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2016/11/21

METALLICA『HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT』(2016)

前作『DEATH MAGNETIC』から実に8年ぶりのオリジナルアルバム。今作リリースまでの8年間については、こちらの記事でまとめているので参考まで。

今作はリリースの3ヶ月前に最初の曲(「Hardwired」)が公開され、その1ヶ月後に2曲目(「Moth Into Flame」)、さらにその1ヶ月後に3曲目(「Atlas, Rise!」)が順次公開されるという徹底したプロモーション展開を用意。しかも3曲ともしっかりMVまで制作しており、こんなご時世にお金かけてるな、なんて思っていたら……発売前日に、アルバム全収録曲のMVを2時間おきに公開していくという驚愕のプロモーションを展開。アホかと。これもう、CD買わなくても全部聴けちゃうじゃん。しかもサブスクリプションサービスでも聴けるし。どうなってるの!?

と思ったけど、ビルボードの集計方法が変わって、確かサブスクリプションでの再生のみならずYouTubeの再生回数もカウントされるようになったんですよね。すげえな、徹底してる。

さて……今回普通にレビューしようかと思いつつも、そういう事情もあって自分がやる必要もないのでは?なんて思ったのです。が、今作に関しては仕事柄、人より早く試聴することができたので、どうせならその際のファーストインプレッション(試聴時のメモ)を晒してしまおうかと思いまして(M-1のみ、WEBで初公開された際の感想を流用)。試聴した時点では「Hardwired」と「Moth Into Flame」の2曲のみが公開されていただけで、残りの10曲がこのとき初めて聴いたわけです。事前情報が何もない状態での試聴なので、自分が何を感じたのか、この作品をどう位置付けたのか、記録として残しておくのも面白いかなと思ったわけです。

しっかりしたレビューは、「ヘドバン Vol.12」を読んでいただければと。ここからは、番外編的にお楽しみください。


<DISC 1>

M-1. Hardwired

どことなく初期(特に1st『KILL 'EM ALL』)のヤケクソさを感じさせつつも、バスドラのアクセントの付けかたには『ST.ANGER』期の匂いも漂わせている。少なくとも『DEATH MAGNETIC』とは異なる作風で、その後に制作された「Lord of Summer」がもっとも近いような気がしないでもない。また歪みのかかったミックスが物議を呼んだ『DEATH MAGNETIC』とも異なり、非常に整理された音なのも興味深い。


M-2. Atlas, Rise!

大袈裟なイントロから入るも、リフは非常にシンプル。「Hardwired」にも通ずる1st『KILL 'EM ALL』路線や、3rd『MASTER OF PUPPETS』の流れ。サビメロに絡むギターフレーズが“歌い”まくってる。メタルというよりは、70年代のハードロック的イメージ。ラーズのオカズ、手グセ、カークのギターソロのメロディなどどこを取っても正統派という印象。転調やテンポチェンジなどの展開はないが、しっかり構成・構築された大作。


M-3. Now That We're Dead

ミドルテンポ。独特なタム回し。「Search & Destroy」的でもあるし、ブラックアルバムや『LOAD』に入っていても違和感なし。リフの刻み方に遊び心を感じる。ここまでの3曲を聴いて、全体的にシンプルな印象を受けたが、それでいて実は要所要所の作り込みがしっかりしていることにも気づく。


M-4. Moth Into Flame

今作中ではもっとも2000年代の流れを汲む楽曲。懐かしさと新しさが同居した、不思議な魅力がある。サビメロの節回しが独特で、一聴してMETALLICAと気づかされる。Bメロ後のギターソロの絡みが心地よい。この随所に挿入されるギターソロ(しかもツインリード)が本作の肝かも。


M-5. Dream No More

ダウンチューニングを用いたダークなミドルナンバー。高音&低音のダブルボーカルと、引きずるようなヘヴィなリズムは「The Thing That Should Not Be」っぽい。中盤のブレイク(無音)でのブレスが生々しく、ドキリとさせられる。全体の感触は『LOAD』『RELOAD』的か。が、キャッチーさはその2作以上。それらにあった間延び感も皆無。アレンジ練られてる。


M-6. Halo On Fire

イントロでのツインリードがカッコイイ。バラード調かと思わせておいて、不穏な空気を醸し出すミドルナンバーという。メロウでキャッチー、サビでヘヴィさ増す。全体の構成は「Fade To Black」を思い出すが、メロは『LOAD』『RELOAD』的。


