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2017/01/31

2017年1月のお仕事

あけましておめでとうございます。
2016年はこのサイトを楽しんでいただき、本当にありがとうございました。
2017年も昨年末から引き続き、バンバン更新していきます。また仕事のほうでも新しいことにバンバン挑戦していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

2017年1月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※1月31日更新)


[紙] 1月31日発売「BUBKA」2017年3月号にて、乃木坂46西野七瀬×与田祐希インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 1月27日、「ニジ★スタ」にて田所あずさのインタビュー「タドコロックで沖縄に行きたい!?ー田所あずさ『運命ジレンマ』MV密着インタビュー②」が公開されました。

[WEB] 1月26日、「ニジ★スタ」にて田所あずさのインタビュー「タドコロックはどこへ向かう?ー田所あずさ『運命ジレンマ』MV密着インタビュー①」が公開されました。

[紙] 1月25日発売「TV Bros.」2017年1月28日号にて、ぼくのりりっくのぼうよみ『Noah's Ark』大枠レビューを執筆しました。

[WEB] 1月21日、「リアルサウンド」にてMAN WITH A MISSIONのアーティスト評「MAN WITH A MISSIONが成功した「2つの要因」 そのオリジナリティはどう確立したか?」が公開されました。

[WEB] 1月20日、「Red Bull Japan」オフィシャルサイトにてコラム「ラウドロック好きにオススメしたいアイドル5選」が公開されました。

[WEB] 1月19日、「リアルサウンド」にてLittle Glee Monsterのライブ評「Little Glee Monster、“最初の夢”武道館公演を達成 360度ステージで響かせたハーモニーの強靭さ」が公開されました。

[WEB] 1月19日、「楽天ブックス」での連載「乃木坂46公認コラム『のぼり坂』」にて「『生田絵梨花、北野日奈子、斎藤ちはる、中元日芽香、堀未央奈 乃木神社成人式』レポート」が公開されました。

[WEB] 1月11日、「激ロッック」にてONE OK ROCK TakaインタビューONE OK ROCKニューアルバム『Ambitions』ディスクレビューが公開されました。

[WEB] 1月10日、「リアルサウンド」にてONE OK ROCKの新作分析コラム「ONE OK ROCK『Ambitions』は衝撃的な挑戦作だ! 国内外シーンに与える影響を読む」が公開されました。

[紙] 1月10日配布開始のフリーマガジン「激ロックマガジン」2017年1月号にて、ONE OK ROCK Takaインタビュー、10-FEETインタビューを担当・執筆しました。

[WEB] 1月8日、「リアルサウンド」にてBAND-MAIDのインタビュー「BAND-MAIDが、充実の2016年を経て見出したバンドの芯「今までとは違った“強さ”も見せたい」」が公開されました。

[紙] 1月5日発売「日経エンタテインメント!」2017年2月号にて、乃木坂46北野日奈子・新内眞衣・鈴木絢音の座談会、および2期生研究記事を担当・執筆しました。(Amazon

投稿: 2017 01 31 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

ANNIHILATOR『SET THE WORLD ON FIRE』(1993)

カナダ出身のスラッシュメタルバンド、ANNIHILATORが1993年に発表した3rdアルバム『SET THE WORLD ON FIRE』はここ日本で彼らが本格的に受け入れられるきかっけを作った(同年の初来日公演に結びつけた)、重要な1枚です。

彼らの名前はデビュー作『ALICE IN HELL』(1989年)の時点で耳にしていました。といっても、当時は日本盤も出ていない状況で、名前も「アナイアレイター」ではなく「アニヒレイター」と紹介されてたわけですが(某TBS『PURE ROCK』での話)。その後、僕は1990年の2ndアルバム『NEVER, NEVERLAND』で初めて彼らの音に本格的に触れるのですが、リフはカッコいいけど……とそこまでハマらなかった記憶があります。今聴くと、とても良いんですけどね。ただ、ブレイクに導くような完成度かと言われると「まぁB級止まりだよな」というのも否めないわけでして。

その後、メンバーチェンジやレーベルとのゴタゴタがあって、次作発表までに3年かかってしまうわけですが、その間にメタルシーンで起きたことといえば……METALLICAのブラックアルバム(1991年)が天文学的大ヒットを記録したこと、そしてPANTERA『VULGAR DISPLAY OF POWER』(1992年)が発表されたこと、この2つが以降の流れをガラッと変えてしまいます。また、メインストリームにいたHR/HMがグランジに取って代わられる事態に。きっとジェフ・ウォーターズ(G, Vo)は焦ったと思うんですよ。時代が変わる前に、早くアルバムを出さなきゃって。

その焦りは、良くも悪くも本作に反映されています。いわゆる旧来のスラッシュ路線を残しつつも、グルーヴ感を強調したミドルテンポの楽曲もあり、さらにはMETALLCIAが「スラッシュバンドだってバラードやったっていいんだよ」と形にしてしまったがためのスローバラード導入……これだけ見たら一貫性がない作品になっているんじゃないかと思いますが、いやいや。これが意外と良いんですよ。

仰々しいオープニングからザクザクしたリフ&リズムのユニゾンが気持ちいい「Set The World On Fire」は80年代の色合いを残しつつモダンな方向に歩み寄っている。続く「No Zone」は王道パワーメタル、「Snake In The Grass」はオープニングこそバラード調ですが実は跳ねたリズムを持つグルーヴメタルだし、「Phoenix Rising」な泣きのバラード、「Knight Jumps Queen」は冒頭のベースラインが気持ちいいミドルテンポのスラッシュナンバー、「Sounds Good To Me」はアップテンポだけどバラードの色合いを持つメロウな楽曲、そしてどこかアメリカンなブギー調スラッシュ「Don't Bother Me」からテクニカルスラッシュ「Brain Dance」で締めくくり。その後日本盤にはボーナストラックとしてJUDAS PRIESTのカバー「Hell Bent For Leather」が追加されてますが、この終わり方も悪くないです。

ジェフ・ウォーターズはMEGADETHにスカウトされたという逸話を持つほどのテクニシャン。このアルバムでもその非凡なプレイは随所にフィーチャーされてますが、それ以上にソングライターとしてもかなりの才能の持ち主であることは一聴しておわかりいただけるかと思います。しかし、遅すぎた。いかんせん時代が悪かった。本作がもう1年早くリリースされていたら、北米でもそれなりの結果を残すことができたんじゃないかと……でも、1年早かったらこういった内容になっていなかったのも事実であって、そこのもどかしさは拭えません。本当はもっと表舞台で光るべき人なんですけどね……最近の状況を見ていると、少しだけ悲しい気持ちになってきます(主に髪型的な意味ですが)。



▼ANNIHILATOR『SET THE WORLD ON FIRE』
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投稿: 2017 01 31 12:00 午前 [1993年の作品, Annihilator] | 固定リンク

2017/01/30

TESTAMENT『BROTHERHOOD OF THE SNAKE』(2016)

BIG4(METALLICA、SLAYER、ANTHRAX、MEGADETH)以降に登場したスラッシュメタルバンドの中では(メンバーチェンジこそあれど)解散することなく息の長い活動を続けるTESTAMENT(事実上の解散状態もあるにはあったんだけど)。そんな彼らが2012年の10thアルバム『DARK ROOTS OF EARTH』から約4年ぶりに発表したのが本作『BROTHERHOOD OF THE SNAKE』です。

前作はジーン・ホグラン(Dr)を新メンバーに迎え、スラッシーな楽曲もありつつ全体的にはヘヴィでダークなミドルナンンバーが軸といった内容でした。それはそれで悪くなかったし、個人的には近作で一番好きでしたが、全体のバランスがイマイチだったのも否めません。

今作は全盛期メンバーのグレッグ・クリスチャン脱退後に再加入したスティーヴ・ディジョルジオ(B)、先のジーン・ホグラン、そしてチャック・ビリー(Vo)、エリック・ピーターソン(G)、アレックス・スコルニック(G)という編成で制作。スティーヴ・ディジョルジオとジーン・ホグランのコンビというと、DEATHが1993年に発表した傑作『INDIVIDUAL THOUGHT PATTERNS』の参加メンバー。この2人にアレックス・スコルニックが加われば、そりゃテクニカルスラッシュメタルを期待してしまうのが筋ってものです。

しかし、本作はそういった技巧派方面に偏ることなく、ひたすらヘヴィで攻撃的な内容となっています。オープニングのタイトルチューン「Brotherhood Of The Snake」のハードコアさといったら……ねぇ? 本作の良い点は、前作で失敗した曲順や楽曲のバランスが見事に改善されているところ。アップチューンとミドルナンバーのバランスが絶妙で、1曲目から「クソ速い→速い→速い→重い→重い→クソ速い→速い→重い→速い→クソ速い」と全10曲がするっと聴けてしまうのです。それと、前作では7分を超える長尺曲に若干の緩慢さを感じたのですが、本作に関してそれは皆無。どんなに長くても5分半前後で、アレンジも練られている。技巧派3人の実力がこういうところで地味に発揮されてるわけです。

全体で45分程度という長さもちょうどいいですし(日本盤には「Appocalyptic City」再録バージョンと「Brotherhood Of The Snake」別ミックスをボーナストラックとして収録)、2016年に発表された旧スラッシュ勢の新作では(完全に独自の方向を突き進むMETALLICAを除けば)一番勢いを感じさせる1枚じゃないでしょうか。

こうやって80年代から活躍するスラッシュ勢が良作を次々に発表してくれるのは、非常に嬉しいかぎり。今年はKREATORに続いてOVERKILLの新作も控えてますしね。そして、今作を携えたTESTAMENT来日公演の早期実現にも期待したいと思います。→と思ったら1ヶ月後に決まってたのですね!(笑) スケジュール的に厳しいけど、絶対に行ったほうがよさそうですね。



▼TESTAMENT『BROTHERHOOD OF THE SNAKE』
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投稿: 2017 01 30 12:00 午前 [2016年の作品, Testament] | 固定リンク

2017/01/29

SYSTEM OF A DOWN『TOXICITY』(2001)

「脳を犯す」

日本盤の帯に記されたこのキャッチコピーだけで十分に伝わるんじゃないでしょうか。そんなSYSTEM OF A DOWN(以下、SOAD)通算2枚目のスタジオアルバム『TOXICITY』は2001年晩夏にリリースされました。

1stアルバム『SYSTEM OF A DOWN』発売から約3年。この『TOXICITY』発売までの間に、SOADは1999年4月、2001年7月の二度来日公演を実施しています。このうち後者は『FUJI ROCK FESTIVAL '01』での来日で、3日目のGREEN STAGEでヘッドライナーのエミネム、準トリのTOOLに続く3番手というポジション。『TOXICITY』発売直前という絶妙なタイミングで、同作から早くも8曲も披露してくれました。僕もフルではないものの、途中から観てショックを受けたのを覚えています。

プロデューサーは前作から引き続きのリック・ルービンと、メンバーのダロン・マラキアン(G, Vo)。サージ・タンキアン(Vo, Key)もコ・プロデューサーとしてクレジットされています。内容は前作をより押し進めたもので、変態度、ハードコア度、そしてエモ度それぞれがメーターを振り切れんばかり。ただ、音が分厚くて暴力的な前作(デイヴ・サーディがミックス)より今作(アンディ・ウォレスがミックス)のほうがより洗練された印象があります。逆に洗練されたことにより、バンドの変態性がより際立ってきたという見方もできるので、これはこれでアリではないでしょうか。

オープニングの「Prison Song」の間を生かしたアンサンブル、激しさとエモさが同居したメロディに、冒頭から心を奪われます。そこから「Needles」を起点に始まるハードコアな流れも抜群だし、その合間に「Chop Suey!」や「ATWA」などの楽曲が挿入されることで、それぞれの魅力をより増幅させることに成功しています。アコースティックギターを導入することでより哀愁味が増した「Chop Suey!」、スローバラードの要素が強い「ATWA」はもちろんですが、ラストの「Aerials」が持つ壮大さも前作以上の広がりを見せていると思います。

本作最大のポイントは、ダロンがプロデューサーとして、そしてボーカリストとして実力を発揮し始めたことではないでしょうか。シンガーとしても活躍場所が前作から格段に増えてますし、今作の(よい意味での)整理された内容は彼の手腕によるものが大きいのではないかと。そして、その才能は2005年発売の二部作へと引き継がれることになります。



▼SYSTEM OF A DOWN『TOXICITY』
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投稿: 2017 01 29 12:00 午前 [2001年の作品, System of a Down] | 固定リンク

2017/01/28

HELLOWEEN『KEEPER OF THE SEVEN KEYS, PART II』(1988)

80年代前半にSCORPIONSやACCEPTがドイツ出身ということだけで付けられた“ジャーマンメタル”というレッテルが大きな意味を持ち始めるのは、HELLOWEENが登場してからのこと。多くのHR/HMファンがイメージする“ジャーマンメタル”の音楽性を確立させたのが、「守護神伝」という邦題が冠された2部作でした。

そのうちの2枚目にあたる『KEEPER OF THE SEVEN KEYS, PART II』は1988年に発売。マイケル・キスク(Vo)、カイ・ハンセン(G)、マイケル・ヴァイカート(G)、マーカス・グロスコフ(B)、インゴ・シュヴィヒテンバーグ(Dr)という黄金期メンバーでは本作と、その前作『KEEPER OF THE SEVEN KEYS, PART I』(1987年)の2枚しか制作されておらず、『KEEPER OF THE SEVEN KEYS, PART II』リリースから数ヶ月後にカイ・ハンセンがバンドを離れてしまうのです。なので、本作を携えた来日公演はカイを含む編成では実現しませんでした。

前作からの連作ということで、音楽性は基本的に同じ枠内にあるものと言えるでしょう。しかし、第2弾となる本作では楽曲の幅が前作から少し広がりが感じられます。オープニングのオーバーチュアー「Invitation」から「Eagle Fly Free」の流れは、JUDAS PRIESTにおける「The Hellion」〜「Electric Eye」に匹敵する“メタル古典組曲”。コミカルな「Rise And Fall」もあれば、アンセミックな「Dr. Stein」もある。仰々しいメタルバラード「We Got The Right」や、攻撃的な「March Of Time」、疾走感が気持ち良いパワーメタル「I Want Out」ときて、最後は13分もの大作「Keeper Of The Seven Keys」で幕を降ろす。ラストの大作に関しては前作の「Halloween」のほうが完成度は上ですが、これはこれで悪くないと思います。

曲によって前作を超えていたり前作に満たなかったりするものの、そこはあくまで“2枚でひとつ”の連作だからこそ、と目をつぶっておきましょう。とはいえ、アルバム単体としての完成度は並のメタル作品以上ですし、1988年という名盤揃いの1年の中でも歴史的価値が非常に高い1枚なのは間違いありません。

今年は現編成のHELLOWEENに元メンバーのカイ・ハンセン、マイケル・キスクが加わり、「PUMPKINS UNITED WORLD TOUR」と題して世界各国を回る予定。インゴ・シュヴィヒテンバーグは22年前に亡くなっているため黄金期編成が完璧な形で復活することはできませんが、それでも5分の4が揃うわけですから、来日した際にはこのアルバムの楽曲をオリジナルに近い編成で楽しむことができそうです。



▼HELLOWEEN『KEEPER OF THE SEVEN KEYS, PART II』
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投稿: 2017 01 28 12:00 午前 [1988年の作品, Helloween] | 固定リンク

2017/01/27

EUROPE『OUT OF THIS WORLD』(1988)

1986年に発表した3rdアルバム『THE FINAL COUNTDOWN』が本国スウェーデンや日本のみならず全米8位、全英9位というワールドワイドなヒット作となったEUROPE。同作リリース後にはオリジナルギタリストのジョン・ノーラム脱退という波乱もありましたが、後任キー・マルセロの活躍によりワールドツアーを完遂します。

そういう流れを経て、キー・マルセロを迎えて制作された初のアルバム『OUT OF THIS WORLD』が1988年8月にリリース。チャート的には全米19位、全英12位と前作には及びませんでしたが、アメリカではミリオンを突破するヒット作になっております。またシングルカットされた「Superstitious」も全米31位のヒット曲に。辛うじて次作へ望みをつなぐことに成功した、と言えるでしょう。

数字的には代表作『THE FINAL COUNTDOWN』を下回る『OUT OF THIS WORLD』ですが、そんなに出来の悪いアルバムなのでしょうか? 確かにリリース当時の評価はあまりよろしくありませんでしたが、今聴き返してみると……そんなに悪い作品だとは思えないんですよね。

EUROPEというバンドの歴史を考えれば、1stアルバムからここにたどり着いたことはファン的に望まない結果だったのかもしれません。しかし『THE FINAL COUNTDOWN』を起点に考えると、『OUT OF THIS WORLD』という作品は“全体的により洗練され、1曲1曲の作り込み度が増した、美メロ満載のアルバム”と呼ぶことができるはずです。

シンセとギターが軸足になっているように見えますが、実はこのアルバムの芯の部分はジョーイ・テンペストによる歌。だからキー・マルセロもギターを弾きすぎていないし、ソロも必要最低限の長さといった印象です。リズム隊も曲の地盤をしっかり固め、シンセは曲の彩りをより鮮やかにしている。バラードにしても、前作での「Carrie」と比較すると本作の「Coast To Coast」は劇的なアレンジが付けられています。「Ready Or Not」なんて、ギターのバッキングがクリーントーンのアルペジオと歪み系パワーコードが交互に登場する。もっともわかりやすいのは、2ndアルバム『WINGS OF TOMORROW』収録の「Open Your Heart」をリアレンジして再収録したバージョンでしょう。2ndアルバムにあったシンプルさ、いなたさは消え、当時主流だったパワーバラードに生まれ変わっているのですから(だからこそ、若干のシンプルさが残っているラストナンバー「Tomorrow」を聴くとホッとするのですが)。バンドがあの頃、どこを目指していたかがこの1曲から存分に感じられるはずです。

