SCORPIONS『LOVE AT FIRST STING』(1984)
ドイツのハードロックバンドSCORPIONSが1984年に発表した、通算9枚目のスタジオアルバム。邦題は『禁断の刺青』で、日本での彼らのイメージである「蠍団」は使われていません(「蠍団」が伝われてたのは1978年の『TOKYO TAPES』まで。こちらの邦題は『蠍団爆発!! スコーピオンズ・ライヴ』)。1982年発売の前作『BLACKOUT』で全米10位のヒットを記録してアメリカでも本格的にブレイクした後、そのダメ押しとしてリリースされた今作は全米6位を獲得し300万枚ものセールスを記録。シングルカットされた「Rock You Like A Huuricane」は全米25位、「Still Loving You」は全米64位とそれぞれドイツのハードロックバンドとしては当時異例の高記録となりました。
『LOVEDRIVE』(1979年)以降、徐々にバタ臭さが薄らいでいき、この『LOVE AT FIRST STING』でヨーロッパのバンドならではのカラーとアメリカナイズされたサウンドが絶妙なバランスで成立。このギリギリな感じが日本人のみならず、アメリカ人にもウケたのかもしれません。事実、本作に続く『SAVAGE AMUSEMENT』(1988年)ではアメリカナイズされた音の主張がより強くなってしまってしまいますし。
『LOVE AT FIRST STING』が前後の作品よりも優れていたのはそういった楽曲センスのみならず、各曲が持つテンポ感も絶妙だったことが挙げられると思います。シングルヒットした「Rock You Like A Huuricane」や「Bad Boys Running Wild」「Big City Nights」のようなミディアムテンポのマイナーチューンが中心ながらも、当時のライブでオープニングを飾った「Coming Home」や「The Same Thrill」のようなアップチューン、そして「Still Loving You」という泣きのバラード。これらが当時としては異例のデジタルレコーディングで制作され、非常にクリアで整理された音で楽しむことができる。ドラムのタムタムの音色も独特で、同時期にDEF LEPPARDの『PYROMANIA』(1983年)が大ヒットしていたことを考えると、あれもその時代の流行りだったんだなと気づかされます。
全9曲、最初から最後まで良曲、良メロディ満載で隙が一切ないハードロックアルバム。もしこれからSCORPIONSを聴いてみようと思うなら、間違いなくこのアルバムから触れてみることをお勧めします。
なお、2015年のリイシュー企画でこのアルバムも2CD+DVDからなるデラックスエディションが発売。アルバム本編に当時のデモ音源(アルバム未収録のボツ曲も含まれていますが、これも悪くない出来)や、マディソン・スクエア・ガーデンでの未発表ライブ音源などを楽しめるので、少々値が張りますが予算に余裕があればこちらに手を出してみるのもいいかもしれません。

▼SCORPIONS『LOVE AT FIRST STING』
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