<DISC 2>

M-1. Confusion

軍隊の行進を思わせるイントロのリズムは「The Struggle Within」っぽい。が、全体の雰囲気は『…AND JUSTICE FOR ALL』や前作の「Cyanide」風。リフの組み合わせ、グルーヴ感、メロディの泣きが絶妙に絡み合う。ダルさは感じない。


M-2. ManUNkind

イントロのベース&ギターソロが印象的。静と動の対比が気持ち良い。軸になるのはシャッフルビートだが、要所要所のキメが心地よい。『LOAD』『RELOAD』でチャレンジしたことをさらに煮詰めた印象。1曲1曲が長いのに、飽きさせない工夫がところどころから感じられる。


M-3. Here Comes Revenge

仰々しい長めのイントロから、重く引きずるミドルテンポ→テンポ倍に。ブラックアルバムに入っていても不思議じゃない。どこか悲しげなメロディも、ブラックアルバム的。なのに、アクセントの付け方は焼き直しではなく現代的。タムの音色が独特で、ギターソロの派手さも80年代後半〜ブラックアルバム時代に通ずるものある。ラストのツーバス連打、ラーズ頑張ってる。


M-4. Am I Savage?

ダークでスローなオープニング。泣きのギターソロ。バラードと見せかけて、派手なアレンジで幕開け。実は超ヘヴィなミドルチューン。リズムが若干ハネ気味。BLACK SABBATHっぽい? というか、ブラックアルバム〜『LOAD』『RELOAD』にありそうな曲調。意外とクセになるサイケなメロと、ハネたリフ&リズム。ブレイクも良いアクセントに。


M-5. Murder One

アルペジオと一体感あるバンドの演奏が交互に、静と動の繰り返し。風変わりなギターリフは、どこかモダンメタル風でもあり。ここまでミドルテンポの曲が続くとダレそうなものだが、1曲1曲の構成や緊張感は『LOAD』『RELOAD』の頃とは比にならない。また、『ST.ANGER』『DEATH MAGNETIC』みたいにエディットした曲構成という印象も薄く、恐らく大半はセッションを経て作られたものなのでは。その際、かなりアレンジにこだわったのではないかと推測。


M-6. Spit Out The Bone

最後の最後にようやく、オープニング以来の攻撃的なファストチューン。バンドが一体になって、音の塊として攻める印象。にしてもメロディやギターソロがキャッチーで、泣きまくってる。終盤にミドルテンポになるパートあり、ここが長めに続きエンディングへ向けて熱量を高めていくような。クライマックスのギターソロで一気に解放される。締めくくりとしては最高だが、このアルバムにおけるファストチューンの重要度はそこまで高くないように感じた。メインになるのはミドルテンポの楽曲。ここをしっかり聴かせたいアルバムなんだなと。


<総評>
・初期3作を念頭に置きながら、90年代(ブラックアルバム、『LOAD』『RELOAD』)を見つめ直す。
・ギターソロが泣きまくり。カークの頑張りが伝わるアルバム。
・シンプルに見えて、実はかっちり作り込まれている。
・なおかつ、長尺の曲では聴き手を飽きさせないフック、アクセントが多数用意されている。
・アレンジ力の勝利。
・DISC 1の構成、完璧。一方でDISC 2はラストまでファストチューンがないので賛否分かれそう。
・結局「Lord Of Summer」からすべてが始まってたんだなと実感。
・NO BALLAD, JUST METAL!!!
・今回も問題作(笑)。



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(amazon:国内盤2CD / 国内盤3CD / 海外盤2CD / 海外盤3CD


【METALLICA ディスクレビュー一覧】
『KILL'EM ALL』(1983)
『RIDE THE LIGHTNING』(1984)
『MASTER OF PUPPETS』(1986)
『THE $5.98 E.P.- GARAGE DAYS RE-REVISITED』(1987)
『...AND JUSTICE FOR ALL』(1988)
『METALLICA』(1991)
『LOAD』(1996)
『RELOAD』(1997)
『GARAGE INC.』(1998)
『S&M』(1999)
『ST.ANGER』(2003)
『ST.ANGER (EP)』(2003)
『DEATH MAGNETIC』(2008)
『LULU』(2011 / LOU REED & METALLICA名義)
『BEYOND MAGNETIC』(2012)
『METALLICA: THROUGH THE NEVER』(2013)

【METALLICA ライブレポート一覧】
2003年11月7日@国立代々木競技場第一体育館

投稿: 2016 11 21 06:28 午前 [2016年の作品, Metallica] | 固定リンク