BRING ME THE HORIZON『LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL』(2016)
2016年12月2日にリリースされたBRING ME THE HORIZONのライブアルバム。日本盤未発売。
本作は当初、PledgeMusicを通じたクラウドファンディング経由で限定発売されたもので、フィジカル/デジタルでのライブアルバムとDVD/Blu-ray/デジタルの映像作品が限定販売。僕も当時、ライブCDとライブ映像(デジタル版)を購入していましたが、オリジナル版発表から4年を経た2020年12月18日に各種ストリーミングサービスおよびデジタル配信サイトでの一般流通がスタート。これにより、手軽にBMTHのライブ音源を楽しむことができるようになりました。
……と言いながら、実は本作には通常のスタイルとは異なるライブ音源が収録されています。というのも、このライブは2016年4月に行われた、英国のがんケアおよび支援慈善団体・Teenage Cancer Trustのチャリティ公演で、オーケストラとのコラボ形態で実施されたもの。すべての楽曲がオーケストラの加わった新たなアレンジで演奏されております。
選曲自体は当時の最新アルバム『THAT'S THE SPIRIT』(2015年)とその前作『SEMPITERNAL』(2013年)の2作が軸になっており、それ以前の楽曲は『THERE IS A HELL BELIEVE ME I'VE SEEN IT. THERE IS A HEAVEN LET'S KEEP IT A SECRET.』(2010年)から「It Never Ends」のみ。ここ最近の傾向と一緒ですね。でも、このへんの“ミディアムテンポの、メロディをしっかり聴かせる楽曲”が実にオケとの相性抜群で、楽曲の良さをさらにベストな方向に引き上げることに成功しています。
と同時に、ライブならではの生々しさもしっかり収めれており、同期中心の昨今のBMTHのスタイルと繊細なオケ、そしてオーディエンスのシンガロングが三位一体となりスペシャルな空間を作り上げている。映像で楽しむのがベストですが、これは音源だけでも十分に魅力が伝わる良作ではないでしょうか。
実はここ日本では出世作『THAT'S THE SPIRIT』を携えた来日公演が実現していないんですよね。当初は2016年1月に新木場STUDIO COASTでの単独公演が決定し、券売までしたんですが、ワールドツアーのスケジュール再調整により中止に。のちにバンドが日本を訪れるのは次作『amo』(2019年)発表後の2019年夏、『SUMMER SONIC』出演に際してでした。なので、このバンドの大躍進期を追体験するという点において、このライブ作品の果たす役割は(特に日本のファンには)非常に大きなものがあるのです。本来のアグレッシヴかつエンタメ性に富んだステージとは異なるものではあるものの、『SEMPITERNAL』の頃よりも数段高いステージへと到達したバンドの姿を、ぜひこの作品から感じ取ってみてください。
▼BRING ME THE HORIZON『LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL』
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