バンドの試みは世の中的には受け入れられなかったかもしれませんが、あれから30年近く経った現在は時代が何周もして、我々も素直に受け入れられる態勢になってのではないでしょうか。シンセの音色にこそ時代感が表れていますが、今こそ余計な情報や偏見を捨てて楽しんでほしい1枚です。



▼EUROPE『OUT OF THIS WORLD』
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投稿: 2017 01 27 12:00 午前 [1988年の作品, Europe] | 固定リンク

2017/01/26

QUEENSRYCHE『OPERATION: MINDCRIME』(1988)

忘れた頃に復活する“1988年縛り”(笑)。いや、改めて名盤の多さに気づかされたわけですよ、今年に入ってレビューを書き始めてみると。

今回紹介するQUEENSRYCHE(当時はまだ「クイーンズライチ」と紹介されてましたね。懐かしい)の3rdフルアルバムにして出世作となった『OPERATION: MINDCRIME』も1988年製。以前DOKKENの『BACK FOR THE ATTACK』を紹介したときにも書きましたが、当時Q PRIMEとマネジメント契約していたバンドが1988年前後に発表したアルバム、すべてCD対応で60分超えの作品ばかりなんですよね(他にもDEF LEPPARD『HYSTERIA』、METALLICA『…AND JUSTICE FOR ALL』も)。

ただ、QUEENSRYCHEが他のバンドの長尺アルバムと一線を画するのは、この『OPERATION: MINDCRIME』がひとつのストーリーに沿って物語が進行していくコンセプトアルバムだということ。もともとプログレッシヴなメタルサウンドでコアな人気を博した彼らが、ここぞという勝負タイミングでコンセプトアルバムを発表したのは、HR/HMが“売れる”時代に逆行していたと思うんです。事実、リリースされてしばらくはセールス的にもイマイチだったと記憶しています。しかし同じ事務所のDEF LEPPARDやMETALLICAのツアーに帯同することで知名度を上げ、翌1989年になるとシングルカットされた「I Don't Believe In Love」や「Eyes Of A Stranger」がMTVやラジオで頻繁にオンエアされ、アルバム自体もチャート上は最高50位とやや低調ですが、セールスにおいては100万枚を突破。この結果が、続く1990年の4thアルバム『EMPIRE』の大ヒットにつながるわけです。

コンセプトアルバムというと小難しいプログレッシヴロックのイメージが強いかもしれませんし、それによって手を伸ばしにくいという人もいることでしょう。しかし、本作においてはそんな心配は無用。オープニングトラック「I Remember Now」のセリフにいきなり及び腰になるかもしれませんが、続くインストナンバー「Anarchy-X」から正統派メタルチューン「Revolution Calling」への流れでそんな不安は解消されるはずです。

その後も「Speak」「Spreading The Disease」のようなファストチューン、エモいメロディの「The Mission」と続き、10分超えの「Suite Sister Mary」で最初の山場を迎えます。この曲のみコンセプトアルバムの色合いが濃いと思いますが、苦手な人はここを乗り切れば後半はスピードナンバー「The Needle Lies」、超名曲「Breaking The Silence」、そしてシングルカットされた「I Don't Believe In Love」や「Eyes Of A Stranger」とエンディングに向け盛り上げ、最後は再び「I Remenber Now」のセリフが登場してアルバムの幕を下ろします。

ね? 曲単体はコンセプトアルバムとか余計なことを感じさせない、ど真ん中のヘヴィメタルでしょ? “プログレメタル”弱ばりでDREAM THEATERあたりと一緒くたに語られてしまいがちですが、楽器陣のテクニカルさは楽曲の味付け程度で、全体的には1曲4〜5分に収めてられていて(アルバムに1曲くらい例外あり)、素直に楽しめるはず。なので苦手意識を捨てて、気軽に接してみることをオススメします。そこを乗り越え、改めてアルバムの物語に興味を持ったときは、ぜひいろいろ調べてから聴き返してみると新たな発見があるはずです。



▼QUEENSRYCHE『OPERATION: MINDCRIME』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 01 26 12:00 午前 [1988年の作品, Queensryche] | 固定リンク

2017/01/25

ぼくのりりっくのぼうよみ『Noah's Ark』(2017)

2ndアルバムにしてこの圧倒感。アルバムの主役が現役大学1年生の10代とは思えないほどの深みを持つ……いや、10代という若さがあるからこそ生み出せる深みと言ったほうが正解なのかもしれない。新年早々こんな衝撃と感慨深さを与えてくれる1枚の誕生に、彼の倍以上生きているオッサンは「2017年、始まったな」と思わずにはいられないよ。

「ノアの方舟」と題された今作は“救い”をテーマに進行する、非常にトータル性の高い作品集。単なるヒップホップの枠には収まりきらない、若い世代がリアルに感じる雑多なサウンドに、洪水のように溢れ出るものの非常に詩的で、一言一句がボディブロウのように効いてくるリリックが乗ることで生まれる不思議な高揚感と刹那感(と、ほんのちょっとの絶望感)に満ち溢れています。

もし今自分が彼と同世代だったら、きっとこの世界観に己を投影しすぎてこじらしてしまうんじゃないか……こんなに最高なアルバムと共生できる現代の10代が、ただただ羨ましい。今後日本の音楽を語る際に「『Noah's Ark』以降」と表現されるべき、テン年代の重要作品と断言させてください。

※このレビューは本作リリース時、『TV BROS.』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。



▼ぼくのりりっくのぼうよみ『Noah's Ark』
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投稿: 2017 01 25 12:00 午後 [2017年の作品, ぼくのりりっくのぼうよみ] | 固定リンク

DISTURBED『IMMORTALIZED』(2015)

2000年代に登場したバンドの中でも、DISTURBEDが“HR/HM界最後の砦”的存在としてリスペクトされていることを知る人は多いかもしれません。そんな彼らが4年近くにおよぶ活動休止期間を経て、2015年8月に発表したのが本作『IMMORTALIZED』。通算6枚目のオリジナルアルバムであり、2002年の2ndアルバム『BELIEVE』から5作連続で全米1位を獲得する快挙を成し遂げた記念碑的作品でもあります。

デビューした頃こそ“ニューメタル”と揶揄された彼らですが、彼らのような比較的正統派HR/HMに近いテイストを持つバンドがヒットチャート上でも成功を収めるケースは、ここ10年ほどでかなり少なくなりました。だからこそ彼らの5作連続1位はかなりインパクトがあり、若手(といってもすでにデビューから15年以上経ったベテラン組ですが)のトップランナーと捉えられているのも仕方ないのかもしれません。

ですが、2008年の4th『INDESTRUCTIBLE』、2010年の5th『ASYLUM』は僕個人的に厳しい内容でした。最初の3作の延長線上にある作風なのは仕方ないにしても、同じようなタイプの楽曲が続くことで若干の退屈さを感じてしまっていたのです。ミドルテンポの楽曲が中心となる彼らの場合、いかにしてアレンジやメロディにフックを仕込むかが重要になるだけに、少なからずマンネリ感が漂っていた4thと5thにはそこが足りなかったのではないかと今でも思っています。

ところが、『ASYLUM』から5年ぶりに発表された『IMMORTALIZED』は、アルバムを通して聴いても不思議と飽きがこない。ボーナストラック含め全16曲で66分と非常に長尺な作品集なのですが、意外と最後までスルスル聴けてしまったのです。もちろん久しぶりのアルバムということもあってメンバーの気合いも過去数作以上だったでしょうけど、それにしてもこの充実ぶりはなんなんだろう?と不思議に思ってしまうほど。曲順の妙技も大きいと思いますが、1曲1曲をピックアップすると、やはりかなり練り込まれていることが伺えます。タイトルトラック「Immortalized」しかり、テンポ感で緩急をつける「What Are You Waiting For」しかり、昨今のエモでの流行を取り入れたかのようなアレンジの「You're Mine」しかり。後半に同じテンポ感の楽曲がいくつか続きますが、今回はダレることなく楽しめました。

そして、“DISTURBEDといえばカバー”という人の声に応えるかのように、今作ではサイモン&ガーファンクルの超有名曲「The Sound Of Silence」をピックアップ。メタルバンドのカバーというよりも、壮大なアクション映画のエンディングに流れそうなボーカル曲に仕上がっているのには苦笑いですけどね。でもバラードらしいバラードが皆無な中、唯一のスローナンバーなので逆に新鮮味が残ります。

このアルバム、2015年8月発売にも関わらず、パッケージ(CD)としては2016年にMETALLICAの新作(51.6万枚)の次に(29.8万枚)売れたメタルアルバムだそうです(ソース)。これにより同作はトータルセールス50万枚を突破。パッケージが売れなくなった時代に、しっかり数字で結果を残したのですから、さすがとしか言いようがありません。



▼DISTURBED『IMMORTALIZED』
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投稿: 2017 01 25 12:00 午前 [2015年の作品, Disturbed] | 固定リンク

2017/01/24

SCORPIONS『FACE THE HEAT』(1993)

SCORPIONSが1993年9月にリリースした、通算12枚目のオリジナルアルバム。1990年に発表した前作『CRAZY WORLD』ではそれまでの諸作品をずっと手掛けてきたディーター・ダークスから離れ、キース・オルセン(HEARTやEUROPEなど)をプロデューサーに迎え、ポップさを増したロック路線に移行。今作からは「Winds Of Change」という(ある意味歴史的な)大ヒット曲が生まれます。また同作からは泣きのバラード「Send Me An Angel」もシングルカットされ中ヒットとなったことで、「SCORPIONS=バラードバンド」的なイメージが植え付けられつつありました。

本作『FACE THE HEAT』が発表されるまでの3年間、フランシス・ブッフホルツ(B)の脱退やロックシーン流行の変遷(HR/HMからグランジへ)などがあり、同作は「Winds Of Change」での成功は一旦チャラな状態になった中でのリリースだったと言えます。そんな作品のプロデューサーとして白羽の矢が立てられたのは、BON JOVI『SLIPPERY WHEN WET』『NEW JERSEY』やAEROSMITH『PERMANENT VACATION』『PUMP』、そしてAC/DC『THE RAZORS EDGE』をメガヒットへと導いたブルース・フェアバーン。実はブルース起用については『CRAZY WORLD』のタイミングにはすでに話し合われていたそうで、このタイミングに満を持して実現したわけです。

フェアバーンのプロデュース作品というと職業作家を積極的に採用した高品質の楽曲が、クリアで密度の高いサウンドで構築されるイメージが強いのですが、本作もその例から外れない高品質のハードロックサウンドを楽しむことができます。ただし楽曲自体は、バラードバンドのレッテルを払拭するかのようにハードめな作風のものが大半で、純粋なバラードはシングルカットされた「Under The Same Sun」と本編ラストの「Lonely Nights」程度。もう1曲、「Woman」というスローナンバーもありますが、こちらはバラードというよりはヘヴィブルースのイメージが強く、このへんも全体からにじみ出るヘヴィさの余韻なのかなと。

また、職業作家の採用という点においても、フェアバーンは直近に手掛けたAEROSMITH『GET A GLIP』にも携わったマーク・ハドソンを本作でも起用。「No Pain No Gain」「Someone To Touch」「Nightmare Avenue」で楽曲制作に携わるほか、先のバラード「Under The Same Sun」ではクラウス・マイネ(Vo)、フェアバーンと共作しています。マーク・ハドソンが関わったことでポップになったというわけではなく、メロディがより際立ったものになったというのが正解なのでしょう。実際「No Pain No Gain」も「Nightmare Avenue」もヘヴィさやアグレッシヴさを保ちつつ、非常にメロディアスな仕上がりなのですから。

ドヘヴィなミドルチューン「Alien Nation」からスタートし(しかもこの曲が1stシングル!)、さらに重くジワジワくる「No Pain No Gain」へと続く冒頭の構成。そして前作の流れになる軽やかなロック「Someone To Touch」、“SCORPIONS流「Imagine」”と言えなくもない「Under The Same Sun」から再びヘヴィな「Unholy Alliance」と、変化自在な構成はなかなかのもの。“これぞSCORPIONS!”というテンポ感を持ちつつもどこかアメリカンな「Hate To Be Nice」、シャッフルビートが心地よい「Taxman Woman」ときて、終盤に「Ship Of Fools」「Nightmare Avenue」のアップチューン2連発。最後は泣きメロバラード「Lonely Nights」でしっとり締めくくります。いいアルバムじゃないですか、これ! ただ、日本盤はこの後、“神を信じる”という日本語詞サビにギョギョッとする「Kami O Shin Jiru」、アコースティカルな「Daddy's Girl」と、結果的にバラード3連発になるので、このアルバムの“軸”がブレてしまい勿体ない構成に)

リリースされたタイミングによってはもうちょっと好意的に評価され、80年代の作品並みのセールスを記録していたのかもしれませんが、時は1993年。全米24位まで上昇するも、セールス的には50万枚にも満たない結果で終わりました。その後バンドはポップ寄りな『PURE INSTINCT』(1996年)、『EYE II EYE』(1999年)を立て続けに発表しますが、『FACE THE HEAT』から11年後の2004年、『UNBREAKABLE』で再度ヘヴィ路線へと立ち返るのでした。



▼SCORPIONS『FACE THE HEAT』
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投稿: 2017 01 24 12:00 午前 [1993年の作品, Scorpions] | 固定リンク

2017/01/23

RATT『INFESTATION』(2010)

バンドにとってボーカルは“顔”みたいなもの。その声が変われば、バンドの顔も変わる。つまり、リードボーカルさえずっと変わらなければ、多少音楽性が変化してもかろうじてそのバンドだと認識してもらえるし、音楽性が一環していてもボーカルがころころ変わればなんとなく違和感を覚えるのです。もちろん、RAINBOWのようにボーカルが変わることで、その音楽性を変化させていく手法を取ったバンドもいるわけですが、ここではギタリスト中心ではなく、あえてボーカルを軸にしたパーマネントなバンドという視点で語っていきたいと思います。

80年代に一世を風靡したRATTは、90年代に入ってすぐに解散。しかし90年代後半にロビン・クロスビー(G)を除く編成で再結成します。のちにロビンが亡くなり、全盛期のラインナップでの復活は叶わぬ夢となりますが、彼らの場合ボーカルのスティーヴン・パーシーとリードギターのウォーレン・デ・マルティーニさえ在籍していればRATTと名乗ってもなんら問題ないと思うのです。だから2000年代に入り、スティーヴンが脱退して元LOVE/HATEのジジー・パールをボーカルに迎えたと知ったときは「さすがにそれは……」と思ったものです。

ところが、2000年代後半に入りスティーヴンがバンドに復帰。彼とウォーレン、ボビー・ブロッツァー(Dr)の80年代ラインナップに元QUIET RIOTのカルロス・カヴァーゾ(G)、元VINCE NEIL BANDのロビー・クレイン(B)という布陣で制作されたのが、2010年に発表された11年ぶりのオリジナルアルバム(通算7枚目)『INFESTATION』です

アルバムからのリードトラック「Best Of Me」が初公開されたとき、そのあまりにも「RATTな音」に驚愕し、「俺たちのRATTが帰ってきた!」と歓喜したのを昨日のことのように覚えています。どれが「RATTの音」なのかと問われると、とても感覚的なものなのですが……ウォーレンのギターリフ、テンポ感、スティーヴンの声が合わされば、それは間違いなく「RATTの音」として成立するんじゃないかと思うのです。それはアルバムオープニングの「Eat Me Alive」にも言えることで、この2曲のみで間違いなく「ああ、あのRATTが帰ってきた」と断言できてしまうのだから不思議なものです。

アルバムは正直、80年代後半の数作よりもRATTらしい作風だったと思います。先に挙げた2曲は歴代のヒットシングルに並ぶ代表曲になりうる完成度ですし、それ以外の曲も聴けば「RATTらしい」と納得できるものばかり。「Last Call」のツインリードも、「Lost Weekend」のリフ〜リードの流れも、すべてが「RATTらしい」。ただ、100%RATTかと問われると……自信がないのも事実。何か物足りなさも感じる。それが何なのか、リリース当時は気づきませんでした。

ここ最近、ボビーが知らないメンバーをかき集めてRATT名義でツアーをしたことに対して、ウォーレンが抗議し、スティーヴン、ウォーレン、カルロス、そして全盛期メンバーのフォアン・クルーシェ(B)の4人がRATTの名曲たちを演奏するツアーを行うことを発表しました。このメンツを見て気づきました……「そうか、フォアンのコーラスだ!」と。アルバムに足りなかった要素はこれだったんです。確かに『INFESTATION』にもそれらしいコーラスが入っているんですが、微妙に違うんですよね。

ボビーの決してうまくはないドラム(ときどきモタるしね)、フォアンの個性的なコーラス、ウォーレンの独特なギターリフ、そしてスティーヴンの唯一無二な歌声。ここにQUIET RIOTで一時代を築いたカルロスのギターワーク&ソングライティングが加わることで、RATTは全盛期にも勝るような作品を作ることができるはずなのに……世の中、うまくいかないものですね。再びRATTがひとつにまとまることを願いつつ、今日はこの7年前のアルバムを聴きたいと思います。



▼RATT『INFESTATION』
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投稿: 2017 01 23 12:00 午前 [2010年の作品, Ratt] | 固定リンク

2017/01/22

TESLA『THE GREAT RADIO CONTROVERSY』(1989)

アメリカ出身の5人組ハードロックバンド、TESLAが1989年初頭にリリースした2ndアルバム『THE GREAT RADIO CONTROVERSY』は、彼らを一躍人気バンドの仲間入りへと導いた重要な1枚です。1986年末に本国で発表されたデビューアルバム『MECHANICAL RESONANCE』も当時全米32位まで上昇し、100万枚近いセールスを記録。同作からは「Little Suzi」というヒットシングル(全米91位)も生まれ、続く2ndアルバムにはバンド自身も、そして周囲もさらなる成功を望んでいたはずです。

リードトラック「Heaven's Trail (No Way Out)」はラジオやMTVで、それまで以上のヘヴィローテーションを獲得し、のちにシングルカットされるバラード「Love Song」は全米10位という大ヒットを記録。アルバム自体も最高18位まで上昇し、結果的には200万枚以上を売り上げました。また、1990年に発表されたアコースティックライブアルバム『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』も、当時MTV発祥の企画「Unplugged」が大人気だったことから全米12位のヒット作に。同作からのシングル「Signs」も全米8位のヒットシングルとなりました。

タフなアメリカンハードロックを軸に持ちつつも、「Little Suzi」や「Signs」のようにアコースティックサウンドを前面に押し出したアーシーなサウンドも得意。これがウケないわけがないと思うんです。ボーカルにクセがあるぶん、他のバンドとの差別化もしっかりできているし、当時主流だったBON JOVIタイプともGUNS N' ROSESタイプとも異なる。だけどアメリカ人が好きな要素がたっぷり詰め込まれている。確かに日本ではちょっと弱いタイプのバンドかもしれません。しかし、90年代半ばに一度解散した後、2000年に再結成してからはコンスタントな活動を続けられるのも、彼らがアメリカという土地に馴染んでいる証拠だと思います。

日本のリスナーにはbayfm『POWER ROCK TODAY』のジングルで知られる、豪快なハードロック「Hang Tough」からスタートするこのアルバム。基本的にはこの曲や「Heaven's Trail (No Way Out)」のような重さと豪快さが特徴のミドルチューンが軸になっています。アルバム中盤にようやくファストチューン「Yesterdaze Gone」が登場すると、そこから後半は「The Way It Is」や「Love Song」といったバラードナンバーが主役に。泣きのスローバラードから徐々に激しさを増していく、DEF LEPPARD「Bringin' On The Heartbreak」〜「Swich 625」タイプの「Paradise」はアルバムのクライマックスにふさわしい1曲です。そしてそこから再びヘヴィな「Party's Over」で締めくくるあたりに、このアルバムの軸がどこであるかを再認識させられるわけです。

TESLAは昨年、デビューアルバム『MECHANICAL RESONANCE』のリリース30周年を記念したツアーと、そのライブ音源を収めたアルバム『MECHANICAL RESONANCE LIVE』をリリースしたばかり。日本にもこのアルバムの再現ライブをしに来てほしいと思うのと同時に、2019年にはぜひ『THE GREAT RADIO CONTROVERSY』再現ライブを実現させてほしいものです。もちろんその際には来日もお願いします!



