DOKKEN『BACK FOR THE ATTACK』(1987)
1987年末にリリースされた、DOKKEN通算4枚目のアルバムにして、最初の解散前ラストのオリジナルアルバム。編成はドン・ドッケン(Vo)、ジョージ・リンチ(G)、ジェフ・ピルソン(B)、ミック・ブラウン(Dr)という黄金期の4人。昨年の『LOUD PARK』もこの4人でリユニオンショーが行われたので、覚えている方も多いかと思います。
1985年に発表された前作『UNDER LOCK AND KEY』が好成績を収め、内容的にもメロディアスかつ適度にハードという独自の路線をようやく確立させた彼ら。ちょうど1986年、BON JOVIの大ブレイクにより訪れたHR/HM一大ブームにより、DOKKENもついに日の目をみるか!?と期待される中、リリースされたのは『UNDER LOCK AND KEY』の延長線上にある内容ではなく、よりギターを前面に押し出したヘヴィな作品でした。
アルバム発売前の1987年初頭には、本作にも収録された「Dream Warriors」を映画『エルム街の悪夢3 惨劇の館』の主題歌に提供。ギターがヘヴィになっているものの、路線的には『UNDER LOCK AND KEY』の延長線上にある泣きメロHMで好意的に受け入れられた記憶があります。しかし、アルバム発売直前のリードトラックとして発表された「Burning Like A Flame」、これがいけなかった。2ndアルバム『TOOTH AND NAIL』(1984年)収録の「Just Got Lucky」をより陽気にしたような、脳天気なハードロックで、多くのファンが「うん、これじゃない」と思ったはずなんです。事実、僕も「思ってたのと違うなぁ……」と苦笑いしましたし。
そんな不安を抱えたまま発売を迎えたアルバム。オープニングの「Kiss Of Death」のギターリフにまずノックアウトされるわけです。「これぞジョージ・リンチのカミソリリフ!」と言わんばかりの激しいギターワークが楽しめる名曲なのですが、1曲目としての刺激が強すぎた。アルバムはその後も『UNDER LOCK AND KEY』で聴けた路線をよりヘヴィにして、ボーカルよりもギターが目立つような曲ばかりが続く。あげく、ドン・ドッケンの歌すら入らないインスト「Mr. Scary」まで登場するんですから、そりゃ呆気に取られますよ。
バンドはその後、1989年に解散を発表するわけですが、『UNDER LOCK AND KEY』という作品の成功を受けてドンとジョージのエゴがより肥大し、スタジオでバチバチやりあった結果、このいびつなパワーバランスの作品が完成した。そのままツアーに突入するも、ある日その緊張の糸が切れ、バンドは終焉を迎えた……ということなんでしょうね。解散後、ドンがDON DOKKENというバンドで“『UNDER LOCK AND KEY』の続き”みたいなアルバム『UP FROM THE ASHES』(1990年)を、ジョージとミックがLYNCH MOBを結成して『BACK FOR THE ATTACK』の延長線上にある『WICKED SENSATION』(1990年)を制作したことでも理解できると思います。
とはいえ、この『BACK FOR THE ATTACK』というアルバム。その緊張感がときに心地よく、ボーカルはボーカルで最善を尽くし、ギターはやりたい放題といういびつさがまた良かったりするんですよね。確かに「Burning Like A Flame」は蛇足感が強いけど、先の「Kiss Of Death」や「Heaven Sent」「So Many Tears」「Sleepless Night」のような曲は(もちろん「Dream Warriors」も)このタイミングじゃなければ成しえなかった完成度だと思いますし。
ただ、難点を挙げるならば、全13曲で63分というCDを意識した長さと、5弦ベースを使った低音を(当時の録音技術では)うまく表現しきれてないこと。前者は当時の流行りでもあり、同年にリリースされたDEF LEPPARD『HYSTERIA』、翌1988年発売のMETALLICA『…AND JUSTICE FOR ALL』、QUEENSRYCHE『OPERATION: MINDCRIME』がすべて60分超えということ。ちなみに全バンド、同じマネジメント所属ということから、CDが普及し始めたタイミングならではの方針だったんでしょうね。で、後者に関してはMETALLICA『…AND JUSTICE FOR ALL』にも言えることで、できることならリマスタリングならぬリミックスバージョンをいずれリリースしていただきたいなと。このギターの洪水を5弦ベースの低音で支えたら、さらにカッコ良くなると思うんですよね。
昨年来日したオリジナルラインナップでのDOKKENは、公演によっては「Kiss Of Death」からライブを始めています。某動画サイトに転がっていた映像で確認しましたが……もはや今のドンにはDOKKENの曲を、あの頃のように歌うことはできないことが嫌というほど伝わってきました。もうオリジナルDOKKENの復活はこれっぽっちも望んでいません。だから、せめてこの頃の栄光にドロを塗るような真似だけは止めていただきたいなと……ホント、頼みます。
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