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2016/12/25

KING 810『LA PETITE MORT OR A CONVERSATION WITH GOD』(2016)

前作『MEMOIRS OF A MURDERER』から2年ぶりに発表された、アメリカ・ミシガン州フリント出身の4人組メタルコア/ハードコアバンドの新作。「全米一危険なバンド」という触れ込みで一部マニアの間で話題になった彼らですが、前作はRoadrunnerからの配給だったにもかかわらず日本盤リリースはなし。当然来日も実現しなかったので、知る人ぞ知るみたいな存在で終わりかけていました。ちょうど2年前、当サイトでも紹介したので覚えている人もいるかもしれません。

そんなところに、ニューアルバムの発売。今作もRoadrunnerからのリリースですが、引き続き国内盤の発売はなし。いろんな意味で残念すぎる。

さて、今作の内容ですが、前作までのNYハードコア的オールドスクールサウンドとモダンなヘヴィロックサウンドを融合させた路線はそのまま。ただ、少々モダンよりになった印象も受けました。相変わらず引き摺るようなミドルテンポの楽曲が中心で、そこにスポークンワードやメロウパートを挿入する緩急のつけ方も相変わらずですが、今作ではナレーションを切り刻んだサンプリングをフィーチャーした「Vendettas」、アコースティックギターやストリングスを導入したドラマチックな「Black Swan」、どことなくヒップホップ的な匂いもする「Life's Not Enough」、ピアノを前面にフィーチャーしたジャジーな「Me & Maxine」など新境地ナンバーも多数収録されています。

テンポの上げ下げで抑揚をつけることなく、テンポ感はほぼ一定の中で音数や激しさで強弱をつけて聴き手を惹きつける手法は、メタルやラウドロックというよりも映画のサウンドトラック的な印象も。特にアルバム前半を締めくくる7曲目「La Petite Mort」とラストナンバー「A Conversation With God」はそのタイトルからもわかるように対になっており(2つを“or”でくっつけると、そのまま本作のアルバムタイトルに)、それぞれ前半後半のクライマックスをうまく作り上げています。

前作同様に、いわゆるファストナンバーが皆無なことから疾走系を好むファンからは敬遠されそうですが、前作以上に深みを増した今作からは「全米一危険なバンド」というレッテルで片付けられない魅力もたっぷり感じられます。どことなくSLIPKNOT『IOWA』にも通ずる匂いもするので、そのへんが好きな人にも受け容れられるんじゃないでしょうか。食わず嫌いせずに、ぜひ一度お試ししてみることをオススメします。



▼KING 810『LA PETITE MORT OR A CONVERSATION WITH GOD』
(amazon:海外盤CD

投稿: 2016 12 25 12:00 午前 [2016年の作品, King 810] | 固定リンク