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2017/03/10

AC/DC『BLOW UP YOUR VIDEO』(1988)

記憶に間違いなければ、僕が初めて購入したAC/DCのアルバムはこの『BLOW UP YOUR VIDEO』です。初めて聴いたアルバムはその前作にあたる(オリジナルアルバムではないけど)『WHO MADE WHO』(1986年)だけど、あれはレンタルレコードだったし。

というわけで、今回紹介するのはAC/DCが1988年初頭にリリースした通算10作目(本国オーストラリアでは11作目)のオリジナルアルバム『BLOW UP YOUR VIDEO』。時代背景的には言うに及ばず、1986年末のBON JOVI大ブレイクを機に勃発したHR/HMムーブメントの最中、最初に発表されたAC/DCの新作がこれでした。このちょっとまえにAEROSMITHが『PERMANENT VACATION』(1987年)で大復活を果たし、彼らのフォロワーといえるGUNS N' ROSESやRATTといったバンドがエアロに対するリスペクトを発言。特にガンズからはそれと同じくらい名前が挙がっていたのが、このAC/DCでした。実際、初期の彼らはライブでよく「Whole Lotta Rosie」をカバーしていましたしね。

当のAC/DC自体は1980年に発表した『BACK IN BLACK』が爆発的ヒットを記録し、続く『FOR THOSE ABOUT TO ROCK WE SALUTE YOU』(1981年)は念願の全米No.1を獲得。しかし、フィル・ラッド(Dr)脱退以降、セールスを一気に落としてしまい、いわば落ち目になりかけていたタイミングでした。そこに世界的なHR/HMムーブメント、若手アーティストからのAC/DC待望論と状況が好転しだしたところで、起死回生の一手としてこのアルバムが発表されたわけです。

リアルタイムで聴いたときは、とにかく冒頭の2曲「Heatseeker」「That's The Way I Wanna Rock 'N' Roll」のカッコよさにやられ、それ以降の楽曲は地味という印象でした。まぁ当時16歳になったばかりのガキンチョでしたしね。派手なアレンジこそサイコーみたいな勘違い、誰にでもありますよね。

で、リリースから30年近く経った今、以降のバンドの歴史も踏まえつつ聴き返すと、やっぱり原点回帰的な思いが込められていたんだなということに気づかされます。その原点は大ヒットした『BACK IN BLACK』やその前の『HIGHWAY TO HELL』(1979年)ではなく、それこそオーストラリアでバンドを始めた頃まで遡るのかなと。全体的に無駄がなくてシンプルなのはいつもどおりなんですが、そこに加えて(後任ドラマーのサイモン・ライトのジャストなドラミングにも関わらず)前のめり感が強い。言い方を変えると……若々しくてパンキッシュなんですよ。

先に挙げた冒頭2曲は言うまでもなく、それ以外の曲からも貫禄よりフレッシュさに満ち溢れている。しかも、昔は地味だと思い込んでいた楽曲群が、実はポップで親しみやすいものばかりだということにも気づかされる。「Mean Streak」も「Go Zone」も「Kissin' Dynamite」もめちゃめちゃ良いし、「Nick Of Time」や「Ruff Stuff」みたいにポップで親しみやすい楽曲、AC/DC流泣きメロが気持ちいい「Two's Up」、“これぞパンク”と言わんばかりに攻めまくる「This Means War」みたいな曲もある。あれ、全然地味じゃないじゃんか、と。

結局AC/DCはこの2年後、1990年にさらにポップで親しみやすいアルバム『THE RAZORS EDGE』で再び天下を獲ることに成功するのですが、そこと比べたら『BLOW UP YOUR VIDEO』は確かに地味。セールス的にも復調はしたけど、過去の大ヒット作と比べたらそこまでのヒットとも呼べない。過渡期の1枚と呼ばれがちですが、あのタイミング、あの時代背景があったからこそAC/DCが踏ん張って生み出すことができた奇跡のアルバムだったのではないかと、発売から29年経った今思うわけです。いや、本当にいいアルバムですよ。



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投稿: 2017 03 10 12:00 午前 [1988年の作品, AC/DC] | 固定リンク