« 2017年1月 | トップページ | 2017年3月 »

2017/02/28

2017年2月のお仕事

2017年2月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※2月24日更新)


[WEB] 2月24日、「楽天ブックス」での連載「乃木坂46公認コラム『のぼり坂』」にて「3期生初公演『3人のプリンシパル』総括」が公開されました。

[WEB] 2月24日、「リアルサウンド」にてLiSAのアーティスト評「LiSA、「Catch the Moment」でみせた成長の跡 『SAO』コラボの歩みを辿る」が公開されました。

[紙] 2月23日発売「BRODY」2017年4月号にて、欅坂46ファーストワンマンライブドキュメント、今泉佑唯×鈴本美愉インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 2月22日発売「TV Bros.」2017年2月25日号にて、ドレスコーズ『平凡』大枠レビューを執筆しました。

[紙] 2月18日発売「ヘドバン Vol.13」にて、SYSTEM OF A DOWN特集内「SYSTEM OF A DOWNの基礎知識」「全アルバム解説」「フジロック回想ライブレポート」、PANTERA『俗悪』25周年記念「俺と『俗悪』」を執筆しました。(Amazon

[WEB] 2月13日、「Red Bull Japan」オフィシャルサイトにてコラム「今後期待の国内ガールズバンド5選」が公開されました。

[WEB] 2月12日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月12日(日)昼公演日報2月12日(日)夜公演日報が公開されました。

[WEB] 2月11日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月11日(土)昼公演日報2月11日(土)夜公演日報が公開されました。

[WEB] 2月10日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月10日(金)公演日報が公開されました。

[WEB] 2月9日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月9日(木)公演日報が公開されました。

[WEB] 2月8日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月8日(水)公演日報が公開されました。

[WEB] 2月8日、「Red Bull Japan」オフィシャルサイトにてコラム「2017年注目の国内ラウドロックバンド5選」が公開されました。

[WEB] 2月8日、「楽天ブックス」での連載「乃木坂46公認コラム『のぼり坂』」にて「3期生初公演『3人のプリンシパル』を前に、過去の『16人のプリンシパル』を振り返る」が公開されました。

[WEB] 2月7日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月7日(火)公演日報が公開されました。

[WEB] 2月7日、「ドワンゴジェイピーnews」にてニコ生『生のアイドルが好き』レポート「乃木坂46「生ドル」で松村沙友理が白石麻衣をツインテールに」、乃木坂46松村沙友理&中田花奈インタビュー「乃木坂46「生ドル」5年目突入に「放送事故感をだんだんと楽しめるようになってきた」」が公開されました。

[WEB] 2月6日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月6日(月)公演日報が公開されました。

[WEB] 2月5日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月5日(日)昼公演日報2月5日(日)夜公演日報が公開されました。

[WEB] 2月4日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月4日(土)昼公演日報2月4日(土)夜公演日報が公開されました。

[WEB] 2月3日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月3日(金)公演日報が公開されました。

[WEB] 2月2日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』¥2月2日(木)公演日報が公開されました。

[WEB] 2月1日、「激ロッック」にて10-FEEインタビューおよびニューシングル『ヒトリセカイ×ヒトリズム』ディスクレビューが公開されました。

投稿: 2017 02 28 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

BACKYARD BABIES『FOUR BY FOUR』(2015)

活動停止から5年ぶり、オリジナルアルバムとしては前作『BACKYARD BABIES』(2008年)から実に7年ぶりのニューアルバム『FOUR BY FOUR』。メンバーはニッケ・ボルグ(Vo, G)、ドレゲン(G, Vo)、ヨハン・ブロムクウィスト(B)、ペダー・カールソン(Dr)という不動の4人のままで、前作からの空白を一切感じさせないBYB流ロックンロール満載のアルバムに仕上げられています。

これだけ長い期間バンドとして活動していないと、再始動した際バンドとしての感覚を取り戻すためにまずツアーをしたりするケースが多いですが、彼らの場合はいきなりこのアルバムの制作に突入。通常はここでぎこちなさが表出してしまったり気合いのみが空回りしてしまったりするものの、BYBに関しては本当に“しっくり”きたんでしょうか、先に書いたように7年の空白が嘘のような通常営業っぷりなんですよね。

とはいえ、7年前からまったく成長していないのかというとそうではなく、ニッケやドレゲンのソロ活動での成果もしっかり反映されている。スクラッチなどの遊びが入ったオープニングトラック「Th1rt3en Or Nothing」なんて、従来のBYBらしさと今までになかったカラーが絶妙なバランスでミックスされているし、大陸的なバラード「Bloody Tears」あたりは完全にニッケのカラーが反映されたもの(同曲のMVは来日時に東京で撮影されたもの。必見)。かと思えば、7分にもおよぶブルージーかつダークな「Walls」のような新境地ナンバーもある。バンドとしてしっかり成長し、前進していることはこれらの楽曲からも伺えるんじゃないでしょうか。

もちろん、それ以外の楽曲は従来のBYBらしさに満ち溢れたものばかり。「I'm On My Way To Save Your Rock 'n' Roll」の前のめり感、適度な哀愁味を携えた「White Light District」、USパンクからの影響も強い「Never Finish Anythi」といったナンバーのみならず、その他の楽曲も“これぞBYB”と呼べるものばかりです。古くからのファンはもちろんのこと、「BYBってどんなバンド?」と初めて接する人にも優しい内容と言えるでしょう。

ただ、ひとつだけ苦言を呈するならば……7年待たされて、たった9曲で34分という短さはなんなの!?と。古き良き時代のロックンロールアルバムならばこれが正解なんだろうけど、時は2015年。正直物足りなさを感じてしまったのも事実です。まぁやたらめったらと曲数多くて60分超えてたり、ライブで演奏しない曲ばかりの内容になるよりはマシなのかな。彼らなりに「こんな時代だからこそ……」というアンチ精神もあってこの構成だとしたら、それは素直に受け入れることにします。だって、無駄が一切ないんだから。

個人的に残念だったのは、仕事の関係で2015年秋の『LOUD PARK 15』に足を運べなかったこと。さらにその時期、耳の病気を患ってライブにもあまり足を運ぶことができず、無理して地方でのワンマン公演にも行けなかった……本当に悔しい限りです。しかしながら、『FOUR BY FOUR』を携えて行われたツアーから、2016年2月のストックホルム公演を完全収録したライブDVD&Blu-ray『LIVE AT CIRKUS』が3月3日にリリースされるので、こちらの到着を楽しみに待ちたいと思います。



▼BACKYARD BABIES『FOUR BY FOUR』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 28 12:00 午前 [2015年の作品, Backyard Babies] | 固定リンク

2017/02/27

KREATOR『GODS OF VIOLENCE』(2017)

ドイツの大御所スラッシュメタルバンドKREATORの約5年ぶり、通算14枚目のスタジオアルバム。今年で35周年という、アメリカのMETALLICA、SLAYTERあたりと並ぶ活動歴を持つ彼らですが、サウンド的にはスラッシュ一辺倒ではなく、時代の流行りに乗った時期もありました(ゴシック/インダストリアル調のミドルナンバーが中心だった1992年の6thアルバム『RENEWAL』、1997年の8thアルバム『OUTCAST』あたりが顕著)。しかし2001年に現在の編成で制作された10thアルバム『VIOLENT REVOLUTION』を機に、再びスラッシュサウンドへと回帰。以降は常に評価の高い作品を送り続けています。

ミレ・ペトロッツァ(Vo, G)とユルゲン“ヴェンター”レイル(Dr)の創設メンバー2名にサミ・ウリ・シルニヨ(G)、クリスチャン・ギースラー(B)という、おそらく現時点で最強の布陣で制作された最新作『GODS OF VIOLENCE』は、21世紀に入ってからもっとも長いインターバルで発表されたアルバム。なにせこの約5年の間に彼ら、二度も来日してますからね(2014年の『LOUD PARK 14』、2016年の『THRASH DOMINATION 16』)。そもそも2014年の時点で実に9年ぶりの来日公演だったわけで、いかに前作『PHANTOM ANTICHRIST』(2012年)とそれに伴う活動が充実していたかってことですよね。

そんないい流れで制作された『GODS OF VIOLENCE』は、現編成での集大成というだけでなく、ゴシックロックへと傾倒した時期までもを含む、全キャリアを総括したかのような内容。単なるスラッシュ一辺倒で終わっておらず、パワーメタル的な色合いもあれば、メロディにはどこかゴシックロックを思わせるテイストもあり(アートワークの観点では、ブックレット内の写真は完全にゴスの流れにあるものでしたが)、さらにはケルト民謡やTHIN LIZZYあたりにも通ずるアイリッシュ民謡などの要素も散りばめられています。特にサミによるギターソロは非常にメロディアスで、単なるスラッシュメタルでは終わらないオリジナリティが感じられます。

もはや初期の『PLEASURE TO KILL』(1986年)や『EXTREME AGGRESSION』(1989年)の頃とは別モノと考えるのが正しいのかもしれませんが、これも間違いなくKREATOR。スタートから35年を経て進化した形が、この『GODS OF VIOLENCE』なのです。そういう意味では彼ら、(そのサウンドや辿った道は若干異なるものの)意外とANTHRAXに近いのかもしれませんね。

ちなみに本作、本国ドイツで初のチャート1位を獲得。オーストリアでも4位、フィンランドで7位、スイスで13位、スウェーデンで19位、さらにアメリカでも118位と、それぞれ過去最高位を記録しています。もちろんチャートの数字がすべてではありませんが、この内容のすごさや充実度を示す意味でも多少は参考にできる結果ではないでしょうか。

なお、本作の限定盤には2014年の『WACKEN OPEN AIR 2014』でのライブ映像が収められたDVD付き(日本盤のみBlu-ray仕様も用意)。さらに日本盤のみスペシャル盤として、その『WACKEN OPEN AIR 2014』のライブCDが追加された3枚組仕様も発売されています。この『WACKEN OPEN AIR 2014』、10thアルバム『VIOLENT REVOLUTION』以降の楽曲が全14曲中10曲と2001年以降のベスト盤的内容(『PHANTOM ANTICHRIST』リリース後なので、同作からの楽曲が半数を占めますが)。そこに超初期の「Endless Pain」「Pleasure To Kill」「Tormentor」といった激スラッシュ、中期の「Phobia」が違和感なく並ぶというのも興味深いところ。結局そういうことなんですよね。



▼KREATOR『GODS OF VIOLENCE』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD+BD / 国内盤2CD+BD / 国内盤2CD+DVD / 海外盤CD / 海外盤CD+DVD

投稿: 2017 02 27 12:00 午前 [2017年の作品, Kreator] | 固定リンク

2017/02/26

WHITESNAKE『THE PURPLE ALBUM』(2015)

2008年に『GOOD TO BE BAD』、2011年に『FOREVERMORE』というオリジナルアルバムを発表し、それぞれ英米で(80年代には及ばないものの)まずまずの成績を残してきたWHITESNAKE。4年ぶりの新作として発表されたのが、デヴィッド・カヴァーデイル(Vo)がDEEP PURPLE在籍時に制作した3枚のアルバム、『BURN』(1974年)、『STORMBRINGER』(1974年)、『COME TASTE THE BAND』(1975年)からセレクトされた楽曲をセルフカバーした通算12枚目のスタジオアルバム『THE PURPLE ALBUM』です。

思えばWHITESNAKEは90年代にも「Soldier Of Fortune」(『STORMBRINGER』収録)をカバーしていましたし、もっとさかのぼれば70年代に「Mistreated」(『BURN』収録)もピックアップしていましたしね。ただ、前者に関しては非常にレアな機会に歌われていただけだし、後者は持ち曲が少ない時期にライブで披露していたという理由があったわけで、そこに変な意味合いはなかったはず。ところが、2000年代に入ってからの再結成では「Burn」からライブを始めたり、その「Burn」と「Stormbringer」をメドレー形式で演奏したりと急にパープル曲が増え始めた。当時はラッキーと思いつつ、「なぜ今パープルよ?」という複雑な心境になったものでした。

そんなですから、このアルバムを制作すると決まったときは、やはりモヤモヤした気持ちに。最近ライブでカヴァーデイルが声出なくなってきてるからチューニング下げまくりなところに、一番若々しかった時代の曲をセルフカバーって……はい、不安しかありませんでした。しかも、本作制作前には2000年代のWHITESNAKEにとって重要な存在だったダグ・アルドリッジ(G)が脱退。替わりに加入したのがNIGHT RANGERのジョエル・ホークストラだっていうんだから……ジョエルにブルースのブの字も感じたいことないし、どちらかというともう1人のギタリスト、レブ・ビーチと同系統だと思っていたので、不安以外のなにものでもありませんでしたよ。

いざ完成した『THE PURPLE ALBUM』は、予想通りチューニング下げまくり。ただ、「Stormbringer」や「Love Child」「The Gypsy」みたいなヘヴィで引きずるようなミドルチューンにはローチューニングは合ってるかな。とはいえ、「Burn」はやっぱり原曲のキーあってこそだという思いが強いし、「Sail Away」のアレンジも凡庸。名曲中の名曲「Soldier Of Fortune」もわざわざチューニング下げなくても歌えたんじゃないかと思うんですが……原曲への思いが強いだけに、ちょっと残念でなりません。

曲によっては新たな解釈が加えられており、“あくまでWHITESNAKEのアルバムですよ”との主張が感じられる。もちろんそれは正しいんだけど、だったらそのテイストの新曲を作れなかったのかなと。オリジナル曲半分、お遊びで新解釈のカバー半分みたいな作品作りもできたはずなのに、ただ曲数が多くて長いアルバムで終わっちゃってる気がします。そして、やっぱりデヴィッドの衰えだけが目立ってしまうという……だからこそ新曲で勝負してほしかったな。

