LORDS OF BLACK『II』(2016)
2015年後半にRAINBOW復活が発表され、その参加メンバーがアナウンスされた際、誰もがそのボーカリストに注目したはずです。ロニー・ジェイムス・ディオ、グラハム・ボネット、ジョー・リン・ターナーという歴代の名ボーカリスト、そして90年代のその大役を担ったドゥギー・ホワイト。こういったシンガーたちと肩を並べるにふさわしい存在なのか、きっと古参ファンほどシビアに見ていたことでしょう。
選ばれたのは、チリ出身のロニー・ロメロというシンガー。スペインのヘヴィメタルバンドLORDS OF BLACKのフロントマンとして、当時アルバムを1枚発表していました。これによりロニーの名はもちろんのこと、当のLORDS OF BLACKにも注目が集まることになり、2016年春に2ndアルバム『II』が海外のみならず、ここ日本でもリリースされることとなったのでした。
名前がアナウンスされたとき、YouTubeでLORDS OF BLACKのMVをいくつか観たのですが、どこかディオっぽさもあるけど、それだけじゃない魅了も散見されて、若さゆえの可能性を大いに感じさせるシンガーだなと思っていました。がしかし、バンドの曲自体はそれほど印象に残らなかった(声のみに集中して、曲まで気が回らなかった)のも事実。
そんな中発表された本作『II』は、前作同様にメンバーのトニー・ヘルナンド(G)と現MASTERPLAN、元HELLOWEENのローランド・グラポウの共同プロデュース作品。クレジットを見ると8割近くの楽曲をトニーが作詞・作曲していることから、「現RAINBOWのボーカルが在籍するバンド」というより「トニーの才能が遺憾なく発揮されたバンド」と言ったほうが正解かもしれません。
楽曲やサウンドは哀愁が強くにじみ出た、正統派HR/HMというイメージ。オープニングのインストからなだれ込むパワフルな「Merciless」を筆頭に、時にスピート&パワーで、時に泣きメロでぐいぐい引っ張るテクニカルなギター、パワー一辺倒ではなくしっかり聴かせるなど思っていた以上に器用なボーカルを軸に進行していきます。どの曲にも味つけ程度にシンセやピアノが入っており、それらがさらに楽曲にカラフルさを加えることに成功しています。ぶっちゃけ、彼らは速い曲よりもミディアムでじっくり聴かせる曲のほうがボーカルもギターも映えるんじゃないかと。9分もある大作「Ghost Of You」や、「Cry No More」「Insane」タイプの曲をもうちょっと聴いてみたいと思いました。もうこのへんは好みの問題かもしれませんけどね。
本作にはボーナストラックとして、RAINBOW「Lady Of The Lake」のカバー、そして日本盤のみQUEEN「Innuendo」カバーとアルバム収録曲「Insane」のピアノバージョンが追加収録されているのですが、「Lady Of The Lake」は完全にロニーのRAINBOW入りを意識したものでしょう。厳しめの古参ファンに向けて、ひと足先にご挨拶といったところでしょうか。「Innuendo」も悪くないですが、それよりも「Insane」ピアノバージョンでの無駄な音をそぎ落としてじっくり聴けるロニーのボーカルに注目してほしいです。
昨年秋の『LOUD PARK 2016』で初来日が実現したものの、残念ながら足を運ぶことができず未見のまま。次こそは……と思っているのですが、それよりも今年こそはRAINBOWで……というのは贅沢なお願いでしょうか(苦笑)。
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