AEROSMITH『MUSIC FROM ANOTHER DIMENSION!』(2012)
スタジオアルバムとしては2004年の『HONKIN' ON BOBO』以来8年半ぶり、オリジナル楽曲によるアルバムとしては2001年の『JUST PUSH PLAY』以来実に11年半ぶりの新作。『HONKIN' ON BOBO』以降はとにかくバンド内の不仲やらスティーヴン・タイラーやジョー・ペリーのソロ活動で、ライブはときどきやるものの制作に関しては思うように進まない。AEROSMITHにとっての2000年代後半はそういった苦難の時期だったように思います。
事実、この15枚目のスタジオアルバム『MUSIC FROM ANOTHER DIMENSION!』もリリースが二転三転。2012年春に今作からのリードトラック「Legendary Child」が公開されたときは、誰もが「やっと……!」と思ったのに、結局アルバムは半年先までお預け。「Lover Alot」「What Could Have Been Love」とシングルを切り刻んで、同年11月にようやくファンの手元に届けられたのでした。
オリジナルアルバムとしては11年半も待たされたこのアルバム。15曲68分という大作なのに、日本盤はここにボーナストラック2曲(ともにカバー)を加えた17曲76分という、時代が時代なら2枚組アルバム並みのボリューム。さらに、今作にはデラックスエディションも用意されており、アルバム本編未収録の新曲3曲入りディスク2と、ライブ映像やメンバーインタビューが収録されたDVDが付いた3枚組仕様という、過剰なサービスぶりが発揮されています。
さすがに新録曲が一気に20曲も届けられるとは思ってもみなかったので、最初は嬉しかったものの、何度か聴き返すと……印象に残る曲が少ないというのが正直なところ。『JUST PUSH PLAY』の流れにあるオープニングトラック「Luv Xxx」もどこか覇気が感じられず、いまいちパンチに欠ける。無駄をそぎ落としまくったストーンズライクなロックンロール「Oh Yeah」、グルーヴィーでストレンジな雰囲気の「Beautiful」、カントリーテイストのバラード「Tell Me」と、どれも悪くないんだけど決定打に欠けるというか……それは先行シングルの「Legendary Child」や「Lover Alot」にも言えることで、10年前後も待たされたゆえの期待値の高さがあったとはいえ、80年代後半〜90年代半ばの黄金期を知っているだけに、なんとも言えないむず痒さを覚えたわけです。
いや、悪くなんですよ。実際、最初に聴いたときは「これこそエアロ! ちょっと70年代テイストも戻ってきていて、いいじゃないか!」と両手を上げて喜んだのも事実だし。けど、過去の作品のように何10回も繰り返し聴くかと言われると「たまにでいいです」と返したくなるし、「これだったら『JUST PUSH PLAY』聴くし」と思ってしまう。「Out Go The Lights」や「Street Jesus」、「We All Fall Down」、「Another Last Goodbye」などは個人的にもグッときたんだけど、いわゆるキラーチューンが……前作でいえば「Jaded」や「Just Push Play」みたいな曲がひとつでもあれば、また全体の印象も変わったんでしょうね。あるいは、12曲程度に絞って勝負すれば、まだここまで散漫な印象は受けなかったのかも。
本作リリースからしばらくして、トム・ハミルトンが「もうアルバムは作らない」なんて発言をして物議を醸し出し、最近では「来年のツアーをもって解散」という噂も後を絶たないAEROSMITH。実際、スティーヴン・タイラーもとうとうソロアルバムを作ってしまい、こちらのツアーも行っているわけで。本当にどうなってしまうのか……できることなら、最後の最後に完全無欠のロックアルバムを作って、それで有終の美を飾ってほしいな。「やっぱりカッコよかったよね、エアロって」って言いたいもの。

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