かなりネガティブなことばかり書いてしまいましたが、すべてがすべて悪いというわけではないですよ。上に挙げたようなミドルヘヴィナンバーは原曲に匹敵するカッコよさが感じられたし、なにより個人的には久しぶりに聴いた『COME TASTE THE BAND』からの楽曲がこんなに良かったっけ?という新たな発見もありましたし。このアルバム、20代前半に聴いたっきりだったので、これを機に改めて聴き直そうと思ったくらいですから。そこに気づかせてくれたという点においては、僕にとっても意味のあるアルバムだったのかもしれません。聴く頻度は非常に低いですけどね(苦笑)。

最後に。本作は2012年に亡くなったDEEP PURPLE、WHITESNAKEのキーボーディスト、ジョン・ロードに捧げられた作品とのこと。本当にそうだとしたら、なおさらオリジナル曲を届けてほしかったな……シンガーとしての寿命も(普通に考えたら)この先決して長くはないだけに……という、好きすぎるからこその苦言でした。



▼WHITESNAKE『THE PURPLE ALBUM』
(amazon:国内盤CD+DVD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 26 12:00 午前 [2015年の作品, Deep Purple, Whitesnake] | 固定リンク

2017/02/25

GRAHAM BONNET BAND『THE BOOK』(2016)

RAINBOWやMICHAEL SCHENKER GROUP、ALCATRAZZ、IMPELLITTERIといったバンドを渡り歩いてきた孤高のシンガー、グラハム・ボネット。彼が近年結成したGRAHAM BONNET BANDの新作として、2016年秋にリリースされたのが本作『THE BOOK』です。

今作は2枚組仕様で、ディスク1にはコンラド・ペシナート(G)、ベス・エイミー・へヴンストーン(B)、マーク・ゾンダー(Dr)、そしてALCATRAZZ時代の盟友ジミー・ワルドー(Key)という現時点での最強布陣で制作されたオリジナル曲11曲を収録。オープニングトラック「Into The Night」での「そうそう、これこれ! こんなグラハム・ボネットが聴きたかった!」と膝を叩きなるような様式美HR/HMに筆頭される、グラハムがこれまで携わってきたバンドのカラーが至るところに散りばめられた、聴き応えのある1枚に仕上がっています。

グラハムのボーカルからは衰えはそれほど感じられず、これが昨年12月に69歳になったばかりのジジイの歌声かよ!?とただ驚くばかり。そしてコンラド・ペシナートのギタープレイも適度にクラシカルで適度にテクニカル、何よりも耳に残るフレーズをたくさん用意してくれるので、親しみやすいプレイヤーではないかと思います。

いやぁ、それにしてもここまで好き放題やっておいて、単なるセルフパロディで終わってないのはさすがだと思います。どれも聴いたことがあるような錯覚に陥るほどに“グラハムらしさ”に満ち溢れている、だけど正真正銘の新曲なんだから。確かに2016年に新たに生み出すような音楽ではないのかもしれないし、80年代からまったく進化していないと言ったらその通りだとも思う。けれど、こういう音楽をここまでストレートに表現できる稀有な存在だけに、彼には無駄にモダンなことに手を出さず、このまま可能な限り自己流のHR/HMを表現していってほしいです。だって「Into The Night」や「Dead Man Walking」みたいな疾走メタルチューンを絶唱できる、70代に手が届くシンガーなんてそうはいないんだからさ。

そしてディスク2。これがある意味問題作であり、人によってはメインディスクになるのかな(苦笑)。こちらはグラハムが過去に携わってきたバンドやソロ時代のヒット曲をGRAHAM BONNET BANDでセルフカバーしたもの。RAINBOW「Eyes Of The World」から始まり「All Night Long」などの代表曲、そしてソロシングル「Night Games」、MSGからは「Assault Attack」「Dancer」など、ALCATRAZZは「Island In The Sun」「God Blessed Video」など1st〜3rdアルバムから、IMPELLITTERIは「Stand In Line」がピックアップされています。

どの曲も基本的なアレンジはそのまま、ボーカルも変に歌メロを崩すことなく、スタジオテイクでの歌唱を軸に歌っています。肝心の演奏もオリジナルに忠実なパートが多く、特にギターのコンラド・ペシナートはリッチー・ブラックモアからマイケル・シェンカー、イングヴェイ・マルムスティーン、スティーヴ・ヴァイ、クリス・インペリテリと、どいつもこいつもクセが強いギタリストなのにしっかり再現&自身の個性を表出させているんだから、さすがとしか言いようがありません。

グラハムのファンや彼が在籍した上記のバンドのファンはもちろんのこと、RAINBOWからの流れにある様式美HR/HMにこれから触れてみようという人にも入門編としてオススメしたい作品集。ディスク2のみならずディスク1もしっかり楽しめたら、あなたも今日から立派なメタラーです。そして、せっかくなので3月に控えたGRAHAM BONNET BAND&ALCATRAZZの来日公演にも足を運んでみてはどうでしょう。



▼GRAHAM BONNET BAND『THE BOOK』
(amazon:国内盤2CD / 海外盤2CD

投稿: 2017 02 25 12:00 午前 [2016年の作品, Alcatrazz, Graham Bonnet, Impellitteri, Michael Schenker, Rainbow] | 固定リンク

2017/02/24

THUNDER『RIP IT UP』(2017)

THUNDERは本当に勤勉なバンドだ。20年前と比べたらアルバムのリリースサイクルなんて3年くらいが当たり前となった昨今、ちゃんと2年に1枚のペースで新作を届けてくれるんだから。

というわけで、2015年2月に発表された通算10枚目のオリジナルアルバム『WONDER DAYS』が久々のヒット作となったTHUNDERが、ちょうど2年ぶりにリリースしたのが本作『RIP IT UP』。2年ぶりとは言いながらも、実は昨年3月には2枚組ライブCD+ライブ映像からなる大作『ALL YOU CAN EAT』も発表しているので、実質1年ぶりの感覚なんですよね。何なんでしょうね、この真面目さは。古き良き(もしくは悪しき?苦笑)イギリス人なんでしょうね、彼らは。

前作制作時はベン・マシューズ(G, Key)が病気療養中でレコーディングに参加できかったため、キーボード類はルーク・モーリー(G)がすべて担当していたようですが、今作では晴れてベンも復帰し、ルーク、ダニー・ボウズ(Vo)、ゲイリー・ジェイムズ(Dr)、クリス・チャイルズ(B)という、『THE THRILL OF IT ALL』(1997年)を携えたツアーから不動のメンバーが揃ったわけです(もちろん、前作完成後のツアーにはベンも参加済みですが)。

今作『RIP IT UP』、基本ラインは『WONDER DAYS』から……いや、従来のTHUNDERのスタイルからこれっぽっちもズレていません。しかし、『WONDER DAYS』に感じられた攻めの姿勢やみずみずしさは若干後退し、より貫禄と渋みが増した印象があります。では地味な作品なのかというと、そんなこともない。オープニングを飾る「No One Gets Out Alive」にしろバラードナンバー「Right From The Start」にしろ、メロディはとてもキャッチーで親しみやすい。だけど、全体を覆う空気感はよりアダルトなものになったイメージが強いんです。

とはいえ、グラムロック時代のデヴィッド・ボウイを彷彿とさせる「Rip It Up」、独特のグルーヴ感を持つミドルチューン「Heartbreak Hurricane」、地を這うようなベースラインとシャッフル気味のリズムが気持ち良い「In Another Life」、力強いビートとTHUNDERらしいギターリフのコンビネーションがクールな「The Enemy Inside」のように印象的な楽曲も多く、簡単に「枯れた」とか「AOR調になった」という言葉では片づけられない魅力もたっぷり詰め込まれています。

確かに『WONDER DAYS』のような即効性は弱めかもしれない。だけど、聴けば聴き込んだだけ味わいが増す。思えば中期以降のTHUNDERのアルバムってそういう作品が多くなかったでしたっけ。そういう意味では、本作ではいろんな経験を得た彼らが『WONDER DAYS』という何度目かのデビュー作を経てたどり着いた、等身大の1枚なのかもしれません。

人によってはそれを退屈と呼ぶかもしれない。しかし、退屈な曲なんてこれっぽっちもない。聴けば聴くほどボディブローのように効いてくる、そんな“地味にスゴイ”アルバムだと思います。

なお、本作もボーナスディスクを追加した特殊仕様を多数用意。海外盤と共通なのは、昨年行われた数百人規模でのレアライブを収めた2枚組アルバム『LIVE AT THE 100 CLUB』が付属した3枚組仕様が用意されていること。ここに日本盤のみ、アルバム未収録の新曲4曲入りEP『BROKEN MIRROR』付き4枚組(!)仕様も存在。とりあえず『LIVE AT THE 100 CLUB』は必聴盤ですので、悪いことはいいません、ちょっとでも興味があるなら3枚組仕様もしくは4枚組仕様の購入をオススメします。

※追記
最新のUKアルバムチャートにて、『RIP IT UP』が初登場3位にランクイン。前作『WONDER DAYS』を超えたのはもちろんのこと、1992年の2ndアルバム『LAUGHIN' ON JUDGEMENT DAY』の2位に次ぐ快挙を成し遂げました。



▼THUNDER『RIP IT UP』
(amazon:国内盤CD / 国内盤3CD / 国内盤4CD / 海外盤CD / 海外盤3CD

投稿: 2017 02 24 12:00 午前 [2017年の作品, Thunder] | 固定リンク

2017/02/23

THUNDER『WONDER DAYS』(2015)

2000年の解散以降、何度か再結成〜解散を繰り返していたイギリスの至宝THUNDER。近年では2009年に再解散したものの、2011年には早くも一度限りの(そして何度目かの)再結成。そのまま2013年には『DOWNLOAD FESTIVAL』をはじめとするフェスに出演し、同年秋には来日公演を実施。さらに2014年秋には『LOUD PARK 14』出演のため再来日も果たしました。そこで彼らは新曲をいち早く披露。このうちの1曲が、翌2015年2月にリリースされた、実に6年ぶりのニューアルバム『WONDER DAYS』のタイトルトラックだったのでした。

スタジオアルバムとしては通算10枚目となる本作は、往年の輝きを再び取り戻したかのようなみずみずしさと、長きにわたり活動してきた大御所ならではの貫禄が絶妙なバランスでミックスされた、再結成後の作品としてはベストと呼べる内容。アルバムのオープニングを飾るタイトルトラック「Wonder Days」は、適度な泣きメロとパワフルな演奏&アレンジは初期3作にも匹敵するものがあります。そこからストーンズライクな「The Thing I Want」へと自然と流れていき、トラディショナルなアコースティックナンバー「The Rain」、スウィング感が心地よい「Black Water」、緊張感みなぎる疾走チューン「The Prophet」と続き、従来のカラーとこれまでには感じられなかった質感が見事に織り交ぜられています。

後半も“これぞTHUNDER”な楽曲が続きます。適度な軽やかさと大きなノリがアダルトな雰囲気を醸し出す「Resurrection Day」、リフでグイグイ引っ張るミドルヘヴィナンバー「Chasing Shadows」、ダニー・ボウズ(Vo)の渋みが増したボーカルが存分に味わえるピアノバラード「Broken」、リフやメロディなど何から何までがTHUNDERでしかない名曲「When The Music Played」、ブルーステイスト濃厚なブギー「Serpentine」、LED ZEPPELINでいうところの「Rock And Roll」的な“何も考えずに踊れるロックンロール”「I Love The Weekend」……ホント、捨て曲一切なし。すごいアルバムだと思います。

確かに初期3作と比べたら、あそこまでの派手さはありません。しかし、少なくとも『THE THRILL OF IT ALL』(1996年)や『GIVING THE GAME AWAY』(1999年)に続く作品でも違和感がないほどの勢いや気概は過去数作以上だし、それでいて結成から30年近く経ったベテランだからこその貫禄と説得力も持ち合わせている。何度かの解散を経て、改めてこのタイミングにバンドとしての原点に立ち返ったのか、それとも「もういろいろやってきたんだから、好きなことだけやろう」と開き直ったのか。理由はなんにせよ、とにかく今このタイミングだからこそ完成させることができた傑作であることには違いありません。それもあってか、このアルバムは『BEHIND CLOSED DOOR』(1995年)以来20年ぶりに全英チャートでトップ10入り(9位)を達成しています。2000年代の再結成後に発表したどのアルバムも50〜70位台だったことを考えれば、いかにすごい結果かがご理解いただけると思います。

なお、本作は『WACKEN OPEN AIR 2013』のライブ音源を収めたボーナスディスク付き仕様も用意。さらに日本盤のみ、アルバム未収録の新曲4曲を収めたEP『KILLER』も付いた3枚組仕様が存在するので、THUNDERにちょっとでも興味があるという人は迷わずこちらをゲットしていただけるとよろしいのではないでしょうか。

いやぁ、それにしても本当にすごいアルバムだ。2000年に解散をしたときは、まさか15年後にまたこんなすごいアルバムを聴くことができるようになるとは思ってもみなかったよ。



▼THUNDER『WONDER DAYS』
(amazon:国内盤CD / 国内盤3CD / 海外盤CD / 海外盤2CD

投稿: 2017 02 23 12:00 午前 [2015年の作品, Thunder] | 固定リンク

2017/02/22

OZZY OSBOURNE『SCREAM』(2010)

2017年2月現在、オジー・オズボーンの最新オリジナルアルバムが本作『SCREAM』。2010年6月にリリースされ、全米4位を記録しました。前作『BLACK RAIN』(2007年)ではザック・ワイルドがギターおよびソングライティングで参加していましたが、本作からFIREWINDのガスG.が正式加入。ソングライティング面での貢献度はゼロですが、レコーディングではザックとはひと味違ったヘヴィ&ワイルドさをアピールしています。

プロデューサーは前作『BLACK RAIN』も手掛けたケヴィン・チャーコ。彼はPAPA ROACHやROB ZOMBIE、FIVE FINGER DEATH PUNCH、IN THIS MOMENT、DISTURBEDなどのプロデュースやソングライティングで知られる人で、そのラインナップからもわかるようにとてもモダンな作風を信条とする方です。事実、オジーの前作『BLACK RAIN』はそのひとつ前のオリジナルバム『DOWN TO EARTH』(2001年)とも異なる、モダンなヘヴィロックが軸になっていました。どこかBLACK SABBATHを思わせるような楽曲が“まんまサバス”にならなかったのは、彼の手腕によるところが大きかったと思います。

