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2017/01/27

EUROPE『OUT OF THIS WORLD』(1988)

1986年に発表した3rdアルバム『THE FINAL COUNTDOWN』が本国スウェーデンや日本のみならず全米8位、全英9位というワールドワイドなヒット作となったEUROPE。同作リリース後にはオリジナルギタリストのジョン・ノーラム脱退という波乱もありましたが、後任キー・マルセロの活躍によりワールドツアーを完遂します。

そういう流れを経て、キー・マルセロを迎えて制作された初のアルバム『OUT OF THIS WORLD』が1988年8月にリリース。チャート的には全米19位、全英12位と前作には及びませんでしたが、アメリカではミリオンを突破するヒット作になっております。またシングルカットされた「Superstitious」も全米31位のヒット曲に。辛うじて次作へ望みをつなぐことに成功した、と言えるでしょう。

数字的には代表作『THE FINAL COUNTDOWN』を下回る『OUT OF THIS WORLD』ですが、そんなに出来の悪いアルバムなのでしょうか? 確かにリリース当時の評価はあまりよろしくありませんでしたが、今聴き返してみると……そんなに悪い作品だとは思えないんですよね。

EUROPEというバンドの歴史を考えれば、1stアルバムからここにたどり着いたことはファン的に望まない結果だったのかもしれません。しかし『THE FINAL COUNTDOWN』を起点に考えると、『OUT OF THIS WORLD』という作品は“全体的により洗練され、1曲1曲の作り込み度が増した、美メロ満載のアルバム”と呼ぶことができるはずです。

シンセとギターが軸足になっているように見えますが、実はこのアルバムの芯の部分はジョーイ・テンペストによる歌。だからキー・マルセロもギターを弾きすぎていないし、ソロも必要最低限の長さといった印象です。リズム隊も曲の地盤をしっかり固め、シンセは曲の彩りをより鮮やかにしている。バラードにしても、前作での「Carrie」と比較すると本作の「Coast To Coast」は劇的なアレンジが付けられています。「Ready Or Not」なんて、ギターのバッキングがクリーントーンのアルペジオと歪み系パワーコードが交互に登場する。もっともわかりやすいのは、2ndアルバム『WINGS OF TOMORROW』収録の「Open Your Heart」をリアレンジして再収録したバージョンでしょう。2ndアルバムにあったシンプルさ、いなたさは消え、当時主流だったパワーバラードに生まれ変わっているのですから(だからこそ、若干のシンプルさが残っているラストナンバー「Tomorrow」を聴くとホッとするのですが)。バンドがあの頃、どこを目指していたかがこの1曲から存分に感じられるはずです。

バンドの試みは世の中的には受け入れられなかったかもしれませんが、あれから30年近く経った現在は時代が何周もして、我々も素直に受け入れられる態勢になってのではないでしょうか。シンセの音色にこそ時代感が表れていますが、今こそ余計な情報や偏見を捨てて楽しんでほしい1枚です。



▼EUROPE『OUT OF THIS WORLD』
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投稿: 2017 01 27 12:00 午前 [1988年の作品, Europe] | 固定リンク