▼TESLA『THE GREAT RADIO CONTROVERSY』
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投稿: 2017 01 22 12:00 午前 [1989年の作品, Tesla] | 固定リンク

2017/01/21

HALESTORM『REANIMATE 3.0: THE COVERS EP』(2017)

紅一点のリジー・ヘイル(Vo)率いる4人組ハードロックバンド、HALESTORMの6曲入りカバーEP(ミニアルバム)第3弾。HALESTORMはこれまでに2011年、2013年にそれぞれ『REANIMATE: THE COVERS EP』『REANIMATE 2.0: THE COVERS EP』と題したカバーEPを発表しており、第1弾ではSKID ROW、LADY GAGA、TEMPLE OF THE DOG、GUNS N' ROSES、HEART、THE BEATLESを、第2弾ではJUDAS PRIEST、DAFT PUNK、AC/DC、パット・ベネター、FLEETWOOD MAC、MARILYN MANSONを取り上げてきました。

さて、今回はどんな選曲なのでしょう。

01. Still Of The Night [原曲:WHITESNAKE(1987)]

02. Damn I Wish I Was Your Lover [原曲:ソフィーB.ホーキンス(1992)]

03. I Hate Myself For Loving You [原曲:JOAN JETT AND THE BLACKHERATS(1988)]

04. Heathens [原曲:Twenty One Pilots(2016)]

05. Fell On Black Day [原曲:SOUNDGARDEN(1994)]

06. Ride The Lightning [原曲:METALLICA(1984)]

今回も非常にバラエティに富んだ選曲です。毎回思っていたのですが、ピックアップする楽曲が80年代後半〜90年代前半に集中しているんですよね。これはリジー・ヘイル含め、メンバーの多くがこの時代に一番ロックに夢中になっていたということなんでしょうかね。自分もちょうど10代後半から20代前半にかけてのタイミングで、そのどれもがドンピシャだったりするので興味深く聴かせてもらってます。

毎回そうなのですが、今回も原曲アレンジに忠実なカバーが実践されています。1曲目「Still Of The Night」からまんまですもんね。ただ、この曲の場合7分近くある壮大さが4分半とコンパクトに凝縮されており、オープニングがいきなり歌から始まったり、中盤のシンフォニックなインストパートが省かれていたりと、WHITESNAKEファンからしたら「おいおい……(苦笑)」と突っ込みたくなる解釈。本作で唯一いただけないポイントでした。

ただ、それ以外はどれも楽しく聴けたし、サビのリズムに変化をつけた「I Hate Myself For Loving You」やTwenty One Pilotsを女性が歌うとこうなるのかっていう「Heathens」、歌も演奏もまんまな「Fell On Black Days」「Ride The Lightning」あたりはもはやニヤニヤして聴いてしまいました。

本作で唯一、大胆な解釈でカバーされているのがソフィーB.ホーキンスの「Damn I Wish I Was Your Lover」。原曲は打ち込み&浮遊感のあるシンセがメインなのですが、原曲の持つキャッチーなメロディを生かしつつ完全にギターリフ中心のハードロックへと昇華させているのはさすがだと思います。個人的には本作の中でもベストテイクだと断言させていただきます。

オリジナルアルバムまでのツナギとして制作されるこのカバーEPシリーズ、今後も忘れた頃にまた発表してほしいものです。その前に……次は『INTO THE WILD LIFE』(2015年)に続く4thアルバムですね。こちらも楽しみに待ちたいと思います。



▼HALESTORM『REANIMATE 3.0: THE COVERS EP』
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投稿: 2017 01 21 12:00 午前 [2017年の作品, Halestorm] | 固定リンク

2017/01/20

GUNS N' ROSES『USE YOUR ILLUSION II』(1991)

アクセル・ローズ(Vo)、スラッシュ(G)、ダフ・マッケイガン(B)を含む編成でのGUNS N' ROSES来日公演が明日1月21日からスタートということで、昨日から『USE YOUR ILLUSION I』および『USE YOUR ILLUSION II』の全曲解説を行っております。今日は『USE YOUR ILLUSION II』のほうを紹介していきます。

青&紫を基調としたジャケットの『USE YOUR ILLUSION II』は、デビュー作『APPETITE FOR DESTRUCTION』(1987年)に続く全米1位獲得作品。現在までにアメリカだけで600万枚近いセールスを記録しています。

M-1. Civil War
アルバム発売前年の1990年、コンピレーションアルバム『NOBODY'S CHILD: ROMANIAN ANGEL APPEAL』に初収録された8分近いヘヴィな大作。制作時期的にこの曲のみ、前年ドラマーのスティーヴン・アドラーが叩いています。スラッシュのアルペジオとアクセルの口笛から始まるこの曲は、のちの『USE YOUR ILLUSION』での変化を告げる予告編的楽曲で、ディジー・リード(Key)が初参加したナンバーでもあります。すべてはここから始まったんですね。なお、この曲は日本や一部の国でシングルカットされました。

M-2. 14 Years
『〜ILLUSION I』収録の「Dust N' Bones」に続く、イジー・ストラドリン(G)がボーカルを務めるレゲエ調ミディアムチューン。この軽やかなノリはHANOI ROCKSあたりにも通ずるものあり。イジー脱退後はライブで披露されることはありませんでしたが、たまにイジーがゲスト参加した際には演奏されたりもします。

M-3. Yesterdays
アーシーなノリを持つミディアムナンバー。アメリカでは「November Rain」に続く、『〜ILLUSION』から最後のシングルカットとなり最高72位を記録しました。特筆すべき点はないんですが、まぁアクセルのボーカルがすべてかなと。

M-4. Knockin' On Heaven's Door
デビュー時からライブでたびたび演奏されてきたボブ・ディランの名曲カバー。80年代はもうちょっとアップテンポでストレートなアレンジでしたが、新たにレコーディングするに伴いゴスペルテイストのアレンジが加えられています。ライブでは長めのコール&レスポンスが入り、演奏が10分近くに及ぶことも。この曲が始まると、ライブもそろそろエンディングかなと気づかされるという、終盤に欠かせない1曲。ライブではスラッシュがギブソンのダブルネックギターを弾くことでもおなじみです。

M-5. Get In The Ring
アクセル、スラッシュ、ダフの3人のみで書かれた珍しい1曲。とはいえ、歌詞はアクセルによる音楽評論家に向けた恨みつらみを並べた非常にアレなナンバー。ライブでは演奏されたことはない……はず。まぁこんなパーソナルな曲をライブで披露されても、お客はポカーンですよね(笑)。

M-6. Shotgun Blues
「Get In The Ring」からの熱いノリを引き継ぐ、アップチューン。ちょっとAC/DCっぽくもあり、アクセルとダフのツインボーカルもいい感じ。非常にライブ向きにも関わらず、こちらも実際に披露される機会はほぼゼロ。惜しい。

M-7. Breakdown
カントリーっぽい雰囲気がある、60年代末のROLLING STONESっぽさもある7分もあるダイナミックなナンバー。スローに始まったかと思えば、バンド演奏が加わるとテンポが倍になる小気味良さがたまらない。それまでのガンズにはなかったタイプなだけに、このへんはライブでも演奏してもらいたいんだけど……その機会もほぼゼロ。勿体ない。

M-8. Pretty Tied Up
イジー単独で書かれた、どこか東洋っぽさが漂う1曲。シタール風ギターサウンドと刻む系のリフ、前曲「Breakdown」から引き継ぐ60年代末STONESっぽさと、アルバムとしてもこのへんはすごくいい流れだと思います。演奏される頻度は意外と高めなので、覚えておくといいかも。ただ、サビを一緒に合唱するタイプの楽曲ではないけどね。

M-9. Locomotive (Complicity)
イントロのベースラインが「Locomotion」のリフに似てること、SLを彷彿とさせるるギターリフからこういうタイトルになったのかな。実は9分近くもあるこの曲のダーク&サイケさ、サビでの調子を狂わされるリズムの刻み方がクセになるんですよね。『〜ILLUSION』2作の中でも1、2を争うお気に入りナンバーです。せっかくダフが復活したのだし、このへんも久しぶりに演奏してほしいなぁ。

M-10. So Fine
ダフがメインボーカルを担当するパンクバラード。イジー脱退後、「Dust N' Bones」「14 Years」の代わりにダフがこの曲と、のちに『THE SPAGHETTI INCIDENT?』(1993年)に収録される「Attitude」(MISFITSカバー)を歌ったのも今は昔。この曲はまた復活してもいいんじゃないかなと思ってるんですが、どうでしょう?(アルペジオが「Knockin' On Heaven's Door」に似てるのだけは玉に瑕だけど)

M-11. Estranged
「November Rain」にも通ずる劇的なアレンジを持つ、9分半もの大作。序盤はアクセルがピアノを弾きながら歌い、演奏が盛り上がるにつれてステージを動き回ることでもおなじみ。異なる楽曲の断片をいくつも合体させたような奇妙な楽曲で、個人的にはそこまで印象に残るものではないかな。ただ、ライブでは毎回必ずといっていいほど演奏されるので、予習しておくといいかと。

M-12. You Could Be Mine
アルバムに先駆けてシングルリリースされたナンバーで、映画『ターミネーター2』の主題歌に採用。「Civil War」以来の新曲、シングルとしては2年以上ぶりということもあってかなり期待されていたのですが、結果は全米29位という中ヒットで終わりました。曲調自体は「Nightrain」の延長上にあるカッコいいものだったので、たぶん歌詞がいけなかったんだと思う。元嫁に対する怒りをそのまま歌詞にしただけだもんなぁ……このアルバム、そんなアクセルの個人的感情がストレートに表現された楽曲が多いのも特徴。だからなのか、リリース後も演奏されない楽曲が多いんですよね。

M-13. Don't Cry (Alternate Lyrics)
『〜ILLUSION I』収録の「Don't Cry」を、歌詞と歌メロを変えた別バージョン。原曲自体が活動初期から存在するものなので、気分転換に別バージョンを作ってみました的なノリなのかなと。こちらのバージョンでライブ演奏されることがないことから、そこまで気に入ってないことが伺えます。

M-14. My World
アクセルの歌と打ち込みのみで表現される、1分半のショートナンバー。ヒップホップに挑戦してみました的軽いノリで制作された、完全にお遊び曲。「Don't Cry」の中途半端な別バージョンと、中途半端なお遊びヒップホップで終わる構成からも、「アルバムの曲順、本気で考えてねーだろ?」ってことが見え見えですね。


以上、CD2枚で30曲、トータル2時間半というボリュームですが、これは2枚組にしないで正解だったのかな。曲調のバランスがまちまちで(『I』にパンキッシュな疾走ナンバーが集まり、バラード寄りが『II』に集まった)、聴く人によって好みが分かれるかも。そういう意味では、2枚組にすればバランス良かったのかもしれない。でも、リリース当時に2枚続けて一気に聴いたときに感じた熱量と興奮は、今でもよく覚えてます。あの感覚を1991年9月に味わえたことは、自分にとって大きな宝だと思ってます。

さて、今回の来日公演では『〜ILLUSION』2枚から何曲演奏されるのか。レア曲は飛び出すのか。今から楽しみにしておきましょう。

P.S.
この記事はずいぶん前に書いたものなのですが、昨日の『〜ILLUSION I』全曲解説公開後に、『〜ILLUSION』および本作のミックスを担当したビル・プライスの逝去が発表されました。昨年12月22日にお亡くなりになっていたとのこと。改めて72歳という年齢にも驚かされました。故人のご冥福をお祈りいたします。



▼GUNS N' ROSES『USE YOUR ILLUSION II』
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投稿: 2017 01 20 12:00 午前 [1991年の作品, Guns N' Roses] | 固定リンク

2017/01/19

GUNS N' ROSES『USE YOUR ILLUSION I』(1991)

いよいよ開催まで数日に迫ったアクセル・ローズ(Vo)、スラッシュ(G)、ダフ・マッケイガン(B)を含む編成でのGUNS N' ROSES来日公演。彼らについては本サイトの過去記事(カテゴリー「GUNS N' ROSES」をクリックしてもらえれば、とみ宮時代のものからすべて読むことができます)を参考にしてもらって……と思ったら、まだ取り上げてないアルバムがあることに気づきました。

そう、1991年のアルバム『USE YOUR ILLUSION』です。

1stアルバム『APPETITE FOR DESTRUCION』はもちろん大事だけど、今回の来日公演を観る上で同じくらい重要なのが、2枚同時リリースで当時大きな話題となったこの『USE YOUR ILLUSION』だと思っています。なので、今日と明日の2日間にわたってこの『USE YOUR ILLUSION I』および『USE YOUR ILLUSION II』を全曲解説という形で徹底的に紹介したいと思います。

まずは黄色と赤のコントラストが非常に印象的な『USE YOUR ILLUSION I』からです。本作は全米2位(1位は『USE YOUR ILLUSION II』でした)でチャート初登場し、現在までにアメリカだけで600万枚近いセールスを記録しています。

M-1. Right Next Door To Hell
アルバムのオープニングにぴったりな、疾走感あふれるファストチューン。リリース前に行われたツアーではオープニングで披露される機会も多かったこの曲、アルバム発表後はほとんど演奏されてないんじゃないでしょうか。ギターソロに入る前の、アクセルの「Fuck You!」のスクリームが本当にカッコいい1曲。ぜひ一度、生で聴きたい。

M-2. Dust N' Bones
日本にも同名バンドがいましたが、間違いなくここから取られたと思われ。イジー・ストラドリン(G)がリードボーカルを担当する、今や演奏される機会のないクールなロックナンバー。イジーがメインとはいえ、アクセルとのツインボーカル的な作風で、なんだかんだでアクセル目立ってます。アルバムとして聴くと1曲目からの落差が激しいですが、これはアクセルによると「できてる曲を全部詰め込んだから、曲順とか考えてねえ!」から。そういう意味では『USE YOUR ILLUSION』の2枚ってアルバムとしての完成度はそれほど高くないんですよね。

M-3. Live And Let Die
ポール・マッカートニーのWINGSが70年代に発表した、映画『007 死ぬのは奴らだ』の主題歌カバー。比較的原曲どおりのアレンジで、ちゃんとオーケストラサウンドも取り入れてるのに、微妙にギターで再現してるパートもあったりで、原曲を知る人なら思わず意表をつかれるんじゃないでしょうか。リリース後は毎回必ずといっていいほどライブで演奏される1曲。アルバムからの3rdシングルとして発表され、全米33位を記録しました。

M-4. Don't Cry
『APPETITE FOR DESTRUCTION』レコーディング時から存在したバラードナンバー。ブートレッグで当時のスタジオセションを聴くことができるのですが、初期バージョンはもっとスローで、どことなくHANOI ROCKSっぽさが漂ってました。「You Could Be Mine」に続いてシングルカットされ、全米10位まで上昇しました。この曲は最近もたまにライブで演奏されますが、その際には初期バージョンに近いテンポで披露されることが多いです。

M-5. Perfect Crime
ひたすらヒステリックなボーカルが耳に残る疾走系ショートチューン。「Right Next Door To Hell」をもっと激しくしたようなイメージ。この曲はアルバムリリース前によく演奏されていましたが、発売後はほとんど演奏されてない模様。今度の来日では、こういった曲を突然プレゼントするようなサプライズに期待したいですね。

M-6. You Ain't The First
アコースティック編成で演奏される、肩の力抜けまくりのカントリーナンバー。『GN'R LIES』(1988年)があったからこそ生まれたと言えなくもない、お遊び的1曲かな。

M-7. Bad Obsession
マイケル・モンローがハーモニカでゲスト参加した、ホンキートンク調ロックンロール。スラッシュのスライドギターとマイケルのハーモニカ、そこに絡むディジー・リード(Key)のピアノの組み合わせが最高にカッコいい。こういう曲は『APPETITE〜』期に演奏してたらもっとルーズだったんだろうけど、新加入のマット・ソーラム(Dr)のタイトなリズムによって硬質な仕上がりに。そこだけが残念すぎる。とはいえ、『USE YOUR ILLUSION』ツアーでは見せ場のひとつとなった曲でもあるので、記憶に残っているファンも多いのでは?