そのケヴィンは『BLACK RAIN』同様、今作『SCREAM』でもメインソングライターとして制作に参加。ほぼすべての楽曲をオジーとのコンビで書き上げ、残りの数曲はオジー&ケヴィンとアダム・ウェイクマン(YESのリック・ウェイクマンの息子)のトリオで制作しています。ザックのカラーがなくなったことで、モダンな中にもそこはかとなく感じられたアーシーさは今作では減退。「Life Won't Wait」には若干ザック在籍時の匂いが残っている気がしますが、ザックのアーシーサよりもオルタナ感のほうが優っているかなと。

「Let Me Hear You Scream」みたいにドライヴ感の強い楽曲もあるにはあるけど、アルバムの軸になるのはミドルテンポで重苦しいサウンドを持つナンバー。オープニングの「Let It Die」はまさにその象徴といえる1曲だし、不穏なイントロとギター&ドラムのユニゾンリフが気持ちいい「Diggin' Me Down」などは“2000年代のオジー”だからこそできる楽曲かなと。かたやBLACK SABBATHでは王道感の強いHR/HMに挑み、かたやソロでは同時代性を大切にしたヘヴィメタルにチャレンジする。これが(リリース当時)60歳を超えたジジイのやることかよと。ただただ脱帽です。

そして、こういうモダンなサウンド&楽曲だからこそ、ガスG.のギターワークが活きるというのも納得。ザックが弾いていたら、もっといなたくなっていたんでしょうね(まぁそもそもザックが弾く時点でソングライティングにも携わるだろうから、こんな作風にはならないでしょうけど)。このアルバムから早7年。BLACK SABBATHの活動終了を経て、オジーはスティーヴ・スティーヴンスなどとソロアルバムの準備をしていると聞きます。それがソングライティングのみなのか、はたまたレコーディングにも参加するのか。そしてガスG.の処遇はいかに。なんにせよ、早く“2017年のオジー・オズボーン”が聴きたいし、生で観たいものです。



▼OZZY OSBOURNE『SCREAM』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 22 12:00 午前 [2010年の作品, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2017/02/21

FIREWIND『IMMORTALS』(2017)

2009年からオジー・オズボーンの片腕としてツアーやアルバム『SCREAM』(2010年)に参加しているガスG.。彼のメインバンドとなるのがこのFIREWINDであることは以前から知っていましたし、『SCREAM』を聴く前はいわゆる“クサメタル”系ギタリストがオジーと組むことに違和感を覚えたのですが、いざ完成したアルバムはそれまでの流れを汲む、非常にオジーらしいモダンな内容でした。

そういうこともあって、一度このFIREWINDも聴いてみなくちゃと思っていたものの、なかなか手が伸びず。気づけば2017年を迎えていたわけですが、このたび無事タイミングが合い(笑)、FIREWINDの通算8枚目のオリジナルアルバム『IMMORTALS』を聴くことができました。

オリジナル作品としては2012年の『FEW AGAINST MANY』から5年ぶりの新作となりますが、今作ではボーカルが新加入のヘニング・バッセに変更。初めて聴くので、あえて過去と比較することなく楽しめるかなと思ったのですが……今回の新作って、コンセプトアルバムだったんですね。買ってから気づきました(笑)。

まぁ変な先入観を捨てて、いざアルバムを聴いたわけですが……オープニングの「Hands Of Time」の“王道クラシカル”感にいきなり当てられ早くもおなかいっぱいに(苦笑)。3曲目「Ode To Leonidas」のオープニングのセリフとか、4曲目「Back On The Throne」の仰々しいシンセイントロにハードルの高さを少しだけ感じましたが、いざ曲が始まると普通にカッコいい。あれ、意外とイケるじゃん、自分。

正直、僕はネオクラシカルやクサメタルに苦手意識があったのですが、このアルバムに関しては思っていた以上にスルスル楽しめた。その一番の要因は、ボーカルとギターにかるのかなと思いました。この手のバンドにありがちな、線の細いハイトーンボイスではなく、適度にドスの効いた太い声はスラッシュ以降や昨今のラウドの流れを楽しむ自分にも親しみやすいし、なによりガスG.のギターが非常に面白い。クラシカルなプレイもあれば、オジーのアルバムで聴けたヘヴィなプレイもある。どうやら2015年に発表さいたソロアルバム『BRAND NEW REVOLUTION』はオジー寄りのヘヴィロック的作風だったようですが、両要素を巧みに使い分け、かつ適度に融合させることができるあたりに、本作の勝因があるのではないかと思っています。2分に満たない攻めのインストナンバー「Immortals」を聴けば、その考えはより強まるばかりです。

もちろんクサメタルファンにとっては最高の1枚でしょうが、普段ラウドロックばかりを聴いてるような自分にも十分楽しめるアルバムなのは間違いなし。この手のサウンドもたまに聴くと、本当に新鮮ですね。



▼FIREWIND『IMMORTALS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 21 12:00 午前 [2017年の作品, Firewind] | 固定リンク

2017/02/20

DEATH ANGEL『THE EVIL DIVIDE』(2016)

2016年5月にリリースされた約3年ぶり、通算8枚目のオリジナルアルバム。メンバーはマーク・オセグエダ(Vo)、ロブ・キャヴェスタニィ(G)という初期からの2人に、2000年代の再結成時から加わったテッド・アギュラー(G)、2009年に加入したデミアン・シッソン(B)&ウィル・キャロル(Dr)の計5人。この布陣ですでに3作目ということもあり、バンドとしてもかなり固まってきたタイミングでの新作かと思われます。

80〜90年代のアルバム3作はもちろん聴いてきたし、再結成後も4th『THE ART OF DYING』(2004年)、5th『KILLING SEASON』(2008年)は聴いていたんだけど、その後の2枚は完全にスルー。しかし、ここ最近の旧スラッシュ勢の盛り上がりを見て、このタイミングで最新作に手を出してみました。

ぶっちゃけこれ、最高じゃないですか? ファンの方々からしたら「何を今さら……」と思われることでしょう。いや、本当に申し訳ないです、なんでリリースタイミングに購入しなかったんだろうと後悔しているところです。

アルバムのオープニングにふさわしいキャッチーさと疾走感を兼ね備えたスラッシュナンバー「The Moth」を筆頭に、前曲のノリを引き継ぐ「Cause For Alarm」、エモみが強い「Lost」、曲中盤のインストパートのアレンジがエモーショナル&スリリングな「Father Of Lies」、再び狂ったように突き進む「Hell To Pay」と完璧な流れ。

後半も怪しげなリズム隊のアンサンブルから始まるミドルテンポの「It Can't Be This」、リフとドラムのユニゾン&ドライブ感が心地よい「Hatred United / United Hate」、首がもげるまでヘドバンしまくりたい「Breakaway」「The Electric Cell」(2曲とも歌に入るまでの構成が本当にカッコいい)、タイトなリズム感とメロウなサビが絶妙な「Let The Pieces Fall」と全10曲、約45分すんなり聴けてしまいます。

ちょっと前に取り上げたTESTAMENTの新作もそうでしたが、このアルバムでも大半の楽曲が4分台。最長でもラストナンバー「Let The Pieces Fall」の5:48なのですが、どの曲もぎっしり身が詰まったようなアレンジが施されていて、改めて「スラッシュは長けりゃいいってもんじゃない」と考えさせられます。変にバラード調になることもなく、無駄な展開は皆無。なのにどの曲もこれでもかというほどにいろんな要素が詰め込まれている。ベテランたちが何周もして、今ここに到達するという面白現象が2016年に起きているのは非常に興味深いと思います。

日本盤のみボーナストラックとしてTHE MISSIONのカバー「Wasteland」が追加されていますが、正直これナシで潔く終わる輸入盤のほうがベスト。直近2作を聴いてない僕ですが、本作は今まで聴いたDEATH ANGELのアルバムの中でベストと断言したいです。これ、生で聴いたら最高だろうなぁ……。



▼DEATH ANGEL『THE EVIL DIVIDE』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD+DVD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 20 12:00 午前 [2016年の作品, Death Angel] | 固定リンク

2017/02/19

W.A.S.P.『THE CRIMSON IDOL』(1992)

先日、W.A.S.P.の名盤『THE CRIMSON IDOL』が今年で発売25周年を迎えるにあたり、全曲再現ライブの実施と再レコーディングアルバム制作が発表されびっくりしました(詳細はこちら)。「あれ、こないだも全曲再現ライブやってなかったっけ?」と。あれってもう10年前のことで、発売15周年記念で行ったものだったんですね。時の流れの早さにただただ驚くばかりです。

というわけで、今日はW.A.S.P.が1992年に発表した通算5枚目のスタジオアルバム『THE CRIMSON IDOL』です。いわゆる王道HR/HMが好きな人なら、一度はこのアルバムに触れたこと、あるいはこのアルバムの名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。1992年という、今思えばHR/HMシーンが冬の時代に突入したタイミングに発表されたこのアルバム。当初はフロントマンのブラッキー・ローレス(Vo, G)が相次ぐメンバー脱退を受け、ソロアルバムとして制作されたアルバムだったそうです。しかし、レコード会社からの「W.A.S.P.名義で発表したほうがいいのでは?」というアドバイスを受け、最終的には『THE HEADLESS CHILDREN』(1989年)に続くオリジナル作品になったという経緯があります。

作風的には、いきなりシリアス路線になってファンを驚かせた前作『THE HEADLESS CHILDREN』の流れにあるもの。前作ではアレンジ面でどことなくアメリカンロック的な陽気さもそこはかとなく感じられましたが、この『THE CRIMSON IDOL』ではその空気も払拭され、よりシリアスな正統派ヘヴィメタルアルバムに仕上げられています。

また、本作はジョナサン・アーロン・スティールという架空のロックスターを中心に物語が進行するコンセプトアルバムとなっています。前作『THE HEADLESS CHILDREN』ではTHE WHOの「Real Me」(有名なロックオペラアルバム『QUADROPHENIA(四重人格)』収録曲)をカバーしていましたが、思えばあの時点で「THE WHOのコンセプトアルバムみたいな作品を作りたい」といった構想があったんでしょうね。事実、『THE HEADLESS CHILDREN』には少なからずロックオペラ的要素が散りばめられていましたし。

そういった「コンセプトアルバム」「ロックオペラ」という枕詞に躊躇してしまいがちなメタルファンも多いかと思いますが、心配は無用。1曲目「The Titanic Overture」からいきなりノックアウトされるはずです。そのまま「The Invisible Boy」「Arena Of Pleasure」と疾走感のある王道メタルチューンが続くと、4曲目で名曲中の名曲「Chainsaw Charlie (Murders In The New Morgue)」が登場。この曲、最初はタイトルだけ知ったときは「ああ、ブラッキーの股間にノコギリ付いてたし、そういうのね」と半笑いでした。もちろん、曲を聴いて土下座したい気持ちになったのは言うまでもありません。この起承転結しっかりした9分近い大作こそが、『THE CRIMSON IDOL』というアルバムで何をやろうとしているのかを一番わかりやすく表しているのではないか、だから約9分というリスキーさはありながらも最初のシングルにピックアップされたんでしょうね。

アルバムはその後も熱を帯びながら進行し、一大叙情詩「The Idol」でクライマックスに突入し、心安らぐバラード「Hold On To My Heart」を経て本作最長(約10分)の「The Great Misconceptions Of Me」で大団円を迎えます。特にこのラスト3曲の流れが持つドラマチックさは圧巻で、前半のピークを「Chainsaw Charlie (Murders In The New Morgue)」に置くとしたら、後半は間違いなくこのパートだと断言したいです。

実はこのアルバム、イギリスや日本では1992年初夏にリリースされたものの、本国アメリカでは1年後の1993年5月まで発表されなかったという曰く付きの1枚。それもあってか、米ビルボードではチャートインせず。イギリスでの21位を筆頭に、ノルウェー11位、スイス24位、オーストリア30位、スウェーデン31位、ドイツ35位とヨーロッパ圏で好意的に受け入れられました(もちろんここ日本は言うまでもなく)。アルバムを聴くとそれもなんとなく頷ける内容ですものね。

エゴやキャラの強いメンバーがバンドを離れ、ブラッキーひとりですべてをコントロールできる状況だったからこそ完成させることができたこのアルバム。もしあのままクリス・ホルムズ(G)やジョニー・ロッド(B)がバンドに残っていたらソロアルバムを作ろうなんてこと自体考えなかったでしょうし、仮に『THE HEADLESS CHILDREN』をもっと昇華させた作品を作ろうとしても、ここまでの完成度には至らなかったんじゃないでしょうか。と同時に、このアルバムを完成させることができたからこそ、W.A.S.P.というバンドが紆余曲折ありながらも2017年現在も存続できているんでしょうね。それだけ大きな意味と価値を持つ本作、まだ聴いたことがない人はぜひこの25周年というタイミングに手にしてみてください。

なお、現在はブラッキーのナレーションやライブテイク、本作からのシングルのみに収録されたカップリング曲などを追加収録した2枚組仕様もリリースされています。ライブテイクはリリース年夏に実施された野外フェス『MONSTERS OF ROCK』の音源で、新作からのナンバーに加え「I Wanna Be Somebody」「Wild Child」「Real Me」といった代表曲も楽しめます。



▼W.A.S.P.『THE CRIMSON IDOL』
(amazon:国内盤2CD / 海外盤CD / 海外盤2CD

投稿: 2017 02 19 12:00 午前 [1992年の作品, W.A.S.P.] | 固定リンク

2017/02/18

SKID ROW『SUBHUMAN RACE』(1995)

