QUIET RIOT『QR』(1988)
QUIET RIOTの作品を取り上げるなら、まず最初にUSデビュー作であり最大のヒット作でもある『METAL HEALTH』(1983年)でしょう。まったく異論はありません。がしかし、個人的にケヴィン・ダブロウ(Vo)が唯一参加していない1988年の4thアルバム(日本限定でリリースされた2枚のアルバムを含めると6枚目)『QR』も捨て難いんです。
『METAL HEALTH』で大ブレイクするものの、その後バンドはリリースを重ねるごとにセールスを落としていくのですが、それに反比例するようにケヴィン・ダブロウのわがまま振りは加速。これに嫌気が差した他のメンバーはケヴィンをバンドから解雇、新たにROUGH CUTTのフロントマン、ポール・ショーティノを迎え、さらにベースもチャック・ライトからショーン・マクナブへとメンバーチェンジし、ポール、ショーン、フランキー・バネリ(Dr)、カルロス・カヴァーゾ(G)という編成で制作されたのがこの『QR』です。
QUIET RIOTというと、「Cum On Feel The Noize」での陽気なイメージで語られることが多いですが、そもそも『METAL HEALTH』のタイトルのようにメタリックな要素も持ち合わせたバンドなわけで。そういった同作のタイトルトラックなどはまさにそういう楽曲だったわけですが、世間の求めるQUIET RIOT像は陽気なアメリカンHRバンドだったのです。そのジレンマと真正面から向き合い、本来自分たちがやりたかったこと、そしてポール・ショーティノという稀代のシンガーを手に入れたからこそできること、これらが見事に形として表されたのが今作なのです。
MVにもなったオープニングトラック「Stay With Me Tonight」(当時よくTBS『PURE ROCK』でもオンエアされてましたね)で聴かせるブルージーな歌声と、カルロス・カヴァーゾの生き生きとしたギタープレイ。最初に聴いたときは「これがあのQUIET RIOTか!?」と度肝を抜かれました。ちょうどこの頃、KINGDOM COMEの登場もあってか「LED ZEPPELINクローン」バンドが次々に登場していた時期で、この新生QUIET RIOTもそう見られてしまいがちでしたが、彼らの場合は「もろZEP」というよりは「ZEPからの影響を随所に感じさせるアメリカンHR」と呼んだほうが正しい気がします。
作風的には前作『QR III』(1986年)の延長線上にあるのですが、シンセ類を抑えたこと、ボーカルの節回しがブルージーなのが功を奏し、高水準のハードロックアルバムに仕上がっています。それに今こうやって聴き返すと、意外と『QR III』にも通ずるポップさも感じられますしね。とにかくギタープレイが生き生きとしてるのが素晴らしくて、個人的には『METAL HEALTH』の次に好きな作品です。
ただ、残念ながら本作は以前のようは成功を収めることはできませんでした。今でもこのアルバムに対する評価はそれほど高くないようですが、本作が他の諸作と同じように「QUIET RIOTのアルバム」として純粋に評価されることを願わんばかりです。

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