M-8. Back Off Bitch
この曲も『APPETITE〜』セッション時には存在した1曲。デビュー時期のライブでも披露されることが多く、ブート映像で確認できるはず。確かに1stアルバムに入っていても違和感ない作風で、新境地ナンバーが多い『USE YOUR ILLUSION』の中では不思議と安心感のあるナンバーかも。

M-9. Double Talkin' Jive
ライブではスラッシュのギターソロへとつなぐ役割を持つ、疾走ナンバー。しかし抑揚を抑えたアクセルのボーカルのせいもあって、不思議と高揚感を感じない。『USE YOUR ILLUSION』ではこういう、アクセルのロウトーンボイスを多用した楽曲がいくつか含まれており、そういった楽曲が今までにない雰囲気を作り上げています。この曲は最近のツアーでも演奏されているみたいなので、予習しておくといいのではないでしょうか。

M-10. November Rain
『USE YOUR ILLUSION』からの4thシングルにして、同作からもっともヒットしたシングル(全米3位)。原曲は『APPETITE〜』セッション時から存在していましたが、時期によってアレンジがころころと変わっているのがこの曲の特徴。アコギだけのバージョン、ピアノの入ったバージョン、歌メロ構成も現在のような「Do You Need Someone〜」パートがないバージョンなどさまざまで、完成までに試行錯誤したことが伺えます。にしても、完全版が9分という長尺で、なおかつオーケストレーションを含む“全部乗せ”だったのには、さすがに笑いましたが。「まとめる気、なくなったのかよ!」って(苦笑)。まぁ、曲自体は悪いわけはなく、特に中盤と終盤のスラッシュによるギターソロのドラマチックさは特筆に値するものだと思います。

M-11. The Garden
アリス・クーパーをゲストに迎えた、怪しい雰囲気を醸し出すミディアムナンバー。アクセルが歌う平熱感の強い平歌パートと、アリスが歌い出してから急に演奏が激しくなるパートとの落差が気持ちいいかな。ライブではあまり披露されないけど、これはこれでいいんじゃないでしょうか。

M-12. Garden Of Eden
「Garden」つながりで、再び3分に満たない疾走系ショートチューンの登場。言葉を詰め込むように歌うアクセルのボーカルがすべてかな。この曲はMVの印象が強いので、そちらと合わせてお楽しみいただけるといいんじゃないでしょうか。

M-13. Don't Damn Me
曲調的には『APPETITE〜』路線と『〜ILLUSION』路線の中間といった印象。リフやアレンジは前者で、アクセルの字余りっぽい言葉詰め込み型ボーカルが後者。中盤でスローテンポになるアレンジも、フックが効いていて面白いと思います。ライブで演奏されたことあるんだっけ?ってくらい、レア度の高い1曲。

M-14. Bad Apples
ファンキーなギターワークと、刻むようなピアノが心地よいロックンロールナンバー。メロディという概念を無視したアクセルのボーカルは、もはや唯一無二のもの。それでいて、サビはキャッチーなんだから恐れ入ります。90年代には何度か演奏された記憶があるけど、21世紀に入ってからはほぼゼロじゃないかな?

M-15. Dead Horse
アクセルのアコギと歌で静かに始まり、途中でバンドの演奏でメリハリをつけるワイルドな楽曲。そこまで煮詰められたアレンジというわけでもなく、シンプルっちゃあシンプルな1曲。全部アクセルの歌で引っ張ってるイメージかな。

M-16. Coma
『USE YOUR ILLUSION I』のクライマックスと呼ぶにふさわしい、10分超の大作。楽曲としては決して複雑なものではなく、幾つかのパートを繰り返すのみなんだけど、不思議な魅力があって最後まで惹きつけられてしまう。アクセルの歌とスラッシュのギター、中盤の静かめになるパートでのダフのベースなど見どころ、聴きどころ多し。最近もたまに演奏しているようなので、日本でも披露されることを願っております。



▼GUNS N' ROSES『USE YOUR ILLUSION I』
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投稿: 2017 01 19 12:00 午前 [1991年の作品, Guns N' Roses] | 固定リンク

2017/01/18

LYNCH MOB『WICKED SENSATION』(1990)

1989年のDOKKEN解散後、ジョージ・リンチ(G)とミック・ブラウン(Dr)は新たにLYNCH MOBと命名したバンドを始動。DOKKENって名前がいかにも「ドン・ドッケンのワンマンバンド」的に見えてしまうのが嫌だったんでしょうかね、今度はジョージが自身の名前をバンド名に入れてるわけですから(苦笑)。

オニー・ローガン(Vo)、アンソニー・エスポジート(B)という若きアーティストを迎え制作されたのが、1990年秋に発表されたデビューアルバム『WICKED SENSATION』。プロデューサーには“ギターサウンドならおまかせ”なマックス・ノーマンを迎え、DOKKENのラスト作『BACK FOR THE ATTACK』(1987年)を推し進めたギターオリエンテッドなアルバムを完成させます。

興味深いのは、常にDOKKENをまとっていたヨーロピアンな湿り気のある作風がばっさりと消えたこと。あれこそ、ドン・ドッケンの持ち味だったことは、彼が中心となり結成されたDON DOKKENのアルバム『UP FROM THE ASHES』で証明済みです。となると、豪快なアメリカンハードロックはジョージの持ち味ということになるわけですが、今作を聴くと単なるアメリカンハードロックでは終わっていない。実はこれ、ミック・ブラウンの功績が大きいと思うんですよね。

また、オニー・ローガンがドン・ドッケンとは異なるタイプのシンガーだったことも良い方向に作用した気がします。この時点ではド新人で、すべてを器用に歌いこなしていたわけではないですが、ドンみたいにのっぺりしたボーカルには出せない味が随所に感じられ、適度に土臭さを持ったこのハードロックサウンドには合っている。一番DOKKEN寄りかなと感じる「Hell Child」のような曲にも、サイケデリックな新境地ナンバー「She's Evil But She's Mine」にも適応できているんだから、デビュー作にしては及第点だと思います。あと、アルバムラストの「Street Fighting Man」は、DOKKEN『BACK FOR THE ATTACK』のインスト曲「Mr. Scary」をバージョンアップさせた歌モノ。こういうところからも、LYNCH MOBが『BACK FOR THE ATTACK』が地続きであることが伺えます。

それにしてもこのアルバム、全12曲で57分と意外に長いんですよね。そういえば……『BACK FOR THE ATTACK』が13曲で63分だったことを考えると、曲を長くしていた要因はジョージのギターソロだったんじゃないか、そう思えなくもないなと。これ、もうちょっとコンパクトに、せめて50分くらいで収まったら完璧なアルバムなんですけどね。そう考えると、やっぱり10曲で勝負するのがベストなのかなぁ。

ちなみに、同時期に発売されたDON DOKKEN『UP FROM THE ASHES』とLYNCH MOB『WICKED SENSATION』。チャート的には前者が全米50位、後者が31位とジョージ・リンチの勝利。これでどっちの作品が優れていると判断するのは危険ですが、少なくとも1990年当時のアメリカに求められていた音はLYNCH MOBのほうってことなのかもしれないですね。



▼LYNCH MOB『WICKED SENSATION』
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投稿: 2017 01 18 12:00 午前 [1990年の作品, Dokken, Lynch Mob] | 固定リンク

2017/01/17

DON DOKKEN『UP FROM THE ASHES』(1990)

1989年にバンドの解散を発表したDOKKEN。最初の時点ではドン・ドッケン(Vo)と、ジョージ・リンチ(G)、ミック・ブラウン(Dr)、ジェフ・ピルソン(B)1対3に分かれ、そこからも当時のバンドの状況がなんとなく伺い知ることができました(のちにジェフが離脱し、ドン、ジョージ&ミック、ジェフの3分割することとなります)。

ドンは新たにバンドを結成しようと旧友ピーター・バルテス(B / 当時ACCEPTが解散したばかり)や、ミッキー・ディー(Dr / 元KING DIAMOND、のちにMOTORHEADに加入)、ジョン・ノーラム(G / EUROPE脱退後、ソロで活動していた)、ビリー・ホワイト(G / 元WATCHTOWER。現在は音楽業界を引退)という面々に声をかけ、アルバムを制作。その編成でDOKKENを名乗ろうとしますが、元メンバーの3人から訴訟を受け、結果DON DOKKENというバンド名なのかソロ名義なのか微妙な名前で活動することになります。

さて。いざ完成したアルバム『UP FROM THE ASHES』は1990年10月にリリース。奇しくもジョージ&ミックの新バンド、LYNCH MOBのデビュー作『WICKED SENSATION』とほぼ同時期に発売され、否が応でも比較されることとなってしまいます。

「ツインギター編成となったDOKKEN」「ギターがうるさくないDOKKEN」と表現できるDON DOKKENのサウンド。もっと言えば、DOKKENの3rdアルバム『UNDER LOCK AND KEY』(1985年)で目指した路線をさらにブラッシュアップし、より聴きやすくした楽曲を楽しむことができるわけです。“あの”DOKKENが好きだった人なら両手を上げて喜ぶ内容ではないでしょうか。また「ギターがうるさくないDOKKEN」とは言いながらも、ジョン&ビリーのギターソロは存在感の強いもので、随所にツインリードが取り入れられているのも好印象。こういった湿り気の強い泣きメロにピッタリなんですよね、ツインリードって。

曲作りにはビリー・ホワイトやジョン・ノーラム、アルバムのプロデューサーであるウィン・デイヴィス、職業作家のマーク・スピロといった面々も参加しており、中にはドンとグレン・ヒューズの共作「When Love Finds A Fool」といった泣きのバラードや、DOKKEN時代のアウトテイクと思われるドン&ミック・ブラウン作の「Stay」といった楽曲も収められています。「これぞDOKKEN」なミディアムテンポのマイナーチューンが中心ながらも、「Crash 'N Burn」や「Living A Lie」「The Hunger」のようなファストチューン、『BACK FOR THE ATTACK』(1987年)にはなかったスローバラードも含まれている。そういう意味でも、本来DOKKENが目指すべきだった形の究極系と言えなくもない内容です。『BACK FOR THE ATTACK』に続く作品と考えてしまうと若干の物足りなさを感じるかもしれませんが、ドン・ドッケンというボーカリストを軸に考えれば「これが本来の姿」と納得できるはずです。

残念ながらDON DOKKENとしてのアルバムはこれ1枚しか制作されず、メンバーは1人、また1人とバンドを離れていきます。そして時代は湾岸戦争に突入し、ロックバンドの大掛かりなワールドツアーが難しい状況に。さらにアメリカ国内ではHR/HMに替わりグランジが支持され始め、DON DOKKENは自然消滅してしまいます。そこから数年後、ドン、ジョージ、ミック、ジェフの4人が再集結し、DOKKENが再結成されるのですから、皮肉な話ですよね。



▼DON DOKKEN『UP FROM THE ASHES』
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投稿: 2017 01 17 12:00 午前 [1990年の作品, Dokken, Don Dokken] | 固定リンク

2017/01/16

DOKKEN『BACK FOR THE ATTACK』(1987)

1987年末にリリースされた、DOKKEN通算4枚目のアルバムにして、最初の解散前ラストのオリジナルアルバム。編成はドン・ドッケン(Vo)、ジョージ・リンチ(G)、ジェフ・ピルソン(B)、ミック・ブラウン(Dr)という黄金期の4人。昨年の『LOUD PARK』もこの4人でリユニオンショーが行われたので、覚えている方も多いかと思います。

1985年に発表された前作『UNDER LOCK AND KEY』が好成績を収め、内容的にもメロディアスかつ適度にハードという独自の路線をようやく確立させた彼ら。ちょうど1986年、BON JOVIの大ブレイクにより訪れたHR/HM一大ブームにより、DOKKENもついに日の目をみるか!?と期待される中、リリースされたのは『UNDER LOCK AND KEY』の延長線上にある内容ではなく、よりギターを前面に押し出したヘヴィな作品でした。

アルバム発売前の1987年初頭には、本作にも収録された「Dream Warriors」を映画『エルム街の悪夢3 惨劇の館』の主題歌に提供。ギターがヘヴィになっているものの、路線的には『UNDER LOCK AND KEY』の延長線上にある泣きメロHMで好意的に受け入れられた記憶があります。しかし、アルバム発売直前のリードトラックとして発表された「Burning Like A Flame」、これがいけなかった。2ndアルバム『TOOTH AND NAIL』(1984年)収録の「Just Got Lucky」をより陽気にしたような、脳天気なハードロックで、多くのファンが「うん、これじゃない」と思ったはずなんです。事実、僕も「思ってたのと違うなぁ……」と苦笑いしましたし。

そんな不安を抱えたまま発売を迎えたアルバム。オープニングの「Kiss Of Death」のギターリフにまずノックアウトされるわけです。「これぞジョージ・リンチのカミソリリフ!」と言わんばかりの激しいギターワークが楽しめる名曲なのですが、1曲目としての刺激が強すぎた。アルバムはその後も『UNDER LOCK AND KEY』で聴けた路線をよりヘヴィにして、ボーカルよりもギターが目立つような曲ばかりが続く。あげく、ドン・ドッケンの歌すら入らないインスト「Mr. Scary」まで登場するんですから、そりゃ呆気に取られますよ。

バンドはその後、1989年に解散を発表するわけですが、『UNDER LOCK AND KEY』という作品の成功を受けてドンとジョージのエゴがより肥大し、スタジオでバチバチやりあった結果、このいびつなパワーバランスの作品が完成した。そのままツアーに突入するも、ある日その緊張の糸が切れ、バンドは終焉を迎えた……ということなんでしょうね。解散後、ドンがDON DOKKENというバンドで“『UNDER LOCK AND KEY』の続き”みたいなアルバム『UP FROM THE ASHES』(1990年)を、ジョージとミックがLYNCH MOBを結成して『BACK FOR THE ATTACK』の延長線上にある『WICKED SENSATION』(1990年)を制作したことでも理解できると思います。

とはいえ、この『BACK FOR THE ATTACK』というアルバム。その緊張感がときに心地よく、ボーカルはボーカルで最善を尽くし、ギターはやりたい放題といういびつさがまた良かったりするんですよね。確かに「Burning Like A Flame」は蛇足感が強いけど、先の「Kiss Of Death」や「Heaven Sent」「So Many Tears」「Sleepless Night」のような曲は(もちろん「Dream Warriors」も)このタイミングじゃなければ成しえなかった完成度だと思いますし。

ただ、難点を挙げるならば、全13曲で63分というCDを意識した長さと、5弦ベースを使った低音を(当時の録音技術では)うまく表現しきれてないこと。前者は当時の流行りでもあり、同年にリリースされたDEF LEPPARD『HYSTERIA』、翌1988年発売のMETALLICA『…AND JUSTICE FOR ALL』、QUEENSRYCHE『OPERATION: MINDCRIME』がすべて60分超えということ。ちなみに全バンド、同じマネジメント所属ということから、CDが普及し始めたタイミングならではの方針だったんでしょうね。で、後者に関してはMETALLICA『…AND JUSTICE FOR ALL』にも言えることで、できることならリマスタリングならぬリミックスバージョンをいずれリリースしていただきたいなと。このギターの洪水を5弦ベースの低音で支えたら、さらにカッコ良くなると思うんですよね。

昨年来日したオリジナルラインナップでのDOKKENは、公演によっては「Kiss Of Death」からライブを始めています。某動画サイトに転がっていた映像で確認しましたが……もはや今のドンにはDOKKENの曲を、あの頃のように歌うことはできないことが嫌というほど伝わってきました。もうオリジナルDOKKENの復活はこれっぽっちも望んでいません。だから、せめてこの頃の栄光にドロを塗るような真似だけは止めていただきたいなと……ホント、頼みます。



▼DOKKEN『BACK FOR THE ATTACK』
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投稿: 2017 01 16 12:00 午前 [1987年の作品, Dokken] | 固定リンク

2017/01/15

L.A.GUNS『HOLLYWOOD FOREVER』(2012)

昨日の続きで、現在のL.A.GUNSについてもちゃんと書いておこうと思います。

今回紹介するのは、2012年にリリースされた現時点での最新アルバム。通算10枚目のオリジナルアルバムとなるようで、本作の制作メンバーはフィリップ・ルイス(Vo)、スティーヴ・ライリー(Dr)の初期メンバーに加え、ステイシー・ブレイズ(G / 元ROXX GANG、最近はボビー・ブロッツァー主導RATTのツアーにも参加しているようです)、スコット・グリフィン(B, Key / 現在はボビー・ブロッツァー主導のRATTに参加)の4人。90年代後半からL.A.GUNSはシングルギター編成なんですよね(ライブではもう1人ギターが入っているようですが)。

さて、この『HOLLYWOOD FOREVER』。オープニングのタイトルトラックは疾走感がありつつも、若干落ち着いた印象もあり、さすがの彼らも年齢には逆らえないか……と期待度を下げられますが(いや、曲自体は悪くないです)、続く2曲目「You Better Not Love Me」の哀愁漂うマイナーメロディがツボに入りまくり。以降も派手さはないものの、メロディでグイグイ引っ張るタイプの楽曲が並びます。「Vine St. Shimmy」のような1stアルバム『L.A.GUNS』(1988年)、2ndアルバム『COCKED & LOADED』(1989年)に入ってそうな路線もありつつ、全体的には3rdアルバム『HOLLYWOOD VAMPIRES』(1991年)以降の流れにあるダーク路線だと思います。