湾岸戦争勃発を機に世界的不況へと突入していくさなかに発表されたSKID ROWの2ndアルバム『SLAVE TO THE GRIND』は、それでも全米初登場1位、トータルセールス200万枚という当時の状況から考えれば上出来の結果を残しました。特にここ日本では1991年、1992年と2年連続でのツアーが実現し、前者では日本武道館、後者では代々木第一体育館とアリーナ会場でライブを実施する盛況ぶりを見せます。また1992年秋にはカバー曲で構成されたEP『B-SIDE OURSELVES』 を発表して、『SLAVE TO THE GRIND』に伴うワールドツアーをひと段落させるのですが、バンドはすぐに次作の制作には入りませんでした。これはHR/HMに取って代わりNIRVANAやPEARL JAMといったグランジ勢がシーンを席巻していたことで、マネジメントから新作制作に「待った」がかかったとも言われています。

空白の1993年を経て、1994年からは新たにボブ・ロックをプロデューサーに迎え3rdアルバム制作を開始。こうして1995年3月にようやくリリースされたのが、本作『SUBHUMAN RACE』なのです。

まず聴いておわかりのとおり、怒りと勢いで制作された前作と打って変わって、本作は同じ怒りをモチーフにしながらも非常にコントロールされた内容です。だからこそ、アレンジ面においてもテクニカルな要素が目につき、セバスチャン・バックのボーカルも時に抑制を効かせ、時に感情を爆発させるというメリハリがついたことで、全体的にダイナミックさが目立つ。また疾走感よりもグルーヴを重視したテンポ感は、『SLAVE TO THE GRIND』以降に発表されたMETALLICAのブラックアルバム、PANTERA『VULGAR DISPLAY OF POWER』などの新世代メタル作品、そしてSOUNDGARDENやALICE IN CHAINSといったグランジバンドからの影響と言えるでしょう。このテンポ感が軸にあることで、全体のトーンが定まっているようにも感じられます。

セバスチャン・バックが当時このアルバムを語る際、JUDAS PRIESTの『BRITISH STEEL』を引き合いに出していましたが、リフに次ぐリフというアレンジ、アップテンポの曲を含むものの基本的にはミドルテンポが持つグルーヴでぐいぐい引っ張り、音の鋭さで聴き手を圧倒させる作風は確かに通ずるものがあるように思います。

本作が発表された頃にはグランジブームもひと段落した時期ではあったものの、SKID ROWのようなバンドは一世代前の存在として片づけられてしまったためか、またレーベルがこの手のバンドと真剣に向き合わなかったためか、チャート的には全米35位という結果で終わってしまいます。とはいえ、オープニングを飾るグルーヴィーな「My Enemy」、地を這うようなリズムが気持ちいい「Beat Yourself Blind」、変拍子を用いたサイケな「Eileen」、「Slave To The Grind」を整理して一段上へと昇華させたような「Subhuman Race」、ヘヴィなリフ&ビートが心地よい「Frozen」、ダイナミックな「Face Against My Soul」や「Medicine Jar」、SKID ROWらしい泣きのバラード「Into Another」、感情を抑えた適度な熱量が魅力の「Breakin' Down」など良曲満載で、決して数字がすべてではないことを証明する1枚ではないでしょうか。

この翌年の1996年にバズ(セバスチャン)がバンドを脱退。SKID ROWの黄金編成はたった3枚で幕を降ろすことになり、2017年現在まで彼の復帰は一度も実現していません。つい先日、新たなシンガーとして元DRAGONFORCEのZPサートが正式加入したばかり。レイチェル・ボラン(B)がイエスと言わない限りは、残念ですが今後もバズの復帰は絶望的なんでしょうね。



▼SKID ROW『SUBHUMAN RACE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 18 12:00 午前 [1995年の作品, Skid Row] | 固定リンク

2017/02/17

SKID ROW『SLAVE TO THE GRIND』(1991)

デビューアルバムがバカ売れし、BON JOVIやMOTLEY CRUEのオープニングアクトから自身のヘッドライナーツアーへと移行すると、各地で大盛況。ところが、セバスチャン・バック(Vo)のトラブルメイカーぶりが各地で発揮され、一悶着起こして別の意味で話題になります。その矛先はバンドをデビューへと導いたBON JOVIへと向けられ険悪な雰囲気に。

そんな状況下で制作されたのが、1991年6月にリリースされた2ndアルバム『SLAVE TO THE GRIND』です。前作『SKID ROW』では“パンクマインドでHR/HMを鳴らして”いましたが、本作ではパンクマインドがより肥大し、鳴らすサウンドもHR/HMよりも激しさを増しすという“Too much”な内容に仕上がっています。

サウンド的にも、よく整理されていて聴きやすかった前作から一変、より生々しさが増し、ドラムは前のめり感が強く、ギターも極力オーバーダビングされていないような印象を受けます。そしてボーカルの無軌道感……決まったメロディをしっかり歌うのではなく、感情の赴くままに歌い叫び、多少音程が外れようが気にしないし直さない。“Well-made”感が強かった前作とは真逆の、 “録って出し”感濃厚な仕上がりなのです(とはいえ、そこはマイケル・ワグナーの手腕によるものも大きく、実はギリギリのバランス感で成り立っているようにも聴こえます)。

楽曲的にもヘヴィブルースという呼称がふさわしい「Monkey Business」から始まり、“SKID ROW版「Ace Of Spades」”の呼び名がぴったりな「Slave To The Grind」、グルーヴィーな「The Threat」、前作でのバラードとはひと味違ったヘヴィさを持つ「Quicksand Jesus」と、1stアルバムの硬派な部分をより煮詰めたようなナンバーばかり。そこに直球すぎるタイトルの「Get The Fuck Out」や「Riot Act」といった疾走パンクチューン、のちのMETALLICA、PANTERAにも通ずるミドルヘヴィナンバー「Mudkicker」、ドラマチックな王道パワーバラード「Wasted Time」など緩急に富んだ楽曲が加わることで、“どこか一辺倒な雰囲気なのに、なんだかんだ最後までスルッと聴けてしまう”不思議な魅力を作り上げることに成功しています。

実はこのアルバムの発売タイミングからビルボードの集計方法が変わったことで、この『SLAVE TO THE GRIND』はアルバムチャート初登場1位という快挙を初めて成し遂げることになります。今では当たり前のような「初登場1位」を初めて獲ったのが、実はHR/HMアルバムというのも非常に興味深い話ですね。本作からはシングルヒットに恵まれず、唯一「Wasted Time」が全米88位にチャートインしたのみ。いわゆる“4 letter word”(Fuck だのShitだの下品な言葉)を多用した歌詞が多かったことでラジオから敬遠されたものの、アルバム自体は200万枚を超える数字を残しました。また、本作リリース後はPANTERAやSOUNDGARDENを前座に迎えてヘッドライナーツアーを行っていたのも、このアルバムを聴けばなるほどと頷けてしまいます。



▼SKID ROW『SLAVE TO THE GRIND』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 17 12:00 午前 [1991年の作品, Skid Row] | 固定リンク

2017/02/16

SKID ROW『SKID ROW』(1989)

“BON JOVIの弟分”的存在として1989年初頭にメジャーデビューを果たしたSKID ROW。デビュー作『SKID ROW』からの1stシングル「Youth Gone Wild」のMVは当時、ここ日本でもTBS『PURE ROCK』で毎回のようにオンエアされることでHR/HMファンの間で浸透していきました。だって曲良しサウンド良し、ボーカルのセバスチャン・バックのルックス良し声良しで非のつけどころが見当たらなかったんですから、仕方ないですよ。

“BON JOVIの弟分”云々は、メンバーのデイヴ・スネイク・セイボがジョン・ボン・ジョヴィの幼馴染で一緒にバンドをやっていたことがあること、ジョンが運営する「New Jersey Underground」のサポートでデビューにこぎつけたこと、同じドグ・マギーがマネジメントを担当していることから。『SLIPPERY WHEN WET』(1986年)で天文学的大ヒットを記録し、続く『NEW JERSEY』(1988年)もそれに匹敵するヒット作となったタイミングでのデビューだったこともあり、SKID ROWは1年と経たぬうちに大成功を手にします。

1stシングル「Youth Gone Wild」こそ全米99位と低調に終わりますが、続く泣きのバラード「18 And Life」は全米4位、アコースティックギターを取り入れたパワーバラード「I Remember You」も全米6位を記録し、アルバム自体も最高6位、現在までにアメリカのみで500万枚を超える大ヒット作となっています。ホント、アメリカにおける HR/HMブーム末期に登場した最後の大型新人という呼び名がふさわしい存在だったと思います。

ヒットシングルがバラードばかりですが、アルバム全体を覆うのは若さ、怒り、抑圧、衝動という攻めの空気感。パンキッシュな雰囲気の「Piece Of Me」やポップなHR「Can't Stand The Heartache」もありますが、基本的にはパワフルな「Big Guns」、疾走感あふれる「Sweet Little Sister」、そしてアンセミックな「Youth Gone Wild」などメタリックな色合いがこのバンドの持ち味。そこにパンクなスタンスが加わることで、バンドとして唯一無二の個性を確立していくことになります。

ちょうど西海岸からGUNS N' ROSESが登場し、それに応えるように東海岸からSKID ROWが登場。パンクマインドでHR/HMを鳴らしてはいるものの、最終的にお互い異なるスタイルを作り上げたのは非常に興味深いところです。



▼SKID ROW『SKID ROW』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 16 12:00 午前 [1989年の作品, Skid Row] | 固定リンク

2017/02/15

POISON『FLESH & BLOOD』(1990)

『LOOK WHAT THE CAT DRAGGED IN』(1986年)、『OPEN UP AND SAY...AHH!』(1988年)と2作連続でミリオンヒットとなったPOISONが、1990年6月に発表したのがこの3rdアルバム『FLESH & BLOOD』。プロデューサーにはBON JOVI、AEROSMITHでおなじみのブルース・フェアバーン、そして先の2アーティストの作品でエンジニアを務めたマイク・フレイザーの2名を迎え、過去2作以上にタフで硬質な作品を作り上げています。

「演奏が下手」「音がスカスカ」と揶揄されてきたPOISONが一念発起して、最高のプロデューサー陣を迎えて制作した本作。どことなく前年1989年に発表されたAEROSMITH『PUMP』にも通ずる色合いが感じられます。当時このアルバムを聴いて、「あれ、POISONってこんなに硬くて隙のない音だったっけ?」と驚く人が大半だったんじゃないでしょうか。僕自身も「……ゆ、ユルくない……だとっ!?」とまず最初にびっくりしましたし。

冒頭のインスト「Strange Days of Uncle Jack」からタフでストレートな「Valley Of Lost Souls」へと続く流れも、すごくまっとうすぎて呆気に取られるほど。そのまま「(Flesh & Blood) Sacrifice」とシリアスめの楽曲が続く構成に、「パーティバンドPOISONはどこいった!?」と不安になり、無駄にアーシーなインスト「Swampjuice (Soul-O)」から「Unskinny Bop」でようやく“従来のPOISON”に近いスタイルの楽曲に到達します。しかし安心したのも束の間、ゴスペルテイストのアメリカンロック「Let It Play」、なんとなく泣きメロも混じったパワーバラード「Life Goes On」、再びシリアスなハードロック「Come Hell Or High Water」でアルバムA面が終了。

アナログでいうところのB面は、前作における「Fallen Angel」的な「Ride The Wind」からスタート。過去のPOISONにもっとも近い「Don't Give Up An Inch」、もはやゴスペルバラードと言えなくもない「Something To Believe In」、スワンプ風イントロにびっくりなアメリカンHR「Ball And Chain」、バラード風に始まり、そのままテンポアップしてぐいぐい引っ張るキャッチーなロックチューン「Life Loves A Tragedy」とひたすら粒ぞろいの楽曲が並び、最後はPOISON流ブギー&ブスース「Poor Boy Blues」で締めくくります。

……なに、このまっとうなアルバムは!?(苦笑) これをPOISONに求めるか?と言いたくなるぐらいに「土着的アメリカンミュージックからの影響が強い王道ハードロック」アルバムなんですよ、本作は。もともと親しみやすいメロディを作ることには定評があるバンドだけに、本作でも各曲の完成度は異常に高いですが、その装飾部分が異様に硬い。これまでの装飾がプラスチックコーティングだったとしたら、本作は銀とか銅を吹き付けてるんじゃないかって思うほど。思えば先のエアロもそうだし、MOTLEY CRUEもボブ・ロックのプロデュースで『DR. FEELGOOD』という硬質なアルバムを発表した後だし、POISONもうまく時流に乗ったということなんでしょうね。無駄に賢い奴らだな(笑)。

とはいえ、1stアルバムで見せたケバさやナヨナヨさはどこへ?と言いたくなる本作、しっかりリスナーに受け入れられてます。アルバムは全米2位でトータル300万枚を突破。本作からのシングルも「Unskinny Bop」が全米3位、「Something To Believe In」が全米4位、「Ride The Wind」が全米38位、「Life Goes On」が全米35位とそれなりの結果を残しています。ですが、POISONの黄金期はこのアルバムまで。湾岸戦争など時代の煽りを受けツアー活動も縮小し、音楽シーンもHR/HMが衰退し、代わりにグランジが台頭していくことになります。



▼POISON『FLESH & BLOOD』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 15 12:00 午前 [1990年の作品, Poison] | 固定リンク

2017/02/14

POISON『OPEN UP AND SAY...AHH!』(1988)

1作目『LOOK WHAT THE CAT DRAGGED IN』(1986年)の大ヒットを受け、1988年5月に発表されたのが本作『OPEN UP AND SAY...AHH!』(邦題:初めての***AHH!)。先行シングル「Nothin' But A Good Time」がいきなり全米6位の大ヒット曲となり、アルバムも全米2位まで上昇。その後も「Fallen Angel」(全米12位)、「Your Mama Don't Dance」(全米10位)とヒット曲連発となり、中でも本作からの3rdシングル「Every Rose Has It Thorn」は初の全米No.1を獲得し、1989年のビルボード年間チャート3位に輝くメガヒット曲に。アルバム自体も最終的にはアメリカのみで500万枚を突破する、バンドにとって最大のヒット作となりました。

