気は『…AND JUSTICE FOR ALL』や前作の「Cyanide」風。リフの組み合わせ、グルーヴ感、メロディの泣きが絶妙に絡み合う。ダルさは感じない。


M-2. ManUNkind

イントロのベース&ギターソロが印象的。静と動の対比が気持ち良い。軸になるのはシャッフルビートだが、要所要所のキメが心地よい。『LOAD』『RELOAD』でチャレンジしたことをさらに煮詰めた印象。1曲1曲が長いのに、飽きさせない工夫がところどころから感じられる。


M-3. Here Comes Revenge

仰々しい長めのイントロから、重く引きずるミドルテンポ→テンポ倍に。ブラックアルバムに入っていても不思議じゃない。どこか悲しげなメロディも、ブラックアルバム的。なのに、アクセントの付け方は焼き直しではなく現代的。タムの音色が独特で、ギターソロの派手さも80年代後半〜ブラックアルバム時代に通ずるものある。ラストのツーバス連打、ラーズ頑張ってる。


M-4. Am I Savage?

ダークでスローなオープニング。泣きのギターソロ。バラードと見せかけて、派手なアレンジで幕開け。実は超ヘヴィなミドルチューン。リズムが若干ハネ気味。BLACK SABBATHっぽい? というか、ブラックアルバム〜『LOAD』『RELOAD』にありそうな曲調。意外とクセになるサイケなメロと、ハネたリフ&リズム。ブレイクも良いアクセントに。


M-5. Murder One

アルペジオと一体感あるバンドの演奏が交互に、静と動の繰り返し。風変わりなギターリフは、どこかモダンメタル風でもあり。ここまでミドルテンポの曲が続くとダレそうなものだが、1曲1曲の構成や緊張感は『LOAD』『RELOAD』の頃とは比にならない。また、『ST.ANGER』『DEATH MAGNETIC』みたいにエディットした曲構成という印象も薄く、恐らく大半はセッションを経て作られたものなのでは。その際、かなりアレンジにこだわったのではないかと推測。


M-6. Spit Out The Bone

最後の最後にようやく、オープニング以来の攻撃的なファストチューン。バンドが一体になって、音の塊として攻める印象。にしてもメロディやギターソロがキャッチーで、泣きまくってる。終盤にミドルテンポになるパートあり、ここが長めに続きエンディングへ向けて熱量を高めていくような。クライマックスのギターソロで一気に解放される。締めくくりとしては最高だが、このアルバムにおけるファストチューンの重要度はそこまで高くないように感じた。メインになるのはミドルテンポの楽曲。ここをしっかり聴かせたいアルバムなんだなと。


<総評>
・初期3作を念頭に置きながら、90年代(ブラックアルバム、『LOAD』『RELOAD』)を見つめ直す。
・ギターソロが泣きまくり。カークの頑張りが伝わるアルバム。
・シンプルに見えて、実はかっちり作り込まれている。
・なおかつ、長尺の曲では聴き手を飽きさせないフック、アクセントが多数用意されている。
・アレンジ力の勝利。
・DISC 1の構成、完璧。一方でDISC 2はラストまでファストチューンがないので賛否分かれそう。
・結局「Lord Of Summer」からすべてが始まってたんだなと実感。
・NO BALLAD, JUST METAL!!!
・今回も問題作(笑)。



▼METALLICA『HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT』
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【METALLICA ディスクレビュー一覧】
『KILL'EM ALL』(1983)
『RIDE THE LIGHTNING』(1984)
『MASTER OF PUPPETS』(1986)
『THE $5.98 E.P.- GARAGE DAYS RE-REVISITED』(1987)
『...AND JUSTICE FOR ALL』(1988)
『METALLICA』(1991)
『LOAD』(1996)
『RELOAD』(1997)
『GARAGE INC.』(1998)
『S&M』(1999)
『ST.ANGER』(2003)
『ST.ANGER (EP)』(2003)
『DEATH MAGNETIC』(2008)
『LULU』(2011 / LOU REED & METALLICA名義)
『BEYOND MAGNETIC』(2012)
『METALLICA: THROUGH THE NEVER』(2013)

【METALLICA ライブレポート一覧】
2003年11月7日@国立代々木競技場第一体育館

投稿: 2016 11 21 06:28 午前 [2016年の作品, Metallica] | 固定リンク

METALLICA『BEYOND MAGNETIC』(2012)

8年ぶりのニューアルバム『HARDWIRED…TO SELF-DESTRUCT』がリリースされたことを祝して、当ブログで取り上げていなかったスタジオ作2枚(アルバム『DEATH MAGNETIC』とEP『BEYOND MAGNETIC』)についても触れておかなければと思い、急に思い立ってあれこれ書いてみることにしました。ここではEP『BEYOND MAGNETIC』について触れていきます。

この『BEYOND MAGNETIC』は、アルバム『DEATH MAGNETIC』のリリースから3年以上経ってから発表された、4曲入りのEP(ミニアルバム)です。楽曲自体は『DEATH MAGNETIC』制作時のアウトテイク……つまり、アルバム収録を見送られたボツ曲なわけです。言い方悪いですが。なわけで、作風自体は『DEATH MAGNETIC』の延長線上、というかそのままの路線です。なので、『DEATH MAGNETIC』が気に入っている人にはスッと入っていける1枚ではないかと。

