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2016/12/31

DAVID BOWIE『★(BLACKSTAR)』(2016)

2016年1月8日(金)。午前中から乃木坂46の取材を行い、午後遅くまで作業を続けてから帰り道で購入したのが、この日世界同時リリースとなったデヴィッド・ボウイ3年ぶりの新作『★』と、ちょっと前にリリースされたボックスセット『FIVE YEARS 1969-1973』でした。

前年秋に先行公開されたMV「Blackstar」を観て聴いて、「これは間違いなく傑作だ!」と多くの音楽ファンが思ったことでしょう。派手なボウイではない、穏やかなボウイ。90年代以降の作品では『BLACK TIE WHITE NOISE』(1993年)や『HOURS…』(1999年)が好きな自分としては「これはど真ん中な作品になるかも…」と、そういう期待感でいっぱいでした。その思いはアルバムリリース直前に公開された「Lazarus」を聴いても、変わることはありませんでした。

2013年に突如発表された復活作『THE NEXT DAY』も、もちろん大好きでした。しかし、特に日本盤はボーナストラック含め18曲入りということでたくさん詰め込みすぎた感が強く、すべてを理解するまでにはかなりの時間を要した記憶があります。あと、10年ぶりということで、期待が大きすぎたのもあって、ほんのちょっとだけ「ああ、こんな感じか……」とちょっとだけ思ったりもして。

ところが『★』は全7曲、オープニングの「Blackstar」こそ10分前後の大作ですが、トータルで41分程度と非常に聴きやすい内容。人力ドラムンベース的な雰囲気のある前半から、ドリーミーなミドルテンポのパートへと展開する流れなど、クラブミュージックとジャズとサイケデリックロックを掛け合わせたかのようなこの世界観に惹きつけられない人はいないと思います。続く、ジャズファンク的な「'Tis A Pity She Was A Whore」は『BLACK TIE WHITE NOISE』からの流れにある1曲で、ひたすらカッコいい。そこから再びダークな「Lazarus」へと流れる、いわゆるアナログA面の流れは圧巻です。

4曲目(いわゆるアナログB面)は「Sue (Or In A Season Of Crime)」は、2014年に発売されたベスト盤『NOTHING HAS CHANGE』に収録されたジャズアレンジの同名曲を、人力ドラムンベース+ロッキンにリアレンジしたもの。よくぞ『★』の世界観に合ったリアレンジを施したなと、関心させられます。その後も「Girl Loves Me」「Dollar Days」と雰囲気モノの良曲が続き、最後は90年代以降のボウイのカラーが色濃く表れた「I Can't Give Everything Away」で締めくくり。ただただすごいアルバムができたな。70歳目前にまた新しいキャリアが始まるとか、どういうことだよ……と聴き終えた直後にため息をついたことをよく覚えています。

それから3日後の1月11日(月・祝)。午後からSKE48の取材を終え、遅い昼食を取っていると、Twitter上に悪い冗談が次々とアップされる。えっ……それが事実だと気づくまでに、そう時間はかかりませんでした。その日の夜に予定していたライブに足を運ぶ気力が一気に失せ、帰宅してそのままこの『★』や往年の代表作を明け方まで聴き返すことを数日にわたり繰り返しました。

正直、上に書いた『★』の感想は、1月8日に感じたものとは正確には異なるかもしれません。ボウイの死により、すでに思い出補正もかかっているでしょうし。でも、彼の死を知るほんの数日前に発売されたこのアルバムを、リリース日に聴けたことだけは間違いない事実だし、あのときに感じた衝撃も間違いない事実。それを急逝による補正でねじ曲げられる前に感じられた、そこだけは良かったな、幸せだったなと1年近く経った今、より強く思うわけです。

この思い出補正がなかったら、2016年の年間ベストアルバム1位に選んでいただろうか……いや、選んでいたよね。自分のこの気持ちを信じることにします。



▼DAVID BOWIE『★(BLACKSTAR)』
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投稿: 2016 12 31 12:00 午前 [2016年の作品, David Bowie, 「R.I.P.」] | 固定リンク