ツアーに次ぐツアー、そして1stアルバムとそれに伴うシングルが次々にヒット、さらに映画『レス・ザン・ゼロ』のサウンドトラック参加と、1987年はひたすら話題作りに事欠かなかったPOISON。そこから半年に満たないインターバルでこのアルバムが発表されたのですから、タイミングとしては最高だったはずです。しかも、1987年にはWHITESNAKE『WHITESNAKE』、MOTLEY CRUE『GIRLS GIRLS GIRLS』、DEF LEPPARD『HYSTERIA』、そしてGUNS N' ROSES『APPETITE FOR DESTRUCTION』がリリースされ、それぞれ年またぎで大ヒットを記録するという空前のHR/HMブームだったわけですから、ウケないわけがないのです。

そんなタイミングにリリースされたPOISONの2ndアルバム。プロデューサーにはMOTLEY CRUEの諸作を手掛けてきたトム・ワーマンを迎え、どこか“チャラさ”と“ナヨナヨ”したイメージのあった前作から“ナヨナヨ”の部分を完全排除。“チャラさ”を適度に残しつつ、バンドとしてのタフさ、男らしさ/男臭さを増量することで当時のMOTLEY CRUEやGUNS N' ROSESに急接近するわけです。それはケバさが抜けたヴィジュアルからも伺えるかと思います。「Every Rose Has It Thorn」のMVなんてカウボーイハットにカウボーイブーツという出で立ちで、やたらとセクシーなオネエさんが登場するあたりはGUNS N' ROSESのみならずWHITESNAKEからもアイデアを拝借してますしね(まぁこういう作風が当時の流行りだったわけですが)。

そういえば、本作にはカバー曲(LOGGINS & MESSINA「Your Mama Don't Dance」)が収録されているのも興味深いポイント。直近でKISS「Rock And Roll All Nite」がウケたというのもあるでしょうけど、本作はむしろプロデューサーのトム・ワーマンのアイデアかなと。MOTLEY CRUEがトム・ワーマンのプロデュース作で毎回カバーを試みてましたしね(「Helter Skelter」「Smokin' In The Boys Room」「Jailhouse Rock」)。それにQUIET RIOTも「Cum On Feel The Noize」「Mama Weer All Crazee Now」でヒットを飛ばしてますし、LAメタルにおけるカバーはひとつの文化だったのかな。さかのぼれば、VAN HALENなんて初期の作品はカバーが多かったですしね。

そういえばPOISONはこのアルバムを携えた来日公演で、ついに日本武道館のステージに立ちます。演奏力は相変わらず、しかもやたらと長いギターソロ&ドラムソロまでフィーチャーされ、いろんな意味で物議を呼んだのも懐かしい話です。



▼POISON『OPEN UP AND SAY...AHH!』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 14 12:00 午前 [1988年の作品, Poison] | 固定リンク

2017/02/13

POISON『LOOK WHAT THE CAT DRAGGED IN』(1986)

POISONがアルバム『LOOK WHAT THE CAT DRAGGED IN』(邦題:ポイズン・ダメージ)でレコードデビューを果たしたのは1986年夏のこと。リリース当時はそれほど大きな話題にはなりませんでしたが、年が明け1987年春にアルバムからの2ndシングルとしてリカットされた「Talk Dirty To Me」があれよあれよとチャートを上昇していき、最高9位まで到達。折しもBON JOVIが「You Give A Bad Name」「Livin' On A Prayer」で2曲連続全米1位を獲得したタイミングということで、HR/HMバンドがじわじわと注目を集め始めたタイミングでのヒットでした。

LAメタルと呼ばれるロサンゼルス出身バンドの中でもやたらとケバケバしく、正直美意識のかけらも感じられないそのヴィジュアル。演奏もテクニカル路線に走る他のバンドとは一線を画し、決して上手ではない。しかし、曲だけは異常にポップで親しみやすいものばかりというこのアンバランスさ。歌詞だって別に知的なことは一切歌っていないし、なんならセックスをイメージさせる曲がほとんど。それでもウケたというのは、やはり彼らには他のバンドにない魅力が備わっていたということなんでしょう。そうでなければ「Talk Dirty To Me」のみの“一発屋”で終わっていたはずですしね。

バンドはこの後、「I Want Action」(全米50位)、「I Won't Forget You」(全米13位)とヒットシングルを連発。アルバム自体も最高3位まで到達し、アメリカのみで300万枚を超える大ヒット作となりました。また、このヒットに便乗してか、1987年秋には映画『レス・ザン・ゼロ』のサウンドトラックにKISS「Rock And Roll All Nite」のカバーを提供。こちらもなんのひねりもない“まんま”のアレンジで衝撃を与えました。

リリースから30年を過ぎた2017年にこの1stアルバムを聴き返してみると、やはりどの曲もやたらとポップでキャッチーなんですよね。1曲目「Cry Tough」からそのポップさは異常とも言えるほどで、この1曲だけ取り出しても同時期に活動した他のLAメタルバンドとは個性の持ち主だってことが理解できる。MOTLEY CRUEともRATTともQUIET RIOTとも違う道をしっかり歩んでいたからこそ、“他にないもの”として受け入れられ成功することができたんだと思います。

と同時に、この処女作が大成功を収めたことで得た自信が、続く2作目、3作目での大躍進にもつながるわけです。バンドってつくづく面白いですね。



▼POISON『LOOK WHAT THE CAT DRAGGED IN』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 13 12:00 午前 [1986年の作品, Poison] | 固定リンク

2017/02/12

NIGHT RANGER『SOMEWHERE IN CALIFORNIA』(2011)

NIGHT RANGERが2011年初夏に発表した、通算9枚目(“MOON RANGER”と呼ばれる特殊編成で1995年にリリースした『FEEDING OFF THE MOJO』を含めると10枚目)のオリジナルアルバム。再結成後もしっかり参加していたジェフ・ワトソンが脱退し、新たにジョエル・ホークストラ(G)が加わって最初のアルバムになります。と同時に、NIGHT RANGERがついに“らしさ”を取り戻した記念すべき1枚ではないかと思っています。

1996年のオリジナル編成での再結成以降、1人抜け、また1人抜けとメンバーチェンジを繰り返しながら新陳代謝を続けてきた彼ら。一時は新作を10年近くもリリースできない期間もありましたが、ジェフ・ワトソン脱退後にバンドとしてのエンジンに再び火がついたのか、ジャック・ブレイズ(Vo, B)、ケリー・ケイギー(Vo, Dr)、ブラッド・ギルス(G)のオリメン3人に先のジョエル、そしてエリック・レヴィー(Key)という新たな布陣で4年ぶりのオリジナルアルバムを完成させるのです。

いざ完成した本作は、まずオープニングの「Growin' Up In California」でノックアウトさせられます。往年の「(You Can Still) Rock In America」を彷彿とさせる曲調、そしてあの“時代錯誤なシンセ”はないもののイントロのツインリードでぐっと心を鷲掴みにされ、ジャックのボーカルとジャック&ケリーのハーモニー、テクニカルなギターソロの応酬とすべてが“全盛期のNIGHT RANGER”をイメージさせるものばかり。『NEVERLAND』(1997年)も『SEVEN』(1998年)も良かったんだけど、待ってたのはこれなんですよね、うん。

その後もNIGHT RANGERらしい楽曲が続きます。ヘヴィな「Lay It On Me」、軽快かつキャッチーな「Bye Bye Baby (Not Tonight)」、ポップながらお豪快なハードロックチューン「No Time To Lose Ya」、イントロの泣きメロにグッとくるマイナーキーの「End Of The Day」、そしてNIGHT RANGERにとってもうひとつの“大きな武器”である王道パワーバラード「Time Of Our Lives」と、とにかく粒ぞろい。80年代の“バラードバンド”的レッテルを払拭しようと意識したのか、バラードは先の「Time Of Our Lives」のみ。基本的にはキャッチーなメロディを持つアップテンポ〜ミドルテンポのロックナンバーが中心で、彼らが今何をしたいのかが明確に理解できる1枚に仕上がっています。

思えば、バラードはあれだけヒット曲があるんだから、ぶっちゃけ過去の楽曲のみでことが済む気がするし、それだったらロックバンドとしての“今”を形として証明したほうがいいのではないか……きっとそんな思いが強かったんでしょう。「俺たち、まだまだやれるし!」って。「Growin' Up In California」から始まって、ドラマチックでスケール感の大きい「Say It With Love」で幕を降ろす構成もバッチリですしね。

僕自身もこのアルバムを聴いて「NIGHT RANGER、やっぱりイイじゃん!」と改めて思えたし、きっと同じように感じた往年のファンは多かったんじゃないかと信じています。大人の貫禄と「まだまだやれる!」っていう若々しさが混在した良作です。



▼NIGHT RANGER『SOMEWHERE IN CALIFORNIA』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 12 12:00 午前 [2011年の作品, Night Ranger] | 固定リンク

2017/02/11

LORDS OF BLACK『II』(2016)

2015年後半にRAINBOW復活が発表され、その参加メンバーがアナウンスされた際、誰もがそのボーカリストに注目したはずです。ロニー・ジェイムス・ディオ、グラハム・ボネット、ジョー・リン・ターナーという歴代の名ボーカリスト、そして90年代のその大役を担ったドゥギー・ホワイト。こういったシンガーたちと肩を並べるにふさわしい存在なのか、きっと古参ファンほどシビアに見ていたことでしょう。

選ばれたのは、チリ出身のロニー・ロメロというシンガー。スペインのヘヴィメタルバンドLORDS OF BLACKのフロントマンとして、当時アルバムを1枚発表していました。これによりロニーの名はもちろんのこと、当のLORDS OF BLACKにも注目が集まることになり、2016年春に2ndアルバム『II』が海外のみならず、ここ日本でもリリースされることとなったのでした。

名前がアナウンスされたとき、YouTubeでLORDS OF BLACKのMVをいくつか観たのですが、どこかディオっぽさもあるけど、それだけじゃない魅了も散見されて、若さゆえの可能性を大いに感じさせるシンガーだなと思っていました。がしかし、バンドの曲自体はそれほど印象に残らなかった(声のみに集中して、曲まで気が回らなかった)のも事実。

そんな中発表された本作『II』は、前作同様にメンバーのトニー・ヘルナンド(G)と現MASTERPLAN、元HELLOWEENのローランド・グラポウの共同プロデュース作品。クレジットを見ると8割近くの楽曲をトニーが作詞・作曲していることから、「現RAINBOWのボーカルが在籍するバンド」というより「トニーの才能が遺憾なく発揮されたバンド」と言ったほうが正解かもしれません。

楽曲やサウンドは哀愁が強くにじみ出た、正統派HR/HMというイメージ。オープニングのインストからなだれ込むパワフルな「Merciless」を筆頭に、時にスピート&パワーで、時に泣きメロでぐいぐい引っ張るテクニカルなギター、パワー一辺倒ではなくしっかり聴かせるなど思っていた以上に器用なボーカルを軸に進行していきます。どの曲にも味つけ程度にシンセやピアノが入っており、それらがさらに楽曲にカラフルさを加えることに成功しています。ぶっちゃけ、彼らは速い曲よりもミディアムでじっくり聴かせる曲のほうがボーカルもギターも映えるんじゃないかと。9分もある大作「Ghost Of You」や、「Cry No More」「Insane」タイプの曲をもうちょっと聴いてみたいと思いました。もうこのへんは好みの問題かもしれませんけどね。

本作にはボーナストラックとして、RAINBOW「Lady Of The Lake」のカバー、そして日本盤のみQUEEN「Innuendo」カバーとアルバム収録曲「Insane」のピアノバージョンが追加収録されているのですが、「Lady Of The Lake」は完全にロニーのRAINBOW入りを意識したものでしょう。厳しめの古参ファンに向けて、ひと足先にご挨拶といったところでしょうか。「Innuendo」も悪くないですが、それよりも「Insane」ピアノバージョンでの無駄な音をそぎ落としてじっくり聴けるロニーのボーカルに注目してほしいです。

昨年秋の『LOUD PARK 2016』で初来日が実現したものの、残念ながら足を運ぶことができず未見のまま。次こそは……と思っているのですが、それよりも今年こそはRAINBOWで……というのは贅沢なお願いでしょうか(苦笑)。



▼LORDS OF BLACK『II』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 11 12:00 午前 [2016年の作品, Lords of Black, Rainbow] | 固定リンク

2017/02/10

RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOW『STRANGER IN US ALL』(1995)

僕は年齢的にRAINBOWに間に合わなかった世代でした。中学に入ると同時にRAINBOW解散〜DEEP PURPLE再結成、秋には『PERFECT STRANGERS』リリース。結局リッチー・ブラックモアが在籍したDEEP PURPLEを観たのは1991年、ジョー・リン・ターナーが参加した『SLAVES AND MASTERS』を携えたツアーでのことでした。その後、リッチーは『THE BATTLE RAGES ON』(1993年)を提げたツアー中に突如脱退。すでに決定していた同年末の来日公演では、急遽ジョー・サトリアーニが助っ人参加するという異常事態となり、面白そうだからとついつい足を運んでしまったのでした。

それから2年後、リッチーは再びRAINBOWとしてシーンに復帰します。そもそもこれも、無名の新人アーティストたちと「パープルでもRAINBOWでもない」新バンドを結成してデビューするつもりだったのが、レコード会社の思惑で最終的に「RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOW」名義で作品をリリースさせられてしまったのでした。リッチークラスでも、こういうコントロールが効かなかったりするんですね?