時期的には2011年というと、秋にルー・リードとのコラボアルバム『LULU』を発表し、各方面を絶句させたタイミング。確かその直後、年末ぐらいにまずは配信限定で『BEYOND MAGNETIC』はリリースされたと記憶しています。で、年明けにフィジカルでも発売。日本盤も2012年春に発売されたかと記憶しています。

たった4曲のみですが、収録時間は29分とかなり長め。要は長尺曲の多かった『DEATH MAGNETIC』セッションから生まれた曲ですからね。ただ面白いのは、いわゆる“最終ミックス”的な補正があまり施されておらず、ドラムやギター、ジェイムズの歌に生々しさが満ち溢れている点。ボーカルも補正されてないもんだから、ところどころで声がひっくり返ったりしたまま。良く言えばスタジオライブ的、悪く言えばデモテイク風。だけど、嫌いになれないんだよね。というか、個人的には『DEATH MAGNETIC』よりも好きだったりするし。

どの曲も基本7分前後、ラストの「Rebel Of Babylon」に関しては8分もあるんだけど、確かにもうちょっと練ったら『DEATH MAGNETIC』にも収めてもらえたのにね……と思ってしまうポイントもあるにはある。けど、ファンサービス、次のアルバムまでのつなぎという意味ではこれでよかったのかもしれない。ここから数年後の「Lord Of Summer (First Pass Version)」に見事につながったしね。そう考えれば、何事にも意味があるということです。

ちなみに、個人的には2曲目「Just A Bullet Away」が気に入ってます。このリフ最高じゃないですか。



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投稿: 2016 11 21 06:27 午前 [2012年の作品, Metallica] | 固定リンク

METALLICA『DEATH MAGNETIC』(2008)

8年ぶりのニューアルバム『HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT』がリリースされたことを祝して、当ブログで取り上げていなかったスタジオ作2枚(アルバム『DEATH MAGNETIC』とEP『BEYOND MAGNETIC』)についても触れておかなければと思い、急に思い立ってあれこれ書いてみることにしました。

時流に乗ったモダンヘヴィネス的楽曲、ギターソロ皆無、ヘンテコなミックスと突っ込みどころ満載だった問題作『ST.ANGER』(2003)から5年ぶりに発表されたのが、通算9枚目のオリジナルアルバム『DEATH MAGNETIC』。1991年の5thアルバム『METALLICA』(通称=ブラックアルバム)から4作(1998年のカバー集『GARAGE INC.』も含めれば5作)続けてプロデュースを手がけたボブ・ロックのもとを離れ、「クラシックロック再生工場」の異名がぴったりなリック・ルービンを初めてプロデューサーに迎えたのがこのアルバム。

思えば現ベーシストのロバート・トゥルージロが正式加入したのが『ST.ANGER』完成後だったので、今作はロバート初参加のオリジナルアルバムでもあるわけです。

リック・ルービンは制作当初から、メンバーに4thアルバム『…AND JUSTICE FOR ALL』を意識させて曲作りに向かわせたようですが、確かに実際に完成した楽曲の雛形は初期4作(特に2nd『RIDE THE LIGHTNING』〜4th)に通ずるものがあります。が、そこで素直に焼き直しをしない(できない)のがMETALLICAというバンド。数年前に苦労して完成させた“音楽的サイボーグ”アルバム『ST.ANGER』を経ているわけで、そこで得た過剰さを随所に織り交ぜつつ、ときには無駄を省いたり、ときには別の曲のあるパートをまた別の曲にくっつけたりとエディットを繰り返しながら、よりスマートな楽曲作りを進めていったわけです(あくまで想像ですが)。いや、絶対に『ST.ANGER』がなければ完成させることができなかった1枚だと思いますよ、これは。

前作ではミックスに対して難癖つけられまくった彼らですが、今作ではギターやスネアの音がクラシックロックのごとく“デッド”気味にまとめられています。これは前作からの反動と受け取れますが、ファンからは再び苦情が上がったのでした。普通にできないのか、この子らは。ま、それができない“TOO MUCH”なバンドがMETALLCIAなわけですよね。わかります。結果として、最新の要素と古き良きものをミックスした1枚ということになるのでしょうか。そういう意味では、今作も見事な“サイボーグ”アルバムですけどね。

実はリリースしてしばらくすると、このアルバムをあまり聴かなくなってしまったんですよね。悪くはないんだけど……これ聴いたおかげで、逆に『ST.ANGER』のさらなる魅力に気づかされて、そっちばかり聴いちゃったりして。

ところが、今度は『HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT』を経たことで改めて『DEATH MAGNETIC』の魅力にも気づかされまして。ここ数日、久しぶりに聴きまくってます(同時に新作も聴きまくってますが)。いや、ここ数年も定期的に聴いてはいたんですけどね。改めて、そこまで悪く言われるような作品ではないと思いました。ただ、個人的には今は『HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT』がツボかなと。それだけの話です。



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投稿: 2016 11 21 06:26 午前 [2008年の作品, Metallica] | 固定リンク