AEROSMITH『BIG ONES』(1994)
Geffen Recordsから約10年で4枚のオリジナルアルバム(『DONE WITH MIRRORS』『PERMANENT VACATION』『PUMP』『GET A GRIP』)を発表し、作品ごとにセールスを上げていったAEROSMITHの、同レーベルへの(結果として)置き土産となったベストアルバム。収録曲は4枚のアルバムから……と言いたいところですが、ヒット曲に恵まれなかった『DONE WITH MIRRORS』からは未選出で、『PERMANENT VACATION』以降のヒットシングルを軸に構成されています。
改めて復活後のエアロはヒット曲作りと真剣に向き合ったんだなというのがわかる内容で、ライブでおなじみのナンバーが目白押し。70年代の代表曲で固められた『GREATEST HITS』(1980年)と比較するのは野暮ですが、あの頃にあったアクの強さは皆無といっていいでしょう。一方で、いかがわしさや危うさと引き換えに手に入れた強靭なサウンドと巧みなアレンジのすごさも、このアルバムからたっぷり感じられるのではないでしょうか。
本作には2曲の新曲(「Walk On Water」「Blind Man」)と1曲のアルバム未収録曲(「Deuces Are Wild」)も収録。新曲は『PERMANENT VACATION』『PUMP』『GET A GRIP』でおなじみのブルース・フェアバーンの手によるものではなく、新たにマイケル・ベインホーン(レッチリやSOUNDGARDENなど)を起用しているのも興味深いところ。デッド感の強いサウンドとグルーヴィーなアンサンブルのミックスが絶妙な「Walk On Water」に、「エアロのこの先」を少なからず感じたのも、今となっては懐かしい思い出です。
そういえばこのアルバム、曲順も素晴らしいと思います。特に「Eat The Rich」のゲップの後に「Angel」が続くあたりは真骨頂ではないかと。
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