さて、念願の“リアルタイム”RAINBOW。個人的には『SLAVES AND MASTERS』も『THE BATTLE RAGES ON』も曲自体はそこまで悪くなかったけど、やはりどうしてもパープルでやろうとすると無理がある楽曲ばかりだったなと。しかもイアン・ギランをはじめとする一部のメンバーが完全にフィットしていなかった。本当に勿体ないことをしたと思うんです。

でも、この『STRANGER IN US ALL』ではそれがうまく機能している。1曲目の「Wolf To The Moon」から「そうそう、こういうのが聴きたかったんだよ!」と膝を叩きたくなるような曲なのだから、当時の自分がいかに興奮したかご理解いただけるかと思います。実際、リリースから20年以上経った今聴いてもなかなかな作品だと思います。「Hunting Humans (Insatiable)」みたいにヘヴィな曲もあれば“過去のRAINBOWにもあったような”軽快なR&R「Too Late For Tears」、ヘヴィながらも泣きの要素を持つ「Ariel」もあるし、極め付けは「Black Masquerade」! もうここでガッツポーズですよ。さらにそこから “様式美HR/HMとクラシックの融合”「Hall Of The Mountain King」、ロニー・ジェイムス・ディオ時代の“カバーのカバー”「Still I'm Sad」でクライマックスを迎えるんだから、文句のつけようがないわけです。

過去のRAINBOWと比べてああだこうだという声もありますし、実際僕も当時はそんなことを若干気にしたりもしました。しかし、メンバーも違えばリッチーも歳をとったんだから、変わって当然。むしろあの「パープル末期のやる気のなさ」からよくぞここまで持ち返してくれた!と拍手を送りたいです。

そういえばこのアルバムを携えた来日時(1995年11月)、代々木体育館で初めてRAINBOWのライブを観ることができました。このときにはレコーディングに参加したジョン・オライリー(Dr)がすでに脱退し、旧RAINBOWにも在籍したチャック・バーギが加わり古くからのファンを驚かせました。また、後にリッチーとBLACKMORE'S NIGHTを結成するほか、現在まで公私のパートナーであるキャンディス・ナイトもコーラスで参加したのも記憶に残っています。

にしても、このアルバムから約20年後、三たびRITCHIE BLACKMORE'S RAINBOWが復活するとは……そのへんはまた別の機会に話しましょう。



▼RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOW『STRANGER IN US ALL』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 10 12:00 午前 [1995年の作品, Rainbow] | 固定リンク

2017/02/09

HUASKA『THE BIBLE OF THE BOSSA-METAL』(2016)

このバンド、去年まで全然知らなくて。夏にこの日本企画のベストアルバムが発売されるタイミングに初めて知ったんです。

日系ブラジル人メンバーを中心に結成された、ブラジル・サンパウロの5人組ロックバンドなんですが、その音楽性が非常に個性的でして。メタルやラウドロックとボッサやサンバなどの南米音楽をミックスした、いわゆるミクスチャーメタルの範疇に入るサウンドを信条としていて、リズム隊&ギターは完全にメタルのそれなんですが、そこにクラシックギターやパーカッション、メタルとはかけ離れた朗々と歌うボーカルが加わると、不思議な世界観が展開されるわけでして。例えばブラジル出身のSEPULTURAが1996年に発表したアルバム『ROOTS』で挑戦したサウンドは「メタル側からブラジリアンルーツミュージックへの接近」でしたが、このHUASKAはどちらかというと「ブラジリアンルーツミュージック側からメタルサイドへの接近」に近いのかな。適度な激しさがあるけど、基本的な軸の部分はメタルというよりもラテン音楽ですしね。

本国ではこれまでに4枚のオリジナルアルバムと1枚のEPを発表しているようで、このベストアルバムはそれらから抜粋された楽曲が中心。とにかく聴いていて気持ちいい楽曲ばかりで、メタル特有の高揚感とラテンならではのハッピー感が絶妙なバランスでミックスされている。しかも、思った以上に暑苦しくなく、メタルとは無縁なオシャレ感もどことなく感じられて、思わず笑ってしまう。かといって、ギャグで終わっておらず音楽としてしっかり成立しているんだから……本当に面白い存在です。

バンドによってはこういうサウンド、空気感の楽曲をアルバムの中に1曲だけ入れるケースがあると思うんです。でも彼らの場合、アルバム全編がこれ。シャウトやスクリームもなければ、グロウルも皆無。テクニカルなギターソロはないけど、もの悲しげなアコースティックギターの音色は満載。最高じゃないですか(笑)。もうね、1曲目「Chega de Saudade」の(ボッサとしての)王道感でギャフンと言わされてしまうわけですよ。あとはもう、なすがまま。爽やかなボサノバにモダンメタル特有のザクザクしたギターリフが挿入される「Samba de Preto」なんかもいいですよね。

いわゆるオールドスクールな王道メタルしか認めないという人にはオススメしませんが、オルタナティヴロック〜ミクスチャーロック、2000年代以降のメタル/ラウドロックに抵抗がない世代ならスルスル聴けて楽しめるんじゃないでしょうか。ぜひ一度、生で観てみたいものです。



▼HUASKA『THE BIBLE OF THE BOSSA-METAL』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2017 02 09 12:00 午前 [2016年の作品, Huaska] | 固定リンク

2017/02/08

DAMN YANKEES『DAMN YANKEES』(1990)

ここ数日続いたスーパーバンドの紹介、ひとまず今回が最後となります。1989年にBLUE MURDER、BADLAND、MR. BIG、BAD ENGLISHとデビューが続いたスーパーバンド、翌1990年初頭にその究極と言えなくもない存在のDAMN YANKEESが華々しくデビューを飾ります。

DAMN YANKEESは元NIGHT RANGERのジャック・ブレイズ(Vo, B)、元STYXのトミー・ショウ(Vo, G)、ソロアーティストとして知られるテッド・ニュージェント(Vo, G)、セッションドラマーでのちにLYNYRD SKYNYRDに加わるマイケル・カーテロン(Dr)の4人組。マイケル以外はそれぞれバンドやソロで一時代を築いた人ばかりで、3人ともボーカリスト。ということで、この『DAMN YANKEES』ではジャック&トミーのボーカルを軸にしつつ、曲によってどちらかがリードを取る形となっています。テッドはコーラス以外にも、アルバムラストの疾走ナンバー「Piledriver」でリードボーカルを聴かせてくれます。

楽曲は各メンバーの個が強く打ち出されたものばかり。どの曲を誰がメインで書いたかを考えるだけでも面白いんじゃないでしょうか(基本的に全曲ジャック、トミー、テッドの連名でクレジットされています)。ギタープレイを前面に打ち出しつつも、あくまで楽曲の完成度の高さを大事にしているのはBAD ENGLISHにも通ずるものがありますが、DAMN YANKEESの場合はとにかくフロント3人の色が濃いぶん、主張の強さが曲のいろんなところから感じられるのが面白いところ。それでいてストリングスを取り入れた美しいバラード「High Enough」みたいな曲もあるんだから、興味深い存在です。

基本はオープニングトラック「Coming Of Age」で聴ける、豪快なアメリカンハードロックが軸にあって、そこに「Come Again」のような叙情性の強い曲、「Piledriver」みたいにメタリックなブギー、「Runaway」のように美しいハーモニーが楽しめるアーバンなポップロックが織り交ぜられている。「Mystified」みたいなアメリカ南部のテイストは完全にテッドの持ち味でしょうし、ストレートなハードロック「Rock City」はジャックのテイストな気がするし。でも、ちゃんとひとつのバンドとして、1枚のアルバムにすべて収めることができているんだから、さすがとしか言いようがない。

このバンド、何がすごいって、やっぱりライブなんですよね。だって、「(You Can Still) Rock In America」も「Don't Tell Me You Love Me」も「Renegade」も「Blue Collar Man (Long Nights)」も「Cat Scratch Fever」も「Free-For-All」も聴けるんですから、悪いわけがない。ある意味、アメリカンハードロックの歴史を垣間見れる、貴重な場でもあったわけです。

ちなみに本作は全米13位まで上昇し、200万枚ものセールスを記録。シングルカットされた「High Enough」は全米3位と彼らの代表曲となり、ここ日本でもリーバイスのCMソングとしてオンエアされ話題となりました。

なおこのバンドも例に漏れず、1992年に2ndアルバム『DON'T TREAD』をリリースしてから解散。一時は3rdアルバムを制作するために再集結も計画されましたが、実現に至りませんでした。勿体ない。で、トミーとジャックは一時期SHAW BLADESを組むも、それぞれSTYX、NIGHT RANGERを再結成させ、活動を続けています。



▼DAMN YANKEES『DAMN YANKEES』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 08 12:00 午前 [1990年の作品, Damn Yankees, Night Ranger] | 固定リンク

2017/02/07

THE HELLACOPTERS『HIGH VISIBILITY』(2000)

2015年末から本当にたくさんの、一時代を築き上げたアーティストたちの訃報が続いています。そんななか、つい数日前に元THE HELLACOPTERSのギタリスト、ロバート・ダールクヴィストが亡くなったことを知りました(ソースはこちら)。この名前だとなんとなくピンとこないけど、ロバート・ストリングスといえば「ああ!」と腑に落ちる方も多いのではないでしょうか。

ストリングスを生で観たのはたった1回きり、3度目にして結局最後の来日となってしまった2001年1月の渋谷CLUB QUATTRO公演(当時のレポートはこちら)。ちょうど4thアルバム『HIGH VISIBILITY』を携えて実施されたものでした。最前列で観たというのもあるけど、そのときの熱気や興奮は今でも昨日のことのように覚えています。

ドレゲン(BACKYARD BABIES)が在籍した初期2作にあったパンキッシュなガレージロック色からスピードを若干落とし、よりソウルフルな方向へと移行しはじめた3rdアルバム『GRANDE ROCK』(1999年)を経て、メジャーレーベルへと移籍して制作されたのが2000年リリースの『HIGH VISIBILITY』。作風的には『GRANDE ROCK』で表現した方向性をより突き詰めたもので、シングルカットもされた「Toys And Flavors」「No Song Unheard」で聴ける“エモみの強いブラックテイストのロックンロール”は初期とは異なる魅力に満ち溢れています。

かと思うと、適度な疾走感を持つ「Baby Borderline」「Sometimes I Don't Know」「I Wanna Touch」「Hurtin' Time」のような従来のアップチューンも豊富にあるし、壮大さが加わったことでオープニングにふさわしい1曲に仕上がった名曲「Hopeless Case Of A Kid In Denial」、70年代のKISSがよりソウルフルになったような「You're Too Good」「A Heart Without Home」(特に後者は、終盤にアップテンポに展開するアレンジがいかにもで最高すぎ)、どこか怪しげなフレーズ&メロディがクールな「No One's Gonna Do It For You」もある。『GRANDE ROCK』と同時期にリリースされたミニアルバム『DISSAPOINTMENT BLUES』という習作を経て、その個性を完全に確立させたのが『HIGH VISIBILITY』だったんだなと、本作以降のアルバムを聴くと改めて実感させられます。

初期2作を別モノとして捉えると、THE HELLACOPTERSのアルバムでもっとも好きなのがこの『HIGH VISIBILITY』。もちろんそれ以外のアルバムが本作よりも劣っているという意味ではありませんので、誤解なきよう。どのアルバムもそれぞれの良さがあって好きなのですが、個人的に作品が持つガレージロック度、ポップ度、ソウル度のバランス感が一番絶妙なのが本作なんじゃないかと思うのです。それに加えて、やはり2001年の来日公演が非常に思い出深いものになったことも大きな要因。きっとその後のアルバムでも来日が実現していたら、思い入れや感じ方も変わったのかもしれませんね。

ああ、もう一度ニッケとストリングスのステージ上での絡み、見たかったなぁ……。



▼THE HELLACOPTERS『HIGH VISIBILITY』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 07 12:00 午後 [2000年の作品, Hellacopters, The, 「R.I.P.」] | 固定リンク

BAD ENGLISH『BAD ENGLISH』(1989)

1989年デビューのスーパーバンドつながり、なおかつ現在JOURNEY来日中ということで、今日はBAD ENGLISHの1stアルバム『BAD ENGLISH』を紹介します。

BAD ENGLISHはJOUNEYを活動休止させたニール・ショーン(G)とジョナサン・ケイン(Key)が、元THE BABYSのフロントマンで「Missing You」を全米No.1ヒットさせたソロシンガーのジョン・ウェイト、同じく元THE BABYSのリッキー・フィリップス(B)、トニー・マカパインやCACOPHONYで活躍したディーン・カストロノヴォ(Dr)と結成した5人組バンド。一部からは“JOUNEYの再編”と呼ばれたほか、ジョナサン・ケインもJOURNEY加入前はTHE BABYSのメンバーだったこともあり“新生THE BABYS”なんて声もありました。

JOURNEYの活休前ラスト作『RAISED ON RADIO』(1986年)がハードロックというよりもAOR的なアメリカンロックアルバムだったこともあり、このBAD ENGLISHのデビュー作にはハードロック寄りの楽曲が比較的多く含まれています。ニール・ショーンも曲を殺さない程度に弾きまくってますし、ジョナサン・ケインのキーボードも80年代半ばの産業ハードロックそのものといったテイスト。そしてなにより、スティーヴ・ペリー(JOURNEY)ほどキーは高くないものの哀愁味の強い枯れた歌声が魅力のジョン・ウェイトが、暑苦しすぎないボーカルで聴き手を楽しませてくれます。リードトラックとなった「Forget Me Not」なんてまさに、各メンバーの個性が存分に生かされたロックチューンですしね。

しかし、「Open Arms」の大ヒットが生んでしまった“JOURNEY=バラード”という公式を、このBAD ENGLISHも引き継いでおり、全13曲中バラードタイプの楽曲が4曲(「Possession」「When I See You Smile」「Price Of Love」「Don't Walk Away」)と比較的多く含まれています。中でも「When I See You Smile」は全米1位、「Price Of Love」は全米5位と立て続けにシングルカットされ大ヒット。これに導かれるようにアルバム自体も最高21位まで上昇、100万枚を超えるセールスを記録しました。バラードバンドのレッテルを剥がしたかったはずのニール・ショーン、ここでもその呪縛から離れられなかったわけですね。

