THE HELLACOPTERS『HIGH VISIBILITY』(2000)
2015年末から本当にたくさんの、一時代を築き上げたアーティストたちの訃報が続いています。そんななか、つい数日前に元THE HELLACOPTERSのギタリスト、ロバート・ダールクヴィストが亡くなったことを知りました(ソースはこちら)。この名前だとなんとなくピンとこないけど、ロバート・ストリングスといえば「ああ!」と腑に落ちる方も多いのではないでしょうか。
ストリングスを生で観たのはたった1回きり、3度目にして結局最後の来日となってしまった2001年1月の渋谷CLUB QUATTRO公演(当時のレポートはこちら)。ちょうど4thアルバム『HIGH VISIBILITY』を携えて実施されたものでした。最前列で観たというのもあるけど、そのときの熱気や興奮は今でも昨日のことのように覚えています。
ドレゲン(BACKYARD BABIES)が在籍した初期2作にあったパンキッシュなガレージロック色からスピードを若干落とし、よりソウルフルな方向へと移行しはじめた3rdアルバム『GRANDE ROCK』(1999年)を経て、メジャーレーベルへと移籍して制作されたのが2000年リリースの『HIGH VISIBILITY』。作風的には『GRANDE ROCK』で表現した方向性をより突き詰めたもので、シングルカットもされた「Toys And Flavors」「No Song Unheard」で聴ける“エモみの強いブラックテイストのロックンロール”は初期とは異なる魅力に満ち溢れています。
かと思うと、適度な疾走感を持つ「Baby Borderline」「Sometimes I Don't Know」「I Wanna Touch」「Hurtin' Time」のような従来のアップチューンも豊富にあるし、壮大さが加わったことでオープニングにふさわしい1曲に仕上がった名曲「Hopeless Case Of A Kid In Denial」、70年代のKISSがよりソウルフルになったような「You're Too Good」「A Heart Without Home」(特に後者は、終盤にアップテンポに展開するアレンジがいかにもで最高すぎ)、どこか怪しげなフレーズ&メロディがクールな「No One's Gonna Do It For You」もある。『GRANDE ROCK』と同時期にリリースされたミニアルバム『DISSAPOINTMENT BLUES』という習作を経て、その個性を完全に確立させたのが『HIGH VISIBILITY』だったんだなと、本作以降のアルバムを聴くと改めて実感させられます。
初期2作を別モノとして捉えると、THE HELLACOPTERSのアルバムでもっとも好きなのがこの『HIGH VISIBILITY』。もちろんそれ以外のアルバムが本作よりも劣っているという意味ではありませんので、誤解なきよう。どのアルバムもそれぞれの良さがあって好きなのですが、個人的に作品が持つガレージロック度、ポップ度、ソウル度のバランス感が一番絶妙なのが本作なんじゃないかと思うのです。それに加えて、やはり2001年の来日公演が非常に思い出深いものになったことも大きな要因。きっとその後のアルバムでも来日が実現していたら、思い入れや感じ方も変わったのかもしれませんね。
ああ、もう一度ニッケとストリングスのステージ上での絡み、見たかったなぁ……。

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