IRON MAIDEN『SOMEWHERE IN TIME』(1986)
昨日触れたJUDAS PRIESTの『TURBO』がリリースされたのが、今から30年間の1986年。面白いことにこの年、ほぼ同じタイミングでもう1組のメタル界の王者、IRON MAIDENもシンセサイズドギターを取り入れた作品を発表しています。それが今回紹介する、通算6枚目のオリジナルアルバム『SOMEWHERE IN TIME』です。
メタル界屈指の名曲「Aces High」を含む前作『POWERSLAVE』(1984年)が名盤として高く評価されたこと、またアメリカでのメタルの盛り上がりにうまく乗ろうとしたこともあってか、味付けとしてシンセや先のシンセサイズドギターが随所に取り入れられ、楽曲もより洗練された印象があります。それこそ、曲によっては若干落ち着いた雰囲気も感じられ(3曲目「Sea Of Madness」あたりが顕著)、『POWERSLAVE』と比較すると全体的に地味なイメージすらあります。また、JUDAS PRIEST『TURBO』での(装飾的)変化に嫌悪感を示した旧来のメタルファンが、ここでも「シンセサイズドギター」というキーワードに敏感に反応。もしかしたらこれがネックになって、当時ちゃんと聴かなかった人もいるかもしれません。
しかし。先行シングルの「Wasted Years」や1曲目「Caught Somewhere In Time」、ライブでのシンガロングでおなじみの「Heaven Can Wait」、疾走感あふれる“Very British”な「The Loneliness Of The Long Distance Runner」、これぞメイデン!と断言できるデイヴ・マーレイ作「Deja-Vu」など、1曲1曲を取り上げるとレベルの高いものばかり。地味だけど妙にクセになる(しかもアルバムからの2ndシングル)「Stranger In A Strange Land」みたいな曲もあるし、ラストを飾る8分半の大作「Alexander The Great」(もちろんスティーヴ・ハリス作)もメイデンじゃなきゃ作り得ない説得力があるし。全体的に地味さは拭えないけど、良曲揃いの素晴らしいアルバムなのは間違いない事実です。
メイデンは続く1988年の7thアルバム『SEVENTH SON OF A SEVENTH SON』でもシンセサイズドギターを使用するのですが、こちらではアメリカを完全に無視した(?)、英国人でなければ作ることができない傑作に到達することになります。それについてはまた別の機会に。
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