とはいえ、職業作家のダイアン・ウォーレンが書き下ろした「When I See You Smile」も、ジョン・ウェイト&ジョナサン・ケイン作の「Price Of Love」も間違いなくいい曲ですし、JOURNEYの香りがするマイナーキーのハードロック「Tough Times Don't Last」、激しいドラムに引っ張られるようにニール・ショーンのギターが唸る「Ready When You Are」、豪快なハードロック「Lay Down」や「Rockin' Horse」など聴きどころの多い1枚なのは確か。60分超えの収録時間はちょっとアレですけど、純粋にいい曲がたくさん詰まったアルバムと考えればマイナスにはならないはず。

それにしてもスーパーバンドってどこも基本的に短命なんですよね。BAD ENGLISHも1991年に2ndアルバム『BACKLASH』をリリースして解散してますし。そりゃあこれだけの大物たちだもん、みんなエゴが強かったわけです。それと90年代に入り湾岸戦争を境に不況に突入、ロックもグランジをはじめとするダークなものが主流になっていき、こういったHR/HMは前時代的なものになってしまいます。もう5年早かったら、どのバンドももう1枚くらいアルバムを作れたのかもしれませんね。



▼BAD ENGLISH『BAD ENGLISH』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 07 12:00 午前 [1989年の作品, Bad English, Journey] | 固定リンク

2017/02/06

GARY MOORE『AFTER THE WAR』(1989)

本日2月6日は、2011年に急逝したゲイリー・ムーアの命日だったんですね。先ほどTwitterに流れてきたつぶやきで知りました。それで、今朝から彼の諸作をいろいろ引っ張り出して聴いているのですが……せっかくだから1枚選んで、急遽取り上げてみようかと思った次第です。

ゲイリー・ムーアが遺した名作群の中からどれか1枚選べと言われると、非常に悩みどころでして……80年代の作品はどれも好きなものばかりですし、そんな中でもやっぱり『WILD FRONTIER』(1987年)は群を抜いてお気に入りだけど、同じくらい『STILL GOT THE BLUES』(1990年)も好き。さて困ったぞと悩んでいると、iTunesで上記2作の間に挟まれた1枚のアルバムに目がいったわけです。それが今回紹介する『AFTER THE WAR』です。

本作は1989年初頭にリリースされた、通算8作目のオリジナルアルバム。前作『WILD FRONTIER』である種ひとつのピークを迎えたゲイリーが、新たなるステージであるブルースサイドへと移行する前に見せた過渡期的側面と言えなくもない本作は、彼がハードロックギタリストとして音楽と向き合った最後の作品と受け取ることもできます。事実、タイトルトラック「After The War」や「Speak For Yourself」、オジー・オズボーンをボーカルにフィーチャーした、当時のLED ZEPPELIN劣化コピーバンドを皮肉った「Led Clones」、名曲「Out In The Fields」、VAN HALENばりのハードブギー「This Thing Called Love」、陽気なハードロック「Livin' On Dreams」「Ready For Love」と、本作以降のアルバムではなかなか聴くことのできないタイプのオリジナル楽曲をたっぷり楽しむことができます。どこか洗練された感があるのも、本作の特徴かもしれませんね。

と同時に、本作には次作『STILL GOT THE BLUES』への布石も用意されています。それがロイ・ブキャナンのカバー「The Messiah Will Come Again(メシアが再び)」。リリース当初はアナログ盤に未収録だったこの曲、それ以前のアルバムに収められたインストナンバーと比べるとプレイスタイルもよりブルージーになっており、これがあったからこそ『STILL GOT THE BLUES』へとすんなり入っていけたという人も少なくないのではないでしょうか。

と同時に、前作『WILD FRONTIER』でみせた母国アイルランドへの強い思いも、「Blood Of Emeralds」や、THIN LIZZYのカバー「Emerald」などで再び表現されています(アルバム冒頭とエンディングに収められたインスト「Dunluce (Part 1)」および「Dunluce (Part 2)」もその流れですよね)。そういう意味では本作、過渡期というよりも過去数年の集大成かつ新たなステップへの序章と捉えたほうが健全かもしれませんね。リリースから28年も経っていて正直驚きましたが、その魅力を再認識してほしい1枚です。

ちなみに本作のレコーディングには、同作のツアーに参加するもすぐに脱退してしまったコージー・パウエル、名手サイモン・フィリップス、エルトン・ジョンやケイト・ブッシュとの共演でも知られるチャーリー・モーガン、そして「Emerald」の原曲でも叩いているTHIN LIZZYのブライアン・ダウニーと複数のドラマーが参加しています。ほぼ打ち込みで表現された『WILD FRONTIER』と比べたら非常に肉感的ですし、ライブが見えてくる音像ですよね。さらに2002年以降に流通しているリマスター盤に追加収録されたライブテイクでは、のちにKISSに加入するエリック・シンガーが叩いているようです。そのへんのプレイの違いを聴き比べてみるのも、面白いかもしれませんね。



▼GARY MOORE『AFTER THE WAR』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 06 12:00 午後 [1989年の作品, Cozy Powell, Gary Moore] | 固定リンク

MR. BIG『MR. BIG』(1989)

ここ数日BLUE MURDER、BADLANDSを取り上げてきましたが、今回紹介するMR. BIG含めて……思えば1989年って“スーパーバンド”と呼ばれる大物アーティストや名プレイヤーが結成した新バンドが続出した1年だったんですよね。ジョン・ウェイトと元JOURNEY組が結成したBAD ENGLISHも1989年デビューでしたし。この風潮は、1986年を起点としたアメリカでのHR/HMブームが過渡期に突入したことを表していたのかもしれません。

さて。今回は日本のHR/HMファンなら誰もが知っている“BIG IN JAPAN”ことMR. BIGのデビュー作を紹介します。メンバーはソロシンガーとして活躍してきたエリック・マーティン(Vo)、元RACER-Xのポール・ギルバート(G)、元TALAS〜デヴィッド・リー・ロス・バンドのビリー・シーン(B)、IMPELLITTERIやテッド・ニュージェント・バンドなどに在籍したパット・トーピー(Dr)の4人。アルバムは全米46位という成績を残し、続く大ヒット作『LEAN INTO IT』(1991年)につなげることになります。

デヴィッド・リー・ロスのアルバム『EAT 'EM AND SMILE』でスティーヴ・ヴァイとのテクニカルなユニゾンプレイでHR/HMファンやギター&ベースプレイヤーを沸かせたビリーが、RACER-Xで強烈な速弾きを披露したポールとバンドを組んだことで、ファンは当然同様のユニゾンプレイを期待するわけですが、それは1曲目「Addicted To That Rush」で早くも実現します。

しかし、アルバムを聴き進めていくと本作は決してギター&ベース中心のアルバムではなく、エリックの歌が軸になっているブルースベースのハードロックアルバムであることに気づかされるわけです。「Wind Me Up」「Merciless」とグルーヴィーなミドルチューンが続き、4曲目でようやくタッピングを多用したビリーのベースソロが聴こえてきて「おおっ!」と期待してしまうのですが、当の「Had Enough」自体は泣きメロの歌がメインのバラードナンバー。その後も「Big Love」や「How Can You Do What You Do」「Anything For You」、「Rock & Roll Over」とキャッチーでメロウな楽曲、「Blame It On My Youth」や「Take A Walk」などのブルーステイストのロックチューンが続きます。

とはいえ、そういった歌主体の楽曲の中でもビリー&ポールは常人にはとても弾けないような、テクニカルなフレーズを散りばめています。そのへんがMR. BIGの個性につながっているわけですが、ここまでブルース色、テクニカルさを前面に打ち出すのは、この編成では本作が最初で最後。次作以降、ポールのカラーが色濃くなっていき、ポップさを強めた楽曲志向のバンドへと変化していきます。



▼MR. BIG『MR. BIG』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 06 12:00 午前 [1989年の作品, Mr. Big] | 固定リンク

2017/02/05

BADLANDS『BADLANDS』(1989)

『BARK AT THE MOON』(1983年)、『THE ULTIMATE SIN』(1986年)とオジー・オズボーンのアルバム2作にギタリストとして参加したジェイク・E・リーが、オジーのもとを離れて結成したのがこのBADLANDSというバンド。1989年に本作『BADLANDS』で華々しいデビューを飾ります。

当時のメンバーはジェイクのほか、レイ・ギラン(Vo)、グレッグ・チェイソン(B)、エリック・シンガー(Dr)。レイはバンド脱退後の1993年に死去、エリックは本作のツアー後にバンドを離れ、アリス・クーパー・バンドを経てKISSに加入します。

さて、1989年初夏にリリースされた本作。ジェイクがリーダーシップを取るバンドということで、『BARK AT THE MOON』や『THE ULTIMATE SIN』のようなサウンドを想像したと思いますが、全体を覆うのはアメリカ南部の香りがするブルースベースのハードロック。ロバート・プラントばりのハイトーンボーカルを聴かせるレイ・ギランの個性を生かしつつ、ジェイクはソロ以外では弾きすぎない、曲ありきの作品作りに挑んでいます。

とはいえ、そこはジェイクのこと。印象的でカッコいいギターリフから始まる「High Wire」から始まり、ラジオやMTVでのウケを狙ったポップな「Dreams In The Dark」、曲中のインタープレイにゾクゾクする「Winter's Call」など、随所でジェイクならではのギタープレイを楽しむことができます。これも全部、かっちりとベースを固めるリズム隊と圧倒的迫力のボーカルがあってこそ好き放題弾けるというもの。もちろん楽曲自体の出来も水準以上なので、単なる「ギタリストウケを狙った作品」で終わらずに済んでいます。

曲間に入るアコースティック小楽曲「Jade's Song」もあれば、bayfm『POWER ROCK TODAY』のジングルでもおなじみのアップチューン「Hard Driver」もあるし、ハネ気味のリズムが心地よいブルースナンバー「Rumblin' Train」、LED ZEPPELINを現代的なアレンジで再現させたような「Devil's Stomp」、スローブルース調バラード「Seasons」、グルーヴィーな「Ball & Chain」もある。ブルースを軸にしたハードロックナンバーの数々は、確かにそれ以前のジェイクのカラーとは異なるけど、これはこれで最高にカッコいいと思うんです。

続く2ndアルバム『VOODOO HIGHWAY』(1991年)では本作に若干あったモダンさが減退し、より土着的なサウンドを聴かせてくれるのですが、リリース翌年にバンドは解散。1998年には3rdアルバム制作に向けて録音されたデモ音源をベースにした未発表曲集『DUSK』も発売されています。残念ながらBADLANDSの作品は廃盤になっているものが大半なので、中古で見つけたら必ずゲットしておくことをオススメします。



▼BADLANDS『BADLANDS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 05 12:00 午前 [1989年の作品, Badlands] | 固定リンク

2017/02/04

BLUE MURDER『BLUE MURDER』(1989)

さて、昨日の続きを。ジョン・サイクス(G)はWHITESNAKEにて初めて曲作りおよびレコーディングで貢献したアルバム『WHITESNAKE』を1987年に完成させますが、レコーディング中からたびたびデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)と衝突していたこともあり、アルバム発売前にバンドを脱退。ライブでこれらの楽曲を弾くことが一度もなかったわけです。その『WHITESNAKE』はアメリカのみで800万枚ものセールスを記録。印税は懐に入ったものの、表向きはバンドの成功を味わうことなく、ひたすらデヴィッドに対する憎悪の思いのみが加速していったのでした(これ、憶測ですよ。誤解なきよう)。

そんなジョン・サイクスは“打倒WHITESNAKE”のもとにコージー・パウエル(Dr)やフィル・スーザン(B)、レイ・ギラン(Vo)などとBLUE MURDERと命名したバンドを結成。しかし二転三転して、最終的にカーマイン・アピス(Dr)、トニー・フランクリン(B)、そしてジョンがボーカルも兼任するトリオ編成となり、本作『BLUE MURDER』を完成させます。

プロデューサーはAEROSMITH『PERMANENT VACATION』、BON JOVI『NEW JERSEY』などで名を馳せたボブ・ロック。あの鋭いギターサウンドとドラムのビッグサウンドがここでも堪能できるだけでなく、トニー・フランクリンという名うてのフレットレスベースプレイヤーが加わったことによる不思議なグルーヴ感を楽しむことができます。

楽曲自体は『WHITESNAKE』アルバムの延長線上にあると言っていいでしょう。ただ、デヴィッドのブルーステイストが加わらないことで非常にモダンなテイストが前面に打ち出されており、単なる姉妹作で終わらないオリジナリティも確立されています。それは1曲目「Riot」から明白で、「Still Of The Night」のアレンジが下地にある「Sex Child」、WHITESNAKEでは表現しきれなかったドラマチックさを追求した「Valley Of The Kings」、アコースティックを基調としたアーシーなテイストから壮大なアレンジへと変化していく「Jelly Roll」など、序盤から聴きどころ満載。もちろん「Out Of Love」や「Black-Hearted Woman」など、『WHITESNAKE』をバージョンアップされた楽曲も含まれています。

カーマイン・アピス&トニー・フランクリンという鉄壁のリズム隊とのアンサンブルも最高で、かつジョンのギターもこれでもかとフィーチャーされている。けれど単なるギター・オリエンテッド・アルバムでは終わっておらず、メロディのポピュラリティもしっかり維持しつつ、ジョンのボーカルもしっかり主張している。これがデビューアルバムか!?と驚きが隠せない完成度持つ、ギタリスト必聴の1枚です。

にしても、この妙にセクシーさを前面に打ち出したMVもWHITESNAKEをなぞっていて、バチバチ感が見え隠れします。WHITESNAKEと同じGeffen Recordsからのリリースというのも大きいんですけどね。

残念ながら本作は全米69位と大成功には程遠い結果しか残せず、この編成は短命に終わります。また、こんなに『WHITESNAKE』の継承的アルバムを作っておきながら、本作は1986年に亡くなったフィル・ライノット(THIN LIZZY)に捧げられています。そのあたりにもジョンの歪んだ対抗心みたいなものが感じられて、意地らしいなと思ってしまいます。



▼BLUE MURDER『BLUE MURDER』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 04 12:00 午前 [1989年の作品, Blue Murder, Whitesnake] | 固定リンク

