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2017/03/04

ANTHRAX『FOR ALL KINGS』(2016)

2016年2月にリリースされた、ジョーイ・ベラドナ(Vo)がバンドに復帰した前作『WORSHIP MUSIC』(2011年)以来4年半ぶり、ANTHRAXにとって通算11枚目のオリジナルアルバム。前作の全米12位を上回る7位という好成績を記録し、1993年の6thアルバム『SOUND OF WHITE NOISE』に次ぐ高順位作品となりました。

前作には「これぞANTHRAX!」と力説したくなるような、いわば3rd『AMONG THE LIVING』(1987年)前後のもっとも勢いに乗った時期のANTHRAXを思わせる楽曲が並んでいたことから、(またアルバム自体が8年ぶりという事実もあって)多くのメタルファンから大歓迎された1枚でした。その成功作をフォローアップする作品という意味でも、バンドにとってそれなりのプレッシャーがあったのではないかと思われますが、実際完成したアルバムを聴くと、むしろバンド側はそういったプレッシャーすらも楽しんでいたのではないかと思わせる、実に肩の力の抜けた王道ヘヴィメタルサウンドを楽しむことができます。

オープニングのインスト「Impaled」こそ仰々しさがあり、若干ANTHRAXらしくないなと思わせられますが、そこから間髪入れずに始まる「You Gotta Believe」はいつものANTHRAX節炸裂。途中、ちょっと無理やりっぽい展開が入るあたりも、往年の“らしさ”が感じられます。

そう、どの曲も実に“らしさ”満載なのですが……すべてを聴き終えたときに、意外とすらすら聴けてしまったことに戸惑うのも、また正直なところ。そう、「これ!」という引っ掛かりがあまり感じられなかったのです。それが先に書いた「実に肩の力の抜けた王道ヘヴィメタルサウンド」にもつながるのですが。

このバンドの場合、ともするとお遊びが過ぎて聴き手側がついていけなくなることも少なからあるのですが、今回の場合はそれの逆ケース……遊びが少なすぎて「あれっ、こんなもん?」と感じてしまう。力みすぎないのは決してマイナスではないのですが、今作で聴ける「過剰にメロディアス」な作風にそのスタンスは似合わないのではないか、と思うのです。

「Breathing Lightning」なんて、例えばジョン・ブッシュ時代に演奏していたとしたら、もうちょっとタイトで緊張感のある楽曲に仕上がっていたと思うんです。で、そのアウトロ「Breathing Out」が続くことで、さらに劇的な展開になったなずなのに……。

アルバムは中盤「Suzerain」「Evil Twin」あたりから若干盛り返し始めますが、どうにも煮え切らなさが残る。リズムのキレが悪いのか、それともベラドナのボーカルのせいなのか、はたまた……謎です。

決して悪くないし、1曲1曲を取り上げれば非常によくできた楽曲ばかり。90年代以降のANTHRAXの作品の中でも良曲が豊富な部類に入る作品だと思うんです。なのに、「これ!」という決定打に欠ける。もしかしたら、バンド内がかみ合っているようでかみ合っていないのかもしれない。いや、バンドとリスナー側(自分)がかみ合ってないのかも……このアルバムに心底のめり込めなかった理由は、このあたりにあるのかなと思っています。

リリースから1年経過して、改めて聴き返してみましたが、自分内の評価は変わらず。逆に時間の経過とともに評価が下がることもなく、急激に上がることもないという、非常に珍しい作品です。もしかしたらそれって、非常に稀ですごいことなのかもしれないですね。



▼ANTHRAX『FOR ALL KINGS』
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投稿: 2017 03 04 12:00 午前 [2016年の作品, Anthrax] | 固定リンク