ブルージーなバラードかと思いきや正統派パワーソング「Dirty Black Night」、ブルージーなスローソングかと思ったらまんまだった「Underneath The Sun」など地味だけどじわじわくる曲が大半で、初期の作品が好きな方には物足りなさを覚えるかもしれません。しかし、昔は歌メロがイマイチだったフィルのボーカルも安定しており、現在の曲調にフィットしている。むしろ、初期の激しく張り上げる歌い方はトレイシーに強要されてたんじゃないか、と思ってしまうほど。肩の力が抜けたロックンロール「Queenie」「I Won't Play」くらいの張り上げ方が、今のフィルには心地よいのかもしれませんね(それを年老いた、と言うのかもしれませんが……)。

80年代に青春時代を謳歌した人にとっては、これは「俺たち、私たちの知ってるL.A.GUNS」じゃないのかもしれない。でも、L.A.GUNSには俺たち、私たちが知らない間もずっと活動していたわけで、むしろそっちの時間のほうが長いのです。そういう意味では、この『HOLLYWOOD FOREVER』で鳴らされている音のほうが「真のL.A.GUNS」なんでしょうね。偏見なく楽しめる人に、ぜひ気楽に接してほしい1枚です。

ちなみに、このアルバム後のL.A.GUNSについて補足を。昨年、フィルとトレイシーが14年ぶりに一緒にステージに立ち、この2人を中心にL.A.GUNS名義でアルバムを制作することも発表されましたが、昨年末にフィルがバンドを脱退。しかしこれが、スティーヴ・ライリーを含む編成からの脱退であることが明かされ、フィルは現在もトレイシーと一緒に活動していることが発表されています。なんだかなぁ(苦笑)。



▼L.A.GUNS『HOLLYWOOD FOREVER』
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投稿: 2017 01 15 12:00 午前 [2012年の作品, L.A.Guns] | 固定リンク

2017/01/14

L.A.GUNS『L.A.GUNS』(1988)

L.A.GUNSって名前を最初に聞いたとき、「GUNS N' ROSESのパチもん」だと思ったのはここだけの話。いや、同じような人、絶対にいると思うんですよ。そんな彼らが1988年(……)初頭にリリースした1stアルバムが本作。確か最初のMVが「Sex Action」だったので、そのタイトルに「マジかよ!」と突っ込んだの、昨日のことのように覚えてます。

もともとは初期GUNS N' ROSESにアクセル・ローズらとともに在籍したトレイシー・ガンズ(G)がバンド脱退後に結成したのがこのL.A.GUNS。メンバーは他に元GIRL(現DEF LEPPARDのフィル・コリンも所属していたイギリスのグラムメタルバンド)のフィリップ・ルイス(Vo)、メジャーデビュー前のFASTER PUSSYCATに在籍したケリー・ニケルス(B)、W.A.S.Pの元メンバーだったスティーヴ・ライリーなど、その筋で知られる面々が参加していました。そこに元GN'Rのメンバーがいる、しかもバンド名に「GUNS」が入ってるとなると、そりゃ騒がれるわけですよね。

デビューアルバムで聴けるサウンドはGN'Rのデビュー作『APPETITE FOR DESTRUCTION』のそれとは若干異なり、土臭さが薄くグラマラスさが強めに打ち出されたもの。1曲1曲が3分前後のものばかりというのも特徴で、ボーカリストやギタリストの主張の強さよりもバンド一丸となってぶつかってくるようなイメージが強いかな。トレイシー・ガンズやミック・クリプス(G)のギタープレイには、(比較対象として挙げてしまうのは気が引けるけど)GN'Rのスラッシュほどの強い個性は感じられないし。

また、楽曲面での強みや確たる個性というのは本作ではあまり感じられず、なんとなく勢いで乗り切っちゃいましたという印象が強いのも事実。「No Mercy」「Sex Action」「One More Reason」といった冒頭3曲の印象はかなり強いものの、中盤のアコギインスト「Cry No More」から続く唯一のバラード「One Way Ticket」、GIRLのカバー「Hollywood Tease」以外はインパクトが薄い気がします。

結局L.A.GUNSは続く2ndアルバム『COCKED & LOADED』(1989年)で“らしさ”を掴み(このアルバムが最大のヒット作となります)、大きなヒットにはならなかったけど3rdアルバム『HOLLYWOOD VAMPIRES』(1991年)でその個性を完全に確立させることに成功します。しかし、デビュー時から続いた全盛期メンバー(トレイシー、フィル、ミック、ケリー、スティーヴ)は同作を最後に終焉を迎え、2000年代に入るとフィル中心のL.A.GUNSとトレイシー中心のL.A.GUNSという「2つのL.A.GUNS」が存在するというややこしい事態に。RATTも最近そういう話がありましたし、ファンとしてはこういうの本当に困りますよね。

いわゆる名盤とは違うかもしれませんが、バンドの勢いという点においては以降の作品とは比較にならないものがあるので、今作は1曲1曲を取り上げるというよりはアルバム全体のノリを楽しむことをオススメします。



▼L.A.GUNS『L.A.GUNS』
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投稿: 2017 01 14 12:00 午前 [1988年の作品, L.A.Guns] | 固定リンク

2017/01/13

OZZY OSBOURNE『NO REST FOR THE WICKED』(1988)

オジー・オズボーンにとって通算5枚目のオリジナルアルバム『NO REST FOR THE WICKED』は、1988年に発表されました。前任ギタリスト、ジェイク・E・リーの脱退を経て、1987年春にランディ・ローズ時代のライブ音源を収めた『TRIBUTE』を発表。そういったブランク期間に行われたオーディションを経て加入したのが、加入当時20歳だったザック・ワイルド。今ではいかついオッちゃんになっちゃいましたが、当時はポスト・ランディと言わんばかりの美少年だったんですよ(ただし、ルックスのみ)。

そんなザック加入後、初のアルバムには前作から引き続きランディ・カスティロ(Dr)、古くからの付き合いとなるボブ・ディズリー(B)、ジョン・シンクレアー(Key)が参加。レコーディング終了後にはBLACK SABBATH時代の盟友ギーザー・バトラーが加わり、ツアーではサバスの1/2が揃ったことでも話題になりました。

クラシックがルーツのランディ・ローズ、日本人の血を引くジェイク・E・リー(2人の間にはNIGHT RANGERのブラッド・ギルスなどもいましたが、ここでは割愛)に続くギタリスト、ザック・ワイルドは2人とも違ったカラーの持ち主。尊敬するギタリストとしてランディの名を挙げつつも、ブルースやカントリーからの影響も強く、その色合いは作品を重ねるごとに強く表れていきます。

しかし、本作ではまだその独特な個性は完全に発揮されているとは言いがたく、あくまで「オジーが主役のアルバム」の中で、与えられた見せ場の中だけで暴れている印象。とはいえ、そのギターソロやリフワークが尋常じゃないくらいカッコいいんですけどね。オープニング「Miracle Man」冒頭のリフだけで心を持っていかれた本人(私)が言うんですから、間違いない。そこから、あのギターソロ。ああ、すげえ奴が現れたぞ、と。正直、音源だけ聴いてたらオジーの存在を忘れてしまうくらいです(いや、そんなことはないけど)。

やたらとポップで「LAメタル版オジー」と言わんばかりの前作スタジオアルバム『THE ULTIMATE SIN』から一変、そして初期2作とも異なる攻撃性を持った楽曲&サウンドはBLACK SABBATH時代のそれとも異なり、1988年という時代に非常にマッチしたものでした。そういう意味では本作、ザックという若い未成熟な個性、そしてオジーのことを熟知したランディ・カスティロ、ボブ・ディズリーなど熟練メンバーのサポートが融合することで生まれた、奇跡的な1枚なのかもしれません。

頭3曲(「Miracle Man」「Devil's Daughter (Holy War)」「Crazy Babies」)の怒涛の構成、「Bloodbath in Paradise」「Fire in the Sky」の中盤、そして「Tattooed Dancer」「Demon Alcohol」の攻めまくりな後半。とにかく空きのない構成です。だからこそ、CDでボーナストラック的なポジションの「Hero」と「The Liar」は蛇足かなという気も。楽曲自体は悪くないけど、このアルバムの中では置きどころが難しいかなと。そこだけが勿体ないと思ってます。

オジーとザックの蜜月期は、続く1991年の6thアルバム『NO MORE TEARS』でピークを迎えますが、それはまた別の機会に。



▼OZZY OSBOURNE『NO REST FOR THE WICKED』
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投稿: 2017 01 13 12:00 午前 [1988年の作品, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2017/01/12

WINGER『WINGER』(1988)

そもそもWINGERってバンド名がズルい。カナ表記すれば「ウインガー」ですよ。「ウイング(=羽)」に「ガー」ですから。メタルばかり聴いてるボンクラ高校生からしたら「ヤベエ奴らが出てきたぞ!」とまず思うわけですよ。そこにきて、あの半裸に近いビジュアル(「Madalaine」や「Seventeen」のMVにて確認)とBON JOVIをやたらとムサくしたようなルックス。RATTっぽさがありつつも、あそこまでとっつきにくくない。そりゃ売れるわけですよ。

というわけで、1988年(またかよ……)という時代の恩恵をもっとも受けたバンド、WINGERのデビュー作です。アリス・クーパーのバンドに在籍したキップ・ウィンガー(Vo, B)とポール・テイラー(Key, G)、のちにDOKKENやWHITESNAKEでも活躍するレブ・ビーチ(G)、そしてDIXIE DREGSなどに在籍したロッド・モーゲンスタイン(Dr)という凄腕4人が繰り出すバンドサウンドはとにかくテクニカルなもので、「Hungry」や「Headed For A Heartbreak」などで聴けるアンサンブルは一瞬「プログレかよ!」と突っ込みたくなるようなもの。かと思えばRATT的な「Seventeen」や「Hangin' On」もあり(とはいえ、前者のバンドアンサンブルも非常にテクニカル)、楽器好きリスナーにも存分にアピールする内容ではないでしょうか。

さっきからやたらと「RATTっぽさ」「RATT的な」と書いてますが、それも納得、プロデューサーがRATTの諸作を手掛けてきたボー・ヒルですから。いわゆる「ボー・ヒル・サウンド」なるものがあるのかと問われると少々疑問ですが、でも彼がプロデュースしたRATTのアルバムやWINGERの本作、そしてWARRANTの2ndアルバム『CHERRY PIE』には少なからず共通点があるのは確か。各バンドともタイプは異なりますが、サウンドの質感やアレンジにその共通点は見つけられるはずです。

そんな「RATTサウンド」ならぬ「ボー・ヒル・サウンド」の恩恵を受け、なおかつ各メンバーの持つ地力や裏方生活で養った作曲&自己プロデュース能力のすべてを費やしたのが、このデビューアルバムだったのではないでしょうか。1988年という時代やプロモーションの力もあったと思いますが、本作は全米21位まで上昇し、100万枚以上のセールスを記録。シングルカットされた「Seventeen」が全米26位、「Headed For A Heartbreak」が全米19位、「Hungry」が全米85位と好成績を残しています。とはいえ、シングルカットされていない「Without The Night」や「State Of Emergency」「Time To Surrender」といった楽曲の完成度も侮れず、結局全曲捨て曲なしと言える1枚です(唯一のカバー曲、ジミヘンの「Purple Haze」は多少蛇足感が否めませんが)。

ということで、やっぱり今口にしてみても、WINGERってバンド名の響きはズルいと思います。



▼WINGER『WINGER』
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投稿: 2017 01 12 12:00 午前 [1988年の作品, Winger] | 固定リンク

2017/01/11

ONE OK ROCK『Ambitions』(2017)

初のオリコン1位を獲得した前作『35xxxv』から約2年ぶりに発表される、通算8枚目のオリジナルアルバム。リードトラックとして配信リリース&MVが公開された「Taking Off」や「Always coming back」を聴いて、前作で片鱗が見え隠れした「海外で流行している現在進行形のエモやポストハードコア」をより極めた作品と予想したファンも多いことでしょうが、その一言では片付けられない強烈な1枚に仕上がっています。

ミドルテンポの楽曲が軸で、先に挙げた要素を随所に織り交ぜつつも、聴けば「これぞワンオク!」と納得のいくものばかり。一聴するとどこかひんやりとした印象を受ける作風ながらも、その芯にはメラメラと燃える青白い炎が見え隠れする、聴くたびに新たな発見があるスルメ的魅力も備わっています。アヴリル・ラヴィーン(「Listen feat. Avril Lavigne」)や5 SECONDS OF SUMMER(「Take what you want feat. 5 Seconds Of Summer」)のゲスト参加も話題になるでしょうが、それ以上に1曲1曲の持つ熱量とエモさが勝る、今後のワンオクにとって間違いなく分岐点となる記念碑的作品集。個人的にはこの変化/進化を前向きに捉え、支持したいと思います。

なお、本作は海外向けにオール英語詞&一部楽曲差し替え対応したインターナショナル盤も同時制作&リリース。ALL TIME LAWのアレックスをフィーチャーした「Jaded feat. Alex Gaskarth」や、「Hard To Love」「American Girls」といった楽曲は本作のみで聴くことができるので、購入の際にはご注意を。

※このレビューは本作リリース時、『激ロック』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。



▼ONE OK ROCK『Ambitions』
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投稿: 2017 01 11 12:00 午後 [2017年の作品, ONE OK ROCK] | 固定リンク

VINNIE VINCENT INVASION『ALL SYSTEMS GO』(1988)

1987年から1989年くらいまで、TBSにて日曜深夜に放送されていたHR/HM系プログラム『PURE ROCK』。この番組の中ではアメリカのHR/HM系専門FM局「KNAC」でのオンエアチャートが紹介されていて、いわゆるシングルカットやMV制作されていない「アメリカのラジオならではの楽曲」がランクインしているのも特徴でした。

ここで個人的にずっと気になっていたのが、ロバート・プラントばりのハイトーンボーカルが印象的な「Ashes To Ashes」というミドルテンポの楽曲。「VINNIE VINCENT INVASION」というバンド名を目にして「Vが3も入ってるバンド名、カッコいいな」と、ボンクラにも程がある感想しか思い浮かばなかった自分、どうかと思います。だって、あれだけ愛聴してきたKISS『CREATURE OF THE NIGHT』の立役者であるヴィニー・ヴィンセントのバンドだって、最初の時点で気づかなかったんだから。

ヴィニーがKISS脱退後に結成したのが、このバンド。先の「Ashes To Ashes」が収録されているのが、1988年(またかよ)に発表された2ndアルバムにしてラスト作となる『ALL SYSTEMS GO』でした。当時のメンバーはヴィニー(G)のほか、マーク・スローター(Vo)、ダナ・ストラム(B)、ボビー・ロック(Dr)という4人。バンド解散後、マークとダナはご存知、SLAUGHTERとして1990年にデビュー作『STICK IT TO YA』を発表して大ブレイク。ボビーはNELSONに加入して、同じく1990年にデビュー作『AFTER THE RAIN』が大ヒットしています。ヴィニー、踏んだり蹴ったりだな。

さて、アルバムのほうですが……結果論ではありますが、のちのSLAUGHTERにも通ずる重厚なコーラスワークと適度に軽いアメリカンハードロックサウンドを交えつつ、ヴィニーのアグレッシヴなギタープレイとマークの超絶ハイトーンボーカルが終始暴れまくる1枚となっております。ちょっとクラシカルな要素を持つ楽曲は「Ashes To Ashes」や、シングルカットされ映画『エルム街の悪夢4 ザ・ドリームマスター 最後の反撃』のサントラにも収録された「Love Kills」、ミディアムテンポのバラードタイプ「That Time Of Year」ぐらいでしょうか。

残りはどこかしらに脳天気さが見え隠れする、アメリカナイズされたハードロック。もちろんそれはそれでカッコいいので問題ないですが、本作を聴くと改めてヴィニーって「KISSの人」なんだなと実感させられるわけです。かといって、単なる「KISSの延長」で終わっておらず、ちゃんとKISS時代に見せた以上のことを楽しめるし、何よりマーク・スローターという稀代のシンガーと組んだことによる奇跡を見せてもらえたという意味でも非常に価値のある1枚なんじゃないでしょうか。

KISSファンすべてが楽しめるかと問われると疑問ですし、両手をあげてオススメはしませんが、少なくともSLAUGHTERの諸作品が気に入っているというHR/HMファンには間違いなく楽しめる作品だと思います。SLAUGHTERよりもギターが前面に出ていて、適度に激しさもあるので十分堪能できるはずです。



▼VINNIE VINCENT INVASION『ALL SYSTEMS GO』
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投稿: 2017 01 11 12:00 午前 [1988年の作品, Slaughter, Vinnie Vincent Invasion] | 固定リンク

2017/01/10

TIN MACHINE『TIN MACHINE』(1989)

デヴィッド・ボウイが初めてバンドを組む、という話題だけが先行し、その音楽性自体は二の次だったような記憶が残るTIN MACHINE。思えば80年代に入ってから以前の“ペルソナ”をすべて剥ぎ取り、『LET'S DANCE』で大ヒットを収めたものの、そこから状況は尻すぼみに。新たな鍵を手にするため、現状打破を考えてのバンド結成だったのかなと思うわけです。

ボウイ(Vo, G)、リーヴス・ガブレルス(G)、トニー・セイルス(B)、ハント・セイルス(Dr)という4人で制作された1stアルバム『TIN MACHINE』は、過去のボウイのカラーを覆すような、ボウイのみならず他の3人のカラーも見事に入り混じった、真の意味でのバンド作品。どこかブルージーで変態的な「Heaven's In Here」からゆったりとスタートするアルバムは、続くタイトルトラック「Tin Machine」を起点に熱量が上がっていきます。全体の印象としてはギター主体の古き良き時代のハードロック的手法がベースで、そこにボウイらしい翳りと湿り気のある歌声&歌メロが加わることで既存のハードロックとは異なるスタイルを確立。3曲目「Prisoner Of Love」なんて、まさにその好例だと思います。