2017/02/03

WHITESNAKE『WHITESNAKE (or“1987”)』(1987)

まず最初に。今回、かなり長いです。それだけ語ることが多い作品であり、しっかり語らなくてはならない1枚だと思っているので、ぜひ時間があるときに読んでいただきたいと思います。


1987年春にリリースされたWHITESNAKEの通算7枚目のスタジオフルアルバムにして、同年を代表するHR/HMの1枚。レコーディングメンバーはデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)、ジョン・サイクス(G)、ニール・マーレイ(B)、エインズレー・ダンバー(Dr)の4人。「Here I Go Again」のみギターソロでエイドリアン・ヴァンデンバーグが参加しています。ちなみに本作を携えたワールドツアーではデヴィッド以外のメンバーを総入れ替えし、エイドリアン、DIOを脱退したヴィヴィアン・キャンベル(G)、オジー・オズボーンのリズム隊でおなじみのルディ・サーゾ(B)&トミー・アルドリッジ(Dr)の5人編成でライブが行われました。

本作は全米2位という最高位を獲得し、1987年の年間アルバムチャートで16位、翌1988年の年間チャートでも19位にランクインし、現在までにアメリカのみで800万枚以上ものセールスを記録。本作からのシングルも「Here I Go Again」が全米1位、「Is This Love」が全米2位、「Give Me All Your Love」が全米48位、「Still Of The Night」が全米79位、特に「Here I Go Again」は1987年のビルボード年間チャートで7位に輝く大ヒット作となりました。1987年がいかにHR/HMの年だったかが伺える事象かと思います。

とはいえこのアルバム、当時は古くからのWHITESNAKEファンにとってはある種の踏み絵というか、なんとも受け入れがたいアルバムだったと記憶しています。だって前作『SLIDE IT IN』(1984年)までギリギリ保っていたブルースベースのブリティッシュハードロック色が払拭され、完全にアメリカナイズされたサウンドと曲調になっているんですから。本作に続く1989年の8thアルバム『SLIP OF THE TONGUE』なんて、さらにもってのほかだと思いますよ。

さて。実は本作には大まかに3つのバージョンが存在していることはご存知でしょうか。そもそも1987年のリリース時点で2つのバージョンが存在し、2000年代に入って新たにもう1バージョン増えるという、名盤のくせに異色の存在なのです。

まず、よく知られた日本盤およびアメリカ盤の収録内容。


01. Crying In The Rain
02. Bad Boys
03. Still Of The Night
04. Here I Go Again [ここまでがアナログA面]
05. Give Me All Your Love
06. Is This Love
07. Children Of The Night
08. Straight For The Heart
09. Don't Turn Away


この曲順に慣れ親しんだという現在40代以上のメタルファン、多いんじゃないでしょうか。ちなみに『サーペンス・アルバス(白蛇の紋章)』の邦題でおなじみの本作、日本盤は長きにわたり廃盤状態。初盤は当時CBSソニーからリリースされていましたが、本作のUS盤リリース元のGeffen Recordsの配給が現在のユニバーサルミュージックに移ったあたりから、中古市場でしか見かけない状況です。2000年代半ばに限定仕様の紙ジャケ盤が一、二度再発されましたが、通常のプラケース盤は再発なし。非常に残念でなりません。

で、本作のイギリスやヨーロッパでのリリース元は、それ以前の作品同様EMI Records。ヨーロッパでは過去にデヴィッドのソロ名義で『WHITESNAKE』というタイトルのアルバムが出ていることから、『1987』という別名で発売されました。


01. Still Of The Night
02. Bad Boys
03. Give Me All Your Love
04. Looking For Love [ここまでがアナログA面]
05. Crying In The Rain
06. Is This Love
07. Straight For The Heart
08. Don't Turn Away
09. Children Of The Night
10. Here I Go Again [CDのみ収録]
11. You're Gonna Break My Heart Again [CDのみ収録]


日本盤およびUS盤と曲順が全然違いますよね。正直曲の流れはヨーロッパ盤のほうがいいと思いますが、ヘヴィブルースに生まれ変わった「Crying In The Rain」から始まり「Don't Turn Away」で感動的に終わる流れに慣れてしまった耳には最初は違和感があったのも正直なところ。うん、双方捨てがたい。

「Crying In The Rain」と「Here I Go Again」はヨーロッパでは既発曲(2曲とも1982年のアルバム『SAINTS & SINNERS』収録)だけどUSで未発表だったのでリメイクされたという経緯があり、特に「Here I Go Again」はイギリスでシングルカット済みということもあってアナログ盤には未収録。代わりにヘヴィバラード「Looking For Love」が収められています。さらにCDのみに収録の「You're Gonna Break My Heart Again」、これがめちゃくちゃカッコいい。正直「Looking For Love」と「You're Gonna Break My Heart Again」のためだけにヨーロッパ盤を手に入れるのもアリだと思います(ちなみにこの2曲、日本では企画盤『1987 VERSION』に収録。ダン・ハフがギターソロを弾くアレンジが微妙な「Here I Go Again」なども入っているので、中古盤で見かけたら手にしてみるのもいいかと)。

そして最後が、2007年に発売された「20th Anniversary Edition」。こちらはヨーロッパ盤CDを基準に、曲順が再考されています。


01. Still Of The Night
02. Give Me All Your Love
03. Bad Boys
04. Is This Love
05. Here I Go Again
06. Straight For The Heart
07. Looking For Love
08. Children Of The Night
09. You're Gonna Break My Heart Again
10. Crying In The Rain
11. Don't Turn Away
12. Give Me All Your Love (Live)
13. Is This Love (Live)
14. Here I Go Again (Live)
15. Still Of The Night (Live)


M-12〜15は2006年発売のライブアルバム『LIVE: IN THE SHADOW OF THE BLUES』のテイク。本作のDVD付き仕様のみに収められていて、CD単品仕様にはこのライブテイクは未収録のようです。

日本盤、ヨーロッパ盤それぞれの曲順に耳が慣れた後にこのバージョンを聴くと、微妙な気持ちになります。なぜこの曲順に直したんでしょうね、理解に苦しみます。どこかライブの流れに近いものを感じるので、そういう意味合いもあるのかしら……。


あ、肝心の中身についても触れておかないと。

THIN LIZZY末期にギタリストとして知名度を上げ、1984年の『SLIDE IT IN』リリース後にWHITESNAKEに加入したジョン・サイクス。彼は『SLIDE IT IN』をUSリリースする際にギターソロを追加録音していますが、ソングライティングから本格的なレコーディングまで含めると、この『WHITESNAKE』が初の全面参加作品なわけです。しかもほとんどの曲をデヴィッドとジョンが書いていること、いや、おそらくメインはジョンが書いているんでしょう(脱退後にそう力説してましたし、自身のライブでもこのアルバムの曲をセルフカバーしてましたしね)。それが『SLIDE IT IN』以前との大きな違いであり、この変化の原因(古くからのファンには元凶なのかな)であるわけです。

実際、HR/HMとしては非常に魅力的な楽曲ばかりですし、ギターリフ、ギターソロどれを取っても素晴らしい。それに応えるデヴィッドのボーカルも非常に艶やかでアグレッシヴ。「Still Of The Night」や「Crying In The Rain」でのロバート・プラントばりのシャウト、「Is This Love」や「Don't Turn Away」で魅せる渋みと哀愁、どれも素敵としか言いようがないわけです。隙がないアルバムとはまさにこのこと。この春でリリースから30年経ちますが、今聴いてもまったく色褪せない、本当に最高のHR/HMアルバムだと思います。

残念なのは、ジョンがこのアルバムの完成後にバンドを脱退したため、WHITESNAKEではこれらの楽曲をライブで弾いていないこと。ヴィヴィアンやエイドリアンのギターも悪くないですが、やはり絶頂期を迎えたジョン・サイクスという才能をWHITESNAKEとして観たかったものです。

ジョンの脱退後に発表されたこのアルバムが記録的大ヒット作となったことで、彼はデヴィッドへの復讐に執念を燃やすがごとく、のちに『WHITESNAKE』アルバムの義兄弟的バンド・BLUE MURDERを結成することになるのですが、それについてはまた明日。



▼WHITESNAKE『WHITESNAKE (or“1987”)』
(amazon:国内盤CD / US盤CD / EU盤CD / EU盤CD(曲順新装版) / EU盤CD / EU盤CD(曲順新装版) / EU盤CD(曲順新装版)+DVD

投稿: 2017 02 03 12:00 午前 [1987年の作品, Whitesnake] | 固定リンク

2017/02/02

BUDDERSIDE『BUDDERSIDE』(2016)

ロサンゼルス出身の4人組バッドボーイズロックバンド、BUDDERSIDEが2016年9月に発表したセルフタイトルの1stアルバム。彼らはMOTORHEADのマネジメントである「MOTORHEAD MUSIC」が手掛けており、本作のプロデュースを担当したのもレミー・キルミスターの息子であるポール・インダー・キルミスターが担当。MOTORHEADのフィル・キャンベルも1曲(M-2「Ska Bra」)、ギターソロにてゲスト参加した“MOTORHEADファミリー太鼓判”の1枚となっています。

がしかし。サウンドそのものは「LA出身」「バッドボーイズロックバンド」というキーワードから想像できる、MOTORHEADからはかけ離れた、いかにもアメリカンなノリノリのハードロック。先に挙げた「Ska Bra」はブラス隊をフィーチャーしたスカコア調ナンバーだし、続く「Pain」はBUCKCHERRYあたりにも通ずるキャッチーで豪快なハードロックだし。いや、めちゃめちゃ良いんですよ、適度にダークで適度にポップで、適度にヘヴィで適度に軽快で、とにかく聴きやすい。実はこのバンランス感を保つのってすごく難しいと思っているので(大概のバンドはどこかに偏るし)、MOTORHEADファミリーのバックアップでデビューというのもなるほどと頷ける話です。

個人的にはSTONE TEMPLE PILOTSのような、ダークでサイケデリックなミディアムナンバー「X-Girlfriend」がツボ。そういったあたりの影響が感じられるのも、80年代のLAバンド的ではなくて、90年代以降の流れにあるバンドなんだろうなってことが伺えるし。また、アーシーなテイスト(M-5「Clear Blue Sky」あたり)がありつつも、随所にデジタル要素も盛り込まれていて、そのへんも前時代のバッドボーイズロックバンドとは異なるところかなと。

フロントマンのパトリック・ストーン(Vo, G)の歌声・声質も、スコット・ウェイランド(STONE TEMPLE PILOTS、VELVET REVOLVERなど)やジョシュ・トッド(BUCKCHERRY)に近いものが感じられ、耳に残る個性を持っていると思います。あとは「これ!」というキメの1曲ができたら完璧かなと。「Ska Bra」も「X-Girlfriend」も「Clear Blue Sky」もいい線いってると思うし、アグレッシヴな「Open Relationship」もストリングスを取り入れたバラード「Can't Wrap My Head Around You」も平均以上だと思うので、きっかけさえあればすぐにでもブレイクできると思います。それくらいのメジャー感があるし、2枚目が期待できるバンドではないでしょうか。

ちなみに本作、日本盤は今のところ未発売。サマソニあたりで初来日が決まれば、それなりに盛り上がるんじゃないかと信じております。



▼BUDDERSIDE『BUDDERSIDE』
(amazon:海外盤CD

投稿: 2017 02 02 12:00 午前 [2016年の作品, Budderside, Motorhead] | 固定リンク

2017/02/01

BEARTOOTH『AGGRESSIVE』(2016)

2013年に解散したメタルコア/エレクトロニコアバンド、ATACK ATACK!のボーカル/スクリーム(元々はキーボード)担当だったケイリブ・ショーモ(Vo)が新たに結成したメタルコアバンドBEARTOOTH。彼らが2016年半ばに発表したのが、この2ndアルバム『AGGRESSIVE』です。個人的には昨年後半、非常に愛聴した1枚でもあります。

BEARTOOTHはここ日本では2015年末、本国アメリカでは2014年に発表済みの1stアルバム『DISGUSTING』で本格的デビュー。同タイミングに初来日公演も実現しています。そんなノリにノッたタイミングでの2作目リリース、しかも2016年9月にはCrossfaith主催イベント『ACROSS THE FUTURE』出演で早くも再来日が実現。僕もこのタイミングに初めてライブを観ましたが、今の勢いがそのままパフォーマンスに表れた好ステージを繰り広げていました。

前作『DISGUSTING』も全米48位と好成績を残しましたが、今作『AGGRESSIVE』はそれを超える25位を記録。SLPKNOTなどとツアーを回ることで、着実に知名度を上げたようです。肝心の内容ですが、ヘヴィメタル寄りというよりもパンク、ポストハードコア寄りのスタイルで、比較的日本のラウドロックに近いノリを感じます。1stアルバムも非常にキャッチーなメロディを持つ楽曲が多かったですが、今作はそこがより洗練されていて、コアな楽曲も多いのに非常に聴きやすいものになっています。

例えば『LOUD PARK』ではなく『PUNKSPRING』のほうが似合うバンド、と言えばわかりやすいでしょうか。『KNOTFEST』でも大丈夫だし、なんなら(実現の可否は別として)『AIR JAM』でもイケる。旧来のメタルファンにはすんなり受け入れられるとは思いませんが、メタルコアを受けいれられる層、メタルではなく“ラウドなロック”が好きな人ならウェルカムなバンドであり、楽しめるアルバムだと思います。

ちなみに日本盤にはボーナストラックとして、2015年末の来日時にRed Bull Studio Tokyoでスタジオレコーディングした「Body Bag」と「In Between」、そして「Aggressive」の8bitリミックスバージョンを追加収録。「Body Bag」にはCrossfaithのKenta Koie(Vo)がゲスト参加した、文字通り“アグレッシヴな”バージョンを楽しむことができます。



▼BEARTOOTH『AGGRESSIVE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 01 12:00 午前 [2016年の作品, Beartooth] | 固定リンク