« TNT『TELL NO TALES』(1987) | トップページ | OZZY OSBOURNE『TRIBUTE』(1987) »

2017/03/18

HAREM SCAREM『MOOD SWING』(1993)

カナダの4人組HRバンドHAREM SCAREMが1993年にリリースした2ndアルバムにして、ここ日本でのデビュー作『MOOD SWING』。発売から20年以上経った現在も、このアルバムが放つ魅力はまったく色褪せていません。

1993年というと、世の中的にはHR/HMが完全に“過去のもの”に成り下がり、アメリカやヨーロッパではNIRVANAやPEARL JAM、SMASHING PUMPKINS、ALICE IN CHAINSといったグランジバンド、そのフォロワー的に登場したSTONE TEMPLE PILOTSなどがチャートやツアーで成功を収めていた時期、翌1994年4月にカート・コバーン(NIRVANA)が自殺したのと同じ頃から少しずつシーンは停滞していくことになるのですが、90年前後に活躍したHR/HMバンドの多くはセールス面で相当の苦戦を強いられ続けます。その結果、グランジ寄りのサウンドを取り入れ始めたり、ひどい場合はメジャーレーベルからドロップし(契約解除され)たり……しかし、ここ日本では少しだけ状況が異なりました。そう、日本ではまだHR/HMは死んでいなかったのです。

そんな状況下で発表された『MOOD SWING』というアルバム。とにかく冒頭2曲(「Saviors Never Cry」「No Justice」)のパワフルかつメロディアスなスタイルに、一発でノックアウトされたのをよく覚えています。ギターソロが死に絶えた時代にここまで弾きまくるか!というピート・レスペランスのプレイは圧巻だし、ハスキーさがいい味を出しているハリー・ヘスのボーカルも気持ちいい。楽曲はDOKKENが一番良かった頃を彷彿とさせつつも、アレンジやコーラスワーク、サウンドプロダクションからはDEF LEPPARDの影響が強く感じられる。なんだこれ、本当に1993年のアルバムか!?と最初は疑ったほどです。

ポップで軽やかな「Stranger Than Love」が終わると、本作のハイライトである「Change Comes Around」へ。5分という決して長くはない時間の中にHR/HMの起承転結がぎっしり詰め込まれたこの曲は、ボーカルも演奏もメロディもアレンジも「これが僕たちの求めるHR/HMのカッコよさだ!」と力説したくなるほどで、リリースから何年経とうがアンセムなのに変わりない。いやぁ、今もこの曲聴いてますが、ライブでの盛り上がりが目に浮かびますよ……。

もちろんその後も“かゆいところに手が届く”楽曲群目白押し。ソウル&ブルースフィーリング抜群な「Jealousy」、80年代の残り香が感じられる「Sentimental Blvd.」、ギターインスト「Mandy」からモダンなハードナンバー「Empty Promise」、歌と同じくらいギターも主張し続けるバラード「If There Was A Time」、“声”のみで構成された異色作「Just Like I Planned」、冒頭のギタープレイが鳥肌モノのダイナミックなHRチューン「Had Enough」……本当、捨て曲一切なし。

そういえば本作発売20周年を記念して、2013年には再レコーディングアルバム『MOOD SWING II』もリリースされていますが、最初に聴くならまずはオリジナルのこちらから。日本では続く3rdアルバム『VOICE OF REASON』(1995年)の評価が非常に低いですが、僕としては本作と同じくらいに好きな作品です。なので下手にベスト盤などに手を出すよりは、『MOOD SWING』と『VOICE OF REASON』の2枚を中古でゲットしたほうがいいと思いますよ。



▼HAREM SCAREM『MOOD SWING』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 03 18 12:00 午前 [1993年の作品, Harem Scarem] | 固定リンク