« WHITESNAKE『WHITESNAKE (or“1987”)』(1987) | トップページ | BADLANDS『BADLANDS』(1989) »

2017/02/04

BLUE MURDER『BLUE MURDER』(1989)

さて、昨日の続きを。ジョン・サイクス(G)はWHITESNAKEにて初めて曲作りおよびレコーディングで貢献したアルバム『WHITESNAKE』を1987年に完成させますが、レコーディング中からたびたびデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)と衝突していたこともあり、アルバム発売前にバンドを脱退。ライブでこれらの楽曲を弾くことが一度もなかったわけです。その『WHITESNAKE』はアメリカのみで800万枚ものセールスを記録。印税は懐に入ったものの、表向きはバンドの成功を味わうことなく、ひたすらデヴィッドに対する憎悪の思いのみが加速していったのでした(これ、憶測ですよ。誤解なきよう)。

そんなジョン・サイクスは“打倒WHITESNAKE”のもとにコージー・パウエル(Dr)やフィル・スーザン(B)、レイ・ギラン(Vo)などとBLUE MURDERと命名したバンドを結成。しかし二転三転して、最終的にカーマイン・アピス(Dr)、トニー・フランクリン(B)、そしてジョンがボーカルも兼任するトリオ編成となり、本作『BLUE MURDER』を完成させます。

プロデューサーはAEROSMITH『PERMANENT VACATION』、BON JOVI『NEW JERSEY』などで名を馳せたボブ・ロック。あの鋭いギターサウンドとドラムのビッグサウンドがここでも堪能できるだけでなく、トニー・フランクリンという名うてのフレットレスベースプレイヤーが加わったことによる不思議なグルーヴ感を楽しむことができます。

楽曲自体は『WHITESNAKE』アルバムの延長線上にあると言っていいでしょう。ただ、デヴィッドのブルーステイストが加わらないことで非常にモダンなテイストが前面に打ち出されており、単なる姉妹作で終わらないオリジナリティも確立されています。それは1曲目「Riot」から明白で、「Still Of The Night」のアレンジが下地にある「Sex Child」、WHITESNAKEでは表現しきれなかったドラマチックさを追求した「Valley Of The Kings」、アコースティックを基調としたアーシーなテイストから壮大なアレンジへと変化していく「Jelly Roll」など、序盤から聴きどころ満載。もちろん「Out Of Love」や「Black-Hearted Woman」など、『WHITESNAKE』をバージョンアップされた楽曲も含まれています。

カーマイン・アピス&トニー・フランクリンという鉄壁のリズム隊とのアンサンブルも最高で、かつジョンのギターもこれでもかとフィーチャーされている。けれど単なるギター・オリエンテッド・アルバムでは終わっておらず、メロディのポピュラリティもしっかり維持しつつ、ジョンのボーカルもしっかり主張している。これがデビューアルバムか!?と驚きが隠せない完成度持つ、ギタリスト必聴の1枚です。

にしても、この妙にセクシーさを前面に打ち出したMVもWHITESNAKEをなぞっていて、バチバチ感が見え隠れします。WHITESNAKEと同じGeffen Recordsからのリリースというのも大きいんですけどね。

残念ながら本作は全米69位と大成功には程遠い結果しか残せず、この編成は短命に終わります。また、こんなに『WHITESNAKE』の継承的アルバムを作っておきながら、本作は1986年に亡くなったフィル・ライノット(THIN LIZZY)に捧げられています。そのあたりにもジョンの歪んだ対抗心みたいなものが感じられて、意地らしいなと思ってしまいます。



▼BLUE MURDER『BLUE MURDER』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 04 12:00 午前 [1989年の作品, Blue Murder, Whitesnake] | 固定リンク