たぶん時代だったんでしょうね。世の中的にロックバンドが世界を席巻し、それまでの数年間動くことのなかったROLLING STONESまでレコーディング&ツアーを開始したのが1989年だし。ボウイにしても何か新しいことをすべきだと感じていたでしょうし、それがたまたまバンドだったと。世が世だったら、これがヒップホップやテクノだった可能性もあるし。それはそれで聴いてみたかったですけどね。

ヘヴィにアレンジされたジョン・レノンのカバー「Working Class Hero」やストレートな「Under The God」「Sacrifice Yourself」あたりを聴くと、もう一度くらいステージでこれらの楽曲を歌ってもよかったんじゃないか、なんて思ったり。もはやそれすら叶わぬ夢ですが。1991年に発表された2ndアルバム『TIN MACHINE II』がもし失敗していなかったら、このバンドがどこまで続いていたのかな……とはいっても、きっと短命で終わったんでしょうけどね。



▼TIN MACHINE『TIN MACHINE』
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投稿: 2017 01 10 12:00 午前 [1989年の作品, David Bowie, Tin Machine] | 固定リンク

2017/01/09

祝ご成人(1996年4月〜1997年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて実施したこの企画、今回で3回目を迎えます。今年も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1996年4月〜1997年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちらです)


ATARI TEENAGE RIOT『THE FUTURE OF WAR』(Amazon

BECK『ODELAY』(Amazon

BLUR『BLUR』(Amazon

DEF LEPPARD『SLANG』(Amazon

THE HELLACOPTERS『SUPERSHITTY TO THE MAX!』(Amazon)(レビュー

HONEYCRACK『PROZAIC』(Amazon)(レビュー

KORN『LIFE IS PEACHY』(Amazon)(レビュー

KULA SHAKER『K』(Amazon

MANIC STREET PREACHERS『EVERYTHING MUST GO』(Amazon)(レビュー

MANSUN『ATTACK OF THE GREY LANTERN』(Amazon)(レビュー

MARILYN MANSON『ANTICHRIST SUPERSTAR』(Amazon)(レビュー

METALLICA『LOAD』(Amazon)(レビュー

OCEAN COLOUR SCENE『MOSELEY SHOALS』(Amazon

PANTERA『THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL』(Amazon)(レビュー

RAGE AGAINST THE MACHINE『EVIL EMPIRE』(Amazon

REEF『GLOW』(Amazon

SUEDE『COMING UP』(Amazon

TOOL『AENIMA』(Amazon)(レビュー

U2『POP』(Amazon)(レビュー

WEEZER『PINKERTON』(Amazon)(レビュー


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。以下、主だった作品をざっと羅列します。

AEROSMITH『NINE LIVES』
ALICE IN CHAINS『UNPLUGGED』
ARCH ENEMY『BLACK EARTH』
ASH『1977』
BEN FOLDS FIVE『WHATEVER AND EVER AMEN』
THE BLACK CROWES『THREE SNAKES AND ONE CHARM』
THE BOO RADLEYS『C'MON KIDS』
BJORK『TELEGRAM』
BRYAN ADAMS『18 TIL I DIE』
BUSH『RAZORBLADE SUITCASE』
CARCASS『SWANSONG』
THE CARDIGANS『FIRST BAND ON THE MOON』
THE CURE『WILD MOOD SWINGS』
DAFT PUNK『HOMEWORK』
DAVID BOWIE『EARTHLING』
DINOSAUR JR.『HAND IT OVER』
ELVIS COSTELLO & THE ATTRACTIONS『ALL THIS USELESS BEAUTY』
FIONA APPLE『TIDAL』
FOUNTAINS OF WAYNE『FOUNTAINS OF WAYNE』
GEORGE MICHAEL『OLDER』
HELMET『AFTERTASTE』
IMPERIAL DRAG『IMPERIAL DRAG』
JAMIROQUAI『TRAVELLING WITHOUT MOVING』
JOURNEY『TRIAL BY FIRE』
LUSCIOUS JACKSON『FEVER IN FEVER OUT』
MACHINE HEAD『THE MORE THINGS CHANGE…』
MANOWAR『LOUDER THAN HELL』
MATTHEW SWEET『BLUE SKY ON MARS』
MICHAEL SCHENKER GROUP『WRITTEN IN THE SAND』
NIRVANA『FROM THE MUDDY BANKS OF THE WISHKAH』
PATTI SMITH『GONE AGAIN』
PEARL JAM『NO CODE』
PET SHOP BOYS『BILINGUAL』
PRINCE『EMANCIPATION』
R.E.M.『NEW ADVENTURES IN HI-FI』
ROLLINS BAND『COME IN AND BURN』
RUSH『TEST FOR ECHO』
SCORPIONS『PURE INSTINCT』
SLAYER『UNDISPUTED ATTITUDE』
SLOAN『ONE CHORD TO ANOTHER』
SOUNDGARDEN『DOWN ON THE UPSIDE』
STEVE VAI『FIRE GARDEN』
STRAPPING YOUNG LAD『CITY』
SUPER FURRY ANIMALS『FUZZY LOGIC』
VERUCA SALT『EIGHT ARMS TO HOLD YOU』
ZAKK WYLDE『BOOK OF SHADOWS』
THE WiLDHEARTS『FISHING FOR LUCKIES (East West Version)』
ZZ TOP『RHYTHMEEN』


1995年から1996年初頭がブリットプップの最盛期と昨年のブログに書きましたが、続く1996年から1997年にかけてはその最盛期から末期に向かっていく過程。BLURが1997年初頭に発表したセルフタイトルアルバムが「ブリットポップの終焉」を決定づけたのは間違いないでしょう。KULA SHAKERやMANSUNのデビュー作、MANICS、OCS、REEFの諸作、そして選外でしたがASHのデビュー作などはその末期に輝いた傑作だと思っております。

そして、アメリカではRATM、KORN、TOOL、MARILYN MANSONのブレイクにより新たなヘヴィロックシーンが確立されるタイミング。と同時に、ベックやWEEZERといったアーティストたちも新たなオルタナシーンを築き上げておりました。その一方で、METALLICAやDEF LEPPARDといった大御所たちが迷走していたのも、このタイミングの面白いところ。それぞれピックアップした作品は、各バンドのキャリアの中でも迷作扱いされることの多いものですが、今聴くと意外と悪くないから不思議。今回選出した動画20曲の中に混じっても、実はあまり違和感がない音楽性だったりします。面白いもんですね。

あ、1997年に入ると同時にU2が『POP』を出したり、ATRの2ndアルバムが話題になったりと、新たな可能性が見え始めたのも興味深いですね。

ちなみに日本での1996年4月〜1997年3月といいますと、TK作品のチャート独占やプリンセス・プリンセスの解散、米米CLUBの解散発表(ラストライブは翌年)、TMRやPUFFY、ELT、SPEEDのデビューなど、音楽産業的にもピークを迎えつつあった時期でした。

最後に。ここではピックアップしませんでしたが、1996年で特に印象に残っているのは「恋のマカレナ」と「Wannabe」です。



▼SPICE GIRLS『SPICE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 01 09 12:00 午前 [1996年の作品, 1997年の作品, Atari Teenage Riot, Beck, Blur, Def Leppard, Hellacopters, The, Honeycrack, Korn, Kula Shaker, Manic Street Preachers, Mansun, Marilyn Manson, Metallica, Ocean Colour Scene, Pantera, Rage Against The Machine, Reef, Suede, Tool, U2, Weezer] | 固定リンク

2017/01/08

個人的に気になるメタル系職業作家15選

先日KIX『BLOW MY FUSE』を紹介した際、知人が文中に登場したテイラー・ローズやボブ・ハリガンJr.といった職業作家に興味を持ったらしく、「デズモンド・チャイルドやホリー・ナイトあたりは調べたことあるんですが、メタル職業作家の存在すごく気になります」というコメントをいただきました。

実際、80年代後半以降、特にBON JOVIやAEROSMITHの大ヒット以降こういった職業作家の存在はメタル系アーティストにとっても欠かせない存在になっています。90年代に入ると、SCORPIONSやオジー・オズボーンといった大御所ですら採用し始めるわけですからね。それまでバンドの力だけですべてをまかなおうとしていたところ、「もっといい曲を!」というバンド自身の姿勢から積極的に、もしくはレコード会社からの圧力からイヤイヤこういったアクションに行動を移すようになったのかもしれません。

また、職業作家の楽曲をアーティストが取り上げるケースには幾つかのパターンがあり、


①作家が以前発表した楽曲をカバー。
②作家とアーティストが共作(アーティストが書いた楽曲をテコ入れする、あるいは逆のケース)。
③プロデューサーとして制作に加わり、楽曲制作にも携わる。
④作家が書いた新曲をそのまま取り上げる。


の4つが考えられるかと。現在のメタルシーンでは多くの場合②が主流だと思いますが、まれに③で大ヒットを飛ばすケースも見受けられます(AEROSMITHの「I Don't Want To Miss A Thing」など)。

そこで今回は、CDのブックレットでよく目にする作家さんをピックアップしつつ、その中から個人的にピンとくる方々をここで紹介。作家の特性を上記の①〜④で分類し、代表曲な楽曲を紹介していきたいと思います。


<70年代〜>

●ラス・バラード(特性:①②)
この人の場合は楽曲提供というよりも、彼が自身のバンドや他のアーティストに提供した曲をメタル系アーティストがカバーしたことにより、その名が知られるようになったと言ったほうがいいかもしれません。きっかけはグラハム・ボネット期のRAINBOWがカバーした「Since You Been Gone」ですよね。RAINBOWは続くジョー・リン・ターナー期にも「I Surrender」をカバーしてますし。そのRAINBOWの数年前に、当時KISSのエース・フレーリーもラス・バラッド作「New York Groove」をカバーして全米トップ20入りのヒットを記録。KISS自身も90年代に「God Gave Rock And Roll To You」を「God Gave Rock And Roll To You II」と改題してカバーしてますしね。それと今回いろいろ調べて初めて気づいたのですが、NIGHT RANGERが最初の解散前に発表したアルバム『MAN IN MOTION』からのリード曲「I Did It For Love」もラス・バラッド作。加えて、これも全然気にしてなかったんですが、BAD ENGLISHのラストアルバム『BACKLASH』収録曲「So This Is Eden」はジョン・ウェイト(Vo)、ジョナサン・ケイン(Key)との共作曲。時代的に90年代に入ってからの作品なので、世の中的に職業作家との共作が当たり前になった時期にそれまでのカバーとは違った形でのコラボレーションが実現したわけです。

代表作品:ACE FREHLEY「New York Groove」「Into the Night」、BAD ENGLISH「So This Is Eden」、GRAHAM BONNET「Liar」「S.O.S.」、KING KOBRA「Dream On」、KISS「God Gave Rock And Roll To You」、NIGHT RANGER「I Did It For Love」、PETER CRISS「Let Me Rock You」「Some Kinda Hurricane」、RAINBOW「Since You Been Gone」「I Surrender」


●リチャード(リッチー)・スパ(特性:①②④)
AEROSMITH「Chip Away The Stone」の作者として知られる彼は、もともとソングライター兼ギタリストとして活動していたアーティスト。ソロアーティストとして70年代にアルバムも発表しており、この中からジョニー・ウィンターが「Stone County Wanted Man」をカバーしています。また、エアロにはその後も楽曲提供を幾つかしているだけでなく、ジョー・ペリーが脱退した際にはレコーディングにも参加(1979年のアルバム『NIGHT IN THE RUTS』収録の「No Surprize」「Mia」)。それ以外に目立った共演は、元BON JOVIのリッチー・サンボラの2ndソロアルバム『UNDISCOVERD SOUL』での共作ぐらい。メタル系以外では、P!NKやMIKAといったアーティストにも楽曲提供しています。

代表作品:AEROSMITH「Chip Away The Stone」「Lightning Strikes」「Amazing」「Pink」、OZZY OSBOURNE「Back On Earth」、RICHIE SAMBRA「Hard Times Come Easy」


<80年代〜>

●ジム・ヴァランス(特性:②)
この人はブライアン・アダムスとの共作者としての印象が強いですが、そのブライアンと一緒に書いた2曲がKISS『CREATURES OF THE NIGHT』に収録されたのが、メタル系との最初の接触でしょうか。その後、80年代半ばにはHEART「What About Love」の全米ヒットを皮切りに、AEROSMITH「Rag Doll」を機にエアロとの仕事が増えていきます。ちょうど80年代後半になると、ブライアンとジムの関係も一時的に疎遠になり、メタルのみならず幅広いジャンルのアーティストと共作を重ねていきます。

代表作品:AEROSMITH「Rag Doll」「Eat The Rich」、ALICE COOPER「Die For You」「Lullaby」、HEART「What About Love」、KISS「War Machine」、OZZY OSBOURNE「I Just Want You」、SCORPIONS「Tease Me Please Me」


●デズモンド・チャイルド(特性:②③④)
BON JOVI「You Give Love A Bad Name」「Livin' On A Prayer」でのイメージが強い彼ですが、実は70年代末にKISS「I Was Made For Lovin' You」をポール・スタンレー、ヴィニ・ポンシア(KISS作品でのコラボレーションが有名なソングライター)と共作しています。なので、上の世代の方々はBON JOVIがヒットした際に「KISSのラヴィン・ユー・ベイビーの人」と思ったかもしれません。BON JOVIでの大成功後、AEROSMITH、アリス・クーパーから引っ張りだこ。そのすべての楽曲がヒットにつながっています。興味深いところではRATTの5thアルバム『DETONATOR』のプロデュースおよび楽曲制作、DREAM THEATERへの楽曲提供といったものもあります。また、HR/HM以外にもジョーン・ジェット「I Hate Myself for Loving You」、リッキー・マーティン「Livin' la Vida Loca」、ZEDD「Beautiful Now」、WEEZER「Trainwrecks」といったところでも名前をみかけます。

代表作品:AEROSMITH「Dude (Looks Like A Lady)」「Angel」「Crazy」、ALICE COOPER「Poison」、BON JOVI「You Give Love A Bad Name」「Livin' On A Prayer」「Bad Medecine」、DREAM THEATER「You Not Me」、KISS「I Was Made For Lovin' You」「Heaven's On Fire」、MEAT LOAF「The Monster Is Loose」、RATT「Shame Shame Shame」「Lovin' You's A Dirty Job」、RICHIE SAMBRA「Rosie」


●ダイアン・ウォーレン(特性:②④)
カナダ出身の女性ソングライターで、80年代前半から作家としての活動を開始。最初にヒット曲はローラ・ブラニガン「Solitaire」でした。メタル系では80年代後半、HEART「Who Will You Run To」、BON JOVI「Wild Is The Wind」あたりで最初に名前を目にするようになったと記憶しています。が、メタルシーン彼女の名が本当の意味で知られるようになるのは、その10数年後に発表された映画『アルマゲドン』のテーマソングであるAEROSMITH「I Don't Want To Miss A Thing」でのこと。このインパクトは強かったと思います。しかし、非メタルシーンではホイットニー・ヒューストン、ビヨンセ、マライア・キャリーといったアーティストへの楽曲提供ですでにキャリアを積んでおり、中でも「Because You Loved Me」をはじめとするセリーヌ・ディオンとのヒットは「I Don't Want To Miss A Thing」と同じくらい大きなものでした。

代表作品:AEROSMITH「I Don't Want To Miss A Thing」「We All Fall Down」、ALICE COOPER「Bed Of Nails」、BON JOVI「Wild Is The Wind」「Thank You For Loving Me」、CHEAP TRICK「Ghost Town」「Wherever Would I Be」、HEART「Who Will You Run To」「I Didn't Want To Need You」、KISS「Turn On The Night」、MEAT LOAF「I'd Lie For You (And That's The Truth)」「Not A Dry Eye In The House」、RICHIE SAMBRA「Rosie」


●ホーリー・ナイト(特性:②④)
ダイアン・ウォーレンと同時期に名前を目にする機会が増えた、同じく女性ソングライター。そして、自身もシンガーとしての活動をしています。ティナ・ターナーやパット・ベネターといったポップ/ロック系を経て、HR/HM系ではHEART「Never」が最初だったのかな。そこからAEROSMITH「Rag Doll」、BON JOVI「Stick To Your Guns」でメンバーや他の職業作家と共作を繰り広げます。CHEAP TRICKやKISS、オジー、MEAT LOAFといった面々から想像される、ポップで親しみやすい楽曲作りがメイン。とはいえ、OTEPといったモダンラウド系へも楽曲提供しているから、なかなかあなどれません。

代表作品:AEROSMITH「Rag Doll」、BON JOVI「Stick To Your Guns」、CHEAP TRICK「Space」、HEART「Never」「There's The Girl」、KISS「Hide Your Heart」「I Pledge Allegiance To The State Of Rock & Roll」「Raise Your Glasses」、LITA FORD「Stiletto」、LOU GRAMM「Just Between You and Me」、MEAT LOAF「Monstro」「Alive」、OTEP「Perfectly Flawed」「UR A WMN NOW」、OZZY OSBOURNE「Slow Burn」、PAUL STANLEY「It's Not Me」


●ロバート・ジョン・マット・ラング(特性:②③④)
ソングライターというよりもプロデューサーのイメージが強い存在ですよね。古くはAC/DCやFOREIGNER、そしてDEF LEPPARD、90年代にはブライアン・アダムス、2000年代はNICKELBACKやMUSE、さらにはLADY GAGAあたりも手掛けております。主にDEF LEPPARDのメガヒット作『HYSTERIA』において、全曲にクレジットされているところから、曲作りの面においてもある程度コントロールしながらプロデュースしていくタイプなんでしょうね。他にはHEART、LOVERBOYの楽曲制作にも携わっているようです。

代表作品:DEF LEPPARD『HYSTERIA』全曲、「Promises」「It's Only Love」、HEART「All I Wanna Do Is Make Love To You」「Will You Be There (In The Morning)」、LOVERBOY「Lovin' Every Minute Of It」


