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2017/03/13

KISS『MONSTER』(2012)

昨日KISSについていろいろ調べていたら、最新作『MONSTER』が2012年秋のリリースで、もう4年以上経ったという事実に驚かされました。とはいえこの4年ちょっとの間にKISSは二度も来日しているんですよね(2013年秋と2015年春)。2013年のときはチケットを持っていながら仕事の都合で行けなかったのですが、2015年の際には逆に仕事として東京ドーム公演に関わることができ、リハーサル含め彼らのプロフェッショナルぶりを間近で体験することができました。

さて、今のところ最新作となるこの『MONSTER』はKISSにとって20作目のオリジナルアルバム。この前の作品にあたる『SONIC BOOM』(2009年)はバンドにとって11年ぶりのオリジナルアルバムだったにもかかわらず、ここ日本ではリリースされることはありませんでした。そうった意味でも、この『MONSTER』に賭けるバンドやレーベルの意気込みは、当時相当なものがあったと記憶しています。

アルバム自体は、前作『SONIC BOOM』の延長線上にある作風で、ポール・スタンレー(Vo, G)とジーン・シモンズ(Vo, B)のリードボーカル曲が程よいバランスで混在し、その合間をトミー・セイヤー(Vo, G)ソロVo曲、エリック・シンガー(Vo, Dr)ソロVo曲、そしてポール&ジーンのツインボーカル曲が埋めるという完璧な構成。70年代のキャッチーでコンパクトな楽曲スタイルを軸にしながらも、70〜80年代のハードさ、90年代のサイケさなども適度にまぶされており、いわば“KISSの集大成”と呼べるような仕上がりです。

ポールが歌うアップテンポの「Hell Or Hallelujah」からスタートするのはちょっと意外でしたが、続くジーンVo曲「Wall Of Sound」はどこかビートルズ「Helter Skelter」を彷彿とさせるヘヴィな1曲。そこからポールVoの「Freak」、ジーンVoの「Back To The Stone Age」と、どことなく70年代のKISSを彷彿とさせる楽曲に続くのも興味深いところ。しかし、セルフパロディにならずに新しさもしっかり持ち合わせているのは、KISSの大ファンだったトミーが楽曲制作に加わっていることも大きいのかなと思います。5曲目「Shout Mercy」もメロ運びやギターリフが非常に初期のKISSっぽいし、6曲目「Long Way Down」は初期っぽさがありながら90年代のKISSが演奏しても不思議じゃない作風。ギターの歪み方が80〜90年代のファクトリーメイドな歪みとは異なる、ナチュラルな歪みだからこそ余計に初期のKISSを思い浮かべるのかもしれません。

ソウルフルなコーラスからスタートする「Eat Your Heart Out」、ダイナミックなアレンジが印象的な「The Devil Is Me」とジーンVo曲が2曲続いたあとは、いよいよトミー&エリックのVo曲が登場。トミーの歌う「Outta This World」は自分の役割をしっかり認識しているためか、エース・フレーリーが歌っても不思議じゃない軽やかなロックンロールを奏でています。またエリックが歌う「All For The Love Of Rock & Roll」もピーター・クリス時代を意識しているのか、ポールが書いた曲をエリックが歌うスタイルを取っています。どちらも2012年的とは言い難いかもしれませんが、KISSらしさという点においては100点満点。そこからAC/DC的な「Take Me Down Below」でポール&ジーンがツインボーカルを聴かせ、ポールが歌う王道KISSチューン「Last Chance」で派手に締めくくります。

全12曲で約44分。どの曲も3分前後で、どんなに長くても4分半止まり。しかもバラードなしで攻めまくるという構成。頭からお尻まで、どこを切り取ってもKISS以外の何者でもない本作は、KISSの最終到達点なのかもしれません。だからこそ、彼らが新作制作よりもライブに専念するのはある意味理にかなっているのかなと。これを超えること自体が難しいことだとは重々承知していますが、せめてもう1枚だけ、新作を聴いてみたいものです。



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投稿: 2017 03 13 12:00 午前 [2012年の作品, KISS] | 固定リンク