« KISS『MONSTER』(2012) | トップページ | WARRANT『DIRTY ROTTEN FILTHY STINKING RICH』(1989) »

2017/03/14

ALICE COOPER『TRASH』(1989)

アリス・クーパーにとってキャリア18枚目のスタジオアルバムにあたるのが、1989年に発表された『TRASH』です。多少カルト的なイメージが強かった彼ですが、70年代はチャート的にも大成功を収めたアーティストのひとり。80年代前半は不遇の時代を過ごしますが、世の中がHR/HM万歳な時期に突入するにつれてアリス・クーパー再評価の声が挙がり始めます。また、彼のバンドに在籍したメンバーが結成したWINGERが大成功したことも、再び彼に注目が集まる大きなきっかけになったのではないでしょうか。

そんなタイミングに満を持して発表された『TRASH』。プロデューサーをBON JOVIなどのソングライターとして知られるデズモンド・チャイルドが務め、全10曲中9曲の楽曲制作にデズモンドが携わります。またその中にはジョーン・ジェットやジョン・ボン・ジョヴィ&リッチー・サンボラ(BON JOVI)といったデズモンド門下のアーティストの名も。レコーディングにもジョン&リッチーのBON JOVI組のほか、AEROSMITHからはスティーヴン・タイラー、ジョー・ペリー、トム・ハミルトン、ジョーイ・クレイマーの4人、キップ・ウィンガー(WINGER)、スティーヴ・ルカサー(TOTO)、ケイン・ロバーツ(80年代中盤のアリス・クーパー・バンドのギタリスト)といった錚々たる面々が参加した、豪華な1枚に仕上がっています。

アルバム自体は、“デズモンド・チャイルドが関わったアルバム”というイメージそのままの内容。おどろおどろしいアリス・クーパーのパブリックイメージとは相反する、美メロ満載のポップでキャッチーなハードロックアルバムです。1曲目の「Poison」や3曲目「House Of Fire」を聴いて、「BON JOVIかよ!」と当時ツッコミを入れたくなったHR/HMも少なくないはずです。しかし、これをジョン・ボン・ジョヴィが歌うのとアリス・クーパーが歌うのとでは、まったく違うものに仕上がるのだから本当に不思議。「Poison」の歌い出しなんて、アリス・クーパーがロウトーンで歌うことで、どこかおどろおどろしさが増すし。

とはいえ、どの曲もジョン・ボン・ジョヴィが歌う姿を簡単に想像できるし、脳内で勝手にボーカルをジョンに変換できる。5曲目のバラード「Only My Heart Talkin'」なんて、まんまAEROSMITHですしね(なんならこの曲、スティーヴン・タイラーがコーラスで参加してますし)。アリス・クーパーならではの個性という点においては、楽曲面にはそれほど強いものは感じられないかもしれません。

それでも1989年、このアルバムの成功によってアリス・クーパーはギリギリHR/HMブームに間に合った。時流に乗ることで、続く『HEY STOOPID』(1991年)や『THE LAST TEMPTATION』(1994年)でより好きなことがやれるようになったわけですから、結果良かったのではないかと。また、『TRASH』が売れてくれたから、1990年に念願の初来日公演も実現したわけですしね。

全米7位の大ヒット曲となった「Poison」をはじめ、「House Of Fire」「Bed Of Nails」などといったシングル曲以外にも良曲満載で、本当に捨て曲なし。最初に聴く1枚ではないかもしれませんが、あの時代の空気感に触れたいという人にはわかりやすい作品だと思います。



▼ALICE COOPER『TRASH』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 03 14 12:00 午前 [1989年の作品, Alice Cooper] | 固定リンク