●ジャック・ポンティ(特性:②③④)
BON JOVIのデビュー作に収録された「Shot Through The Heart」でその名を目にして以降は、BONFIRE、DORO、KEELとB級バンドとの仕事が多いイメージ。90年代に入るとNELSON、アリス・クーパーへの楽曲提供で再びその名を目にするようになります。彼自身はプロデューサー業も行っており、BATON ROUGEやDOROといった正統派からKITTIE、OTEPなどのモダン系まで幅広く手掛けています。

代表作品:ALICE COOPER「Hey Stoopid」「Love's A Loaded Gun」、BABYLON A.D.「The Kid Goes Wild」、BATON ROUGE「The Price Of Love」、BONFIRE「Sweet Obsession」「Hard On Me」、BON JOVI「Shot Through The Heart」、DORO「Eye On You」「Ceremony」、KEEL「Somebody's Waiting」、NELSON「We Always Want What We Can't Get」


●ボブ・ハリガン・Jr.(特性:②④)
自身もシンガーとして活動するソングライター。メタル系アーティストへの楽曲提供がメインで、JUDAS PRIESTのアルバム『SCREAMING FOR VENGEANCE』に収録された「(Take These) Chains」で始めてその名を目にした人がほとんどでは? プリーストには次作でも「Some Heads Are Gonna Roll」を提供したほか、ロブ・ハルフォードのHALFORDにも「Twist」を提供しています。また、80年代末にKIX「Don't Close Your Eyes」のヒットによって、さらに知名度を高めることに成功。90年代には自身のソロアルバムも2枚制作しているようです。

代表作品:BLUE OYSTER CULT「Beat 'Em Up」「Make Rock Not War」、BONFIRE「Bang Down The Door」、HALFORD「Twist」、HELIX「Rock You」、ICON「Danger Calling」、「Raise The Hammer」、JUDAS PRIEST「(Take These) Chains」「Some Heads Are Gonna Roll」、KISS「Rise to It」「Read My Body」、KIX「Midnite Dynamite」「Don't Close Your Eyes」


<90年代〜>

●テイラー・ローズ(特性:②④)
88年発売のKIX「Cold Blood」でその名を目にしたのが最初で、本格的に活躍し始めたのは90年代に入ってから、AEROSMITHとのコラボレーションが活発化して以降のこと。「Cryin’」というヒットシングルがひとつのきかっけになったことは間違いありません。

代表作品:AEROSMITH「Cryin'」「Blind Man」「Full Circle」、CHEAP TRICK「Back 'n Blue」、JOURNEY「All The Way」、KIX「Cold Blood」「Hot Wire」、LOVERBOY「Love Will Rise Again」、OZZY OSBOURNE「Back On Earth」、TORA TORA「Amnesia」「Faith Healer」、Y&T「Contagious」


●マーク・ハドソン(特性:②③)
シンガーソングライター、TVパーソナリティなどを経て、プロデューサーや職業作家としての道を進み始めます。AEROSMITH「Livin' On The Edge」でその名を広く知らしめ、グラミー賞も受賞しました。エアロとの仕事はアルバム『JUST PUSH PLAY』でスティーヴン・タイラー&ジョー・ペリー、次に触れるマーティ・フレデリクセンとのチームで「Boneyard Boys」と名乗り、プロデュースやソングライティングを行いました。他にはアリス・クーパー、オジー・オズボーン、BON JOVI、SCORPIONSと大御所ばかりと共作。他にはリンゴ・スターとのコラボレーションも有名どころです。

代表作品:AEROSMITH「Livin' On The Edge」「Gotta Love It」「The Farm」、ALICE COOPER「Cleansed by Fire」、BON JOVI「Two Story Town」、OZZY OSBOURNE「Ghost Behind My Eyes」「Denial」、SCORPIONS「No Pain No Gain」


●マーティ・フレデリクセン(特性:②③)
AEROSMITHのアルバム『NINE LIVES』で頭角を表して以降、同バンドとのコラボレーションを重ねていきます。上のマーク・ハドソンでも触れたように、スティーヴン・タイラー&ジョー・ペリー、マーク・ハドソンとの4人で「Boneyard Boys」というチームで、続くアルバム『JUST PUSH PLAY』のプロデュースやソングライティングも手掛けました。以降はBUCKCHERRY、MOTLEY CRUE、DAUGHTRYなどへの楽曲提供、DEF LEPPARD『X』のミキシングといったHR/HM系仕事のほか、キャリー・アンダーウッド、フェイス・ヒルとの共作でも知られています。

代表作品:AEROSMITH「Nine Lives」「Jaded」「Fly Away from Here」「Sunshine」、BUCKCHERRY「Next 2 You」「Sorry」、THE CULT「Breathe」、DAUGHTRY「Crawling Back To You」「Outta My Head」、JAMES DURBIN「Higher Than Heaven」「Love Me Bad」、MOTLEY CRUE「Saints of Los Angeles」「Mutherfucker Of The Year」、OZZY OSBOURNE「Dreamer」「That I Never Had」、RICHIE SAMBRA「Who I Am」、SCORPIONS「10 Light Years Away」「We Were Born To Fly」、STEVEN TYLER「(It) Feels So Good」


●グレン・バラッド(特性:②③)
この人は90年代中盤、アラニス・モリセット『JAGGED LITTLE PILL』のプロデュース&楽曲制作で一気に名を馳せることになりますが、それ以前にもソングライターやミュージシャン、プロデューサーとしてマイケル・ジャクソン、ポーラ・アブドゥル、WILSON PHILLIPSなどの代表作に参加して経験を積んできました。アラニスの成功により、AEROSMITHが1997年のアルバム『NINE LIVES』のプロデューサー兼コラボレーターとして白羽の矢を立てるのですが、その内容に納得できずに制作途中でコラボを解消。結果的には一部の楽曲をケヴィン・シャーリーのプロデュースで再録音したり新たに楽曲を書き足したりして、現在の形にまとまるという、エアロファンには忘れられない事件を引き起こします。以降、HR/HM系アーティストとの共作はほとんどなく、エアロ以前にVAN HALENにデイヴ・リー・ロスが一時復帰した際の新曲に携わった程度でしょうか。本来ならここで取り上げるまでもない存在なのですが、トピック的に面白かったので残してみました。

代表作品:AEROSMITH「Falling in Love (Is Hard on the Knees)」「Taste of India」「Pink」、VAN HALEN「Me Wise Magic」「Can't Get This Stuff No More」


<2000年代〜>

●アンドレアス・カールソン(特性:②)
スウェーデン出身のプロデューサー、ソングライター。現在40代前半と、上記の作家陣と比べると若手の部類に入ります。ということで、彼が活躍し始めたのも2000年前後から。一番の出世作はBACKSTREET BOYS「I Want It That Way」でしょうか。彼はブリトニー・スピアーズやWESTLIFE、NSYNCと当時のアイドルを手がけることが多かったのも特徴です。そういったポップフィールドでの活躍が評価されて、2002年にBON JOVIがアルバム『BOUNCE』で「Everyday」「Misunderstood」など、DEF LEPPARDがアルバム『X』で「Unbelievable」を共作します。同じタイミングにこの2バンドが彼を採用したことで、僕も印象に残っていました。HR/HM系では他にもポール・スタンレーのソロアルバム『LIVE TO WIN』、EUROPEの異色作『LAST LOOK AT EDEN』にも参加しています。

代表作品:BON JOVI「Everyday」「Misunderstood」「All About Lovin' You」、DEF LEPPARD「Unbelievable」、EUROPE「Last Look At Eden」「New Love in Town」、PAUL STANLEY「Live To Win」「Wake Up Screaming」「Bulletproof」


●ジェイムズ・マイケル(特性:②③)
プロデューサーやソングライターとしてより、現在はニッキー・シックス(元MOTLEY CRUE)とのバンド、SIXX: A.M.のフロントマンとして有名かな。さまざまなバンドを経て、2000年にソロデビュー。ちょうどこのころにニッキー・シックスと出会い、MOTLEY CRUEのトミー・リー不在アルバム『NEW TATTOO』にソングライターとして参加します。以降は同じくニッキーが参加したBRIDES OF DESTRUCTION、そしてSIXX: A.M.へと続いていくわけです。他にはPAPA ROACH、HALESTORM、ジェイムズ・ダービンといったモダンなアーティストのほか、SCORPIONS、MEAT LOAFなどの大御所との共演も実現しています。またプロデューサー/エンジニアとしてはHAMMERFALLのアルバムも手掛けています。

代表作品:BRIDES OF DESTRUCTION「Brace Yourself」「Natural Born Killers」、HALESTORM「Private Parts」、JAMES DURBIN「Higher Than Heaven」、MEAT LOAF「Couldn't Have Said It Better」「Did I Say That?」、MOTLEY CRUE「New Tattoo」「Sick Love Song」「Saints of Los Angeles」、PAPA ROACH「I Almost Told You That I Loved You」、SCORPIONS「Hour I」、SIXX: A.M.「Life Is Beautiful」「Lies of the Beautiful People」「Gotta Get It Right」


以上、15名を独断と偏見で挙げてみました。やはり80年代中盤、アメリカでHR/HMが大ヒットしたことがメタル系職業作家の繁栄につながったと言って間違いなさそうですね。正直2000年代以降はどういった人たちが主流なのかいまいち調べきれず、こういう形になってしまいました。

改めて思ったのは、BON JOVIやAEROSMITHといった先駆者たち、そしてオジーやSCORPIONSなどの大御所アーティストが新作を出すたびにクレジットに注目しておくのが、一番手っ取り早いなと思いました。

そういう意味でも、この(↓)アルバムは歴史を変えた重要な1枚かもしれませんね。



▼BON JOVI『SLIPPERY WHEN WET』
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投稿: 2017 01 08 12:00 午後 [Aerosmith, Alice Cooper, Bon Jovi, Buckcherry, Def Leppard, Europe, Heart, Kix, Night Ranger, Ozzy Osbourne, Richie Sambora, Scorpions, Sixx:A.M., Van Halen, 「分析ネタ」] | 固定リンク

YNGWEI J. MALMSTEEN'S RISING FORCE『ODYSSEY』(1988)

イングヴェイ・マルムスティーンのソロ名義(RISING FORCE名義含む)での通算4作目のアルバム。いわゆるギターファンには初期3作(1984年の『RISING FORCE』、1985年の『MARCHING OUT』、1986年の『TRILOGY』)に対する評価が高いと思うのですが、そもそもそこまで速弾きが好みではない自分からすると、初期のインスト主体の作風はそこまでピンとこなくて。むしろそのへんは大人になってからのほうが受け入れられるようになった気がします。

で、この4thアルバム『ODYSSEY』はそれまでの歴代シンガー(ジェフ・スコット・ソート、マーク・ボールズ)のように、当時そこまで知名度の高くなかった方々と違い、すでに名のあるジョー・リン・ターナー(後期RAINBOW)をフロントマンに据えることで、一気にメジャー感が増した1枚。何より、歌メロの親しみやすさが急増したのがポイントで、本作からの1stシングル「Heaven Tonight」のキャッチーさ(これこそ「All Night Long」以降RAINBOWが目指したポップ路線の延長)がすべてを物語ってるんじゃないでしょうか。イングヴェイ、この曲によって本気で全米制覇を目指したんだろうなぁ。

本作がリリースされたのも1988年(この縛り、まだ続いてたのか。笑)。前年1987年にBON JOVI、WHITESNAKE、DEF LEPPARD、MOTLEY CRUE、そしてGUNS N' ROSESらが勃発させたアメリカでのHR/HMブームによって、いわゆるB級バンドにまで注目が集まり始めたタイミングということもあり、それまでカルト的な人気を誇るギタリストだったイングヴェイも「これは!」と思ったに違いない。そこで手に入れた相棒ジョー・リン・ターナーの知名度と実力によって「俺、行けるんちゃう?」と思ったことでしょうね。

確かに本作、これまでの彼の作品の中ではもっとも高い全米40位という記録を樹立。イギリスでも初のチャートイン(27位)を果たしており、それなりの結果を残しております。実際「Heaven Tonight」のMVも当時MTVなどでかなり目にしたんじゃないでしょうか(ここ日本でもTBS『PURE ROCK』でオンエアされてましたし)。でも、ジョーはこのアルバム1枚のみで脱退。その後、セールスにおいては本作並みの成功を手にいれることはできておりません。ただ、別の意味で知名度は高めたので、それはそれでいいんじゃないでしょうか。

(にしても、このMVでのボーカル以上に目立とうとするイングヴェイ。冷静に観ると笑えてきますね)

このアルバム、今聴いても本当に良い“歌モノ”HRアルバムですね。オープニング2曲「Rising Force」「Hold On」の美メロ、ポップな「Heaven Tonight」、泣きの「Dreaming (Tell Me)」、ゴリ押しのインスト「Bite The Bullet」からドラマチックな歌モノ「Riot In The Dungeons」や「Deja Vu」、終盤のクライマックス「Faster Than The Speed Of Light」から続くインスト2連発「Krakatau」「Memories」。単なる歌モノで終わらせず、ちゃんとイングヴェイらしい自己主張もインスト3曲で果たしてる。このバランス感でかろうじて「イングヴェイのアルバム」という面目を果たしているというか。さすがですね。

改めてクレジットを見ると、ベースにボブ・ディズリーが参加してたり、ドラム&キーボードがアンダース&イエンス・ヨハンソン兄弟だったり、ミックスを担当してるのがスティーヴ・トンプソン&マイケル・バルビエロだったりと、いろいろ時代を感じさせます。そういえば、過去3作と比べて音質が良くなった気がしたのも、こういったエンジニア陣の尽力によるものだったんですね。納得です。



▼YNGWEI J. MALMSTEEN'S RISING FORCE『ODYSSEY』
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投稿: 2017 01 08 12:00 午前 [1988年の作品, Yngwei Malmsteen] | 固定リンク

2017/01/07

RIOT『THUNDERSTEEL』(1988)

RIOTの記念すべき復活作、というか第二のデビュー作と呼ぶにふさわしい1988年発売の6thアルバム。RIOTというと頭がオットセイ、首から下が人間という謎のキャラクターが映ったジャケットのイメージが先行しがちですが、楽曲的には「Warrior」や「Narita」といった初期のイメージが強かったと思います。ツインリードを多用した、古き良き時代のハードロックといいますか。良くも悪くもそのイメージ止まりだったかなと。しかも80年代に入ると、これといった大きなヒットにも恵まれず、徐々に先細りしていたと思うんです。

ところが、1988年に突如この『THUNDERSTEEL』というアルバムとともに大復活。アルバムで聴ける音楽性もオールドスクールなハードロックから、一気にパワーメタルやスラッシュメタル的なスタイルへと進化したもんだから、そりゃ当時はびっくりしましたよ。

ハイトーンボーカルが特徴のトニー・ムーア、そして超絶ドラマーのボビー・ジャーゾンベクの加入がバンドにもたらした影響はかなり大きかったと思います(レコーディングでは一部のドラムを当時LIONのマーク・エドワーズが叩いてます)。哀愁に満ちたメロディはそのままに、リフワークやアレンジは現代的なものになり、スピード感もヘヴィさも当時のメタルに負けないものでしたし、実際言われなかったらこれがRIOTの新作だと誰も信じなかったと思います。

のちに、これと同じような体験をとあるバンドですることになるんですよね。それがJUDAS PRIESTの『PAINKILLER』(1990年)。感覚的にはあれに近いかもしれません。もっと最近だと……いい例え、ありますかね?

