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2017年3月30日 (木)

WHITESNAKE『STARKERS IN TOKYO』(1997)

1997年に約8年ぶりとなるスタジオアルバム『RESTLESS HEART』をリリースしたWHITESNAKE。1990年の活動休止、1994年のライブ活動再開を経て、デヴィッド・カヴァーデイル(Vo)はエイドリアン・ヴァンデンバーグ(G)と本腰を入れて新作制作に取り掛かるものの、当初はデヴィッドのソロアルバムとして発売されるはずだった『RESTLESS HEART』が、レコード会社の要請によりWHITESNAKE名義で発表されることに。それ以前の数作と比べれば非常に地味で、HR/HMというよりはリズム&ブルースやソウルの色合いが強い作風だったことで従来のファンからは酷評する声が上がったりもしました。

本作のプロモーションで来日したデヴィッドとエイドリアンは、日本のファンのために限定100名にも満たない少人数のファン&関係者を前に、過去に経験のないアンプラグドライブを実施します。それが、本作『STARKERS IN TOKYO』に収録されている音源です。

アルバムには10曲が収録されていますが、当日13曲を演奏。しかし即興で演奏した「Only My Soul」、観客からのリクエストで演奏した「Fool For Your Loving」と「Burning Heart」の3曲は完奏されていないことから、アルバム収録は見送られたようです。また、曲順も実際のセットリストとは異なり、『RESTLESS HEART』からの新曲と過去の代表曲がバランス良く散るように並び替えられています。

金切り声を張り上げて歌わないデヴィッド、アコースティックギター1本で自身の楽曲、過去の名曲をリアレンジして演奏するエイドリアン。2人にとってすべてが初めての経験かもしれませんが、これが非常に素晴らしい出来で感心してしまいます。いわゆる“アンプラグド”ブームからはかなり遅れてのトライとなりますが、1曲目の「Sailing Ships」からして「腕の不調で『SLIP OF THE TONGUE』のレコーディングに参加できなかった作曲者のエイドリアンが、本来こうしたかったというアレンジで表現したかのような」ブルージーさ漂うプレイと、デヴィッドの「どこか70年代のWHITESNAKEを思い出させるトーンで歌う」パフォーマンスは圧巻。落ち着いたトーンの「The Deeper The Love」も悪くないし、装飾を取り払ったことで“実は単なるブルースだった”ことが明白となった「Give Me All Your Love」、バンドアレンジではAOR色が強かったものの、こちらもシンプルなブルースに生れ変わった「Is This Love」など、過去の楽曲と新鮮な気持ちで接することができるのは本当に大きな収穫です。

もちろん、「Too Many Tears」「Can't Go On」「Don't Fade Away」といった『RESTLESS HEART』からの楽曲も、よりシンプルになったことで芯にあるメロディの良さを再確認することができたし、落ち着いたトーンで歌われた「Love Ain't No Stranger」も悪くないなと。そして、本作最大の収穫は、DEEP PURPLE時代の名曲「Soldier Of Fortune」を、大人になったデヴィッドの歌声で聴くことができたこと。歌詞の意味・内容を踏まえてから聴き返すと、改めてこの曲をこのタイミングに歌うことの重要さに気づかされるのではないでしょうか。ホント、泣けるよこのアレンジ。

40分程度の、今となっては決して長くはないライブアルバムですが、リラックスしながら楽しむには十分な1枚かなと。2000年代に入ってからライブ盤は結構な数発表されてますが、どれも“HR/HMバンドWHITESNAKE”を表現したものなので、“ブルースバンドWHITESNAKE”をどっぷりと楽しめる本作は非常に貴重ではないでしょうか。

ちなみに本作、当初は1997年9月に日本限定でリリースされたのですが、翌1998年には一部の国でリリースされたようです。そうだよね、勿体ないものの、こんなにいい作品が日本だけで埋もれてしまうのは。



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投稿: 2017 03 30 12:00 午前 [1997年の作品, Whitesnake] | 固定リンク