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2017/03/11

MOTLEY CRUE『GIRLS, GIRLS, GIRLS』(1987)

昨日のAC/DCの記事で触れ忘れましたが、1987年前後にAC/DCの名前を挙げ始めたのは何もRATTやGUNS N' ROSESだけではなく、MOTLEY CRUEもだったんですよね。確か1987年から始まった『GIRLS, GIRLS, GIRLS』ツアーではAC/DCの「Highway To Hell」をカバーしていた記憶も。思えばAEROSMITHが本格的再ブレイクする前に彼らのことを持ち上げたのも、RATTとMOTLEYでしたしね。

ということで、今日はMOTLEY CRUEが1987年初夏にリリースした通算4枚目のアルバム『GIRLS, GIRLS, GIRLS』を紹介したいと思います。アルバムごとにサウンドスタイルやヴィジュアルを一新し、常に流行の最先端を追い続けていた80年代のMOTLEY CRUE。前作『THEATRE OF PAIN』(1985年)ではグラムロックや70年代のAEROSMITH的ルックスに、ヘヴィメタルというよりはグラムHRというようなライト路線へとシフトチェンジし、大成功を収めましたが、今作『GIRLS, GIRLS, GIRLS』では世の中がグラムメタルで賑わう中、そのスタイルを捨ててマッチョ&ワイルドな路線へ。サウンドもより生々しさを伴うロックンロール色の強いHRサウンドへと進化させています。

『GIRLS, GIRLS, GIRLS』のアルバムジャケットでハーレー・ダビッドソンにまたがるヴィンス・ニール(Vo)とニッキー・シックス(B)。表題曲「Girls, Girls, Girls」のMVではヴィンスやニッキーのみならず、トミー・リー(Dr)やミック・マーズ(G)までもがハーレーを乗り回し、ストリップ小屋を散策します。まさに“Sex, Drug, Rock 'N' Roll”の三種の神器がぴったりなスタイルを地でいくとはこのこと。もともと彼らにはその要素が見え隠れしていましたが(前作ではそれ以上に、パーティ感が強かった印象ですが)、ここまで開き直って直球を放たなくても……と思ってしまったのも事実です。

当時のツアーで披露した360度回転ドラムの場面をフィーチャーしたMVも印象的な「Wild Side」からスタートするこのアルバム。そのまま「Girls, Girls, Girls」へと流れていく頭2曲の構成は完璧です。どこかソウルフルな雰囲気もある3曲目「Dancing On Glass」は若干地味な印象がありますが、歌詞はニッキーのドラッグ体験を歌ったもので味わい深い(苦笑)ものがあります。タイトルからして直球な「Bad Boy Boogie」も女性コーラスが入ることで、前曲以上にソウルやゴスペルチックな色合いが。亡くなった祖母のことを歌ったショートバラード「Nona」は前作における「Home Sweet Home」とは異なるタイプ/立ち位置ながらも、本作において一瞬の安らぎを与えてくれます。

アナログB面は「Five Years Dead」「All In The Name Of…」と、シンプルなロックンロールからスタート。「Sumthin' For Nuthin'」も決して派手さはないけど、どこか引っかかりがある不思議な曲。この『GIRLS, GIRLS, GIRLS』というアルバムの収録曲は、シングルリリースされた冒頭2曲が持つ派手さと、この「Sumthin' For Nuthin'」みたいに“派手になりきれず、どこか地味”に二分されるんですよね。前者にばかり目を奪われて他の曲の良さに気づかないまま、「『GIRLS, GIRLS, GIRLS』って評判のわりに、あんまり良くないよね?」と切り捨ててしまうには本当に惜しい1枚。実はスルメ度という意味では、1stアルバム『TOO FAST FOR LOVE』(1982年)に匹敵するのではないかと思っています。

9曲目には、本作後半のハイライトとなるパワーバラード「You're All I Need」が登場。MOTLEY CRUEではトミー・リーがドラムとピアノを兼務するため、当時のツアーでこの曲は披露されていなかったと記憶しています(「Home Sweet Home」みたいにピアノパートとドラムパートが別個じゃなくて、同時に鳴っているしね)。また、歌詞も非常にダーク(恋人を永遠に自分のものにしたくて殺してしまうという内容)なため、3rdシングルとしてリカットされるも大ヒットにはつながりませんでした(全米83位。でも「Home Sweet Home」も89位だったし、同じようなもんか)。

そしてラストがエルヴィス・プレスリー「Jailhouse Rock」(邦題:監獄ロック)のライブカバー。これ、当時はてっきりライブ音源だと思ってましたが、擬似ライブテイクなんですよね? リリースされた頃はヴィンスの“リアル監獄入り”を記念して演奏されたとかいろんな話がありましたけど、前作における「Smokin' In The Boys Room」ほどじゃなかったかなと。まぁライブでは盛り上がるセレクトなので(だからこその擬似ライブアレンジなのかな)、これはこれでアリかと。

で、本作は2003年のリマスター&リイシューの際にボーナストラックが多数追加されています。「Nona」のでもインストバージョンのアレンジ、カッコいいじゃない。これはこれで仕上げられたバージョンを聴きたかったなぁ。あと個人的には、未発表のバラード「Rodeo」をなぜちゃんとブラッシュアップしてリリースしなかったのかと問いたい……まぁ、これも入れたら“Sex, Drug, Rock 'N' Roll”言うてるのにバラードばかりになっちゃうか。

ちなみに本作。当時としては過去最高の全米2位を記録。全米のみで現在までに400万枚以上のセールスを記録しています。ツアーではNasty Habitsと命名されたセクシーな女性コーラス隊を引き連れていたのも記憶に残っています。また『WHITESNAKE』リリース直後のWHITESNAKEや、『APPETITE FOR DESTRUCTION』でデビューしたばかりのGUNS N' ROSESをオープニングアクトに採用。全米ツアーは大成功を収め、19897年12月には初の日本武道館公演を含むジャパンツアーも大成功させました(自分が初めてMOTLEY CRUEを観たのもこのときでした)。が、帰国後の12月23日、ニッキーはヘロインのやりすぎで心肺停止状態に。のちに無事蘇生するものの、さらに “俺はある時期、ニッキー・シックスだった”という替え玉裁判まで持ち上がり、音楽面以外で再び世間を賑わせることになります(苦笑)。



▼MOTLEY CRUE『GIRLS, GIRLS, GIRLS』
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投稿: 2017 03 11 12:00 午前 [1987年の作品, Motley Crue] | 固定リンク