とにかく。今聴いてもオープニングの「Thundersteel」の衝撃は変わらないし、「Flight Of The Warrior」や「On Wings Of Eagles」、「Johnny's Back」の疾走感は気持ちいいし、「Bloodstreets」や「Run For Your Life」のパワーメタル感はハンパないし、聴いていてため息が出る。こういう変化の仕方、こういう成功の仕方もあるんですね。

残念ながら2012年にリーダーのマーク・リアリ(G)が亡くなってしまいましたが、バンドは現在も存続中。2014年にはアルバム『UNLEASH THE FIRE』を発表し、何度か来日公演も行いました。

このアルバムも1988年発売。そう考えると、HR/HMシーンにおける1988年ってひとつのピークだったのかもしれないですね。



▼RIOT『THUNDERSTEEL』
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投稿: 2017 01 07 12:00 午前 [1988年の作品, Riot] | 固定リンク

2017/01/06

KIX『BLOW MY FUSE』(1988)

この曲、よくTBS『PURE ROCK』でオンエアされてましたよね。ということで今回紹介するのはアメリカの5人組ハードロックバンド、KIXが1988年にリリースした4thアルバム『BLOW MY FUSE』。ええ、今日も懲りずに1988年縛りです。

KIXは1981年にアルバム『KIX』でメジャーデビューするのですが、しばらく鳴かず飛ばず。3rdアルバム『MIDNIGHT DYNAMITE』(1985年)の全米60位がピークで、そこから3年後にリリースされた『BLOW MY FUSE』も発売当初はそこまで大きな話題にはなりませんでした。

しかし、「Cold Blood」「Blow My Fuse」「Get It While It's Hot」とアルバムから制作されたMVが好反応を得たこと、人気バンドのオープニングアクトを務めることで着実に人気を高めていき、同作からのパワーバラード「Don't Close Your Eyes」が全米11位まで上昇。アルバムも最高46位を記録し、100万枚を超えるヒット作となったのでした。

当時のKIXはよく「アメリカのAC/DC」みたいな例えをされていたのですが、正直この例えがよくなかったんじゃないか?なんて今思うわけでして。だって、我々が想像するAC/DCのサウンド、楽曲よりも幅広いことやってますもの。特にこの『BLOW MY FUSE』というアルバムでは、楽曲1つひとつに異常なこだわりをもって制作したことが伺えます。

どの曲もやたらとキャッチーでメロディアス。シンプルなロックンロールと思わせておいて、要所要所にフックが効いてる。だから何度聴いても飽きがこない、不思議なクセを持つアルバムなんです。そういえばこのアルバムでは、テイラー・ローズ(AEROSMITH、JOURNEY、オジー・オズボーンなど)やボブ・ハリガンJr.(JUDAS PRIEST、KISS、シェールなど)ら職業作家が制作に加わった楽曲も多く、そのへんも個々の楽曲の際立ちに関係しているんでしょうね。捨て曲なし、最後まであっという間に聴けてしまい、気づけば二度三度とリピートしてしまう。ポップさがありつつも、しっかりエッジの効いたロックが楽しめる、最高の1枚だと思います。

なお、KIXはこの後、1991年に5thアルバム『HOT WIRE』、1995年に6thアルバム『SHOW BUSINESS』を発表してから解散。2003年に再結成を果たし、2014年に7thアルバム『ROCK YOUR FACE OFF』を発表しています。ここでも、80年代と変わらぬキャッチーで勢いのあるロックンロールが楽しめるので、機会があったらぜひ聴いてほしいと思います。ちなみに当サイトでもリリース当時、レビューを掲載しているのでご参考まで。



▼KIX『BLOW MY FUSE』
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投稿: 2017 01 06 12:00 午前 [1988年の作品, Kix] | 固定リンク

2017/01/05

KINGDOM COME『KINGDOM COME』(1988)

そろそろ正月気分も薄らいできた頃。この1988年縛りもそろそろいいかな……なんて思ってきたタイミングですが、今日もこの年に生まれたアルバムを紹介します。もはや意地です。

1988年のHR/HM界において切っても切り離せないのが、LED ZEPPELINクローン問題。ちょうど前年1987年、WHITESNAKEがモロZEPな「Still Of The Night」をリリースして物議を呼んだのが始まりだったのでしょうか。1988年になると本家ZEPがAtlantic Records 40周年コンサートで一夜限りの復活を果たし、ロバート・プラントがソロアルバム『NOW AND ZEN』でZEP楽曲をサンプリング、ジミー・ペイジも初の本格的なソロアルバム『OUTRIDER』でZEP調サウンドを解禁。ZEPの話題やZEP風の曲が増え始めたのが、この1988年という年だったのです。

そして、その象徴的なバンドとして必ずピックアップされるのが、今回紹介するKINGDOM COMEというバンド。ドイツ出身のフロントマン、レニー・ウルフがアメリカで結成した5人組バンドなのですが、そのデビューアルバムである本作からの楽曲のいくつかが、「まるでZEP」ということで良くも悪くも話題になったのでした。

その代表的な楽曲が、デビューシングル「Get It On」と2ndシングル「What Love Can Be」。前者はグルーヴィーなメインリフと曲中の刻むようなリフ&コード進行がZEPのいくつかの楽曲に酷似していること、後者は楽曲そのものよりもボーカルワークが若き日のロバート・プラントまんまということで、このバンドの登場を境に「ZEPクローン」なんて揶揄も生まれたくらい。

がしかし。これ、そこまで叩かれるような作品でもないんですよね。確かにZEPからアイデアを拝借した楽曲は多々あるのですが、それを抜きにしてもハードロックアルバムとして非常に高品質。いかにも80年代後半なビッグサウンドは、当時BON JOVIやAEROSMITHをヒットさせたボブ・ロックのプロデュースによるもの。その後ボブはTHE CULT『SONIC TEMPLE』やBLUE MURDERのデビュー作を経て、MOTLEY CRUE『DR.FEELGOOD』、そしてMETALLICAのブラックアルバムへと到達するわけです。

ブルースをベースにしたハードロックが軸になってはいるものの、ギタリストがブルース寄りではなく完全にハードロック寄りなので、リフがZEP的でもその他のプレイは完全に80年代のHR/HM。中にはどこかDEEP PURPLE的なシャッフルナンバー「The Shuffle」、マイナー調メロディが気持ち良いパワーソング「Now Forever After」「Shout It Out」まである。「Get It On」のインパクトが強かったため、こういった良曲が見過ごされてしまうのは非常に勿体ないと思うわけです。

もうちょっと登場が早かったら、ここまでネガティブに騒がれずに済んだのに。ホント、いいアルバムなんですよ? 当の「Get It On」だって、なんだかんだ言ったってカッコいいし。ぜひフラットな気持ちで触れてみてほしいと思います。

なお、KINGDOM COMEはその後も地道に活動を続けていたのですが、昨年夏にその活動を終了。最後の最後に、この1stアルバムの編成で活動しようとしたそうですが、残念ながら全員揃うことはありませんでした。



▼KINGDOM COME『KINGDOM COME』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 01 05 12:00 午前 [1988年の作品, Kingdom Come] | 固定リンク

2017/01/04

HURRICANE『OVER THE EDGE』(1988)

正月から1988年のアルバムが続いてますが、今日も1988年の作品です。しかも、一気にマイナー路線にシフトチェンジです。

HURRICANEというバンドをご存知でしょうか。今回紹介する『OVER THE EDGE』は彼らの2ndアルバムで、当時のメンバーはケリー・ハンセン(Vo)、ロバート・サーゾ(G)、トニー・カヴァーゾ(B)、ジェイ・シェレン(Dr)の4人。このメンバー名を目にして「おやっ?」っと思った方もいるのではないでしょうか。実はギターのロバート・サーゾは昨日紹介したQUIET RIOTに在籍したルディ・サーゾ(B)の実弟、トニー・カヴァーゾはQUIET RIOTのカルロス・カヴァーゾ(G)の実弟なのです。パートがそれぞれ逆なのでややこしさはありますよね。ちなみにロバートとトニーを引き合わせたのは、こちらもQUIET RIOTのケヴィン・ダブロウと言われています。そういうこともあって、HURRICANEはデビュー当初「QUIET RIOTの弟分」のような見られ方もしていました。

この『OVER THE EDGE』は彼らにとって最大のヒット作。KISSやアリス・クーパーを手掛けたことで知られるボブ・エズリンがプロデュースを担当しているのですが、全体に漂う「どことなく劇的で大袈裟なアレンジ」は間違いなくボブの手によるものだと思います。

ですが、曲単体はどれも非常に聴き応えのあるダイナミックなハードロックばかり。オープニングを飾る「Over The Edge」の哀愁味の強いメロディとサウンドは、とてもLA出身のバンドとは思えないもの。続く2曲目がアリス・クーパーの代表曲「I'm Eighteen」のカバーというのは、やはりプロデューサーのアレなんでしょうか。とはいえこっちは非常にヘヴィなアレンジで、なおかつボーカルのケリー・ハンセンの力量が遺憾なく発揮された好カバーとなっております。

そしてシングルカットされ全米でスマッシュヒットした「I'm On To You」(カバーを除くと、この曲のみバンドのオリジナルではない)、デビュー作『TAKE WHAT YOU WANT』(1985年)収録の「Hurricane」に続くバンドのテーマ曲的な「Messin' With A Hurricane」など、どこか影のあるマイナーチューンが続きます。

その後はブルージーな「Insane」、疾走感のある「Spark In My Heart」と曲の幅を広げていくのですが、終盤間際に極め付けの1曲「Shout」が登場。個人的には「Over The Edge」「I'm On To You」とあわせてオススメしたい1曲です。そしてラストはアメリカンバンドらしく、ブギー調のインストナンバー「Baby Snakes」で締めくくり。曲中に入る電話のやり取りが若干ウザいですが、「Shout」でキレイにエンディングを迎えた後のエンドロール的ボーナストラックと思うことにしています。

このアルバム、楽曲の良さはもちろんですが、ボーカルのケリー・ハンセンがすべてなのではと思っています。ちなみにHURRICANEはこのアルバムの後、ギターのロバートが脱退し、替わりに当時LIONを脱退するかしないかで揉めていたダグ・アルドリッチが参加。1990年に『SLAVE TO THE THRILL』というアルバムを発表後、しばらくして解散。2000年にケリー、ジェイを中心に再結成するものちに解散。2010年からはロバート、トニーが中心となって再びHURRICANE名義で活動しているようです。

なお、ケリーはというと、2005年からはかのFOREIGNERのフロントマンとして活動中。ライブアルバムやスタジオ作品で、名曲の数々をケリーの歌声で聴くことができます。こちらもなかなか素晴らしいので、ぜひチェックしてみてください。



▼HURRICANE『OVER THE EDGE』
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投稿: 2017 01 04 12:00 午後 [1988年の作品, Hurricane] | 固定リンク

2017/01/03

QUIET RIOT『QR』(1988)

QUIET RIOTの作品を取り上げるなら、まず最初にUSデビュー作であり最大のヒット作でもある『METAL HEALTH』(1983年)でしょう。まったく異論はありません。がしかし、個人的にケヴィン・ダブロウ(Vo)が唯一参加していない1988年の4thアルバム(日本限定でリリースされた2枚のアルバムを含めると6枚目)『QR』も捨て難いんです。

『METAL HEALTH』で大ブレイクするものの、その後バンドはリリースを重ねるごとにセールスを落としていくのですが、それに反比例するようにケヴィン・ダブロウのわがまま振りは加速。これに嫌気が差した他のメンバーはケヴィンをバンドから解雇、新たにROUGH CUTTのフロントマン、ポール・ショーティノを迎え、さらにベースもチャック・ライトからショーン・マクナブへとメンバーチェンジし、ポール、ショーン、フランキー・バネリ(Dr)、カルロス・カヴァーゾ(G)という編成で制作されたのがこの『QR』です。

QUIET RIOTというと、「Cum On Feel The Noize」での陽気なイメージで語られることが多いですが、そもそも『METAL HEALTH』のタイトルのようにメタリックな要素も持ち合わせたバンドなわけで。そういった同作のタイトルトラックなどはまさにそういう楽曲だったわけですが、世間の求めるQUIET RIOT像は陽気なアメリカンHRバンドだったのです。そのジレンマと真正面から向き合い、本来自分たちがやりたかったこと、そしてポール・ショーティノという稀代のシンガーを手に入れたからこそできること、これらが見事に形として表されたのが今作なのです。

MVにもなったオープニングトラック「Stay With Me Tonight」(当時よくTBS『PURE ROCK』でもオンエアされてましたね)で聴かせるブルージーな歌声と、カルロス・カヴァーゾの生き生きとしたギタープレイ。最初に聴いたときは「これがあのQUIET RIOTか!?」と度肝を抜かれました。ちょうどこの頃、KINGDOM COMEの登場もあってか「LED ZEPPELINクローン」バンドが次々に登場していた時期で、この新生QUIET RIOTもそう見られてしまいがちでしたが、彼らの場合は「もろZEP」というよりは「ZEPからの影響を随所に感じさせるアメリカンHR」と呼んだほうが正しい気がします。

作風的には前作『QR III』(1986年)の延長線上にあるのですが、シンセ類を抑えたこと、ボーカルの節回しがブルージーなのが功を奏し、高水準のハードロックアルバムに仕上がっています。それに今こうやって聴き返すと、意外と『QR III』にも通ずるポップさも感じられますしね。とにかくギタープレイが生き生きとしてるのが素晴らしくて、個人的には『METAL HEALTH』の次に好きな作品です。

ただ、残念ながら本作は以前のようは成功を収めることはできませんでした。今でもこのアルバムに対する評価はそれほど高くないようですが、本作が他の諸作と同じように「QUIET RIOTのアルバム」として純粋に評価されることを願わんばかりです。



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投稿: 2017 01 03 12:00 午後 [1988年の作品, Quiet Riot] | 固定リンク

2017/01/02

BULLETBOYS『BULLETBOYS』(1988)

この「Smooth Up In Ya」を聴くと、懐かしのTBS『PURE ROCK』を思い出すという世代も多いのではないでしょうか?(30代以下の方にはわからないネタでごめんなさい) それいくらいこの曲のインパクトが強かった、アメリカはLA出身の4人組ハードロックによる1988年のデビューアルバム『BULLETBOYS』。

以前はRATTのギタリストだったというマーク・トリエン(Vo)、カーマイン・アピスが結成したバンドKING COBRAのギタリストだったミック・スウェダ(G)といったそれなりに名のあるバンド出身のメンバーが結成した、ある意味(当時流行りだった)“スーパーバンド”のひとつとしてWarner Bros.から鳴り物入りでデビュー。VAN HALENで知られるテッド・テンプルマンをプロデューサーに迎えたこのデビューアルバムからは、先の「Smooth Up In Ya」が全米71位、ソウルグループTHE O'JAYSのカバー「For The Love Of Money」が全米78位とスマッシュヒットを記録。アルバム自体も全米34位まで上昇し、ゴールドディスク(50万枚)を獲得する好スタートを切りました。

テッド・テンプルマンのプロデュース、ボーカルのマークのルックスを指してデイヴ・リー・ロスみたいという声があったことから、初期VAH HALENと比較する者も多かったと記憶しています。「Smooth Up In Ya」「For The Love Of Money」で聞ける重々しいミドルナンバーはVAN HALENとはちょっと異なるかもしれませんが、確かに3曲目「Owed To Joe」や4曲目「Shoot The Preacher Down」あたりはそれっぽくもあります(後者のボーカルは確かにデイヴからの影響が強いし)。同じミディアムでも7曲目「Hell On My Heels」のほうがVAN HALEN的でもあるし……うん、全体的にVAN HALENからの影響が感じられるかな? それがテッド・テンプルマンの意図するものだったのかもしれないけど、ボーカルの声質はデイヴのそれとは異なるし、ギタープレイもエディ・ヴァン・ヘイレンとは違うタイプ。どちらかというと、アレンジがVAN HALEN寄りなのかな、と。でもBULLETBOYSのほうがもっと土臭さが強く、それでいてモダンなイメージもあるんですよね。そこが1世代後に登場したバンドの強みなのかもしれないけど。

このバンド、個人的にとても好きで、Warner Bros.から発表した3枚のアルバム(本作と1991年の2nd『FREAKSHOW』、1993年の3rd『ZA-ZA』)はどれも気に入っております。バンドは現在も存続しており、マーク以外は完全に入れ替わってる状態。2015年には最新作『ELEFANTE'』も発表てしており、若干年老いたマークの声以外は1stアルバムから続く“それっぽさ”を維持してくれてます。これから聴こうという人には新作よりもまず、このデビュー作から触れてみることをオススメします。



▼BULLETBOYS『BULLETBOYS』
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投稿: 2017 01 02 12:00 午後 [1988年の作品, Bulletboys] | 固定リンク

2017/01/01

GUNS N' ROSES『GN'R LIES』(1988)

新年あけましておめでとうございます。2017年最初の更新です。

ということで、GUNS N' ROSESが1988年にリリースした2ndアルバム『GN'R LIES』を紹介したいと思います。いや、新年早々平然と1988年のアルバムを紹介するのもいかがなものかと思いますが、アレです。今年で『APPETITE FOR DESTRUCTION』でメジャーデビューしてから30年というのと、間もなくスラッシュ、ダフ・マッケイガンを含む編成での来日公演も行われるということで。いいじゃないですか。

まぁ本当の理由は、年末から実家に戻ってやることがなくて部屋を漁っていたら、高校時代に聴いていたHR/HMのカセットテープがわんさか出てきたので、そこで気になった作品をピックアップしようかと思いまして。なのでここから数日は、80年代後半のHR/HM作品が続くと思うので、あしからず。

話題をガンズに戻しまして。本作は先に挙げたデビューアルバム『APPETITE FOR DESTRUCTION』(1987年)に続く作品なのですが、これを正式に2ndアルバムと呼んでしまっていいものかは、実は困りものの1枚でして。なにせ(アナログでいうところの)「片面がライブ音源、片面がアコースティック主体のスタジオ音源」という異色作なのですから。全8曲、トータルで33分程度というミニアルバム的な短さもあって「いやいや、『USE YOUR ILLUSION』が2ndでしょ?」という声もありますし。いや、もうこの際2ndアルバムで通します。

本作は1〜4曲目(アナログA面)に、1986年に1万枚限定でリリースされたインディー盤『LIVE ?!*@ LIKE A SUICIDE』収録のライブテイク(実際にはスタジオライブ音源に歓声を被せた代物らしいですが)、5〜8曲目に『APPETITE FOR DESTRUCTION』リリース以降にレコーディングされたアコースティック主体の新録曲が収められているのですが、これが結構侮れない作品でして。まずライブテイクにはここでしか聴けないオリジナル曲(「Reckless Life」「Move To The City」。正確には「Reckless Life」はHOLLYWOOD ROSE時代の楽曲なので、これもカバーと言えるかも)と、今でもライブで披露される頻度がそこそこ高いカバー曲(ROSE TATTOOの「Nice Boys」とAEROSMITHの「Mama Kin」)が用意されていること。デビュー前の勢いに満ちた、生々しい演奏と歌を堪能することができるはずです。

そしてスタジオテイクですが、シングルカットもされ全米4位を記録した代表曲「Patience」や、ライブで披露される頻度の高い「Used To Love Her」、『APPETITE FOR DESTRUCTION』にも収録されていた「You're Crazy」のレイドバックバージョン、さらにはライブでは今やほとんど演奏されない「One In A Million」といった4曲を用意。『APPETITE FOR DESTRUCTION』にはいわゆるアコースティック調の楽曲やバラードが皆無だったので(それに一番近かったのが「Sweet Child O' Mine」)、ガンズの奥深さを知らしめるという点において非常に意味のある1枚と言えます。また、本作がリリースされた1998年末というのが、ちょうど初来日タイミング(1988年12月)だったこともあり、擬似とはいえ彼らのライブ音源に手軽に触れることができる貴重な作品でもあったわけです。

よく「『APPETITE FOR DESTRUCTION』こそがガンズの真髄」なんて声も耳にしますが、いえいえ。『GN'R LIES』で見せた“軟”の部分もGUNS N' ROSESにおける重要な要素ですよ。なので「『APPETITE FOR DESTRUCTION』だけが〜」みたいな言い方をする輩は信用しません! 個人的には本作、『APPETITE FOR DESTRUCTION』と同じくらい大好きなアルバムです。



▼GUNS N' ROSES『GN'R LIES』
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投稿: 2017 01 01 12:00 午後 [1988年の作品, Guns N' Roses] | 固定リンク