IGGY POP『POST POP DEPRESSION』(2016)
スタジオアルバムとしてはIGGY & THE STOOGES名義での『READY TO DIE』(2013年)から3年ぶり、ソロ名義では意外にも『PRELIMINAIRES』(2009年)以来7年ぶりの新作。『PRELIMINAIRES』がジャズやラウンジミュージック寄り(しかも曲によってはフランス語で歌唱)だったので、どんなロックサウンドが聴けるかと思ったら、想像以上に落ち着いたガレージサウンドでびっくりさせられました。
プロデュースにQUEENS OF THE STONE AGEのジョシュ・オムを迎え、そのジョシュとQOTSAやTHE DEAD WEATHERで活動をともにするディーン・フェルティータ、そしてARCTIC MONKEYSのマット・ヘルダース(Dr)とでバンドを組む形でレコーディング。そのヒリヒリしたガレージサウンドはジョシュならではといった感じで、ポストロックを通過した楽曲群も70年代後半のイギーに通ずるものがあります。
聴く前は『READY TO DIE』のような激しく前のめりなパンクロックを期待してたので、ちょっとだけ肩透かし。ただ、イギーのこれまでの活動歴や前作『PRELIMINAIRES』を踏まえると、こういう作風になるのも納得かな。今作が最後のアルバムなんて噂もありますが、気づけばイギーも69歳。盟友デヴィッド・ボウイも亡くなったことを考えれば、イギーが今もこうやって新作をリリースしてくれること自体が奇跡みたいなもの。曲数こそ9曲と少なく感じるけど、1曲1曲の音楽的密度は異常なまでに高いものばかり。『THE IDIOT』から約40年を経てここにたどり着いたという事実も非常に興味深いです。これがアーティストとしての“スワンソング”になるとはまだ思いたくないけど、仮にそうなったとしても納得してしまえる力作ではないでしょうか。
できれば、この編成でのライブも観たかったなぁ。なんてことをつい先日発売されたライブ映像+音源からなる作品『POST POP DEPRESSION : LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL』を手にして考えてしまいました。こちらについては、改めて触れたいと思います。
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