« MR. BIG『MR. BIG』(1989) | トップページ | BAD ENGLISH『BAD ENGLISH』(1989) »

2017/02/06

GARY MOORE『AFTER THE WAR』(1989)

本日2月6日は、2011年に急逝したゲイリー・ムーアの命日だったんですね。先ほどTwitterに流れてきたつぶやきで知りました。それで、今朝から彼の諸作をいろいろ引っ張り出して聴いているのですが……せっかくだから1枚選んで、急遽取り上げてみようかと思った次第です。

ゲイリー・ムーアが遺した名作群の中からどれか1枚選べと言われると、非常に悩みどころでして……80年代の作品はどれも好きなものばかりですし、そんな中でもやっぱり『WILD FRONTIER』(1987年)は群を抜いてお気に入りだけど、同じくらい『STILL GOT THE BLUES』(1990年)も好き。さて困ったぞと悩んでいると、iTunesで上記2作の間に挟まれた1枚のアルバムに目がいったわけです。それが今回紹介する『AFTER THE WAR』です。

本作は1989年初頭にリリースされた、通算8作目のオリジナルアルバム。前作『WILD FRONTIER』である種ひとつのピークを迎えたゲイリーが、新たなるステージであるブルースサイドへと移行する前に見せた過渡期的側面と言えなくもない本作は、彼がハードロックギタリストとして音楽と向き合った最後の作品と受け取ることもできます。事実、タイトルトラック「After The War」や「Speak For Yourself」、オジー・オズボーンをボーカルにフィーチャーした、当時のLED ZEPPELIN劣化コピーバンドを皮肉った「Led Clones」、名曲「Out In The Fields」、VAN HALENばりのハードブギー「This Thing Called Love」、陽気なハードロック「Livin' On Dreams」「Ready For Love」と、本作以降のアルバムではなかなか聴くことのできないタイプのオリジナル楽曲をたっぷり楽しむことができます。どこか洗練された感があるのも、本作の特徴かもしれませんね。

と同時に、本作には次作『STILL GOT THE BLUES』への布石も用意されています。それがロイ・ブキャナンのカバー「The Messiah Will Come Again(メシアが再び)」。リリース当初はアナログ盤に未収録だったこの曲、それ以前のアルバムに収められたインストナンバーと比べるとプレイスタイルもよりブルージーになっており、これがあったからこそ『STILL GOT THE BLUES』へとすんなり入っていけたという人も少なくないのではないでしょうか。

と同時に、前作『WILD FRONTIER』でみせた母国アイルランドへの強い思いも、「Blood Of Emeralds」や、THIN LIZZYのカバー「Emerald」などで再び表現されています(アルバム冒頭とエンディングに収められたインスト「Dunluce (Part 1)」および「Dunluce (Part 2)」もその流れですよね)。そういう意味では本作、過渡期というよりも過去数年の集大成かつ新たなステップへの序章と捉えたほうが健全かもしれませんね。リリースから28年も経っていて正直驚きましたが、その魅力を再認識してほしい1枚です。

ちなみに本作のレコーディングには、同作のツアーに参加するもすぐに脱退してしまったコージー・パウエル、名手サイモン・フィリップス、エルトン・ジョンやケイト・ブッシュとの共演でも知られるチャーリー・モーガン、そして「Emerald」の原曲でも叩いているTHIN LIZZYのブライアン・ダウニーと複数のドラマーが参加しています。ほぼ打ち込みで表現された『WILD FRONTIER』と比べたら非常に肉感的ですし、ライブが見えてくる音像ですよね。さらに2002年以降に流通しているリマスター盤に追加収録されたライブテイクでは、のちにKISSに加入するエリック・シンガーが叩いているようです。そのへんのプレイの違いを聴き比べてみるのも、面白いかもしれませんね。



▼GARY MOORE『AFTER THE WAR』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 06 12:00 午後 [1989年の作品, Cozy Powell, Gary Moore] | 固定リンク