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2016/12/21

MEGADETH『DYSTOPIA』(2016)

2015年秋の『LOUD PARK』に出演する際、過去のスタジオアルバムに関して全レビューを行ったMEGADETHですが、結局その後このニューアルバムについて触れてなかったので、年をまたぐ前に紹介しておこうと思います。

2015年秋に公開された新曲「Fatal Illusion」について、僕は「現時点ではアルバム3曲目に収録される「Fatal Illusion」の音源のみ公開中。これ1曲では判断が難しいが、やはりメロディの雰囲気が前作に多少近いかなと。しかし演奏やアレンジ的には合格ライン。そういえば今回も本編ラストをカバー(Fearの「Foreign Policy」)で締めくくるらしい。さらに2曲のボーナストラック付きバージョンもあり(今回は本編終盤に振り分けられるようだが)。前作からの課題であるムステインが以前ほど歌えなくなってきてる問題 or メロディセンスが落ちてきてる問題をどうフォローするのか、そしてカッコよく聴かせるかがポイントになってくるのかなと。ハードルは高くしつつ、心配しながらリリースを待つことにしよう……。」と不安であることを記していましたが、そこから数ヶ月後に発売されたアルバムは「良くも悪くも、僕らが知ってるMEGADETHのまま」で一応は安心しました。

スラッシーなオープニングトラック「The Threat Is Real」から、マーティ・フリードマン加入後の作品に多く見られる泣きメロ疾走メタルチューン「Dystopia」への流れは完璧。キコ・ルーレイロのギターソロも抜群にカッコいいし、リズムを支えるクリス・アドラー(LAMB OF GOD)のドラミングもMEGADETHに合わせたプレイで好印象。この2曲からの流れで聴くと、「Fatal Illusion」の印象も不思議と悪くない。その後も“いかにも”なミドルヘヴィナンバーや、キコのエキゾチックなアコギプレイをフィーチャーした「Bullet To The Brain」「Poisonous Shadows」「Conquer Or Die!」なども飛び出し、終始飽きさせない構成で進行していきます。そしてラストはFEARのカバー「Foreign Policy」で激しく締めくくり。全11曲(日本盤はその後にボーナストラック1曲、iTunesでは日本盤ボートラとも異なる新曲2曲が本編中に追加収録)、思っていた以上にスルッと聴くことができました。そういう意味では、2000年代のMEGADETH(『UNITED ABOMINATIONS』以降の流れ)を踏襲した作風で、前作『SUPER COLLIDER』で感じた疑問を完全に払拭してくれたと思います。

で、「悪い意味」では……やっぱり歌メロですね。80年代から90年代半ば、いわゆるMEGADETHの全盛期と言われた時代の楽曲にあった「デイヴ・ムステインのヒステリックな高音ボイス」がなくなり、中低音域メインの歌メロとなっています。以前も書いたかもしれませんが、このへんは若い頃に散々楽しんだドラッグのツケが回ってきたのかな、と思っているのですが……とはいえ、ムステインもこの9月で55歳。年齢的なものもあるのかな。歌える声域が狭まったため、どうしても高音が出なかったりメロのバリエーションが少なかったりという点での不満は拭いきれません。そこだけは嘘でも「良かった」なんて言えない。だから、本当にもったいないアルバムだなと思うんです。

チャート的には1992年の最大のヒット作『COUNTDOWN TO EXTINCTION』(全米2位)に次ぐ、初登場3位という好記録を残しており、そこだけはホッとしております。ゲストドラマーだったクリス・アドラーも離れ、ダーク・ヴェルビューレン(SOILWORK)が正式加入したとのことで、過去最強の多国籍編成になった今のMEGADETHを(アルバムリリース後の来日がいまだ実現していないだけに)早く生で観たいものです。



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投稿: 2016 12 21 12:00 午前 [2016年の作品, Megadeth] | 固定リンク